国立大学法人宮城教育大学の平成21年度に係る業務の実績に関する評価結果

1 全体評価

 宮城教育大学は、教員養成と現職教員の教育に責任を負うという目標の下に、教育研究の充実に努めている。また、宮城県、仙台市の教育委員会等と連携し、現職教員の資質向上に寄与するとともに、学校現場に生起する課題の解決に寄与している。
 業務運営については、法人支援アドバイザーとの懇談における「図書館を有効活用して学生に勉強させる習慣を身に付けさせる」ことの提案を基として、本を読む習慣を身に付けさせる取組を行うこととしている。
 財務内容については、平成20年度の評価委員会の評価結果を踏まえ、随意契約見直しの計画的実施については、電子複写機賃貸借契約(リース契約)を一般競争に移行し、3年間の複数年契約とし、また、光熱水料については、大学運営会議(役員会)等で、月別の状況を報告したこと等により、経費の縮減を図っている。
 自己点検・評価及び情報提供については、全卒業生・修了生を対象に教育内容・方法、社会人としての資質・教師としての資質、大学のサポート体制に関するアンケート調査「宮教大の通信簿」を実施し、その結果を分析し、今後、活用することとしている。
 その他業務運営については、外国人宿舎を改修し、体験学習のための実験・実習や教育実践研究等に使用する「青葉山体験学習室」の整備等を行っている。
 教育研究等の質の向上については、学部課程改革、教職大学院の設置、大学院修士課程の再編を通じて教員養成への取組を強化し、特に、高度教職実践専攻(教職大学院)において、オーダーメイド型カリキュラムの編成、研究・研修拠点となる学校現場との「連携協力」の強化等を通じて実践的な職業能力養成の体制、課程の構築が進められている。

 2 項目別評価

1.業務運営・財務内容等の状況

(1)業務運営の改善及び効率化に関する目標

1.運営体制の改善、2.教育研究組織の見直し、3.人事の適正化、4.事務等の効率化・合理化

平成21年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

○ 経営協議会の学外委員からの意見を基に、学生の課外におけるキャリア形成として、ICT能力やボランティア活動等を支援する組織的なシステムの整備や教員が国内外の研究機関において自己研修に専念できるサバティカル制度の導入を検討している。

○ 就職・連携室において、懸案であった関東圏の同窓会ネットワークを設置し、また、学生の就職志望を分析し、希望の多い分野を重点分野として企業等19機関を訪問している。

○ 法人支援アドバイザーとの懇談会を開催し、その際の提案「図書館を有効活用して学生に勉強させる習慣を身に付けさせる」を基に、2010年の国民読書年にも合わせ「ドクショノススメ☆プロジェクト」を企画し、本を読む習慣を身に付けさせる取組を行うこととしている。

○ 経営協議会の学外委員から出された法人運営に関する意見等、また、実際の改善への取組状況をウェブサイトで公表している。

○ 経営協議会の審議内容は、大学のウェブサイトに議事録を掲載することにより社会に広く公表している。

【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由)年度計画の記載18事項すべてが「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

(2)財務内容の改善に関する目標

1.外部研究資金その他の自己収入の増加、2.経費の抑制、3.資産の運用管理の改善

平成21年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

○ 受託事業費で新規事業である「日本/ユネスコパートナーシップ事業」に採択されたこと等により、外部資金比率は2.9%(対前年度比1.0%増)となっている。

○ 平成20年度評価結果において評価委員会が課題として指摘した、随意契約見直しの計画的実施については、一般競争入札を計画していた電子複写機賃貸借契約(リース契約)2件を一般競争に移行し、3年間の複数年契約とし、また、平成22年度に更新時期を迎える1件についても更新の前倒しを行い、一般競争による契約を締結しており、指摘に対する取組が行われている。

