令和4年度行政事業レビュー「公開プロセス」 1日目 議事録(6月7日(火曜日))


【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、お時間となりましたので、ただいまから文部科学省行政事業レビュー公開プロセスを開始いたします。本日の公開プロセスは、インターネット中継にて公開となっております。
 私、進行役を務めます、文部科学省サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官の渡辺です。よろしくお願いいたします。
 本日は、6名の有識者の皆様に御参加いただいております。有識者の皆様におかれましては、お忙しい中御出席いただき、誠にありがとうございます。
 それぞれ御紹介をいたしたいところでございますが、時間の都合から、ホームページにてお名前を公表させていただいておりますところで御紹介と代えさせていただきます。なお、本日の取りまとめ役は堀川義一委員に務めていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 オンライン会議の開催に当たりまして、お願いがございます。御発言のとき以外は、マイクをミュートにしてください。本日は長時間にわたる議論となりますが、よろしくお願いいたします。
 また、インターネットで視聴される皆様におかれましても、よろしくお願いいたします。
 本日は日程の都合上御出席いただけておりませんが、牧島行革担当大臣から御挨拶をいただいております。内閣官房行政改革推進本部事務局、中村参事官より代読いただきます。お願いいたします。
【中村参事官】  行革事務局でございます。いつも大変お世話になっております。本来であれば、牧島行政改革担当大臣から直接御挨拶申し上げるところでございますけれども、業務の日程の都合上、恐縮ですが、代読させていただきます。
 行政改革担当大臣の牧島かれんでございます。6月1日から、行政事業レビューの公開プロセスが各省庁において開催されております。この公開プロセスは、各省庁が外部有識者の方々のお知恵をお借りしながら、公開の場で自らの事業の点検を行うことにより、各事業の効率的、効果的な実施に向けた改善及び見直しを推進するものです。さらに、そうした議論を公開することで、国の行政の透明性を高め、政府の取組について、国民の皆様に御理解、御関心を持っていただくことも重要な意義と考えております。
 また、デジタル技術の急速な進展やコロナ禍に中に見られるように、行政を取り巻く環境は刻々と変化しており、行政の在り方も見直していかなければならないと考えています。こうした考えの下、昨年の秋のレビューについては、行政の無駄の削減だけでなく、旧来型の組織や社会をどう再構築していくかという、より幅広い観点から踏み込んだ議論をいただきました。
 さらに、本年1月には、行政改革推進会議の下にワーキング・グループを設置し、「行政の無謬性神話からの脱却」をテーマとして、デジタル時代にふさわしい政策形成、評価の在り方について議論をしてまいりました。その提言が去る5月31日に取りまとまり、その中で、意思決定過程におけるEBPM的観点の導入につなげる観点から、行政事業レビューを活用する旨の御提言もいただいています。
 行政改革担当としても、議論を深め、順次実行に移していきたいと考えていますので、この場を借りて御紹介、御理解、御協力のお願いをさせていただきます。
 今般の公開プロセスについても、国民本位の真に効果的・効率的な実施に向けた議論の場とすべく、御参加いただく外部有識者の方々には、行政の無謬性神話にとらわれることなく、ここが悪かったのではないか、ここに責任があるのではないかといった、何かを責めるのではなく、こうすればよいのではないか、こんなやり方もあるのではないかといった前向きで建設的な御意見、御提案をいただければ幸いです。また、各府各省庁の皆様にも、御議論をしっかりと受け止め、事業の改善につなげていただきたいと思います。
 以上をもちまして挨拶といたします。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、これから議事に入ります。ただいまの時間帯、第1番目のテーマでございます「外国人児童・生徒への教育の充実」について、御議論をお願いいたします。
 初めに、事業担当部局から事業概要を説明させていただきます。説明者は5分以内で簡潔に説明をお願いいたします。冒頭、担当課名、事業名、開始年度、予算規模は簡単に述べてください。
 それでは、お願いいたします。
【説明者】  ありがとうございます。私、文部科学省国際教育課の石田と申します。まず、本日の1件目として、「外国人児童生徒等への教育の充実」ということで御説明をさせていただきます。
 資料の2ページ目にレビューシートがございますので、まず、そちらを御覧ください。本事業、事業開始年度は平成22年度で、終了年度を予定しておらず実施しておるものでございます。ここにありますような経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約、いわゆる人権A規約や、あるいは、国内においては、第3期教育振興基本計画、こういったものに基づいて、外国人児童生徒等に対するしっかりした教育の充実を図るという目的の下行っている事業でございます。
 事業概要のところございますけれども、大きく5つほど構成しております事業を説明しておりますけれども、文科省で行う研究教育協議会、それから、この事業の本体になります、きめ細かな支援事業でありますとか、就学促進事業、これは後ほど御説明させていただきます。そのほか、外国人児童生徒のための動画コンテンツの作成や、集住地域・散在地域におけるプログラム開発、あるいは、高校段階における指導手引、こういったものを事業の概要としております。
 予算額は令和4年度で11.3億円となってございます。
 ページ飛びますけれども、9ページを御覧いただければと思います。ロジックモデルを置かせていただきます。先ほど申し上げましたように、現状としては、日本語指導が必要な児童生徒、こういった方が今おりますけれども、増加、多様化しているとか、集住・散在化といった問題がございます。これは後ほどデータをお示しさせていただきますけれども、そういった現状を踏まえて、課題としては、学校での受入れ環境の整備でありますとか、あるいは、指導体制整備が遅れているということ、それから、支援者が不足しているということ、そもそも学校に就学できない、そういった就学案内についての課題がある。
 こういった様々な課題があるわけでございますけれども、この本事業を通して、目的として、外国人の子供たちが、我が国に居住して、共生社会の一員として今後の日本を支えられるようにということで、学校等において日本語指導を含めたきめ細やかな指導を行う等、教育の機会が提供されるようにするといった目的で実施しているものでございます。
 アクティビティーのところを御覧いただければと思います。活動内容として、ここでは大きく2つお示しをさせていただきました。
 1つは、帰国外国人児童・生徒等に対するきめ細かな支援事業ということで、こうした外国人児童生徒等が学校に入ってきたときに、その学校でしっかり受入れ体制を整備できるように自治体での取組支援を行うという、学校に入ってからの取組を支える事業。それから、その下にございますけれども、外国人の子供の就学促進事業ということで、そもそも外国人の児童生徒が学校になかなかアクセスできない。こういったことを解消するということのために、就学状況や進路状況の調査でありますとか、就学ガイダンス、あるいは、就学案内を外国語で作るといったような、こういった事業を行っておるところでございます。
 こういった事業を通して、我が国において外国人児童生徒がしっかりと教育を受けられるようにするということが目的でございまして、これを様々な自治体で広げていきたいということで、KPIに自治体数をまず書かせていただいております。
 それから、アウトカムについてでございますけれども、初期アウトカム、中期アウトカム、長期アウトカムの3つに分けて書かせていただきましたけれども、まず、初期アウトカムとしては、少なくともこの事業を行っている自治体において、こういうことがなされるべきだというふうに考えておりまして、一番上にございますように、域内の小中学校で特別な指導、例えば、チームティーチングでありますとか、あるいは、放課後や早朝の補習授業、こういったことを、何らかの配慮がなされる事業をしっかりと全ての日本語指導が必要な児童生徒が受けられるようにするということ。それから、あるいは、域内の高校での特別な教育課程といったものを20%以上で実施するというようなこと。それから、下に行きまして、就学の管理の関係で言いますと、学齢簿の編成に当たりまして、外国人の子供についてもしっかりと管理できるように、こういった学齢簿の整備をしていただくという、これを90%以上する、あるいは、就学勧奨をしっかりと行っていただくというような、こういった内容を考えております。
 その上で、中期アウトカムとして、これは全国にこういった取組の成果が及ぶようにということで、先ほど申し上げた特別な指導だけでなく、例えば、全国の小中学校での特別な教育課程の編成が80%になるようにでありますとか、あるいは大学への進学率、あるいは高校での中退率の減少を抑えるといったことを踏まえていきたいと思っております。それから、そういったことを長期アウトカムにつなげていくということが必要かと思っております。
 時間が参りましたけれども、10ページには、今申し上げたような様々な課題についてのデータをまとめさせていただきました。増加していること、背景が多様化していること、それから集住散在の問題があるということ、こういったことを示させていただいております。
 私からは以上でございます。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、資料の1ページに戻っていただきまして、御議論いただく論点、簡単に2行ほどで書いてございます。ただいま説明にもございましたが、事業を進めていくに当たっては、外国人児童生徒の集住地域・散在地域ごとの課題と、それらを踏まえた今後の展開といったような観点もあるというふうには思いますけれども、それらを踏まえながら、アウトプット、アウトカムが事業目的と成果検証できるように適切に設定されているか、それから、成果を踏まえた今後の事業の在り方について、御議論をいただきたいと思います。
 外部有識者の皆様におかれましては、事業担当課への質問を通じ、無駄の削減はもとより、より効果の高い事業に見直すとの観点から御議論をお願いいたします。また、質疑等と並行して、適宜、コメントシートへの記入をお願いいたします。
 発言を御希望される方は挙手していただき、順番に御指名させていただきます。その際には、ミュートを外してから御発言をお願いいたします。
 それでは、挙手がございます亀井委員、それから、続きまして、小林委員、お願いいたします。
【亀井委員】  御説明ありがとうございました。また、これまでの検討のプロセスにおいて、大変充実した形でロジックモデルの作成等々、関係する資料も作成いただいて、本当にありがとうございます。
 今日、公開プロセスで初めてこの事業の意義等々を聞かれる方もいらっしゃると思いますので、改めて、幾つかそもそものところをお伺いしたいと思っているんですけれども、外国人児童の教育支援を行わなければならない。これは、今、公立学校においては、外国を由来とする子供が結構実はいらっしゃったりだとか、それが、集まって暮らしているところと、そうでないばらばらに暮らしているところによって事情が違うんだとは思うんですけれども、そういった方々をなぜ支援しなければいけないのかというようなことを日本人の方がおっしゃる方もいらっしゃるかもしれないなと思うんです。
 これはもちろん、私たちが日本人だけで生きていくことはできないということは当たり前だと思いますし、これからの社会がそういった様々な交流が当たり前になるということは当然のことなんだと思うんですが、その意義について、改めて御説明いただけませんでしょうかというのが1点目。
 それから、2点目は、その上で改めて、先ほど、学校にアクセスできないとか、あるいは、配慮が必要な教育事業があるとかいったような、何となく項目出しとしての御説明はあったんですけれども、外国人の児童、子供たちがどんな困難に直面していらっしゃるのかというところについて、特に、先ほど審議官のほうからもありましたけれども、集まって住んでいる地域、集住地域と、それから、散らばって住んでいる散在地域、そういったようなところでそれぞれ何が違うのかというところについて、それぞれ分けて御説明いただけますでしょうか。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、まず、亀井委員の御質問について、2点、回答をお願いします。
