東北地方における医学部設置に係る構想審査会(第1回)議事録

1.日時

平成26年6月16日(月曜日)14時00分~16時00分

2.場所

一橋講堂 特別会議室
(東京都千代田区一ツ橋2-1-2 学術総合センター内)

3.議題

 1.座長の選任等について
 2.今後の進め方・審査の観点等について
 3.その他

 4.出席者

 <委員>

   遠藤座長、永井副座長、泉委員、岸委員、桐野委員、小山委員、津田委員、伴委員、邉見委員、山口委員


 <文部科学省>

  板東文部科学審議官、吉田高等教育局長、佐野高等教育局審議官、袖山医学教育課長、平子医学教育課企画官、小野医学教育課課長補佐


 <オブザーバー>

  北澤厚生労働省医政局医事課長

5.議事録

【小野医学教育課課長補佐】  ただいまから東北地方における医学部設置に係る構想審査会(第1回)を開催いたします。
 座長が選任されるまでの間,進行を務めさせていただきます文部科学省医学教育課課長補佐の小野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 議事に入る前に御報告をさせていただきます。本審査会は円滑な審査の観点から,座長が必要と認める場合には非公開とさせていただく場合がございますが,第1回につきましては冒頭より公開とさせていただきたいと思います。また,撮影につきましては冒頭のみとさせていただきますことを御了承いただければと思います。
 それでは,本日1回目の会議の開催に当たりまして,文部科学審議官の板東から一言御挨拶を申し上げます。
【板東文部科学審議官】  第1回の開催に当たりまして,私から一言御挨拶をさせていただきます。本日は大変お忙しいところ,委員の先生方には委員をお引き受けいただきまして,また,御出席いただきましてありがとうございます。御承知のように,昭和54年に琉球大学の医学部が設置されて以降もう三十数年がたっておりますけれども,その間はずっと医学部の定員,設置につきましては抑制ということで推移をしてきたところでございます。昨今の医師不足ということに対する社会的な需要の中で,平成20年からは医学部定員の増員ということが行われてまいりましたけれども,その後,3年余り前に起きた東日本大震災により,東北地方に非常に深刻な状況が出てまいりました。
 御承知のように,元々東北地方につきましては高齢化,医師不足といったところが進行してきていたところでございますけれども,この東日本大震災を契機といたしまして,その状況が一層加速,顕在化されたという状況でございます。また,震災以降,住民の方々においては医療に関する不安,また,将来の生活に向けての不安を抱える中,大変困難な中で生活をされていらっしゃるという状況がございます。このような中で,今まで全国の国公私立大学からも被災地に医師の派遣をしていただき,あるいは様々な医療機関も含めて応援をしていただきまして,この被災地の医療を支えてきていただいているわけでございますけれども,これから将来に向けた東北地方の復興,このような課題の解決ということにどう取り組んでいくかという,非常に重要な時期になってきているわけでございます。
 そのような中で,昨年の12月でございますけれども,東北地方における復興のための医学部新設の特例措置が閣議決定されたということでございます。そして,それを受けて関係の3省庁によりまして,この医学部の設置認可に関する基本方針が昨年の12月17日に定められております。本審査会につきましては,この基本方針に基づきまして,東北地方に1校に限定をした医学部設置を可能にするために,通常の大学設置認可の手続の前に,基本方針で示されております条件などに適合し,最も趣旨にかない,実現可能性のある構想一つを選んでいただくための審議をお願いするというものでございます。この医学部の設置に関しましては,一日も早い復興に寄与するという視点に加えまして,学生が医師として一人前に育っていくという10年後,20年後の東北地方の状況を見据えた未来志向の視点の両方が求められるという意味で,大変難しい御議論を頂くということになろうかと思います。
 もちろん,こういった課題につきましては,新たな医学部の力だけで立ち向かうということができるわけではございません。これまで教育や医療に力を発揮していただいております既存の国公私立大学や地方公共団体,それから,医療機関など様々な主体のお力を合わせていくということが必要になっていると思っております。今回の医学部新設におけます検討が,東北地方全体が改めて心を一つにいたしまして未来の創造へ向かっていくような,一つの大きな契機になっていくことができればということを期待しているところでございます。この審査会の事務は当然,文部科学省で行うものでございますけれども,復興のための取組ということで,地域医療への影響を十分に配慮しながら着実に取り組んでいくということが必要になっておりますので,厚生労働省,復興庁とも強力に連携をしながら進めていきたいと思っております。
 このような非常に難しい御議論を頂くわけでございますけれども,委員の皆様におかれましては,復興という趣旨にふさわしい,最も良い形での医学部の設置が実現いたしますように,それぞれの御知見を積極的にお出しいただきまして,御議論を進めていただくとともに,厳正,公正な御審査を重ねましてお願い申し上げたいと思います。本日はどうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。
【小野医学教育課課長補佐】  引き続きまして配布資料を確認させていただきます。お手元の資料,議事次第に配布資料一覧が付いてございます。資料1,東北地方における医学部設置に係る構想審査会の開催について。資料2,東北地方における医学部設置に係る構想審査会における委員申合せ。資料3は枝番になっております。資料3-1,事務局説明資料。資料3-2,東北地方における医学部設置認可に関する基本方針。資料3-3,東北地方における医学部設置に係る構想の応募要領。資料4も枝番になっております。資料4-1,国際復興記念大学のパワーポイントの印刷資料。同じく資料4-2,東北医科薬科大学。資料4-3,宮城県立医科大学。資料5も枝番になっております。資料5-1,審査の観点例。資料5-2,構想審査会の進め方(案)。
 それから,参考1,参考データ。参考2に利益相反に関する申告票を付けております。また,机上資料としまして,今回応募のございました3件の構想応募書をまとめたファイル,一番分厚いファイルになっているものでございますが,こちらをお配りさせていただいております。こちらの中でピンク色のマーカーで印を付けている部分がございます。この部分につきましては,応募者の意向によりまして非公開の取扱いといたしますので,御発言の際には御注意をいただければと存じます。資料に不足の部分等がありましたら,事務局にお申し付けいただければと存じます。よろしゅうございますか。
 続きまして,委員の御紹介をさせていただくところでございますけれども,時間が限られておりますので,資料1の別紙並びに座席表をもちまして委員の御紹介に代えさせていただきます。
 なお,本日,木場委員,濵口委員につきましては御欠席という御連絡を頂いております。
 また,本審査会の委員の皆様には,資料2の利益相反に関する申合せに基づきまして,応募者との利害関係につきまして参考2のとおり申告をしていただいておりますことを申し添えます。
 引き続きまして議事の一つ目,座長及び副座長の選任に移らせていただきます。本会議の会務を掌理するお立場として座長1名及び座長の代理者として副座長1名をお選びいただきたいと思います。事務局といたしましては,座長に遠藤委員,副座長には永井委員が適任と考えておりますが,いかがでございますか。
(「異議なし」の声あり)
【小野医学教育課課長補佐】  ありがとうございます。
 それでは,恐縮ですけれども,遠藤座長におかれましては,座長席への御移動をお願いいたします。
 それでは,遠藤座長より一言御挨拶をお願いいたします。
【遠藤座長】  ただいま座長を仰せつかりました遠藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。一言御挨拶申し上げます。
 当審査会のミッションは既に板東文部科学審議官からお話がありましたように,3件の応募者の中から1件を選定することにありますが,医学部の新設は1979年以来のことになりますし,また,通常の大学設置認可においては審査の対象とされない幾つかの条件について評価をすることが求められております。さらに,大学の設置認可に際してこのような複数の案から一つを選ぶという,いわばコンペ方式が用いられた例もないということも伺っております。このように前例のない取組でございますので,難しい点もあろうかと思いますけれども,私自身は力不足でございますが,各分野のエキスパートでいらっしゃる先生の方々の御協力を得ることによって,公正なプロセスでミッションを達成できるよう全力を尽くしたいと思いますので,どうぞ御協力のほどよろしくお願いいたします。
 なお,審議に先立ちまして,公平な審査及び情報管理の徹底という観点から,報道関係者からの取材について,委員の皆様とあらかじめ対応方針を決めておきたいと考えます。具体的にこのような方針にしてはどうかという案がございますので,お示ししたいと思います。今後,当審査会について各委員が個別に報道関係者からの取材を受けることは控えていただき,もし報道関係者が構想審査会について個別に確認したいということがあれば,今回に関しては,ただいま座長を拝命いたしました私が,審査会終了後にこの会場内に限り質問に回答させていただく。なお,その際,撮影は冒頭のみにさせていただいておりますので,会議終了後にあっても撮影はお控えいただく。このように考えておりますけれども,このような方針でよろしゅうございますか。
(「異議なし」の声あり)
【遠藤座長】  ありがとうございます。それでは,そのようにさせていただきます。
 報道関係の皆様におかれましても,当審査会としましては,このような方針で対応してまいりますので,取材に当たり御協力をどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは,議事に移りたいと思います。
