国立大学法人・大学共同利用機関法人の平成28年度に係る業務の実績に関する評価について(所見)

平成29年11月21日
国立大学法人評価委員会


【北山国立大学法人評価委員会委員長】

   この度、国立大学法人評価委員会は国立大学法人及び大学共同利用機関法人の平成28年度に係る業務の実績に関する評価を行いました。平成28年度評価の結果においては、多様な寄附金受入方策の実施や産学連携活動による収入の増等、自己収入・外部資金の更なる獲得に向けた多様な工夫や、評価結果やデータを活用した法人運営の推進等が見られ、第3期中期目標期間の初年度として、経営力の強化に取り組む姿勢がうかがえます。各法人におかれては、国民に支えられる国立大学法人等として、これまでの成果を生かしつつ、今回の評価結果における他法人の事例も参考としながら、持続的な競争力を持ち、更に高い付加価値を生み出す組織への転換に向けて、引き続き御尽力いただくようお願いします。

   一方で、昨今、国立大学法人等において、情報セキュリティインシデントの発生が急増するとともに、その被害も甚大化する傾向が見られており、今回の評価でも複数の法人において課題が見受けられたところです。既に各法人においては情報セキュリティ対策の強化が進められていますが、公共性の高い国立大学法人等において、情報セキュリティ対策は社会的に求められる経営上の重要課題との認識の下、引き続き強化に取り組んでいただくよう求めます。

   また、研究活動における不正行為についても、今回の評価で複数の法人において課題が見受けられました。各法人においては、「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」(平成26年8月26日文部科学大臣決定)を踏まえ、組織として求められる事前防止と事後対策の取組を遺漏なく実施していただくよう、改めて強く求めます。


【奥野国立大学法人分科会長】

   国立大学法人分科会における議論では、これまでに実施してきた改革の具体的な成果が表れてきた法人や、重大な改善事項について真摯に改善に取り組み、これを契機として新たな取組を進めつつある法人の状況が報告されており、国立大学改革は着実に推進されていると感じています。この歩みを止めることなく、更なる改革を進めていただくことを期待します。

   一方で、評価に際しては、年度計画の記載事項ごとに計画設定の妥当性も含めて総合的に検証を行っています。各法人におかれては、年度計画の設定に当たって、その妥当性に引き続き留意するとともに、年度計画において目指す成果を達成するためにどのような取組を実施していくのかをあらかじめ具体的に想定し、可能な範囲でそれを盛り込む形で計画を作成していただくようお願いします。


【稲永大学共同利用機関法人分科会長】

   大学共同利用機関法人分科会における議論を通じて、大学共同利用機関法人は我が国の学術研究の発展の中核を担う共同利用・共同研究体制の中で重要な位置を占めており、機構長のリーダーシップの下、機能強化の取組が着実に推進されていると感じています。

   一方で、限られた予算及び人員の中で、より一層その役割を果たすためには、運営の効率化を図り、これにより生み出される人的資源等を用いて、その基盤を強化することが重要です。このような観点から、4つの大学共同利用機関法人がより一層の連携・協力を図ることにより、異分野融合・新分野創成の促進、貢献の可視化、広報活動の充実等の取組を進めていくことが必要です。また、国公私立大学のみならず産業界との連携も含め、共同利用・共同研究を一層推進していただくようお願いします。

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高等教育局国立大学法人支援課国立大学戦略室

(高等教育局国立大学法人支援課国立大学戦略室)