【説明者】  ありがとうございます。まず、最初の質問につきましてですけれども、これはいわゆる国際条約的なものから日本政府が行わなければいけないという観点と、それから、政策的に支援していこうとこういうことがあるんだということと2つの面があると思います。
 1つ目に関しましては、レビューシートにも少し書かせていただきましたけれども、国際人権規約でありますとか児童権利条約、こういったもので児童生徒に対してしっかりと教育を与えるべきだという条約がございまして、これに我が国も加盟しておりますので、希望をされる児童生徒の方は公立の学校に行かれるようにするということをやっているというのが最初のほうの観点からの御説明になるかと思います。
 それから、政策的にということですけれども、これはロジックモデルのところでも少しお話をさせていただきましたが、こういった外国人児童生徒の方々というのは、日本にお住みになられて、それから、もちろん、いろいろな人生をたどられると思いますけれども、中には、日本の社会に住まれて、日本を支える方々になってこられる方も大勢おられるわけです。ですので、こういった方々にしっかりと日本の国として教育を与えて、我が国の社会の中で活躍していただくということができれば、我が国にとっても非常にプラスになるというような、そういった効果があるんだろうというふうに考えております。
 それから、2つ目の質問でございます。そもそも、こういった外国人の児童生徒が一体どんな困難に直面しているのかという御質問でございました。先ほど少し、教育を受ける前の話と、それから教育を受けてからの話と分けて施策を行っているというような説明をさせていただきましたけれども、まず、そもそも、外国から日本に来られた方は……。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  回答者は簡潔にお願いいたします。まだ御質問されている方4名ほかにいらっしゃいますから。
【説明者】  分かりました。それでは、簡潔に申し上げれば、学校にそもそも、今申し上げたように、希望すれば入るんだということそのものを御存じないという方、あるいは、市町村の中に住まれていても、なかなかそういう方にアプローチできない。そういった問題があって、なかなか学校に行けないという、これは就学の問題もございます。
 それから、一旦学校に入ることになったとしても、こういった日本語がなかなか十分じゃないという児童生徒にどうやって教えるのかというのが学校の中では分からない。あるいは、どういうふうにやればいいのか分からないだけではなくて、そういうことができる人がいないというような課題がありますので、こういった課題を解決していけなければいけないというのが御質問に対するお答えとなります。
【亀井委員】  ありがとうございます。大変大事なところだと思いますので、まず、ここがこの今日の議論の出発点だろうなというふうに理解しております。
 その上で、もう一つだけお伺いしたいんですけれども、地域で子供たちが日本語を学んでいくという、それはつまり、学校の授業は基本は日本語だから。もちろん、集住していれば、まとまった授業もできるかもしれないけれどもという中で言うと、地域の人たちが子供たちを教えていく、別にそれは、その人たちの言葉ができなかったとしても、易しい日本語で教えていくというのが具体的な支援の内容になるというふうに承知をしているんですけれども、そういった理解でよろしいのかということについて教えていただいて、私の質問は終わりたいと思います。
【説明者】  ありがとうございます。10ページの資料のエビデンス3で少しお示しをさせていただきましたけれども、こういった外国人の児童生徒の方は、母語で言いますと、ポルトガル語、中国語、フィリピノ語、スペイン語、ベトナム語等々、かなり多様になっております。ですので、こういった児童生徒の方に教えるということになると、それぞれの言語で教えるというのは、なかなかこれは実現が難しいということもありますので、しっかりと易しい日本語でまず優しく日本語を教えて、その日本語で学校になじんでいっていただく。こういうアプローチを取っておるということでございます。
【亀井委員】  ありがとうございます。そういう意味で、市民社会が多分できることというのはたくさんあって、そこの橋渡しをされているというような事業であるというふうにもイメージしてもよろしいわけですね。ありがとうございました。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、小林委員、お願いいたします。小林委員に続きまして、川澤委員にお願いいたします。小林委員、どうぞ。
【小林委員】  小林です。御説明ありがとうございます。
 私からは、最後、17ページ、今回新しくつけていただいた資料、ここについて幾つか御質問したいと思うんですが。まず、ここの17ページ、補助を受けている市町村と補助を受けてない市区町村の比較データ、これは非常に分かりやすい、重要な資料だと思うんですけれども、まず、この表が示す事実としては、特別な配慮に基づく指導を受けている児童生徒の割合については、補助を受けている市町村とそうでないところで大差はないんだけれども、特別の教育課程による日本語指導を受けている児童生徒の割合というのは、10ポイントぐらい補助を受けている市町村と受けてない市町村で差がある。これは恐らく有意な差だろうと思いますので、問題は、これがこの事業の成果であるということが言えるかどうかというのが1つあるとは思うんですけれども、それは厳密にやるには少しテクニカルな話にもなりますので、それは今日はいいとして、私が特に気になっているのは、この補助を受けていない市町村でも、それなりに高いパーセンテージになっているというところで、それをどう理解すればよいかというところなんです。
 1つは、補助がなくてもできる自治体が多いということを示しているということにもなるわけですけれども、もう一方で、同じことをやっていながら、わざわざ補助を受け取らずに、自主財源だけで実施したほうがいいと考える自治体が多いということを示しているんじゃないかという気がするんですが。というのは、同じことをやりながら、補助金をもらえるのに、あえてもらわないという選択をしているということになるので、そうすると、じゃあ、受け取らないほうがいいと考える理由は何なのかというところですね。そこは把握されているんでしょうかというのがまず1つ目の質問になります。
 もう一つは、今回、補助を受けた自治体と受けてない自治体の平均値だけを示してくれているわけですけれども、標準偏差とかのばらつきであったり度数分布、あるいは最大値、最小値といった基本的なデータは確認されていらっしゃるんでしょうか。というのは、この値が例えば100%に近い自治体と、あるいは著しく低い自治体に二極化している可能性があるんじゃないかという気がするんですけれども、そういう場合に、そういう著しく低い自治体を支援するような形でこの制度が機能しているのかどうかという点が重要な論点になってくるんじゃないかと思うんですが、その点いかがでしょうか。これが2つ目になります。よろしくお願いします。
【説明者】  ありがとうございます。今、小林先生から2つ御質問をいただきました。
 1つ目の質問は、特別の教育課程による日本語指導を受けている割合が、それなりに非補助市区町村でも高いのではないかということでございますけれども、これは、市町村単位ではきちんと分析ができておりません。ですので、自主財源でできるからこういうふうになっているのか、あるいは、データの取り方で、例えば、補助市町村であれば、このぐらいのことをやらなければいけないというレベルのレベル感が少し違っていて、特別の課程をやっているやっていないの判断が、若干ぶれがあるとか、様々な要因あると思いますけれども、この辺りは少し分析をしていかなきゃいけない話かなと思っております。
 分析という意味では、2つ目の御質問ですけれども、偏差とか分散とかそういった細かい分析はまだこれからでございまして、今日いただいた御指摘も踏まえて、今後、やっていく必要があるのかなと思っております。
【小林委員】  分かりました。そこまで細かい分析してなくてもいいんですけれども、著しく低いというか、本当に必要なところにこの支援が届いているかどうかというのは、事業をやっている官庁としての感触としていかがですか。
【説明者】  これは一般的な傾向があるかなと思いますのは、先ほど集住地域・散在地域のお話をさせていただきましたけれども、もともと外国人の方が大勢おられる、そういった地域の自治体の方は、目の前にそういった対象の方がおられるということがあって、何とかしっかりと教育に受け入れていかなきゃいけないという意識が高いところはございますけれども、散在地域の方々は、必ずしもそういうふうな意識が同じようにお持ちかというと、そうではないところがあったりして、なかなか、意識の違いというところが1つは要因としてあるのかなというふうには感じております。
【小林委員】  分かりました。ありがとうございます。そうすると、必要だけれどもそこまでの意識が高まってない自治体にどう働きかけていくかということも、1つ大きな課題になってくるのかなというふうに感じました。ありがとうございます。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、川澤委員、お願いいたします。川澤委員に続きまして、水田委員に御発言をお願いいたします。
【川澤委員】  御説明ありがとうございました。今、小林委員、17ページの表についての御議論があったかと思います。私も、この補助事業を実施してない地域で、果たして、本当に外国人児童がきちんと充実した教育環境にあるかどうかというところは、非常に心配に思いました。その意味では、9ページで、今、KPI1という形で、学校における受入れ体制を整備する、その事業実施の地域数を増やすというふうになっているんですけれども、やはりこれは、数を増やすということももちろん重要なので、例えば、都道府県で1事業も実施していない割合を減らすとか、もう少し、不実施地域を減らすとか、面的に取られるようなアウトプット指標を加えてもいいのではないかなという気がいたしました。
 まず、1点目、いかがでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。不実施地域を少なくするというのは、1つのまさにアイデアだと思っております。今回、ある程度、集住地域といいますか、大勢おられる自治体とそうでない自治体とで、補助金を受けている自治体がどうなっているのかというのを少し調べてみました。
 そうした結果、取りあえず、1,000人程度で切って、それ以上の対象者がいる自治体とそうでないところと調べてみましたけれども、1,000人以上おられるような県では、こういった事業を受けていただいております。全て受けていただいておるんですけれども、そこから、すごく少ないところであると、受けられていない自治体もあるというようなことが分かってまいりました。
 具体的に、どうしてですかという話をちょっと聞いてみたんですけれども、県の中でここの市町村だけがそういう問題をお持ちであるということであれば、県としてなかなか対応できないとか、そういったお話をいただいたりしたところなのでございます。ただ、この問題は恐らく、時間がたてば、どの自治体でも、どの市町村でもそういった対応をしなきゃいけなくなるということですので、今、そういった状況にあっても、将来的に対応する必要があるんだということで、全ての自治体でこういった事業を受けていただくというような目標を立てるという今いただいたアイデアというのは、理にかなっているかなという気はいたしました。
【川澤委員】  ありがとうございます。まさに、都道府県の中で一部の地域、市町村であっても、そこには現に外国人児童生徒がいらっしゃるわけなので、そこは都道府県として取り組むべき課題だと思います。ぜひ、その辺りへの注力というのをお願いしたいなというふうに思いました。
 もう一点なんですけれども、14ページの部分で、集住地域と散在地域で2つの研究をされているということを拝見しました。この集住地域のほうの研究内容の2つ目に、「保護者や地域住民に多様性や共生について啓発を実施」というところがございます。この辺りは非常に重要な点かなというふうに個人的には思っていまして、これは集住地域、散在地域どちらでも、そういった外国人児童の子供たちがいる場合に、その学校や社会、もしくは生徒や保護者がみんなその問題を自分のこととして捉えて、どういうふうに考えていくのかということは、多分、数が多くても少なくても非常に大切なことかなというふうに思っていますし、学校側も保護者や子供たちに今どういうことをその子たちに対応しているのかというところを丁寧に説明することが必要かなというふうに思います。
