国立大学法人・大学共同利用機関法人の平成29年度に係る業務の実績に関する評価について(所見)

平成30年11月20日
国立大学法人評価委員会


    この度、国立大学法人評価委員会は国立大学法人及び大学共同利用機関法人の平成29年度に係る業務の実績に関する評価を行いました。現在、国立大学法人等に対しては、確かなコスト意識と戦略的な資源配分を前提とした経営的視点を持ち、各学長等がリーダーシップを発揮して構築した将来ビジョンに基づき、法人としての経営力を強化していくことが強く求められており、各法人等もこの認識に立って様々な創意工夫を展開しています。

  一方で、平成29年度においては、国立大学法人等全体として取組が求められている情報セキュリティインシデントへの対応については、セキュリティ対策の強化や体制の整備、構成員に対する情報セキュリティ教育の徹底など、全体としては着実な改善がみられるものの、複数の法人において入学者選抜における出題・採点等業務上のミスが発生するなど、課題が見受けられたところです。この中には、複数回にわたる外部からの指摘に組織として適時適切に対応できず、受験生等へ負担を強いることとなるなど、国立大学法人に対する国民の信頼を損なう事例も含まれています。各法人においては、入学者選抜におけるミスに限らず、業務運営上生じ得るリスクを的確に把握し、組織として求められる事前防止と事後対策の取組を遺漏なく実施していただくよう、改めて強く求めます。

  平成29年度評価結果においては、自らの強みや社会的要請を踏まえた特色ある組織設置を契機として、自治体・企業等との連携を強化し、教育研究の更なる質の向上に加えて財務基盤の強化も図る事例や、地域社会の核として、受け入れた寄附の効果を大学だけにとどめず、地域社会の活性化や課題の解決に活用する事例等、それぞれの法人が求められる社会的役割を認識しつつ、経営力の強化に取り組む姿勢が伺えます。
   さらに、国立大学法人法の一部改正により新たに規制緩和された「土地の有効活用」や「寄附金等を原資とする余裕金の運用」を積極的に活用し、財務基盤の一層の強化に向けて取組を開始した法人も見られます。
  各法人におかれては、国民に支えられる国立大学法人等として、今回の評価結果における他法人の事例も参考としながら、持続的な競争力を持ち、さらに高い付加価値を生み出す組織への転換に向けて、引き続き御尽力いただくようお願いします。

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高等教育局国立大学法人支援課国立大学戦略室

(高等教育局国立大学法人支援課国立大学戦略室)