【小野医学教育課課長補佐】  遠藤委員,ありがとうございました。
 撮影につきましては,ここまでとさせていただきたいと思いますので,報道関係の方は退室をお願いいたします。
(報道関係者退室)
【遠藤座長】  それでは,議事の二つ目でございますが,今後の進め方・審査の観点等についてということですが,最初に事務局より本会議の設置の趣旨,経緯及び背景,応募された構想の概要,今後の審査の進め方について説明をお願いしたいと思います。その上で各委員からは今後の進め方,審査の視点について自由に御意見を賜れればと思っております。
 それでは,事務局から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【小野医学教育課課長補佐】  それでは,事務局から資料3から5につきまして,まとめて御説明をさせていただきます。
 まず,資料3-1に基づきまして御説明させていただきます。資料3-1は構想審査についての説明,東北地方の地域事情に関する資料,医学部の基準等に関する資料,東北地方における医学部設置の経緯に関する資料からなっております。この中で主に構想審査についての説明をさせていただきます。
 めくっていただきまして4ページ目を御覧いただけますでしょうか。こちらに東北地方の医学部設置認可に係る経緯の概略をまとめております。医学部の入学定員につきましては,政府方針としまして定員抑制が図られてきたところ,平成20年度以降,地域ニーズに応える形で定員増を行ってまいりましたが,新たな医学部の設置は行われておりません。文部科学省では「今後の医学部入学定員の在り方に関する検討会」を平成22年から23年にかけて開催いたしました。会議としての論点整理を行いましたが,医学部の新設を行うことにつきましては,賛成,反対両方の意見が併記される形となりました。その間,文部科学省,厚生労働省では医学部の定員増に加えまして,医師の地域偏在解消の取組,東日本大震災の被災地への医師派遣等の取組を行ってまいりました。
 これらの取組に加えまして,震災からの復興,今後の超高齢化と東北地方における医師不足,原子力事故からの再生といった要請があることを踏まえ,将来の医師需給や地域医療への影響も勘案し,昨年12月,東北地方に1校に限定して,一定の条件を満たす場合には,医学部設置の認可を行うことを可能とする基本方針を示しました。この方針に基づき,条件を満たす1校のみを設置認可の対象とするため,通常の大学,学部の設置認可手続の前に医学部新設の構想を受け付け,基本方針に示した条件等に適合し,最も趣旨にかない,実現可能性のある構想を一つ選定するため,本審査会を開催することとした次第でございます。
 次の5ページに,これまでの医学部定員の推移等を図にまとめております。
 それから,その次の6ページでございますけれども,こちらに基本方針の概要をまとめております。この6ページの基本方針の大きなポイントの一つとしまして,四つの留意点を挙げていることがございます。一つ目は震災後の東北地方の医療ニーズに対応した教育等を行うこと。二つ目は教員や医師,看護師の確保に際し,引き抜き等で地域医療に支障を来さないような方策を講じること。これは医学部の新設に慎重な意見として,最も大きいような御意見があったところでもございます。それから,3番目に大学と地方公共団体が連携し,卒業生が東北地方に残り,地域の医師不足の解消に寄与する方策を講じること。これは平成20年度以降の医学部定員増につきましても同様に条件を付しております。四つ目は将来の医師需給等に対応して定員を調整する仕組みを講じること。医学部新設は,定員増でありますれば一定期間後に元の定員に戻すということができますが,一度医学部を新しく作ると廃止することは困難であるという御指摘がありますことを踏まえて,定員設定等を行うことが必要という考え方を示したものでございます。
 こうした方針を踏まえて構想の応募を受け付けました結果,7ページに示すような3件の応募がございました。この3件の構想の概要は後ほど紹介をさせていただきます。
 それから,めくっていただきまして8ページに構想の受付から選定,認可までの流れを整理した図を入れております。現在は3の,選定候補とする構想を決定する段階です。本審査会で選定候補を決めていただきました後,文部科学大臣に報告し,文部科学大臣が1校の構想を選定するということになります。選定に当たりましては,応募者が幾つかの条件に対応することを前提とした,いわば条件付の選定という形もあり得ます。この場合,選定から認可申請までの間に条件を適切に満たすことができているかということを確認することも必要になってまいります。それが5の段階でございます。選ばれた構想の応募者の方は,選定後,6の設置認可申請までの間に,教員の募集,カリキュラムの編成などの準備を行っていただきます。認可申請時点では通常と同じく,例えば全ての教員の就任の内諾を頂くということが必要になってきます。
 認可申請の期限につきましては,大学の設置であれば前々年度の10月,既存の大学への学部の新設であれば翌年,前々年度の3月中ということになります。ただし,大学の準備状況等により弾力的な対応を行うということも想定しております。認可の審査は通常,他学部と同様に大学設置・学校法人審議会で審査を行っていただき,その答申を受けて文部科学大臣が認可を行うという段取りになります。ここの構想審査会の役割と大学設置・学校法人審議会,以下,設置審と略させていただきますが,設置審との役割分担につきましては,9ページに整理をさせていただいております。大きく二つございまして,一つ目は東北地方の医学部設置に関する基本方針で示した趣旨及び留意点への対応,いわば構想内容と言うべき観点でございます。もう一つ,下の青枠の「教育上必要な基準等への適合」,いわば構想内容に対応した実現可能性というような観点があります。
 構想内容につきましては,通常の大学設置認可の際には審査されない観点でありますため,本審査会においてのみ審査を行っていただきます。一方,構想の実現可能性という観点につきましては,今回の医学部設置に関しても,法令上の基準等を確認することは通常どおり設置審の役目となります。しかし,選定された構想が設置審の審査の結果,不認可になるということはできるだけ避けたいと考えますと,構想審査会におきましても,あらかじめ構想の実現可能性という観点から法令上の基準等を満たすことができる見込みがあるかという点について,審査の対象としていただければと存じます。なお,その際には現行の法令による基準等だけでなく,過去に存在した基準,あるいは現行の医学部の水準等も参考にしていくということを想定しております。
 次の10ページに付けた図でございますが,こちらは現在の医学教育・医師養成の改革を表したものでございます。最後に医学部が設置されたのは40年近く前のことであり,その後,大学教育としても,医師養成政策としても様々な改革を経て現在の姿がございます。例えば平成13年には医学教育モデル・コア・カリキュラムの策定,平成17年からは医学部における臨床実習を充実させるため,患者を相手に臨床実習を行うために必要な学生の能力評価を行う共用試験を導入しています。同様に教育方法も大きく進化をしております。
 また,卒業後につきましても,平成16年から2年間にわたる医師の臨床研修が必修化されました。この臨床研修制度の在り方は医師のキャリアパスという観点からも,地域の医師確保という観点からも非常に大きな関わりを持つものでございます。また,専門医につきましては,これまで各学会等がそれぞれ独自に基準等設定しておりましたけれども,平成29年度からは第三者機関で統一的に認定する仕組みに切り替わります。この改革も今後の医師のキャリアパスに大きな影響を与えてくると考えられます。こうした卒前,卒後の医学教育,医師養成の在り方の改革を踏まえた審査をお願いしたく,こういった資料を入れさせていただきました。
 次に11ページ目以降は東北地方の地域事情に関する資料を整理しております。
 12ページには東北6県の概況,東北地方に設置されていて医学部を有している六つの大学の概況を記載しております。六つの大学のうち弘前大学,岩手医科大学,東北大学,福島県立医科大学は戦前からの医学部の流れをくむ大学です。一方で,秋田大学,山形大学の医学部は昭和40年代以降に新たに設置された医学部でございます。いずれの大学も平成20年度以降の定員増に対応してきております。中でも東北大学は震災以後,全国の医学部で最多の135人の定員増まで増員しています。岩手医科大学と福島県立医科大学は元々80名の定員であったところから,それぞれ50名ずつ増員をしております。
 また,赤字で注釈を入れております地域枠の設定もポイントの一つでございます。地域枠とは様々な定義がございますけれども,地元出身者を対象に特別な入試枠を分けている場合と,卒業後に例えば自治医科大学のように地域医療に従事することにより返還が免除される奨学金を設けている場合,こういったものの両方を含めております。特に弘前大学,福島県立医大では60名という大きな枠を設けております。
 13ページに東日本大震災被災地,特に沿岸部医療圏の医療機関の復旧状況,医師数の動向等を示しております。
 それから,14ページでございますけれども,こちらは医学部以外も含めました東北地方全体の大学数,学生数等を記載しております。特徴は県庁所在地に多く集まっていることと,私立大学の数が全国から比べると少ないという点でございます。
 それから,次の15ページには東北地方の大学の入学者のうち,地元県出身者が占める割合と,東北各県の出身者が占める割合というものを入れさせていただいております。
 続きまして16ページでございますけれども,こちらは東北地方の高校から東北地方内外の医学部への進学状況というものを示しています。例えばグラフの一番上の青森県からは,3か年平均で58名が東北地方の医学部に,18名がそれ以外の地域の医学部に進学しているということを示しております。
 それから,その次の17ページには,東北地方の各二次医療圏の塊ごとに見たデータでございます。17ページには二次医療圏の概況を示しております。なお,宮城県では二次医療圏の再編が行われておりますけれども,統計データとの関係上ここでは統合前の平成24年度時点の医療圏を示させていただいております。
