(議事録)障がいのある学生の修学支援に関する検討会(第4回)

【竹田座長】  それでは,ただ今から障がいのある学生の修学支援に関する検討会第4回を開催いたします。皆様には御多忙中にもかかわらず,お集まりいただきまして,誠にありがとうございます。
 初めに,前回,委員より発言がありました障害学生関連の予算等について事務局より説明を頂き,その後,前回に引き続き今後の取り組むべき課題について御議論いただく予定としております。
 なお,本検討会においては御発言される場合には,必ず挙手をした上でお名前を述べてから,御発言いただきますようお願いいたします。
 まず,配付資料について事務局より御確認をお願いいたします。

【事務局】  それでは,文部科学省学生・留学生課の森山です。本日はお暑い中お集まりいただきどうもありがとうございます。
 配付資料につきましては,議事次第のとおりとなっております。配付資料といたしまして三つ,参考資料としまして五つ,それと机上配付といたしまして渡辺委員より御提供いただきました日本福祉大学生涯学習支援センター作成の障害学生のためのキャンパスガイド及び日本福祉大学学生支援センターの年報第12号,それと,日本学生支援機構が作成しております障害学生支援についての教職員研修プログラムの三つを配付させていただいております。
 過不足等がございましたら事務局まで,議事の途中でも結構でございますので,遠慮なくお知らせいただければと思います。

【竹田座長】  それでは,早速ですが,前回,委員から発言のありましたところについて事務局より説明をお願いいたします。

【事務局】  それでは,まず,白澤委員及び殿岡委員より御発言がございました障害学生関連予算に関して,初めに国立大学について御説明をさせていただきたいと思います。

【国立大学法人支援課】  よろしくお願いいたします。国立大学法人支援課の米澤と申します。よろしくお願いします。
 私の方から,国立大学の予算の障害者の関係の予算の関係を参考資料1から沿って御説明させていただきます。22年度,23年度,24年度について,障害学生支援関連経費の予算の推移を出してございます。もともと,国立大学は御案内のとおり,国立学校特別会計という国立の時代を経て,平成16年度に法人化したという経緯があります。今,こちらは平成22年度から,特に主に直近の状況について整理させていただいておりますが,平成16年度から21年度につきましては,ほぼ22年度の姿という方向自体でよろしいです。
 その上で,平成22年度に特別運営費交付金というところで,法人化になりましたので運営費交付金ということになっておりますが,その中で大学改革共通課題分ということで法人化当時に4本の柱立てをして,留学生あるいは厚生補導,社会人,様々な政策課題につきまして,事項を立てさせていただきました。そこに障害学生学習支援等経費ということで,各大学さんの人数に応じて一定の単価を掛けたということであります。予算的には約4億円強でございます。
 それが平成23年度には教育基盤強化支援分というふうに整理されております。これは下の青い枠にも書いておりますけれども,各大学で様々なニーズがいろいろありましょうといったことで,使い勝手のいい方が良いのではないかということから,これを包括化して教育基盤強化支援分ということで,これも特別運営費交付金の中に整理させております。これも予算的には今度変わっております。
 次に,平成24年度におきましては,更に使い勝手の向上というようなところもあって,経常的なものに関しては一般運営費交付金ということで,名前は政策課題対応補正額と書いておりますが,古くは教育基盤強化支援経費ということで,これも約4億円強の予算を整備しております。ただ,これは全体ですので,このうち障害学生に関しては平成23年度は約30億の予算,平成24年度は約28億の予算の中で障害学生の関係の予算が4億円強というふうなものになっていると,そういうことであります。さらに,その上でかなり変動の大きい分につきましては青のところでありますが,特別運営費交付金ということで基盤的整備というところで,特別な支援の設備というところを予算措置を更に加えているという状況がございます。ここが平成24年度ベースでは約1億3,000万円というようなことになっております。
 現在までのスキームとしては,こういった経緯を踏まえまして経常的なものは一般運営費交付金で,年度によって増減の激しいものにつきましては,毎年度の要求ということで,青のところの特別運営費交付金でみるということになります。平成25年度も,今のところ,こういうような形のスキームで考えております。
 私の方からは以上です。

【事務局】  続きまして,私立大学について御説明を頂きます。

【私学助成課】  失礼します。私学助成課課長補佐をしております喜久里と申します。
 参考資料3を用いながら私立大学向けの関係の御説明をしたいと思っております。まず,いわゆる私学助成,ここに書いております私立大学等経常費補助の基本的な考え方でございますが,私立大学が実際に教育研究あるいは教員の給料費等,実際にかかった経費の何分の何を補助するという仕組みになっている予算ではございません。
 私学助成は,私立大学全体のいわゆる教育研究に要する支出の大体1割ぐらいしか,国の方では補助できておりませんけれども,何分の何を補助するという形ではなくて,例えば教員が一人いらっしゃったら幾ら,学生一人いらっしゃったら幾らというふうな単価をこちらで政策的に設定させていただいて,それに実際の教員数,学生数を掛けた額,これを通称,一般補助と申し上げております。これに加えて特色ある取組をしている場合,その取組に応じた加算,特別補助といわれている旨の加算をするというように,一般補助と特別補助の二段構えになっているという説明をまずいたします。
 それで,前回の会議で御指摘があって,単価の話でどういうふうな形で変化があったのかというふうな御指摘がございまして,参考資料3は4ページまでが22年度の予算の基準に関する資料,それから,5ページから8ページまでが23年度の配分基準を示しているものでございます。22年度は1枚目で書いてある特別補助と書いてございますとおり,これはそれぞれの教員数,学生数に応じた額の配分とは別に,それぞれの特色ある取組の数とか人数に応じた増額として,障害者に関する支援については支援をしておりました。
 1枚おめくりいただきまして2ページでございますが,この別表1というところは学部の部分にマーカーを引いておりますけれども,2万6,000円と書いてございます。これは冒頭に説明した一般補助の方の,これは障害者も含めて全体の学部の学生一人当たり2万6,000円を一般補助において支援をしておりました。3ページの方は特別補助の方の加算になるんですが,今,申し上げた一般補助での学生一人当たりの支援に加えて,こちらに書いてございます視覚障害学生,聴覚障害学生,肢体不自由,発達障害等々の障害のある学生を受け入れている場合については,障害のある学生の数に応じた赤い色で囲みました加算をしているということでございます。22年当時は5人まで受け入れていれば200万,10人まで受け入れていれば400万,大体一人当たり40万ぐらいの加算を左の一般補助の2万6,000円に対して加えていたという状況でございます。
 それから,4ページでございますが,障害学生を受け入れた数の問題とはまた更に別に,こちらに書いてございます7区分に相当するような取組,カウンセラーやコーディネーターの配置ですとか,バリアフリー,入学における配慮,それから,生活支援,就職支援,学内支援者等々の特色ある取組をやっている場合に,冒頭に申し上げたとおり,所要経費をあるいは所要経費の何分の何を補助するという形にはしておりませんで,これは1件当たり何かやっていると10万円,つまり,7項目を全部やっていたら10万掛ける7の70万円の補助金が大学全体に対して更に増額されると,このような形で22年度はやっておりました。
 23年度でございますが,実は私学助成全体がかなり一般補助,特別補助の組替えがございまして,単価の変動がありました。23年度の方でございますが,6ページでございますけれども,まず,一般補助における学生一人当たり,これは障害者も含めて全学生の一人当たり単価が先ほど2ページの資料では2万6,000円なっていたかと思うんですが,これを6万8,000円に上げております。加えまして右側,障害のある学生一人当たりの増額,先ほどは大体おおむね一人当たり40万を増額と申し上げたところ,80万くらいに設定させていただいているという状況でございます。したがいまして,単価の考え方が22年度から23年度にかけて少し変わっているというふうなことでございます。ちなみに,24年度はこれから決めていくわけでございますが,基本的には23年度の考え方と同様とお考えください。
 なお,もう1ページ開きまして8ページでございますが,こちらは22年度と同様に,それぞれ特色ある取組をしている場合に対する各増額,これを10万円ごとから20万円ごとに上げて,かつ7番,教員に対する配慮事項の周知,教員が障害者支援を行っていく上で,どういうノウハウを身につけておいた方がよいか,どういうふうな留意事項を知っておいた方がいいかという,いわば教員研修に資するような部分の取組をやっている場合に,プラス20万という要素を新たに22年度に比べて増やしております。
 以上が私立大学の経常費補助といわれているものに対する支援でございますが,これとは別の枠組みで施設設備の補助ということも私学助成としてやっております。それが9ページでございます。こちらの方は,実際に各大学でこういう施設整備をやりたいということに対しまして,1/2の割合で補助をさせていただくというものでございます。エコキャンパスとか耐震化とかいろいろ項目がある中で,マーカーを引いているところがバリアフリー関連,これは,例えば障害者専用トイレを整備するとかそういうことも含まれております。大体年間,大学ですと50件ぐらい申請がございます。
 通常は予算の制約がございまして,ほかの項目につきましてはある程度審査をして,これは教育研究上,効果が高いとは認められないというものは,そもそも採択しないということがあり得るんですが,バリアフリー関連についてはいい,悪いというのは基本的に評価すべきじゃないと考えておりまして,申請が上がってきたもの全部を採択するという観点で,支援をさせていただいているという状況でございます。大体年間50件ぐらいの応募が各大学からございます。
 以上が私立大学の取組に対する支援のことでございます。

【事務局】  続きまして,国立大学の文教施設の取組を御紹介申します。

【文教施設企画部計画課】  文教施設企画部計画課の小野と申します。国立大学の施設整備の予算の説明をさせていただきたいと思います。参考資料2を御覧ください。
 国立大学法人の施設の整備に係る予算というのは大きく四つに分類されます。中ほどの絵にございますけれども,まず,一つは施設整備費補助金で,これは国からの補助金でございます。補助対象は施設整備全般となっておりまして,この中でバリアフリー対応とか,そういうものも全てみられるような施設整備全般を対象とした補助金になっております。補助率は,100%の補助というような形になっております。2番目は施設費貸付金というものがございまして,これは貸付金ということで主に附属病院の整備に活用されているものでございまして,貸付金ですので各法人は返還する義務があるというようなお金でございます。3番目は施設費交付金というのがございます。これも各法人の土地処分収入が財源になっておりまして,主に小規模な施設の改修などを対象に交付させていただいている予算でございます。そのほかに自己収入ということで,各法人への寄附とか,そういうものも施設整備に活用できるような仕組みになっております。
 実際,事業を実施するに当たってどのようなプロセスを経るかといいますと,施設整備補助金による事業につきましては,毎年度,各法人から要求を受け付けまして,その上で,予算編成等を踏まえて事業が決定されるというような流れになっております。24年度の予算は国立大学法人施設整備補助金だけでいうと,約900億円の予算がついております。
 以上でございます。

