国立大学法人兵庫教育大学の平成21年度に係る業務の実績に関する評価結果

1 全体評価

 兵庫教育大学は、教員の資質能力の向上に対する社会的要請に応えるために、「兵庫教育大学21世紀新構想大学プラン」を策定し、教育実践学の確立及び教育研究における高度の質の達成、学校教育における実践的指導力を持った教員の養成と現職教員としての優れた資質・力量を備えた人材の育成及び教育実践学の高度な研究・指導能力を持った人材の輩出等5つの基本的目標を掲げ、その実現に向けて取り組んでいる。
 業務運営については、研究組織の流動性を高め活性化を図るために、特任教員制度に加え、高度な専門知識を有する者を任期付きで雇用する特命教員制度を新たに設けている。また、平成20年度の評価委員会の評価結果を踏まえ、男女共同参画推進のための整備については、基本方針の策定、学内学童保育所の拡充等、仕事と育児等の両立の支援に向けた環境作りを進めている。
 自己点検・評価及び情報提供については、都道府県連携推進本部と大学院同窓会が連携して運営するHyokyo-netを、卒業生・修了生と大学教職員・在学生を中心に、魅力あるウェブサイトにリニューアルするための準備を行っている。
 教育研究等の質の向上については、教員就職率が84.9%で、6年連続で全国第1位を達成しているとともに、大学院連合学校教育学研究科(大学院博士課程)に、新たに先端課題実践開発専攻を設置し、学校現場における先端的な諸課題の解決に向けた実践的プログラムの開発研究に取り組み、総合的・学際的な教育研究体制を整備している。

2 項目別評価

1.業務運営・財務内容等の状況

(1)業務運営の改善及び効率化に関する目標

1.運営体制の改善、2.教育研究組織の見直し、3.人事の適正化、4.事務等の効率化・合理化

平成21年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

○ 研究組織の流動性を高め活性化を図るために、特任教員制度に加え、高度な専門知識を有する者を任期付きで雇用する特命教員制度を設けている。

○ 教材文化資料館を設置し、教育実践学の研究教育拠点を目指し、教材文化資料を収集・開発・発信するための体制を整備している。

○ 総合研究棟に学生生活関連業務を集中化させることにより、学生の利便性を高めるとともに、教育支援や学生支援業務の連携による多様な相談に応じる体制を整備するための準備を行っている。

○ 経営協議会の学外委員から出された法人運営に関する意見等、また、実際の改善への対応状況をウェブサイトで公表している。

○ 経営協議会の審議内容は、大学のウェブサイトに議事録を掲載することにより社会に広く公表している。

○ 平成20年度評価結果で評価委員会が課題として指摘した、男女共同参画の推進のための整備については、男女共同参画推進等計画検討ワーキンググループを設置し、男女共同参画推進基本方針を策定し、また、男女共同参画推進室を設置して、学内の学童保育所を拡充するなど、仕事と育児等の両立の支援に向けた環境作りを進めており、指摘に対する取組が行われている。

平成21年度の実績のうち、下記の事項に課題がある。

○ 平成20年度評価において評価委員会が課題として指摘した、大学院専門職学位課程(教職大学院)について、学生収容定員の充足率が平成20年度から平成21年度においては90 %を満たさなかったことから、今後、速やかに、定員の充足に向け、入学定員の適正化に努めることや、入学者の学力水準に留意しつつ充足に努めることが求められる。(なお、平成22年度は90%を満たしている。)

【評定】中期目標・中期計画の達成に向けておおむね順調に進んでいる

(理由)年度計画の記載17事項すべてが「年度計画を十分に実施している」と認められるが、大学院専門職学位課程(教職大学院)において学生収容定員の充足率が90%を満たさなかったこと等を総合的に勘案したことによる。

(2)財務内容の改善に関する目標

1.外部研究資金その他の自己収入の増加、2.経費の抑制、3.資産の運用管理の改善

平成21年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

○ 新しい学習指導要領で求められる「活用する力」の育成・評価方法を開発することを目的として、引き続き、民間教育産業と共同研究を行うなど、外部資金獲得に向けた取組を行っている。

