国立大学法人長岡技術科学大学の平成21年度に係る業務の実績に関する評価結果

1 全体評価

 長岡技術科学大学は、主として高等専門学校卒業生を受け入れ、学部から大学院修士課程の一貫教育体制の下で、社会の変化に柔軟に対応できる豊かな実践的・創造的能力を備え、人間性に富んだ指導的技術者を養成するとともに、社会構造の変化に対応した高度な実践的研究を展開し、産学共同教育研究の推進等広く社会との連携を図ることを基本的な目標としており、この目標の達成に向け積極的な取組を行っている。
 業務運営については、安全専門職として要求される安全技術及び安全規格・法規に関する体系的な知識と実践能力並びにこれらの総合的マネジメント能力を明確に保証し、安全安心社会の構築に寄与することを目的として、国内初のシステム安全エンジニア資格認定制度を創設している。また、平成20年度の評価委員会の評価結果を踏まえ、男女共同参画の推進を図るための体制整備を図っている。
 一方、職員給与規則の改正については、経営協議会において審議すべき事項であるが、報告事項として扱われていた事例があることから、適切な審議を行うことが求められる。
 財務内容については、研究費執行ハンドブック(教員用)を作成し、会計ルールの共有と予算執行手続きの標準化を図り、予算管理体制とコストの意識向上につなげている。
 その他業務運営については、省エネルギーを推進するとともに、建物ごとの電力消費量を学内ウェブサイト上に掲載し、「エネルギーの見える化」を図るとともに、引き続き、「省エネコンテスト」を実施している。
 教育研究等の質の向上については、従来にない高度なメタン利用技術を新しく発展させ、新たな地域産業を起こすとともに、低炭素社会を実現することを目指すため、メタン高度利用技術研究センターを設置し、機能的に研究が行える体制を整備している。

2 項目別評価

1.業務運営・財務内容等の状況

(1)業務運営の改善及び効率化に関する目標

1.運営体制の改善、2.教育研究組織の見直し、3.人事の適正化、4.事務等の効率化・合理化

平成21年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

○ 学長裁量ポストによる特定分野に係る配置を維持するとともに、他省庁との交流人事を継続し、機動的・戦略的な人員配置により、教育研究活動の活性化を図っている。

○ 学長裁量経費で措置している「高専との共同研究の推進」による研究助成の募集について、高専との共同研究等についての配慮を求める外部有識者からの意見を踏まえ、平成22年度からは、大学教員のみではなく、高等専門学校側からも申請が行えるように改善している。

○ 安全専門職として要求される安全技術及び安全規格・法規に関する体系的な知識と実践能力並びにこれらの総合的マネジメント能力を明確に保証し、安全安心社会の構築に寄与することを目的として、国内初のシステム安全エンジニア資格認定制度を創設している。

○ 経営協議会の審議内容は、大学のウェブサイトに議事録を掲載することにより社会に広く公表している。

○ 平成20年度評価結果において評価委員会が課題として指摘した、男女共同参画推進に向けた具体的な取組については、男女共同参画推進委員会を設置し、男女共同参画の推進を図るための体制整備を行うとともに、基本方針及び具体的な取組等について検討を開始しており、指摘に対する取組が行われている。

平成21年度の実績のうち、下記の事項に課題がある。

○ 職員給与規則の改正については、経営協議会において審議すべき事項であるが、報告事項として扱われていた事例があることから、適切な審議を行うことが求められる。

【評定】中期目標・中期計画の達成に向けておおむね順調に進んでいる

(理由)年度計画の記載23事項すべてが「年度計画を上回って実施している」又は「年度計画を十分に実施している」と認められるが、経営協議会による適切な審議が行われていないこと等を総合的に勘案したことによる。

(2)財務内容の改善に関する目標

1.外部研究資金その他の自己収入の増加、2.経費の抑制、3.資産の運用管理の改善

平成21年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

○ 学内向けの通知等については、引き続き電子メールの利用等を実施するとともに、事務局職員の給与明細及び学生の成績通知表をウェブサイトで確認できるようにすることによりペーパレス化し、経費の削減を図っている。

