国立大学法人政策研究大学院大学の平成20年度に係る業務の実績に関する評価結果

1 全体評価

 政策研究大学院大学は、政策研究教育を通じて、我が国及び世界の民主的な統治の発展と高度化に貢献することを目的とし、政策研究の学問的確立を先導するとともに、世界的にも卓越した研究・教育を実現するための取組を進めている。
 業務運営については、「平成20年度大学運営方針重点事項」を決定し、博士課程の運営強化や特定政策課題に対応する教育プログラムの開設等、9つの目標を掲げ、戦略的な法人運営を行っている。
 一方、大学院博士課程について、平成20年度において学生収容定員が一定の充足率を満たさなかったことから、今後、速やかに、定員の充足に向け、入学定員の適正化に努めることや、入学者の学力水準に留意しつつ充足に努めることが求められる。
 財務内容については、外部資金獲得の促進を図るため、研究助成制度情報の履歴及び公募中外部資金の情報をウェブサイトに掲載するとともに、外国人教員の申請を促すため、英語で申請を受け付けている外部資金については英文での情報を提供している。
 一方、随意契約見直し計画の実施状況については、計画どおりに実施されていないことから、着実な取組が求められる。
 自己点検・評価及び情報提供については、ウェブサイトで公開している教員の活動業績について、新たに専門分野別一覧を作成するなど充実を図るとともに、研究プロジェクトとして実施される研究の成果や各教員の教育研究等に関する業績等を取りまとめた年次報告書を広く配布するなど、情報提供に取り組んでいる。
 教育研究の質の向上については、従来の修士・博士プログラムに加えて、新たに5年一貫博士プログラムである「政策分析プログラム」や、大学院修士課程において「まちづくりプログラム」を開設するなど、教育プログラムの改善充実に努めている。

2 項目別評価

1.業務運営・財務内容等の状況

(1)業務運営の改善及び効率化に関する目標

1.運営体制の改善、2.教育研究組織の見直し、3.人事の適正化、4.事務等の効率化・合理化

 平成20年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

  •  「平成20年度大学運営方針重点事項」を決定し、特定政策課題に対応する教育プログラムの開設等の目標を掲げ、戦略的な法人運営を行っている。
  •  卓越した研究・教育業績を有する研究者等を海外から招へいするための「グローバルCOE 特別招聘教員制度」を新たに創設し、1名の特別招聘教員を受け入れ、学外者も対象とした短期集中型の特別講義を実施している。
  •  教員の負担の平準化を目的として、教育及び大学運営にかかる教員業務についてポイント制の試行が行われている。

平成20年度の実績のうち、下記の事項に課題がある。

  •  大学院博士課程について、学生収容定員の充足率が90%を満たさなかったことから、今後、速やかに、定員の充足に向け、入学定員の適正化に努めることや、入学者の学力水準に留意しつつ充足に努めることが求められる。
【評定】 中期目標・中期計画の達成に向けておおむね順調に進んでいる

(理由) 年度計画の記載23事項すべてが「年度計画を上回って実施している」又は「年度計画を十分に実施している」と認められるが、大学院博士課程において学生収容定員の充足率が90%を満たさなかったこと等を総合的に勘案したことによる。

(2)財務内容の改善に関する目標

1.外部研究資金その他の自己収入の増加、2.経費の抑制、3.資産の運用管理の改善

 平成20年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

  •  外部資金獲得の促進を図るため、研究助成制度情報の履歴及び公募中外部資金の情報をウェブサイトに掲載するとともに、外国人教員の申請を促すため、英語で申請を受け付けている外部資金については英文での情報を提供している。
  •  中期計画における総人件費改革を踏まえた人件費削減目標の達成に向けて、着実に人件費削減が行われている。今後とも、中期目標・中期計画の達成に向け、教育研究の質の確保に配慮しつつ、人件費削減の取組を行うことが期待される。
  •  平成19年度評価結果において評価委員会が課題として指摘した、管理経費削減の取組については、経費区分の見直し等の取組が行われており、引き続き、管理経費削減に向けた取組が期待される。