 そういうプロセスを子供たちがきちんと見るのは、恐らく、外国人児童生徒への教育というだけではなくて、少数の方たちに対してどういうふうに社会が対応していくプロセスがあるのかということを本当に学ぶ重要な経験ではないかなというふうに思いますので、ぜひ、この辺りの保護者や地域住民への啓発のようなところを、散在地域も含めてぜひ実施していただきたいなと思います。その辺り、いかがでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。まさにおっしゃっていただいたとおり、こういった外国人の方を日本のコミュニティーに受け入れるという、そういう側面があるわけでございます。これは多文化共生という、この調査研究の事業の名前にも示しておりますけれども、そういったことを我々は目指していかなきゃいけないということは、まさにおっしゃるとおりでございまして、こちらで集住地域でお示しさせていただいた課題で、保護者か外国人コミュニティーで、大体集住地域であればそういうコミュニティーがありますので、そこでの情報が中心になってしまうということで、そこの言語で啓発をしていくのが集住地域のアプローチの仕方としていいのではないかということをここでは書かせていただいたんですけれども、そのプロセスを子供たちに見せるというような今の御指摘は、一番最初に申し上げた多文化共生をつくっていくんだという、こういう観点からしても重要かなというふうに感じたところでございました。
【川澤委員】  ありがとうございました。以上です。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、水田委員、お願いいたします。水田委員に続きまして、伊藤委員、堀川委員、お三方続いて御発言がございます。お願いいたします。
【水田委員】  水田です。説明どうもありがとうございました。
 川澤委員とかなり重なっている部分があるので、答えがほぼ同じになるようでしたら、先ほど説明したとおりですという形で結構です。結局、令和3年度の補助実績を見てみますと、北東北と南九州の散在地域で、補助の活用がなされていないという状況が見られると思います。結局、こういった地域については、補助を受けるだけの需要がないということで、補助を受け取っていらっしゃらないというような解釈でよろしいのかということをお聞きしたかったところです。
 ただ、先ほどのお答えの中で、限られた市町村だけ問題が生じている場合に、都道府県のほうで補助を受け取るということを控えていらっしゃるというようなこともおっしゃられていたので、そういった実態があるのかどうかというのを確かめさせていただければと思います。
 2つの調査研究があって、弘前大学が行っているほうの散在地域のほうの調査結果で、課題として認識不足というのが挙がっているんです。結局、この散在地域で補助金が活用されないというのは認識不足という面もあるのではないかなというふうに思ったんですけれども、その辺、理由として考えてよろしいのかどうか、お答えいただけるようでしたら、お願いいたします。
 以上です。
【説明者】  ありがとうございます。今の御質問ですけれども、まず、散在地域においての事業がやられていない理由ということですけれども、これはニーズがないと感じられているということが一因としてあるのではないかというふうには我々も感じております。もちろん文科省としては、そうであっても、今後のことを考えるとしっかりと対応してほしいというふうには考えておるわけですけれども、そういったことは否定できないかなということが1つです。
 それから、2つ目の御質問は、先ほどの説明の中で、県にこういった自治体、補助事業を受けておられない県に聞いたところのNが少ない中での回答でしたので、そういったことがあるところもあるかもしれないという仮説程度に御理解いただけたと思いますけれども、県がこういった事業を受けるという判断をするときに、県内の幾つの自治体でそういった問題があるかということが1つの判断要素になるのかなというようなことがちょっと感じられたので、御紹介をさせていただいた次第でございます。
 それから、3番目の御質問としては、散在地域では、こういった課題として、認識の不足があるのではないかというふうに言えるかという御質問だったかと思いますけれども、こちらの調査研究、まだ終わっておりませんけれども、私どもが実施している中で、この調査研究の中で見えてきた課題の1つとしては、散在地域においては集住地域に比べて、こういった外国人児童生徒に対する認識がやや低いところがあるのではないかというふうに感じておるところでございます。
【水田委員】  認識の改善に当たって、何か対応するということは考えていらっしゃいますか。
【説明者】  ありがとうございます。この調査研究の資料の一番下でも書かせていただきましたけれども、こういった調査研究を行った結果を普及していって、その中でこういった問題がある、課題があるということを伝えていくということは重要かなと思っております。成果活用のための全国フォーラムを行ったり、あるいは成果物を提供したり、あるいは、これはほかの事業ですけれども、私ども外国人児童生徒教育アドバイザーという40人の方を委嘱しておりまして、そういった方々が散在地域でどうやればいいか分からない、どういう対応をすればいいか分からないという方が丁寧に御説明をすると、こんな事業もやっておりますので、そういった方々にこの成果を使っていっていただくということで、普及啓発とかアウェアネス・レイジングに努めてまいりたいと思っております。
【水田委員】  ありがとうございました。以上です。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。
 有識者委員の皆様、適宜、コメントシートへの記入も併せて、並行して、大変恐縮でございますが、お願いをいたします。
 伊藤委員、堀川委員で一巡いたしますので、その後に挙手されておられる亀井委員に参ります。御質問、回答は簡潔にお願いいたします。伊藤委員、お願いします。
【伊藤委員】  伊藤です。よろしくお願いいたします。
 この論点は、補助しているところと補助していないところの差、もしくは、集住地域・散在地域というところに集中されるかと思うんですが、まず、この17ページ、先ほどから出ているところで、これ自体、差が見えているなと思うんですが、もう一歩踏み込んで、不就学の可能性のある児童の数と補助しているしていないというところまでは、さすがにこの短期間では調査は難しかったですか。
【説明者】  すいません。ちょっとそれは難しかったので、今後の課題とさせていただければと思います。
【伊藤委員】  もちろん、それだけで一概に相関が明確に出るわけではないとは思うんですが、多分、どういうタイミングで日本に来られたかとかという時間軸も含めて検討していく必要があるとは思うんですが、私、今回、幾つかの市町村で話を聞いたときに、補助をもらっていないところも幾つかのタイプがあるなと感じました。
 先ほど来出ているように、認識がなくて、特に中山間、地域が規模小さいところで、こういう児童が数少ない、1桁みたいなところも実際あるので、そういうところからすると、わざわざ――わざわざじゃないですね。補助をもらってやるというところまでのリソースが割けていないというところ。
 もう一つは、規模は小さくても、都市部じゃなかったとしてもなんですが、自分たちで結構ボランティアさんを集めてやっているところがあるというのは感じました。例えばですけれども、大学の留学生に声をかけて、授業のときにボランティアで来てもらっているという地域が実際にありますし、そういう、もしかしたら、この後、あと一歩踏み込んだ分析の中で、補助をもらっていない中にも、きっとポジティブな意味とネガティブな2つあるような気がするので、そこの把握が必要なのかなというふうに思いました。
 もう一つ、集住地域と散在地域についても、同じように先ほど来出ているかと思うんですが、もちろん散在地域は、先ほど来出ているように認識不足もあると思うんですが、もう一つ、既に書かれているように、やっぱり支援人材の不足というのが大きいんだろうなと。NPOがやっているところというのは、僕が調べた中では、ある程度、10万人以上ぐらい規模のところが、NPO団体があって、そこが支援をしているところかなと思うんですが。そのないところでちょっと話を聞いていたんですが、そのときに、いや、これ補助金もらって人材を確保しようとしても、正直言って難しいですという話をされていて。
 そこで1つ考えられるのは、オンラインで、調査結果の普及のフォーラムとかをやられているという話が書いてあったかと思うんですが、さらに踏み込んで、今、オンライン教育が解禁されているので、なかなか支援人材がいないところの地域と都市部でのオンラインでの教育という、すぐにできるかどうか分からないですが、可能性としてあり得るんじゃないか。実はこの話、規模の小さいところと話をしていた中で、そういうのを本当はやれたらいいのにな。ただ、規模の小さいところからすると、一体どこにアクセスすればそういう人たちが見つかるかが分からないというところがあったので、何かそういう可能性がないのかなと思ったんです。その辺はいかがなんでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。2つコメントいただきましたけれども、1つ目の点、散在地域で、補助金をもらってなくても、自分たちの力でやっていたり、あるいは、大学と連携してやっていたりするところがあるんじゃないかというのは、これはまさにおっしゃるとおりでございまして、我々が聞いている中にも、大学とうまく連携しているので、それなりに費用がかからないというところもありますし、あとは、財政状況がいいからこういったものを使わなくてもいいと、もちろんこういう自治体もございました。
 それから、2つ目の点は、もう本当に我々悩ましいといいますか、散在地域の調査をしている中で、まさにそこのポイントが大事だと思っておりまして、どうこれにタックルしていくのかというのが課題だと思っております。今、御指摘のありました、オンラインで、ICTを使って、集住地域である程度ノウハウがあるところとそうじゃないところをつなぐ。これも1つの案だと思いますし、それから、これは県であれば県域ですので、県のほうの指導が入るとか、あるいは、そういった取組をやっている市町村同士でお互いにノウハウを共有するといったアプローチのほうで解決できることもあれば、もう一つ踏み込んで申し上げると、支援人材をいかに掘り起こしていくかということをもっと文部科学省自身もやってもいいんじゃないかというようなことは考えておりまして、例えば、我々日本人学校、海外にありますけれども、この日本人学校に毎年1,300人ほど教員を派遣する、こんな事業をやっております。
 ここで経験された教員の方の能力を調べてみますと、こういった多文化共生の理解とか制度理解が圧倒的に高いというような、そういった結果も出ておりますので、こういった方々に声をかけるとか、あるいは、商社の方なんていうのは、海外に派遣されて、そういった御経験をされておられる方もおられて、こういった商社の方がボランティアをしているという団体もあるようでございます。
 文部科学省はなかなか、企業の方との連携がこれまであんまりやってなかったものですから、こういった方々とお話をさせていただくということもやり始めてみようかなということも考えておりますし、青年海外協力隊のOBの方のボランティアなんかもありますので、こういった全国規模でまだまだ助けていただける方を、文部科学省自身がお話をさせていただいて、地方の方からのお話があったら受けてくださいと、こういうことをやらなきゃいけないのかなと考えております。
【伊藤委員】  今の最後ですけれども、掘り起こしはとても重要だと思いまして、現場の人たち、一生懸命やっている分だけ、なかなかどこにネットワークがあるのか分かりにくいところなので、そこを文科省がつなぐというのは非常に重要だなと思いました。
 以上です。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。それでは、堀川委員に御発言をお願いいたします。
 その間に、委員の皆様方、コメントシートの御提出をお願いいたします。コメントシートを御提出いただいてから取りまとめに時間がかかりますので、取りあえずメールで事務局まで御提出いただき、引き続き、御質問、御議論のほうは継続させていただきます。
 堀川委員、お願いいたします。
【堀川委員】  堀川です。よろしくお願いいたします。
 より効果を高めるという点から2点。1つ目は、就学促進事業についてです。特に偏在地域の対応なんですけれども、本件事業は、子供たちが国籍を問わず教育を受ける権利を守るということは、それを実施する事業としては、大変重要な事業だと考えています。そして、皆様方担当部局の方々が非常に考えて実施しているということも今回のレビューではよく分かりました。
