国立大学法人電気通信大学の平成21年度に係る業務の実績に関する評価結果

1 全体評価

 電気通信大学は、「高度コミュニケーション科学」の諸領域で世界をリードする教育・研究拠点を築き、21世紀を担う先駆的な科学者、技術者、専門職業人を育成するとの大学の基本的な目標の達成に向けて、より具体的に大学が創立100周年を迎える2018年までに目指す目標として「UEC ビジョン2018」を策定し、ビジョンの実現を目指して大学運営を推進している。
 業務運営については、平成22年4月からの電気通信学部を情報理工学部への改組、電気通信学研究科を情報理工学研究科への改組等に向けた諸準備を行い、また、教員の所属を学術院に一元化し、経営戦略に基づいた柔軟かつ機動的な教員配置が可能となるよう整備等を行っている。
 自己点検・評価及び情報提供については、より分かりやすい広報戦略の推進のため、広報センターに特任教授を採用している。
 その他業務運営については、大学全体として学内施設の活用の在り方を抜本的に見直し、施設有効活用をさらに促進するため、学内施設の活用の現状調査を実施し、この結果を踏まえて、教育研究スペースの配分基準を策定している。
 教育研究等の質の向上については、相対論光学や超高速光科学等、次世代を開く光科学の最前線の研究を、日本、中国、韓国、インドの中核研究所間の研究交流を中心に行っている。また、海外インターンシップを学部及び大学院情報システム学研究科のカリキュラムにおいて開設したほか、長期インターンシップを大学院情報システム学研究科のカリキュラムにおいて開設している。

2 項目別評価

1.業務運営・財務内容等の状況

(1)業務運営の改善及び効率化に関する目標

1.運営体制の改善、2.教育研究組織の見直し、3.人事の適正化、4.事務等の効率化・合理化

平成21年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

○ 地域・産学官連携推進機構を、産学官連携センター、研究設備センター、社会連携センターに改組し、多岐の機能を目的別に複数の組織に再編することにより、業務の効率的・機動的な運営を行っている。

○ 平成22年4月からの電気通信学部を情報理工学部への改組、電気通信学研究科を情報理工学研究科への改組及び情報システム学研究科大学院博士後期課程の入学定員の変更のための所定の手続及び開設に向けた諸準備を行っている。

○ 学部・研究科の改組を契機として、大学教育センターを大学全体の教育機能の高度化と質の向上に向けて、教育に関わる方針と戦略を立案し、その実施についての権限と責任を持つ組織とするため、学生支援センターと併せて、平成22年4月から全学教育・学生支援機構として開設するための検討や諸準備を進めている。

○ 平成22年度から教員の所属を学術院に一元化し、経営戦略に基づいた柔軟かつ機動的な教員配置が可能となるよう、人事活性化大綱及び平成22年度人事計画策定指針の策定や規則の整備等を行っている。

○ 経営協議会の審議内容は、大学のウェブサイトに議事録を掲載することにより社会に広く公表している。

【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由)年度計画の記載24事項すべてが「年度計画を上回って実施している」又は「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

(2)財務内容の改善に関する目標

1.総人件費改革、2.外部研究資金その他の自己収入の増加、3.経費の抑制、4.資産の運用管理

平成21年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

○ 経営協議会、教育研究評議会、役員会、拡大役員会等主要会議における配付資料のペーパーレス化のため、電子会議システムを平成22年度から導入することとし、会議室の工事や導入のための準備を行っている。

○ 経費削減に取り組んでいるものの、一般管理費は8億1,587万円(対前年度比2億1,005万円増)、一般管理費率は8.6%(対前年度比1.9%増)となっていることから、一般管理費の削減に向けたより一層の計画的な取組が期待される。

○ 中期計画における総人件費改革を踏まえた人件費削減目標の達成に向けて、着実に人件費削減が行われている。今後とも、中期目標・中期計画の達成に向け、教育研究の質の確保に配慮しつつ、人件費削減の取組を行うことが期待される。

【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由)年度計画の記載16事項すべてが「年度計画を上回って実施している」又は「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