平成20年度の実績のうち、下記の事項に課題がある。

  •  随意契約見直し計画の実施状況について、計画どおりに実施されていないことから、着実な取組が求められる。
【評定】 中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由) 年度計画の記載8事項すべてが「年度計画を上回って実施している」又は「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

(3)自己点検・評価及び当該状況に係る情報の提供に関する目標

1.評価の充実、2.情報公開等の推進

 平成20年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

  •  大学の教育プログラムについて外部評価を行い、その結果を次年度以降の運営に反映させている。
  •  研究プロジェクトとして実施される研究の成果や各教員の研究や教育、社会貢献などに関する業績等を取りまとめた年次報告書(活動報告書)を広く配布するなど、情報提供に取り組んでいる。
【評定】 中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由) 年度計画の記載8事項すべてが「年度計画を上回って実施している」又は「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

(4)その他業務運営に関する重要目標

1.施設設備の整備・活用等、2.安全管理

 平成20年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

  •  施設・設備整備委員会を整備し、計画的に改修等を行うこととし、既存の施設を活用し教育研究スペースを確保するため、大学院生研究室等の間仕切り工事等に計画的に取り組んでいる。
  •  防犯体制の整備状況の確認を行い、プライベート・ファイナンス・イニシアティブ(PFI)事業により実施する入退出管理設備の点検範囲を拡大し、防犯体制の強化が図られている。
  •  「政策研究大学院大学危機管理に関する基本方針」に基づき、全教職員、学生を対象とした防災訓練が継続的に実施されている。
【評定】 中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由) 年度計画の記載7事項すべてが「年度計画を上回って実施している」又は「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

2.教育研究等の質の向上の状況

 評価委員会が平成20年度の外形的・客観的進捗状況について確認した結果、下記の事項が注目される。

  •   英語や統計に関する事前教育の提供、コースワーク修了後の国内外の政府機関等でのインターンシップや、課程修了後にマンスフィールド財団(米国)でのインターンシップ制度を新設(公共政策プログラム)するなど、実践的な指導方法を取り入れている。
  •  従来の修士・博士プログラムに加えて、新たに5年一貫博士プログラムである「政策分析プログラム」や、大学院修士課程において「まちづくりプログラム」を開設したほか、「開発政策プログラム」において、学生及び派遣元のニーズを受け、在学期間を選択できる仕組みを設けるなど、教育プログラムの改善充実に努めている。
  •  大学独自の奨学金制度を設けるとともに、留学生の宿舎機能を中心とする国際交流施設の整備に向け取り組むなど、学生支援の充実に努めている。
  •  大学主催の同窓会を国内外で開催するとともに、同窓会ウェブサイトの充実やオンライン名簿の提供を行うなど、修了後も学生間のネットワークが維持されるよう、同窓会活動の支援を行っている。
  •  研究支援及び国際交流に関するセクションに、研究助成分野での経験が豊富で英語力堪能なスタッフを国際交流基金から人事交流で受け入れ、長として配置するとともに、新たにアジア科学教育経済発展機構(AsiaSEED)の勤務を経験した英語力堪能なスタッフを採用し、国際共同研究プロジェクトのコーディネートを行うなど、研究支援スタッフの強化・充実を図っている。
  •  研究成果であるディスカッションペーパーの公開に係る要項の学内ウェブサイト掲載や、海外での著作の出版に向けた外国語原稿の校正経費を補助するなど、研究成果の公開を促進する取組が行われている。
  •  国内外の有力な政策研究機関との連携を進めるため、参議会等を開催し、政策研究大学院機構(仮称)の形成に向けた企画・検討を行ったほか、機構創設準備を担当する機構創設準備室を設置するなど、創設準備を進めている。

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高等教育局国立大学法人支援課国立大学法人評価委員会室

(高等教育局国立大学法人支援課国立大学法人評価委員会室)

-- 登録:平成22年02月 --