 それから,めくっていただきまして18ページでございますが,こちらは二次医療圏ごとの人口当たり指数を示しています。赤い色になっているところが,人口当たり指数が相対的に多く,青色の濃いところが相対的に人口当たり指数が少ない地域でございます。東北地方の中でも地域ごとのばらつきがあるという資料でございます。
 それから,19ページでございますが,こちらは二次医療圏ごとの将来の人口変動を示した図でございます。2035年には全ての地域で現在よりも人口が減少しておりますが,色の薄いところはその割合が比較的小さく,色の濃いところほど減少の割合が大きいという資料でございます。
 また,これと関連しまして20ページでございますが,二次医療圏ごとの医療需要の増減予測の例という資料を入れております。今後の人口変動が地域ごとに異なることによりまして,医療需要の増減につきましても地域ごとに様々でございます。ここに載せておりますデータは,千葉大学藤田教授を中心に検討された各地域の人口の将来推計,高齢者の人口の増減,死亡率の変化等を基に試算されたデータでございます。
 次の21ページに,20ページのデータを基に見いだされた傾向の例として,医療圏ごとの傾向が示されております。例えば岩手県の気仙医療圏では入院,外来患者とも減少を続けますが,秋田周辺の医療圏では高齢者数が増えることから,入院患者は当分の間は微増しますが,その後減少していきます。仙台医療圏は高齢者人口が増え続けるため,入院,外来需要ともに増加をしていきます。医療需要が増加した後減少する地域は,今,医療資源を投入しないと現在の医療の状況に対応できない面がございますが,いずれは過剰になってしまうという面もあるというようなことが,先ほどの研究の中で指摘されております。
 続きまして23ページ以降に医学部に関する主な基準等を掲載しております。以前,医学部を新設しておりましたのは40年近く前のことになりますので,その後,基準の大綱化等によりまして,医学部や附属病院に関する基準の多くが廃止されております。このため,23ページの一番上の枠囲みの1に書いておりますような現行の設置基準及び認可の基準等に定めのある現行基準等に加えまして,2で書いております過去の基準等や現在の大学の水準の例も参考基準等としまして審査の参考にしていただければと考えております。23ページの下に記載している内容は,大学,学部設置の一般的な基準等に関するものでございます。
 めくっていただきまして24ページには,医学部の必要専任教員数,附属病院における専任教員数について等の現行基準を載せております。それから,附属病院における医師数を参考基準として示しております。
 続いて25ページから26ページにつきましては,附属病院に関する現行基準や参考基準等を記載しております。附属病院の病床数につきましては,現行の法令上の基準はございませんが,全ての医学部はこれらを満たしているため,参考基準として示しているものでございます。
 それから,27ページには医学教育及び医療の進歩に対応した取組内容としまして,法令上の基準ではございませんけれども,事実上の標準となっている事柄を挙げております。
 それから,次の28ページでございます。ここからは少しデータ的なお話になりますが,28ページには附属病院の病床数と医師数に関する関係をグラフで表しております。
 それから,29ページには医学部が置かれている地域,二次医療圏に関するデータを記載しております。
 めくっていただきまして30ページでございますが,30ページには大学病院の立地と患者数に関するデータを記載しております。患者数は学生の教育上必要な症例数を確保するという観点からも,病院の経営という観点からも重要な指標ではありますけれども,法令上の定め自体は存在しておりません。
 続きまして31ページ目以降には,今回の東北地方の医学部設置に関する経緯,要望書等を掲載しております。こちらは全体を御紹介することは省略させていただきますので,適宜御参照いただければと考えております。
 資料3-1で様々なデータ等を用意しましたけれども,こちら以外にも必要なデータ等がありましたらお申し付けいただきまして,次回の構想審査会までに用意できればと思います。以上が資料3-1についての御説明です。
 資料3-2につきましては,昨年発表した基本方針,資料3-3につきましては応募要領を付けております。内容はここまで御説明したとおりですので,こちらは紹介だけにさせていただきます。
 ここからは資料4-1から4-3に付けられております応募者から提出された構想の概要資料につきまして紹介させていただきます。応募者からのヒアリングは次回予定しておりますけれども,概略を事務局の方から提出資料に基づきまして簡単に紹介させていただきます。
 まず,資料4-1の国際復興記念大学(仮称)でございます。こちらは南東北グループという病院,福祉施設を経営するグループが中心である一般財団法人脳神経疾患研究所が中心となって設立準備室を立ち上げているものです。これは新たに学校法人と大学を作るという構想でございます。めくっていただきまして資料1ページ目に基本理念等が示されています。地域医療,国際貢献,原子力事故災害からの再生,医療関連産業の育成という四つの柱が出されています。それから,2ページでございますが,こちらに福島県に設置する理由と大学の主な特徴というものについて記載がされています。それから,めくっていただきまして3ページに教育カリキュラムの概要が記載されています。総合医育成のために連携する施設等についての記載がなされております。
 それから,4ページ目におきまして,大学に置くことを予定している国際放射線医学研究所(仮称)として構想されている内容が紹介されています。これは災害精神医療慢性疾患対策研究部門,放射線医学研究部門,放射線医工学部門という三つの部門を置き,国内外の機関との連携をするという旨が示されております。それから,最後の5ページにおきましては,母体となります南東北グループが持つ医療福祉施設,研究施設等につきまして紹介されておりまして,これをもって基盤施設概要というふうに紹介されているところでございます。
 以上が資料4-1です。
 続きまして資料4-2,東北医科薬科大学でございます。こちらは東北薬科大学に医学部を設置し,大学名を改めるという構想でございます。資料の表紙の1ページ目には大学の教育研究の実績や理念が示されております。めくっていただきまして2ページでございますが,こちらに構想全体の概要が記載されております。この中で宮城県が創設する修学資金と大学独自の修学資金により70名以上の定着を行うことなどが示されております。なお,2ページ目と,あとの4ページ目で非公開としている部分がございます。ここには連携する病院等について記載されており,委員のお手元の応募書に添付されているポンチ絵には具体的な内容が記載されておりますけれども,応募者の意向により今回公表資料からは非公開とさせていただいております。
 それから,具体的な内容としまして3ページ目でございますけれども,こちらには石巻市に置く石巻地域医療教育サテライトセンターについて記載がされています。石巻市立病院は津波による被害で全壊し,平成28年7月,新たに開院予定ということにされております。ここを地域医療,災害医療実習の拠点とし,かつ医師を常駐させることで沿岸地域の医療に貢献,沿岸部に直結する高速道路の入り口に近接する同大学附属病院との循環による地域医療支援,人材育成を行うということが示されております。
 それから,めくっていただきまして4ページ目でございます。4ページ目には地域医療ネットワークというものによりまして地域医療教育,医師の定着を図るという構想について記載されております。それから,5ページ目につきましてですが,こちらに教育カリキュラムの特徴が記載されています。その具体的なものにつきましては,次の6ページ目,最後のページでございますけれども,こちらに地域医療,災害医療教育の概要ということが記載されております。6年間のカリキュラムのどの部分で地域医療,災害医療,放射線に関する教育を行うかというものを示した資料になっています。
 以上が資料4-2の説明でございます。
 それから,3番目に資料4-3,宮城県が応募した構想の概要でございます。こちらは新たに公立の仮称の宮城県立医科大学を設置することを基本としつつ,既存の県立大学である宮城大学に医学部を置くことも含めて検討中ということになっております。表紙の次の1ページ目に県立医学部の理由としまして,その考え方が記載されています。続いて2ページ目でございますけれども,こちらに宮城県北部の栗原市というところに医学部を設置する理由としまして,現在における栗原市の立地環境,あるいはその医療圏の状況ということについて説明がなされている資料でございます。それから,めくっていただきまして3ページ目でございますが,3ページ目から県立医学部構想の概要としまして,目指すべき基本的方向性,特色,4ページに設置場所,入学定員,開学時期等が記載されています。
 東北地方の地域医療を志す医師の育成のために入学定員を60人とし,その全員に学費及び生活費などを貸与し,一定期間東北地方において地域医療への従事を義務づけるということが特色として記載されています。なお,設置形態につきましては,今後公立大学法人宮城大学と協議を行い,適切な設置形態等を検討するということとされています。それから,めくっていただきまして5ページには,附属病院について市立栗原中央病院を中核として県立循環器・呼吸器病センターの一部の機能を再編,統合し,附属病院の整備を進めるということが記載されております。6ページ目には,卒業生を東北地方に定着させるための方策として,修学資金のイメージ図が記載されております。なお,この方策は宮城県の構想,東北薬科大学の構想のどちらが選定された場合にも活用できる仕組みとされているというものでございます。
 以上が資料4-3の説明でございます。
 続きまして,資料5-1,5-2に基づきまして審査の進め方についての資料の御説明をさせていただきます。資料5-1には審査の観点例を示しております。ここに示した観点をたたき台として参考にしていただきながら御議論いただきまして,最終的にはこれらの観点,一つ一つに評価点を付けるということではなく,1校を選ぶための総合的な評価をいただければと考えております。