【事務局】  続きまして,殿岡委員より御発言がございました大学評価・学位授与機構の評価基準について,障害のある学生についての関係箇所を抜粋したものを参考資料4というものに示しております。なお,こちらの評価基準につきましては大学評価・学位授与機構のホームページにも掲載されておりますので,御参照いただけると幸いでございます。
 資料をめくっていただきますと基準7という箇所,施設・設備及び学生支援のところで規定がされております。もう1ページめくっていただきまして,この観点のところでございますが,線を引いておりますが,まず,バリアフリー化の問題,あとは特別な支援を行うことが必要と考えられる学生の学習支援というものを適切に行うことができる状態にあって,必要に応じて学習支援が行われているか,また,下のところでは次は学生への生活支援等を適切に行うことができるか,また,必要に応じて生活支援が行われているかというところが評価の関係の規準となっているということになっております。
 続きまして,松尾委員より御発言がございました日本学生支援機構でまとめております障害学生支援についての教職員研修プログラム最終報告の冊子とDVDでございます。本資料の配布状況につきましては,平成22年3月に報道・教育機関ですとか,都道府県,政令指定都市の教育委員会などの,約1,600の機関に配布をしております。また,JASSOが行う研修会ですとか,シンポジウム等においても配布しております。活用状況につきましては網羅的に把握をしておるものではございませんが,学内のFD・SDですとかの講習会等で活用されているというふうなことでございます。
 このほか,入試の関係につきまして,机上資料といたしまして平成25年度の大学入学者選抜の受験特別措置案内を配付させていただいております。これは7月24日に大学入試センターが公表いたしました平成25年度の入試センターの試験に係る措置の案内でございます。平成24年度試験までは出願前の事前申請について,申請内容の意思決定が出願後の受験直前の12月中旬までというふうになっておりました。受験希望の受験者からの要望も踏まえまして,事前申請を1か月前倒しいたしまして8月から可能とするということと,9月5日までに申請をしていただいた方に対しては,出願前の9月下旬までに受験の有無が判断できるように,出願開始時期より前に審査結果を通知するというふうにしたことになっております。
 以上でございます。

【竹田座長】  ありがとうございました。
 それでは,前回の委員からの発言に対するただ今の事務局からの御説明に対しまして,御質問等がございましたらよろしくお願いします。白澤委員。

【白澤委員】  白澤です。予算について私立大学について2点,国立について1点,質問をさせてください。
 まず,私立大学についてなんですが,前回からよくわからない補助率のことです。額を見ると単純に2倍の額をみるようになったのだというふうにみえるのですが,このように認識して大丈夫なんでしょうか。補助率が,例えば,一人当たり80万円というふうに記載されている場合,ここに一人当たり80万円というふうに記載されておりますけれども,補助率何%を掛けて減額される80万円が上限,最大80万円というような計算になる,実際にはどの程度の金額が最低なのか,それは特別補助と一般補助で違うものなのかどうかをできればと思います。
 それから,2点目は,以前は,特別補助のものについては,全てどの大学に各項目について幾らの補助金がおりているかというのは,インターネット上で公開されていたと思うんですね。エクセルのシートで非常に細かいものが出ていたかと思うんですが,同じように経常費補助金の一般補助の方でも,同様に項目ごとの予算というのは公開されるものなのかというのをお聞きできればと思います。
 それから,もう一つ,国立については質問というよりは確認なんですけれども,一般運営交付金に組み替えられたというのは非常にすばらしいことだと思うんですね。どこの大学でも経常的に予算が組み込まれているということで,計画的に学生支援を進めていけるということだと思うんですが,こういう言い方をすると非常に申し訳ないですけれども,平成23年度の実績に基づいて,その10%減じた額を24年度に組み替えるという形になるのか,前にもお伝えしたとは思うんですけれども,ということは,23年度に予算をもらっていなかった大学や,23年度に障害学生が在籍していなかった大学の場合は,24年度以降も予算をもらえる見込みが全くないということにもなるわけですよね。
 そうしたときに,今までは障害学生が入ってくると予算が加算される,だから支援ができるというような捉え方を一般の大学はしがちだった。予算があるからやる,あるいは予算が加算されるならやるという形で取り組みがちだったけれども,それをどうこう言うのではなくて,一般運営費交付金に過去に組み入れられていようがいまいが,障害学生支援の予算というのは全ての大学に対して一般交付金の中に入れてあると,平成23年度にもしかしたら入っていなかった大学もあるかもしれないけれども,それについてもどこの大学でもきちんと一般運営費交付金の中で支援をしていくべきものなのであるという考え方に変わったのだと,そういう見方を今後はしていかなければいけないのだということになるのかなと思うんですが,その辺りの考え方を是非教えていただければなというふうに思います。
 我々が質問を受けたときに,国立大の予算はどうなっているんですかと聞かれて,ここに組み替えられているはずですといったところで,うちの大学は組み替えられていないみたいですと言われると非常に説明が難しいんですね。組み替えられていないから,できないというふうに言われてしまうことも多々あると思いますので,その際に,どのように接していっていいものなのか,是非とも教えていただけると有り難いです。

【私学助成課】  まず,私立大学関係の方から,私学助成課から回答いたします。
 まず,私学助成の仕組みの話をもう少しいたします。一般補助,特別補助という二つの大きな枠組みがあるという話をいたしました。合計3,200億円で,これは22年も23年も今年も変わっておりません。ただ,22年度は大ざっぱに申し上げて一般補助が2,100億円,特別補助が1,100億円ございました。それを23年度は一般補助2,800億円,特別補助400億円となっています。何が行われたかといいますと,特別補助のメニューが相当多岐にわたっていて,少し一般補助の方に財源を移し変えて,一般補助というのは学生の数,教員の数に応じた配分がなされるところでございますから,特別補助で何々大学を国の方から指導するという形ではなくて,私立大学がやりたいことをやらせるための仕組みにするためには,一般補助である意味,機械的に大学にいく額を増やした方が,むしろ政策的によいというふうな組織の全体の話がございまして,一般補助,特別補助の予算の組替えがございました。
 もう一つ,大きな話として一般補助は単価の話と関係してくるんですが,このとおりの額がそのまま行きません。というのは,一般補助に対しては,それぞれの大学のガバナンスの状況を勘案した,メリハリというのを行います。例えば教職員がほかの大学に比べてちょっと高い給料をもらっているとか,教員一人当たりの学生数が多くて大人数授業ばかりやっているとか,定員割れの状況が厳しいとかいうふうな状況を勘案して,そういう状況が良くない大学に対しては,調整率という形で少し掛け算をしています。つまり,一般補助については,その額がそのまま行くわけではございません。
 一方で,特別補助はそういう計算はございません。先ほどの参考資料3をもう一度,御覧いただければと思うんですが,例えば23年度で申し上げますと,23年度は全て一般補助の中で今の計算を障害者関連でやることになります。6ページで6万8,000円と。例えば学生100人の大学がいたとします。そうすると6万8,000円掛ける100,680万をまず学生経費として支援すると,それから,そのうち5人の障害のある学生を受け入れたということになりますと,右側に移りまして5掛ける80万,400万が更に追加。つまり,一般補助で1,080万,これが基礎額になります。ただ,これをそのまま満額受け取れるかどうかは大学のガバナンス次第でございまして,個別の大学でかなり差が開いてきます。したがいまして,それをかなり単価に近い形でもらっている大学もあれば,そうではない大学もあるという状況でございます。
 ただ,8ページのいわゆる障害者の数の問題とは別に,こういう取組を対応としてやっていますという分は特別補助に位置付けておりますので,ここは単価にほぼ近い額がそのまま大学にいっているというイメージで捉えていただいて結構だと思います。したがいまして,この8項目を,もし全てやっていれば160万,全体の取組の難しさを考えると微々たる額ではございますが,160万がほぼそのままいっているというふうにお考えいただいて結構かと思います。
 特別補助というのは,一応,私学事業団のホームページ上で個別にそれぞれの大学が幾らもらっているかということを公表しておりますが,障害者の学生の受入れによって具体的に幾ら加算されたか,これは一般補助の方に,ほかにポスドクですとか,ICT整備とか,ほかの政策課題と一緒に溶け込んでしまっている関係で,ここだけで幾ら最終的に実績が各大学で変わるというのが,実は23年度からは出せなくなってしまっているんですけれども,考え方はそういう形でございます。
 以上でございます。

【白澤委員】  ということは,(5)の方も公表されないということですか。

【私学助成課】  (5)の方も公表されないです。

【国立大学法人支援課】  よろしいでしょうか。国立大学の方ですけれども,もう一度,考え方を整理させていただきますと,平成22年度までは学生数に応じてというようなことでずっとやってまいりました。それだといろいろ使い勝手も悪いですし,特別という位置付けが,そもそもこれからずっと強化していかないところでどうなるかというのがあって,それで,平成23年度からまずは特別の中で,教育基盤のところで積算を包括化して,この中で各大学の実情に応じて様々に使っていただければということで,法人化の自主性にのっとって,きちんと戦略的に障害のある方に支援をしていただければいいのではないかということになっております。
 さらに,一般運営費交付金のところで特別というということで,まず,一般運営費交付金の方で更に包括化をするということで,少し予算は下がって大変恐縮なんですが,一般運営費交付金に位置付けをしたと。さはさりながら,設備は物によっては何千万というところもあります。500万,600万から多分,1,000万,2,000万のところもあり得ますので,それでは幾ら包括化したといっても,その時々の学生さんの状況によっては,かなりの設備を用意しなければいけないのではないかということもありまして,それに関しては各大学の要求に応じていただく仕組みということなので,そういったところから平成24年度に関して以降,経常的なものは一般運営交付金で,特に相当数字が大きいものと設備に関しては毎年の要求というような形で整理しております。
 以上です。

