東北地方における医学部設置に係る構想審査会(第7回)議事録

1. 日時

平成27年8月20日(木曜日)17時00分~18時30分 

2. 場所


中央合同庁舎4号館 1214特別会議室(東京都千代田区霞が関3ー1ー1)

3. 議事

1. 医学部設置に係る東北薬科大学の対応について

2. その他

4. 出席者

<委員>

 遠藤座長、永井副座長、泉委員、木場委員、桐野委員、小山委員、津田委員、伴委員、山口委員

<文部科学省>

 常盤高等教育局長、佐野高等教育局審議官、寺門医学教育課長、平子医学教育課企画官、佐藤医学教育課大学改革官

<東北薬科大学>

 高柳東北薬科大学理事長・学長、福田東北薬科大学医学部設置準備室室長、大野東北薬科大学医学部設置準備室委員、掘田東北薬科大学医学部設置準備室委員・事務局長

<オブザーバー>

 渡辺厚生労働省医政局医事課長

5. 議事録

【遠藤座長】  それでは,定刻になりましたので,ただいまから東北地方における医学部設置に係る構想審査会(第7回)を開催したいと思います。
 委員の皆様におかれましては,お忙しいところ,お集まりいただきましてありがとうございます。
 本日は,岸委員,濵口委員,邉見委員から欠席の御連絡を頂いております。
 まず会議の公表について,本日の議事は公開とさせていただき,撮影は冒頭のみ認めたいと思いますが,御了解いただければと思います。よろしゅうございますか。


(「異議なし」の声あり)


【遠藤座長】  ありがとうございます。
 本構想審査会では,本年3月に東北薬科大学に対して,今後の対応が必要な事項を示した上で設置認可申請を行って差し支えないとする検証結果をまとめました。これを踏まえまして,東北薬科大学は3月末に医学部の設置認可申請を行っており,現在,大学設置学校法人審査会において審査が進められているところと承っております。今後の対策が必要な事項については,本審査会において引き続き対応を確認することとしておりますので,本日は現時点における東北薬科大学の対応状況についてヒアリングを行い,委員の皆様の御確認を頂ければと考えております。
 それでは,議事に入りたいと思います。撮影につきましてはこれまでとさせていただきたいと思います。カメラ等撮影機器をお持ちの方は御退出をお願いしたいと思います。


(報道陣退室)


【遠藤座長】  それでは,事務局から配付資料の確認をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【佐藤医学教育課大学改革官】  配付資料の確認に先立ちまして1点,事務局の方で異動がありましたので,御紹介のみさせていただきます。8月4日付けで,新たに常盤高等教育局長が就任をしております。


【常盤高等教育局長】  常盤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。


【佐藤医学教育課大学改革官】  続いて,配付資料の方を確認させていただきます。
 議事次第の下に横書きで「資料」というふうに右肩に振ってございますけれども,「構想審査会から示された「今後の対応が必要な事項」への対応状況」という裏表の資料がございます。その下に,補足資料といたしまして参考資料1から7までございます。参考資料1が「第7回教育運営協議会議事録」,参考資料2が「地域医療ネットワーク病院リスト」,参考資料3が横書きの「教育カリキュラムの概要について」,参考資料4も横書きですけれども,「地域定着を図るための卒前,卒後の教育内容及び支援組織」,参考資料5が「地域別採用予定者数」,参考資料6も横書きですけれども,「修学資金制度の進捗状況について」,そして参考資料7として「東北医科薬科大学医学部卒業医師(宮城県枠)の配置シミュレーション」でございます。このうち参考資料5の2ページ以降に付いております補足資料2及び補足資料3についてでございますけれども,こちらにつきましては,個人情報の関係がございますので,委員のみ配付とさせていただいております。これ以外に,ピンクのファイルで机上資料として3月におまとめいただきました選定に当たっての条件の検証結果等の資料について,机上資料として用意をさせていただいております。不足があれば,事務局の方までお申し付けいただければと思います。
 以上です。

【遠藤座長】  ありがとうございます。資料はよろしゅうございますか。
 それでは,早速これからヒアリングに入りたいと思います。東北薬科大学より,今後の対応が必要な事項への対応状況等につきましては,恐縮ですが,20分程度で御説明を頂ければと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。

【東北薬科大学(高柳)】  それでは,資料に基づきまして御説明申し上げます。本年3月に構想審査会から示された今後の対応が必要な条件への対応状況を御報告いたします。
 条件1,教育運営協議会を活用し,各県の実情を踏まえた医師偏在の解消方策についてですが,去る7月27日に第7回教育運営協議会を開催し,これまでの協議会における論点への対応状況を報告の上,さらなる意見交換,議論を行いました。協議会で出された意見については,謙虚に受け止め,今後の医学部運営に生かしてまいります。また,今後も教育運営協議会の活用等により,既存の医学部や県当局等と密接に連携協力しつつ,修学資金制度やネットワーク病院を整備し,東北地方に定着して地域医療を担う人材を輩出することにより,各県の実情を踏まえた医師偏在の解消に貢献してまいります。
 協議会における議論,意見の交換の内容につきましては,参考資料1,教育運営協議会議事録に示しました。
 次に,条件2,ネットワーク病院とサテライトセンターの整備,これらを活用した地域立脚型の地域医療カリキュラムの構築に対する対応ですが,既存の医学部や県当局と連携し,県ごとに地域医療ネットワーク病院を確保いたしました。ネットワーク病院に全ての学生を派遣し,各県医師会とも連携をとりつつ,初年度から十分な時間を掛けて地域滞在型の地域医療教育を行うことにより,卒業生の地域定着を促します。地域医療教育サテライトセンターについても,今後,地域医療ネットワーク病院を中心として調整を行い,開学後早い時期までに確実に整備をいたします。また,採用予定の教員全員に対して,設置認可後早い時期に説明会を開催し,本学医学部の目的,特徴,すなわち本学のミッションを正しく理解させ,共有することにより,目指す教育の方向性を統一して,適切に学生に対する指導を行います。これにより,卒業生の地域定着を図ります。
 ネットワーク病院,サテライトセンター及び地域滞在型の地域医療教育については,担当の方から補足説明します。


【東北薬科大学(福田)】  それでは,参考資料2をごらんください。
 私どもがネットワーク病院にお願いするに当たっての基本的な考え方を一番上に示してございますが,1学生の臨床実習に必要な教育資源が充実していること,2属する地域において,中核的な役割を担っていること,3その県における地域性に配慮することでございます。これらについて,当該県の医学部,県当局と協議を行った上で当該病院と交渉を進めました。
 1枚目に,宮城県以外の5県について,各県2病院の内諾を得ております。秋田県については,連絡済みですが,先方の御意向により設置認可後に交渉を開始いたします。
 2枚目をお開きください。
 これは宮城県で内諾を得た9病院を示したものでございます。前回7病院を報告しておりますが,今回,県北の栗原中央病院,それから一番下,県南の刈田総合病院を加えております。正式の協定書につきましては,設置認可後,早々に行う予定でございます。
 それから,各県に設置予定のサテライトセンターですが,ネットワーク病院の教育依頼を行う際に,併せてサテライトセンターの機能や役割について説明申し上げております。今後,ネットワーク病院との交流あるいはパイプを通じて,各県の適切なサテライトセンターを選定する作業を早急に進めたいと考えております。
 ネットワーク病院は以上です。