 ただ、国としてこれだけ補助金を設置し、さらに、自治体の負担分も地方交付税措置までされていても、補助事業箇所が徐々にしか増えていない。全国的に実施できない。特に促進事業では。そういう状況が見られると、今考えている自治体を巻き込んだプッシュ型の事業戦略というのは、なかなか限界があるんだろうな。ただ、一方で、子供たちは日々成長し続けているので、ある意味、この事業というのは待ったなしの事業ですよね。これを踏まえると、現実的に実施できる政策も徹底していく必要があるのではないか。
 具体的に言うと、当事者が――当事者というのは、外国のお子様とか御家族様が、日本は義務教育制度は非常に入りやすいんだと、負担も少ないんだと、場合によっては全く負担なしで行けるんだということを知っていれば、きっと就学したであろうケースについては、プッシュ型でなくても、広く一般に広報する形で伝えることで、十分効果が発現する部分もあると考えるんです。具体的には、日本にある各国コミュニティーがありますよね。たまに、何とか公園とかでそういう集まりがあったり。そういうところとか、必ずビザとかが必要になると思うんですけれども、大使館、動線がありますよね。そういうところへの広報とか、先ほど課長がおっしゃった、元青年協力隊員、私も実は青年協力隊員のパプアニューギニアの現場に行ったことがあります。彼らは本当に地元の情報を握っていますので、彼らの、元隊員の情報収集など。考えつくことは1つ1つ、待ったなしの行政ですから、取り組むことが重要じゃないかと。
 既に担当課のほうでは、地域のNPO等との連携には努力されていますが、伊藤委員もおっしゃったように、地域資源についてさらなる掘り起こしがないのか。大上段かもしれませんけれども、政府広報、これは各省庁がきっと手を挙げてやってほしいというやつだと思うんですけれども、そういうこともいっそのこと活用することまで考えて、待ったなしの行政についてできることをやろうというのが1つ。
 もう一つは、外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業のほうですけれども、この事業で、日本の大学への進学率というのは大いなる成果だと思うんです。現状、4割の進学率は、日本の進学率に比べて低いものの、一応、様々な御家庭の中で、場合によっては、日本語を全く知らないお子様が日本に来て、大学まで行っているケースもあると思うんです。それはある意味奇跡だと思います。その効果を上げている方策を、自治体が苦労されてそこまで引き上げている可能性がありますので、その実態を、ベストプラクティスをさらに発掘していただくことで、横への展開を広げていただければなと考えています。
 以上2点です。より効果がある方向で御検討いただければと思っております。以上です。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  回答を簡潔にお願いいたします。回答の後に、亀井委員、お願いいたします。
【説明者】  ありがとうございます。まず、1つ目の点、就学支援について、この事業だけではなくていろいろなアプローチをするべきだという御意見と受け止めました。私どもも、政府広報のお話がありましたけれども、広報は大事だと思っておりまして、例えば、各国の大使館、日本に来る前に、日本の学習制度はこうなっていますよということを動画で御紹介してもらうことを各国大使館のホームページで載せてもらったりとか、そういったこともしておりますし、あとは、令和2年から各自治体にお願いしていますのは、住民登録をしに来られる方は基本的には大勢おられますので、そこでしっかりとこの教育のことを伝えていただくということで、必ずお越しになられるような場面を活用してくださいと、こういう話も一緒にやって、この事業の効果を高めておるところでございます。
 それから、2点目の日本の大学への進学率でございます。私どもが調べたところ、ユネスコの統計局が出している数字を拝見しますと、例えば、日本に来られている方の多いであろうブラジルであれば55%。これは大学・短大の進学率ですけれども、55%。中国は58%、フィリピンは35%、ブラジル以外の南米諸国であれば、ペルーは70%、ベトナムだったら28%と結構様々でございます。
 ですので、日本に来て40%進学されているというのをどういう評価するのかというのは、いろいろな評価の仕方があるとは思うんですけれども、しかしながら、今言っていただいたとおり、日本で大学まで行けることになったということは、これはよい効果といいますか、ベストプラクティスになり得ると思いますので、そういったことを広報で活用していきたいと思います。
【堀川委員】  ありがとうございます。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  よろしいですか。それでは、亀井委員、御発言をお願いいたします。
【亀井委員】  ありがとうございます。ちょっと1つ確認したいんですが、例えば、外国の方は、それぞれある自治体に、例えば、A市に住んだときに、当然、A市に住みますということで、住民票として住民登録されるわけですよね。このときに、小学校に行けますみたいなところは、言語としてのそれぞればらつきがあって、なかなか、さっきのポルトガル語だ何語だというのはいろいろとあるかもしれない。中国語だっていうのはあるかもしれないんですけれども、こういった案内というのは必ずされているという理解でまずよろしいんですか。
【説明者】  ありがとうございます。まさにそういった案内をしっかりやっていただきたいということを今回の目標にさせていただいたところでございます。プッシュ型の案内ということで、ロジックモデルにも書かせていただきましたけれども、こういった就学勧奨をしっかりとやっていただくということは、まさにやるべきことだと考えております。
【亀井委員】  そういう中で、今、行政のデジタル化というのが様々進んでいて、恐らくこの3年から5年の間には、いろいろな手続がデジタル化していくんだと思うんです。そういう中で、この事業として、デジタル化の中にぜひ取り込んでほしいことみたいなことがきっと要望として出てくるんだと思いますので、そこら辺はぜひ、単純に、もちろん教育の場合は、非常に行政そのものが分権的であるということは戦後以来の特徴なんだと思うんですけれども、これは文科省の領域を超えて、総務省の領域も含めて、単純にやってくださいというよりは、デジタル化で様々な行政が、今、行政手続が変わっていく中で、そういったものが自動的に行われていくだとか、あるいは、翻訳も含めて行われていくだとか、そういったことが実はかなり、まず、当初の段階でカバーしていくところで、ここ数年の行政として大きく変わるところだと思いますので、すいません、私もう出してしまったので、書いてはいないんですけれども、そこはしっかり取り組んでいただけたらいいなというふうに思いました。これが1点目。
 それから、2点目。もう一つ、さっき伊藤さんがおっしゃった話でとっても大事だと思うのは、やっぱり地域社会の協力を得ていく。先ほど、企業の協力を得ていくとか元社員の協力を得ていくというところがあったんですが、ここら辺、一方で、地域の人たちが何ができるのかがまず分からないとか、先ほどの冒頭の御質問にもなるんですけれども、いや、実は、そうか、易しい日本語で教えればいいんだったら自分もやってみたいとか、そういった人たちが増えていくといいんだろうなと思うんですが、そういった声がけがなかなか自治体からされているように少なくとも私は感じないんだけれども、その中核になるのは、例えば、NPOであったり、多分、自治体そのものはそこまで、今、忙しくてそこまではできませんという話で手を挙げてしまうところがほとんどだと思うので、そういう意味では、そういう地域社会の理解を得ていくだとか協力を得ていくための資金みたいなところをこの事業の中で使わせてもらえると、随分いいような気がするんですが、そういったものというのは、この事業としては、お金は使えるんですか。
【説明者】  よろしいですか、今、お二つ話がありましたけれども、デジタル化の件については、我々もしっかりやっていきたいと思います。直近で言うと、学齢簿を作ることになっていますけれども、学齢簿というのはこういう形で作ってくださいということに、外国人の子供の学齢簿も作ることにしましたので、これはどんどん進んでいくというようなこともあると思います。しっかり使っていきたいと思います。
 それから、地域の、社会の協力を求める際に、どういうことをやってほしいのかということを分かってもらわなきゃいけないということですけれども、これも我々、学校だけではなしに、地域としっかり協力関係を、体制をつくってくださいというふうな話をさせていただいていまして、それに対しては補助金は使えることになっておりますので、地域に対するそういった普及啓発活動といいますか、そういった話についても、当然、この補助金の対象として使っていただけることになっております。
【亀井委員】  くれぐれもデジタルのときに一番気をつけなきゃいけないのは縦割りの問題で、学齢簿が見えているのは、学齢簿は来ている子が見えるんだけれども、一方で、来ない子、いるはずなのに見えない子というところをどういうふうに発見するかというところについては、ほかの役所が把握していることとかほかの組織が把握していることと重ね合わせて見ていくということが、これは冒頭、小林先生からも御指摘があったと思うんですけれども、そこがとても大事になってくると思いますので、ぜひそういった観点でしっかり進めていただければなというふうに思います。
 取りあえず、以上です。ありがとうございます。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。それでは、川澤委員に御発言をいただいて、その間に、お取りまとめがほぼ進んでいると思いますので、一旦、お取りまとめのほうにしたいと思います。
 川澤委員、お願いいたします。
【川澤委員】  ありがとうございます。今、亀井委員からデジタル化のお話があったかと思うんです。恐らく、就学していない子供たちをどう把握するかということと、把握した後に、今、9ページで、電話や訪問でプッシュ型の就学勧奨となっているんですけれども、恐らく、それがデジタル化する必要があるんじゃないかなというふうには個人的に感じています。そこを、言語も自動翻訳も活用して、きちんと就学勧奨をすれば、恐らく、レスポンスがあるかどうかというのもすごく分かりやすいと思いますし、その辺りをぜひ改善していっていただきたいなというふうに感じました。
 地域の関わりについても、恐らく、例えば、就学前の未就学児のどういうふうに過ごしているかというところから含めて、恐らく、市民の協力とか関わりというのがあると思いますので、就学時になってからというよりは、未就学児の段階でどういうふうに市民と関わりを得ていくかというのもとても大切なのかな。それはほかの行政の役割でもあると思うので、ぜひ連携して進めていっていただきたいなというふうに思いました。
 以上です。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。説明員は何かございますか。
【説明者】  今の2点をしっかりと心に踏まえながら進めていきたいと思います。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。
 コメントシートはあと一枚なんですが、それを待っている間に、もし御発言まだございます委員がいらっしゃいましたら可能ですが、よろしいですか。
 それでは、少々お待ちください。川澤委員からのコメントシートが到着していないようですが。
【川澤委員】  すいません。さっき送ったつもり……。もう一回再送します。失礼しました。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  すみません。恐れ入ります。再送をお願いいたします。
【亀井委員】  じゃあ、時間つなぎに。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。亀井委員、お願いいたします。
【亀井委員】  今回、もともと、この担当課さんは、私、総務省の行政評価局の実証的共同研究でもいろいろ御一緒させていただいて、本当ありがとうございます。自分たちがやっていることをどういうふうに評価すると、より政策の効果を把握することができるか、あるいは、そういう中で、何ができると自分たちが次にやるべきことの改善を見いだすことができるかということについては、非常に、その実証的共同研究のところでも一生懸命いろいろ考えてくださったし、今回のプロセスでも、これは今日1つ目の事業ですけれども、大変真摯に考えてくださって、いろいろなエビデンスが出てきたなと率直に思います。