【竹田座長】  よろしいですか。では,吉永委員。

【吉永委員】  国立大学の施設整備について質問させてください。障害のある学生さんが入学をしてきて,その学生さんのために建物等を敷設解除しなければいけないというようなことがわかった場合については,来年度から予算がつくというふうな考え方でよろしいですか。

【国立大学法人支援課】  毎年,概算要求という作業をして,次の年度に配分するんですけれども,そのときに我々が調べをかけまして,その中でニーズがあればということですので,結論からいえば来年度ということになります。ですから,今年,また要求があれば,それは25年度要求のところに反映されると,そういう仕組みになります。

【吉永委員】  ということは,合格が決まるのは大体3月なので,実際,障害学生の入学には間に合わないですよね。

【国立大学法人支援課】  3月ですから,今は5月,6月の聴取で,この8月末に概算要求して25年度予算ということなんですけれども,大学によっては,資金に余裕があれば前倒しで先に整備するということもある程度やってきています。そういうのはよくやります。

【吉永委員】  わかりました。ありがとうございました。
 もう一つだけ質問させてください。私学助成に関して質問させてください。今,発達障害の学生に対する加算をしていただいているんですが,発達障害の加算は医学的な診断がなくても,大学の方で発達障害があるというふうに見立てて,教育上も配慮されているというふうな理解でよろしいですか。


【私学助成課】  例えば障害者手帳,障害者手帳とか,市の診断書とか,一応,これらに相当する障害をおもちだという証明を,大学の方で証明書を実際にとるかどうかは別として,しっかり確認をしてくださいねという話はしています。ただ,実際にそれで全大学が証明書とか,障害者手帳を必ず写しも含めて得ているかどうかまでは調べていませんけれども,一応,補助の条件にはさせていただいているということです。

【吉永委員】  どうもありがとうございました。

【竹田座長】  殿岡委員,お願いします。

【殿岡委員】  殿岡です。大変詳細な資料をありがとうございます。初めての委員も含めて非常に良くできていてわかりやすいと思います。その上でなかなかイメージがもてなかったんですが,一般運営費に入っている4億円と,それから,運営費交付金の中は1億3,000万円ですか,これは一口にどういう項目に分かれて入っているのかということを教えていただければと思います。

【国立大学法人支援課】  ありがとうございます。平成24年度から障害学生支援関連経費の推移の方の資料にもありますが,黄色の部分というのが経常的な経費でございますので,それに関しましてはノートテイクあるいは点字,カウンセラーなど,どういう使い方をしてもいいというもので,設備の方は,これも各大学で様々なもの,バリアフリーの講義システムの関係でありますとか,それから,拡大読書機とか,様々な要求があって,それについて毎年の要求に基づいて支援するというもので,変わったところでは,例えば高知大学さんなんていうのは,食品加工の接客の実習用プラントというような設備で,最大で5,000万から500万ぐらいで,24年度に関しては予算措置がされていると思うんです。

【殿岡委員】  そうすると,23年度から24年度にかけては1億3,000万円,実際に予算が増えたという理解でよろしいでしょうか。

【国立大学法人支援課】  包括化しているので,そこは必ずしも,というのは,単純に包括化しているのであれなんですが,平成23年度でいくと予算が基盤強化で4億8,700万です。24年度はこの黄色い中に4億3,800万,それから,設備が1億3,400万ですので,合計すると5億7,200万になりますので,そういった意味では,23年度は4億8,700万,24年度は5億7,000万ということで,増えるということはまず言えるんじゃないかと思います。

【殿岡委員】  ありがとうございます。
 それに対して私立大学に関してなんですけれども,もともとは5人単位というふうに人数の幅があったものを一人一人にしていくということと,それから,以前は確か各項目につき10万ではなくて,たしか1点,2点という形で,全体の人数に対して10%,20%と増えていたと思うんですね。だから,例えば学生が5人いて200万として,その200万に対して相談員がいたら10%とか,センター試験をやったら10%というように算定していたものが,今回,固定額という形になって,障害学生が50人いる大学も,障害学生が3人いる大学でも,基本的に金額は同額という形に変わったという理解でよろしいでしょうか。
 これは,基本的には目的を指定することはできないので,性格的にインセンティブを与えるために,こういう項目を出し始めたというふうに聞いたことがあるんですが,その考え方は変わっていないということでよろしいでしょうか。

【私学助成課】  政策的に支援をするということが基本で,おっしゃったとおり,障害者に対する支援を増額してお渡しするということ自体は,私学助成制度が始まった昭和50年からずっとやっております。ただ,今のこのような形で更にドライブをかけて支援するというのは,何年からかわからないんですが,ここ大体10年,15年では決まっております。実は大学については視覚障害学生,聴覚障害学生の定義というのはまだないのですが,特別支援学校,高校以下における定義をあえて引っ張ってきて,その方を受け入れている場合に奨励的に支援をするという仕組みを確立したという形でございます。
 22年度も1.1倍とかという形にはなっていなくて,22年度も参考資料3の3ページで申し上げますと,学生を,例えば,5人,これは一人を受け入れても5人を受け入れても200万の増額があったということ,プラス,その次の4ページでの取組をやっていれば1件で10万,7件をやっていれば70万というふうに足し算をして,それで全体で大学にお渡しするという形にはなっておりましたので,いずれにしても,私学事業団の方での政策的にこれを奨励していく考え方や,今申し上げたような形で進めているということは御理解いただければ幸いです。

【竹田座長】  よろしいでしょうか。
 それでは,本日の議事に入らせていただきたいと思います。本日は前回に引き続きまして,今後,取り組むべき課題についての議論を頂きたいと考えています。まず,初めに資料について事務局より御説明をお願いいたします。

【事務局】  それでは,御説明させていただきます。資料1でまとめさせていただいておりますので御覧いただければと思います。資料1は,前回の議論を踏まえまして,まずは現状と対応策(今後整理する課題),それと,その他の課題ということについて,竹田座長と御相談して作成をさせていただいたものになっております。
 現状といたしましては,そこに丸の三つを付けておりますが,大学等において障害学生の修学支援を担当している部署は,事務局,保健管理センターが中心ということになっています。これは机上資料に,JASSOが行いました障害のある学生の就業力の支援に関する調査という,このオレンジ色の冊子がございますが,これの22ページを見ていただければ,それぞれ,どのような部署が障害学生に対して対応を行っているかというものが出ております。
 一方で,障害学生支援室ですとか,支援委員会等を設けているという大学は約120校というふうになっております。この調査は1,200の学校に配布をいたしまして914ぐらいから回答を頂いておりますので,今のところ約1割強ぐらいしか支援室が作られていないという状況になっております。
  それと,もう一つの関連といたしましては,合理的な配慮の提供は全ての大学等が実施をすべきということです。
 対応策といたしまして,これも丸を三つ挙げさせていただいております。まず,第一に,各大学等が障害者に対して合理的配慮を提供するための前段階の取組といたしまして,情報をしっかり出して提供していくということで,担当窓口ですとか,受入れ後の支援体制ですとか,バリアフリーの状況ですとか,そういうことに関しての情報公開をしっかりするように,それを促していくということが重要ではないか。これによって合理的配慮の提供は一部の先進的な取組を行う大学等のみが実施するということではなくて,全ての大学等が実施すべき事項であるということの理解と啓発を促進するということがあります。
 やはり,義務化みたいなことをいたしましても,なかなかついてこられないというような大学もございますので,まず,啓発ですとか理解ですとか,要するに基礎的なものや,基盤的なものをきちんと作っていくことが重要ではないかというふうに考えております。また,この取組をより一層効果的に行うために,支援室ですとか,担当職員の配置の促進ですとか,また,大学評価の項目の追加というふうなことについて検討をしっかりと進めていくことが大事ではないかと考えます。
 2点目といたしましては,拠点校ですとか,大学間ネットワークというものを形成をする必要があるのではないかと考えております。自治体ですとかNPO等の地域との連携ですとか,既に先進的な取組を行っている大学等をきちんと拠点校として整備をしていくということです。好事例のモデルを各大学の方にきちんと提示をして,また,大学間のネットワークというものを形成をいたしまして,拠点校及び各大学の個別事例の情報の集積をし,これらを各大学の方に提供していくことによって,大学等の意識の改善し,高めていくということが重要ではないかと考えております。
 その他の課題でございますが,ほかにもこれ以外の課題も頂いております。それらの課題につきましては,合理的配慮をどう捉えるかとかいうふうな今後の議論を踏まえて,課題の整理していくということが大事なのではないかということを考えております。
 以上でございます。

【竹田座長】  ただ今事務局からの御説明にもあったように,短期的にはまず推し進めていくべきこととしては,各大学等での理解促進ということが非常に大事なのではないかという,そういう考えのもとに整理をさせていただきました。また,今回,この中には入っておりませんが,前回までに各委員から出していただきました課題は,いずれも非常に貴重なものばかりですので,今後の合理的配慮の議論の中で何らかの形でまとめていきたいというふうに考えております。資料1が本日の一番中心的な資料になるかと思いますが,このことにつきまして委員の中で自由に議論を進めていただければというふうに考えておりますので,よろしくお願いいたします。
 まず,初めに現状の認識ということで,委員の先生方の中で共通認識をいただけるかどうかというのも含めて御議論を頂ければと思いますが,いかがでしょうか。3点,大学等において障害学生の修学支援を担当している部署,事務局,保健管理センターが中心ということで,2番目に書いてあるとおり,障害学生支援室や支援委員会を設けている大学は,まだ少ない状況にあるというのが現状ではないかというふうに,また,この検討会の目的がそもそもそんなわけですが,今後,我が国において合理的配慮の提供というものが高等教育機関で求められるということは,既定の事実ということで動いていることですので,これは全ての大学が実施すべきことということで認識しておりますけれども,いかがでしょうか。お願いします。