【東北薬科大学(大野)】  では,引き続きまして,教育の内容につきまして御説明申し上げます。
 参考資料3をごらんください。
 本学の教育カリキュラムでありますが,モデル・コア・カリキュラムを核といたしまして,ここに示してあります四つの特徴を持たせた教育により,地域医療に根ざす総合診療医の養成を目指します。
 まず,1番目が,左上,医学教育分野別評価基準に準拠した教育であります。例えば,十分な実習期間を確保した診療参加型の臨床実習あるいはアーリー・エクスポージャーなどの教育であります。
 それから,その下,2番目,地域滞在型の地域医療教育でありますが,これは,今,福田が申し上げましたサテライトセンターあるいはネットワーク病院を活用した体験学習,臨床実習でありまして,これは低学年から繰り返し訪問させます。このような地域密着型の教育により,地域医療を志す医師の育成を目指します。
 右側,3番目,地域医療を担う総合診療力の育成であります。これは,繰り返しになりますが,ネットワーク病院,サテライト病院を活用した地域総合診療実習あるいは地域包括医療実習といった滞在型の実習に加えまして,総合診療学演習として,症例を用いた総合診療力あるいは問題解決能力の育成を目指した演習であります。
 4番目がその上,特色のある災害医療教育であります。これは,被災地石巻に設置しますサテライトセンターを活用した教育あるいは独自の放射線生体影響の教育等により,災害医療に対応できる医師の育成を目指します。
 2枚目は,そのカリキュラムツリーでありますが,これは概要であります。
 続きまして,参考資料4をごらんください。
 これは,地域定着を図るための卒前,卒後の教育内容及び支援組織体制であります。
 左側が卒前教育でありますが,学内に医学教育推進センターを設置します。業務としましては,講座横断的な教育の企画・立案あるいは学外施設,今申し上げましたネットワーク病院やサテライトセンターなどとの連絡調整などであります。その下に,具体的に1年から,右側に向かって6年と,地域医療教育あるいは災害・放射線医療教育関連の科目を列記してございます。見ていただきたいところは,一番左の,全学生と書いてありますが,これは修学資金枠の学生,一般枠の学生,区別なく同じような地域医療教育を行います。特に茶色の字で書きました2年,3年の体験学習や5年,6年の臨床実習は,ネットワーク病院,サテライトで行う滞在型の教育であります。ここに繰り返し学生が訪問して,地域医療教育を受けるという仕組みであります。
 右側をごらんください。
 卒業後,今度は卒後の教育になりますが,これに対しましては,学内に地域医療連携センターを設置しまして,各県の当局及び医学部と連携しながら,その地域に合ったキャリア形成支援を積極的に行いながら地域への定着を目指すものであります。具体的な方法は下に概要を書いてございますが,修学資金枠,それから一般枠とございますが,いずれも今申し上げましたように各県の当局,大学と連携しながら支援していくということであります。特に,一般枠に関しましては,卒前教育で各県のネットワーク病院を繰り返し訪問しているわけですので,その県に定着するような仕組みを考えながら支援していくということであります。
 教育に関しては以上であります。


【東北薬科大学(高柳)】  それでは,条件3にまいります。地域医療に支障を来さないような教員等の確保に対する適切な対応について述べます。教員や医師,看護師等の確保については,採用地域や採用機関のバランスに配慮しつつ,地域医療に支障を来さないよう,引き続き適切に対応いたします。なお,採用予定者については,特定の機関から同時に多数異動することで地域医療に支障を来すことのないよう,赴任時期の分散を行っております。教員採用に伴う地域医療への影響については,開学後早い時期に検証を行うこととしており,問題があると懸念される事例が生じた場合には速やかに関係機関と連携を図り,広く全国に積極的に人材を求め対応をいたします。
 教員採用予定者の状況については,担当者が説明します。


【東北薬科大学(福田)】  それでは,参考資料5をごらんください。
 これは,採用予定教員の総括表でございます。一番下の右側に総数を示しております。本年3月時点では170名と報告いたしましたが,6月の再申請の時点で,臨床系で4名増えて174名になっております。赤字部分が変更でございます。
 まず,宮城県ですが,薬科大学病院で辞退者が1名あり,1名減の43名となっております。東北大の増減はありません。その他,これは宮城県内の病院及び研究機関ですが,1名プラスになっています。それから,山形県が1名増えています。東北以外の地区でございますが,中部地区,関西地区,それから海外からそれぞれ1名増えまして3名増加で,トータルとして4名増加ということでございます。
 2枚目の補足資料1をごらんください。
 まず,2番をごらんいただきたいんですが,※の部分に臨床系教員の採用に関する五つの留意事項を示しております。これらを考慮いたしまして,各県の中心部にある病院及び中心部以外の病院から採用を行っております。
 それから,1番の赴任時期別採用状況の欄をごらんください。
 この表に示すとおり,一度に動かして地域医療に支障が出ないよう,平成28年から3年間にわたって分散して赴任するよう計画しております。平成28年の合計数は86名ですが,本学の職員については地域医療に影響はないと思いますので,それを差し引きますと,平成28年は45名,29年が33名,平成30年が18名という内訳になっております。東北大学は合計46名でありますが,それぞれ14名,23名,9名となっております。
 それでは,補足資料2,次のページをごらんください。
 先ほど4名増と申し上げましたが,実は7名の追加と3名の辞退がございました。それで,結果的に4名増となっております。この7名の追加を行った教育上の必要性,理由あるいは採用について差し支えないと本学が判断した理由をそれぞれ示しております。後でごらんいただければと思います。
 補足資料3,次のページをごらんいただきたいと思いますが,これは,先ほど説明申し上げた7名について,現在の所属と意見書の内容,それから本学が採用可能と判断した理由,就任予定時期を示しております。これまで採用した教員の全てにつきまして,このような手続で採用を決定しております。
 以上でございます。


【東北薬科大学(高柳)】  それでは,続いて条件4,修学資金制度の整備を通じて卒業生が東北地方に定着し,医師偏在の解消に寄与するための方策ですが,修学資金制度については,新たに宮城県以外の5県について,本学の責任で1名ずつ修学生を選定することといたしました。引き続き,他の事例の研究も行いつつ,宮城県をはじめとする東北各県と十分な調整を行い,奨学金を受ける学生にとっても魅力のある制度としつつ,持続可能かつ地域偏在の解消に資する制度といたします。詳しくは,この後,担当者が説明いたします。
 また,東北各県と密接に連携し,奨学金を受けない学生も含め,地域定着を図る卒前教育・卒後研修を適切に実施・支援することにより,卒業生が東北地方に定着し,医師偏在の解消に寄与できるようにいたします。これにつきましては,先ほど参考資料4で担当者が説明いたしました。
 それでは,修学資金の説明を担当者が説明いたします。