 逆に言えば、具体的に、どういうふうにこれから考えていくべきなのかというところについて、事業課、担当課のほうから提案があったというのも、過去の事業仕分的レビューとは全く違って、前向きにこの事業をどういうふうにより効果の高いものにしていくかとか、あるいは、様々な協力を得てどういうふうにやっていくのかとか、あるいは、文科省そのものが、先ほども申し上げた、大変分権的な役所なので、地方との協力を得ながらやっていくという大変御苦労されているところについて、具体的な課題も非常に見えてきてよかったなというふうに思います。
 大事なことは、今回、こういった形で、この事業について、事業設計の評価設計、調査分析設計も含めて評価設計みたいなものを一体として行うことの意義というのが大変よく分かったんだと思いますので、ぜひ、これは文科省にお願いしたいのは、今回のプロセスのような形で、事業設計と調査評価設計みたいなものというものを一体として出すように、これからの事業設計を全省挙げて行うように、ぜひそこは進めていただきたいと思いますし、今回のまさに担当課さんの御努力というのは、その模範になるだけに資するものだと私は思っていますので、ぜひ、そういったような形で横展開をお願いできればなというふうに思いました。
 以上、コメントです。つなぎでした。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。川澤委員、もう再送もしていただいているんですが、ちょっとメールが到達していないようで、原因がよく分かりませんが、進行させていただきます。
 まずは、集まったコメントの全体のお取りまとめを堀川座長からお願いし、あとは、加えて、補足を川澤委員から口頭で御発言いただく形でまとめさせていただきたいと思います。お願いいたします。
【堀川委員】  すいません。川澤委員。選ばれたのは、評価の選択はどれになります? 聞こえますか、川澤委員。
【川澤委員】  すいません。「事業内容の一部改善」でお願いします。
【堀川委員】  オーケーです。
 では、取りまとめさせていただきます。まず最初に、各委員の評価の分布状況ですが、全員が「事業内容の一部改善」となりました。その主なコメントを紹介します。
 今回のプロセスを通じて、ロジックモデルの精査や具体的な調査・分析も進め、事業が目指すべきところ、さらには、その実現のための事業の方向性、担当課の考え方をより明確にすることができた。
 集住地域・散在地域それぞれに応じた自治体の積極的な取組、さらには、社会・地域の協力も得られるようなさらなる具体策が必要ではないか。
 次に、今回の事業を非常に評価する意見が多数の委員から出ていますが、教育支援体制整備事業補助金に基づく2つの事業については、需要の大きな地域に必要な補助がされており、今後も、効果を確認しながら確実に進められることが望まれる。
 今後さらに重要性が高まる事業であると思われるので、引き続き実施していくことが適当だと考えられる。
 続いて、就学促進事業については、現状を踏まえた重点戦略の見直しが必要。
 次に、散在地域の支援人材不足が課題となっているが、そのための対策がまだ不十分。不就学児童数と補助しているかどうかの相関関係があるかどうかなど、補助団体が少ない現状の分析をさらに進める必要がある。
 せっかくあるデータをきちんと分析し、情報を把握するのが望ましい。就学促進事業については、現状を踏まえた重点戦略の見直しが必要。
 以上を踏まえ、最終的な評価としては、全員一致となりました「事業内容の一部改善」とし、その取りまとめコメントですが、まず、今回の事業については非常に評価が高い。また、ロジックモデルと今回の対応についても、非常に模範になる事例だということで、こういう取組を全省庁的に横に広げていただきたいということをまず最初に述べさせていただいて、具体的な内容については、大きく2つの柱でまとめたいと存じます。
 大きくは、散在地域をどうするかということと、全体をカバーするということなんですが、具体的には、散在地域における自治体の取組はさらなる実態把握が必要。すいません。まず、1つ目の柱は、事業の執行及びその方向性に対するというもので、散在地域における自治体の取組のさらなる実態把握、外国人児童の居住実態と教育のカバー状況のさらなる実態把握、地域社会、市民、企業の積極的協力をより得ることができる事業の構築。
 次に、現在補助を受けていない比較的需要の小さな散在地域において、認識不足から支援体制の重要性が無視されないように注意することが必要。その際は、調査研究の成果を確実に施策に反映していくことも重要であろう。
 就学促進事業については、現状、地域資源のさらなる活用へ重点を置いた戦略を進めるとともに、政府広報の活用など、あらゆる施策を活用した教育の機会を失わないための戦略が必要。
 散在地域については、オンライン教育の活用が有効ではないか。また、文科省がリーダーシップを持って人材の掘り起こしを行い、さらには、ポジティブな理由、ネガティブな理由について、よりきめ細かな分析が必要であるというのが、1つ目の事業の執行及びその方向性について、多岐にわたる意見が出ております。
 次に、2つ目の柱としては、データ分析に関するものであります。せっかくあるデータをきちんと分析し、状況を把握することが望ましい。
 以上、大きく2つの柱でまとめたいと存じますが、皆様、いかがでしょうか。よろしければ、挙手をお願いいたします。いいですか。
 どうもありがとうございました。以上です。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 以上をもちまして、「外国人児童生徒への教育の充実」の公開プロセスを終了いたします。
 次は、5分間の休憩を挟みまして、14時35分の開始といたしますので、委員の皆様におかれましては、御準備のほどお願いいたします。それでは、担当課は交代してください。
( 休憩 )
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  皆様ログインされましたので、それでは、2課題目の公開プロセスを始めさせていただきます。
 これより理科教育等設備整備費補助等について御議論をお願いしたいと思います。初めに事業担当部局より事業概要の説明をいただきますが、事業内容につきまして、担当部局は簡潔に、事業名、それから開始年度、予算規模から具体の御説明をお願いいたします。
【説明者】  それでは、理科教育等設備整備補助等について御説明申し上げます。よろしくお願いいたします。
 2ページにございますとおり、この事業の目的は、理科教育における観察・実験の充実のために、理科設備の充実、そしてまた環境の整備等を目的としているものでございまして、その下、事業概要のところでございますが、理科教育振興法、法律に基づきまして、公立、私立の設置者に対して、理科設備等の必要な経費の一部を補助する、補助率は御覧のとおりです。また、公・私立学校の設置者に対しまして、小中学校における理科の観察・実験に使用する準備を行うための補助員としてアシスタントを配置するための、これもまた必要な経費の一部を補助するものでございます。
 予算規模につきましては、その下でございますが、ここ数年、約19億円で推移しているところでございます。
 中身です。まずアクティビティー、下から3段目のところですが、設備の整備に関しましてでございますが、活動実績、アウトプットの欄でございますが、件数は御覧のとおりです。
 3ページを御覧ください。次にアウトカム、成果実績でございますが、これまでのところ、このレビューシートでは観察・実験活動の充実といたしまして、小学校で観察や実験をする授業を1クラス当たり週1回以上行ったと回答した学校の割合、この数値は全国学力・学習状況調査で把握しているわけでございますが、本来、令和3年度には調査を行って、この数値を把握しようとしていたんですが、コロナのために理科のテストが中止になったために、今まさに、令和4年度中に実施しているところでございます。
 その下の欄は中学校なので省略させていただきます。
 もう一つ、次に、3ページ下段のほうでございますが、理科の補助員、PASEOです。この配置に関する経費の一部補助でございます。アウトプット、件数は御覧のとおりです。
 次に、成果目標・成果実績、アウトカムのところですが、これまでのところ、この観察実験アシスタントの配置によりまして、思考力等の向上、関心意欲の増加が見られるかどうかと、4ページおめくりいただきまして、併せまして上から4段目のアウトカムのところでございますが、このアシスタント配置によりまして観察・実験回数の増加が見られた、こうしたものをアウトカムとして設定させていただいております。なお、この2つの数字につきましては、3年に一度行っておりました実施状況調査で把握して、これも令和3年、また令和2年に把握する予定でございましたが、コロナ禍のために調査を行うことができず、これも令和4年度に把握していきたいと考えてございます。
 こうしたレビューシートでございますが、9ページを御覧いただければと思います。事前勉強会等で委員の皆様から御指摘を受けまして、本事業の目的、ターゲットの明確化、これを意識するようにと御指摘ありましたので、それを再整理しました。そしてまた、その再整理しました目的に応じまして、アウトカム等につきまして以下のとおり修正して、皆様に御提示したいと考えております。
 本事業の目的、上から3段目でございますけども、実験等の設備がどうしても一定期間で老朽化しますし、新しい教育課題に対して必要な設備等を整備しなくてはなりません。また、昨今の教師の厳しい環境の中で、学校によりましては理科の実験の人的な面からのサポートが必要な場合もございます。こうした課題を解決するために、この事業は、自治体任せにせず、国が必要な自治体に補助をしながら、基礎的な基盤整備、環境整備を行うものとして明確にさせていただきました。
 その上で、本事業のアウトカム、初期、中期、長期ございますけども、初期アウトカムにつきましては、最低限の整備が整えられている、またアシスタントの配置校数が増加している。中期につきましては、この最低限整備に加えまして、継続的な整備と、通常の想定されるべき設備が整備されている。そして最後、長期のアウトカムといたしましては、全ての学校において必要な設備が整備されまして、また必要に応じてアシスタントのサポートを受けて、理科の先生たちが積極的に観察・実験を行うことができる環境が構築されているということで定めさせていただいておるところでございます。それに関しましてKPIを1から6まで定めさせていただいておりますが、この図のとおりでございますので説明は割愛させていただきます。
 説明は以上です。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、ただいま担当課から事業の説明がございました。評価に関する御議論をお願いしたいのですが、1ページに簡単に論点が記載してございます。こちらは理科教育等の設備整備の補助でございますので、理科設備が一定水準であるということ、量的な面だけではなくて、クオリティー的な面をどういうふうに見ていくのかといったところがなかなか難しいところかと思いますが、そういったことも含め目的を明確にし、より効果的に進めるための実施方法。あるいは、今、アウトプット、アウトカムについて一番最後に説明ありましたが、それらのアウトプット、アウトカムが事業の目的と成果検証できるように適切に設置されているのかといったような論点で御議論いただければと思います。
 それでは、御質問、それから御議論、御意見のある方は挙手をお願いいたします。
 それでは、順番は小林委員、堀川委員、川澤委員、水田委員の順になります。
 小林委員、それでは御発言をお願いいたします。
【小林委員】  小林です。御説明ありがとうございました。私からは、最初に当てていただいたので、問題意識の確認のようなところで質問させていただきたいんですけど、18ページのグラフです。これはなかなか重要なところかなと思うんですが、我が国の質問紙調査の結果についてということで、4つグラフありますけど、やはり左上のグラフ、ここに論点が集約されていると思うんですね。
 このグラフ、折れ線4本ありますけど、主に示している内容としては3つくらいあって、1つは、小学校から中学校になると理科の勉強が楽しいと回答する児童生徒の割合が下がるということですけども、2019年だと92%が70%に下がるわけですね、小学校だと92だけど、中学生は70%と。これだけを見ると、日本で教育を受けてきた者として、まあそんなものだろうなと思ってしまうんですが、しかし2つ目は、小学生については国際平均より高い、しかし中学生については国際平均より大幅に低くなっているということです。これは裏を返せば、諸外国では、あくまで平均値でありますけども、小学生から中学生になっても、理科が好きだという子供の割合があまり落ちないということなんですね。これは私、非常に衝撃を受けました。何なんだ、どういうことだと。
