国立大学法人宇都宮大学の平成20年度に係る業務の実績に関する評価結果

1 全体評価

 宇都宮大学は、広く社会に開かれた大学として、質の高い特色ある教育と研究を実践し、人類の福祉の向上と世界の平和に貢献することを基本的な目標とし、幅広く深い教養と実践的な専門性を身につけ、未来を切り開く人材の育成、持続可能な社会の形成を促す研究を中心とする高水準で特色のある研究の推進、地域社会のみならず広く国際社会に学び貢献する活動の積極的な推進に努めている。
 業務運営については、退職した教職員が報酬を受けずに教育研究活動等を行うために登録する宇都宮大学人材支援バンクを整備し、非常勤講師等として採用している。
 財務内容については、外部資金獲得に向けコーディネーターによる調整を行い、工学研究科と農学部の連携による共同申請により、研究資金を獲得している。
 その他業務運営については、学生満足度の向上、地域住民を含めた利便性の向上を図るため、民間企業(コンビニエンスストア)と複合施設の整備に関する契約を締結し、複合施設を整備している。
 教育研究の質の向上については、社会連携推進機構のウェブサイトを開設し、活動内容等を積極的に発信した結果、24の自治体が参加し、共同研究や共同事業等を実施するなど、地域連携に積極的に取り組んでいる。また、近隣自治会等の協力を得て、留学生のホームステイ事業等を実施するなど、地域社会と国際交流に取り組んでいる。

2 項目別評価

1.業務運営・財務内容等の状況

(1)業務運営の改善及び効率化に関する目標

1.運営体制の改善、2.教育研究組織の見直し、3.人事の適正化、4.事務等の効率化・合理化

 平成20年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

  •  学長室を改組して企画広報室を設置し、学生確保募集戦略の一環として、理事による栃木県内外の高校訪問を実施しているほか、大学説明会、各種広報誌について検討を重ね改善を図っている。
  •  職員ウェブサイトに、各会議の議事要録及び資料を速やかに掲載するとともに、「本学の取組み状況」等の欄を設け、有益で多様な最新情報を迅速に提供し、大学運営の透明性と情報の共有化を図っている。
  •  点検・評価の結果を受けて、キャリア教育、英語教育、産学連携等の積極的な推進のため、全学共用枠を使用した教員採用を実施している。
  •  退職した教職員が、報酬を受けないで教育研究活動等を行うために登録する宇都宮大学人材支援バンクを整備し、7名の非常勤講師等を採用している。
  •  学内に開園した保育園との連携を一層深めるとともに、出産休業等の取得中における代替職員の配置や育児休業明けの女性教員に対する特別枠を設けた資金的支援等を行っている。
  •  平成19年度評価結果において評価委員会が課題として指摘した事項については、
    • 自己点検・評価のうち組織及び運営の状況に関する事項について、経営協議会において適正に審議を行っている
    • 教員の教育研究等の成果を処遇に適切に反映する仕組みの検討については、教員の教育研究等の成果を処遇に反映させるため、関係規定の一部改正を行っている

 など、指摘に対する取組が行われている。

【評定】 中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由) 年度計画の記載54事項すべてが「年度計画を上回って実施している」又は「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

(2)財務内容の改善に関する目標

1.外部研究資金その他の自己収入の増加、2.経費の抑制、3.資産の運用管理の改善

 平成20年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

  •  共同研究の可能性がある事業について、コーディネーターが調整等を行い、工学研究科と農学部が共同申請を行うなど、外部資金獲得に向け取り組んでいる。
  •  「全学的経費節減目標(取組)」、「各部局が取り組む目標」等を策定し、効果について随時検証していくこととし、経費削減に取り組んでいる。
  •  効率的な物品の使用を図るため、「物品リユース掲示板」を構築して再利用可能な物品を全学的に公開している。
  •  中期計画における総人件費改革を踏まえた人件費削減目標の達成に向けて、着実に人件費削減が行われている。今後とも、中期目標・中期計画の達成に向け、教育研究の質の確保に配慮しつつ、人件費削減の取組を行うことが期待される。
【評定】 中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由) 年度計画の記載13事項すべてが「年度計画を上回って実施している」又は「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

(3)自己点検・評価及び当該状況に係る情報の提供に関する目標

1.評価の充実、2.情報公開等の推進

 平成20年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

  •  活動実績の自己点検・評価を実施し、「委員会の自己点検・評価結果に基づく提言」をまとめ、ウェブサイトに公開している。
  •  平成19年度評価結果で評価委員会が指摘した点検・評価活動実績の点検・評価が行われるまでには至っていないことについては、各種委員会の点検・評価活動実績の点検・評価を行い、各種委員会の在り方等についての提言を取りまとめており、指摘に対する取組が行われている。
【評定】 中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由) 年度計画の記載8事項すべてが「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

(4)その他業務運営に関する重要目標

1.施設設備の整備・活用等、2.安全管理

 平成20年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

  •  学生支援に関するアンケートを実施し、学生支援に対する満足度を取りまとめ報告書を作成したほか、サークル代表者との課外活動連絡会議を開催し、課外活動共用施設管理・運営体制の充実を図るための検討を行っている。
  •  学生満足度の向上、地域住民を含めた利便性の向上を図るため、民間企業(コンビニエンスストア)と複合施設を整備するとともに、同窓会の支援を受け、旧講堂の改修整備を行っている。
  •  情報セキュリティマネジメントシステムに関する国際標準規格(ISO27001)を取得し、さらに情報の安全性保持のため、情報セキュリティポリシーを策定している。
【評定】 中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由) 年度計画の記載26事項すべてが「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

2.教育研究等の質の向上の状況

 評価委員会が平成20年度の外形的・客観的進捗状況について確認した結果、下記の事項が注目される。

  •  各教員が実際に授業を提供できる分野の再登録を行うとともに、専門部会長の役割等、専門部会に関する要項について決定している。
  •  グレード・ポイント・トータル(GPT)・グレード・ポイント・アベレージ(GPA)制度の導入に伴う、シラバスの記入方法・内容・項目等について具体案を作成している。
  •  工学研究科の改組・大学院部局化、総合メディア基盤センターと附属図書館が連携した学術情報基盤本部の設置等、教育研究組織の見直しを行っている。
  •  キャリアアドバイザー及びキャリア教育・就職支援センター教職員による、就職・進学相談、全学部新入生対象のキャリア教育ガイダンス等を実施している。
  •  附属図書館本館は、利用者に配慮した図書館づくりの一環として、長期休業期間中も土・日・祭日の開館を継続して実施するなど、利用時間の拡大を図っている。
  •  宇都宮大学学術情報リポジトリ(UU‐AIR)で、古文書の画像データベースを公開するとともに、関連した展示会と講演会を実施している。
  •  民間企業と協力し、光学に関する大学内研究施設であるオプティクス教育研究センターを設置するとともに、寄附金による「オプティクス教育研究センター公募研究」の助成を行っている。
  •  社会連携推進機構のウェブサイトを立ち上げ、活動内容等を積極的に発信した結果、24の自治体が参加し、共同研究や共同事業等を実施することとしている。
  •  近隣自治会、国際交流団体等の協力を得て、留学生のホームステイ事業を実施するなど、地域社会と国際交流に取り組んでいる。

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高等教育局国立大学法人支援課国立大学法人評価委員会室

(高等教育局国立大学法人支援課国立大学法人評価委員会室)

-- 登録:平成22年02月 --