○ 経費削減に取り組んでいるものの、一般管理費は3億7,885万円(対前年度比9,510万円増)、一般管理費率は7.9%(対前年度比1.7%増)となっていることから、一般管理費の削減に向けたより一層の計画的な取組が期待される。

○ 中期計画における総人件費改革を踏まえた人件費削減目標の達成に向けて、着実に人件費削減が行われている。今後とも、中期目標・中期計画の達成に向け、教育研究の質の確保に配慮しつつ、人件費削減の取組を行うことが期待される。

【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由)年度計画の記載6事項すべてが「年度計画を上回って実施している」又は「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

(3)自己点検・評価及び当該状況に係る情報の提供に関する目標

1.評価の充実、2.情報公開等の推進

平成21年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

○ 教職員の意識啓発を図るため、新たに国立大学法人評価結果について中期目標・中期計画、特記事項をまとめたダイジェスト版を作成している。

○ 都道府県連携推進本部と大学院同窓会が連携して運営するHyokyo-netを、卒業生・修了生と大学教職員・在学生を中心に、学校現場と大学が情報を交換する機能をもった魅力あるウェブサイトにリニューアルするための準備を行っている。

【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由)年度計画の記載5事項すべてが「年度計画を上回って実施している」又は「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

(4)その他業務運営に関する重要目標

1.施設設備の整備・活用等、2.安全管理

平成21年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

○ 各棟、専攻・コ-ス別使用状況調書による快適かつ効果的なスペース管理のため、既存配分スペース約200m2の見直しを行い、教育研究の高度化を図るための総合研究棟プロジェクト研究室のスペース運用を開始している。

○ 危機管理対応マニュアルについて必要な見直しを行い、新たに感染症に関する項目を追加し、教職員に冊子を配布して周知徹底を図っている。

【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由)年度計画の記載6事項すべてが「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

2.教育研究等の質の向上の状況

 評価委員会が平成21年度の外形的進捗状況について確認した結果、下記の事項が注目される。

○ 大学院連合学校教育学研究科(大学院博士課程)において、先端課題実践開発専攻を設置し、学校現場における先端的な諸課題の解決に向けた実践的プログラムの開発研究に取り組めるよう、大学院学校教育研究科(大学院専門職学位課程)の教員を加え、教育に関する理論と実践の一層の融合を図り、総合的・学際的な教育研究体制を整備している。

○ 遠隔教育環境の整備として、キャンパス間ネットワーク回線を100Mbpsから1Gbpsへの高速化を図っている。

○ 引き続き、兵庫県内の大学を中心として産学連携活動を推進する「ひょうご神戸産学学官アライアンス」に加盟し、また、教育関連企業と新学習指導要領に対応した教育方法に関する共同研究を行うなど、教育大学としての特色ある産学連携を進めている。

○ 知的財産の創出等に関する学内啓発活動として、教職員に対して知的財産の適切な管理・活用のための資料「学校における教育活動と著作権」を配布するとともに、知的財産に関する講演会を開催している。

○ 財団法人兵庫県生きがい創造協会との協定を新たに締結し、学校現場支援、生涯学習の振興、スクールサポーター派遣、特別支援教育、授業力向上の取組等で連携協力を実施している。

○ 民間企業と共同研究を行い、大学教員と附属学校教員が研究開発に取り組み、英語教育改善のための調査研究や学長裁量経費による学校教育研究センター等の共同研究を実施するなど、大学と附属学校教員による共同研究を継続している。

○ 各附属学校園で学校評議員から出された意見・課題を踏まえ、積極的に学校運営に取り入れるために、特色ある授業実践や幼小中の連携等、学校評議員からの意見の反映と取組実績を取りまとめている。

(教員就職状況)

○ 平成21年3月卒業者(教員養成課程)の就職状況は卒業者数166名に対し、正規採用が85名、臨時的任用が56名で、平成21年教員就職率は84.9%、進学者を除くと88.7%となっており、6年連続で全国第1位を達成している。

お問合せ先

高等教育局国立大学法人支援課国立大学法人評価委員会室

(高等教育局国立大学法人支援課国立大学法人評価委員会室)

-- 登録:平成23年12月 --