 これについて、なぜこういう違いが出ているのか、文科省さんの中でどのように捉えていらっしゃるのか。これをちゃんと考えるなら諸外国との比較調査が必要になってきて、なかなかそこまでは難しいかなと思うんですが、どういうふうに認識されているのかということが、まず1つお聞きしたいです。なぜかということです。
 もう一つは、このグラフから読み取れることとして、これらの数値は上昇トレンドを描いているわけですが、これがなぜかというところをお聞きしたいと思います。例えば、この間に学習指導要領の改訂というのが何度もあったと思いますけども、それがこのようなことを引き起こす改訂につながっているのか、あるいは現場の先生たちの取組によるものなのか、あるいは今回の事業にあるPASEOのような取組が生んだ成果も含まれているのかどうか、その辺どのように解釈されているかお聞かせください。よろしくお願いします。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  担当から御回答お願いします。
【説明者】  ありがとうございました、小林先生。まず最初の御質問ですけども、中学校のときに理科の勉強が楽しいというのが下がるということ、国際的に比べてということでございますけども、これはこの項目だけ取っていますので、その要因まで把握しているものではございませんけども、我々文科省で想定しているような議論の中では、中学校になって教科内容が高度化するに当たりまして、それはどこも国際的に同じなわけですけども、その上で、かなり小学校のときに理科の実験・観察、まさにこの事業と関わってくるんですけども、実験・観察を通じて体験的な学習が重視されていた小学校に比べて、比較的日本の中学校はそうした実験・観察の度合いとかが下がっていく中で、いわゆる座学のようなものが多くなってきてしまっているのではないかというような議論はしたことがございます。その程度で申し訳ございません。
 あともう一方、これは確かに上昇トレンドにございまして、ただ、理科が得意だというところとか、ほかの項目については上昇トレンドではないというのはあるんですけども、やっぱり理科の勉強は楽しいということについては、我々先ほどのロジックモデルで明確に、意欲関心に問題があると書かせていただいたんですけども、これがちょうど2000年越えてから、日本の理科教育を中心とした課題として我々教育関係者に認識されてくる中にあって、学校関係者とともに、もちろん指導要領もあるんですけども、やっぱり授業を、子供たちに興味関心を持たせて、それは実験・観察も入っているんですけども、そういった興味関心を持ちながら子供たちが学べるようなというのを意識した結果、現場の皆様の努力の結果であると思いますし、実際にそれが子供たちにも、少しずつですけども、また国際的には足りないですけども、伝わってきているということで、その上昇トレンド自体は大変好ましいことと思っているところでございます。
【小林委員】  ありがとうございます。それ自体は非常にいいことだと思うんですけど、その上昇トレンドの中に、まだこのPASEOの効果というのはこれからというところでしょうか。
【説明者】  そうですね、PASEO、勉強会でも御指摘いただいたんですけど、うまく、もうちょっとたくさんの学校に置ける形になって、その前後のみたいなところができればいいと思っているんですけども、今はやはり少し、小学校で教科担任制がなかなか理科で入っていないようなところ、学級担任が全部やっているようなところを中心にですとか、そういった形で、いわゆるサポートが必要なところに置いているというところもございまして、まだ全国的な、このアンケートにつながるような効果までは確認できていないんですけども、我々といたしましては継続的に行っていますので、多少なりともこうした結果にも貢献しているものと考えているところでございます。
【小林委員】  分かりました。ありがとうございます。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、堀川委員。堀川委員に続きまして、川澤委員。すみません、ほぼ同時に手が挙がっていたので多少前後いたしますが、御容赦ください。
 それでは、堀川委員、お願いいたします。
【堀川委員】  まさに私も小林委員がおっしゃった18ページなんですけれども、これはよく分析されているんですが、そもそもアウトカム指標は、先ほど説明あったように、学校単位で向上しているかだけと、あっさりなっていますが、今回のレビューでこういう18ページの資料を分析することで、やはりPASEOの効果というか、PASEOの効果のみならず、理科教育としてどうあるべきかというのが見えてきたと思いますので、こういった点をアウトカム指標に反映する方向で、まず御検討いただきたい。そうすることによって、より子供の視点に立った指標を設定して、より効果が上がる事業設計になると考えます。
 その上で、先ほど課長の説明があったように、そもそも理科の専任のいないところをカバーするような形が実態だということになると、16ページのアンケートで、教育をする人ではない位置付けなんだけれども、理科に対する興味を与えることは当然やっていいということで、この大学生とか研究者についてのアンケートを見ると、まさに子供の視点の効果が出ているんですね。だから専任の先生のいないところに来ていただくなら、やはりそういう方々が来ていただくと、こういう効果が上がっているんだなというのがこのアンケートで分かるわけで、予算には大変制約がある中で、現状の中で各自治体がいろんな工夫、取組を行っていると思います。その中で、こういう大学生や研究者にも、予算制約の中で来てもらっているところもあるわけですから、そういう実態を十分把握して、より効果のあるほうを。アウトカム指標も先ほど、子供の視点に立った指標にすれば、それを上げるためにどういう工夫をするのかというベストプラクティス等を発掘することで、さらに効果の上がる事業にしていただきたいというのが1点。
 もう1点、すみません、長くなって。設備については、これは昭和29年、間違いないですよね。昭和29年から実施してきた事業で、まさにこれから高度成長に入ろうかという時代です。その中で、こういうレビューの場でもう一度、この法の精神、理科教育振興法というのは何だったんだろうというのを見返す、いい機会だと思うんですね。
 そうすると、法を見ると、私も驚きましたが、私も理科教育だけだと、実験だけだと、人体解剖模型の印象しかなかったんですけれども、算数、数学という幅広い網の目がかかっている法律だということで、もう一度この原点に立ち返った場合に、今、プログラムとか、それが算数、数学に当たるのかどうか、私もはっきりは分かっていないんですが、まさにそういう数学的な、算数的なことが求められている時代にもなっているわけですから、高度成長期前にこの法律をつくった、そのときの気持ちをもう一度、今、時代は変われども普遍的なところがあると思いますので、もう一度、この法でカバーすべきものは何なんだろうか、予算制約ありますが、試行的に、場合によっては自治体がいろんなことをもしくはやっているかもしれません。数学、算数を理解するのに模型を使ったり、今様々な塾があると承知しておりますので、そういうものも使って数学・算数的な知見を広める方法もあるやに聞いておりますので、そういういい事例を実態でもしやっているのであれば、そういうのを発掘していただいて、それを試行的に取り組むということもあってもいいのではないかと考えます。
 以上です。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  説明者、お願いします。
【説明者】  どうもありがとうございました。そうですね、まさに1点目のお話、理科の効果までも含めてというところでございますけども、これも、以前我々の考えていた案にはそうした案も書いてあったんですけども、皆様と意見交換、事前の勉強会を通じる中で、もう少しこの政策の効果を、しっかり目的を絞ったほうがいいという御指摘もあって、もう一回我々考え直したところ、今、堀川座長から言われたような、まさに理科が好きになるとか理科の力を伸ばすというのは、この事業をベースにして、例えば各教科の研究会の開催ですとか、理科の学習指導に関する、いわゆる指導集、映像集などの作成というような、併せた施策と相まって理科全体を進めていくというのが大きな枠組みの中にありまして、その中で、この設備費補助等につきましては、設備の補助ですとか環境の整備ですとか、そうしたベーシックなところをやるという目的にもう一回立ち返りましたが、当然その先には今御指摘あったような目的があると思いますので、それは当然頭の中に入れて対応していきたいと思っております。
 さらにもう一個、法の精神、算数のところでございますけども、実は議員立法の中で、第9条のところにもうちょっと細かい条文もあるんですけども、当時から様々な、特に今、算数、数学のお話がありましたので、理科以外のものに法律補助ですとか地方交付税措置なんかがある中で、役割分担の中で理科教育振興法においての算数と数学の役割が規定されているような経緯もございまして、当然、法の趣旨としてはそこまでカバーしているものなんですけれども、一部といいますか、数学、算数の主要なところは既に地方交付税のほうで措置されているというようなところもございまして、その役割分担を踏まえた上ではございますけども、当然この法律自体は、当時、戦後まさに理科の設備とかが全くなくなってしまって、こんなのでは教育できないよねという強い思いから子供たちのためにできた法律でございますので、その精神にはしっかりと立ち返りながら、役割分担、ほかの補助金等々との役割分担はあるんですけども、この法律の趣旨に基づく補助金の趣旨というのはしっかりと考えてまいりたいと思います。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  川澤委員、御質問お願いいたします。川澤委員に続きまして、水田委員に御発言お願いします。
【川澤委員】  御説明ありがとうございました。先ほど資料の3ページ目のところで、アウトカム指標について御説明あったかと思います。小学校、中学校それぞれで週1回以上実験を行ったかどうかというところで、大体6割ぐらいの学校で行われているという実績がございます。これにつきまして、この前の事業でもちょっとお伺いしたんですが、実施していない地域においてどういった取組がなされているか。例えば市民の方の協力を得たりとか、ボランティアとか大学生とかで、いわゆるこの補助金を活用しなくても実験ができているとか、課外活動なり何なり、何かしら代替的なものができているとか、そういった形で、全くこういった実験のような機会を得られていないかどうか、その辺りの把握というのはいかがでしょうか。
【説明者】  ありがとうございました。すみません、まず前提となる全国的な教育課程の基準でございます学習指導要領の理科の部分では、この実験・観察というものを必ず前提とする上で理科教育を進めるということになってございます。そういった意味で、ここのアンケートの取り方は週に1回以上というふうに聞いていますので、ひょっとしたら、週に1回はやっていないですけども、2週間に一遍はやっているとか、3週間に一遍やっているというのは間違いないところだと考えておるところでございます。
【川澤委員】  もちろんそれはそうなんですけれども、やられていないということではなくて、週1回ぐらいということを今基準として設定されているので、恐らくほかの地域に比べて少ないというところは、その地域の子供たちにとってはもっと望ましい教育環境が期待されるわけなので、やはりこの6割ではない、4割ぐらいの地域についての状況というのを文科省として何か把握されていらっしゃるんでしょうか。
【説明者】  すみません、そこは把握はしておりません。
【川澤委員】  恐らく今後そういったところでどういうふうな学習環境が整えられているかといったところは、仮に政策的な措置が必要なのかというところは少し把握されてもいいのではないかなというふうに思いました。それがまず1点です。