【渡辺委員】  渡辺です。先回の議論からもあった今回の課題の丸の1番目,情報公開の促進に関して,参考までにということで参考資料を2冊持ってきたので,少し説明というか補足をしたいと思います。別冊の障害学生のためのキャンパスガイドというのがあるかと思いますが,日本福祉大学障害学生支援センターというやつですね。
 このキャンパスガイドについては学生と,教員と,それから高校生向けという形で作ってあります。これは本になっているので,毎年更新はしているんですけれども,年度途中で更新される場合がありますので,この情報についてはホームページでテキストデータと,それから,字幕つきの動画で情報公開をしているというところです。ですので,高校生とか,これから大学に入学してくるという学生であったり,それから,学ぼうという学生に関してはオンデマンドという状態で,学べる状態で情報公開をしています。
 あと,別冊で,考えてみよう,書いてみようというものが入っていると思いますけれども,最近は入学してきてから対応というよりも,情報公開という意味でいうと,オープンキャンパスであったり,あるいは,事前の進学相談の中で,高校生にこういった別冊の資料を書いてきてもらって,事前に相談にのるとか,あるいは,指定校推薦であったり,AO入試で早めに入学が決まった学生に関しては,こういった資料をもとにしてセルフコーディネートしていこうということで,何回か,面談を繰り返していったり,あるいは,学内だけの支援ではなくて,実際,遠くから来る学生だと下宿を決めていないのに入学してきた子とかがいっぱいいるので,そういったところで生活していくためにも,こういった資料を使って相談にのったりしています。
 それから,先にざっとキャンパスガイドの39ページを見ていただきますと,障害学生支援センターの運営について載っています。多分,この後の議論でずっと出てくると思うんですけれども,障害学生支援センターを設置した場合に,多分,ここにいらっしゃる皆さんの共通認識だと思いますが,とりあえず職員を配置したというのではなくて,学内のどういう委員で構成するかとか,どういう関係部署とか,どういうメンバーでやるかというのが非常に大事になってくるんじゃないかなと思います。福祉大学の場合は教職員が交じるのと,それから,書いていないんですけれども,現在,入学広報課の入試の担当の者も一緒に入ってやっています。ですので,日ごろの困ったことであるとか,それから,次年度に向けていった取組については,こういったところで議論をしていくと。それから,入試等があることによって,ここでの対応である程度の部分を行っています。
 参考までにまた見ていただければと思います。
 以上です。

【竹田座長】  ありがとうございました。
 そのほかはいかがでしょうか。先ほど現状の話をしておりましたが,対応策の課題等については今後も議論を進めていきたいと思いますが,現状の認識に関しては特に御異論はないのではないかなと思います。殿岡委員,お願いします。

【殿岡委員】  殿岡です。現状の施設の確認なんですけれども,丸の1,大学等において障害学生を担当している部署ということと,それから,丸の2,障害学生支援室や支援委員会を設けている大学,これの違いによって,支援室の在り方が異なるという認識を確認する必要があります。ちょっと読むと,支援室の所管が事務局や保健管理センターが多いような印象をもたれる方もいらっしゃると思うんですよ。これには,二つの流れがありまして,一つは,支援室が事務局だったとしても担当の副学長がいたり,全学の取組だとしても結果として事務局に集約されている場合と,支援室も支援委員会もなくて,しようがないから保健管理センターで,とか事務局でちょっと担当してよとか,何か聞かれたらそれに答えてよ,といったように,事務局が何か委員会を所管しているわけでない場合と,実は,ここの認識がなかなか難しいんですよね。この辺はきちっと分けていかないとと思いまして,その辺りについて少し前段のところでコメントさせていただきました。

【竹田座長】  ありがとうございました。殿岡委員がおっしゃるように名称が同じでも,支援室の中身については異なり,大学さんによっては全然違ったものを指していたりとか,あるいは保健管理センターの一部門として室という名前を付けたりとか,一方で全学的な組織として副学長をトップにしていたりとか,専任の室長がいたり,様々だと思うんですね。ですので,ある程度,内容というか,そういったものについてはきちんと定義付けした上で並行して実態把握というものを進めていくのが必要かなというふうに思います。ありがとうございます。

【殿岡委員】  したがって,支援室や支援課の所管を事務局や保健管理センターが応じているのは間違いということで確認させていただきます。

【竹田座長】  近藤委員,お願いします。

【近藤委員】  近藤です。今の殿岡委員の御意見に関連してですけれども,なので,サポートするようなことになると思いますが,例えば実際に障害学生の支援を担当しているというよりも,実際には相談という形でくることが多いんですけれども,実際,相談を受けたとしても例えば,紙の資料が読めませんといったときに,具体的にそれでは何らかの別のフォーマットのものを提供して読めるようにしましょうというふうに,具体的なサポート技術,対処方法の提供ができるということと,そのときに,例えば,学習の困難などから二次障害的に,例えばうつ的な状況を併発していたりして,そのために相談にのれるということ,それは全く別のことですので,いわゆる抑うつ的な状況になったものの相談にのることは,例えば保健管理センターのサポートができているけれども,具体的な例えば新技術の利用であるとか,そういったもののサポートといったことができるかどうかということは,相談部署のもっている機能として,明確に何らかの形で定義しておくことは必要だというふうに私も思います。特にアクセシビリティのことで,その辺りの部分というのはしっかりとイメージできるような形になった方が私もいいと強く思いました。

【竹田座長】  ありがとうございました。
 歴史的に保健管理センターの整備等は各大学で普及しておりますので,どこの大学も多分,同じだと思いますけれども,本学でも保健管理センターでカウンセリング業務的なものあるいは精神科医の常駐というものがありますので,そういう相談業務はかなり普及してきていると思うんですね。そこへ障害学生支援室というものが整備される中で,特に発達障害を中心に,いわゆるメンタル面の相談業務のようなものも入りつつあるんですね。それから,一方で,今,近藤委員がおっしゃったような,いわゆる技術的な支援の相談に加えてメンタルな相談等も入ってきた場合に,どういうふうに連携したらいいかということや,あるいは,どういうふうに同じ学内で役割分担というか,障害学生支援室の位置付けというか,機能の明確化みたいなものは,議論の中ではある程度入れておいた方がいいのかなというふうに考えております。
 そのほか,いかがでしょうか。では,福永委員お願いします。

【福永委員】  福永です。私の実体験なんですけれども,実はこの委員会に参加するに当たって,自分自身が,自分の大学がどういう状況にあるのかというのを勉強したかというと,最初に,うちだと関係あるのが入試課と教育を主にやっている教育支援課,それから学生支援と生活支援をしている学生支援課と三つの課があって,最初に学生支援課長に電話をして,僕は勉強したいんだと電話をしたら,これについては入試課ですねとか,そういう話になるんですね。そんなことを言われても僕は困るよという話をして,学生支援課長に非常に動いていただいて3人の課長さんを集めていただいて勉強会をさせていただいたという,そういうふうな経緯があります。
 保健管理センターというのは学生支援課の下になっているので,恐らく学生の相談とかを受けるのは保健管理センターだと思うんですけれども,いろんな講習会とかもやっているんですが,それが,例えば,入試課とかにまたがってくると,なかなか情報が伝わらないのではないかというのを非常に実感として感じたんですね。
 ですから,そういう意味では大学の体制の整備といいますか,それは,それぞれでやっておられるわけですが,これはここが対応してください,ここが対応してくださいというように切り分けをするようなところがないというのが私たちぐらいの規模の大学というか,特に重点校ではないところの実情なんだなというのを実際に感じたわけです。ですから,ここのところに三つほどありますけれども,情報公開を通じて,そういう整備をしていただいて,整備をするようなことをシステムとして促すような,そういう報告書が書ければいいのではないかということを非常に感じました。

【竹田座長】  ありがとうございました。
  広瀬委員,お願いいたします。

【広瀬委員】  放送大学の広瀬です。今までも担当窓口というのは何らかの形で置いてあるところが多かったんですけれども,ここを考える場合に三つの視点が大切だと思います。一つは支援の継続性,それから,ノウハウの継続性,そういうものが3年ぐらいの非常勤の方がとても一生懸命やってくださるのに,それ以上,雇用が続かないなんていうことで,ノウハウが散り散りになって,また,学生さんも,あるときは視覚障害者がいて,あるときは聴覚障害者がいても,必ず毎年いるわけではないので,またノウハウが散り散りになってなくなってしまう。それがまず一つ,継続性という問題があると思うんです。
 それから,もう一つは情報の共有です。これも継続性に関わるんですけれども,この大学で,一体過去に何人サポートしたか,それをどういうふうにしたか,どういったところと連携したかという,そういった情報も残っていないんですね。文科省の人事で変わってきて新しい方が来られても,全く引継ぎが行われていないということはよくあることです。これも継続性と情報の共有。それから,実際の有用性ということで考えていくと,コピーにしても,あるいはテキストファイルにするとかという,そういった細やかな実際に役立つことができるか。こういうことのノウハウも継続的に共有していかないといけないと思うんです。
 ですけれども,今,ここで担当者の窓口とか,受入れの支援体制といったところで,一番我々が考えなくてはいけないのは,これを一番安易に,一番アリバイとしてやるにはどうするかということをまず逆に考えた方がいいと思うんです。そこをさせないということを明確にする。今までも幾らでもあるんですね。火の用心の取扱い責任者とか幾らでもできます。でも,本気かということを確かめるために一番我々が思考実験するのは,一番,これをお気楽に手抜きでやる方法を考える,それから,逆にそれを潰していく。それをやっていったらいかがかと思います。

【竹田座長】  それでは,白澤委員,お願いします。

【白澤委員】  確認させてほしいんですが,対応策のところの情報を提供するよう促すことが重要という部分について,情報を提供するということは,何が,どこに,どうやって情報提供するというのを想定されて書いているのかがよくわからずに,議論に乗り切れずにいるのですが,教えていただけないでしょうか。

【竹田座長】  では,事務局の方から補足を頂きましょう。

【事務局】  まずは一元的といいますか,最初は各大学がきちんと障害のある学生に対して社会に対して情報提供する。それはホームページであったりとか,あとは冊子でも何でもいいんですけれども,その次の段階としては,それらを,例えばですけれども,日本学生支援機構がそういうふうなものをまとめて,しっかり高校ですとか,そういうところに,こういうふうな大学にはこういうふうな支援が行われていますというのをまとめて,情報提供するというふうな二つの段階があるのではないかというふうに思っております。

