国立大学法人福岡教育大学の平成21年度に係る業務の実績に関する評価結果

1 全体評価

 福岡教育大学は、教育に関する教育研究を総合的に行う九州地区の拠点大学として、これからの学校教育を率先して導くことができる有為な教員の養成と現職教員の継続学習の充実に加えて、多様な生涯学習機会を創出できる人材の養成に取り組むことを目的とし教育研究を行っている。
 業務運営については、主幹校として福岡県内13大学で「福岡共同・教員免許状更新講習システム」を共同で運用し、受講者の利便性を考慮し、講習の申込み、事前・事後評価の入力等の手続きを可能な限り統一して、教員免許状更新講習を実施している。
 財務内容については、効率化・合理化が可能な業務や経費削減が可能な業務を検討し、各種省エネルギー対策等による経費削減に取り組んでいる。
 自己点検・評価及び情報提供については、社会連携と地域における様々な役割を果たすことを目的として、学外からの提案を聞き取る「福岡教育大学長への提案制度」を創設し、大学運営に活用している。
 教育研究等の質の向上については、教育委員会及び学校等との連携を強化し、学校教育に関する諸課題の解決に柔軟かつ積極的に取り組むとともに、地域社会が抱える諸課題や生涯学習の推進に関する学際的・実践的な研究を推進し、その後の研究発展や成果について、追跡調査を行っている。

2 項目別評価

1.業務運営・財務内容等の状況

(1)業務運営の改善及び効率化に関する目標

1.運営体制の改善、2.教育研究組織の見直し、3.人事の適正化、4.事務等の効率化・合理化

平成21年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

○ 教員免許状更新講習実施委員会が中心となり、主幹校として福岡県内13大学で「福岡共同・教員免許状更新講習システム」を共同で運用し、受講者の利便性を考慮し、講習の申込み、事前・事後評価の入力等の手続きを可能な限り統一して、教員免許状更新講習を実施している。

○ さらなる学長のリーダーシップを発揮できる組織改編として、理事の役割分担の変更、学長特別補佐制度を廃止し、副理事を置くことでの指揮系統の明確化、学長補佐会議を廃止し、大学戦略会議を新設、等の取組を行っている。

○ 経営協議会のさらなる活性化・実質化を図るため経営協議会の活性化に関する基本方針を役員会で決定している。

○ 経営協議会の学外委員から出された法人運営に関する意見等、また、実際の改善への取組状況をウェブサイトで公表している。

○ 経営協議会の審議内容は、大学のウェブサイトに議事録を掲載することにより社会に広く公表している。

○ 大学の活性化のため、学長の特命を受けて教育研究活動等に従事する特命教授制度を制定し、多方面でその才能を示している著名人を特命教授として任命し、「鉄学講座」と題した講義を3回実施し、学生等から好評を博している。

【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由)年度計画の記載7事項すべてが「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

(2)財務内容の改善に関する目標

1.外部研究資金その他の自己収入の増加、2.経費の抑制、3.資産の運用管理の改善

平成21年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

○ 平成20年度に引き続き、他の教員養成系大学10校の財務情報と比較分析を行い、研究費の予算配分、授業料の免除可能額の設定等へ反映している。

○ 効率化・合理化が可能な業務や経費削減が可能な業務を検討し、平成20年度に策定したリストを再度見直し、「平成21年度業務運営の効率化・合理化及び経費削減リスト」を策定し、各種省エネルギー対策等による経費削減に取り組んでいる。

○ 中期計画における総人件費改革を踏まえた人件費削減目標の達成に向けて、着実に人件費削減が行われている。今後とも、中期目標・中期計画の達成に向け、教育研究の質の確保に配慮しつつ、人件費削減の取組を行うことが期待される。

【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由)年度計画の記載5事項すべてが「年度計画を上回って実施している」又は「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

(3)自己点検・評価及び当該状況に係る情報の提供に関する目標

1.評価の充実、2.情報公開等の推進

平成21年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

○ 自己点検・評価の一環として、外部評価を実施し、外部評価委員からの答申案を、第2期中期目標・中期計画案に反映させている。

○ 社会連携と地域における様々な役割を果たすことを目的として、学外からの提案を聞き取る「福岡教育大学長への提案制度」を創設し、提案の中から1件を大学運営に活用し、ウェブサイトに掲載している。

【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由)年度計画の記載2事項すべてが「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

(4)その他業務運営に関する重要目標

1.施設設備の整備・活用等、2.安全管理

平成21年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

○ 施設の有効活用の観点から講義室に関する使用率調査を実施するとともに、附属久留米中学校一般教棟及び第2特別教棟の改修工事において共有面積比率8.6%の共用スペースを確保している。

○ 危機を未然に防止し、発生した危機に対して、総合的・体系的に適切な対応を図るための全学的体制を整えるため、危機管理規程を制定している。

【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由)年度計画の記載4事項すべてが「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

2.教育研究等の質の向上の状況

 評価委員会が平成21年度の外形的進捗状況について確認した結果、下記の事項が注目される。

○ 教職実践専攻(教職大学院)において、実践的な大学院教育を展開するため、教育委員会等と密接に連携して、様々な取組を行っている。

○ 大学院のシラバスに新たに「授業と教育の関連性」の項目を設け、当該授業が実際の学校教育現場が抱える問題及び課題等とどのように関連しているかを学生に提示している。

○ 電子ジャーナル等の利用促進のため、電子ジャーナル等及びその利用方法についての広報紙を作成し、学部4年生及び大学院生全員に配付し、出版社からの講師派遣による電子ジャーナル等利用講習会の開催回数を増やすなどの取組を行っている。

○ 小・中・高等学校、幼稚園及び特別支援学校の教育内容との有機的関連を持った研究の一層の推進を図るとともに、教育委員会及び学校等との連携を強化し、学校教育に関する諸課題の解決に柔軟かつ積極的に取り組むために、実施済み研究プロジェクトのその後の学術的成果について、追跡調査を行っている。

○ 地域社会が抱える諸課題や生涯学習の推進に関する学際的・実践的な研究を推進し、地域社会の発展に資するとともに、自治体や公共機関・団体、地域の民間団体等との共同研究をさらに推進するため、実施済み研究プロジェクトのその後の研究発展や成果について、追跡調査を行っている。

○ 人材バンクを見直し、無料の事業に加え、講座等がチームを組んで地域社会や学校等からの依頼に対応する有料(低料金)の「新・人材バンク」を立ち上げ、規程の整備及びパンフレットの作成・配布をし、平成22年度から開始することとしている。

○ 大学と附属学校の共同による研究発表会を実施し、県内外の学校教育関係者を中心として、参加者を得ている。

○ 附属学校における教育実践研究の成果を教育関係者に還元するため、附属学校教員を多くの公立学校の校内研究会・公開授業及び教育センター・校長会主催研修会に指導講師・指導助言者として派遣している。

○ 「IPビデオPhone移動セット」を導入し、広域ネットワークを整備し、附属学校間、大学・附属学校間で、公開授業が実施できる体制を整備している。

(教員就職状況)

○ 平成21年3月卒業者(教員養成課程)の就職状況は卒業者数490名に対し、正規採用が89名、臨時的任用が170名で、平成21年教員就職率は52.9%、進学者を除くと58.3%となっている。

お問合せ先

高等教育局国立大学法人支援課国立大学法人評価委員会室

(高等教育局国立大学法人支援課国立大学法人評価委員会室)

-- 登録:平成23年12月 --