 もう一つが、9ページでロジックモデルを整理していただいて、PASEOの配置に関する経費を一部補助ということです。PASEOについては、退任された教員の方とか、いろんな方が関わられているかと思うんですけれども、実際に、例えば小学校の担任の方というか、教員の方との連携というのはどういうふうに図られているんでしょうか。恐らく、外部から理科の実験だけいらっしゃった方が、非常に忙しい担任の先生たちと授業の内容をどういうふうに、お互いどういう役割分担にするのかといったところの連携というのがうまく図られているのかなというところを若干懸念したんですけど、その辺りいかがでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。もちろん今の御質問に関して何か定量的に把握しているわけではございませんが、いろいろお話聞くところによりますと、当然、ある実験というのは授業計画の中に位置付いているものですので、その授業計画の中で、どういった位置付けの中で実験が行われるのかというのは、当然ふだんの授業、実験・観察以外の授業を行っている担任から情報を聞かないとPASEOも準備ができないわけでございますので、そういったところは授業時間以外の、いわゆる打合せの時間を取ったり、直前とかで電話連絡だったりメール連絡だったり取りながら、そうした準備を行っているということでございます。
【川澤委員】  その辺りを恐らく現場では先生方がやりやすい方法でやられているんだと思うんですけども、PASEOの方の立場に立つと、やはり一定の方法で効率的に、役割分担であるとか、どういうことを授業の中でやっていくかというのを事前に知らされておかないと、なかなかやりにくさというのは当然あるんだと思うんですね。ですので、個々の学校に委ねるということはそうなんですけれども、やはりこのPASEOの方に入っていただくために、もっとたくさんの人に関わっていただく、仮に不足しているのであれば関わっていただくために、どういうことをどういうふうな方法でやっていくとか、少し前さばきがあってもいいのではないかなというような気はいたしました。
 あとは、恐らくPASEOとして働かれる日数は週一、二回とか、そんなに多くないと思うんです。その意味では、例えば複数の自治体、複数の学校から同じPASEOの方にお願いするために情報を共有するとか、何人か関わってくださる方がいらっしゃるのであれば、横のつながりでもう少し関わりを増やしていくという取組も必要なのかなと思いました。その辺りいかがでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。そうですね、学校の状況も個々ですし、PASEOの方の出身ですとか属性というんでしょうか、置かれている状況もだと思いますので、なかなかどこまで国のほうでこういうものだとお示しするのができるのか、適切なのかという議論はあると思うので、ちょっと考えてみたいと思います。ありがとうございます。
 もう一つ、後半でいただきました御指摘、本当に、じゃあ実験が毎日あるかというと、そういうことではないので、勤務日数、それに伴ういわゆる報酬の問題も含めまして、人材確保の面からも、今いただいたような、少なくとも自治体の中では複数校での兼務なので、工夫はされているように認識しておるんですけども、当然今の制度では、別に自治体をまたいだ任用自体も否定するものではございませんが、今の御指摘のとおりだと思いますので、これからこの制度を自治体の皆様に周知するようなときに、そういった工夫なんかができるというのもPRできるか、少し考えてみたいと思います。ありがとうございます。
【川澤委員】  ありがとうございます。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、水田委員、御発言をお願いいたします。水田委員に引き続きまして、伊藤委員にお願いいたします。
 水田委員、どうぞ。
【水田委員】  御説明ありがとうございました。意見が1つと、あと質問が1つ、お願いいたしたいと思います。
 まず意見のほうなんですけど、アウトカムに意欲関心ということも入れていただいているんですけど、実験・観察の回数を入れていただいているところがあります。私の個人的な印象なんですけど、実験・観察の回数というのは手元で増やすことは可能ですので、これはアウトプットであって、その回数が増えることによって、意欲関心というのが正の相関があって増えるかどうか、ここのところがアウトカムになってくるのではないかというような感じがいたしております。
 ちょっと意見として申し上げたかったのは、回数が増えれば意欲関心が増えると、PISAとか国際数学・理科教育動向調査とか、あるいは全国学力・学習状況調査とか、そこで明らかになった課題も解決に向かって進んでいくと、そういうロジックを描いていただきたいなという意見です。もし何かございましたらお願いします。
 それから2点目、これは簡単なことなんですけど、PASEOの補助については35都道府県が受けていらっしゃるかと思います。市町村が214件ということで、逆に言うと、こういった補助をあえて受けられていない12の都道府県、その傘下にある市町村、なぜ補助金申請されていないのか。例えば3分の1補助というのが少な過ぎるということで、補助率を上げてほしいというふうに思われているのか、何か理由が分かるようでしたら教えていただきたいというのが2点目です。
 以上です。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  では、説明者は簡潔に御回答ください。
【説明者】  はい。ありがとうございます。1点目でございます。少しそこは正直、我々、今御覧いただいた2ページ、3ページのところと、新たにお示ししましたロジックモデル、9ページのところで少しバリエーションを変えようと思っているわけなんですけども、確かに意欲関心というものが理科教育のアウトカムの一つだとは思っているんですが、果たして、いわゆるこの設備整備事業の中で、そこまでの、事業の目的から考えたときのアウトカム、アウトプットまで求められるのかというような、様々な委員からの御指摘も前回勉強会でございましたので、ほかの事業と相まって理科教育の質を上げて、子供たちの意欲関心を高めることはもちろん考えておるんですけども、その中でこの事業をどこまで位置付けるかというところで、もう一度精査をしてみたいと思っております。
 もう一つ、PASEOの件なんですけども、もちろんこれは正直、予算の制約もある中で、3分の1補助ということでございますので、申請していない自治体さんは、その3分の2を御懸念されている例もあるでしょうし、あと、もちろん学校の状況によって、理科の教員、また学級担任などが、大規模校ですと人も増えていくわけでございますので、そうした中で役割分担の中で実験・観察の準備が十分できているというような状況があるならば、そうした事情も勘案して申請されない自治体もあるものと考えております。ただ、予算の話というのも大きなものであると考えております。ありがとうございました。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  よろしかったでしょうか。
【水田委員】  ありがとうございます。確実に効果が上がるものでしたら、それをアピールされて、きちんと使っていただくような形にされるとよろしいかなと思った次第です。
 以上です。ありがとうございました。
【説明者】  ありがとうございます。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、伊藤委員、御発言をお願いいたします。伊藤委員に続いて亀井委員に御発言をお願いする予定です。お願いいたします。
【伊藤委員】  ありがとうございます。今ずっと出ているアウトカム設定の話につながってしまうんですが、今の御説明で少し、これはハード整備なので、そちらに特化したアウトカム指標を設定されたという今のお話は理解できるんですが、そう考えたときに、今、長期アウトカムとして週1回以上の観察や実験というのが入っていると思うんですね。ただ、多分この先がやっぱりあると思っていて、週1回以上実験とか観察、例えば週4日ぐらいとかできたときには、その先には何があるんだろうというのがまだちょっと見えていなくて、今このロジックモデルでいくと、その先はインパクトになると思うんです。今出ているインパクトでいくと、やっぱりちょっと、国民全体の科学に関するリテラシーの向上、ここが正直まだロジカルに私は感じていなくて、これがある意味説得できると、もっとハード整備に力を入れて実験・観察をしようという動機になるんじゃないかなと思うんですが、そこはいかがでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。御指摘ごもっともです。本当にここのインパクトのところは迷いまして、我々どう書くかというのが。ただ当然、今回PASEOは小中、そして設備のほうは小中高を対象としていますので、ほとんどの子供が、義務教育はもちろんですが、高校も99.9%の子供たちが行くような中にあって、我々インパクトは何だろうというふうに課内でも議論した結果、そういった全てのほとんどの子供が経験する教育の中で、理科教育を通じて必要な基礎的な素養というところを一応書かせていただいたんですけども、若干そこには飛躍が――この事業からだけはです。この事業にほかの事業も相まって、本当は理科教育の質が上がって必要な素養というふうにつながるんですけども、そこのほかの事業のところを書くスキームもない中に、一部ではあるんですけど、こういった貢献をするということで書かせていただきましたが、伊藤委員おっしゃるとおり、ロジカルな部分というのはまだ足りないと思いますので、もう一回、詰めたいと思います。
 あとKPIのところも、この週1回というのは確かに迷いまして、これも目的とアウトカムをどう捉えるかという議論だと思うんですけども、まさに意欲とか関心とか、点数の向上みたいなところも書こうかなと迷ったんですけども、理科の時間というのは今、中学校とかで週4時間ぐらいなんですね。小学校とかで週3時間ぐらいなんですけども、その中で3分の1、4分の1、半分ぐらいだとしても、あと1回か2回ぐらい実験が行われることによって、子供たちが実体験を通じた理科の教育を受けられるということにはつながると思っていまして、ひとまずはといいましょうか、この1回というのを設定させていただいておるんですけども、インパクトのことも含めまして、このKPIについても何か改善できるか、少し取りながらだと思うんですけど、数値は考えていきたいと思います。御指摘そのとおりだと思っています。ありがとうございます。
【伊藤委員】  今のところ、私はこれは必要だと思っているので、こういう話になっているんですが、実験とかやるときに割合反対される意見があると認識しているんです。それは、やっぱり準備、後片付けに時間がかかるから、授業時数がそれによって、1時間で本当はやりたいところ2時間かかってしまうとか、それがあるから、今はちょっと分からない、少なくとも私が聞いた学校の中では減らしているというところあるのは事実です。これはやっぱり先ほどの、観察や実験をやることというのが、その先にはこれだけのリテラシー向上なのか意識面なのかというところがロジカルになると説得力が増すのかなというふうに感じました。
 それで、ごめんなさい、もう1点だけ。PASEOに関する話なんですが、これは事前の勉強会でもちょっと申し上げたように、PASEOということに限らず、自治体によっては、理科のOBの先生だったりとか、いろんな工夫をされているケースというのはあると思っているんです。まず事実関係として、このPASEOというネーミングだったりとか、この実施要領に入らなければ補助の対象にならないものなのか。要は、こういう実験のアシスタントをしてくれるという取組をしている学校、自治体に対しては補助の要件満たされるのかと、どちらなんでしょうか。
【説明者】  もちろんこの要綱に沿ってエントリーしていただければ、別にPASEOという名前をつけなくても、呼び名とかそういったものには我々こだわっていませんので、こうした趣旨に沿って、各自治体がこの補助要綱に沿ったエントリーをしていただければ、もちろん予算の制約というのがあるわけでございますけども、その中で我々補助対象を決めさせていただいておるところでございます。
【伊藤委員】  それでいけば、先ほども少し出ていたように、周知の必要性があるかなと思っていまして、実はやっているけども補助金をもらおうとしていない自治体は複数あると思っています。それは自治体側ももっともっと認識を持たなきゃいけないと思いますし、そもそも何で補助をもらっていないのかというところの分析も必要なのかなとは思うんですが、多分こういうアシスタントがいることによって理科の先生の負担が軽減されているというのは明確だと思いますし、先ほどの準備、後片付けの部分を、逆にアシスタントの方がやることによって授業を効率化している学校が実際にあると思いますので、そういうところをもっともっと、こういうアシスタントを使うといいんだというのが出てくるといいのかなというふうに思いました。
【説明者】  ありがとうございます。頑張ります。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  御質疑は引き続きお願いしたいと思いますが、委員の皆様におかれましては、コメントシートへの記入と、それからメールにての御送付を併せてよろしくお願いいたします。