【広瀬委員】  ちょっといいですか。情報の提供の場合に一番大切なのは,本学に何人の障害者がいて,どういう支援が行われているか,あるいは行われていないか,つまり,白書のようなものが一番最初に必要なんじゃないでしょうか。それを毎年じゃなくてもいいけれども,イギリスなんかでは2年,あるいは,3年に一度,ホワイトペーパーという形で文科省のようなところが取りまとめています。

【事務局】  現実的に,今,データとしては学生支援機構が行っております障害者の状況調査というのがございます。あれは全ての大学から100%の回収率ではありませんで,どこの大学に,どれだけの障害のある学生さんがいらっしゃるかというふうなことは示すことはできますが,まだ,それを大学の方に個別に出すというふうなことで,データをとっているわけではございませんので,そこは各大学の理解が必要になってくるのではないかなと思いますが,現状としては,そういうことは理解が得られれば可能だというように思います。

【竹田座長】  近藤委員,お願いします。

【近藤委員】  先ほども福永委員からもお話があって,あと,広瀬委員がおっしゃったことと関係するんですけれども,基本的な考え方として,ここで議論しているものというのは合理的配慮のお話なので,例えば付加的な学習支援であるとか,付加的な相談サービスというものとは意味が違うと思うんです。
 なので,例えば,今日,最初のところで大学評価基準のものをお配りいただいていますけれども,その中で例えば7-2-丸2番のところに,基本的な観点として特別な支援を行うことが必要とされる学生への学習支援を適切に行うことのできる状況にありといったような文言がありますけれども,合理的配慮というのは基本的にこのようなものではなくて,例えば7-1-丸3にあるような図書館の整備であるとか,あとは7-1-丸2にあるようなICT環境の整備であるとか,それについての学生に対して提供されている基本的な設備であったりサービスに,障害のある学生も同じようにアクセスできる必要がある。そのための環境を構築するべきものであって,飽くまでも付加的な相談であるとか,付加的なサポートとは趣が違うと思うんですね。
 そうすると,先ほど福永委員の方から入試とばらばらになってしまうんじゃないかといったような御指摘がありましたけれども,本来,障害のある学生もない学生もアクセスすべき活動の対象というのは何なのかということが分かれば,基本的には入試であるとか,それから,採用に関わる部分,その部分は外すことはできないですし,その他,例えば図書館とか,教材の利用であるとか,あと,授業への参加であるとか,建物への参加というふうに,基本的な大学のアクティビティとして参加しなければならない対象は何なのかということがイメージできると思う。そこに対してどんな支援体制が必要なのかという枠組みに落とし込んでいけると思うので,基本的にはこの評価基準の部分というのは,いわゆる障害のある学生のアクセシビリティを含めたものになっていく必要があるというふうに考えています。
 そこを踏まえた上で議論しないと,例えば非常にノートテイクサービスがあるか,ないかとか,そういうさまつなサービスの有無みたいなものになってしまう。そうではなくて,本質的にはこういったものに対してアクセス可能になっているということはちゃんとしなければ,例えば広瀬先生が先ほどおっしゃったような言い訳のような,とりあえずサービスの項目だけを作っておくというようなことになってしまうと思うので,この辺りを何とか,この情報公開のところでどんな項目を情報公開しなければいけないかということを規定することで,結果として義務化ではないけれども,明確にそのような枠組みを作ることといったような啓発はできると思います。ただ,規定する項目についてはかなり委員の皆さんで工夫をして作らないといけないなというふうに,感想になりますけれどもそのように思いました。

【竹田座長】  ありがとうございました。
 それでは,殿岡委員,お願いします。

【殿岡委員】  先ほどは現状の部分についてお話ししましたので,対応策のところについてですけれども,まず,情報公開で大切なことが一つ残っています。それは門戸開放,うちの大学は障害者を受け入れますよという宣言ですね,つまり,障害者が入学できるんだということが明確にわからないと,入学を希望するというところに至らないわけです。また,現在は障害のある学生を全員お断りしていても,その情報については何も出てこないわけですね。それで大学の施設が見えてこない。障害をもった学生を受け入れますよという宣言は,最も基本的な情報公開の一つであるというふうに考えております。
 私どもは過去15年間にわたって,障害者に向けた大学案内のための調査を,大学名を公開したらどうかということでやってきているわけですね。回答としては6割いくか,いかないかということで,もちろん出した人間が様々ですけれども,全ての回答を公開するという前提の中で,何をどう考えているかというのは把握できているわけですね。こういったことは是非今後も協力して前に進めていく中で,きちっと情報が明らかになるといいと思います。私はこの秋からまた新しい調査をやって,何とか年度末までに何らかの方法が見えて,この検討会で報告できたらいいなとは思っています。
 その上で,先ほど広瀬先生がおっしゃったことと関連して,担当者の窓口とか,受入れ校の支援体制とかの定義をいかにするかということですが,障害学生支援センターというのは障害学生を取りまとめているところであれば,障害学生支援委員会というのは,それを取りまとめているものに対する決定機構と実施機構というような定義付けですが,また,担当窓口,これは本当にいろいろな場合があるけれども,障害学生について最初の対応をどこがやるかということ,これは別に最後まで対応しなくてもよくて,最低でも最初の窓口はここで,統括する部署はここで,そして,事業を決定する場所はここだという言葉の意味付け,これをいかにできるかで,それが前に進む原動力になるのかなと,そういうふうに思います。
 支援センターという名前がついていても,最初,窓口だけじゃなくて学内の実務を統括していなければ,それは支援室という定義にはならないので,名称と機構がきちっと積み上げられるかがポイントかなと思っています。
 以上です。

【竹田座長】  ありがとうございました。
 中野委員,お願いします。

【中野委員】  対応策の議論でよろしいわけですね。対応策の議論のところで,先ほど殿岡委員から言われた話というのは,多分,多くの大学からすると余りインセンティブにならない。障害者白書の中にうちの大学が載っているかどうかというのは,障害者の受入れを余り考えていない大学は,うちが載っていないのは当たり前という態度になってしまうので,これは多分インセンティブにならないんじゃないかなと私は思います。むしろ,必要なことは,どんな大学も必ずこの問題に取り組む必要性があるんだというふうに管理者が思うような,そういう取組が必要だと思います。
 ここに挙げていただいた,まず情報公開をやりましょうというのは私は大賛成で,その中で殿岡委員が最初の方に言われたポリシー,うちの大学として障害学生支援をやりますというのは前提になっているはずなので,どのように障害学生支援に取り組むかということを必ずポリシーとして,できれば学長のお名前で出していただくということを全ての大学にまずはやっていただきたいなと思います。そこで表明すれば,それなりの対応をそれぞれの大学の中でやらざるを得ない,若しくはやりたい人が学長の言葉として,こういう言葉があるから,是非進めましょうよという話を進められると思いますので,ポリシーは是非この中に入れていただきたいなというふうに思います。
 それから,そのポリシーを実現するために,助成制度をこのように利用すればできるんだということを大学に対して明確に指示していただきたいなとも思います。多分,管理者の中でも障害のある学生を支援するために助成制度を一生懸命探して,うまくやってくれている人というのは,もしかしたらすごく少ないのではないでしょうか。とてもいい方がやってくださってそれを調べてくれるんですが,そうじゃない場合というのはなかなか調べてもらえませんし,もしかしたら学長レベルの方々の中に,こういう助成制度が使えるんだということを明確に意識しておられない方もおられるのではないかなというふうに思います。明確にこういう援助があるので,是非とも積極的にポリシーを出してください,そういうふうに言われればできるところが出てくるのではないかなというふうに思っています。
 2番目に挙がっている支援室についても,それから担当教員についても大賛成なんですが,支援室や担当者を置くことの必要性というのがどこにあるのかということを,障害学生の支援を余り積極的に考えていない大学にもわかるように指示していただきたいなと思うんですね。例えばうちの大学の場合は,ちゃんと委員会を立ち上げていて,その最大のポリシーは障害学生というのは特別な人が支援するものではない,それぞれの教員,それぞれの事務員が,それぞれの自分の仕事として,ほかの学生と同じように対応することこそが大切なんだという理念のもとに,特別な支援室を置かないというポリシーがあるんですね。
 これはこれでいいのですが,実務をやっていると支援室が欲しいんです。私としても欲しいんです。どうしてかというと,広瀬委員が言われたノウハウの蓄積がなかなかできないというところに問題があるので,理念としてそれぞれの担当者が障害学生を担当しますという理念がありながら,それを束ねてずっと続けていくためには,支援室という組織や担当者というのをちゃんと置くことが重要なので,是非ともそれが実現できるように各大学で努力してくださいというような書き方をされると,移行しやすいかなというふうに思っております。
 以上です。

【竹田座長】  ありがとうございました。
 白澤委員,お願いします。

【白澤委員】  白澤です。同じところなんですが,先生方がおっしゃるとおり,担当者というのは一体何をする担当者なのか,インテイクをする担当者があって,さらに,支援がきちんと行われているかどうかを監視し責任をもつ担当者を置かなければいけないとか,あるいは支援体制といったときにも,補聴器の使用を認めるとか,席を前に配置するというのが支援体制に組まれてしまうんですね。そこで,逃げ道にしないためには,例えば,授業に対する支援体制といったときに,授業に対するアクセス保障や教材に対する保障などということで,きちんとここをしなければいけないということを明示的に示し,それについてどのような対策をとるかを各大学で考えさせるようなきめ細かな指示が必要になるのではないかというふうに感じます。
 あわせて,これを文科省から大学に情報提供させるようにどういうふうに促していくのかなという点について,是非とも文科省の方からは,各大学に対して通知を出していただきたいなというふうに思います。その中には,障害者の権利条約が制定されて我が国が批准を目指していること,そして障害者基本法の中で教育に対してどのような説明がなされていて,第16条を具体化するために,今我々が取り組んでいるのだということ。先頃,4月23日に発表された中教審の答申の中では,障害のある学生を積極的に大学に入学させて,そして,特別支援学校で送り出していかなければいけないということが明記されていますし,教員養成校を中心に,高等教育の中でも合理的配慮についての普及啓発を行っていくことが望ましいというところまで,かなり踏み込んで文章化されています。
 そうした流れを受けて,高等教育機関でも合理的配慮を進めていく必要があるということについて,文科省の中では,今,具体的に検討中であり,そうした流れを受けて大学ではこうした情報提供をしていってほしいというような,きちっとした文科省の姿勢というのを示していただきたいんですね。各大学が障害学生支援に対してずっと言い訳を繰り返しているのではなく,新しい一歩を踏み出せるような決意を抱かせるような通知を,是非とも出していただけると有り難いなというふうに思います。

