学校教育法及び国立大学法人法等の改正に関する実務説明会 第一部

平成26年9月2日

【里見大学振興課長】
 それでは改めまして、文部科学省高等教育局大学振興課長の里見でございます。本日は、学校教育法及び国立大学法人法等の改正に関する実務説明会に多数お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日の法律及び省令の改正の説明、それから施行通知の説明をさせていただく予定でございますが、この法律の改正に至った考え方につきまして、私の方から御説明をさせていただきます。
 まず、中央教育審議会の大学分科会の中で、審議まとめというものをいただいております。この文部科学省の中央教育審議会におきましては、現在の「知識基盤社会」の到来、ICTの普及、急速なグローバル化の進展をはじめとする社会環境の急激な変化、そしてグローバル人材の育成、イノベーションの創出、経済再生、地域再生・活性化等、大学に対する社会からの期待の高まり、この2点を大きな契機としまして大学にガバナンス改革が必要であるという御提言をいただいているわけでございます。
 大学に期待される役割は非常に大きくなっておりまして、今、大学改革ということでたくさんの大学にお取組をいただいていると思います。こういった大学改革を行う際に学内の方々のコンセンサスを得ながら、しっかりとした議論をベースに大学全体として動いていただくということは欠かせないことであるというふうに理解しておりますけれども、一方で、議論を重ねているうちに、なかなか一つの方向性にまとまらないといったことであるとか、学長のお考えがなかなか現場の方に浸透していかないといったような現象もあるというようなことを耳にしているところでございます。
 現在、社会環境が大きく変わっておりまして、大学自体が生き残りをかけてこれからどういった方向に自分たちの特色作りをし、そしてどのような役割を社会の中で果たしていくのかということをもう一度お考えいただかなければならないときに、大学の中で議論が過ぎ、なかなか改革が進まないというような状況であっては私どもとしても困るということがございますので、一連のこういったガバナンス改革を進めたいというふうにお考えという方々、自主的・自律的に今まで検討されてきたわけでございますけれども、これを内側から改革しようとされて努力している人々に対して力強く支援していく必要があるというのが中教審の審議まとめでもうたわれているところでございます。私どもも基本的には大学が自主的・自律的に改革していただくということを前提といたしまして、その支援のために法令改正という手段を一つとらせていただいているというふうに御理解いただきたいと思います。
 大学のガバナンス改革に当たって御理解いただきたい法令の構造でございます。
 憲法がございます。憲法では、「学問の自由は、これを保障する」と書かれております。この憲法に基づく形で、大学におけるガバナンスの法令構造が出来上がっているわけでございますが、まず左側、学校教育法の体系であります。学校教育法というのは、小学校、中学校、高校、大学、およそ学校という種類であれば、どのような組織形態をもって運営すべきかということを決めている法律でございまして、この中に学長、副学長、教授会というものの役割が出てきます。基本的には学校に関わることですから、教育面、教学面に関して規定した法律という理解でございます。
 一方で、きょうの午前中は国立大学でありますが、お集まりの国立大学ですと国立大学法人法、公立大学ですと地域独立行政法人法、私立ですと私立学校法とございますが、こういった設置者、誰がこの学校種を設置しているのかに合わせて置かれている法令がこの緑色の部分でございます。国立大学法人に例をとりますと、同じく学長、理事、それから経営協議会、教育研究評議会、こういったような会議体がこちらの法律で規定されている構造になっております。
 よく議論になりますのは、学校教育法の学長、特に国立の場合には学長という用語で教学面も所管をしておりますし、経営面も所管しておりますので、教授会と対応するときには教学面でのトップであるわけですけれども、この教授会と教育研究評議会の関係、あるいは教授会と経営協議会の関係、あるいは副学長と理事の関係、こういったようなところが、役割が似ているので分かりにくくなりがちでありますけれども、今見ていただいておりますような法律の体系を御理解いただければ、左側の教授会とか副学長といったものは大学の教学面に関わる仕事をする方でありまして、経営的なことは理事ないしは経営協議会、教育研究評議会といったところが行うという基本的に役割の違いがあるということを御理解をいただきたいと思います。
 その両者が一緒になって大学の中の構造を作っているわけでございますけれども、それを踏まえて今回発出いたしました施行通知、そういったものがその解釈を示す形で大学の方にお示しをさせていただいたというのが現状でございます。
 きょう御説明させていただいている趣旨は、これから見ていただきたいこの大学の内部規則をどのように考えていくかということであります。大学の内部規則も、大学によって非常に厳格な手続で決められている、学則という名前であったり基本組織規則という名前であったり、いろいろな名前はあると思いますけれども、一番基本となる組織構成を決めている、そういった内規があろうかと思います。
 これを受ける形で、例えば全学の委員会に関わるようなもの、あるいはそれぞれの部局に関わるようなもの、更に言えば部局の教授会の運営に関わるようなもの、こういったようなものが全体の本部で管理をされている学則の下で構成をされているというのが基本的なスタイルであるというふうに理解をしております。
 大学の中にあっては学則、基本的にはこの最高上位の規定の中で学長の役割というものをもう一度認識していただくことが大事であると思っていまして、今回のガバナンス改革では、ここの構造もきちんと見直ししていただくことがポイントになると思っております。
 中教審の審議まとめの方に戻りますけれども、大学のガバナンスの現状を見たときに、特に法人化前の国立大学と法人化後の国立大学というところでは、適用されている法令の体系が違うということについてなかなか理解が進んでいないのではないかということがございます。
 具体的には、法人化した国公立大学という場合には、学部長の選考、それから教員の採用等の手続というのは、任命権者である学長の責任と権限の下でその手続を整備することができます。これは教育公務員特例法という法人化前の公務員の時代に適用されていた法令の適用がなくなったということによるわけでございまして、教育公務員特例法が定めていた様々な手続というのは基本的には現在法人化された国立大学には適用されておりません。いないのにもかかわらず、この教育公務員特例法の時代に持っていたいろいろな制度設計を大学の内部規則の方に取り込んで現在でも運用されているという例が多くあるというふうに聞いております。これが本来、学長がいろいろな手続を決める最終決定権者になれるという現在の法体系の中において本当に適切であるかどうかということについて総点検・見直しが必要であると同時に、教育公務員特例法、これは公務員として例えば国立大学でありますと、文部科学大臣が国立大学の職員一人一人にどのような人事権を持っているかということを直接に考えるという体系ではなく、大学という組織であるということに鑑みて、大学からの意見をしっかり聞くような仕組みとして出来上がっていった法体系なわけですけれども、そこが現在は法人化されて変わっているわけですので、教員の意識も変わらなければいけないというところがなかなか変わっていないのではないかということについて、もう一度大学で見ていただく必要があるというふうに考えております。
 これは中教審の審議まとめの中で、大学のガバナンス改革といった場合に非常に大きく捉えて幾つかの点に整理をしてお示しいただいています。「P.16~」と書いてありますのは、またお帰りになってから、このホームページに掲載しておりますので御覧いただきたいと思います。一番大きな部分といいますのは学長のリーダーシップの確立というところでございます。学長に決定権があるということを前提に、学長に最終的な権限をうまく執行していただけるように、まずは学長の補佐体制を強化することが必要であろうということが提言されております。例えば総括副学長といったような、副学長の中でもいろいろな権限を任せることのできる方を置くことによって、学長御本人はより高度な様々なマネジメントに携わることができるような、そういった体制を作るであるとか、高度専門職といいまして、従来型の事務職員ではなく、あるいは教員ということでもなく、非常に専門性の高い分野を担っていただける職種を創設していくことによって、こういった方々が大学のマネジメントに積極的に参加していただくということ。あるいはSD・IRの強化や、大学運営会議といったような、学部の教授会ではない形で運営するような教員組織を活用する。こういったことも提言をされております。
 人事面において言いますと、学長が行う部分と、それから教授会が行う部分とに整理をする必要があるということで、例えば学長が行うのはどの部局にどのようなポストを置くのかということ、これは考える必要がありますけれども、一旦そのポストを預かったその部局では、今度は誰をそこに選ぶのかという、そのことについては学長に申し出ることができる。こういったような役割分担をきちんとする必要があるということであります。また、その選考が恣意的なものでないかのチェック、あるいは業績評価に応じた給与制度を構築する、こういったようなことについても学長のリーダーシップの確立の一つとして提言をいただいております。
 また、予算についても、学長のビジョンに沿っためり張りある予算編成、あるいは学長裁量経費をきちんと確保していくこと、そして組織再編が行われる場合には、ぶれない改革方針を示していただきつつ、客観的データによる説明を通じて学長が責任を持って改革を推進していただく、こういったことが望ましいということを御提言をいただいております。
 2点目でありますが、学長の選考・業績評価ということでございます。この点も重要なポイントでございましたが、現在、学長の選考方法につきまして調査をさせていただきましたところ、学内選挙及び選考会議の議を経て決定をしているというところが国立大学では圧倒的に多いというような状況になっているところでございます。
 この学長の選考については、特に国立大学の場合には学長選考会議という法律で定められた会議体が選考を行うことになっているところでございます。ここが主体性を持った選考を行うということが非常に重要でありまして、大学のミッションは何なのか、そして、それに求められる学長像というものはどういうものなのかをきちんと示していただいて、その候補者のビジョンを学長選考会議が確認をして決定をしていただく。これが基本であるということであります。もちろん学長選考に当たって学内の意向を聞くということはあっていいわけですが、飽くまで学長選考会議に主体性があるということがポイントであるというふうに理解をしております。
 それから、安定的な運営ができる学長任期を設定していくことや、その選んだ学長がきちんと業績を出しているかということについて評価をし、万が一不適格であれば解任をするといった、こういった全体の体系をきちんと作っていくことが必要であるということを御提言をいただいています。それから学部長についても、学長のビジョンをきちんと共有できる方を選んでいくということ、それから学長によって学部長も業績評価をされるべきであるということが出ております。
