国立大学法人奈良教育大学の平成21年度に係る業務の実績に関する評価結果

1 全体評価

 奈良教育大学は、創立以来の学問・学芸を尊ぶ学風を継承し、高い知性と豊かな教養を備えた人材、とりわけ人間形成に関する専門的力量を備えた有能な教育者を育てることを使命として、「少人数教育」による教育・研究の充実、「奈良・世界遺産」を活かした教育・研究の充実、「体験型キャリア教育」の教育・研究の充実という3つの柱を掲げ、社会的・地域的要請に応えるべく、様々な改革等の取組を推進している。
 業務運営については、社会との連携や社会貢献をより促進するため、国際交流・地域連携担当副学長(特命)の下に地域連携担当の学長補佐を設け、また、平成22年4月から、欧米の協定大学、東アジアの高等教育機関との連携をより促進させるため、国際交流担当の学長補佐を設けることとしている。
 財務内容については、ユネスコ事業及び理数教員養成事業に関する外部資金の獲得に努めたこと等により、外部資金比率は1.5%(対前年度比0.5%増)となっている。
 自己点検・評価及び情報提供については、広く学生の視点から大学情報を発信し、より地域住民、高校生・保護者等が親しみやすさを持てる広報活動を行うため、学生広報員「なっきょん's CLUB」を結成し、広報の充実に貢献している。
 その他業務運営については、埋蔵文化財発掘調査跡地及び文化財の保存・活用について、中長期視点から検討を行い、「新薬師寺旧境内保存敷地に関する活用方針について」を策定し、教育研究推進や地域開放を含めた施設の利用に資することとしている。
 教育研究等の質の向上については、教育・研究のキーワードに「世界遺産」を挙げ、世界遺産の保全・保護に関する環境・文化教育に取り組み、ユネスコ・アジア文化センターとの共催で、世界遺産と観光についての意義及び共通認識を確認し、その役割の認識を深めること等を目的として、国際フォーラムの開催等を行っている。

2 項目別評価

1.業務運営・財務内容等の状況

(1)業務運営の改善及び効率化

1.運営体制の改善、2.教育研究組織の見直し、3.人事の適正化、4.事務等の効率化・合理化

平成21年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

○ 社会との連携や社会貢献をより促進するため、国際交流・地域連携担当副学長(特命)の下に地域連携担当の学長補佐を設け、また、平成22年4月から、欧米の協定大学、東アジアの高等教育機関との連携をより促進させ、教育研究及び学術研究の活性化を図るために国際交流担当の学長補佐を設けることとしている。

○ 附属学校教員について、「附属学校教員に対する個人評価結果の処遇への反映に関する取り扱い」を制定し、平成22年1月の昇給時に、個人評価結果を処遇へ反映させている。

○ 学術情報研究センター情報システムについて、各サーバ機器、ネットワーク機器等の監視システムの構築により、障害を素早く検知し、迅速な対応を行うことが可能となり、情報関連業務が効率化している。

○ 奈良県立図書情報館との相互協力協定の締結により、県立図書情報館資料の大学図書館窓口での借受・返却が可能となることで学習・研究環境の整備・向上が実現でき、また、大学図書館資料の県立図書情報館窓口での借受・返却が可能となり、大学の地域に対する貢献としてのサービスが拡充している。

○ 「産前産後休業期間においても特任教員を配置することができる」と学内規則を改正し、特任教員を採用するなど、仕事と育児等の両立を支援する取組が行われている。

○ 経営協議会から出された法人運営に関する意見(施設・設備の老朽化、陳腐化)について、その取組事例をウェブサイトで公表している。

○ 経営協議会の審議内容は、大学のウェブサイトに議事録を掲載することにより社会に広く公表している。

【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由)年度計画の記載20事項すべてが「年度計画を上回って実施している」又は「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