○ 平成20年度評価結果において評価委員会が課題として指摘した、光熱水料の縮減については、大学運営会議(役員会)等で、月別の状況について報告し、省エネルギーへの取組を要請したほか、職員が教室・廊下・トイレ等を巡回する省エネルギーパトロールを実施したこと等により約1,500万円の縮減が図られており、指摘に対する取組が行われている。

○ 中期計画における総人件費改革を踏まえた人件費削減目標の達成に向けて、着実に人件費削減が行われている。今後とも、中期目標・中期計画の達成に向け、教育研究の質の確保に配慮しつつ、人件費削減の取組を行うことが期待される。

【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由)年度計画の記載4事項すべてが「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

(3)自己点検・評価及び当該状況に係る情報の提供に関する目標

1.評価の充実、2.情報公開等の推進

平成21年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

○ 学部・大学院修士課程の全卒業生・修了生を対象に教育内容・方法、社会人としての資質・教師としての資質、大学のサポート体制に関するアンケート調査「宮教大の通信簿」を実施し、アンケート結果を分析し、活用していくこととしている。

○ 学生への情報発信機能を高めるために電子掲示板システムを導入し、学内5か所にディスプレイを設置している。

○ 附属学校の教育・研究の特色について広く社会に周知することを目的にリーフレット『附属学校園の「いま」と「これから」』を作成し、全国会議や公開研究会において配布するとともに、ウェブサイトにも掲載している。

【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由)年度計画の記載3事項すべてが「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

(4)その他業務運営に関する重要目標

1.施設設備の整備・活用等、2.安全管理

平成21年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

○ 外国人宿舎を改修し、体験学習のための実験・実習や教育実践研究等に使用する「青葉山体験学習室」の整備等を行っている。

○ 全学の施設等についての利用状況調査結果に基づき、教職大学院の学生共同研究室を配置している。

【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由)年度計画の記載4事項すべてが「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

2.教育研究等の質の向上の状況

評価委員会が平成21年度の外形的進捗状況について確認した結果、下記の事項が注目される。

○ 高度教職実践専攻(教職大学院)において、オーダーメイド型カリキュラムの編成、研究・研修拠点となる学校現場との連携協力の強化等を通じて実践的な職業能力養成の体制、課程の構築が進められている。

○ 全障害領域をカバーする大学の特長を生かした「しょうがい学生支援室」を新設し、また、障害学生支援に関する大学間の連携・協力のため16大学による障害学生支援大学長連絡会議に参加するとともに、筑波技術大学と連携協定を締結している。

○ 関東圏に就職したOB・OG学生の関東圏同窓生ネットワークを立ち上げ、情報交換できるシステムを作り、学生が安心して関東圏に就職できる基盤を整備している。

○ 図書館において、開館時間について、最終バス時間に合わせて21時30分から22時までに延長している。

○ 新たに「マルチメディア室」、「教育実践資料室」を整備して、蔵書検索機能に個人フォルダ登録等の機能を追加したほか、電動書架の改造、据置型書架の増設、図書自動貸出返却装置、閲覧机等の改善等、教育支援の機能を高めるとともに、利用者の利便性を図っている。

○ 「気仙沼市・宮城教育大学連携センター」を設置し、連携の拠点としてだけではなく、地域の自然や文化に関するデータ収集や情報発信を通して、地域の活性化の一翼を担っている。

○ 気仙沼市との連携協定の下に、気仙沼市図書館を会場に教科書展を開催し地域貢献を行うとともに、地元の仙台市民には恒例事業として、「歴史のなかの教科書シリーズ企画展」を社会科分野で実施し、常設展示でも「保健・体育教科書の変遷」を実施している。

(教員就職状況)

○ 平成21年3月卒業者(教員養成課程)の就職状況は卒業者数204名に対し、正規採用が67名、臨時的任用が59名で、平成21年教員就職率は61.8%、進学者を除くと65.6%となっている。

お問合せ先

高等教育局国立大学法人支援課国立大学法人評価委員会室

(高等教育局国立大学法人支援課国立大学法人評価委員会室)

-- 登録:平成23年12月 --