(3)自己点検・評価及び当該状況に係る情報の提供に関する目標

1.評価の充実、2.情報公開等の推進

平成21年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

○ より分かりやすい広報戦略の推進のため、広報センターに特任教授を採用している。

【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由)年度計画の記載7事項すべてが「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

(4)その他業務運営に関する重要目標

1.施設設備の整備・活用等、2.安全管理

平成21年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

○ 大学全体として学内施設の活用の在り方を抜本的に見直し、施設有効活用をさらに促進するため、学内施設の活用の現状調査を実施し、この結果を踏まえて、教育研究スペースの配分基準を策定している。

○ 必要な法定点検・検査等のほか、建物や設備及び道路等の安全パトロールや年間保守契約業者による日常点検を行い、バリアフリーの促進、不良箇所、危険箇所等の改善を行っている。

【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由)年度計画の記載19事項すべてが「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

2.教育研究等の質の向上の状況

 評価委員会が平成21年度の外形的進捗状況について確認した結果、下記の事項が注目される。

○ 海外インターンシップを学部及び大学院情報システム学研究科のカリキュラムにおいて開設したほか、長期インターンシップを大学院情報システム学研究科のカリキュラムにおいて開設している。

○ 学生のニーズに応じ、ウェブサイトを活用した学習指導、学習相談を実施し、量子・物質工学科においては「学習者カルテ」を利用した学習管理、指導を実施している。

○ 学内の環境整備のため、キャリア教育科目「キャリアデザインC」における学生のグループの学習成果「放置自転車をなくすプロジェクト」を活用し、学生を「学生課スタッフ」として雇用し、学生課職員との協働の下、駐輪指導に当たる体制について検討し、平成22 年4月からの実施に向けて準備を行っている。

○ キャリアカウンセラーを増員し、就職相談を受ける体制を整備するなど、学生にとって利用しやすい環境作りに取り組んでいる。

○ 図書館の利用実績、費用対効果及び利用者のニーズを踏まえて、開館時間の見直しを行った結果、平成22年4月から、窓口の閉館時間を1時間延長し、21時30分とすることとしている。

○ アメニティの高いオープンスペースとして、学生・職員・学外者が相互に交流できる緑豊かな「コミュニケーションパーク」を整備し、掲示板及びベンチの更新、植栽並びにインターロッキング舗装を施し、多目的に利用できる広場としている。

○ レーザー新世代研究センターにおいて、アジアコアプログラム「高強度光科学研究のための次世代超短パルスレーザーの開発」を通じて、相対論光学や超高速光科学等、次世代を開く光科学の最前線の研究を、日本、中国、韓国、インドの中核研究所間の研究交流を中心に行っている。

○ 「若手研究者の自立的研究環境整備促進」に採択され、テニュア・トラック制に基づき若手教員に競争的環境の中で自立と活躍の機会を与える仕組みの導入を進めている。

○ 知的財産部門を中心に産学官連携支援部門、ベンチャー支援部門とともに、センター内にソフトウェア戦略展開委員会を設置し、ソフトウェアに係る知的財産権の戦略的管理・活用、技術移転体制の整備に向けた研究会を立ち上げ、調査・検討を行い、その成果をシンポジウムを開催して、広く公開している。

○ 渋谷区教育委員会と連携協定を締結し、同区が進めるこども科学センター設置や理数教育重点校化に当たってのプラン作り等の支援を行っている。

○ 東京都立調布特別支援学校と連携協定を締結し、同校が推進する「外部の教育資源を活用した特別支援学校の教育支援事業」の支援組織として協力するとともに、同校生徒が大学の花植事業への参加、調布特別支援学校見学会に大学の役員・教職員が参加するなど交流を深めている。

○ 産学官連携センターを設置し、大学の資源と外部の資源の融合による新たな知の創出と活用を推進するとともに新産業の創出に貢献している。

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高等教育局国立大学法人支援課国立大学法人評価委員会室

(高等教育局国立大学法人支援課国立大学法人評価委員会室)

-- 登録:平成23年12月 --