本検討会における「合理的配慮」の定義について(案)

 本検討会において障がいのある学生の修学支援の在り方について議論するにあたり、以下のとおり、高等教育段階における「合理的配慮」について定義してはどうか。

「障害者の権利に関する条約」上の定義

 第24条(教育)において、教育についての障害者の権利を認め、この権利を差別なしに、かつ、機会の均等を基礎として実現するため、障害者を包容する教育制度(インクルーシブ教育システム:inclusive education system)等を確保することとし、その権利の実現に当たり確保するものの一つとして、「個人に必要とされる合理的配慮が提供されること」とされている。
 また、第2条(定義)において、「合理的配慮」とは「障害者が他の者と平等にすべての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう。」とされている。なお、「負担」については、「変更及び調整」を行う主体に課される負担を指すとされている。
 さらに、同条において、「障害を理由とする差別」とは、「障害を理由とするあらゆる区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のあらゆる分野において、他の者と平等にすべての人権及び基本的自由を認識し、享有し、又は行使することを害し、又は妨げる目的又は効果を有するものをいう。障害を理由とする差別には、あらゆる形態の差別(合理的配慮の否定を含む。)を含む」とされている。

「障害者基本法」上の位置付け

 第4条において、「社会的障壁の除去は、それを必要としている障害者が現に存し、かつ、その実施に伴う負担が過重でないときは、それを怠ることによつて前項の規定に違反することとならないよう、その実施について必要かつ合理的な配慮がされなければならない。」と規定している。

初等中等教育段階における「合理的配慮」の定義等

 初等中等教育段階については、「中央教育審議会初等中等教育分科会特別支援教育の在り方に関する特別委員会合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループ報告」(以下、「WG報告」という。)において、「合理的配慮」を定義している。
 WG報告において、「合理的配慮」とは、「障害のある子どもが、他の子どもと平等に「教育を受ける権利」を享有・行使することを確保するために、学校の設置者及び学校が必要かつ適当な変更・調整を行うことであり、障害のある子どもに対し、その状況に応じて、学校教育を受ける場合に個別に必要とされるもの」であり、「学校の設置者及び学校に対して、体制面、財政面において、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」と定義している。

本検討会における「合理的配慮」の定義(案)

 上記の定義に照らし、高等教育段階における「合理的配慮」とは、「障がいのある者が、他の者と平等に「教育を受ける権利」を享有・行使することを確保するために、学校の設置者及び学校並びに関係機関(以下「学校等」という。)が必要かつ適当な変更・調整を行うことであり、障がいのある学生等に対し、その状況に応じて、大学等における教育を受ける場合に個別に必要とされるもの」であり、「学校等に対して、体制面、財政面において、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」とする。

 

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-- 登録:平成24年08月 --