社会で活躍する障害学生支援プラットフォーム形成事業委員会 委員長所見

 このたび、社会で活躍する障害学生支援プラットフォーム形成事業委員会は、本年8月に申請のあった4件の事業に関して審査を行い、2件を採択することとした。
 選定された2件の事業は、特定の地域ブロックに限定することなく、全国のどの大学でも事業に関わることができる広域性があり、得られた知見や成果を広く普及することにより、我が国の高等教育機関における障害学生支援の全体的な底上げが見込める取組となっている。

 限られた予算の中での選定となり、残念ながら選定されなかった取組においても、その内容は、学校種別や規模を超えて大学等と地域の企業や自治体等が連携する意欲的なものや、特定の障害種別に焦点を当てて単科大学や障害当事者団体等が連携する特徴的なものであった。取組の具体性や得られた知見を全国に普及できるかという観点から採択には至らなかったが、今一度関係大学や団体・企業等と議論を行い、学内資源の活用等により、可能な限り取組の推進、連携体制の構築に取り組んでいただきたい。また、採択された取組への参加についても検討願いたい。

 今回選定された2件の取組の関係大学におかれては、委員会が求めた改善に関する意見については着実に改善し、計画を確実かつ迅速に実行していただきたい。また、特に事業を実施する上では、
・代表校及び連携校においては、特定の学内組織任せにならないよう、学長の強いリーダーシップにより大学として組織的に事業に取り組むこと。
・連携校、参加校にとどまらず全国の多くの大学等と連携する構想を早急に実行に移し、特に、小規模大学や障害学生支援に課題を抱える大学に手を差し伸べることができるプラットフォームを形成すること。
・積極的に事業の内容を全国の大学・学生、産業界、自治体等に情報発信すること。
・補助期間終了後も確実に事業を推進できる体制を構築すること。
・補助金を適正に管理し、執行すること。
をお願いしたい。

 我が国の大学等における障害のある学生への支援は、現場における個別の対応によるところが大きく、これらの積み重ねにより、手法やノウハウが蓄積されてきた。一方で平成18年の障害者権利条約の国連における採択以降、国内法令の整備が進んだこともあり、大学等の関係者の間で障害のある学生への支援に関する意識が急激に高まってきているところである。選定された取組に関係する大学等においては、形成するプラットフォームがすべての大学等における障害学生支援の取組を更に充実させていく一翼を担うものだという意識のもと取組を全力で進めて頂きたい。これにより、多様な学生一人一人の特性や希望、状況を踏まえたきめ細やかな学生支援の充実が高等教育機関全体として図られることを期待している。

 なお、文部科学省においては、採択された2件の事業のみでは、「障害のある学生の修学支援に関する検討会報告」第一次まとめ、第二次まとめで示された課題のすべてに対応することは困難であるという認識のもと、障害学生支援に関する来年度以降の予算の拡充に努めて頂きたい。


平成29年10月13日
社会で活躍する障害学生支援プラットフォーム形成事業委員会委員長
柏倉 秀克

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高等教育局学生・留学生課