 教授会の役割の明確化というのは、先ほどの学長の役割との関係で整理をするということになるわけでございますけれども、特に、この教授会が例えば学内の規則の改廃であるとか教員の進退に関わるようなことについて大きく関わっている部分でありますけれども、こういったようなことについて本来決定権があるべきはどこなのかということについて、もう一度お考えいただく必要があるだろうということでございます。つまり中教審の方でいただいた御意見によりますと、教授会、特に学校教育法でいう教授会というのは教員によって構成をされる会議という意味で使っておりますので、教育公務員特例法でいっておりました学部教授会とは異なる、より広い意味で使っているということに御留意をいただきたいと思いますが、教授会については、専門的知見を持った教員から構成される合議制の審議機関である。ですからこのような定義をしておりますが、そのような審議機関であるということを踏まえますと、この学校教育法に規定する、教授会が審議すべき「重要な事項」は、学位の授与、学生の身分に関する審査、教育課程の編成、教員の教育研究業績等の審査、こういったものについては教授会の審議をしていただいて、それを十分に考慮した上で学長が最終決定を行う。このような構造についてお示しをいただいております。基本的には、今回の法律、法令改正につきましては、この考え方を具体化したものというふうに御理解をいただきたいと思います。
 それから監事の役割の強化でありますが、監事の役割についても財務会計だけではなく、教育研究、社会貢献、大学のガバナンス、こういったものもきちんと見ていただいて、できるだけ常勤の監事を配置していただきたいということでございます。
 国はこれを受ける形で制度改正を通じた支援をすべきであるということで、この中には三つ、大きなことをいただいております。国の法令というのは基本的に内部規則に優先をしておりますけれども、法令に適合しないような内部規則は見直しを行っていただく必要があります。それから教授会の役割の明確化、国立大学法人の経営協議会の構成の見直しということがうたわれております。更に高度専門職の創設、スタッフ・ディベロップメントの義務化、監事の機能強化、こういったことが制度改正の内容として出ております。
 今回御説明をさせていただきます内容は、前のページで御説明をいたしましたこの教授会の部分と、それから国立大学に関係する部分が中心となりますけれども、今後改正を予定しておりますのが高度専門職の部分、スタッフ・ディベロップメントの部分でございます。これにつきましては後ほど、また、御説明の機会があるというふうに御理解ください。
 それから監事の機能強化については、今回の法令改正の同じ法律ではない独立行政法人通則法の改正が先頃の通常国会で同じく改正されておりますので、こちらについても法律の改正の事項となっているところでございます。
 それから国としてはこういったものを支援するために、予算を通じた支援も行うべきであるという御提言をいただいています。例えば学長裁量経費を拡充するのに間接経費をきちんと措置することや、あるいは大学ガバナンスがきちんとされているかということを確認しつつ教育研究活動そのものを支援していったり、あるいは補助事業の要件としてきちんとガバナンスが確立されているということを確認したり、こういったことが必要であるということがいただいているところでございまして、今回の概算要求、また別な場所で御覧いただきたいと思いますが、そういった点にも十分配慮しながら予算編成をさせていただいているところでございます。
 また、評価、監査等による担保であるとか、あるいは大学団体、国立ですと国大協といったようなところと御協力をしながら研修をしたりということで、その法令の構造についても理解を深めていただくようなことをしていくべきであるというような御提言でございます。
 この辺が全体のトータルな動きでございまして、これから御説明いたしますのは、以上の御提言をいただいたことを踏まえて行われた法令改正の内容でございます。
 まず学長の権限についてでございます。学長の権限について、学校教育法の92条でございますが、この第3項に「学長は、校務をつかさどり、所属職員を統督する」というふうに書かれております。この条文は、今回の改正によっても基本的には改正されておりません。ということは、この法律の制定の当初から学長の権限というのは同じでありまして、学長は校務に関する最終決定権を持っており、所属職員については指揮命令権を持っているというのが当初からの考えでございます。
 副学長については、同じ92条の第4項というところに規定がございます。現在は、「副学長は、学長の職務を助ける」と書かれてあります。これを4月1日に施行される新しい法律では、「副学長は、学長を助け、命を受けて校務をつかさどる」というふうに変更がなされます。この「助ける」というところが基本的に同じでございますが、文言の少し整理がありますけれども、「助ける」は同じであります。「命を受けて校務をつかさどる」が追加になっているところでありまして、これは学長から指示を受けて、校務、自分で行うべき業務について、つかさどる、責任を持って行う、分担を行うことができるという趣旨であります。したがいまして、中教審の審議まとめでお考えをいただいておりました総括副学長といったような方は、この規定をもって権限を持った形で置くことができるようになります。現在でもそういった形で置かれているところはあるとは思いますけれども、4月1日以降は、いろいろな日常的な業務執行の範囲を学長が副学長に委ねてしまうということができるようになりますので、学長の補佐ということがきちんとしていただけるように変更になります。
 次に教授会との関係であります。学校教育法の93条、現在は第1項に「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない」と書かれております。ここで御注目をいただきたいのは、現在の法律でも「審議するため」と書かれております。教授会は基本的には審議機関という性格でありまして、この性格は法律の改正後も変更がないものであります。大学には「重要な事項を審議するため」というところが必ずしも明確ではなかったということでありますので、ここの部分を丁寧に書き直しております。
 まず「大学に、教授会を置く」としてありますが、基本的には義務でありまして、教授会を置く必要があります。繰り返しますが、この教授会というのは学部に置くこともできますが、教員による専門的な組織という意味でありますので、後ほど施行通知で御説明させていただきますが、例えばいろいろな委員会といったような形態であるとか、全学教授会といったような大学で一つだけの教授会というような形態も当然認められているところでございます。
 「教授会は、学長が次に掲げる事項について決定を行うに当たり意見を述べるものとする」というのが第2項でございます。「教授会は意見を述べるものとする」というのが基本的な構造でありまして、学長が決定を行うに当たって述べるというふうに条文では書かれているというふうに御理解ください。この条文は、教授会が意見を述べるように義務を課しているというところがポイントであります。したがいまして、学生の入学、卒業、課程修了、これは大学院ですね、課程修了、それから学位の授与といった点について、教授会は学長が何か決定しようというときには意見を述べなければならないという義務を負っています。
 そして第3号として、「前2号に掲げるもののほか、教育研究に関する重要な事項で教授会の意見を聞くことが必要なものとして学長が定めるもの」、これについては教授会は意見を述べなければならない立場に立ちます。ここが重要でありまして、教育研究に関する重要な事項、先ほど見ていただきましたように、現在は「重要な事項を審議する」と書かれておりますので、どういう重要な事項なのかという点については明確に示されておりませんが、冒頭申し上げましたように、学校教育法というのは基本的に教学面を規定した法律でありますので、教授会は教学の中において役割を果たすというのが本来的な役割であります。したがいまして、それを受ける形で「教育研究に関する」と明確化をしているところでございます。
 もう一つは、「学長が定めるもの」とされております。学長がこういうことについては教授会の意見を聞きたいと考える点について、定めておいたものについて意見を聞くことになります。これは、決めていただきましたら必ず教授会に周知をしていただく必要がございます。また、決める際には教授会の意見を聞いていただき、それを参考にしていただく必要がございます。これはなぜかと言いますと、先ほどの条文に戻りますけれども、この規定、93条の第2項というのは教授会に意見を述べる義務を課す条文でありますので、学長が定めたことについては教授会は必ず意見を述べなければならないという構造に立ちます。それが何なのかが分からないということでは教授会の方が義務が果たせなくなってしまう構造になりますので、必ずこの点については御留意をいただきたいというふうに考えております。
 このことによりまして、まず教授会の役割の明確化ということでございますが、教授会の役割を、学長との関係できちんと明確化をさせていただいておりますが、中教審の審議まとめで出ておりました教育課程の編成、それから教育研究業績の審査等というのは第3号で学長が定めた場合には含めることができると考えております。含めることができるものでありますが、具体的には学長が大学の実情を踏まえて決定をしていただきたいと思います。
 それから、教授会の意見を聞いて学長が定めていただくということによってきちんと意思疎通を図っていただき、円滑な大学運営をしていただくことを期待しているところでございます。
 学校教育法の改正に戻ります。93条でございますが、第2項が教授会が意見を述べなければならないものについて規定をしておりました。93条第3項は、もともとの規定にございます審議する事項について定めております。「教授会は……教育研究に関する事項について審議し」、ここまでが一固まりでございます。教授会は、学長及び学部長その他教授会が置かれる組織の長がつかさどるということで、これは「つかさどる」によりまして、学長やその他の長に決定権があることを示しております。ですので決定権がある方が決める業務の中でも、教育研究に関する事項について審議していただくことは今までどおり行っていただくことができます。条文としては1回ここで切れております。「及び学長の求めに応じ、意見を述べることができる」とありますので、それに加えて学長が求めたときには意見を述べることができるとなります。
 では、学長が求めない場合はどうなるのかということでありますが、ここは法律では規定をしておりません。ただ、審議をしているわけですから、まとまったものを学長にお示しするということは当然にできるもの、差し支えないものというふうに理解しておりますので、この点につきましても御留意をいただきたいというふうに思っております。
 繰り返しますが、教授会は審議機関であり決定機関ではございません。教授会は教育研究に関する事項を審議する機関でありまして、経営に関する事項を基本的に審議する機関ではありません。それから学長から求められない場合は、審議をすることはできます。そして審議をした結果をお伝えするということは差し支えないものと理解をしております。
 以上、学校教育法の改正を受けまして、今般、学校教育法施行規則省令も併せて改正をしております。