【東北薬科大学(堀田)】  それでは,私の方から修学資金制度について,進捗状況について御説明させていただきます。
 参考資料6をごらんいただきたいと思います。
 左から,本年3月の前回運営協議会時点の状況,真ん中に現在までの進捗状況,右側に今後の予定ということで,それぞれ制度別に資金循環型,宮城県,それから東北5県,最後に資金費消型と3段に分けて記載してございます。
 現在の状況から御説明させていただきますけれども,宮城県につきましては,細部協議を詰めてございまして,まず修学資金の運営主体については社団法人とする,それから指定医療機関への義務年限10年については初期研修2年を含まないこととするというようなことについて基本的に合意が得られてございます。
 今後の予定,右側でございますけれども,現在,宮城県と細部協議中でございますけれども,社団法人の定款の作成,それから宮城県と本学で修学資金に関する基本協定の締結あるいは本学の修学資金貸与規程の作成,いずれも8月いっぱいまでの完成を目指して,現在,協議中でございます。
 それから,修学生確保の取組でございます。これは宮城県枠,東北5県枠,資金循環型,それから資金費消型,全て同じでございますけれども,何より地元定着を図るためには東北地区の高校生を掘り起こすのが一番効果的であろうという判断のもとに,東北6県の高校進学指導者への説明会を開催あるいは東北6県の高校訪問,内容の説明などを積極的に行ってございます。さらに,宮城県主催の医学研究講座でも特別に時間を頂き,説明を行っておるところでございます。また,右側のところでございますけれども,今後も継続して進学予備校主催の高校生,予備校生を対象とする説明会にも積極的に参加して掘り起こしを図っていきたいと考えてございます。それから,高校生を対象とした東北6県での進学説明会,これは本学の主催ということでございますけれども,これらも認可後それぞれの県で積極的に行ってまいりたいと考えてございます。
 それから,2段目の東北5県枠でございます。これにつきましては5名採用するということは決めてございましたけれども,現時点で受け入れ病院を確定するというのはなかなか難しいということもございますので,まず本学の責任において各県1名を選考して入学させることといたしました。卒後の受入れ病院については,初期研修修了までに本学の責任において選定する方式ということにしたいと考えてございます。これのイメージ図は,2枚めくっていただいた別紙2に書いてございますので,御参考にしていただければと思います。
 受入れ病院の選定でございます。これにつきましては,教育が進む中で各県のネットワーク病院等あるいはサテライトの設置等でいろいろ情報のパイプも出てまいりますので,ある程度の時間を置けば選定は可能かと思いますけれども,併せて各県の当局,医学部等の助言を得ながら進めることといたします。また,義務年限の設定につきましても,各県の実情・要望を踏まえ,協議の上,対応する予定でございます。なお,本学の理事長が,この辺も含めまして,各県の知事・副知事等を訪問いたしまして今後の協力を要請し,協力の依頼を取り付けているところでございます。なお,1県については,現在,日程調整中でございます。
 今後につきましても,制度の詳細について各県と連携を密にして,よりよいものにしていくべく協議を進めてまいりたいと考えてございます。
 それから,資金費消型でございます。現在までの進捗状況,真ん中のところですけれども,一部既存制度での対応は困難とされていた県もございましたが,協議の結果,既存制度での対応について御了解を頂いているところでございます。これによりまして,東北5県合計で最大20名程度の利用は見込めることとなってございます。
 なお,各県の状況,修学資金の枠等につきましては,1枚めくっていただいた別紙1に詳細が記載してございますので,御参考にしていただければと思います。
 また,高校生,学生向けのパンフレットについても,各県の制度について,修学資金制度の一部ということで記載について了解を求めておるところでございますけれども,各県とも記載して構わないというお返事を頂いておりまして,実際に,最後,別紙3でございますが,これは私どもが現在使用しているパンフレットの一部修学資金の欄のところでございますけれども,こちらで上の方に修学資金枠B方式と書いてございますが,こちらについて記載しておるところでございます。資金費消型につきましても,理事長が各県の知事・副知事等を訪問いたしまして協力を要請しまして,それぞれ現行の制度内でしっかり対応させていただくというお返事を頂いているところでございます。
 今後につきましても,引き続き各県と密接に連携をとりながら対応してまいりますけれども,地元東北に定着する修学生というのは,やはり何より地元の学生を掘り起こすのが一番であろうし,そのためには各県の利用枠,本学枠の設定というのが大きなポイントになろうかと思います。そのためには,まず学生を集めて実績を作るということが大切であろうかと思いますので,引き続き東北5県,宮城県を含めまして6県,地元の高校生の掘り起こしを進めてまいりたいと考えてございます。
 以上が修学資金制度の進捗状況でございます。
 それから,続きまして,参考資料7をごらんいただきたいと存じます。
 こちらは,前回の運営協議会で御指摘いただきました宮城県枠30名,義務年限が10年ということで都合300名ということになりますけれども,これが受け入れ可能なのかという御質問がございました。これについてシミュレーションを行ったものでございます。この資料につきましては,宮城県からの資料提示に基づいて本学が作成したものでございますけれども,宮城県にも提示し,内容については了解を頂いておるところでございます。
 配置のシミュレーションの前提でございますけれども,県内の病院・診療所を設置者,病床数等によって区分して配置すると。義務年限期間中は,1か所の医療機関にとどまるのではなく,2年から3年程度のローテーション勤務を行うと。こういうことを前提に配置シミュレーションを行ったのが真ん中の表でございます。
 まず,仙台市を除く自治体病院100床以上,こちらは15病院ございます。これらを病床数に合わせて4人から15人程度の配置として合計で,120名。それから,同じく仙台市を除く自治体病院の100床未満,それから自治体の診療所,それぞれ14病院で40名程度,19診療所で20名程度,合わせまして60名。それから,自治体病院以外の地域医療機関,これも仙台市以外でございますけれども,こちらは7病院ございますが,これも病床数に応じて4人から12人の配置で60人。それから,10年のうち,やはりキャリア形成のために勤務する基幹病院も必要であろうと。これについては,仙台市も考慮に入れていいのではないかということで,これを2年程度と想定いたしますと,30名の2年ということで60名となります。この数字を合わせますと300名になるということで,十分受入れ可能ではないかと判断しているところでございます。実際には,留年あるいは定着辞退等の発生も考えられますので,実際の運用は300マイナスアルファということになろうかと思いますけれども,極力こういった形で進めてまいりたいと思います。
 それから,もう一枚めくっていただきまして,別表でございますけれども,こちらは卒後医師の配置ローテーション,つまり先ほど言った区分けに従って10年ローテーションを組むことが算術的に可能なのかどうかというところをシミュレーションしたものでございます。実際の配置に当たっては,宮城県あるいは地元の大学等とも協議しながらということになりますが,あくまでも300名ローテーションで繰り回すことが可能かどうか,算術的なシミュレーションということで御理解いただければと思います。
 それぞれ30名を6人ずつ五つのグループに区分けいたしまして,それぞれの病院の規模に応じて2年ごとに配置を行うというような図でございます。例えば,第1グループでございますけれども,ピンクの色がついてございますが,1年目,2年目は100床以上の自治体病院,3年目,4年目は100床未満及び診療所の自治体の病院で勤務,5年目,6年目は地域医療機関,7年目,8年目はもう一度100床以上の自治体病院,それから9年目,10年目は基幹病院ということで配置をする。それぞれのグループを交互に配置するということで,300名,10年,ローテーションを組みながら宮城県内に配置することは十分に可能であろうと判断しているところでございます。
 以上でございます。


【東北薬科大学(高柳)】  それでは,次に,条件5ですが,将来の医師需給等に対して定員調整の要請があった場合には適切に本学としては対応いたします。
 最後に,条件6の開学までの間及び開学後の教育運営協議会の開催ですが,1で説明申し上げましたとおり,去る7月27日に教育運営協議会を開催し,これまでの協議会における論点への対応状況を報告の上,さらなる議論を行いました。協議会で出された意見については謙虚に受け止め,今後の医学部運営に生かしてまいります。また,開学後も本学が使命を十分に果たしているかについて確認しつつ,新たに生じる課題も共有して議論を行えるよう,協議を行う場として教育運営協議会を毎年開催してまいります。
 説明は以上でございます。


【遠藤座長】  どうもありがとうございました。それでは,早速皆様方の御意見を頂きたいと思いますけれども,それに先立ちまして,本日御欠席された委員の方から御意見等,事務局にあるかどうか確認したいと思いますが,いかがでしょうか。


【佐藤医学教育課大学改革官】  本日御欠席の委員3名の方には,事前に本日の資料を送付させていただきまして,御意見についてお願いをしておったところでございますけれども,どの委員の先生からも特に御意見は頂いていないところでございます。
 以上です。


【遠藤座長】  ありがとうございます。それでは,早速意見交換あるいは御質問,御意見を頂きたいと思いますけれども,六つの事項に分かれておりますので,いかがでしょうか。最初に,1番と2番は密接に関係しているかと思いますので,事項の1番,2番に関連する事柄で御意見あるいは御質問等があれば,頂ければと思います。山口委員,どうぞ。


【山口委員】  2番のところで二つ質問がございます。
 まず,一つ目です。2番の採用予定の教員全員に対して,設置認可されると,早い時期に集まってもらって,いろいろと方向性を示すということは前回も示されていたと思うんですけれども,具体的に今プログラムとしてどのくらい固まって予定されているのか具体的なところを少し聞かせていただきたいというのが一つです。
 二つ目としまして,教育カリキュラムについては2番に入るんでしょうか。


【遠藤座長】  はい,入っております。


【山口委員】  前回も,1年生のときから同じ県に何度も繰り返して滞在して学ぶことになるという御説明がございました。今回,参考資料3の補足資料2の12ページ参照とございますけれども,1年生の入学した段階で各県からいろいろとプレゼンがあって,自分がどの県に行くかを選ぶというようなことが前回御説明にあったと思うんですけれども,その方法について,それ以上何か深めておられるのかどうか。一つ行きたい県を決めたけれど,例えば途中で違う県に行きたいといったときに,一回選んでしまうと,ずっと同じ県に固定されてしまうのかというのが私は気になっているんですけれども,そのあたり,その後の進捗状況で何か変化がございましたら教えていただきたいと思います。
 以上です。