○ 研究費の執行を行う教員側に立脚する、ユーザー利用を中心に据えた「研究費執行ハンドブック(教員用)」を作成し、会計ルールの共有と予算執行手続きの標準化を図り、予算管理体制とコストの意識向上につなげている。

○ 学長の交代に伴い、教員と積極的にヒアリング等を実施し、学長戦略的経費による研究助成に活用するなど、戦略的財政運用が行われている。

○ 中期計画における総人件費改革を踏まえた人件費削減目標の達成に向けて、着実に人件費削減が行われている。今後とも、中期目標・中期計画の達成に向け、教育研究の質の確保に配慮しつつ、人件費削減の取組を行うことが期待される。

【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由)年度計画の記載10事項すべてが「年度計画を上回って実施している」又は「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

(3)自己点検・評価及び当該状況に係る情報の提供に関する目標

1.評価の充実、2.情報公開等の推進

平成21年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

○ 留学生や外国機関向けにアピールできるように、英語版大学紹介ビデオ(DVD)を作成している。

【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由)年度計画の記載2事項すべてが「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

(4)その他業務運営に関する重要目標

1.施設設備の整備等、2.安全管理

平成21年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

○ 施設の管理基準に基づき構内パトロールを実施し、体育保健センターの外壁・内装、図書館の外部建具、福利棟食堂内装等の修繕・改善工事を行っている。また、物質・材料経営情報1号棟の給排水、電力受配電等のライフライン及びエネルギーセンターの中央ボイラー・防災監視設備の老朽化による設備の更新を行っている。

○ 照明及び外灯の高効率タイプへの更新等により省エネルギーを推進するとともに、省エネルギーに対する意識の向上を図るため、建物ごとの電力消費量を学内ウェブサイト上に掲載し、「エネルギーの見える化」を図るとともに、引き続き、「省エネコンテスト」を実施している。

○ 室使用調査の分析結果に基づき、共用スペースを確保し、施設の有効活用を推進した。

【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由)年度計画の記載19事項すべてが「年度計画を上回って実施している」又は「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

2.教育研究等の質の向上の状況

 評価委員会が平成21年度の外形的進捗状況について確認した結果、下記の事項が注目される。

○ 新任教員研修、ファカルティ・ディベロップメント(FD)先進校の教員によるFD講演会、公開授業等を実施し、全学的にFDを推進している。また、自分の都合の良いときに気兼ねなく授業を参観できる「アポ無し公開授業」を実施している。

○ 従来にない高度なメタン利用技術を新しく発展させ、新たな地域産業を興すとともに、低炭素社会を実現することを目指すため、メタン高度利用技術研究センターを設置し、融合分野に柔軟に対応できる人員配置により、機能的に研究が行える体制を整備している。

○ 「若手研究者の自立的研究環境整備促進」に採択され、テニュア・トラック制に基づき若手教員に競争的環境の中で自立と活躍の機会を与える仕組みの導入を進めている。

○ 研究・産学官連携活動表彰を実施し、評価結果を資源配分に反映させるとともに、大学の研究の活性化及び産学連携活動を促進している。

○ 財団法人にいがた産業創造機構との連携による「長岡モノづくりアカデミー開発設計コース」を開講し、受講者26名を受け入れ、地域企業において核となる創造的開発技術者の育成を図っている。

○ 上越市とものづくり支援パートナー協定を締結し、地域経済活性化を図るために連携・協力している。

○ ベトナムのハノイ工科大学、メキシコのヌエボレオン大学及びモンテレイ大学の現地オフィスについて、学生募集、現地前半教育及び入学試験実施に活用できるよう、コーディネーター業務を開始している。

お問合せ先

高等教育局国立大学法人支援課国立大学法人評価委員会室

(高等教育局国立大学法人支援課国立大学法人評価委員会室)

-- 登録:平成23年12月 --