 学校教育法は4月1日から施行されますけれども、この93条第2項第1号というところに、「教授会は、学生の入学、卒業及び課程の修了について、学長が決定を行うに当たり、意見を述べる」と、先ほど見ていただいたとおりでございます。ここに「入学」と「卒業」という用語があるわけですが、現行の学校教育法施行規則第144条は、「学生の入学、退学、転学、留学、休学及び卒業は、教授会の議を経て、学長が定める」と規定しております。この規定は3月31日までは基本的に生きておりますので、この規定の下で3月31日までは運用をしていただく必要がございます。ただ4月1日からはこちらの規定が適用になりますので、この規定との重複関係を整理する必要がございます。そこで、学生の退学、転学、留学、休学といったものにつきましてどうするかということになるわけでございますが、よく考えていただきますと分かりますが、退学でございます。退学と一口に言いましても、懲戒的に何か不都合なことがあって退学処分をしなければいけない場合と、自己都合退学、もう自分で学業を続けることができないという何らかの事情によって辞めなければいけなくなるといった場合によっては事情は違うと考えられます。もともと学校教育法施行規則が教授会の議を経て学長が定めるとしていた趣旨は学生の身分に関わることですから、それをどのように取り扱うかということは慎重に考える必要があるという趣旨で、このように規定していたということであります。しかしながら、自分の都合でお辞めになる方まで教授会の議を経ないと辞められないといったようなことを今まで運用でされていたということがあると聞いておりまして、この点は本来的に想定されていた趣旨とは違った運用になっていたこともあるのではないかと理解しております。
 そこで今回この点も整理することにいたしまして、懲戒としての退学、これには慎重な調査・審議が重要であるという考え方から、学校教育法施行規則、同じ省令ですが、懲戒という条文が別なところに書かれております。26条という規定でございます。この26条という規定の方に第5項という新しいものを設けまして、「学長は、学生に対する第2項の退学、停学及び訓告の処分の手続を定めなければならない」。慎重な手続をとるということについてはこちらの条文で義務を課しております。大学の方におかれましては、4月1日からこちらの条文が施行されるということを前提に、内部規則についても整備をしていただく必要が生じますので、この点につきましても御留意をいただきたいと思います。逆に申しますと、転学、留学、休学といった今まで教授会の議を経て学長が定める手続をとっていた部分につきましては、これは自分の御都合を尊重してお辞めいただけるような手続を別に定めていただく必要が生じることも考えられますので、この点につきましても御留意いただきまして整理をいただきたいというふうに考えております。以上が学校教育法及び学校教育法施行規則の御説明でございます。
 引き続きまして、国立大学法人法の改正につきまして御説明をさせていただきます。
 国立大学法人法でございますが、学長の選考につきまして、第12条、現在は「第2項に規定する学長の選考は、人格が高潔で、学識が優れ、かつ、大学における教育研究活動を適切かつ効果的に運用することができる能力を有する者のうちから行わなければならない」というふうになされています。この「から行わなければならない」の部分につきまして、「学長選考会議が定める基準により、行わなければならない」というふうに改正をしております。これも4月1日からの施行でございます。
 引き続きまして、12条の第8項でございますが、「国立大学法人は、第2項に規定する学長の選考が行われたときは当該選考の結果その他文部科学省令で定める事項を、学長選考会議が前項に規定する基準を定め、又は変更したときは当該基準を、それぞれ遅滞なく公表しなければならない」。この部分が改正に関わる部分でございます。
 この規定も4月1日からの施行でありますが、4月1日からは必ずこのやり方が必要であります。もちろん現在の学長選考会議でこの規定を先取りする形で基準を決めていただき、そしてそれを公表していただくということは何ら差し支えのないものでございます。このように前倒しをして行われること自体はむしろ望ましいことと考えておりますので、この点も御留意をいただきたいと考えております。
 学長選考の透明化ということでございます。各大学それぞれがミッションを見通して、学長に求められる資質・能力、そして学長選考の具体的な手段・方法を定めていただき、そしてその結果、理由、プロセスも併せて公表していただくというところがポイントでございます。また、学長選考は、先ほど申し上げましたように学長選考会議がその権限と責任において主体的に行うべきでありまして、仮に意向投票を実施する場合には、投票結果をそのまま学長選考会議の選考結果に反映させるなど、過度に学内の意見に偏るような選考方法は、学長選考会議の主体的な選考という観点からは適切ではないものと考えております。
 学長選考会議は、御承知のとおり経営協議会の学外委員から選考されたもの、それから教育研究評議会から選考された者、同数をもって構成することになっております。この趣旨は、学内の意見、学外の意見、それをそれぞれ対等なものとして踏まえた学長選考が行われるということを法律が想定しているということでございますので、意向投票が学内だけの意見で行われているとすれば、その法律の趣旨には合致していない。そのような趣旨でございます。
 経営協議会についてでございます。経営協議会については2分の1以上が現在学外委員というふうになっているところでございますが、これを4月1日からは過半数にしていただく必要がございます。もちろん現在でも2分の1以上でおられるところもありますし、過半数を既に超しているというところもございます。もちろんそのままで結構でございます。今現在2分の1であるところは4月1日までに過半数にしていただく必要がございます。これによりまして社会の声をより反映するという考え方でございます。
 21条、教育研究評議会についてでございます。教育研究評議会につきましては、最後の方ですが、「副学長を評議委員とする」というところが加わっておりまして、特にその副学長が、先ほどの学校教育法の改正で行われておりますが、校務をつかさどる者であるということ、そしてその校務をつかさどる者で、2人以上いる場合にはそのうちから学長が指名する者を評議員としていただくことになります。これも先行した形で副学長を評議員としていたこと自体は何ら差し支えがございません。
 最後に附則でございます。これは法律改正の後に更に改革の必要があるということを明示的に記載したものでございまして、この法律の施行後適当な時期において、様々な事由を勘案しまして、学長選考会議の構成その他国立大学法人の組織及び運営に関する制度について検討を加え、必要があると認めるときには所要の措置を講ずるということが法律上掲載されております。最後の方で御説明いたしますが、このための検討会議も設置をされておりまして、引き続き検討が行われる予定でございます。
 この法律改正を受けまして施行規則が改正されております。学長の選考が行われたときの公表事項が第1条の2で定められております。具体的には、学長選考会議が当該者を選考した理由、それから学長選考会議における学長選考の過程について公表していただくということでございます。なお、大学共同利用機関におかれましては、「学長」の部分を「機構長」に読み換えをしていただきたいと思います。
 また、第7条の2という新しい条文が加わっております。これは中教審の審議まとめでも示されておりますが、基本的に学部長の任命というのは学長に権限があるわけでございますが、この点を明らかにするため、「職員の任命について、学部、研究科、大学附置の研究所その他の教育研究上の重要な組織の長の任命を行うにあっては、学長又は機構長(これは大学共同利用機関です)の定めるところにより行うものとする」ということでございます。
 国立大学法人法の改正につきまして、先ほど冒頭申し上げましたように、独立行政法人通則法で改正されている部分がございます。具体的には監事機能の強化でございます。第11条という条文ですが、この中に監査報告書の作成義務、役職員や子法人への調査権限、法人から文部科学大臣へ提出される書類の調査義務、役員による法令違反・不正についての学長及び文部科学大臣への報告義務、監事の任期を現行の2年から4年に延長すること、法人に著しい損害を及ぼすおそれのある事実を役員が発見した場合の監事への報告義務、こういった内容につきまして法律の改正がなされ、監事の役割がより強化されているところでございます。是非学内でも共有をしていただきまして、監事の皆様方にも積極的な役割を果たしていただけるような体制整備をお願いしたいと考えております。
 これは御参考でございますが、学校教育法及び国立大学法人法改正の際に国会で附帯決議が付されております。衆議院の文部科学委員会で付されているもの、参議院の文教科学委員会で付されているもの、似ておりますが参議院の方が若干多くなっております。いずれにいたしましても、「学校教育法第93条第2項第3号の規定により、学長が教授会の意見を聴くことが必要な事項を定める際には、教授会の意見を聴いて参酌するよう努めること」。先ほど申し上げましたが、参酌するとは参考にするという意味でございます。これを参酌するよう努めることという附帯決議をいただいておりますので、この点につきましても御留意をいただきたいと思っております。
 また、国立大学におかれましては「憲法で保障されている学問の自由や大学の自治の理念を踏まえ、国立大学法人については、学長のリーダーシップにより全学的な取組ができるよう、学長選考会議、経営協議会、教育研究評議会等をそれぞれ適切に機能させることによって、大学の自主的・自律的な運営の確保に努めること」、このことについても改めて御指摘をいただいているところでございます。
 大学のガバナンス改革につきまして、この施行通知を発出するに当たりまして有識者会議を置きまして御検討をいただきました。今回は検討事項が大きく二つあるうちの、まず前半、改正法の趣旨及び内容の周知に関することにつきまして、御覧いただいておりますような委員の方々に御議論をいただいた上で発出をさせていただいたものでございます。引き続き後半といたしまして、国立大学法人についての議論が行われることになっているところでございます。
 まとめといたしまして最後に申し上げたいことでございます。大学のガバナンス改革、これから御説明させていただきますと、法律に沿っている、できるだけきちんと法律に沿おうとすることによって、これが内規として問題なのか問題ではないのか、というような御質問がわいてくるという部分があろうかと思います。しかしながら、申し上げましたように大学が学長のリーダーシップをきちんと発揮できるような形で機能していただく。そしてその機能が、きちんと大学ができることによって教育、研究、社会貢献という本来大学の目的である部分がきちんと発揮されるようになる。そして社会から期待される役割が果たせるようになる、これが大目標でございますので、大学の中において内部規則がどのような構成になっているのか、法令違反にならないということはもちろんではありますけれども、むしろそれによってきちんと学長がリーダーシップをとれる体制を作っていただく、ここにポイントがあるというふうに考えておりますので、その点よろしくお願いしたいというふうに考えております。
 以上、駆け足ではございますが、私の方から全体の構造につきまして御説明をさせていただきました。御質問につきましては、後ほど施行通知の説明が終わりました後にまとめてお受けさせていただきたいと思いますので御了承をいただきたいと思います。ありがとうございました。(拍手)

【白井大学振興課長補佐】