 資料5-1の1から3の柱は,応募要領で示した観点とおおむね一致しております。つまり,応募者に対しては,あらかじめこの観点を示しているということになっております。この5-1は,いわばたたき台でございますので,本日,こういう観点を加えるべきであるという御指摘や,この観点を特に重視すべきというような御意見があれば,是非お願いいたしたいと思います。それを踏まえまして,この資料を修正し,次回の御議論で御活用できるように準備したいと思っております。
 最後に,審査の進め方(案)についてでございます。資料5-2に構想審査会の進め方(案)をお示しさせていただきました。今回,第1回で御議論いただきました後,第2回は応募者からのヒアリングとして応募者からの説明を聴取した上で意見交換を行いたいと考えております。その次の第3回には,関係する地方公共団体や大学等の関係者の意見聴取を行いたいと考えております。意見聴取を行う団体等の案は,次のページに別紙として付けておりますものに挙げております。
 案としましては,1.東北地方における自治体等としまして岩手県,福島県,東北市長会,それから,2.の東北地方における大学として,震災対応の中心となってきた東北大学,岩手医科大学,福島県立医科大学を挙げております。それから,全国的に医療を担う団体としまして日本医師会を挙げております。それぞれ若干観点が違うところもありますけれども,新しい医学部,既存の医学部に期待する役割や留意点などを伺うことができればと考えております。方法としましては,円卓方式といいましょうか,各関係者が一堂に会して説明を行っていただき,その後,全体で質疑を行うという形を想定しております。なお,各団体にはまだ具体的な依頼を行っておりませんため,日程の都合等によりおいでいただけない場合もあり得るところではございます。
 それから,前のページに戻っていただきまして,第4回でございますけれども,第4回につきましては1校を選定し,選定理由や選定に当たって付す条件についても固めていくというような御議論がいただければと思います。こういった進め方で良いかという点につきましても,御意見をいただければと思います。
 以上,立て続けの御説明で恐縮ですけれども,事務局からの御説明は以上でございます。よろしくお願いします。
【遠藤座長】  どうもありがとうございました。
 ただいま事務局から御説明がございました。いろいろな観点からの御説明でありましたけれども,まずは御質問等があれば賜りたいと思いますけれども,邉見委員,どうぞ。
【邉見委員】  自治体病院,邉見でございます。資料3-1に資料を頂きましたけれども,追加資料で何か希望があればとおっしゃいましたので,もし分かればですけれども,今ある東北の六つの医学部の卒業生が何%大学に残留しているか。私も所々,あるいはある年のものは知っているのですけれども,経時的にずっとどうかと。それからもう一つは,マッチングとか,卒後研修とかが終わった後,その県に,あるいは東北全体でも結構ですけれども,何%残っているかというものをいただけたら非常に有り難いです。
 なぜこんなことを申し上げるかといいますと,今,六つ「ざる」があるわけですね。東北大学はざるではないかも分かりませんが,また大きな編み目のざるを作って,卒業生が逃げてしまえば全く作る意味がないわけです。だから,編み目が狭い大学を作るということにこの構想審査の重点を置かないと,何のために作るのか,もう一つざるを作るというだけで全く意味をなさないと私は思っております。この大学を出た人が銀座で美容外科をやっても誰も止められないんですね。それがいけない。極端なことを言えば,東北限定の医師免許なんていうのがあってもいいのではないか。これは多分,憲法違反だと言われるのでしょうけれども,それぐらいのものがないと,私はこの大学,どれで作っても意味がないと思います。
【遠藤座長】  ありがとうございます。
 資料の要求がありましたけれども,事務局,よろしいでしょうか。では,しかるべくお願いいたしたいと思います。
 では,山口委員,お願いいたします。
【山口委員】  山口でございます。そもそもの確認をさせていただきたいのですけれども,今回,この医学部を新設するということに当たって,実際に今の東北地方における問題が即効性を持って解決するのだろうかということに実は疑問を持っております。いろいろな資料を読ませていただいていますが,高齢化が進んできていること,それから,医師の地域偏在とか,沿岸部の問題とか原子力の問題等々,そういうことがある中で,実際にどの医療機関にどれだけの医療者を投入するかということが,今,特に急ぐ課題であると思います。医学部を作るということは少なくとも10年ぐらい先でしか効果が発揮できないということを考えると,どういうことが医学部新設の意味があるという判断になったのかということを一つ確認させていただきたいと思います。
 まして,資料を見ていましたら,地域枠で東北地方の大学医学部の定員が平成19年に比べて既に219人増えているというような現状があります。将来的に医師過剰時代になったときに廃校にするわけにいかないということを考えると,ここで医学部を作るということの意味合いをまず確認をさせていただいて,どういう視点で審査をしていくのか,私自身も視点を絞りたいなと思っておりますので,その辺りまず大きなところで確認をさせていただきたいと思います。先ほどの邉見委員と同じで,私もこれでまた医師不足が加速したり,地域医療が崩壊をしたり,東北にとどまらないということになってしまうのであれば,意味がないかなと思っておりますので,そのための確認としてお願いいたします。
【遠藤座長】  事務局,御質問の趣旨はよろしいでしょうか。ある意味,そもそも論になりますね。東北で一つ医学部を作るということの効果,それから,副作用等々についてどういう考え方の下でこういう結論になっているのかということを御説明いただきたいということだと思います。では,どなたでしょうか。それでは,医学教育課長,お願いいたします。
【袖山医学教育課長】  医学教育課長でございます。よろしくお願いいたします。
 この東北地方に新たな医学部の設置認可を1校に限り認めるということにつきましては,お手元の資料3-2,東北地方における医学部設置認可に関する基本方針というもので示させていただいております。その2ページ,目的ということで書かせていただいております,ある意味では理念的な書き方になっているところでございますけれども,大きな目的としてはやはり震災からの復興ということで,特に東北地方の地元の関係自治体,あるいは関係者の方々から,この医学部設置について要望があったということが大きなポイントでございます。また,東北地方における医師不足,あるいは原子力事故からの再生といったような要請ということを踏まえた対応ということでございます。
 ただ,今御発言がございましたように,こういったものに対する即効性ということでございますと,これは人材養成でございますので,直ちに効果が現れるかというと,やはり10年,20年という中長期的なことをにらんでということであろうかと思っておりますけれども,新しく医学部ができるということによる,地域の人々がそのことによって得られる安心感といったようなことも踏まえて,このような新しい医学部を1校に限り認めるという判断をさせていただいたというところでございます。ただし,この医学部を作ることによって生じる懸念といったようなことも多く指摘されてございまして,そのことにできるだけ答えていくという観点から,その下にございますような留意点というものを書かせていただいているところでございます。
 特に2,この医学部を新設することによって教員や医師,看護師の確保に際して引き抜き等で地域医療に支障を来さないような方策をしっかりと講じていただくということが前提であるということ。そして,3,今お話がございましたように,卒業生が東北地方に残り,地域の医師不足解消に寄与する方策を講じていただくということを,医学部新設に当たっての必要な条件整備ということで掲げさせていただいているところでございます。この条件を満たすような構想となっているかどうかというのが今回の審査に当たって非常に大きなポイントになってくるのではないかと思っている次第でございますので,是非そういった観点から御審査を頂きたいと思っております。
 以上です。
【遠藤座長】  ありがとうございました。
 山口委員,どうぞ。
【山口委員】  ありがとうございました。今,東北地方というふうにおっしゃったのですけれども,今回のテーマも東北地方における医学部設置認可ということになっています。資料を拝見していますと,応募の中にはかなり地域限定的な計画がなされているところもあるように見えるのですけれども,今回,この審査をするに当たって東北全体ということで見るのか,それともある程度ここが少ない地域なので,そこをカバーできるような取組という視点で審査をするということになるのか,そのあたりのお考えというのはどのようになっているのでしょうか。
【袖山医学教育課長】  私どもといたしましては,東北全体ということを念頭に置いて,今回のこの基本方針というのを作らせていただいております。そうは申しましても,震災の影響等々,あるいは医師の不足の状況といったようなところについて,東北内でも様々なばらつきというものがあろうかと思いますので,そういった点をどの程度まで勘案していくかというのは,今回の審査においてそれぞれの構想の中で御判断を頂くことだろうと思っております。ただ,基本方針全体としては,飽くまで東北全体というものを念頭に置いた形で整理をさせていただいているものでございます。
【遠藤座長】  よろしゅうございますか。ありがとうございます。
 ほかに御質問ございますか。桐野委員,お願いいたします。
【桐野委員】  必要な条件として幾つかの要件,つまり,普通の医学部の設置と少し違う点が挙げられていて,第1に挙げられるのはやはり震災のことなのですけれども,もちろん震災後いろいろな意味での支援をしなければならないということについて,反対する者はいないと思うのですけれども,一方で,医学部新設による効果が出るのは20年後というようなことがございました。震災後既に3年がたっていて,医学部ができるのは震災後4年,それから,6年後に新しい学生が出てくるとなれば,震災から10年後に学生が出てきて,その後,初期臨床研修制度を終え,専門医研修を終えて15年,そのあたりでほぼ一人前に近くなるということであれば,その頃まで効果がなくて,その後で東北地方だけに固有の課題がどれぐらいあるのかということも,一応考えておかないといけないと思うんですね。
