学校教育法及び国立大学法人法等の改正に関するQ&A

平成26年10月8日更新

問1:本学の内部規則には、「教授会の議を経て」という文言がありますが、今回の法律改正を踏まえて修正しなければならないのでしょうか。また、教授会の「議を経て」でなく、「議に基づいて」の場合はどうでしょうか。
(答)各大学における内部規則については、それぞれの解釈や運用の実態がありますので、「議を経て~」というような文言の一部を捉えて、一律に修正の要否を論じることは適切ではありません。各大学において、法律に合致した内部規則となっているかどうか、責任をもって判断していただく必要があります。
 ただし、以上の前提の上で、一般論として申し上げるとすれば、法律上の表現として用いられる「教授会の議を経て」とは、文字通り教授会における審議を経ることを意味し、教授会が決定権を有するものとは解されておりません。したがって、法律と同様に解釈されるということであれば、必ずしも当該内部規則を形式的に変更する必要はありませんが、その場合には、「教授会の議を経て」の意味が、教授会が決定権を有することを意味するものではないということについて、学内で十分に周知していただく必要があると考えます。また、学内の意識改革を図る等の目的のために、各大学のご判断において、あえて表現を変更することも、一つの考え方でしょう。
 教授会の「議に基づいて」についても同様に、内部規則の文言の一部を捉えて、一律に修正の要否を論じることは適切ではないものと考えますが、一般論として申し上げるとすれば、法律上「議に基づいて」とある場合には、強い拘束性を有するものと解されますので、「議を経て」以上に慎重な考慮が必要であると考えます。

問2:本学では、学長や学部長、研究科長から構成される大学評議会を最高意思決定機関として位置付けていますが、大学評議会の議長には学長が就任することとされています。このような場合には、学長に最終的な決定権があると言うことができるでしょうか。
(答)学長が議長を務めているとしても、大学評議会という機関の決定と、学長という機関による決定とは異なるものですので、両者は分けて考えることが必要です。その上で、貴学の内部規則における「最高意思決定機関」の意味を確認することが必要ですが、仮に、その意味が、学長が大学評議会における決定に拘束され、これとは異なる判断をすることができないようになっているのであれば、学長に大学としての最終的な決定権を認めている学校教育法第92条第3項の趣旨に反するものであると考えます。

問3:今回の法律改正によって、新たに学長に決定権が認められたということでしょうか。そうすると、改正法が施行される平成27年4月までは、学長に決定権はないということでしょうか。
(答)学校教育法第92条第3項は、「学長は校務をつかさどり、所属職員を統督する。」と規定しています。前段の「校務をつかさど」るとは、学長が校務に関する最終的な決定権を有していることを意味し、後段の「所属職員を統督する」とは、学長が所属職員に対して高い立場から指揮命令する権限を有していることを意味するものと解されています。
 学校教育法第92条第3項は、従前から設けられている規程ですので、上記の考え方は今回の法律改正の前から変わるものではありません。しかしながら、実態としては、多くの大学で教授会との関係などで、必ずしも学長の決定権が適切に発揮されず、「権限と責任の一致」が十分でなかったことから、法律改正により学長と教授会の役割や両者の関係性を明確化したものです。
 したがって、学長の決定権については、今回の法改正によって変更されるものではなく、改正法の施行前であっても、大学の最終的な決定権は学長にあり、これに反するような内部規則や運用は改めることが求められます。

問4:学校教育法上、大学の校務に関する決定権は学長が有しているとのことですが、私立学校の場合には、理事会が学校法人の業務についての決定権を持っていると思います。学長の決定権が、理事会に優先するということなのでしょうか。
(答)学校教育法第92条第3項は、学長は「校務をつかさど」るとしており、学長が、大学の校務についての決定権があることを定めています。今回の法律改正の趣旨は、大学の校務についての決定権を有するのが学長にあることを、特に教授会との関係において明確化したことにあります。
 大学の「校務」の具体的な内容については、必ずしも一律に定められているものではなく、学校法人の業務決定権を有する理事会との関係において決まってくるものと解されます。例えば、予算の配分や組織の再編といった事柄について、理事会が判断するか、それとも大学の決定権者である学長に委ねることとするかは、各学校法人の理事会の判断によって異なり得るものと考えられます。