【遠藤座長】  ありがとうございます。それでは,お願いいたします。


【東北薬科大学(高柳)】  最初の採用予定教員に対するプログラムということですけれども,今のところ,とにかく設置認可をできるだけ早く,9月中に予定の方に集まっていただいて,まず大学の教育目標,理念,使命,設置の趣旨をよく説明して理解していただくと。こういう医学部なんだということ,それに沿って教育をしていただきたい,こういうふうなことでございます。その後,個々にグループごとに,恐らく各教室なり小グループで分かれて,またいろいろお願いするだろうということで,今のところ,全体的なプログラムというのはそういうことです。できるだけ教授要目とか,そういうものをすぐ作っていかないといけませんので,それを準備するということです。


【遠藤座長】  もう一つございましたね。

【山口委員】  今のことについて,よろしいですか。


【遠藤座長】  では,山口委員,どうぞ。


【山口委員】  やはり学生さんを教育する方たちの教育の方向性が,学生に及ぼす影響はとても大きいと思っていますので,そこのところは是非きちんとした形ということをお願いしたいと思います。


【東北薬科大学(堀田)】  その件につきましては,当然ながら,一度だけでなかなか目的が達成されるわけではございません。それぞれ,先ほど言いました授業内容,教科書の選定等,細かな打合せ等,これから何度か数を重ねてまいりたいと思いますので,その中で我々のミッションの共有化を積極的に進めてまいりたいと考えてございます。


【遠藤座長】  続けてお願いいたします。


【東北薬科大学(大野)】  県に配置して繰り返し学ぶということに関しての御質問ですが,確かに学年進行の間にほかの県を見てみたいという学生が出てくることも想定はしております。その場合には,やはり基本的にはできるだけその学生の希望は入れて対応したいとは考えています。1年次の,どこの県に行くかということの原則は,参考資料4の左下に茶色の字で「学生の配置」と書いてございます。この時点で1年の段階で決めていくわけですけれども,これは飽くまで原則でありますが,やはり各県のいろいろな文化や医療の現状等を説明しながら,そういう機会を持ちながら決めていきたいと考えてはいます。例えば,具体的には1年次にそういう科目を持つことを予定しておりますけれども,そういうことで十分考えていく。あとは,実際希望が出た場合には,その希望に応じて変更することもあり得るだろうとは思っております。


【遠藤座長】  ありがとうございます。山口委員,よろしゅうございますか。


【山口委員】  はい。


【遠藤座長】  ほかに御意見,御質問等ございますか。桐野委員,お願いいたします。


【桐野委員】  このように普通の医学校ではなくて東北地方の震災復興及び地域医療に資するような人材を育成するということで,それなりに学生は一定の方向性というか,アイデンティティーを持って育成されていかないと,これは大変難しいし,自治医科大学の先行事例があるんですけれども。この場合のように奨学金を受ける学生,それから奨学金を少し受ける学生,奨学金を全然受けない学生というふうにまだらになっている学生たちをどのようにして一つのアイデンティティーの方向に導いていく教育をされるのか,それは可能なのか,その辺のところをどうお考えかお伺いしたいと思います。


【遠藤座長】  ありがとうございます。それでは,お願いいたします。

【東北薬科大学(福田)】  先ほど大野が申し上げましたとおり,全ての学生に対して,まず同じ教育カリキュラムで臨むというのが1点でございます。それでもって差別することなく全てに同じ教育を行う。それから,当然ながら,御指摘のとおり,いろいろな意味での動機付けやらが異なった集団でございますので,いろいろな工夫を考えております。例えば,当然グループ学習というものが重視されると思いますから,そのグループ分けの段階でできるだけ一般学生だけ集まることのないように,適当な割合で3グループが混じっているようなグルーピングを一つの工夫として行いたいと考えております。それから,当然ながら,モチベーションといいますか,地域医療への貢献ということを維持するための教育を6年間一貫して継続して行いたいと考えております。


【遠藤座長】  桐野委員,いかがでしょうか。よろしゅうございますか。
 それでは,お待たせしました。津田委員,お願いいたします。


【津田委員】  参考資料4の卒前教育の中の内容を拝見いたしまして,今のように地域医療に貢献する学生を育成という大きなミッションを持っての教育ということはよく分かりますが,その一番の大前提は,医のプロフェッショナリズムをいかに若いときに植え付けて,どういう対応をする医者であったにしても,そこのところの一番のベースとなるプロフェッショナリズム教育ということを一番大事にしていただきたいと思います。この表なり予定からは,モデル・コア・カリに準じてとは書いてありますけれども,全学生の1年次の前期にそういうことをしっかり盛り込んでいただいた方が,まず医師を養成するということですので,その点が少し抜けていないかと感じましたので,よろしくお願いしたいと思います。


【遠藤座長】  ありがとうございます。そういう御意見でございますけれども,何かコメントございますか。


【東北薬科大学(大野)】  ありがとうございます。参考資料3の2枚目のカリキュラムツリー,これは御参考にということで飛ばしましたけれども,今,先生おっしゃいましたような,患者を知る,患者に早期から触れるということも大事にしたいと思いますので,そういう意味では,早期体験の中,いろいろ工夫をして患者に接する時間を低学年のときから継続的に持ちたいということも考えております。御指摘を参考にさせていただきます。ありがとうございました。


【遠藤座長】  ありがとうございます。ほかに御意見等ございますか。伴委員,どうぞ。


【伴委員】  それでは,1番のことについて質問させていただきます。
 御承知のように,この協議会からは要望書というものが出てきているんですね。ここで「協議会で出された意見については,謙虚に受け止め,今後の医学部運営に生かしていくこととする」と書いてあって,これには補足資料も余りないんですけれども,具体的にはどういう意見にどのように対応していかれる予定なんでしょうか。それを,まず一つお聞きしたいと思います。


【遠藤座長】  お願いいたします。


【東北薬科大学(高柳)】  これに対しましては,まず大きく言われていますのが,やはり教員の採用について,一定の箇所から多過ぎるだろうということで,もう少し公募しながら全国的に集めてほしいということですので,これについては我々は公募もしたんですけれども,結果的に現状ではこのような結果になっている。今後さらに,教員の方は人数的に足りませんので,今後採用していく場合には積極的に公募をしていくというふうに考えております。


【遠藤座長】  伴委員,いかがでしょうか。


【伴委員】  教員のことは前回まだ公募を締め切っていないんだというお話があって,それならしっかり更に追加は全国的にやってくださいという話になったと思うんです。その辺の結果が,先ほどの4人増えたという形ということですよね。


【東北薬科大学(高柳)】  ええ,そうです。直前まで公募の締切りはしておりませんで継続しておりましたけれども,結果的にはこのような状況になっているということです。広く全国から集める予定ではありましたけれども,予想以上に応募者が少なく,なかなか難しい現状であったということです。


【東北薬科大学(堀田)】  すみません。若干補足させていただきます。
 公募につきましては,3月13日の構想審査会の御判断を受け,3月末に認可申請を行うということで,一旦3月中旬で打ち切ってございます。今回の変更につきましては,それぞれ辞退者が出たための補完あるいは教員審査等の兼ね合いで不足した部分を補充したというような位置付けでございまして,直接の公募は行ってございません。ただ,今後開設の必要な教員の確保等につきましては,改めて公募等を行って広く東北地区以外からの人材を確保したいと考えているところでございます。


【遠藤座長】  ありがとうございます。


【伴委員】  次にお聞きしたいのはカリキュラムです。補足資料1,2はカリキュラム・ポリシーと書いてあるんですが,大学ではアドミッション・ポリシーとディプロマ・ポリシーが求められておりますね。アドミッション・ポリシーに当たるところはどこにあるんでしょうか。


【東北薬科大学(大野)】  申し訳ありません。今日の資料の中にはアドミッション・ポリシーのところは入れてございませんでした。


【伴委員】  このような新しいタイプの大学を作るという意味では,恐らくそれが最も大事だろうと思うんですよね。そうしますと,アドミッション・ポリシーはあるけれども,今日の資料にはないという意味でしょうか,それともまだ作成していないと。