 阪神・淡路のときも復興は大変で,どれぐらいたってからほぼ復興したなという感覚があった,出たかというと,20年ぐらいたったときであったというから,恐らく同じような感じではないかと思うんですね。そういう意味で少しこのタイムスパンの感覚が合わないような感じがするので,この点をどれぐらい留意すればいいのかということについて,つまり,どれぐらい重視すればいいのかということについて少し分かりにくい。それが1点ですね。
 第2点は,地域に医師を供給する仕組みというのは,今,日本には強制力を持ったものはないに近いと思います。地域枠の制度や何かはもっと突き詰めていけば,医学部学校群制度を作るようなもので,本当にうまくそれが作用するかどうか若干の疑問があります。これを突き詰めていくと,1県1大学,医師はその県の大学に行くこと,というようになってしまう可能性があって,一方で大学教育というのはグローバル化しているわけでありますから,どうもその流れと逆行するような感じがして,その点をどの程度重視するのかということがあります。つまり,非常に特殊な大学を作るのか,それともごくスタンダードな基準の医学教育をする大学を1校だけ,今回の災害,震災に鑑みて国として作るということなのかがよく分からない。
 それから,3点目は,東北地方からの医師や,あるいは看護師を確保するということを控えろというようなことが書いてございますが,果たして東北地方に,東北大学のメンバーを入れないで良い大学ができるのかなという点で少し疑問があって,これはどの程度のことを求められているのか,つまり,ある程度数値目標的なこととしてお考えなのかどうかを教えていただきたい。その3点,教えてください。
【遠藤座長】  それでは,今,御質問を伺っているわけですけれども,ただ,御質問の背景には必ず御意見がありますから,当然,御意見と御質問とが混ざった形になります。
ある意味で非常に重要な御質問を頂いていると思います。本来,その案件についてはこの検討会で議論する内容もあると思うのですけれども,一方で,これが出てきた背景の中で今のようなことがどのように考えられていたのかということ,その辺について分かる範囲で教えていただければということだと思いますので,よろしくお願いします。
【袖山医学教育課長】  今,座長にお話を頂きましたように,まさに今,桐野委員から御指摘いただいた点につきましては,この構想審査会の中でどういった点をより重視していくべきかを御議論いただき,その議論の方向性に沿って御審査を頂きたい内容だと思っている次第でございますけれども,そういった震災対応というところで短期的に必要とされるというような事柄が当然ございます一方で,医学部の人材養成という観点からいたしますと,どうしても中長期的な観点で考えなければいけないということが出てまいります。
 そういったところのバランスというところを,この構想の中でどのようにとっているのかということは,非常に大きなポイントであろうと思っております。また,どの程度地域需要というものに着目して,そこに特徴ある大学としようとしているのか,あるいはもう少しスタンダードな大学を作ろうとしているのかということについても,先ほど申し上げました基本方針との関係で,どのように大学は整理をしているかというのは,ポイントになってくるのではないかと考えているところでございます。そういった意味では,我々の方でこういった方向でというよりは,そこの部分については是非御審議,御審査の中で御議論を頂いて,それに基づいて審査していただきたいと考えております。
【遠藤座長】  ありがとうございました。
 桐野委員,何かございますか。
【桐野委員】  いや,実際は1校を選考しないといけないと考えたときに,一番,自分として分からないのは,位置付けのかなりはっきりした特殊な大学を選ぶことが今回は重要なのか,それともごく標準的な意味で医学教育をきちっとできる大学を選ぶのが今回の重要なポイントなのかということです。
【袖山医学教育課長】  先ほど申しましたように,今回の東北地方に医学部を新設する目的というものを示させていただいているところでございますけれども,ある意味非常に理念的な,大きな目的ということで書かせていただいておりますので,その目的を達成するために,どういった大学像というものがふさわしいのかというところが,当然重要になってくるわけでございます。そこで我々が事務方として非常に特殊なものの方がいい,あるいはある意味スタンダードに近いものの方がいいということを申し上げるというよりも,そこの具体的な部分については是非各先生方の御意見の中で審査を頂きたいと思っておりますし,そういった観点の中でどちらをより重視していくべきかについても,本日,またこれからの構想審査会の中で御議論を頂きたいと思っております。
【遠藤座長】  ありがとうございます。したがって,評価の視点を考えるということもこのミッションの一つだということでございます。
 それでは,永井委員,邉見委員の順番でお願いします。
【永井委員】  臨床・教育・研究について評価をするというのは非常に大事なのですが,もう一つ,運営できるのかどうか,財務状況のチェックはどなたかするのでしょうか。この中で行うということなのでしょうか。
【袖山医学教育課長】  もちろん,大きな視点では,この審査の中でしていただきたいと思っておりますけれども,細かい数字等については事務的に当然チェックをいたしまして,その状況等について次回以降の議論の中で御報告を申し上げられるようにさせていただきたいと思っております。
【遠藤座長】  では,よろしくお願いいたします。
 邉見委員,お願いいたします。
【邉見委員】  質問のつもりだったのですが,意見になってしまうかも分かりません。
【遠藤座長】  もう質問も意見も一緒でいきましょう。
【邉見委員】  今,80校の医学部,医科大学がありますね。同じものを81番目として作るのでは余り意味がないので,桐野委員がおっしゃったように,私の意見としてはある程度特殊なものにした方が良いのではないかと思います。産業医大というのがありますが,あちらと同じように特化して,東北の診療に特化するような大学ということで,これはたまたま伴委員が総合診療的な論文を出していただいていますけれども,地域医療とか,今度,専門医制度で出てくる総合診療医とかを育てる大学にした方が良いのではないか。私,新設医大ができるとき,四国に四つの医学部を作るときも委員をしていたのですけれども,これは暴論ですけれども,香川医大は麻酔科,愛媛は病理,それから,高知は放射線など,今,日本の医療で遅れている,少ないところをカバーする医科大学を作ったら良いと。金太郎あめみたいに80も同じ大学を作る必要はありませんと私は申し上げたのですけれども,そういうふうにした方がいいのではないか。そうしないとまた同じミスというか,何にも意味がないという感じになってしまうのではないでしょうか。そういう意見です。
【遠藤座長】  御意見として承りまして,今後の議論の中でまた発展させていければと思います。
 それでは,津田委員,お願いいたします。
【津田委員】  津田でございます。資料3-2の留意点,必要な条件整備の第1点に,震災後の東北地方の地域医療ニーズに対応したとありますが,この「地域医療ニーズ」は,どこから発したニーズでしょうか。外部から見てこういうことが必要ではないかというニーズなのか,それとも東北地方の住民ないしは地方に在る大学や基幹病院等が是非この地域にこういうものが欲しいとして上がってきたニーズと捉えればよいのでしょうか。
 ここに書いてある総合診療,在宅医療,チーム医療,災害医療は,何も東北地方に特殊なことではなく,今,日本に求められている,どの大学にも求められているニーズと思います。そうすると,1点,放射線に関わる住民に対してであれば,それは東北地方から来たニーズかなと思われます。外部から見てなのか,東北地方から発されたニーズかを明確にしていただけると有り難いです。
【遠藤座長】  では,事務局,お願いいたします。
【袖山医学教育課長】  今の点につきましては,両方の観点があると思っております。具体的には資料の中にもございますように,今回の医学部の新設に関わりまして東北の各自治体等から要望等がございました。その中でこういった医療のニーズがあるといったようなことが示されているところもございますし,当然,それぞれの大学の申請,構想の中にも,どういったニーズに対応すべきかが記されてきているところでございます。当然,そういったところは参考にしていくべきかと思いますけれども,一方で,東北地方が置かれている客観的な医療状況というようなところも踏まえていく必要があると思っております。今日,その一部のデータ等をお示しさせていただいたところでございます。そういったところを総合的に御勘案いただきまして,御判断を頂きたいと思っております。
【遠藤座長】  ありがとうございます。
 伴委員,どうぞ。
【伴委員】  医学教育学会の伴でございます。先ほど邉見委員が少し触れられましたので,机上配布してある資料の説明を一部兼ねて,意見としてお話しさせていただきます。先ほど桐野委員のおっしゃった特殊か,スタンダードな医学部かという意味では,先ほど邉見委員がおっしゃいましたけれども,かなり特殊な医科大学を新設するという考えが大事なのではないかなと私は思っています。
 私,日本の医学全体だけではなく,世界の医学教育の状況を見ていると,サイエンスベースドな医学教育が,1910年のフレックスナーレポートというアメリカでの報告から段々現在のスタンダードになって,日本でもそれに準じた教育をしてきて医学部がそれなりにきちっとしたスタンダードを確保できていると思います。しかし,先ほどからお話に出ていますように,三十数年間,新設がないものですから,ある程度確固としたシステムができあがっていて,新たな変化に対応した構造改革をしようと思ってもなかなかできないという状況があると思います。そうしていくうちに地域にジェネラルに診療できる医師というものが来られなく,あるいは派遣できなくなってきたというのがこの十数年顕在化してきて,医師の偏在とか,あるいは総合診療の新たな専門性の確立とかという話になってきて,それで東北などでかなり顕著に出てきているということであろうと思います。