問5:学長に決定権があるということは、教授会を最高意思決定機関と位置付けるような内部規則は、「無効」ということになるのでしょうか。
(答)教授会を、文字通り「最高意思決定機関」として位置付けており、学長が教授会における決定と異なる判断を行うことが認められないような内部規則は、学長の決定権を定めている法律の趣旨に反するものであると考えられます。一方で、法律の反する内部規則であっても、直ちに「無効」となるかどうかについては、最終的には裁判等で個別に判断されるものと考えています。
 なお、仮に裁判において直ちに「無効」とされないとしても、違法な内部規則について、大学自体が早急に改正しなければならないものであることは当然です。

問6:本学では、学長や学部長、研究科長から構成される組織として大学評議会を設けています。この大学評議会は、学校教育法上の教授会に該当するものと理解してよいのでしょうか。
(答)学校教育法上の教授会は、教育研究に関する事項を審議するために置かれる合議制の機関です。学部等の教育研究に関する事項について、様々な観点から専門的な審議を行うためには、それぞれの学問分野についての専門的な知見を有している各教授から構成される組織であることが前提と解されます。
 お尋ねの大学評議会は、学長や学部長、研究科長等から構成されるとのことですので、教育研究に関する事項について、必ずしも十分に専門的な知見に基づいた審議を行うことが担保されていないことから、学校教育法上の教授会に該当するものとは言えないものと考えます。

問7:本学では、教員の採用にあたっては、学長、学部長、学長や学部長が選んだ教員数名から構成される教員採用委員会が、採用の審査にあたることになっています。この教員採用委員会は、学校教育法上の教授会に該当するものと考えてよいでしょうか。
 また、この教員採用委員会が、各学部から選出された教員数名から構成される場合には、学校教育法上の教授会として位置付けることは可能でしょうか。
(答)学校教育法上の教授会は、教育研究に関する事項を審議するために置かれる合議制の機関です。学部等の教育研究に関する事項について、様々な観点から専門的な審議を行うためには、それぞれの学問分野についての専門的な知見を有している各教授から構成される組織であることが前提と解されます。
 そのため、学長や学部長が選んだ教員数名から構成される教員採用委員会については、教育研究に関する事項について、必ずしも十分に専門的な知見に基づいた審議を行うことが担保されていないことから、基本的に教授会に該当するものとは言えないと考えます。(なお、学校教育法上の教授会には該当しないとしても、教員の採用に関する学長の意思決定を補佐するための機関として活用することは可能です。)
 次に、この教員採用委員会が、各学部から選出された教員数名から構成される場合については、学校教育法施行規則第143条に基づいて、教授会の代議員会等として位置付けることが考えられます。本条では、一部の教員から構成される代議員会等であっても、専門的知見を有する教授会において、教授会に代わり得る専門性を有していると判断した場合には、代議員会等の判断を教授会の判断とすることを可能としています。
 なお、教授会が代議員会等を設ける場合の手続等については、学内で規則を整備しておくことが望ましいと考えます。

問8:改正法の施行期日が平成27年4月1日ということですが、内部規則が膨大にあるため、それまでに作業が間に合わない可能性があります。何らかの猶予措置などはあるのでしょうか。
(答):改正法の施行期日については、法律の附則において明確に定められていますので、猶予措置はありません。4月1日までに、内部規則の総点検・見直しを完了していただくことが必要となりますので、計画的・効率的に総点検・見直しができるよう、体制を整備しておくことが重要です。

問9:施行期日までに内部規則の見直しが間に合わずに、仮に、法律に反するような内部規則が残ってしまった場合、何らかのペナルティを受けることがあるのでしょうか。
(答):具体的には、ケースバイケースで判断していくことになりますので、一概に言えませんが、仮に、施行期日の到来後においても、法律に反するような内部規則が残っていた場合には、速やかに改善するよう必要な助言や指導を行っていくことになると考えられます。

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-- 登録:平成26年11月 --