【東北薬科大学(福田)】  いや,設置審への書類には全て明記してございます。


【伴委員】  では,どのようなポリシーになっているのか,口頭でも結構ですので。


【東北薬科大学(大野)】  設置審に出したアドミッション・ポリシーの中身でありますけれども,本学のミッションである地域医療,つまり患者さんの地域医療に貢献する強い意志を持つ学生であること,それから,当然,医療でありますけれども,サイエンスの部分もありますので,研究マインドあるいは科学的な解決能力を育成することを希望する高校生,学生ということで,大きくその二つをアドミッション・ポリシーとして入れておりました。


【伴委員】  先ほどの皆さんに説明されるというところと関係してくるのですけれども,もう一つ,アドミッション・ポリシーの字句だけではなくて,どういう説明をされるのか,あるいはどういうタイプの説明会をされるのかということで,地域医療の喜びとか地域医療の楽しみとか,そういうことが教員から伝わってこないと,学生たちも、自分たちは新たなミッションを受けたキャリアパスを歩むんだ,という意気込みが出てこないと思うんですよね。
 ほかの委員はどうか分かりませんけれども,東北大学の人数が多くて私が一番危惧しているのは,将棋倒しになって東北大学が今まで支えてきていた東北の医療の支えがその分弱くなるということも一つあるんですが,もう一つ,東北大学は伝統的に研究志向でやってこられている大学ですので,そういう教員がどのように地域医療に向けた熱い思いを語れるんだろうかということも大変危惧をするんです。ですから,その辺のところはどうなのでしょうか。対策というか,そういう人を選んでいるのだということがあれば,おっしゃっていただきたい。


【遠藤座長】  重要な御指摘だと思いますので,お願いいたします。


【東北薬科大学(福田)】  では,私の方からお答えいたします。
 最初の教員選考の段階で,当然ながら,地域医療に対する使命感とか熱意とか,そういうものを持っているかどうかということが選考のポイントになっておりまして,それを文章の形で書いていただいたり,そこの部分の実績を示していただいたりということで選考しております。
 それから,東北大学との関係ということで,当然,御指摘のとおり教員数が非常に多いわけですが,先ほどの最初の御質問のように,設置認可後直ちに行う教員のFDに相当する部分で,もうあなたは東北大学ではないんですよということを強調して,我々は新しい大学のミッションを,こういうふうになっています,これにまい進してくださいということを徹底して,まず教員の教育ということをやろうかと思っております。
 それから,もう一つ,東北大学の地域医療を支える能力が落ちるのではないかという御指摘は,実は協議会でもございました。それに対しましては,東北大学にいて地域医療を支えた方というのは,当然,非常勤の形で地域医療を支援しているに違いないという状況がございますので,その方が薬科大学に移っても,そこの支援病院を引き続き支援できるような形で東北大学と協議を行いたいと考えております。若干落ちる部分もあるかもしれませんが,少なくとも大幅な減になることはしないと考えております。
 以上です。


【遠藤座長】  伴委員,いかがでしょうか。


【伴委員】  とりあえず,これで結構です。


【遠藤座長】  今3番の方まで入ってしまいましたので,1,2でまだ何かあれば承りたいと思います。特段ないようであれば,また戻っても結構でございますので,それでは3番,既にもう議論が行われておりますが,何かございますか。小山委員,どうぞ。


【小山委員】  一番大きな問題は,東北大学から合計で64名の教員が来るということに対して,一応影響はないという御判断で動いているわけですけれども,この後更に公募していくのでしょうが,一つの対策として,補足資料1の中に赴任の時期をずらすというお話がありました。そのほかに,もうこれ以上この地域からは採らないというような方針みたいなものは何かございますでしょうか。


【遠藤座長】  お願いいたします。


【東北薬科大学(高柳)】  方針というものを明確に出していませんけれども,運営協議会とか,いろいろな議論の中で,できるだけとにかく東北地方からは採りたくない,採らない,あるいは東北大から採らないようにしようという思いではいます。


【小山委員】  これ以上増えてしまうと,最初に構想審査会の議論になりました東北大学の第二が作られてしまうような形になりますので,是非教員のところはやはりまだ慎重にする必要があるかなと思っております。
 それから,ここでは数値では示されておりませんけれども,看護師さんはどのようになっているんでしょうか。どこからどのくらいという割合は出ていますでしょうか。


【東北薬科大学(堀田)】  どこからという具体的な地域性というものは考えてございませんけれども,一応現在,大学病院の稼働率等から逆算いたしまして,それから現在保有している看護師数,ここから新規採用を退職者補充プラス三,四人ぐらいまでで抑えて,採用を計画的に,段階的に行うということで対応していくということで運営協議会でも御説明させていただいたところです。ただ,それでも不十分な部分があるいは出てくるかもしれませんけれども,そういったところは退職の看護師を極力引き留める研修制度の充実あるいは看護助手の採用を増やす等,いろいろな工夫をいたしまして,看護師についても地域医療に影響を与えないように極力配慮してまいりたいと考えております。


【遠藤座長】  ありがとうございます。では,永井副座長,お願いいたします。


【永井副座長】  これは先ほどの桐野委員の質問とも関係しますが,奨学金を返還して自由に行動したいという学生あるいは卒業生が出てくると思いますが,それをどのくらいの割合と見込んでいるのですか,またそれを防止するためにどういう手段,方法を考えているか教えていただけますか。


【遠藤座長】  お願いいたします。


【東北薬科大学(福田)】  まず,前回の構想審査会でも御指示を頂きまして,ほかの制度を調べるようにということでございましたが,調査が可能であったのは,やはり自治医大のものが一番充実しておりました。これは,ネット上に非常に詳細なデータが出ておりまして,義務年限を果たすという意味での完遂率というか,離脱率は5%程度でございました。ですから,恐らく私どももそのくらいは最低限見込まなければいけないだろうと考えております。
 ただ,もちろん離脱者が出ないように,先ほど大野が申し上げましたように卒前・卒後の一貫した支援体制といいますか,キャリア形成に不安を抱かないような工夫ということで,いろいろなローテーションを工夫しておりますが,そのような形で,卒業したら放(ほう)りっ放しではなくて,一貫して私どもは一人一人の卒業生も面倒を見るといいますか,パイプをずっとつないだままにしておく,そういう形で努力をしたいと考えております。

【東北薬科大学(堀田)】  補足させていきただきます。
 さほど詳細なデータがあるわけではないのですが,修学資金を辞退する学生というのは理由がどういうことなのかというと,やはりどうも多いのは,自分の進路に対する不安であるとか,専門医,自分のキャリアはこの制度に乗っかっていて大丈夫なのか,そういったところが主な辞退の理由であると考えられます。これにつきましては,参考資料4でもお示ししましたけれども,地域医療連携センターという組織を大学内に設けまして,卒後についても卒業生一対一ぐらいのイメージでフォローアップして,なるべくそういった不安に寄り添いながら,辞退者については極力回避していきたいと考えてございます。


【永井副座長】  自治医大は5%もありませんので,もう一度調べてください。


【東北薬科大学(福田)】  ないですか。ネット上で計算いたしまして,公開された資料で4.何%だったかもしれません。


【遠藤座長】  それでは,津田委員,どうぞお願いいたします。


【津田委員】  今,一つ問題は,新しい専門医制度だと思います。今回この大学で呼応する生徒さんたちというか,医学生は地域密着型の地域に貢献していただくということになりますと,専門医をとって専門性を高めていくということと,少しそこのすり合わせが難しくなるように思います。ですから,専門医を諦めろとは言いませんが,やはりこの大学のミッションはこうだということで,専門医をとって何とかというような学生がたくさん出てきますと,少し教育上難しくなるのではないかというのを危惧しますが,いかがでしょうか。


【東北薬科大学(大野)】  我々のカリキュラムで一番考えているのは,飽くまで総合診療医で,専門医をとるかどうか以前のです。卒前・卒後教育を通して総合診療医としての能力を身に付ける。その上で,その中で更に総合診療専門医をとるとか,あるいは内科専門医をとるとかというキャリア形成に関しては,これも支援しながらいくということです。ベースにある総合診療医としての能力を育成し,それをキャリアの中で育成していくということと専門医を取得することのギャップということは,そういう意味では大きくは現時点で考えておりません。