 それで,お手元にある資料はカナダのNorthern Ontario School of Medicine(ノーザン・オンタリオ・スクール・オブ・メディシン)というオンタリオ州の大学で,南の方には医学教育で有名なマックマスター大学などがある州ですけれども,北の方は非常に医師不足であるというところに,カナダも30年ぐらい医学部の新設がなかったところで新設をしたという大学です。そこの経緯が大体書いてあるのですけれども,2002年にそこの医学部構想が始まって,2005年に開学して,そして学生を56人採って,今,1学年の学生数が64人ということです。
 そこに行ったのはオーストラリアで地域医療を非常に熱心にやっていたGP(総合診療医)で,学長としてヘッドハンティングされて,2002年から始めた大学なのです。詳細は省きますけれども,結局,地域の医学部としてかなり地域医療,あるいは総合的な学部教育,あるいは卒後教育というようなことを展開して,今年2014年ですけれども,ロージャー・ストラッサーというこの学長の下で十数年,このノーザン・オンタリオ・スクール・オブ・メディシンをやっているということで,一つの成功例としてカナダでは認識されています。この大学をきっかけに,カナダではソーシャル・レスポンシビリティ,つまり社会的責任ということを医学部の理念の中に必ず,全ての大学が掲げて教育に取り組むということになっているということがありますので,今回,もし東北でそういうふうな医学部の新設をされるということであれば,これまでの日本の80医科大学の中でまだ十分に展開されていないようなことで,新たに先頭に立って旗を振れるような医科大学になれる可能性があるのではないかと思います。あるいは,それはひいては国際的な多職種連携とか,地域にどういうふうなヘルスケアネットワークを構築するかということも発信できるような医科大学になれるということなので,いわゆる"Think globally,act locally"の典型になれるような医科大学,その意味では今までにはない形の,自治医大は全国をベースにした大学としては一つ非常に特徴のある大学だと思いますけれども,更にその発展形みたいなものになるべきではないかなと思います。
【遠藤座長】  どうもありがとうございました。
 ほかに御意見ございますでしょうか。小山委員,お願いいたします。
【小山委員】  小山です。資料3-2の方針のところ,2ページ目の,ここの留意点が一番大事だと思うのですけれども,その中の,特に私などが気になるのが2番,3番のところです。ほかから引き抜きをしないということなのですけれども,この辺りの一つ判定基準というのでしょうか,こういうのは引き抜きになるとか,こういうのは引き抜きにならないとかという,もし判定の基準になるようなものがあったら是非お示ししていただきたいと思います。
 それからもう一つは3番のところで,先ほど邉見委員もおっしゃっていましたけれども,今現在の地域枠をやっている東北地方の大学の現状を知りたいということだったのですけれども,更にその中身で,各大学が地域に残すためにどのような施策を講じているのかということも併せて教えていただければと思います。その結果どうだったのかというところも是非見せていただきたいと思います。やはり一番大事なのは,その人たちがその地域に残ってくれることだと考えますので,参考になる資料になりますので,是非その内容についてもお知らせいただければと思います。よろしくお願いします。
 以上です。
【遠藤座長】  どうもありがとうございます。
 ほかの委員の御意見にかぶせていただいても結構ですので,山口委員,どうぞ。
【山口委員】  先ほど特殊な大学にすべきではないかとおっしゃった邉見委員と伴委員にイメージをお聞きしたいのですけれども,今回,この資料3-2の2ページの留意点を見てみますと,震災後の東北地方のニーズというふうに限定をされています。この震災後のニーズというのが一体いつまで続くのかということによっては,その特殊性ということが変わってくるのかなという気がするのですけれども,震災後のニーズを満たしながら継続性のある特殊性というのが,どういうイメージなのかなというのが,今,具体的にイメージできなくてお尋ねしました。
 というのも,大学を一度設置するとずっと継続するわけで,そうしますと,毎年毎年学生さんが入学してくるわけです。例えばさっき邉見委員がおっしゃった放射線に特化するとか,病理に特化するということになれば,そこでのニーズがなくなったときでも別のところで活躍することができると思うのですけれども,震災後のニーズというふうに限定をされてしまいますと,そのニーズというものがなくなったときに一体そこの大学の持つ役割がどうなるのだろうかと。やはり入学してくる学生さんがいるということは,その学生の将来や,人権ということになるのでしょうか,そういうことも考えて作らないといけないと思うのですけれども,そういう意味での特殊性ということについて,少しお2人にイメージを教えていただきたいと思います。
【遠藤座長】  では,邉見委員,お願いいたします。
【邉見委員】  言い方が下手で誤解を招いたと思うのですが,新設医大を作るときにはそういう麻酔,放射線,病理など,今も足りませんけれども,特定の大学が何をということではなく,あのときは何十も医学部ができましたから,せっかくなのでどこでもいいからある程度特色のあるものを作った方が良いのではないかと私は思ったんですね。ところが,地元の住民とか,いろいろな要求で,同じような大学が同じようにできてしまったわけです。今回は,私,これまでと同じものを作っても恐らく東北に残らないだろうと思うのです。
 それは憲法に違反しているとか,奨学金を返すとか,いろいろなことで,今と同じことが起こってしまうだけだと思いますので,できるだけ地域に残るようにという意味で,特殊な大学にしたらよいと思うのです。今の専門医制というのはどちらかというと大都市で,患者さんが多いところで早く専門医が取れますね。たくさん症例を集めますし,いろいろな経験ができますから。だから,総合診療医といういろいろなものが見えるというもの,そういうものが東北に合致しているのではないかと思います。今,伴委員がお示しになったような,地域で学ぶことで地域に残る可能性が高くなるように,また,総合診療医というのは今度19番目の専門医になりますので,時期もちょうど良いかと思いました。
 最終的にはどんないい勉強をしていても東北の人たちに還元するという目的でなければ,今回の設置基準には合わないわけですね。東北に残ったらどんな医者でもいいわけです。残らなかったらゼロですから,残ったら1でもプラスにはなるわけですね。そうしないと,せっかく作って一生懸命教えても,東京へ行って美容外科になってしまったら,東北の人たちは何も報われないわけです。そういう地方が東北だけでなく全国に今あるわけですね。国民健康保険代を払っているのに医療が受けられないという人がいっぱいいるわけです。東北,あのような大震災に遭って,更に医療も受けられないというのを防ごうということでこの大学ができようとしているのであれば,その特殊というのは,東北に残りやすい特殊,そういう意味です。
【山口委員】  分かりました。
【遠藤座長】  伴委員,どうぞ。
【伴委員】  私が特殊というのは,今の80大学でスタンダードに行われているような医学教育から見ると,かなり変わっているなという教え方をするという意味で特殊と言っていまして,例えば1年目から地域に出ていって,まず地域でのいろいろな住民と触れ合うということを,例えばこのカナダの医学部などでは1か月とっていますけれども,日本の場合ですと,もっと教育期間が長いですから,3か月,4か月というふうに1年目から地域に行って,様々な学びを地域で行うというように,いろいろアイディアがあると思いますね。それで,臨床実習の仕方も大体日本では大学病院を中心にして専門の科について研修していくという形ですけれども,東北である程度小規模の病院になれば,内科とか,外科とか,余り専門化していないところでまとめて学ぶということもできるでしょうし,卒後臨床研修も一体にした計画をするということにすれば,更にそれは長い期間,地域に愛着を持って,地域で働くことに喜びを見いだすみたいな学生を育てることができると思うのですね。
 そうすると,先ほどからも問題になっている,外から意欲があると思ってきたけれどもやっぱり帰るという傾向があります,というエビデンスもありますので,できるだけ近くの地域から採用して,卒前の教育から地域でできるだけ臨床実習などに参加して,そして卒後臨床研修も地域でやる。これは総合診療の専門医を作るというわけでは必ずしもなくて,そこから育っていく内科医,外科医,産婦人科医というふうな人たちが喜んで地域に出ていくというふうな人材育成という意味で,今まではそこまで徹底してやっているのは自治医大が全国規模でありますけれども,それぞれの教育は,それぞれの自治体がある程度責任を持ってやっていて,あるいは卒前,卒後で分断されているんですね。そうではなくて,もっと継続性のあるようなカリキュラムというものが実現できるのではないかなと思います。
【遠藤座長】  ありがとうございます。
 山口委員,よろしいですか。
【山口委員】  はい。地域に残るということを一番中心にして,地域を活用した教育というように受け止めましたけれども,それであれば他の地域もきっとそういう医師が欲しいでしょうから,東北地方だけに限定的ではないのかなという点が,難しいと感じながら拝聴いたしました。
【遠藤座長】  私が伺っておりまして,山口委員がおっしゃるのは東北の特有,固有のニーズがあって,そのニーズに直接応えるような医療機関,医育機関を作るというような視点を重視したいということだと思うわけですけれども,伴委員のおっしゃっているのは,世の中のニーズが変わっているにもかかわらず,昔からの医育機関ではなかなかできないので,これを機会にそういう新しいものを作る。しかも,それはある程度,東北の地域ニーズと合致する部分があるだろうと,こういうことでございますね。邉見委員がその中間ぐらいのところにおられる。そんなふうにして承ったわけなのですけれども,そういう視点の議論だということだと思います。