 それでは続きまして、学校教育法の施行通知を中心に御説明をさせていただきたいと思います。担当いたします大学振興課課長補佐の白井と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、施行通知の前に、今後の段取りといいますか、タイムスケジュールについて先に御説明をさせていただきたいと思います。資料の最後、62ページをお開きいただきたいと存じます。資料の裏表紙の部分かと思いますけれども「今後の内部規則等の総点検・見直しの進め方について」という資料でございます。こちらは事務連絡の中に付いているものですけれども、8月29日付けで施行通知を発出し、またチェックリストに基づいた総点検・見直しを御依頼申し上げているところでございます。この後、各大学に対しての周知・説明、あるいは相談といったことを進めさせていただきたいと思っております。本日この説明会を開催いたしておりますし、また、文科省において電話やメール、あるいは個別にお越しいただいてももちろん結構でございます。個別の相談に、我々の方でも可能な限り御対応させていただきたいと存じます。
 また、各大学、あるいは大学団体等で行われます会議、あるいは監事研修会とかブロック会議とか様々な会議等があると思いますけれども、そうした場にお呼びいただければ、私どもからも喜んで御説明にお伺いをさせていただきたいと存じます。また、大学団体の中でも、情報公開や意見交換を是非お進めいただきたいと考えているところでございます。
 その後でございますけれども、12月の段階で、中旬頃に1回、総点検・見直し進捗状況についての簡単な調査をさせていただきたいと思います。その上で4月1日がこの改正法の施行期日ということになりますので、この4月1日の段階で法律の趣旨を踏まえた内部規則になっていることが、法律上求められてくるということになります。
 この法律の施行期日の到来後、4月末を目途としまして、この総点検・見直しの結果についての調査を行う予定です。この結果の調査でございますけれども、イメージとしましてはその前の60ページ、61ページをお開きいただきたいと存じます。こちらは「内部規則・運用見直しチェックリスト」という資料でございます。例えば、60ページの方、こちらは学校教育法の改正関係のものでございますけれども、左側の方に具体的に関係条文、それから関係条文について具体的にこういった点はちゃんとできていますかといった確認事項というものを掲載してございます。例えば2.、学長の最終的な決定権の担保というところであれば「校務に関する最終的な決定権が学長にあることが担保されているか」といった項目がございます。現在このチェックリストの中では、この右側の部分については確認に当たっての留意事項ということでいろいろ細かく書いてございますけれども、最終的な4月の調査の段階ではこの右側について、例えば本学の学則第何条ではこういうふうに規定しているので学長に最終的な決定権があるのですといったようなことを各大学において御説明をいただくというような形の調査を考えているところでございます。調査についてはまた、今後の検討があると思いますので変更があり得えますけれども、おおむねそのようなイメージをお持ちいただければと存じます。
 またその際には各大学の監事の方々、先ほど課長からも説明にもございましたけれども、監事の方については、特に大学の教育研究がうまくいっているのか、ガバナンスも含めて見ていただくということがその職務でもございますので、監事の所見を添付していただくように御依頼をする予定となってございます。
 60ページ、61ページにございますチェックリストの右側、こちらに細かく留意事項を書き込んでございますけれども、基本的にはこのチェックリストは施行通知における留意事項に連動したものとなってございますので、本日の説明では施行通知の方を中心に御説明をさせていただきまして、このチェックリストの説明と併せて代えさせていただきたいと考えてございます。
 それでは施行通知の方を御覧いただきたいと存じます。施行通知の資料の2、通し番号では29ページからということになります。29ページ、この施行通知、平成26年の文科高第441号通知、高等教育局長、研究振興局長名の通知でございます。この施行通知の構成でございますけれども、次の30ページから第1、改正の趣旨、第2、改正の概要、次の32ページになりますけれども、第3、留意事項というおおむね3部の構成になってございます。この中で第1、改正の趣旨、第2、改正の概要については先ほどの課長の里見からの説明で十分お伝えできているかと思いますので、そこについてはここでは省略をさせていただきます。特に32ページからございます第3の留意事項、こちらを中心に御説明をさせていただきたいと思います。
 第3の1というところ、「学校教育法及び同法施行規則の一部改正」というものでございます。当然でございますけれども、学校教育法は設置主体を問わず全ての大学という教育組織に対して適用されるものでございます。国公立、それから学校を設置する、いわゆる株式会社立大学に対しても適用されるものでございます。(1)で「副学長の職務」とございます。この副学長については先ほどの説明でもございましたけれども、これまで基本的には大学の最終的な判断というのは学長が行ってきたものでございますけれども、校務をつかさどることが、学長の指示によって副学長もできるようになる。極端な話でございますけれども、副学長が例えば入学の許可とか、あるいは学位の授与とか、これまでであれば学長名が行ってきたことも副学長の名前で副学長の最終的な判断で行うことができるようになるということも可能になったところでございます。例えば大学間の協定であるとか、そういったことも実際には起こり得るのではないかと思ってございます。
 副学長は、国立大学の場合は通常置かれていると思いますけれども、必ずしも必置の職ではないということがございます。副学長は、学長から指示を受けた範囲で校務をつかさどります。その際には4.のところでございますけれども、各大学においてきちんと適切な手続、それぞれ必要と思われる手続を作っていただいて、それに基づいて学長から命令をしていただきたいというふうに考えてございます。
 また、この副学長が必ず学長から命を受けないといけない、要は分掌的な業務を持たなければいけないということはなくて、国立大学の場合ですと、理事副学長兼務という形が多いと思いますけれども、例えば学長の補佐職にとどまる副学長を置いておくということも、これは引き続き可能になっているということに御留意をいただきたいと存じます。
 また、5.でございますけれども、学長から副学長に指示があった場合には副学長は校務をつかさどることができるようになるということがございます。これは当然学内又学外からも副学長の権限や責任が明らかになるようにしておく必要がございますので、例えば学長裁定等、いろいろな内部規則の在り方があると思いますけれども、文書で明確にしておいていただきたいということを5.のところで書いているところでございます。学外・学内から副学長の決定権、権限と責任が明らかになるようにしていただきたいということでございます。
 次の(2)が「教授会の役割の明確化」という部分でございます。学校教育法の93条関係でございます。1.、2.のところは先ほど課長からも説明させていただいているかと存じます。2.のところですけれども、教授会に意見を述べる義務が課されているということがございます。これは、法令上はそのような構成になってございますけれども、これは当然学長に対しても、学長がきちんと教授会に意見を述べるような機会をきちんと与えるということは、学長はその大学全体の運営責任を負う立場である以上は当然のことでございますので、そこについては御留意をいただきたいと存じます。
 それから3.でございます。「学長は、学校教育法第93条第2項に基づいて教授会が意見を述べるべき事項が学長裁定等適切な方法で明確化されているかを再確認すること。なお、学長裁定等は必要に応じて随時定めることで足りるが、学長が定めた事項については、教授会に周知すべきこと」とございます。教授会が意見を述べるべき事項、これは第93条2項の第1号、第2号、それぞれ学位の授与や学生の入学等について明記されているところでございますけれども、第3号については「その他学長が定めるもの」という規定が置かれています。この学長が定めた事項については先ほどの課長の説明にもございましたけれども、きちんと教授会が意見を述べることができるように、教授会についても周知をしていただきたいということを、ここに書かせていただいているところでございます。
 それから4.でございます。学校教育法第93条2項第1号で規定された以外の、学生の退学、転学、留学、休学等です。この扱いですけれども、先ほどの課長の説明でもございましたけれども、本人の希望を尊重すべき場合など様々な場合があるということでございます。一部には、教授会での審議がなかなか終わらないので学生が進路を変更したい強い希望があるのだけれどもなかなか退学ができない、あるいは留学ができないといったようなケースもあると伺っておるところでございまして、こういったことについては、法律上、絶対に教授会での審議を経ないと決められないといったような規定については削除をするという改正を行ったものでございます。その施行は4月からということになってございます。
 またこの33ページの上の方でございますけれども、一方では、懲戒に関する退学処分等の学生に対する不利益な処分については、これは国会審議の中でも御議論があったところでございますけれども、やはり制度上も学長が一方的に決められるようなことは避けるべきではないかというような御議論もあったところでございます。そういった御意見を踏まえまして、懲戒としての不利益処分については、施行規則の第26条5項において学長が処分の適正な手続を定めなければならないということを今回新たに省令改正をして新設をしたところでございます。
 なお、入学と卒業、それから課程の修了については、法律上、学校教育法93条第2項、第1号、2号で規定をされております。またその一方で、懲戒についても新しく学教法施行規則の第26条第5項というところで規定をされました。残された退学、転学、留学、休学、あるいは学生の復学や再入学、いろいろな学生の身分に関する取り扱いというものがあると思いますが、これについてはどうなるかという点でございますけれども、これは特に法律上の義務、縛りはございませんので、各大学でその事情を御判断の上、もし必要という御判断がございましたら必要な手続を定めていただきたいということでございます。
 次は5.と6.のところでございます。これは両者合わせてセットで読んでいただけると分かりやすいかと思いますけれども、学校教育法第93項2項第3号の中に「教育研究に関する重要な事項」という表現がございます。これは従前の教授会の規定でございました「重要な事項」というものに近いものですが、この解釈は一体どのようなものなのかということが国会審議の中でも御議論をいただいたところでございます。この中で、この「教育研究に関する重要な事項」、この93条2項の中では学位の授与や学生の入学・卒業といったような事項については既に明記を別途してございます。それ以外の特に重要な事項としては、教育課程の編成や教員の教育研究業績の審査、いわゆる資格審査といったものが含まれているのだといったことを、この解釈の中で明示的にお示しをしているところでございます。
 これは先ほどの説明でもございました中教審においては、この教授会の役割というところについて、これは後ほど御覧いただければ結構でございますけれども、この資料の通し番号の8ページの中で、教授会の役割について中教審の中では、「教授会が審議すべき重要な事項の具体的内容として、1.学位授与、2.学生の身分に関する審査、3.教育課程の編成、4.教員の教育研究業績等の審査等については、教授会の審議を十分に考慮した上で、学長が最終決定を行う必要がある」ということをこの通しの8ページの資料の中でも中教審の中で言われているところでございます。これを受けて学生の入学や卒業、あるいは学位の授与については法律上明記したわけでございますけれども、それ以外の教育課程の編成や教員の資格審査については、この「教育研究に関する重要な事項」の中に含まれているのだということを御理解をいただければと思います。