【遠藤座長】  ありがとうございました。伴委員,どうぞ。


【伴委員】  私は,総合診療医ばかり育てる必要はないと思うんですよね。というのは,やはり地域では総合的に診る外科医も要りますし,総合的に診る内科医も要りますし,ですから上手にカリキュラムを組めば,外科もすごくスペシャライズした外科医は育てないけれども,一般外科医というのは十分育てていただかないと,やはり地域のニーズに合わないと思うんです。内科も多分そうだと思いますし,産婦人科もそうだと思うんです。ですから,全部総合診療医ばかり……。というのは,自治医大は,9年の義務年限が終わって,みんな総合医になっているわけではなくて,いろいろな専門医になっておられますよね。ですから,そういうことも考えて,何か総合診療専門医だけ作るんだという考え方でない方がいいと思います。


【遠藤座長】  それについては,いかがでしょうか。


【東北薬科大学(大野)】  確かに,実際の医療の現場で何を求めているかというのは,やはり単に総合診療といっても,先生がおっしゃるように地域で,あるいは県で随分違うと思います。そういう意味で,卒後のキャリア形成の中で,最初に説明のとき申し上げましたけれども,やはり地域に合った,地域を考えた医師の育成というのが根本的に大事なのではないか。そのためには,やはりそこの地域の医師会なり大学なり行政との意見交換というものもまた非常に大事になってくる。そういうことを考えながら,ローテーションも考えたいと思っています。ありがとうございます。


【永井副座長】  私もいろいろ自治医大の卒業生の話を聞きますと,やはり総合医だけでは足りないという意見が出ます。総合力を基本として,その上である程度の専門を持つ必要があります。多少時間は掛かるかもしれませんけれども,是非それは目指していただきたいと思います。


【東北薬科大学(福田)】  大変ありがとうございます。当然,さっき申し上げましたとおり,幅広く診られる総合診療医をベースといたしますが,その上にやはりある種の専門性を持った医者の養成が必要であるということは自覚しておりますので,そのとおり努力したいと思います。例えば,先ほどお示しした卒後の30人のローテーションがございましたが,あの中に多少黄色グループは少しこちらに重点を置いたグループであるとか,そのような形であれば少し可能かなと思っております。


【遠藤座長】  ありがとうございます。1項目から4項目,もう既に4項目に入っておりますので,全体,その辺を含めて結構でございます。それでは,木場委員,お願いいたします。


【木場委員】  ありがとうございます。教員の採用について確認を2点させていただきます。
 一つは,都合4名増えたということなんですが,3名の辞退者について理由を伺いたいと思います。一度この方々が応募したのに辞退したというのは,例えば地域医療に支障を来すというような何かトラブルがあって取り消したとか,もし話せる範囲で分かれば,プロセスとして伺いたいのが1点と,もう1点は,都合4名増えたとはいいましても,募集教員数までまだ総合的にはあと9人足りないという状況になっておりますけれども,これはいつぐらいまでのスパンで,さっきおっしゃったように東北を置いておいて全国に向けてこれから残りの方々は募集していくということなのか,2点を教えていただければと思います。


【東北薬科大学(福田)】  それでは,最初の辞退者でございますが,これは全く本人の事情と申しますか,そういうことでの御辞退でございまして,地域医療上の支障があってという指摘を受けて辞退ということではございません。全く個人的な理由でございます。
 それから,不足分の教員の募集につきましては,先ほど理事長が申し上げましたとおり,公募いたしまして,可能な限り東北地方からは採らないで,ほかの地域からの教員を補充する形で定員を満たすように努力したい。いつまでかというのは,文科省がいつまでということは特に……。それはないですか。


【東北薬科大学(堀田)】  180名というのは,実は最終形ではございませんで,暫時不足している教室の強化を図っていく必要がございます。したがって,いつまでということではないですけれども,一つ完成年度までには一定数,180プラスアルファという形になろうかと思いますが,それは地域医療への影響等を配慮しながら順次段階的に行ってまいりたいと考えてございます。


【木場委員】  ありがとうございます。


【遠藤座長】  桐野委員,お願いします。


【桐野委員】  構想審議会の先生方がいろいろと心配されておられますけれども,ごく一般論から言いますと,今一番医師が不足している時期に大学に医師を相当集中して,そして比較的医師に余裕が出てくる10年後ぐらいから卒業生が活躍し始めるという意味では,確かに地域医療に支障を来す方向であることは間違いないと思います。ただ,大学としてはそれは大丈夫だろうというお考えだし,運営協議会の先生方は相当影響があるとお考えになっているので,水掛け論かもしれませんけれども,そこは非常に慎重にお願いしたいということです。
 それから,公募について質問いたしますが,日本の医学部のほとんど大部分は全国公募をするんですよね。するのが常識であって,全国公募したということではちょっとどうかなと思うのは,やはり相当意識的にこの大学の設立の趣旨に合うような教員を,相当全国サーベイをされて,そして勧誘というのもおかしいけれども,是非一緒にやらないかというようなことをされないと,これは相当難しいと思います。それはなされたとは思うんですけれども,どういうことであったか,可能であれば教えていただきたいと思います。


【東北薬科大学(高柳)】  全国的な勧誘はやりましたけれども,正直言いますと,各大学の反応が余りよくなかった。一つは,やはりまだ設置認可されていないし,実際に新設されるかどうかも分からないということもあり,いろいろな状況から応募が少なかった。現状はそういうふうにしか言えない。個人的にもいろいろな大学の学長さんあたりにお願いしましたけれども,正直言いますと,余り反応がよくなかったというのが実情です。ですから,先ほど言いましたけれども,繰り返しになりますが,恐らく正式に設置認可になれば,また状況が変わってくるのではないかと思っています。


【東北薬科大学(堀田)】  新たにまた170名教員が参ります。この先生方に我々のミッションを御理解いただければ,今度はその先生がまた核となって,新たにその趣旨に賛同してくれる先生というのは,またある程度集められるのではないかと期待しておるところでございます。


【遠藤座長】  山口委員,お願いします。


【山口委員】  今のことに関連して,まだ通っていなかったから,なかなかいい反応が返ってこなかったということですけれども,それは実際に話をされているときに,これが認められると,もう少し積極的に関わりたいという意志表明のような,何かそういう確信というか,反応みたいなものがあっての話なんでしょうか。


【東北薬科大学(高柳)】  それは全部ではありませんけれども,何人かの先生とはそういう印象を受けました。


【山口委員】  それと別に二つほどいいでしょうか。


【遠藤座長】  どうぞ,お願いします。


【山口委員】  今そのことがあったので質問したんですけれども,それとは別に,参考資料6で修学資金制度の進捗状況,既に高校生,予備校などで説明会を開催しながら,今後の予定として修学生確保の取組ということを幾つか書かれています。今は開学に向けて何とか学生に入ってもらわないといけないという思いで,とても積極的に考えていらっしゃることはよく理解できるんですけれども,認められれば,大学として継続していくということが今後とても大事になってくると思うんです。特別のミッションを持った設立趣旨の医学部なんだということで,そういう説明会を毎年毎年同じようにやっていかれるという今後の予定なのかという確認をまず一つ。
 それから,もう一つには,配置シミュレーションを参考資料7でされています。シミュレーションとして,こういうことは可能ですということは非常によく分かるんですけれども,意志を持った新卒医師ということになってくると,あなたはここへ行きなさい,こちらへというように駒を動かすように配置することは不可能だと思うんです。そのあたりの実現可能性というか,特にこういうことに配慮しながら,きちんと実現するために1年生のときから地域にということはよく分かりますけれども,なかなか生身の人間がそんなにうまくいくのかなということと,どこの出身かによっては,そこにずっとということを本当に選んでくれるんだろうかという実現可能性のところが不安にはなるんですが,そのあたりを少し聞かせてください。