【山口委員】  分かりました。
【遠藤座長】  ほかにございますか。では,医学教育課長,どうぞ。
【袖山医学教育課長】  小山委員の御質問の件でございますけれども,まず,2についてのメルクマールという話でございますけれども,なかなか明確には難しいのでございますけれども,本日お配りの資料5-1,審査の観点例というところで書かせていただいております3ページでございますが,(3)の2のところで,これは応募要領の方に書かせていただいて各大学がこれに沿って応募してきている内容を,審査の観点という形でも書かせていただいているのですけれども,その中で大きく教員や附属病院の医師,看護師等医療関係職の採用方法に関する工夫と確保の見通し,こういったものがきちんと示されているかどうかということとさせていただいております。
 具体的な例といたしまして,例えばグループ内の病院からの配置換えにより医師を確保する場合であっても,どの地域からどのように補充するかという方法が具体的に示されているか。例えばドイツの病院グループを持っているので,その病院グループ内から補充するので地域要員に影響がないというような御説明だったとしても,その病院グループの方の後補充というところで地域から医師を持ってくるということになってしまうと,やはり大きな観点で見ると影響があるというようなことも想定されますので,そういったところまで目配りがされているかどうかといったようなことでございます。
 また,教員や医師,看護師等の医療関係職の確保について,大学,学会,病院,団体等との連携や協定が結ばれているかというようなこと,さらには円滑な教員,医師,看護師等の医療関係職の確保に関する取組について具体的な内容が示されているかどうかというようなことを,一つのメルクマール,観点として掲げさせていただいております。ただし,この教員の確保につきましては,現段階ではあくまでも構想ということで,これからどのように取り組むかということが示されているのみでございまして,現段階では各応募者とも具体的に教員の確保のための動きをしているわけではございません。
 したがいまして,今後,1校選ばれた段階で,この構想で示された内容がきちんとそのとおりにできているかということについては,今後の設置審査の段階や,あるいは場合によってはこの構想審査会で確認を頂くような段取りの中で,しっかりと確認をしていく必要があると思っております。
【遠藤座長】  ありがとうございます。
【邉見委員】  よろしいですか。
【遠藤座長】  はい。邉見委員,どうぞ。
【邉見委員】  資料3-1の6ページですけれども,留意点というところの4です。将来の医師需給等に対応して定員を調整する仕組みを講じること。実は私,医師が過剰になるということで,医師を削減しようという委員会にも出ていたんです。そのときに,国公立大学は10%定員を減らしなさい,私立は経営の観点から見て5%が限度である,それ以上減らすと経営が成り立たない,ということがあったんですね。そうしたら,将来ですから分かりませんけれども,私立のところは経営が成り立たなくなるので調整できないのではないでしょうか。今,三つ出ていますけれども,私立が二つですね。だから,この4番目があると一つに決まってしまうのではないですか。
【遠藤座長】  医学教育課長,どうぞ。
【袖山医学教育課長】  現在の医学部定員につきましては,先ほどの資料にもございましたように,資料3-1で言いますと5ページでございますけれども,昭和57年以降抑制をしてまいりまして,そこで若干減らした段階で,今,邉見委員がおっしゃったような形での削減が行われた状況でございますが,平成20年以降に医学部定員を増やしてきておりまして,この増員部分については,臨時定員という形で期限を切った形で増やしているという状況でございます。したがいまして,期限が来ますと,そのまま何らかの措置をしなければ通常の定員に戻るという仕組みでございます。そういった形にするのがいいかどうかというのはこれからの議論でございますので,期限が来たら直ちに全部元に戻るかどうかというのは,まだ決まってはいないわけでございますけれども,あくまでも臨時定員という形で定員を増やしています。
 そういった状況がある中で,新しく作る医学部についてのみ,例えば同じような人数を全部恒常定員というふうにしてしまいますと,ほかの大学とのバランスがとれなくなってくる可能性がありますので,その点にも配慮していただいて,例えば定員の一部を臨時定員にするといったような配意をしていただきたいという趣旨で,この規定を留意点として設けさせていただいたということでございます。今回の応募でございますけれども,私立大学の2校については,そのような観点を踏まえて,定員の一部を臨時定員にするというような形で応募いただいているところでございます。
【遠藤座長】  ありがとうございます。
 先ほど永井委員から財務の話も出ましたけれども,財務については少し整理をした形でいろいろと資料を出していただいた方が,ここでの議論はしやすいのかなと思うわけであります。ここで財務分析を我々委員がやるといっても,専門家ではございませんので,その辺りはよろしくお願いしたい。それと絡みまして,例えば今の臨時定員の話ですけれども,臨時定員分をなくした場合にどのぐらいの学費の納入になって,経営にどう影響を及ぼすかというシミュレーションについては,提出資料の中に入っているんですか。
【小野医学教育課課長補佐】  各応募者から当面の見通しというのは立てていただいてはいますけれども,先ほど課長から申し上げたように,これまでの臨時定員は期限がいつということが明確に決まっておりましたが,今回出されている臨時定員として設定されているものは,必ずしも平成何年でカチッと切るという形になっていないので,シミュレーションに反映されていない部分もあると思います。その辺りも含めて必要があれば,我々の方を通じて各応募者の方から取り寄せることはできると思います。
【遠藤座長】  邉見委員の御質問の趣旨はそうだったということだと思いますので。
【邉見委員】  そうです。
【遠藤座長】  どこまで出せるかもありましょうけれども,そういう問題意識があるということについて,お記憶いただければと思います。
 ほかにございますか。桐野委員,どうぞ。
【桐野委員】  総合診療医のことが話題になったのですけれども,確かに高齢者医療のニーズが爆発的に増えますから,総合診療医はどうしても相当な数必要になると思うのですけれども,第一に総合診療医は大学の学士課程,つまり,6年間で養成するべきものなのか,それとも初期臨床研修を終わった以降に総合診療医と専門医のコースが分離するべきものなのかは,まだ日本でどうもその辺がよくはっきりしていないし,専門医の議論でもまだそこが固まっていないように思うんですね。
 だから,今の日本の普通の大学で,大学で主に養成すると言い出したら,これは人数の意味でどうしても専門医の方に負けてしまうんですね。やはり総合診療医の必要性とそのアイデンティティをよほど高めるような努力をしていかない限り,総合診療医には流れていかないと思います。もちろん総合診療医はそれなりに独立した,言ってみれば誇りを持てる立派な専門の医師であるということについては,欧米の経験ではよく分かっていても,日本ではなかなかそこに流れていかない。
 それから,二つ目は,高齢者医療のニーズが今後爆発するのは,むしろ大都市部です。だから,地域包括ケアというような仕組みが最も必要とされているのは大都市部であって,そこの問題が解決していない。だから,医師不足問題は,もちろん深刻な東北の問題であるかもしれないけれども,全然そこだけではないということも一応念頭に置いておかないと,議論が東北だけの問題のようになってしまう感じがします。
【遠藤座長】  ありがとうございます。
 一応,我々,東北の大学を作るという議論でありますから,どこまでその射程を広げて議論していくべきなのかというようなところも一つ重要な視点かなと思いますので,また御検討いただければと思います。
 ほかにございますか。伴委員,どうぞ。
【伴委員】  今,桐野委員が質問のようなニュアンスもあったかなと思いますので申し上げますと,卒前教育と卒後初期の2年間の教育というのは,別に総合診療医を育成する教育ではないと思うんですね。ただ,そこでの教育の仕方が,伝統的に日本ではそれぞれの専門科で教育を受けて,ずっとローテーションしながら教育を受けていって全体の臨床能力の形を作るということがほとんどスタンダードになっているものですから,その辺のところを,各科に回りながら学ぶのではなくて,例えば地域の200床,300床,あるいは100床,あるいは診療所というところで学びながら,基本的な臨床能力のアウトカム,目標は一緒でありながら,そのプロセスを違う形にして,地域へのアフィニティー,親近感も同時に獲得していくという学び方を,やっぱりこういうふうな新しい構想の大学だといろいろ作りやすいのではないかなと思いますし,また,地域的環境もそのような受入先というものもかなりバラエティーに富んだところが考えられるのではないかと思います。だけど,オールジャパンで考えると大きな問題は都市にあるというのは全く桐野委員のおっしゃるとおりだと思います。
【遠藤座長】  どうもありがとうございました。
 ほかに何か御意見ありますか。当面はこの留意点の1から4というところ,これらがどの程度担保されるのかというところと,そもそもどういう基準で1から4を評価するかということも今までの議論の中であるわけでありますので,これは実際の提出されている資料を精査しながら,また検討していかなければいけないことだと思います。事務局におかれましては,できるだけここでの議論がしやすいような形で資料等も整理していただければと思います。
 それから,既に提出資料等々は委員の皆様,お目を通されていると思いますけれども,この必要な条件整備というのが1から4に出ておりますので,それぞれの申請者はそれに対応するべくきちっと書いているわけですが,私の印象ではおおむね余り大差はないなというようなところと,あと細かい部分がよく分からないというところがあるのかなという印象です。それにつきましては,先ほど事務局の方からお話がありましたように,次回,応募者からのヒアリングがありますので,我々がこの議論をしていく過程において必要だと思われること,これではよく分からないので追加情報を提供してもらいたいとか,そのようなことにつきましては,事務局の方にお知らせいただければ,事務局を経由して申請者の方から対応したデータが出てくるということになるかと思いますので,それを是非していただければと思います。
