国立大学法人鹿屋体育大学の平成21年度に係る業務の実績に関する評価結果

1 全体評価

 鹿屋体育大学は、国立大学唯一の体育大学として、国民各層のスポーツへの多様なニーズに応える教育・研究組織を柔軟に編制し、スポーツを通して創造性とバイタリティに富む有為の人材を輩出するとともに、明るく豊かで活力に満ちた社会の形成に貢献することを基本目標とした取組を行っている。
 業務運営については、教員の業績評価を本格実施し、その評価結果を教育研究経費の傾斜配分に活用するほか、勤勉手当及び昇給に反映しており、評価できる。
 財務内容については、平成20年度の評価委員会の評価結果を踏まえ、受託研究及び共同研究の増加に向けて、産学官連携推進会議や南九州発新技術説明会への参加・出展、東京サテライトキャンパスでの広報や地元企業へのアプローチ等に取り組んでおり、引き続き、受入件数の増加に向けた計画的な取り組みが期待される。
 自己点検・評価及び情報提供については、東京サテライトキャンパスを核とした首都圏での情報発信手段について検討を行い、文京区との共催で公開講座の広報を行っている。
 その他業務運営については、施設整備マスタープランに基づき、総合体育館外部建具改修等を行い、競技環境の安全の確保と施設機能の向上を図っている。
 教育研究等の質の向上については、首都圏におけるスポーツ・健康関係の社会人やスポーツ選手へのキャリアアップ教育を行う大学院体育学研究科修士課程(体育学専攻)を開設している。また、子供から老人までの生活フィットネスアップのプログラム(貯筋プログラム)を作成し、プロジェクトを地域の高齢者を対象に始動しており、今後の取組が期待される。

2 項目別評価

1.業務運営・財務内容等の状況

(1)業務運営の改善及び効率化に関する目標

1.運営体制の改善、2.教育研究組織の見直し、3.人事の適正化、4.事務等の効率化・合理化

平成21年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

○ 教員の業績評価について、評価結果を教育研究経費の傾斜配分に活用するほか、平成21年6月期の勤勉手当から反映しており、評価できる。

○ 事務系職員の人事について、「人事制度改革等に関するアクションプラン」に基づく実行計画項目達成のための具体的方策を取りまとめ、今後は、これに基づき職員研修、人事評価、キャリアパス等を行うこととしている。

○ 経営協議会の学外委員から出された法人運営に関する意見等、また、実際の改善への対応状況をウェブサイトで公表している。

○ 経営協議会の審議内容は、大学のウェブサイトに議事録を掲載することにより社会に広く公表している。

【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて特筆すべき進捗状況にある

(理由)年度計画の記載18事項すべてが「年度計画を上回って実施している」又は「年度計画を十分に実施している」と認められるほか、教員の業績評価を実施し、評価結果を処遇へ反映させる取組が行われていること等を総合的に勘案したことによる。

(2)財務内容の改善に関する目標

1.外部研究資金その他の自己収入の増加、2.経費の抑制、3.資産の運用管理の改善

平成21年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

○ 大学名称やエンブレム等の登録商標について、適正な取扱い等に係る事項を定めた「登録商標の管理及び使用に関する細則」等を制定し、登録商標の企業等への実施許諾による自己収入を図る制度を整えている。

○ 経費削減に取り組んでいるものの、一般管理費は2億528万円(対前年度比1,284万円増)、一般管理費率は11.0%(対前年度比1.5%増)となっていることから、一般管理費の削減に向けたより一層の計画的な取組が期待される。

○ 中期計画における総人件費改革を踏まえた人件費削減目標の達成に向けて、着実に人件費削減が行われている。今後とも、中期目標・中期計画の達成に向け、教育研究の質の確保に配慮しつつ、人件費削減の取組を行うことが期待される。

○ 平成20年度評価結果において評価委員会が課題として指摘した、受託研究及び共同研究の増加については、産学官連携推進会議や南九州発新技術説明会への参加・出展、東京サテライトキャンパスでの広報や地元企業へのアプローチ等に取り組んだことにより、受託研究及び共同研究の受入額が1,169万円(対前年度588万円増)となっており、引き続き、受入件数の増加に向けた計画的な取組が期待される。

【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由)年度計画の記載10事項すべてが「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

(3)自己点検・評価及び当該状況に係る情報の提供に関する目標

1.評価の充実、2.情報公開等の推進

平成21年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

○ 第2期中期目標期間における年度計画の進捗状況を効率的に管理するためのデータベース「年度計画進捗管理システム」を構築している。

○ 東京サテライトキャンパスを核とした首都圏での情報発信手段について検討を行い、文京区との共催で公開講座の広報を行っている。

【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由)年度計画の記載11事項すべてが「年度計画を上回って実施している」又は「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

(4)その他業務運営に関する重要目標

1.施設設備の整備・活用等、2.安全管理

平成21年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

○ 教育設備・研究設備の共同利用に関する要項を制定し、共同利用可能な設備の調査及び情報提供を行い、学内教育・研究設備の全学的な有効活用に努めている。

○ エネルギー縮減計画等に基づき、照明・空調・給湯設備の省エネルギー機器への更新等を進め、また、温室効果ガス排出の削減等、地球環境に配慮し、太陽光発電設備(20kw)を設置している。

【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由)年度計画の記載9事項すべてが「年度計画を上回って実施している」又は「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

2.教育研究等の質の向上の状況

 評価委員会が平成21年度の外形的進捗状況について確認した結果、下記の事項が注目される。

○ 首都圏におけるスポーツ・健康関係の社会人やスポーツ選手へのキャリアアップ教育を行うため、東京サテライトキャンパスにおいて大学院体育学研究科修士課程(体育学専攻)の社会人向けコースを開設し、学生を受け入れている。

○ スポーツ関連企業との長期インターンシップについて、授業科目「SCO-OP実習」として開設している。

○ 大学と学生との情報伝達手段としての双方向型情報配信システム(通称「Catch」)を本格稼働させ、学生向け行事予定等の情報や、学生なんでも意見箱等のサービスの提供が可能となっている。

○ 競技スポーツや健康スポーツあるいは教養スポーツの現場における数多くの実践例を取り扱い、体育・スポーツの実践系・指導系の教育的、学問的価値の確立とその発展を目指すことを目的に、動画等を活用した「スポーツパフォーマンス研究」(ウェブジャーナル)を創刊し、投稿のあった論文を専用ウェブサイトに掲載している。

○ 九州経済産業局の知的財産セミナー事業(大学・公的研究機関)の採択を受けて、「研究開発の現状と企業が大学に求める研究・人材」をテーマに、スポーツメーカーから講師を招へいして知的財産セミナーを開催している。

○ 教育・学習環境の整備として、シラバス関連図書の購入を行うとともに、学生用推薦図書の募集を年2回実施し、また、利用サービスアンケート集計データも考慮して、利用者ニーズに沿った整備を行っている。

○ 近年の日本人の体力低下の現状を踏まえ、子供から老人までの生活フィットネスアップのプログラム(貯筋プログラム)を作成し、日本国内外での振興を図るための「動ける日本人育成プロジェクト」を地域の高齢者を対象に始動しており、今後の取組が期待される。

お問合せ先

高等教育局国立大学法人支援課国立大学法人評価委員会室

(高等教育局国立大学法人支援課国立大学法人評価委員会室)

-- 登録:平成23年12月 --