【事務局】  我々がこの委員会を開いている趣旨も,まさに今,白澤先生が言われたとおりでありますので,通知という形なのかどうかは別として,大学にそういったことを促していくというのは,我々のこの委員会の趣旨であります。したがって,やり方についてはいろいろあろうかと思いますし,また,例えばいろんな予算の枠組みであるとか,あるいは25年度の予算であるとか,そういったことでも出せるメッセージは出していきたいと思っております。
 ただ,一方で,ここで様々なことが議論されている中で,いろいろなことを一足飛びに何かやろうとすると,そこには現実の問題があろうか思いますので,理想を掲げながら,いかに現実から一歩一歩進めていくかということは考えていかないと,いかなるものも現実と理想というのはありますので,そこを埋めていく方法を考えていくということが我々に重要で,そのためにいろいろな手法を考えていきたいというふうに思っておりますので,よろしくお願いいたします。

【竹田座長】  巖淵委員,お願いいたします。

【巖淵委員】  巖淵です。私も白澤委員の意見に賛成で,情報提供するよう促すという資料を,是非国が合理的配慮の提供ということを公的に認めるというか,推進するという国際的な機運の高まりに合わせた活動を,大学に向けてはもちろんのこと,広く国民に知らせるというか,こういう活動も国として取り組みますといったような周知の方法をお考えいただければなと思います。
 近藤委員の方からもありましたけれども,合理的配慮という観点からいくと,確かに予算措置,今,実質的には少し年度が遅れる形にはなっていますけれども,障害者差別禁止法がないこの我が国ではありますけれども,基本的に合理的配慮によってアクセスを保障するという観点からいきますと,障害のある学生がいる,いないにかかわらず,試験から既に備えておくといったことで,障害学生がいなくても担当の窓口はあるべきだし,受入れも支援体制も整えるというのは,考えておくといったような促し方を是非考えていきたいなと思います。
 以上です。

【竹田座長】  ありがとうございました。
 近藤委員。

【近藤委員】  一足飛びの議論はすべきではないという形にできればというのは承知しておりますが,例えばの質問なんですが,大学の評価基準の中に合理的配慮に関することというのを明示的に盛り込むという可能性,もちろん将来的にでも構わないんですが,可能かどうかというのを質問させていただきたいんですけれども。

【事務局】  今,評価についてはいろいろな指標の開発について,今,ちょうど,具体的に調査をしている段階でありますので,その中でうまく盛り込めるような形であればというふうに思っています。ただ,どういった形で本当にできるかどうかというのは,今調査中ですので,それを待ちたいと思っておりますが。

【近藤委員】  近藤ですけれども,先ほど申し上げたように,例えば図書館であるとか,施設であるとか,あと,教育研究活動について快適なサポートではなくて,それにそもそもアクセス可能になっているかということなので,基本的な変更をする必要があると思っています。なので,この部分は是非引き続き御報告いただければと思います。

【竹田座長】  福永委員。

【福永委員】  先ほどどうやって大学にこういう配慮を促すのかというお話がありましたけれども,評価基準に入っているのは大学のガバナンスにとって非常に強いメッセージであるという感じで,ここに,今たまたま大学評価機構の基準が出ていますけれども,幾つか評価機構があります。ここだけではありません,ほかにもありますが,今,全部が入っているかどうか資料がないのでわからないのですが,これは認証評価の規準ですからペケがつくと認証されないので,特にそういう文言が具体的に入ってくるというのは,大学のガバナンスにとっては,すごいドライビングフォースだと私は思います。

【竹田座長】  松尾委員,先にお願いします。

【松尾委員】  松尾です。高専という立場ですので大学と立場は違いますが,対応策を読ませていただいて,評価項目に入れていただけると学校の動きが全然変わってくると私も思います。高専の場合は,4年生,5年生,あと,高校専門科1年,2年は多分JABEEに入っていないんじゃないかなと思います。あと,1年,2年,3年は認証評価という,これも多分入っていないんじゃないかなと思うのですが,こういうのも学校の評価に関わるんだということを入れていただくと教職員の意識もかなり変わってくるかなというふうに思います。
 あと,大学の先生方もそうかもしれませんが,私どもには高専の教諭には自己評価チェックリストというのが回ってきて,点数化するようになっていて,留学生の対応とかいうのは項目に入っているんですけれども,障害学生に対応したかとかいうのは全くないんですよね。そういう自己評価のチェックリストに入っているだけでも,教職員の意識はかなり変わってくるんじゃないかと。これは是非啓発・理解の促進になると私自身は思いますのでお願いしたいということです。
 あと,組織の関係がわからないんですが,高専は高専機構で,そこに校長会というのがあって,校長会で審議されることが結構大きいので,文科省の方から指導していただいて,高専機構を介して校長会にそういう通達を出していただけると,高専の障害学生に対する対応はかなり変わってくる。評価というものには,学校は非常に敏感になりますので,評価項目にそれが入るんだということで,学校の中がかなり動けるというのはあるかと思いますので,是非お願いしたいと思います。

【竹田座長】  石川委員,お願いします。

【石川委員】  石川です。もし,今すぐ評価項目に入れるのがなかなか難しいということがあればなんですけれども,評価項目にごく近いうちに入れますよという,1年とか2年ぐらい先には評価項目に加わるんだというメッセージを入れながら,各大学の障害学生支援のポリシーなり,ビジョンを示してください。と同時に,アクションプランといいますか,どうやってそれを実現する,そのための体制とか準備とか,どういうふうにして進めていこうとしているのかということを報告してください,というように,とりあえず出すのは妥協的過ぎますでしょうか。
 私は地方の小さな公立大学に属していて,今評価するとなると,アドホックに学生が入ってきたときに場当たり的に対応してそれこそノウハウも残らないし,その時々に生きていくことを何とかやっているという状態なので,いきなり評価と言われて多くの大学は相当衝撃を受けたということと,それから,同時に先進的な,大体,そういうとき,例えばファカルティ・ディベロップメントもそうですし,自己評価のときもそうなんですけれども,多くの大学はほかの大学はどうしているかということをまず調べて,ここもやっている,あそこもやっている,あとやっていないのはこことここぐらいというような話をして,ではやらなければいけないなみたいなというふうになりますので,先進的なモデルをまず先行して出していただいて,こういうふうに書くのかとか,アクションプランはこういうふうに書いているんだなという,クリアしなければならないハードルを,まずは示して,そして,こういった報告を出していただくみたいな段取りはどうかなというふうに思うのですが。

【竹田座長】  ありがとうございました。
 大島委員,お願いします。

【大島委員】  大島でございます。先生方がおっしゃる評価の件は本当にそのとおりだというふうに思うんですけれども,以前も議論といいますか,お話があったかと思うんですが,私立大学の補助金について大変明確に何人,また補助率で何%掛けるということが決まっていますので,その補助金を出す際の義務としての情報公開だったりとかということが可能そうなのか,また,そういったほかの項目では,そういう義務があっての補助金になっているというような項目があるのかというのがわかれば,是非教えていただきたいと思ったんですが,いかがでしょうか。

【事務局】  次回までに調べて御回答いたします。

【大島委員】  先ほどの,ガバナンスのところの率についてすごくわかりやすいお話でしたので,お金をもらう以上は義務ということはすごくわかりやすいかなと思うので,是非お調べいただければと思います。お願いいたします。

【渡辺委員】  渡辺です。今,大島委員が言われたことを僕も言おうかなと思っていたんですけれども,受入れに対してポリシーを出していくことに僕は大賛成です。ただ,国公立大学はいいのかもしれないんですが,例えば私立大学の場合,受け入れないというポリシーも有りじゃないかなと思うんですね。うちは来てもらわなくて結構ですと。
 それもある意味ポリシーだとするならば,そうではなくて障害があろうがなかろうがきちっと学ぶ権利はあって,障害の有無にかかわらず,教育の権利であったり研究する権利もあるわけだから,そういうことをきちっと保障するという意味では,私立大学なので,塾だとしたら受け入れないというポリシーだったとしても,教育という観点に立てば,もっと,今回でいうと権利条約ということになると思うんですけれども,そこできちっと受け入れなければならないということは,はっきり僕は明示した方がいいと思うんです。
 それに対するペナルティといいますかね,ということは,さっき言ったような補助金がカットされるだとか,評価で落ちるというところというのはすごくなるんですけれども,そういうネガティブにできるだけもっていかないように,きちっとポリシーを出すというところに関しては,もっと上位の法律であったり条約というところできちっと打ち出した方がいいと思います。
 それともう一つ,ではどうやって受け入れるかとなってくると,どうしても技術論になってしまうと思うんですね。例えば聴覚障害の学生が来るというときにどうやって受け入れるかというのは,それはできる大学とできない大学もあるし,それから,ノートテイクができるから終わりというわけじゃなくて,というように,技術論が走るのが一番,逆に障害という枠に押し込めてしまう気がしてしまうんですね。だから,対応策というのは議論,そういう余地ではなくて,自分のいる大学でも福祉の専門家がたくさんいるにもかかわらず,合理的配慮ということに関してすごく議論は分かれるところなんですね。インチキじゃないかと思う教職員もいたり,それはしてあげなくてはいけないだろうという人もいるだろうし,もっと言うならば,人間的慈悲の心というか,優しい心でやっている人もいると思うんですよ。
 そうではなくて合理的となってくると,誰が見てもそれは明らかに合理的であるというところというのは,いろいろ議論が分かれてくると思うので,逆に現段階では合理的配慮とはというところの議論を生むようなところについて,例えば,ガイドブックであったり,合理的配慮をどう思うかという議論をするというところから,まず,始めてはどうかなというふうに思っています。そのための情報公開として,取り組まれている大学の事例であるとか,それから支援センターなり,支援組織の持ち方のモデルケースみたいなものを出すとかいうところにする期間というか,議論をもつ期間というのは,僕は少し必要かなと思います。