【東北薬科大学(堀田)】  まず,高校生の掘り起こしの件でございますけれども,先ほども申し上げましたが,本学のミッションが東北地区に総合診療医を供給するということでございまして,地元,東北地方に残ってくれる学生はやはり東北出身の人間であろうという考えがございます。したがって,修学資金枠,全国からと制度上はしてございますけれども,なるべく東北地区の高校生を集めたいと考えてございます。したがいまして,初年度だからということではなくて,高校生のリクルート活動も我々の医学部のミッションの一つであろうと考えられますので,これについては継続的に行ってまいりたいと考えてございます。
 それから,シミュレーションの件でございますけれども,これは1枚目で示した数字が算術的に可能なのかどうか検証したという意味合いでございまして,実際問題としては,やはりそれぞれ個別に,先ほどちょっと福田からもございましたが,グループ分けでAコースは例えば外科を中心にしたコースであるとか内科を中心にしたとか,そういったメニュー,あるいは単純に算術ですので,初期研修修了後すぐ医師を自治体診療所への配置というようなこともこの表ではなってございますけれども,例えば現実問題としてそういうことが可能かどうかということはございます。その場合は本学の方で適宜サポート体制を整える。あるいは,この配置自体も実際には,宮城県の場合ですと医師育成機構,県あるいは東北大と協議をした上で配置ということになりますので,その辺は十分に御指摘のとおり配慮しながら進めていけるものと考えてございます。


【遠藤座長】  ほかに。小山委員,どうぞ。


【小山委員】  地元に定着していただくために地元の学生さんを採るということでしたけれども,その反対面で非常に怖いのは学生の学力なんです。今,1,500人ぐらいの学生数が増えたんですけれども,それによって入学してくる方々の学力にやはり問題が出てきているというのが非常に議論されているんです。そこら辺のところは,選抜する方法ですけれども,どのような形を考えられていますか。


【東北薬科大学(高柳)】  基本的な考え方は,できるだけ東北地方の方から入っていただきたいと。ただ,それだと,やはり先生がおっしゃるように学力の問題がありますので,入試の今の資料にありますけれども,受験者については奨学金の方のA,Bも一般枠も出身地,出身県は問わないという募集要項にしております。ですから,全国からこれに応募できるということであります。そういう中で,今言った地域医療に貢献できるような人材を掘り起こしたいと思っています。


【東北薬科大学(堀田)】  若干補足させていただきます。
 参考資料6の別紙3をごらんいただきたいと思います。最後のところでございます。
 こちらに入試区分というのがございます。修学資金枠A方式が資金循環型でございまして,B方式が資金費消型,それから一般枠と三つの分類がございますけれども,入試上はこちらの併願は全て可といたしてございます。成績順に希望に応じてそれぞれにはめ込んでいくというのが基本的な考え方でございます。こういうことで,一定レベル,学力の担保というのは多分可能になるんだろうと思っています。ただ,そういう中で,それを中心にしますと,多分関東,関西の学生がどうしても多くなってしまう可能性があるということなので,極力東北地方の高校生にこちらに目を向けていただくように,まず分母を増やすことで分子の数を増やすということを考えておるということでございます。


【小山委員】  是非入学の基準は厳しくしていただきたいと思います。
 もう一つ,今のところでもって修学資金対応と一般枠がありますけれども,恐らく一般枠から先に埋まってくるんでしょうね。修学資金枠はどこも,どちらかというと空(あ)いている県が結構まだ今ありますよね。そこら辺の兼ね合いというんですか,あくまでも募集人員のメーンは修学資金対応枠にするのか,それとも全く同じレベルにしておいて一般枠を優先的にするのか,そこら辺はどのようにお考えですか。


【東北薬科大学(堀田)】  私どものミッションを果たす優秀なツールが修学資金枠であろうという理解でおりますので,基本的には修学資金枠を埋めるべく最大限の努力をするというところでございます。実際,私どもの方で高校の進路指導の先生方向け説明会あるいは予備校等での説明会での反応は,あくまでも印象でございますけれども,修学資金制度への関心というのは非常に高いという認識でおります。当然ふたを開けてみなければ分かりませんけれども,今のところ,修学資金枠はある程度集まるのではないかと考えてございます。オープンキャンパスでも医学部設置コーナーを設けまして,質問を受け付けました。もちろん入試の配点とか,そういった質問も多かったんですけれども,その次に多かったのが修学資金制度の説明ということでございましたので,それなりの手応えは感じているところでございます。


【小山委員】  今一番悩んでいるのは,その選考方法なんですよね。試験科目を何科目にするとか,それから内申書をどのぐらい重要視するとか,あるいは面接をするとか,是非そこら辺のところは工夫をしていただきたいと思います。
 それから,もう1点質問です。先ほどとちょっと絡んでくるんですけれども,やはり教員採用のところなんですが,どうしても引っ掛かるのは現時点で宮城県内から約半分の医師が集められているんですよね。これで今大丈夫だというような御発言が出ておりますけれども,これ以上傾くのはやはり大きな問題になると思います。今,努力するというような理事長先生のお話がありましたけれども,逆に,もう宮城県内からは採らないぐらいのことを言わないと,やはり宮城県内の人がいっぱい集まってきて本当に医療崩壊になる可能性が高いと思いますので,是非そこら辺は御一考願いたいという感じがいたしました。
 以上です。


【東北薬科大学(高柳)】  分かりました。


【遠藤座長】  山口委員,どうぞ。


【山口委員】  先ほどの選考のことですけれども,先ほど私が伺ったときに,東北に残ってもらいたいので,東北地方の高校生にアプローチをするとのご回答でした。でも,全国に門戸は開いていて,ある程度の学力を維持するとしたら分母を増やさないといけないというお話があったんですけれども,選考するときにどこを一番重点的に優先されるのか。例えば,東北地方に残るという意志を持った人ということなのか,あるいはある程度の学力で切ってしまって,そこから思いということを見ていくのか,そのあたりがよく分からないので,どのようにお考えなのか教えてください。


【東北薬科大学(堀田)】  まだ実績がないので,なかなか正確にお答えするのは難しいんですけれども,まず一義的には学力ベースでの判断を基本としたい。もちろん,その中に論文ですとか面接の結果というのは織り込みますけれども。実績を見た上で,どうしてもやはり学力中心だと,なかなか東北地区から採れないというようなことが明らかになれば,またその時点で何かしら適切な方法を考えたいと思っております。まだとりあえず実績がないので,やってみないと分からないというところはありますけれども,そうならないために,なるべく東北地区から受験生を集めたいということでございます。


【遠藤座長】  よろしいですか。永井副座長,お願いいたします。


【永井副座長】  最初の2年間,自治体診療所と100床未満で研修を行っていくそうですが、そこは相当の指導者をそろえていただきたい。医師になって2年間というのは極めて大事な時期ですので,手厚い配慮を考えているのでしょうか。


【東北薬科大学(福田)】  実は,診療所といいましても,宮城県のリストを見ますと,いろいろございまして,医師が1名のところから5名くらいまでが診療所でございまして,当然ながら,そちらの多いところに配置するという工夫をしたいと思います。たしか10名という診療所もあったと思います。そういう形で,ここは全体で6名ですので,100床以下の病院五つに診療所1個とか,そんな割合になろうかと思います。全体で6病院あれば配置できますので,全体で三十幾らあるうちの100床以下の病院を中心に選んで,診療所は多分せいぜい1個か,あるいはゼロになるか,そんな感じだと思います。


【永井副座長】  いずれにしても,すぐれた指導者が大事だと思います。


【東北薬科大学(福田)】  はい。各病院における指導者も十分調査をいたしまして,リストを作りまして,やりたいと思います。


【遠藤座長】  桐野委員,お願いいたします。


【桐野委員】  今,永井先生が質問されたローテーションの件ですけれども,初期臨床研修に関しては,自治医科大学と防衛医科大学校の卒業生は通常の研修制度からエグゼンプトになっていて,別枠なんです。ところが,その他の卒業生については,全てマッチングによって決めていくということで,地域枠学生ももちろん平等にマッチングを受けなければならないんです。だから,そういう意味で,6年後ですから,どうなっているか分かりませんけれども,現状ではこういう形で枠組みを決められても,このままできるかどうかは分からないと思うし,ここでこのような表を出されたからといって,東北医科薬科大学の卒業生がマッチングの除外の対象になるとはとても思えません。ですから,その問題が一つあることと,それから逆に,病院側から言えば,病院側がこの卒業生を受け入れたいのか,それともマッチングで入ってくる学生を受け入れたいのかは,また病院はそれぞれ御希望があるし,そこは今後相当な協議,まだ時間があるので早過ぎますけれども,こういうことであるから特別枠にしろと言われても無理ではないかと思います。防衛医科大学校と自治医科大学は全員が同じようなミッションで平等な教育課程を通って出てくるということから,初期臨床研修制度の最初のところにそういうことになったんだろうと僕は思いますけれども,多分これは相当難しいのではないかと思います。


