国立大学法人大阪教育大学の平成21年度に係る業務の実績に関する評価結果

1 全体評価

 大阪教育大学は、教員養成大学として、教育界における有為な人材の育成を通して、地域と世界の人々の福祉に寄与する大学であることを使命とし、優れた教員養成を推進するとともに、学術・芸術の諸分野で総合性の高い教育研究を推進し、その成果を広く社会に還元している。
 業務運営については、「大阪の教育課題に応えて-発信する大教大-」とする経営戦略に基づき、地域貢献に要する経費や広報活動に要する経費を新たに設け、1億7,100万円を措置している。また、平成20年度の評価委員会の評価結果を踏まえ、大学教員及び附属学校教員の人事評価については、附属学校園教員は、その評価結果を平成21年度の昇給・勤勉手当等から反映し、大学教員は、平成22年度から昇給及び勤勉手当に反映させることを決定している。
 財務内容については、平成20年度の評価委員会の評価結果を踏まえ、随意契約見直しの計画的な実施については、複写機の賃貸借契約及び保守契約を一本化した4年の複数年契約として一般競争入札(総合評価落札方式)に移行している。
 自己点検・評価及び情報提供については、開学60周年記念事業の一環として、「大阪の教育課題に応えて-発信する大教大-」と題して、5回にわたり連続したフォーラムとシンポジウムを開催し、約2,300人の参加を得ている。
 教育研究等の質の向上については、東欧ロシア史学史研究、高速製造法により作製した柿ポリフェノールの光安定化等、新たな時代の教養教育の基盤となる総合性の高い基礎研究等に取り組んでいる。

2 項目別評価

1.業務運営・財務内容等の状況

(1)業務運営の改善及び効率化に関する目標

1.運営体制の改善、2.教育研究組織の見直し、3.人事の適正化、4.事務等の効率化・合理化

平成21年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

○ 運営機構室の一つである評価・情報室を再編し、組織評価と個人評価に関する事項を任務とする評価室を運営機構室として設置するとともに、情報メディアや情報セキュリティ等に関する基本方針の審議や具体的課題等の検討を行う全学的組織として情報メディア基盤委員会を新設し、法人及び大学運営のさらなる整備・充実を図っている。

○ 「大阪の教育課題に応えて-発信する大教大-」とする経営戦略に基づき、地域貢献に要する経費や広報活動に要する経費を新たに設け、従来の若手研究、新任教員への研究助成や安全管理に取り組む事業等を含め1億7,100万円を措置している。

○ 経営協議会の審議内容は、大学のウェブサイトに議事録を掲載することにより社会に広く公表している。

○ 平成20年度評価において評価委員会が課題として指摘した、大学教員及び附属学校教員の人事評価については、附属学校園教員については、評価結果を平成21年度の昇給・勤勉手当等から反映させている。また、大学教員については、平成21年度の評価結果を平成22年度から昇給及び勤勉手当に反映させることを決定しており、指摘に対する取組が行われている。

○ 平成20年度評価において評価委員会が課題として指摘した、管理職に占める女性の比率については、就業と家庭生活の両立支援や男女共同参画推進に向け、新たに男女共同参画推進担当の女性学長補佐を任命するなどにより前年と比べて2.7%上昇しており、指摘に対する取組が行われている。

【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由)年度計画の記載17事項中すべてが「年度計画を上回って実施している」又は「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

(2)財務内容の改善に関する目標

1.外部研究資金その他の自己収入の増加、2.経費の抑制、3.資産の運用管理の改善

平成21年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

○ 科学研究費補助金、受託研究費等で間接経費を獲得した教員に対して、間接経費の50%相当額をインセンティブ経費として配分を行っている。

○ 外部資金獲得に向けた取組をしているものの、外部資金額1億9,270万円(対前年度比5,193万円減)、外部資金比率は2.0%(対前年度比0.6%減)となっており、外部資金額の増加に向けた取組が期待される。

○ 中期計画における総人件費改革を踏まえた人件費削減目標の達成に向けて、着実に人件費削減が行われている。今後とも、中期目標・中期計画の達成に向け、教育研究の質の確保に配慮しつつ、人件費削減の取組を行うことが期待される。

○ 平成20年度評価結果において評価委員会が課題として指摘した、随意契約見直しの計画的な実施については、複写機の賃貸借契約及び保守契約を一本化した4年の複数年契約として、一般競争入札(総合評価落札方式)に移行しており、指摘に対する取組が行われている。