【竹田座長】  合理的配慮の議論は今後,非常に重要な課題で,今まで広瀬委員や近藤委員の方からもありましたように,多分,欧米,特に米国の合理的配慮と全く同等に扱えるかどうかという辺りは,法的バックグラウンドが異なるので議論を深めていきたいと思いますし,また,バックグラウンドを広く啓発した上で,各大学にインセンティブなり,ドライビングフォースという言葉がありましたけれども,それをいかに戦略的にやるかということが一番最も結果的には効率的なのではないかなというふうに思います。それが結果として,それぞれの大学にとってどういうふうに指示するかということは,それぞれガバナンスというか,経営者の方,あるいは,代表者の方がそれぞれ考えて,実施していくことにはなるかと思います。
 その前段階としては,そのバックグラウンド,権利条約の批准ということを見据えたバックグラウンドを啓発して,国民的なコンセンサスが進むにつれて大学もやらざるを得ないというような,多分流れとしてはそういうふうになっていくのかなというふうに思います。それを見据えた議論を進めて,日本での合理的配慮の在り方については,ここで方向性を決めていければなというふうに,多分,米国と同じではないのかなというふうに思いますが,広瀬委員,近藤委員からお願いします。今後,次回以降,更に議論したいなと思います。
 お願いします。

【広瀬委員】  今,言ったことはとても大切なことなんですが,例えば私がアメリカの大学のホームページ,ヨーロッパの大学のホームページを見ますと,ホームページの中にはディスアビリティサービスで検索すると必ずそこに行きます。そこには電話番号が書いてあって,メールアドレスがあって,会える時間が書いてあります。これがない大学は全くない。全部の大学に必ずある。これは,今,大学でホームページを持っていないところはないんじゃないかと思うので,例えばこれを義務付けるというのがあるかと思います。
 それから,もう一つ,権利条約という形で大学に言っていくのはとても大切なことですけれども,学長会議のときなどに,是非言っていただきたいのは,ヨーロッパではエラスムス計画というのがあって,皆さん,御存じだと思いますけれども,ヨーロッパのEUの国の中で,どこの国に行っても同じような障害学生へのサービス,学生だけじゃなくて教職員,職員に対するサービスを受けることができます。ということは,知性のある学生,教職員,専門家たちがヨーロッパ中,どこに行っても最低限のサービスは水準化されるということなんです。それはアメリカもそうです。
 そうすると,日本の大学は世界の大学の中でどれだけのランキングかとよく話題になりますけれども,これでは日本の大学にちょっと障害をもっていらっしゃる先生たちは来るわけがない。これは数から言ってもそうですし,これは世界の大学の中で日本の大学のプレゼンスを上げるというアカデミックな意味でも,とても大切なことなんだということを,是非学長会議とかそういうところで訴えていただけたらというふうに思います。
 そのEUのホームページについて,それはもし次回に皆様にお知らせできればすぐそこに入れて,25か国の全部の国の大学のディスアビリティに対する情報がばっと出てきます。それほど重要なんだということをわかっていただきたいというふうに思います。

【竹田座長】  殿岡委員。

【殿岡委員】  大学評価のことで1点,大学評価の中に先ほど言った助成あるいは認証評価とセットで先生たちが拒否することというのを何とか盛り込めないものかなと,これを読むと入学した人に何かをするということは評価項目に入ったとしても,入学を全て断っても同じ評価になってしまうわけです。
 それから,基本法の合理的配慮,そして,本検討会の合理的配慮が同じであるということである以上,権利条約は批准を目指しているばかり,そして,障害者基本法は現行法ですから,現行法で在籍している学生の社会的障壁の除去の義務については既にあるんですね。そう考えると,ほかの門戸開放の部分を何とか批准の中にしっかり盛り込んでいかないと,入った人にはやるけれども,入れないという選択に対して何もペナルティがないというのは逆効果になる恐れがありますので,入学後の配慮と入学時の排除禁止を同時に盛り込んでいくのがいいのかなと。すぐ盛り込むのが難しければ,さっき石川委員もおっしゃった流れはあると思うんですが,目指すところは明確にしておかなければならないという気はしています。
  補足ですけれども,ここでも欧米諸国の話がかなり出ているんですが,ここで確認ですがアメリカは権利条約に批准しなかった国なんです。アメリカの合理的配慮というのは,実は国連の合理的配慮とはちょっとニュアンスが違うんですね。私たちが目指すのは,国連の権利条約への批准し,そして,国内法と整合性をとっていくということであれば,アメリカの先例にすばらしいところはたくさんあるんですけれども,国連の合理的配慮,それから,法の下の平等という基本的な概念,こういったところをきちっと踏まえていかないと,この人たちを混同して,アメリカはこうだからと言ってしまうと,この差は結構いろいろなところにあるので,きちっと整理した上で国内法にのっとって仕込んでいく,方向性を映しこんでいく,そういうことをしなければいけないかなという気がすごくしています。
 特にアメリカの場合には,有資格な障害者とか,それから合理的配慮とそれ以上の教育的配慮を分けるとか,これはアメリカの考え方ですけれども,権利条約の考えではないので,この辺はきちっと分けていかなければいけないなという気がします。
 以上です。

【竹田座長】  近藤委員,コメントがございましたらお願いします。

【近藤委員】  今,殿岡委員がおっしゃった国連権利条約とアメリカの合理的配慮を分けるということについては,私もいわゆる適格障害者という言葉があるかどうかということと,教育的な配慮というものと,あと,合理的配慮でないものを明示的に分けるということが特徴だと思います。その部分は確かに注意をしていかないと,いわゆる権利条約の批准という部分と日本型の合理的配慮を決めていく上でのそごみたいなものとして現れてくる可能性というのがあって,それはよく注意していきたいというふうに思っています。
 ただ,基本的な考え方として権利擁護するためのシステム,枠組みとしては,アメリカの制度は非常に参考になる部分も多いと思いますので,その部分を私は大いに参考にすべきだと思っています。例えば第2回のところで申し上げたような異議申立てシステムをしっかりと作る。それが,いわゆる障害のある本人の権利擁護という形に結びつくように,エンパワーメントしていくというものです。それは非常にシステム作りの参考になる部分が大きいと思うので,そこは是非参考にしていただきたいと私としては思っています。

【竹田座長】  ありがとうございました。
 時間も段々迫ってきましたので,対応策の3番目,拠点校及び大学間ネットワークの形成という辺りについて少し議論をしていただければと思いますが,では,白澤委員,お願いいたします。

【白澤委員】  筑波技術大学の白澤です。拠点校の整備が必要だというのは私自身も何回目かの会議のときに申し上げましたし,課題の中に入れたんですが,これをやる際には必ず日本学生支援機構の中で,これまでに取り組んできた拠点校事業の再評価が必要だと思うんですね。拠点校というのが一体何をなすべき機関なのか,それができるためにはどんな仕組みが必要なのかという反省を踏まえないと,もちろん,拠点校の大学はそれぞれすばらしい取組をされてきたとは思うんですが,うまくいかなかった面というのもかなりあるのではないか。それは拠点校自身がそれぞれ大きく感じていらっしゃるんじゃないかと思うんですね。その辺りをまずきちんと確認をした上で,では何が必要かという話合いが必要かと思っています。
 例えば拠点校が何を担っていくのかということについて,ただ,こうして好事例のモデルとして,自分の大学の中の取組を進めていくというだけではなくて,先駆的な事例を構築したり,あるいは各地域の大学に対してアウトリーチをしていくことなどを通して,地域や全国の大学に対して一定の責任を持たせるといったような,お互いの責務についても明確にしなければいけないと思いますし,その中で,例えば,聴覚ですと手話通訳の養成をすることで,地域の通訳体制向上に向けて貢献をしていくですとか,今,地域の大学の教職員に向けた研修を提供していったりとか,それから,前回の会で吉永委員の方から提案があったと思うんですけれども,職員同士の人事交流を通してコーディネーターの養成に資していくとか,ある程度の役割を持たせた拠点校というのが必要なのではないかなというふうに思います。そして,それがあるからこそ,予算や人員が重点配置されていくべきかなと思いますので,その辺り,きちんと拠点校が何をなすべきなのか検討すべきかと思います。
 あわせて,ネットワークの形成というところも,我々はPEPNet-Japanというネットワークをやっていて非常に大きく感ずるのは,ネットワークって響きもいいですし,名前もかっこいいので皆作りたくて,私自身も作りたくて作ったんですが,作った後に何をするかということが余り議論されないまま作られがちだと思うんですね。私自身もそれでかなり反省しているところがあるんですけれども,どんな層の何を目的としたネットワークなのか,何をする場なのか,ネットワークという名前よりも,人と人とが集まって会えるという機会を保障していくということの方が重要だと思いますので,大学間のネットワークといったときにも,この意味合いは何なのか,どういう目的を持ったものなのか議論が必要かなというふうに感じます。

【竹田座長】  ありがとうございました。
 大島委員,お願いします。

【大島委員】  大島でございます。拠点校さんは大変良い取組をたくさんされていると思うんですけれども,地域での拠点校としてのワークというのがかなりボランティアになってしまっているということは,本当に問題かなというふうに思っています。良い事例を作るのはもちろん大学さんだと思うんですけれども,それを集積したりとか,掲示したりというのはJASSOさんのようなところですとか,文科省さんのようなところでしっかり行っていただくのが大切かなというふうに思います。白澤委員の方から責任という話がありましたように,だからこそ,拠点校さんを決めたときの支援,予算や人員等の支援を,責任を持っていただくかわりに,しっかりとボランティアワークにならないリソースをしっかり割けるように,拠点校さんを支援するということがすごく大事かなというふうに思っています。