 またそれ以外の事項については、学長が教授会の意見を聞くことが必要である事項を定める際には教授会の意見をきちんと聞いて定めてくださいということを、この33ページ5.の後段で書いてございます。またその際には教授会の意見を参酌する。参酌とは様々な事情、条件等を考慮に入れて参照し、御判断をいただきたいのだということを書いているところでございます。
 6.で、この「教育研究に関する重要な事項」に該当するそれ以外の事項には、具体的にどのようなものがあるのかということでございます。ここも国会審議の中で御議論があったところでございますけれども、例えばキャンパスの移転とか大学の組織の再編といったことはどうなのかということでございます。ここは結論から言いますと、この「教育研究に関する重要な事項」に含まれ得るということかと思います。ここは、5.では、教育課程の編成等については、この「教育研究に関する重要な事項」に含まれると言っているのに対して、この6.では「教育研究に関する重要な事項」に含まれ得るという温度差を付けてございます。その意味でございますけれども、具体的に例えばキャンパスの移転といった事項についても、一律に各大学全てについてこれは重要な事項と言うのはなかなか難しいところがございます。同じキャンパスの移転でも重要な事項である場合もあれば、あるいは大学内で特段問題のないような非常に軽微な場合もあるということもございますので、具体的にどういった事項についてこの重要な事項として教授会の意見を聞くこととするかということについては、学長が各大学の事情を踏まえて御判断をいただきたいということを書いてございます。
 また、6.の後段部分、これは少し話が変わるところでございますけれども重要なところでございます。しばしば指摘されるのは、教授会が経営に関するような事項まで審議をしているのではないかといった御指摘がございます。確かに経営に深く関するような事項について御審議がある場合もあるかと思いますけれども、ただ一方で大学が教育研究に関する組織である以上、全てのことが教育研究と経営についてなかなか明確に切り離すということが難しい部分もございます。ただ重要な点というのは、経営に関する事項について、基本的には国立大学法人であれば理事長職に相当する学長が御判断いただくべきことであって、教授会は学校教育法に基づいて置かれた組織でございますので、飽くまでも教育研究に関する専門的な観点から御意見をいただくということに御留意いただきたいと存じます。同じことで、例えば組織再編ということについて御審議をいただくのであっても、それは経営的な観点からではなくて、いかに教育研究の推進に意味があるのかといった観点から教授会が御議論をいただく役割があるということでございます。
 7.でございます。学校教育法93条2項に規定する事項、第1号、第2号と、それから第3号で、その他学長が定めるものということがございます。しばしば報道などであったのが、この列挙された事項以外はもう審議ができなくなったのではないかというような御指摘もございましたが、そうではないということでございます。93条の第3項では、「教育研究に関する事項」について広く審議をすることができるというふうに書いてございますので、そこについては御理解をいただければと存じます。またこの「審議」という言葉の意味でございますけれども、これについても、しばしば審議というのは最終決定まで含んでいるんだというような御意見もあるのですが、審議とは字義どおり論議・検討することを意味して、決定権は含意していないのだということをここで明記をしているところでございます。
 8.でございます。「教授会が学長等に意見を述べる前には、教授会として責任を持って、専門的な観点から遅滞なく審議することが求められること」と書いてございます。ここで言わんとしている趣旨は、教授会、専門的な観点から審議するのは先ほどのとおりでございますけれども、特に何度も何度も繰り返し審議をしていつも教授会に持ち帰ってなかなか決まらないというような御批判もございますので、そういったことのないように、責任を持ってきちんと一定の期日の中に遅滞なく審議をしていただきたいということを書いてございます。
 9.でございます。「教授会が学長等に意見を述べる際に、教授会として何らかの決定を行うことが想定される」ということを書いてございます。ただ、それが「教授会の決定が直ちに大学としての最終的な意思決定とされる内部規則が定められている場合には法律の趣旨からして適切ではなく、学長が最終決定を行うことが明らかとなるような見直し」をしてくださいということを書いてございます。
 ここもしばしば誤解されがちでございますけれども、いろいろな大学の内部規則を見てみますと、教授会が何々について決議する、あるいは議決するといったような表現を目にすることが往々にしてございます。そういった場合には学内の方であっても教授会が最終決定権を持っているというふうに御理解されているようなケースもございますけれども、ただ、教授会が教授会としての決議をすることと、その決議が大学の最終的な決定であるということは当然意味が違うものでございます。教授会が一定の結論を出す意味での決議はもちろん問題がないわけでございますけれども、それがそのまま大学の最終的な判断になってしまって、学部長や学長がそれに対して何か別の判断をする場合や、あるいは何か問題があっても口を出すことができないというような場合があるのであればやはりそれは問題ではないか。学長に対して拘束するものであって、学長がノーと言えないような決定を教授会がしているということであれば、それは問題であるということをここで明記をしているところでございます。
 次の34ページでございます。10.でございます。今回、93条2項それから3項、いずれにおいても教授会は学長に対して意見を述べるという役割が明記をされたところでございます。この意見の受け止め方、意見の重みということでございますけれども、これは飽くまでも意見でございますので、最終的にはこれを受け止めた学長が最終的な判断をするということは当然でございます。この意見に必ず従わなければいけない、そういったことはございません。ただ一方で93条第2項については、これは先ほどの説明でもございましたが、法律が、学長が決定を行うに当たって教授会に意見を述べる義務を課しているという、ある意味では教授会に非常に重い責任を負わせているということがございます。そうした趣旨を踏まえると、当該教授会の意見をより慎重に参酌する、より尊重の度合いが大きいものではないかというふうに解することが言えようかと思います。
 11.については、先ほどの説明にあったとおりでございます。93条3項の前段部分では、学部長やあるいはその他研究科長、研究所長といった組織の長がその部局に関する校務の決定権を持っている場合があるということから、教授会との関係を明らかに規定したものでございます。
 12.でございます。93条3項後段に、「学長等の求めに応じて、意見を述べることができる」という規定がございます。この規定をいわゆる反対解釈をして、学長等の求めがない場合には意見を述べることができないのですか、というような御質問をいただくことがございます。結論から言いますと、当然その意見を述べることは全く差し支えのないものでございます。飽くまでこの規定というのは、学長が求めた場合に教授会が意見を述べることができるのだという両者の関係を確認的に規定したものであって、学長の求めがない場合についてはこの法律には一切書いていないということがございます。ですので、教授会が事実行為として学長に対して意見を表明して自分たちの意見を伝達するということについては、これは何ら禁じられるようなものではございませんので、そこについては御留意をいただきたいと存じます。
 13.でございます。1.から12.までの前提の上で、これまで法律の上でかなり細かく教授会の役割あるいはその学長との関係といったことを規律規定しておるわけでございますけれども、円滑な大学運営を図るという観点から、両者が、学長と教授会が適切な役割を果たして意思疎通を図っていくということは実際の運用としては重要なポイントかと存じます。
 14.のところでは教授会の設置単位について規定をしてございます。法律上の義務として、教授会を学部や研究科といった単位で置かなければいけないといったものは、必ずしもございません。ただ、一般的には学部教授会、研究科教授会といったものが中心かと思いますけれども、例えば工夫次第では全学教授会、あるいはそれに基づく代議員会の活用などを通じて教育課程編成委員会とか教員人事委員会とか、個別の機能別の教授会といったようなものを置くことも可能でございますので、このあたりは各大学の実情に応じて御活用をいただく余地もあるのではないかと存じます。
 また15.でございますけれども、教授会の役割についてはなかなか一般の方に明らかでないという部分がございます。もちろん学生の入学の審査とか教員の資格審査とか、個人情報に関する部分もたくさんあるとは存じますけれども、一部の大学では議事の次第や議事概要等をホームページで公表しているようなところもございますので、こういったことについても各大学で御検討をいただければと存じます。
 以上が学校教育法の関係でございますけれども、その後に、34ページの2の中段のところで国立大学法人法の一部改正についての留意事項がございます。これは後ほど御説明させていただきます。
 次の8ページにお進みいただきたいと存じます。3の「改正の基本的な考え方」というところがございます。通常のいわゆる法律の施行通知においては、こういったことはまれな例でございますけれども、今回は、この改正の基本的な理念をしっかりとお伝えをするということから、3の「改正の基本的な考え方」という項目を留意事項の中に盛り込んでございます。
 (1)のところですが、「大学が果たすべき社会的責任」と書いてあります。しばしば学生は大学のステークホルダーという議論がされますけれども、当然、学生や教職員、あるいはその設置者である学校法人、地方公共団体、あるいは国立大学法人の場合であれば国なのかもしれませんけれども、そういった関係者だけにとどまらなくて広い社会的な責任を大学は負っているのだということを書いてございます。特にこの大学運営に権限と責任を有する学長が様々な学内・学外の機関を活用しながら、大学が果たすべき役割、ミッションを捉えていただいて、自らの説明責任を果たしていただく必要があるのだということを書いてございます。
 またとりわけ国立大学法人については、「大学の教育研究に対する国民の要請にこたえる」という法律上の規定もございますし、またその運営費の多くは国からの支援によっているということもございますので、学長が最終的に責任を負う対象というのは、結局は国民に寄与するのだということを御留意をいただきたいと存じます。
 (2)が「権限と責任の一致」と書いてございます。37ページのところでございます。この「権限と責任の一致」というのは今回の法律改正における基本的な理念の非常に重要なポイントでございます。この学長の権限でございますけれども、これについては学教法92条第3項におきまして、「学長は、校務をつかさどり、所属職員を統督する」というふうにございまして、この意味は、学長が大学の包括的な責任者としての権限を有するのだというような意味を持っているところでございます。ここについては今回変更する部分ではございませんので、従前から同じ規定があって、かつそれが今後も引き続き適用されるということになってございます。