○ 平成20年度評価結果において評価委員会が課題として指摘した、受託研究や共同研究の受入促進については、技術シーズを再検証するとともに、大阪府教育委員会や大阪府の食とみどり技術センターと今後の協力の在り方について検討を進めた結果、平成20年度に比べて受入件数2件、受入額65万円の増加となっており、指摘に対する取組が行われている。

【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由)年度計画の記載8事項すべてが「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

(3)自己点検・評価及び当該状況に係る情報の提供に関する目標

1.評価の充実、2.情報公開等の推進

平成21年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

○ これまでの研究成果等を公開する機会として、開学60周年記念事業の一環として、「大阪の教育課題に応えて-発信する大教大-」と題して、5回にわたり連続したフォーラムとシンポジウムを開催し、約2,300人の参加を得ている。

○ 広報や情報公開に重要性を考慮し、広報スタッフを充実した上で、広報室を立ち上げ、近隣地域の記者クラブ等の報道機関と連携を図り、大学の取組や教員の研究成果等の日常的なニュースリリースの提供方法を整備している。

【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由)年度計画の記載3事項すべてが「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

(4)その他業務運営に関する重要目標

1.施設設備の整備・活用等、2.安全管理

平成21年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

○ エネルギー消費量削減及び環境意識の向上を図るため、環境報告書を作成し学内外に公表し、教職員、学生に省エネルギーの意識向上を促しつつ、トータルコストを意識した空調設備の更新や洗面所・トイレにおける自動作動機器による節水対策、大規模太陽光発電設備を設置している。

○ 「学校危機の諸相とその予防戦略を考える」をメインテーマとし、アジア・太平洋地域における学校安全推進の取組に関する情報共有を目的とした「アジア・太平洋学校安全推進フォーラム」を主催し、海外及び全国の学校や教育機関から約300名の教職員や学校安全担当者が参加している。

【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由)年度計画の記載11事項すべてが「年度計画を上回って実施している」又は「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

2.教育研究等の質の向上の状況

 評価委員会が平成21年度の外形的進捗状況について確認した結果、下記の事項が注目される。

○ 教育の成果・効果の検証に関し、絶対評価に相対評価を加味した現行の成績方法の改善方策を検討し、平成22年度から絶対評価を重視して、シラバスにおいて到達目標を厳密に明示し、これに対する素点を付ける方法を導入するよう改善を図っている。

○ キャリア教育に関する全学ファカルティ・ディベロップメント(FD)シンポジウムを実施し、キャリア意識を育て、高めるための授業の工夫について、具体例を交えた報告を行い、教員の就職指導に関する意識及び資質の向上を図っている。

○ 教員が書架を直接調査し、蔵書内容を点検することにより、学生用図書の構成を授業や学習に適合させることを目的とした蔵書アドバイザー制度の体制を整備し、3か年で全分野を見直すための実施計画を策定している。

○ フォトクロミック薄膜表面におけるメカニカル機能の解明、東欧ロシア史学史研究、高速製造法により作製した柿ポリフェノールの光安定化、軽量ウレタンゴムフィルムによる自動車用部品の開発等、新たな時代の教養教育の基盤となる総合性の高い基礎研究等に取り組んでいる。

○ テニュア・トラック制に基づき若手教員に競争的環境の中で自立と活躍の機会を与える仕組みの導入を進めている。

○ 受託研究・共同研究の拡大を図るため、受入可能教員一覧のウェブサイトの更新や研究実績や地域との連携事業等を掲載した広報用パンフレットを作成し、大阪府商工会連合会に配布している。

○ 箕面市教育委員会と小中一貫教育の推進に向けて、諸課題の対応のための調査研究や教職員の資質向上・能力開発の手法等に関する連携協定を締結している。

○ 附属池田小学校では、教育課程特例校の指定を受け、「安全科」を設置するとともに、世界保健機関(WHO)が推進している「International safe school」に日本で初めて認証を受け、安全に対する取組を行っている。

(教員就職状況)

○ 平成21年3月卒業者(教員養成課程)の就職状況は卒業者数605名に対し、正規採用が269名、臨時的任用が134名で、平成21年教員就職率は66.6%、進学者を除くと74.5%となっている。

お問合せ先

高等教育局国立大学法人支援課国立大学法人評価委員会室

(高等教育局国立大学法人支援課国立大学法人評価委員会室)

-- 登録:平成23年12月 --