【竹田座長】  ありがとうございました。
 中野委員。

【中野委員】  事例の中で是非お願いがあるのは,まねできる事例を用意してほしいんです。今の例えばすごく先進校がやっている事例はまねできないものが多いんです。それには理由がいろいろあって,私立か国立かの違いや,それから,例えば教育のコースを持っている,福祉のコースを持っているかどうかというような大学のいろいろな特徴がありますので,様々な大学等の特徴の好事例というのを挙げてほしいなと思うんです。
 それから,好事例を書いていただくときに,是非予算の裏付け等をどうしているかということも入れていただきたいな。先ほどの例えばいろんな助成制度を活用してここまではやっていて,自己資金としてこういうことをやっていて,その自己資金を入れたというのは,ほかの学生にもこういう効果があるからだというようなことを含めて事例としてまとめていただいて,大体自分と同じような大学でこんなことをやっているのかというのがわかると,まねしようかなと考えられるのかなというふうに思います。
 それともう一つ,ネットワークのところで,すぐにかどうかはわからないんですが,特別支援学校等の初中局との連携というのが非常に必要だというふうに思っています。例えば視覚障害の学生が大学に入ってきたときに,地域の盲学校の協力がないと,例えば歩行訓練等を校内でやってもらうときに難しいというような問題がありまして,拠点校といってもそれぞれかなり遠いところにありますから,実際に援助を依頼できるところというのは,地域の特別支援学校の方が可能性が高いことというのがあり得るかなというふうに思っていますので,すぐにやれるかどうかは別として,そういう議論というのを今後やっていただけると有り難いなと思います。
 例えばオープンキャンパスに障害学生が来たときに,この支援をどうするか。これはすごく重要な問題として,うちも毎年あって,入学してきたら当然支援するけれども,オープンキャンパスでどこまで支援をするかというのはなかなか難しくて,地元の特別支援学校の協力を得るとか,地元のボランティアの協力を得るというような,そういう取組をせざるを得ないというところがありまして,そういうところについては今後考えていってほしいなというふうに思っています。
 もう1点だけ,今,障害のある学生が,自分が障害があるということを言えない状況があります。例えば,うちの大学が出しているアンケートの結果というのは,明らかに障害があるということで手帳を持っていて本人が表明している学生だけで,実際に支援している学生はもっとたくさんいるんです。これは個人情報の問題だとか,本人のいろいろな精神的な問題があって,障害があるということに手を挙げられない。だから,障害のある学生の数には入っていないけれども,大学としては支援が必要なので支援をしているというケースがあって,私学助成等の援助を受けないで支援をしているという学生たちがいるんですね。
 こういう学生たちがちゃんと自分に障害があるということを言いやすいような状況を作っていただかないと支援がちゃんとできない,特に発達障害等はそれを非常に強く感じているところで,これを促進するためには,もしかしたら大学では遅いかもしれなくて,先ほどの特別支援学校等で,高校だとか,それより前の段階で支援を依頼をするということはいいことなんだと,それを是非依頼してほしいんだ,それを受け入れる環境があると,そのときにちゃんとプライバシーも守られるんだということがわかるような体制というのを議論していただけると有り難いなと思います。
 以上です。

【竹田座長】  ありがとうございました。
 いろいろな御意見は非常に参考になります。特に,ネットワークというのは確かに言葉はよく使われますけれども,非常に難しく,我々の分野ですと学術的な学会というのは,事実的に質を高める上では非常に有効に動いている一つのネットワークのいい例ではないかと思うんですね。DO-ITやAHEADのお話などから,障害学生支援にかかわっている人たちが集まって質を高めるということには役立っているような感想をもっているんですけれども,今後,先ほどの支援室というような意味付け,それから,その機能をどう評価していくか,あるいは長期的にはクオリティをどう保障していくかというような場合に,きっこうする公的な国なり,法人なり,好事例といっても,時間が過ぎてしまうとどんどん古い事例になっていくわけですので,常に自然発生的に最も新しい事例を情報交換できるような,そういうものが本来的にはでき上がるといいのかなというふうな感想としては持っています。その辺も含めて,今後議論いただければと思います。
 鈴木委員,では,お願いします。

【鈴木委員】  議論の幅がどこまでかわからないんですけれども,大学間のネットワークも当然重要だと思うんですけれども,学生とか親の考え方からすると,地域でちゃんと受け入れられるかどうかというのが大きいので,厚労省はもうネットワークを持っているわけですよね。なぜかというと,当社の場合は就労支援を主にしていますけれども,障害者の職業選択や,就労とか生活の支援センターは全国津々浦々にある。学生とか親からすると学校のときはこの地域,生活とか就職になるとこの地域というのがあって,だから,そういった厚労省系のお金をもらっているNPOがたくさんあるので,そういうところと大学が連携していただくというのがいいのかなとは思っているんですけれども。

【竹田座長】  ありがとうございます。対応策の3番目にありますが,自治体,NPO等の,地域的な濃淡というか,利用できるリソースの違いというのは多分あると思いますけれども,それは非常に大事なリソースとしては,今後活用を考えていかなくてはいけないと考えています。ありがとうございました。
 それでは,時間もちょうど押してまいりましたが,そのほかに御意見がございませんようでしたら,本日頂きました委員の皆さんの御意見を踏まえまして,私と事務局の方で改めて整理させていただきたいと思います。御一任いただいてよろしいでしょうか。ありがとうございました。
 どうぞ,殿岡委員。

【殿岡委員】課題の一つの高校と大学の連携についてなんですけれども,大学に来る学生の大体7割ぐらいですか,特別支援学校ではない高等学校から入学しています。高等学校の中にいる障害学生たちに関する情報が非常に不足しています。連携ですけれども,高等教育の障害学生支援に高等学校をどう取り込んでいくかということが課題的には非常に大きなことになろうかなと思っています。そして,多少ここの話にも出ましたが,自治体とかNPOとか,各地域で非常に重要な取組をしている学校や機関,団体が数多くありますので,この社会資源をきちっと積み上げていくこと,そして,これをもっと広く民の力で,情報をいかに集約できるかが鍵なのではないかなと思います。

【近藤委員】  近藤です。1点,今の殿岡委員からの情報についての補足なんですけれども,たしか平成21年からの3か年だったと思うんですが,日本学生支援機構さんと一緒に高大連携事業という,障害学生についての高校から大学への移行についての調査研究というのを行っておりまして,その中でも我々も障害のある学生が進学する過程について,いろいろなケースレポートを上げていまして,そこでも通常の学校に通っている障害学生への情報提供という問題というのを挙げていまして,その一つとして挙げさせていただいたのが大学入試センター試験の,今日,ちょうどお配りいただいている受験特別措置案内説明会についてで,これは全国津々浦々の高校の先生方が全員非常に重要なイベントとして参加されて説明を聞かれるんです。
 なので,これはいわゆるセンターの入試説明ですから,そこで障害についての説明が割とさらっと行われるようなんですが,そこで情報提供をしっかりやってほしいんです。そうすると,各高等学校の入試担当の先生方が全員,障害について大学でどのような支援があるかとか,入試の措置においてどのようなものが考えられるのかという情報を得ることができるようになるので,そのポイントを御活用いただきたいという提言をしたことがあります。
 今の点と,広瀬委員からの学長会議というコメントがありましたが,このような効果的な情報提供のリソースというのは,是非まとめた方よいのではないかと思います。このポイントで,このような情報提供するとより効果的だというコメントを是非この委員会としてまとめて提案するということも私は提案させていただきます。

【竹田座長】  ありがとうございました。
 それでは,最後に今後の検討スケジュールについて事務局から御説明をお願いいたします。

【事務局】  では,資料3でございますけれども,今後の検討会のスケジュールでございますが,次回は8月22日,3時から5時ということで,これは関係者の方からのヒアリングということにしたいと思います。あとは年末まで月1回のペースで行いたいと思っておりますので,よろしくお願いします。なお,高等教育局担当の審議官が異動になりまして,山野が8月1日付で着任しておりますので,山野の方から,一言,御挨拶を閉会の趣旨も含めて,来ていきなりで何ですけれども,御挨拶させていただいてと思いますが,よろしくお願いいたします。

【山野審議官】  先週の1日付で担当の審議官になりました山野でございます。よろしくお願いいたします。私はこの分野には,最初から身もふたもないことをいえば,余り土地勘がないのですが,今日のお話も聞きながらも思ったことを若干言いますと,この分野が重要だとか,重いテーマであるというは,だれも反対する人はいないというものの,ややもすると総論は賛成だけれども,現場現場でいくとなかなか進まないという典型の分野じゃないかなと思います。
 そういうことで今日の議論を聞きながら,途中から来たものですから最初の方はあれなんですが,耳に残ったことで言うと,例えばまず学校が受入れを宣言することが重要じゃないかというふうなこととか,学校の管理者がまずポリシーとして認識しないと物事はなかなか進まんですよみたい話であるとか,あと,形式になりがちなので手抜きになっているところを潰していくんだみたいな話とか,あと,ほかのところでまねできるようなグッドプラクティスを上手にとかいう,それぞれごもっともだと思います。
 ということで,それと,やり方としてはこういう分野を進めるに当たって,一般論でいうと,あめとむちがもちろんあるわけなんですけれども,なかなか,こういう分野はむちだけで進めるというのは余計に形式的になるんじゃないかという感じがするので,頑張っているところに上手に,今日の会議の議論の言葉でいうと,インセンティブを与えるようなことで,上手に進めていくということが重要じゃないかなと思いました。
 それと,今日の議論でも出ていましたけれども,恐らく議論して全ての大学でヨーイドンで百歩前進というのは,なかなかいかないんだろうと思うんですね。だから,そういう意味でも,こういうことは着実に前進させていくということで,一歩,二歩とちゃんと進めていくということが重要だと思いますので,そういう意味で,非常に時宜を得た検討会だと思いました。ということで,今後も何か非常に頑張って作っていくのは嫌なものなんですけれども,引き続きよろしくお願いいたします。閉会の挨拶にならなかったんですけれども。

【竹田座長】  ありがとうございました。
 それでは,以上で障がいのある学生の修学支援に関する検討会第4回を終了いたします。

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-- 登録:平成26年02月 --