(2)財務内容の改善に関する目標

1.外部研究資金その他の自己収入の増加、2.経費の抑制、3.資産の運用管理の改善

平成21年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

○ ユネスコ事業及び理数教員養成事業に関する外部資金の獲得に努めたこと等により、外部資金比率は1.5%(対前年度比0.5%増)となっている。

○ 中期計画における総人件費改革を踏まえた人件費削減目標の達成に向けて、着実に人件費削減が行われている。今後とも、中期目標・中期計画の達成に向け、教育研究の質の確保に配慮しつつ、人件費削減の取組を行うことが期待される。

【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由)年度計画の記載9事項すべてが「年度計画を上回って実施している」又は「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

(3)自己点検・評価及び当該状況に係る情報の提供に関する目標

1.評価の充実、2.情報公開等の推進

平成21年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

○ 広く学生の視点から大学情報を発信し、また、より地域住民、高校生・保護者等が親しみやすさを持てる広報活動を行うため、学生広報員「なっきょん's CLUB」を結成し、広報誌の企画・寄稿を始め、表紙・モデルとして起用することで、広報の充実に貢献している。

【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由)年度計画の記載4事項すべてが「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

(4)その他業務運営に関する重要目標

1.施設設備の整備・活用等、2.安全管理

平成21年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

○ 「施設整備の基本方針」に基づき、各講座の配分面積の適正化を図り、各種GPや特色あるプログラム等の事業に貸与し、施設の有効活用を図っている。

○ 建築物の定期点検やパトロールの実施により安全性を確認し、その結果を緊急修理や維持管理に計画的に活用し、また、CO2削減や光熱費抑制のため、老朽化していた大会議室空調設備、屋外電気設備(変圧器)、国際学生宿舎空調設備等、主要なインフラ整備を省エネルギータイプの機器に改修している。

○ 埋蔵文化財発掘調査跡地及び文化財の保存・活用について、中長期視点から検討を行い、「新薬師寺旧境内保存敷地に関する活用方針について」を策定し、教育研究推進や地域開放を含めた施設の利用に資することとしている。

【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由)年度計画の記載12事項すべてが「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

2.教育研究等の質の向上の状況

 評価委員会が平成21年度の外形的進捗状況について確認した結果、下記の事項が注目される。

○ 教員免許状更新講習の円滑な実施のため、特任教員1名を配置し、大学が中心となり教員免許状更新講習運営委員会を設置し、奈良県教育委員会及び奈良県下の大学等と連携し実施している。また、事後アンケートの結果では、更新講習会の内容・方法等に関する総合評価において、肯定的な評価が8割を超えている。

○ 学術情報研究センター図書館に、図書並びに回転式書架2台及びスツール4脚を購入し、約330冊を基本図書とした「留学生コーナー」を新たに設置している。

○ 日本で最多の世界遺産を有する奈良県にある大学として、教育・研究のキーワードに「世界遺産」を挙げ、世界遺産の保全・保護に関する環境・文化教育に取り組み、ユネスコ・アジア文化センターとの共催で、世界遺産と観光についての意義及び共通認識を確認し、観光の果たす役割について認識を深めること等を目的として、国際フォーラム「世界遺産と観光」を開催している。

○ 東アジアを中心に協定校の拡大を目指し、華東師範大学(中国)と公州大学校(韓国)と交流協定を締結(計11大学)しており、今後、交流内容について個性化を図ることを念頭に、複数の大学との協定を目指し検討を始めている。

○ 附属中学校でユネスコ・スクールの拠点校としてカリキュラム作りを行い、附属学校園と子育てサークルとの連携や学校開放、青少年を対象とした事業の推進等、地域の子育てニーズに応えた支援を行っている。

○ 教育委員会関係者2名を附属学校地域運営協議会の構成員に加え、地域の教育委員会のニーズ等を反映することにより、附属学校における効果的な管理・運営の推進及び教育水準の向上を図るための体制を整備している。

(教員就職状況)

○ 平成21年3月卒業者(教員養成課程)の就職状況は卒業者数134名に対し、正規採用が49名、臨時的任用が32名で、平成21年教員就職率は60.4%、進学者を除くと69.8%となっている。

お問合せ先

高等教育局国立大学法人支援課国立大学法人評価委員会室

(高等教育局国立大学法人支援課国立大学法人評価委員会室)

-- 登録:平成23年12月 --