ただいま私が申し上げましたことに関連しても結構ですし,そうでない運営の仕方,今後の運営の仕方に関して何か御意見はございますか。
【邉見委員】  よろしいですか。
【遠藤座長】  はい。邉見委員,どうぞ。
【邉見委員】  資料4-2の2ページ目,先ほど非公開は何のためにとおっしゃいましたか。この卒業後の(3),右上のところの非公開箇所について。
【小野医学教育課課長補佐】  先ほどの資料4-2で非公開となっているのが赤字の部分,2ページ,4ページにございます。なお,今回のこのポンチ絵の中で非公開部分はここだけですが,先生方のお手元にお配りしている構想応募書の特に資料部分につきましては,それぞれの応募者からこの箇所については非公開にしてくださいというものが付いています。その理由を一つ一つ全部明示しておりませんでしたけれども,相手のある話の場合には,その相手先がここの構想でこういう役割を果たすということについて,委員にお出しする書類の中には入れてもかまわないが,まだ世間一般に公表するものの中には入れないでほしいという意向が相手先からあった場合に,各応募者からここは非公開にしてほしいというお話が出てきたところでございます。
【邉見委員】  ありがとうございました。分かりました。
【遠藤座長】  ほかに何か御意見ございますか。それでは,泉委員,どうぞ。
【泉委員】  東北6県で重要な大学を作るということですが,その六つの地方行政,地方自治の方は,もう既に連携されているのでしょうか。どういう考えといいますか,もう全て納得されたり,賛成されたり,あるいは経営とか財政的なことで,もう既に連携のようなものが何かしらあるのか,それとも逆に,そのように行政などとうまくやっていけなければ,やはり構想から外れるという考えでよろしいのでしょうか。
【遠藤座長】  事務局,どうぞ。
【袖山医学教育課長】  今回の構想を提示している大学,もちろん県もあるわけでございますので,そういった中で自治体等との関係については,それぞれの応募者によって状況の違いというものがあると思っております。東北の県,それぞれの県が一枚岩で全部同じ方向で同じことを考えているというわけではないと思っておりますし,市町村等もそれは同様であると思っております。そういった状況も踏まえまして,特にこの震災等の影響の大きい3県,宮城を除く岩手,福島からは個別に御意見をお伺いしたいということで,ヒアリングの対象にも加えさせていただいておりまして,それぞれ個別に御意見をいただければと思っているところでございます。
【遠藤座長】  ありがとうございます。
 第3回で関係自治体等からの意見聴取をいたしますので,その中で明らかにしていく。あるいは事前にそういう問題意識がおありになれば,事務局を通してこういうことを聞きたいのだけれどもということをお伝えいただければ,先方がそれを用意してくださると思いますので,そのような御対応をお願いできればと思います。
 先ほど非公開の話が出たわけでありますけれども,今後の進め方ということで,そちらの方へ移ってよろしゅうございますか。第2回は応募者からのヒアリングをする,第3回は自治体も含めた関係者からヒアリングをするということが事務局から説明がございましたけれども,第2回,第3回につきましては,公開されることによりまして応募者であるとか,その関係者の利益を害する情報が含まれる可能性があるということと,また,審議中の情報が公開されることによって,委員及び関係者のかったつな議論が阻害される可能性がなきにしもあらずだと思いますので,非公開で行うということを考えておりますけれども,いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【遠藤座長】  よろしゅうございますか。では,2回,3回につきましては非公開とさせていただきたいと思います。それと,繰り返しになりますけれども,追加の資料,あるいは申請者に対する御質問,事務局に対する追加資料,あるいは第3回で予定されておりますヒアリングに対する要望,こういったものについて何かあれば事務局にメールで御連絡いただきたいと思います。全てに対応できるかどうか分かりませんけれども,事務局に精いっぱい努力をしていただけると信じておりますので,よろしくお願いいたします。
【伴委員】  よろしいですか。
【遠藤座長】  はい。どうぞ,伴委員。
【伴委員】  伴でございます。2回目は確かに非公開の方がいいのではないかなと思うのですが,3回目の自治体とか,関連の大学とかいうところも非公開にした方がよろしいのでしょうか。私は公開でもいいのではないかなと思ったので,質問させていただきました。
【遠藤座長】  なるほど。どういう議論がされるかによるかなと思ったわけですけれども,いかがですか,ほかの委員の皆様。第3回で議論される上で公開すると問題になるようなところというのはどういうところですかね。それはやってみないと分からないというところがあって,それがあるゆえに自由かったつな本音の議論ができないということがあり得るだろうということで非公開にと申し上げたわけです。その場合の問題というのは,基本的に透明性が欠落するのではないかという御懸念だと思うわけですので,議論の中身については最終的にどういう形か分かりませんけれども,整理をした形で,何らかの形で公開をする。事後的な公開でそれを代替するということはあり得る話であります。ほかにも非公開でやる審議会というのもありますので,そういう対応でよろしいかと思いますがいかがでしょうか。
【小山委員】  ナイーブな部分がありますからね。
【遠藤座長】  はい。では,そういう対応でよろしゅうございますか。では,3回も非公開ということにさせていただきます。
【小山委員】  よろしいですか。
【遠藤座長】  はい。どうぞ。
【小山委員】  意見聴取を行う団体の1番のところ,東北地方の自治体が三つですけれども,これは,三つしか来ないのでしょうか。
【遠藤座長】  事務局,どうぞ。
【小野医学教育課課長補佐】  案として三つ入れておりますけれども,岩手県と福島県は県という単位ですけれども,東北市長会は市町村の御意見をどういう伺い方をしたらいいかも含めて当該団体にお願いしようと思います。つまり,そうしますと,複数の市の方がおいでになるということも,市長会の御判断であり得るかとは思います。
【遠藤座長】  何か御意見ございますか。
【小山委員】  関与するところという意味では福島県が入っているけれども,宮城県が入っていないというところも少し気になるし,なぜ岩手県だけで青森県,秋田県が外れているのか,何か特別な判定基準があって決められるのだったらばよろしいのですけれども,これでよろしいのかどうかの確認です。
【遠藤座長】  具体的に宮城県がないではないかということについては。
【袖山医学教育課長】  宮城県は応募者でございますので,第2回のヒアリングの際においでいただきます。それから,時間の関係もございまして,主に被災3県というふうに言われている福島県,岩手県においでいただければいかがかなということで御提案させていただいたところでございますけれども,それ以外の東北3県にも声を掛けた方が良いという御判断であれば,そのようにさせていただきます。ただ,時間的な制約とか,あるいは今回のこの医学部新設に関する関心の濃淡とか,そういったところも含めまして,今のところこのような対象とさせていただいているということでございます。
【小山委員】  分かりました。決してあちこち呼べという話ではございませんので。
【遠藤座長】  ありがとうございます。
 ほかに何か。何でも結構でございます。よろしいでしょうか。それでは,大体議論としてはこの辺りということでよろしゅうございますか。それでは,本日,各委員から御意見を出されておりますので,特に審査の観点の問題,あるいは財務諸表の扱いの問題,幾つか具体的な御質問も出ていたかと思いますので,事務局におかれましては,それを反映した形で次回以降の議論に有益になるような形の資料を提出していただければと思います。よろしくお願いいたします。
 それから,先ほど申し上げたことの繰り返しになりますけれども,次回応募者からのヒアリングが予定されておりますので,短い時間でできるだけ有効に機能するように,委員の皆様におかれましては,応募者に対する質問事項,追加資料の要求等をあらかじめ事務局に対してお送りいただければ,事務局を通じて先方に伝わりますので,どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは,最後に事務局から今後の日程等についての連絡をお願いしたいと思います。どうぞ。
【小野医学教育課課長補佐】  すみません,御紹介が遅れましたが,岸委員から本日は御欠席されるということで御連絡を頂いておりました。失礼いたしました。
第2回の構想審査会につきましては,7月4日,金曜日,17時からとさせていただきます。詳細につきましては,追って御連絡をさせていただきたいと思っております。座長からもお話しいただきましたとおり,応募者ヒアリングに向けた質問事項,追加資料の要求事項等につきましては,応募者の作業時間を考慮しまして6月20日,金曜日,12時を一旦の締切りとさせていただければと思っております。なお,併せまして事務局に対する資料の要求,質問等もいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【遠藤座長】  ありがとうございます。
 質問を作成する時間が短くて恐縮でございますけれども,先方がそれに対する答えを書く時間も必要なものですから,御理解のほどよろしくお願いいたします。それでは,第1回の会議,これにて終了したいと思います。本日は皆様,どうもありがとうございました。これにて終了いたします。

── 了 ──

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-- 登録:平成26年07月 --