 一部、御質問等をいただくことがあるのですが、今回の法改正によって新たに学長に決定権が発生するというような御理解をされている方もいらっしゃるようなのですが、そういうことではなくて、もともと決定権があった。しかしそれが必ずしも大学のガバナンスが十分に機能していないがために十分に発揮できない状態にあったので、それがきちんと学長の最終的な決定権が発揮できるようにしていこう、まさにそれは権限と責任が一致したガバナンスを作っていこうというのが今回の法改正の趣旨でございますので、今回新たに学長に決定権が発生するというものではないということについては御理解をいただきたいと存じます。
 ただ一方で、この学長の権限と責任が大きくなると、学長に対するきちんとした評価ということも求められてきます。この9ページの(2)の2.のところでは「学長に対する業績評価」としまして学長の業務の執行状況、幅広い業務執行状況について、学長を選考した組織、すなわち国立大学であれば学長選考会議であるとか、私学であれば理事会といったような組織がきちんと評価する。また監事もきちんと評価をするべきだということをここで書いてございます。
 それから3.の「学長と教授会の関係」でございますけれども、教授会は法律上の審議機関であることは明記をされているところでございます。その審議機関である教授会の判断によって、最終的な決定権者として法律上も位置付けられている学長の判断が拘束されてしまうようなことが仮にあるのだとすれば、それは権限と責任が一致していない状態ではないか。要は学長は実質的な決定権が振るえないにもかかわらず責任のみを問われてしまうということはガバナンスの在り方として適切ではないだろうということで、そこは見直していただきたいということをこの3.のところで書いてございます。
 ただ、10ページの一番上のところでございますけれども、逆の誤解もございます。では学長が一方的にいろいろなことを判断するのですかということを御質問いただく場合もありますけれども当然そうではないということでございます。飽くまで各学部学科が非常に高度な専門性を有している世界でございますので、学長がいろいろな判断をするに当たって、その判断の一部を教授会に委任するということは、これは問題がないところでございます。教授会の意向を踏まえた、尊重したような形の大学運営というのも、これも一つの大学運営の在り方として十分に考えられるところでございます。ただ繰り返しになりますけれども、教授会の判断に拘束されてしまって、学長がそれと異なる判断をするような余地がないようなガバナンスの在り方は法律の趣旨に反しますよということをここで申し上げているところでございます。
 それから(3)でございます。「内部規則の総点検・見直し」についての留意事項でございます。この内部規則につきましては各大学において非常に多様な形態があると存じます。また、数も非常に膨大で、大きな大学においては数千あるいは万の単位に及ぶ場合もあろうかと存じますけれども、いずれにしましても、この内部規則については各大学におかれても、基本的には体系的に整理をしていただくということが前提になってこようかと思います。しばしば聞かれるのは、例えば個別の条文を持ってこられて、具体的にこの規則は直す必要があるのか。例えば「議に基づいて何とかを決定する」というような表現がある場合に、これを直す必要があるのかというお尋ねをいただくことがございますけれども、それだけでは我々も判断しようがない部分もございます。内部規則全体の体系性でありますとか他の関係規定との整理、そういったものを踏まえて御検討をいただく必要があろうかと存じます。
 また、この10ページの(3)の2.でございますけれども、この内規の総点検・見直しの作業に当たっては、法改正の趣旨について、是非学内の教職員に広く御周知を徹底していただいて、全学的な協力体制をしいていただいた上でやっていただくのが大学全体のガバナンスを改める上でも一番重要なことと考えております。
 次の3.のところでございますけれども、この内規の総点検・見直しに当たっては、規定上の個別の文言だけでは判断し切れない部分がございますので、内規相互の整合性、上下関係・優先関係といったものについて体系化をしていただいた上で、最終的には学長の決定権ということに帰着すると思いますので、それが内部規則全体の中できちんと担保されているということを御確認をいただきたいというふうに考えてございます。
 5.のところでは、教育公務員特例法の話を書いてございますけれども、国立大学法人については、現在ではこれが一切適用されていないということについては先ほどの説明でもございました。また、法律上の審議機関となっている機関に決定権があって、学長が決定権を発揮できない、あるいはその審議機関の判断に拘束されてしまうというようなことについては、これも法律の趣旨に反するのではないかというところを書いてございます。
 (4)でございますけれども、「大学の自治の尊重」、ここについては今回の法改正によって何ら変更はないということでございます。
 (5)以下については公私立大学に関する話ということで、ここでは省略をさせていただきます。
 私からの説明は以上でございます。次に、国立大学法人法に関する御説明をさせていただきたいと存じます。ありがとうございました。(拍手)

【平野国立大学法人支援課長補佐】
 国立大学法人支援課の課長補佐の平野でございます。私の方からはこの先、国立大学法人法の改正について御案内をさせていただきたいと思います。内容といたしましては、施行通知の6ページからでございます。
 6ページ、「2.国立大学法人法及び同法施行規則の一部改正」という部分でございます。改正内容、今回は大きく幾つかございます。まず第1点が(1)の部分「学長又は機構長の選考の透明化」という部分でございます。1.から7.まで説明がついてございますけれども留意事項でございます。こちらについて、まとめて御説明をさせていただきます。
 先ほど里見の方から御説明ございましたけれども、審議まとめにおいても指摘がされていますように、近年少子・高齢化等の進展というものに伴って、学長には大胆な組織再編や限られた資源の一層効率的な配分など強力なリーダーシップを発揮して大学改革を進めていただくことが強く求められている。これは皆様御案内のとおりでございます。そのため学長の選考という部分に当たっても将来の大学のミッションというものを見通した上で、ミッションの実現に向けて大学の運営をゆだねることができる適任者を獲得するということが重要になってございまして、学長選考会議が求めるべき学長像を明確に示す候補者のビジョンを確認する。こういったことが必要ということでございます。
 一方で国立大学法人の学長選考会議についてはいろいろ指摘があったわけでございます。大きく2点。1点目は大学のミッションを実現できる候補者を獲得するためにはどういった人が求められるのか。学長に求められる資質・能力、このようなものが明示されることが必要でございますけれども、これが必ずしも事前に十分明示されていないのではないか。2点目が、いわゆる教職員による意向投票、このような結果を追認しているような例があるのではないか。こういったことが言われていたわけでございます。このため学長選考会議が設けられた趣旨、すなわち社会の声を反映させる、こういったことを実現して一層の主体性発揮を促すという観点から、また、学長選考の手続というものが適切に行われたどうかというものを社会に知らしめるということで、社会からの信頼と支援の好循環を確立するという観点から、先ほど里見からお話があったような改正がされたところでございます。
 具体的に内容について申し上げますと、これまで各国立大学法人等においては学長選考規定のようなものが設けられていたわけでございますけれども、必ずしも全ての大学において学長にどのような資質・能力を求めるかということが定められていたわけではなかったということでございます。新たに法律に規定された学長選考会議の定める基準については、学長選考会議が自ら大学のミッション、こういったものの検討を勘案しつつ主体的に定めるものでございます。この学長選考会議を定める基準には、学長に求められる能力・資質、学長選考の手続・方法、こういったことに関する具体的な事項が盛り込まれることというのが想定されているわけでございますし、参議院の国会審議におきましても、文部科学省からは学長の方に求められる資質・能力としては、例えばということでございますけれども、国外に対する発信力や地域との協力関係を構築するための交渉力など、各大学の置かれた文脈によって異なってくるわけでございますし、また、学長選考の手続・方法としては、候補者をどのように推薦、立候補するかといったような方法、候補者による所信表明やヒアリングの実施など、学長選考会議が行う候補者選考に関する方法、教職員の意向投票の在り方、取り扱い、このようなことを想定しているという旨の答弁がされているところでございます。
 学長選考会議が選考を行うに当たっては、候補者の発掘、推薦への関与、また、所信表明の機会やヒアリングの実施、質問状を提出させる、公開、こういったような方法を通じて自らが主体的な学長選考を行うことが求められるわけでございますけれども、特に留意が必要な点が、意向投票の取り扱い、また、学長選考会議の運営というところでございます。
 学長選考会議は、学内のほか社会の意見を学長選考に反映する仕組みとして設けられたという趣旨から鑑みますと、意向投票を行うかどうか、また、行う場合にその結果をどのように取り扱うかということにつきましては各学長選考会議の判断によるものでございますけれども、仮に意向投票を行う場合であっても、その結果をそのまま学長選考会議の選考結果に反映させる、このようなことは過度に学内の意見に偏っている選考方法というふうに解することもできるわけでありまして、立法の趣旨に照らして適切ではないということは再度強調させていただきます。
 また、学長選考会議が主体的な選考を行うためには、特に経営協議会から選出をされた学外委員、この方々が十分な情報というものを有した上で学長選考に携わることが必要でございます。学外委員がその求められる役割というものを十分果たすことができるように学外委員に対する積極的な情報提供や、また、多くの学外委員の出席が可能となるような会議日程の設定、あるいは欠席した学外委員に対する十分なフォロー、このような学外委員が議事に積極的に参加できるような運営というものを努めるということが求められているということでございます。
 学長選考会議の定める基準に基づいて選考を行っていただくわけでございますけれども、結果の公表というものについても今回の法律改正では規定されてございます。公表する事項といたしましては、選考が行われたときには選考の結果、その他文部科学省令で定める事項、学長選考会議が基準を定め変更したときには当該基準を遅滞なく公表するということになっているわけでございます。文部科学省令で定める事項としては御紹介がありましたけれども、その者が選考された理由、また、学長選考の過程ということが規定をされてございます。
 選考した結果ということにつきましては、学長選考会議において学長として選考された者の氏名や年齢、こういったものを公表するということが想定されるわけでございます。また、選考した理由という部分につきましては、なぜ学長選考会議が、その者が学長が選考としてふさわしいと判断したのかという根拠を可能な限り具体的に示していただく。これは説明責任を果たす観点からも重要でございます。その際には学長選考会議に盛り込まれた学長に求められる資質・能力、こういったものをこの人は満たしているということを根拠をもって説明をしていただく。どのような方法で確認したか、こういったことも含まれるわけでございますけれども、説明していただくということが必要でございます。これは、公表された場合には世の中の社会の方からこの学長選考会議は本当に主体的に選考を行って、そして理由が付いているのかというところは厳しく問われるということを自覚をするということが重要でございます。
