大学院設置基準等の一部を改正する省令の施行について(通知)

23文科高第1112号
平成24年 3月14日

 

各国公私立大学長
独立行政法人大学評価・学位授与機構長
独立行政法人日本学生支援機構理事長
独立行政法人大学入試センター理事長
大学を設置する各地方公共団体の長  
各公立大学法人の理事長
大学を設置する各学校法人の理事長
大学を設置する各学校設置会社の代表取締役
放送大学学園理事長

文部科学大臣政務官
城井  崇

 

大学院設置基準等の一部を改正する省令の施行について(通知)

 

 このたび,別添1のとおり,大学院設置基準等の一部を改正する省令(平成24年文部科学省令第6号)が平成24年3月14日に公布され,同日から施行されることとなりました。
 今回の改正は,平成23年1月の中央教育審議会「グローバル化社会の大学院教育~世界の多様な分野で大学院修了者が活躍するために~(答申)」における提言を踏まえ,広く産学官の中核的人材としてグローバルに活躍できる高度な人材を養成するため,課程を通じて一貫したプログラムを持った体系的な博士課程教育を構築し,博士課程教育の質を高めるとともに,併せて,公正な入学者選抜に係る規定の整備を行うものです。
 これらの改正の概要及び留意すべき事項は下記のとおりですので,十分御了知いただき,その運用に当たっては遺漏なきようにお取り計らいください。

 

第一 博士論文研究基礎力審査の導入について

 一 改正の概要

(1)大学院設置基準(昭和49年文部省令第28号)の改正

 前期及び後期の課程に区分する博士課程における前期の課程の修了要件について,当該博士課程の目的を達成するために必要と認められる場合には,1.専攻分野に関する高度の専門的知識及び能力並びに当該専攻分野に関連する分野の基礎的素養についての試験、2.博士論文に係る研究を主体的に遂行するために必要な能力についての審査(以下1.及び2.の試験及び審査を「博士論文研究基礎力審査」という。)の合格を,修士論文又は特定課題の研究成果の審査と試験の合格に代えることができることとすること。(第16条の2関係)

 これにより,博士課程の前期及び後期の課程を通じて一貫した人材養成上の目的を有する学則に定める履修上の区分(コース,プログラム等)においては,学則に定めることにより,授業科目の履修による単位の修得に加え,

  1. 専攻分野とその関連分野の専門的知識・能力を評価するための筆記等による試験
  2. 博士論文研究を行う分野に係る研究の背景や意義,展望に関する認識や,課題を設定し研究を推進する能力等を評価するための研究報告の提出及び口頭試問等による審査

による博士論文研究基礎力審査の合格を,修士論文又は特定課題の研究成果の審査と試験の合格に代えて,修了要件とすることができることとなる。
 なお,博士論文研究基礎力審査を上記の2つの試験及び審査で構成することとしたのは,博士論文に係る研究を主体的に遂行するために必要な知識及び能力の修得を適切に把握し,修士の学位に相応しい水準を確保するためであり,厳正かつ客観的な審査を確保するため,各大学により学外や関連分野の教員等も交えた審査体制の確保などに配慮されたい。

(2)学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)の改正

 博士課程の後期の課程の入学資格として,外国の大学において教育課程を履修し,博士論文研究基礎力審査に相当するものに合格し,修士の学位を有する者と同等以上の学力があると認められた者を加えることとすること。(第156条関係)

 すなわち,別添2の様式を参考に,外国の大学が行う審査が外国の学校教育制度のもとで当該大学の規程に位置付けられたものであり,また,当該大学における当該審査の合格の基準,当該審査の合格と当該大学における修士の学位の授与要件の関係,当該審査に合格した者と当該大学に編入学した他の大学の修士の学位を有する者の当該大学における博士の学位を授与するプログラムにおける取扱いの関係等に照らし,当該審査に合格した者について,修士の学位を有する者と同等以上の学力があることが,当該大学によって確認されたと各大学が認めた者に,博士課程の後期の課程の入学資格を与えることとすること。

(3)学位規則(昭和28年文部省令第9号)の改正

 前期及び後期の課程の区分を設けない博士課程における修士の学位の授与について,前記「(1)」に掲げる博士論文研究基礎力審査により修了要件を満たした者に対しても行うことができることとすること。(第3条関係)

(4)独立行政法人日本学生支援機構に関する省令(平成16年文部科学省令第23号)の改正

 大学院において,独立行政法人日本学生支援機構の第一種学資金の貸与を受けた学生のうち,第一種学資金の返還の免除の認定を行う場合の在学中の業績として,博士課程論文研究基礎力審査の結果を加えることとすること。(第36条関係)

 

 二 留意事項

(1)博士論文研究基礎力審査は,博士課程を通じて一貫したプログラムを構築し,広範なコースワークや複数専攻制,研究室のローテーションなどの専攻分野の枠を超えた体系的な教育を経て独創的な研究を計画し遂行させるなど,博士課程教育の質を高めることを目的としていることから,その導入に際しては,明確な人材養成目的に基づく体系的な教育課程,組織的な指導体制など博士課程教育の改善と一体として行うよう留意されたい。
 その際,広範なコースワークなど体系的な教育を充実させる観点から,30単位(大学院設置基準に定める最低取得単位数)を超える単位数を修了の要件とするなど十分な学習量の確保に留意されたい。

(2)博士課程の後期の課程の選抜は,各大学の判断において適切に実施するものであるが,選抜の実施に当たっては,前期の課程の修了要件に係る審査の別によらず公平な取扱がなされるよう配慮することが望ましい。また,国内外の学生の流動性の向上及び社会人の選抜機会の確保に留意されたい。


第二 入学者選抜に係る規定の整備について

 一 改正の概要

(1)大学院設置基準(昭和49年文部省令第28号)の改正
  入学者の選抜は,公正かつ妥当な方法により,適当な体制を整えて行うものとするとの規定を整備すること。(第1条の3関係)

 

第三 施行について

 大学院設置基準等の一部を改正する省令は公布の日から施行すること。

別添1
別添1-1 大学院設置基準等の一部を改正する省令(平成24年文部科学省第6号)
別添1-2 新旧対照表

別添1-1,1-2については、省略。

お問合せ先

高等教育局大学振興課大学改革推進室

(高等教育局大学振興課大学改革推進室)

-- 登録:平成24年04月 --