【東北薬科大学(福田)】  初期研修に関しましては,全く御指摘のとおりでございまして,私どもの大学は多分例外ということにはならないと考えております。先ほどお示ししたローテーション表は,実は初期研修の分2年は入っておりません。したがいまして,現行制度のマッチングによって,それぞれが初期研修先を選ぶということで対応しております。もちろん,将来勤務予定の地区あるいは病院で初期研修を行うように推奨するという形でいろいろな問題を解決したい。関西の方でやって,うっかりするとそのまま離脱するとか,それは当然あり得ると思いますので,できるだけ将来自分が勤務する予定の地区あるいは県で初期研修を行うように推奨するということをやりたいと思います。


【遠藤座長】  いかがでしょうか。それでは,伴委員,どうぞ。


【伴委員】  それでは,今度は少し細かなことになりますけれども,カリキュラムのことをお尋ねしたいと思います。参考資料4と補足資料の1から3ということになります。
 前回お話を聞いたときに,地域にどういうふうに親和性を持つようなカリキュラムをするかというときに,御紹介いただいた1年次,2年次の数字が非常に短い期間で,それはもう普通の80大学全部がやっているような感じのカリキュラムを示されたと思うんですが,この補足資料1,2,3を見ておる限りは,例えば1年生,2年生のところは,9ページ,補足資料2になるかと思うんですが,やはり1泊2日とか,そういうことが書いてあるんですよね。地域に行って,地域を知って,そして地域のニーズをいろいろ,グループで学習してもいいですし,個人でフィールドワーク的に調べてもいいですし,そういうことを,普通の大学でやっていないような,2週間とかそういう形で地域に行っての1年生のアーリー・エクスポージャー,2年生はそれに更に加えて1か月ぐらい行くとか,やはり何かそういう工夫がないと,学生たちもそういう地域の重要性というのが分からないと思うんです。実際に地域立脚型のカリキュラムというのは,日本でやっているところは一部の地域の大学に限られていますけれども,世界的にはしっかり地域に根をおろしてやらないと地域に対する愛着は生まれないというのは明らかなんですが,その辺のところをまず一つお聞かせいただきたいと思います。


【遠藤座長】  お願いいたします。


【東北薬科大学(大野)】  前回も先生に御指摘いただいて,1泊2日という形でこの補足資料に書いてございますけれども,そこはできるだけ長くしたいとは思っております。ただ,その人数なり体制なりもしっかりした根拠を作りながら考えていきたいと思います。
 あともう一つは,長期滞在と同時に,これも前回の繰り返しになると思うんですが,やはり繰り返しその地域を訪問していく。しかも,大学の教育の中でステップアップしていった内容で,アーリー・エクスポージャーから少し医療のことを学んで,更に臨床医学を学んで,自分の学びの変化に応じて繰り返し訪れるということが,やはり新しい自分を見つけるということで大事なのかなと。繰り返しの訪問も非常に大事にしたいとは思っています。


【伴委員】  いや,もちろん繰り返しは大事なんですけれども,1泊2日の研修とか見学とかいう形で,もうちょっとしっかり地域を目指すんだという熱意が何か伝わってこないんですよね。もちろん,東北大学から選ばれているというのは地域的な事情とかいろいろあってしようがないのかもしれませんけれども,カリキュラムもこんな感じです,教員も東北大学からみんな来ていますというと,全く今までの従来型の医学部がもう一つ増えるというふうなことに終わってしまうのではないかというのを本当に危惧します。


【東北薬科大学(大野)】  分かりました。地域立脚型教育については、できるだけ積極的に考えます。


【遠藤座長】  全体を通じて何かございますか。それでは,木場委員,お願いいたします。


【木場委員】  お時間がないのに,すみません。先ほど来のお話で,やはり入試のところで少し引っ掛かりつつ聞いていたんですが,自分の子をもし関西とか関東から受験させると考えたときに,合格について透明性がもう少しあった方がいいのではないかと思って聞いていました。つまり,学力と論文と面接等々があって,何をどのぐらい重視するのかというのは後ほどの検討でも結構なんですが,その結果として思いのほか東北の人が余り残らなかった場合に,さきほどのお話ですと、少し操作するようにも聞こえるわけです。受けるときに全国には来てくださいと言いつつ,でも,結果的に東北の人が少ないから,そっちの方を多くしようみたいにも聞こえたりするので,そこはやはり透明性と公平性を持って頂きたいと感じました。もちろん目的は東北の方に残ってもらうというのが一番でしょうが、何か後で考えます、という感じだったので,その辺の透明性をきちんと受験の前に整理していただけると有り難いという感想を持ちました。


【東北薬科大学(堀田)】  申し上げました趣旨は,制度的には,まず当然透明性,公平性というのは大前提でございますので,これをベースに選定いたします。ただ,本来本学に与えられたミッションを果たせないような状況に結果としてなった場合は,入試の弾力的な運営ということではなくて,制度そのものを検討して,もう少し東北地区から学生が集まるようにすることを検討するという趣旨でございます。若干舌足らずだったかもしれません。


【遠藤座長】  小山委員,どうぞ。


【小山委員】  確認ですけれども,地域枠は外からも入れるということですね。


【東北薬科大学(福田)】  はい。


【小山委員】  全国から地域枠は入ってこられるということですね。


【東北薬科大学(堀田)】  私どもの地域枠というのは,卒後,東北地区に残っていただく地域枠。


【小山委員】  それは各都道府県も同じような考えですか。東北5県からの地域枠もありますよね。それも同じ考えですか。


【東北薬科大学(堀田)】  ええ,同じ考え方ですが,一部資金費消型で,そもそも制度として対象は自県出身の者に限るという県もございます。そういったところもあるので,まずは地元の高校生を掘り起こすのが制度定着上非常に重要ではないかという文脈で申し上げたものです。


【遠藤座長】  ありがとうございます。ほかにありますか。大体よろしゅうございますか。
 どうもありがとうございました。東北薬科大学からのヒアリング,それから,それに引き続きます活発な御意見あるいはいろいろなアドバイスを頂きました。全般的に,いかがでございましょうか。前回,構想審査委員会でこのような必要な事項というものを提示しました。その後の東北薬科大学の対応でございますけれども,全般的には適切な対応が一応行われているという理解しておりますが,それでよろしいかどうか。ただし,非常にまだいろいろな課題もあり,具体的な御助言を先生方から頂きましたので,東北薬科大学におかれましては,これらを十分踏まえまして,今後の対応に必要な事項をこれまでと同様に引き続き着実に進めていただくということ,また我々としましても,本審査会におきましても今後も定期的にこの対応状況を確認していきたいと考えますけれども,そのようなまとめでよろしゅうございますか。伴委員,どうぞ。


【伴委員】  1点だけ気になることがあります。先ほど医科薬科の方から今後とも地元の方の教育運営協議会は続けますとおっしゃったんですけれども,年1回ですと言われて,今,結構まだ流動的な部分があって,進行中で,各県から病院の名前も出てきていないところもありますしという現況で,この構想審査会はそんなに頻回にやるものでもないと思いますけれども,地元での教育運営協議会はもう少し,年1回と言わず,やっていただきたいと思います。


【遠藤座長】  ありがとうございます。


【東北薬科大学(高柳)】  何回になるかは分かりませんけれども,できるだけ可能な限り協議して開催したいと思います。


【遠藤座長】  是非よろしくお願いしたいと思います。ほかに何か御意見ございますか。よろしゅうございますか。
 それでは,事務局から何か追加の事項はございませんか。


【佐藤医学教育課大学改革官】  特に連絡事項はございません。


【遠藤座長】  分かりました。委員の皆様から特段なければ,予定の時間になっておりますので,これで終了したいと思いますが,よろしゅうございますか。
 それでは,本日は以上とさせていただきたいと思います。本日はいろいろとどうもありがとうございました。

―― 了 ――

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-- 登録:平成27年11月 --