 また、選考の過程という部分につきましては、単に学長選考会議を何月何日に開催しましたということにとどまらず、いわゆる候補者の推薦、立候補をどういうふうにどういう手続期間で受け付けたのか、ヒアリングをいつ実施をしたのか、またいわゆる意向投票というものをいつ実施をして、またどんなような状況だったのか、場合によっては、これは意向投票の得票数、こういったものも含むわけでございますけれども、このようなものを含む学長選考に関わる幅広い事項について公表がされるということが想定されているわけでございます。
 今回、公表ということが義務付けられたという趣旨に鑑みますと、いわゆる学内の公示という形とか記者会見というような形、いろいろな形でやっていると思うんですけれども、なかなか学内に公示をしたからといって社会の方々が幅広く知れるということでもないわけでございまして、是非大学のホームページに国立大学法人法第12条第8項の規定による公表事項、このようなところを設けていただいて、広く国民が知るようなことができる、分かりやすい形で公表していただくということが重要だろうと思っております。
 きょうは国立大学向けの説明会ということでございますので、若干細部ではございますが、施行日の扱いについて再度申し上げておきたいと思います。
 今回の改正につきましては、施行日が平成27年4月1日でございます。先ほど大学振興課長の方から申し上げましたとおり、今回の省令改正というものを先取りをして学長選考の基準を作っていただいて、それに従った選考を行っていただく、また、各種の公表をしていただくということについては強く期待がされるわけでございます。一方で注意をしていただく必要があるのが、もう既に選考のプロセスが始まっている。一方で学長選考会議における最終的な選考というのが平成27年4月1日をまたぐといった場合があり得るわけでございます。多くの大学ではそのようなことは余りないかと思うんですけれども、一部の大学ではそのようなケースもあり得るということでございます。平成27年4月1日以降に学長選考会議が最終的な候補者の選考を行う場合には法律の規定というのが適用されてまいりますので、学長選考会議の定める基準に従って選考を行うことが必要になります。その場合には今の段階からそういったようなスケジュール感を見越して、学長選考会議の定める基準には、学長の方に求められる資質・能力、こういったものを早め早めに早急にめり込んでいく、こういったことというのが求められていくということでございます。
 法律で求められている理由の公表というのは、もちろん理由の公表ということ以上には書いていないわけでございますけれども、学長選考会議の定める基準というものに照らして行うということが期待されているというものでありますので、くれぐれもその点は御留意をいただきたいというふうに思います。
 また、もう1点ですが、学長選考会議の定める基準といったときに、こういったお問い合わせをいただくことがございます。つまり学長選考会議の定める基準というものの決定形式は学長選考会議決定とする必要があるのかといったことでございます。これにつきましては誤解がない形でやるということであれば、今は例えば学長決定とか学内規則、学長達、このような形で学長が決める規則としている場合も、学長選考会議決定というふうにしていただくことが誤解はないという意味では明確になるということでございます。
 この際、取り扱いを見直していただくということが一つあるわけでございますけれども、一方で、学内規則的にそういったものの予定がされていない、できないという場合には、学長選考会議が実質的に決定している内容を一切変更しないで学長が決定する。今でも学長選考規定を学長決定で決めている大学はあると思うんですけれども、そういった理解でされていると思いますけれども、この際見直していただくことも大いに奨励されるわけでございますけれども、学長選考会議が実質的に決定をしているというところがかぎになってくる。その内容についてはもちろん学長が変えるとか、また、途中の審議過程で変更するということは基本的には想定されないということだということをお伝え申し上げておきます。
 次に、法律とは直接関係しない部分ではございますけれども、学長選考会議が行ういわゆる業績の評価という部分で4.の部分に係ってまいります。学長選考会議による学長の業務執行についての調査・確認ですね、確認とか監事による監査というものも学長が適切なリーダーシップを発揮する上で深く関連するものでございます。審議まとめにおいても言及されているところでございますけれども、学長の適切なリーダーシップの確保という観点からは、きちんと職務執行が行われているかどうかを学長選考会議が確認するということが重要でございます。また、監事による監査というものも重要な要素でございます。
 学長選考会議は学長選考のほか、学長の任期に関する規則の制定への関与とか、学長の解任の申出、このようなものがあるわけでございますから常設の機関でございます。決して学長選考のときだけ活動をして、その後はないということではなくて常設の機関であるということからいたしますと、学長選考の後、各大学の実情に応じた適切な時期に、先ほど申し上げました基準というものも参照していただきながら学長の業務執行についての確認というものを行うことが重要です。教育研究という業務でございますので、1年1年で成果というものを測れるかどうかというところには慎重な議論があるわけでございます。そのような点も含めまして、どのような時期に学長の業務執行状況の確認を行うのかということについては各大学において適切に判断をいただきたいというふうに思うわけでございます。
 また、ここでちょっと解任の話が出てきましたので触れておきますけれども、学長の解任というのは学長の選考会議が文部科学大臣に申し出るということになっているわけでございます。ここの部分については学長の解任の申出に係る規定というものを準備をされている大学とされていない大学があるのではないかと思っているわけでございます。チェックリスクの方にも示させていただいているとおり、学長のきちんと解任の申出に係る規則というものについては学内で整備をしていただくということが求められるというわけでございますので、いま一度確認をいただきたいと思います。
 学長の解任につきましても学長の選考と同様、学長選考会議がその責任と権限に基づいて行うというものであって、学長選考会議以外の者というのは飽くまで参考であって、それを判断の唯一の根拠とするということはできないということについては解任についても同じでございますので御注意をいただきたいと思います。
 監事については、法改正の内容というものは先ほど里見の方から御説明がございました。監事の機能の強化ということがされている中で、適切な予算人員面の手当て、また、監事の重要な会議の出席への確保、事務局からの監視に対する資料提出、情報提供、内部サポート体制の充実など、大学の規模等に応じてできる限り常勤の監事を配置することも含めて体制を作っていただくということが必要でございます。
 監事の機能が強化されて、監事の機能の方は随時国立大学法人の役職員の業務の執行の状況を調査できるということでございます。これは調査を妨害した場合には罰則というものも付くというような法律上の立て付けになってございますので、そのようなことも踏まえて監事に対するサポート体制を整えていただきたい。特に今回、先ほど白井の方から申し上げましたが、監事のチェックリスト、これから2回やるわけですが、4月以降の最終チェックの段階では監事の所見というものを添付するということになってございます。これに限らず、これからは法律上、文部科学大臣へ提出する書類については監事が事前に調査をするというところが位置付けられているわけでございますので、きょうの説明会の内容、施行通知の内容、こういったことを含めて事務局の方において責任を持って監事に説明をしていただくとともに、最終段階でこうなりましたということではなくて、そのような検討の場に監事を同席させる、適宜適切に情報提供するなどの形を通じてあらかじめ理解を深めておいていただいて、監事が調査をするということが滞りなく行われるようにということについては事務局の方で責任を持って行うということを文部科学本省からもお願いをさせていただきたいと思います。
 一方で、監事については業務上、国立大学法人の業務を監査するということにされているものでございまして、理事・職員と異なりまして、国立大学法人の運営に直接職務として携わることはできないということでございます。飽くまで監査をする、チェックをするという立場でございますので、その点は監事を巻き込むということと監事をどのような形で巻き込むかというところについてはしっかりと線引きをしていただくということが必要でございます。以上が学長選考の基準、公表についてでございます。
 第2点が経営協議会についてでございます。経営協議会については先ほど説明があったとおり、4月1日以降に学外委員の数をこれまでの2分の1以上から過半数にしていただく。すなわち学内と学外が同数という状況は許容されないということになってきてございますので、今年度中に、4月1日を迎えるに当たっては学外委員の方が最低1人以上が学内委員よりも多いという状況を作っていただく必要があるわけでございます。
 経営協議会が行う審議において経営に関わる事項というのは、具体的には予算の編成や執行、借入金、財務管理、給与、就労関係など経営に関する事項というものを指すものでございます。具体的には、中期目標や中期計画に関するもの、年度計画に関するもののうち、先ほど申し上げたような経営に関する事項、経営に関する重要な規則、こういったものの制定、特に組織に関する部分、授業料その他費用徴収に関する事項、このようなものに関わる学則であるとか、会計規程、給与基準、就業規則、安全管理規則、情報公開規則など、様々な規則の制定に関与をしていただく。また、予算の編成、執行、決算に関する事項、こういったことについて審議をしていただくということが想定をされてございます。
 この経営協議会については、近年共同研究の増加とか外部資金の増加、地域活性化に対する貢献というものに対する期待の高まりということの中で、社会や地域のニーズをより反映した運営が国立大学において求められているということを踏まえまして、経営協議会についてその機能の強化を図る観点から構成を見直したところでございます。
 経営協議会につきましてはこういったような法改正の趣旨を踏まえて、実際の運用の部分において学外委員の意見というものが適切に反映されるようにするために、学外委員の出席が確保できるかといったような観点も含めて経営協議会の規模、その実情を踏まえた適切な学外委員の選任ということが求められるわけでございます。また、経営協議会という会議の場にとどまらないような学外委員に対する積極的な情報提供であるとか、多くの学外委員の出席が可能となるような出席日程の確保、欠席した学外委員に対するフォロー、議事概要の公表その他適切な情報公開など、経営協議会の運用について配慮を行うことが必要であって、これは法施行前であっても変わらず求められているところでございます。特にこの法改正の趣旨というものを十全に実現する観点からは求められる部分であるというわけでございます。
 また、各国立大学法人においては、経営協議会の学外委員からの意見の内容とその反映状況というものについて公表を行っていただいているところでございますけれども、経営協議会の学外委員からの質問等については次回の経営協議会においてフォローを行うことであるとか、経営協議会の議事録については特に学外委員の意見、質問、それに対する学内委員の回答、執行部の回答、こういったものについて公表するなど、経営協議会の機能の強化を図る手法というのは様々考えられるところなわけでございます。こういったような法改正と運用が相まって国立大学法人の経営協議会というものが国民の社会に対する説明責任を果たし、学外の有識者の意見を適切に経営に反映させること、また、学外のモニタリングを適切に機能させることによって社会からの信頼と支援の好循環を確立することにつながることが期待されているわけでございます。ここの部分の説明で申し上げたのが、7ページから8ページにかけての経営協議会(2)という部分でございます。
 次が(3)の教育研究評議会という部分の施行通知の内容でございます。教育研究評議会については先ほど大学振興課から説明がありましたとおり、副学長の機能が学校教育法の改正に基づいて強化をされるという観点から教育研究に関する全学的な戦略の企画というものを教育研究評議会の審議に反映させるという観点から、全学的な立場から学長を補佐し、一部の校務をつかさどる副学長が教育研究評議会の構成員となるということの意味は大きいわけでございます。そのため、教育研究に関する重要事項に関する校務をつかさどる副学長を必要的な構成員とする。今でも副学長が構成員として教育研究評議会の指名する者として入っているケースがあるわけでございますが、一応法的には、これからは教育研究評議会が定めなくても学長の意思で副学長を加えることができるということになるわけでございます。
 評議員にどの副学長を加えるのかという点については各国立大学法人で適切に判断していただきたいわけでございますが、重要な校務をつかさどる副学長というものについては、例えば教育研究評議会で扱うような事項について扱う副学長といったようなことが想定されることでございます。教育研究評議会で扱うような教育研究に関する重要事項に関与をするような副学長については、学長の判断で、全員ということである必要は必ずしもないわけでございますけれども、加えていただくということが必要でございます。
 教育研究評議会については経営協議会と同様でございますけれども、1点ちょっと申し上げておきたいわけですが、学長が国立大学法人の運営については教学・経営双方について最終的な責任と権限を有しているものでございます。経営協議会も教育研究評議会も審議機関ということでございまして、大学法人としての意思を最終的に決定する機関ではございません。また、国立大学法人法上、学長は議長として教育研究評議会を主催するということにされているわけでございまして、会議の招集や議事の進行、整理、議案の発議、こういったものは議長である学長が一切の必要な措置をとる権限を有するものと教育上位置付けられてございます。教育研究評議会を運営するに当たっては、これは教授会においても審議機関であるということが明確にされている。教授会については更に意見を申し述べる関係にあるのだということが法律上位置付けられていることでございますけれども、教育研究評議会についてはできたときから審議機関であって、なおかつ議長は学長であって、その学長が一切の措置をとる権限があるということが明確にされているわけでございます。経営協議会についてもこれは同様でございますけれども、このような法律上の位置付けというものを踏まえた運営というものをしていただくことが、その機能を十分に発揮する上では必要であるというふうに考えているものでございます。
 経営協議会と教育研究評議会でかけている議題、また全く同じものを重複してかけているのではないかといったような指摘があったわけでございますけれども、ここはそれぞれの専門性というものを生かすという観点からしっかり運営の方をしていただくということをお願いを申し上げておきます。
 次に(4)、公表事項について、施行通知の方で書いてある部分の内容は先ほど触れましたので飛ばさせていただきまして、(5)の「教育研究上の重要な組織の長の任命」について御説明をさせていただきます。
 先ほど説明があったとおり法人化前は教育公務員特例法というものがございまして、特に教職員の人事について教授会、評議会というところが実質的な権限を有しているということがあったわけでございますが、法人化後は、教育公務員特例法の適用がない、その上で国立大学法人の職員の任命権は学長にあるということが国立大学法人法第35条で準用する独立行政法人通則法の第26条において明確にされているということでございます。
 今回の法律上のこういった、これまでの法律上の整理というものを受けまして、国立大学法人法施行規則第7条の2については、教育研究上重要な組織の長、つまり学部長、研究科長、研究所長のような者についてもその任命権を有する学長の定める手続によって行われるものであるということを確認的に規定したというものでございます。これまでもそうであるべきでございますし、これからもそうであるということを確認的に明らかにしたものでございます。
 国立大学法人法の制定時から、実際のそういった教員の採用等については教育研究評議会、また、経営協議会の審議を踏まえて学長が定める教員の選考基準、教員選考規則等に従って学長が行うということが想定されているわけでございまして、ここは中央教育審議会でも述べられているとおり、学長の行う上でポストの配置というものは学長が責任を持って判断する。これは経営事項でもございます。また一方で、教員の専門的な業績の審査という部分は学長が最終的に決定するわけでございますけれども、教授会や教育研究評議会の方針というものを受けて行うといったことという役割分担ができているということを申し述べておきます。
 次でございますけれども、チェックリストとその他のことについてちょっと御説明をして終わらせていただきたいと思います。
 チェックリストの方で、資料の最後のページから2枚目に国立大学法人法の見直しに関するチェックリストというものがございます。ここに書いてある内容については今まで申し上げたことが盛り込まれているものでございますので改めて説明する部分というのは少ないわけでございますけれども、まず一番上でございます。学長選考の基準にはこのような、学長選考に必要な学長に求められる資質・能力とか手続・方法が盛り込まれているかどうかということでございます。この基準というのは先ほど申し上げたとおり、これからすぐに学長選考が行われる大学、施行前であっても、また施行直後に最終的な選考が行われるところは特に注意が必要なわけですが、必ず付けて決めていただくという必要があるわけでございます。
 留意点でございますけれども、2点ございます。1点は、先ほど申し上げたように4月1日以降に特に選考を行う大学にあっては、学長選考会議の定める基準に従って選考するということが法律上求められるわけでございます。その決め方の話は先ほど申し上げましたけれども、法律上、これはちょっと形式的な話になってきてございますけれども、これまで使っている学長選考基準に新しいものを加えていく、若しくは新しいものが加わっている場合であっても、4月1日以降には一度形式的に、新法に基づくものとして決定を行っていただきたいというふうに思います。その上で、法律に基づいてそれを遅滞なく公表していただく。この手続を4月1日以降行っていただく必要がある。選考の日程が近い大学については特に留意をいただきたいと思います。その際にはいわゆる内容について実質的に議論が終わったものであれば、例えば持ち回りの開催とかこういったことも場合によっては可能かというふうに思いますけれども、4月1日以降に最終的な選考を行うところにあっては、法律に基づく基準であるということ、またそれを公表するという上で必要ですので、決定というものを改めて行っていただきたいと思います。
 もう1点が、いわゆる基準というものをいつまでに決める必要があるのかということでございます。逆に申し上げると4月1日に全大学公表・設定しておく必要があるのかということでございますが、例えば次の学長選考が、4年後が予定されている、6年後が予定されているという大学にあっては選考に間に合うように作っていただくということでいいと。つまりは学長に求められる資質とか能力というものは、そのときにまさに置かれている大学の状況というものに照らして決定をする必要があるわけでございます。そのような意味においては、4月1日にあらかじめ学長にどういう資質能力が求められるかということを決めて、必ず決めていただく必要があるというものではないわけでございますけれども、一方で学内においてしっかりと議論をして作っていただくということも必要でございますので、早め早めに準備をしていただいて学内の議論を深めていただくということが必要でございます。
 その上で申し上げると、学長の唐突な交代とかそういったこともあるわけでございますので、十分な審議日程、議論というものを行い設定をするということのタイムスケジュールということについてはよくよく御留意をいただきたいというふうに思うわけでございます。
 次にチェックリストで申し上げると、4.の菱形の二つ目でございます。先ほど申し上げましたが、学長の解任に係る申出に関する規則について整備されていない大学は施行日までに整理をしていただくということが必要であろうかと思いますので、よろしくお願いいたします。
 学長選考のこういった基準については、既に先駆的な大学が幾つか現行法の下においても学長に求められる資質・能力であるとか、またミッションであるとか、どのようなことを課題として解決することが求められるのかといったようなところがございます。そのようなものも参考にしていただきながら、また、各大学の置かれた状況というものに照らして主体的な選考というものを行っていただくということを強くお願いを申し上げます。
 最後に62ページという、見開きのチェックリストの裏にある進め方についてちょっと御説明を申し上げておきます。
 国立大学法人につきましては皆様既に御案内のとおり、いわゆる学長のリーダーシップに基づく組織再編等を進めていく、機能強化を進めていくということで、私どもも学長のリーダーシップというものが発揮されているかどうかという点に着目をしながら、いわゆる補助金であるとか機能強化の交付金であるとか、このようなものも含めて考えているというような状況でございます。それはそういうことでこれまでずっと方向でやっているわけでございますが、学長の選考基準、また、学校教育法改正に踏まえたこういった対象の調査というものについては、国立大学法人は非常に世の中の関心が高いということで申し上げておきたいというわけでございますし、私どもも大変その動向というものを注視をしているというわけでございます。その上で、総点検・見直しの結果については、した後に、各国公私大学、恐らく調査をすることになるわけでございますけれども、国立大学法人については法律上又省令上、私学・公立と違って学則等について届出がなされるという義務が課せられていないところでございますので、今回の調査に当たってどのような見直しを行ったのか、またどのようなチェックリストに関わるような内部規則があるのかということを、内部規則の提出という部分も含めてお願いをさせていただこうと思ってございます。この点については、また具体的にチェック、調査の際に御案内をさせていただきますけれども、あらかじめ御留意をいただきたいということでお願いを申し上げます。
 私からの説明は以上でございます。あと、何かございましたら、きょうに限らず質疑応答を受け付けてございますので、よろしくお願いいたします。(拍手)

――了――

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-- 登録:平成26年11月 --