 それでは、亀井委員、御発言をお願いいたします。
【亀井委員】  御説明と、いろいろと回答もありがとうございます。これまでほかの委員の皆さんもおっしゃっている話で、やっぱりロジックモデルにやや無理があるかなという感じは率直にします。そこでちょっとお伺いしたいんですけど、多分一番肝腎なのは整備率なんだと思うんですが、整備率はどうやってはかろうと思っていらっしゃいますか。
【説明者】  そのとおりでございまして、今回改めて、シートのほうには書いていなかったんですけども、ロジックモデルのKPIの3に掲げさせていただいたんですけども、当然、補助金でございますので、補助金を交付した自治体の皆様には、補助金の執行状況について報告、伺うことができるわけでございますけれども、その中で我々、実はこの補助交付要綱には、必要なリスト、品目なども掲げてございます。その中でさらにレベルを分けて、ロジックモデルのアウトカムのほうに書いていますけど、これは最低限必要ですよねというのも明記させていただいた上で補助要綱をつくっているところでございます。そのため、最低限、最重点設備と我々言っているんですけども、最重点設備は全部ありますかとか、整備されていますかとか、また補助要綱に書いてある最重点設備以外のものも含めた品物は、例えば何%ぐらい今学校にありますかと。そういったものをこれまで聞いていなかったんですが、亀井委員からの御指摘もこの間ありましたので、そういうものを聞くような工夫をしていきたいと考えているところでございます。
【亀井委員】  ただ、今の話だと、補助を受けたところしか答えてくれないですよね。補助を受けていないところはどうしますか。
【説明者】  補助を受けていないところには、聞く手段としては任意で聞くことはできるんですけども、そこは、例えば学校への調査をどうするかということにもなってきますので、ちょっとそこはまた働き方改革の観点から、調査……。
【亀井委員】  今あんまり調査を増やすと現場が死ぬというのはよく分かっているので、あんまりそれを過剰に、だから調査を増やしましょうと言うつもりはないんですが、一方で、この事業、実はこれを何度読んでも、やはりこの規模の妥当性というのがよく分からないんですよ。何かこれ、こういう言い方を公開プロセスでしてはいけないんですけれども、財政制約があるがゆえに、まあこの規模でやっていればとんとんでいいかなというような感じに見えなくもなくて、ここは今加速しなきゃいけないんですという話なのか、おおむねというところの皆さんの皮膚感覚がどうなのかというところはぜひ知りたいところなんですけれども、ここはいかがですか。
【説明者】  後者だと思います。財政制約、もちろんある中での議論になりますけども、加速というよりは、きちんと必要な最低限のものを、最低限……。
【亀井委員】  ごめんなさい、今、最低限のものが、例えば老朽化が進んでいるとかというところについて、それが足りていないという認識なのか、この金額では足りなくて、実は本当はもう少し欲しいんだけれどもそれができていないということなのか、その現場の状態の共有がいま一つ私たちにされていないような気がしていて、もってこれは、この先にいる国民の皆さんだとかというところに……。
【説明者】  ありがとうございます。そこは正直申し上げて、これから取ろうと、先ほど申し上げたとおり、これまで取り切れていないんです、この事業の中で。なので、我々肌感覚としては、どこの学校でも最低限のものはそろっているという肌感覚はもちろんございますけども、学習指導を行う上で。ただ多分、それが古かったり、もうちょっと変えたいなというのがたくさんあると思いますので、こうした事業だけは続けていきたいと思っていますけども、もう少し整備率、または充足率というものが分かるように、これからは少し工夫してまいりたいと思っております。
【亀井委員】  ぜひその調査のデザインをするときに、補助要綱の記載がすごく増えて事務的な負担が増えてしまうから、じゃあこの補助やめようかみたいな話にならないようにということもあるし……。
【説明者】  そこは気をつけなければいけないです。
【亀井委員】  もう一方で大事なことは、これは文科省これまでもよくあるんですけれども、補助対象者については聞けているんだけれども、そうでない人が聞けていない。よくこれは、大体小林先生だったり私が聞くことなんですが、対象者は分かったんだけど、そうじゃない人はどうですかというところがなかなか聞けていないことが結構ありますので、ここら辺の感じを。場合によったらなんですけれども、これを全国いきなりやろうとしたらしんどいわけですよ。だけども、例えばすごく都市部の部分と、あるいは地方部みたいな形で分けて、ちょっとそこだけ集中して、そこに例えば土地カンがあって、少し出向していたみたいな方がいらっしゃれば、その関係で少し聞いてみるとかというような、ある種のサンプル調査みたいなことをされてみるのがいいんだと思いますので、いきなり調査設計全部きちんとがちがちでやりなさいというと死んでしまうので、ちょっとそこら辺の、皆さんが手触り感をしっかり持てるような形を考えて、それを具体化していくというプロセスで進めていかれるといいんじゃないかなというふうに思います。ぜひそこはしっかり進めていかれればいいし、逆にそういうことをしっかりされると、これだけでいきなり子供が理科嫌いじゃなくなるって話ではなくて、これはボトムラインのほうの話だと思うので、そういった意味で、あんまり無理なロジックモデルにならない形になると思いますので、ぜひそういったこともしっかり進めていただければいいんじゃないかなというふうに思います。
 以上です。
【説明者】  ありがとうございます。本当にそのとおりだと思います。よく考えてみたいと思います。ありがとうございます。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  予定の時間が参りましたので、委員におかれてはコメントシートへの記入をお願いいたします。コメントシートに記入していただきましたら事務局のほうにお願いいたします。集計の間に、まだ御指摘、御議論は可能でございますので、よろしくお願いいたします。
 説明者、続けてください。
【説明者】  終わりました。結構です。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  川澤委員、どうぞ。
【川澤委員】  では、せっかくなので。今、理科の実験器具について補助金を受けていないところも含めてどう調査設計するかというお話があったかと思います。実際に補助金を受けていない学校も含めてなんですけれども、理科実験器具って、細かいものも含めるとすごくいろいろなものがあると思うんですけども、管理というんですか、在庫管理含めて、どういう形でやられていらっしゃるのか。そこの効率化とか、そういったところというのも何か手当てできるものがないんだろうかというところで、そうすると、恐らく補助金で申請するときにも、どういうものが不足しているということも分かるんだと思うんですね。その辺りというのは把握されていらっしゃったりしますでしょうか。もしお分かりであれば教えていただけますか。
【説明者】  ありがとうございます。今回PASEOで、この議論になるときに少し実態を聞く中では、PASEOの方が後片付けにもかなり活躍いただいているという事例も御紹介はいただいております。ただ、先ほどの話にも関係しますけども、ではPASEOがいないような学校では、それは当然、理科の先生がやっているということになると思うんですけども、そういった実態を把握しているところでございます。
【川澤委員】  ぜひその辺りの細かい在庫管理みたいなところも、今まさに教員の方の負担軽減というところで御議論、いろんな形でされていらっしゃると思うんですけれども、仮に実験をより増やしていくということが求められるとしたら、そこについての配慮もちょっと必要なのかなと。整備をした上で、じゃあそれをどう管理するのかという話も必要なんだと思いますので、そこは、例えば複数校で在庫管理、今いろんなツールもあると思いますので、ぜひその辺りの、例えばモデル地域で少し検討してみるとか、整備だけではなくて、その先も見据えて取り組んでいただけたらいいんじゃないかなというふうに思いました。
 以上です。
【説明者】  よろしいでしょうか。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  どうぞ。
【説明者】  今の川澤委員の御指摘に関しまして、当然在庫管理、広い意味になると思うんですけども、この補助金の中できちんとした、いわゆる台帳を把握して、その中で老朽化等も把握するようになっています。一部使いにくいなんてお声もありましたので、数年前に、その使いにくいという声を受けて改正したという経緯もございますので、そういった仕組みも活用しながら今の御指摘反映してまいりたいと思います。ありがとうございます。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ほぼ御意見、御指摘は出そろったと思いますが、集計があと少しで出来上がるようですので、それでは、伊藤委員、御発言お願いいたします。
【伊藤委員】  今までの話の流れからなんですけど、これはもう当然、やっぱり一度補助をもらって、補助もらっていないというのはきっと、ハードのほうでもらっていないところもそうだし、PASEOを受けていないという両面、ソフトとハード両面での調査分析ということになるかと思うんですが、全く網羅性があるわけじゃなくて、ふだん自治体と関わっている中の肌感覚なんですけど、ハードの整備が遅れているところの多くは、自分のところの裏負担がやっぱりし切れないから、できるだけ後回し、後回しにしている。これは多分ポジティブな意味じゃなく、ネガティブな意味のほうが強いなと思っています。
 ソフト面のほうは、もちろんそこに手を出すだけの優先順位が高まっていないというところも多くあるとは思うんですが、ポジティブなほうも実はあると思っていて、それは、先ほど申し上げたような、PASEOという仕組みは分からないけれども、自分たちで自主的にやっているケースというのが実際にあって、これは前にもお話をしましたけど、もともと文科省の中で科学センター構想をつくったときに、全国で3つの市町村だけそれを実際に具現化して、科学センターを造った。それは各学校で理科教育をやるんじゃなくて、ある程度まとまって、幾つかのクラス、幾つかの学校がそこの場に行って、ただしそこで、2時間、3時間かかるけれども、すごい体験、大きな体験ができるというようなセンターを持っているところが実際にあると思うんですね。
 僕がそこで話を聞いていたときに、やっぱり、まずハードのメンテナンスのほうはなかなかお金が出ないで非常に苦しんでいる。このセンターで教える人という観点でいくと、ほとんどボランティアで、校長先生のOBだったりとか、そういう方がやっていて、ただやっぱり子供たちの満足度が、やるかやらないかで大分違うから、何とかしてそれを維持できるような運営をしているというようなところがあったので、そういうところの自治体の創意工夫をどう文科省としても把握をして、サポートしていくかというようなところも必要なのかなというふうに感じます。これはコメントです。
【説明者】  ありがとうございます。すみません、御説明漏れていたかもしれませんが、ハードにしろ、ソフト、設備にしろPASEOにせよ、一応地方交付税の算定基礎の中には入っておりまして、そんな中で、自治体の皆さんの御判断でもちろん使い方が決まっていくわけですので、そこはむしろその両方の効果をもっと説明して、きちんと、裏負担というか、自治体の財源でも措置、交付税なんかを活用して措置される形で、この事業の意義が分かっていただけるように対応してまいりたいと思います。
 あと伊藤先生おっしゃった後半の、自治体で理科に力を入れているところはたくさんありまして、そういった取組というのは、この事業ということよりも、理科教育の質の向上ということだと思いますので、そういうものもしっかりとフォローアップしていくのが重要だと思っていまして、大変参考になる意見で、工夫させていただきたいと思います。ありがとうございます。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  よろしいでしょうか。
 あとお一方だけまとめたら全体できます。
【亀井委員】  ごめんなさい、今のところ聞こえなくなっていたんですけれども、これは何か、もしかしたらWebexが止まっていたのかもしれない。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  そうなんですか、すみません。じゃあ最後のところを説明者、もう一度お願いします。
【説明者】  すみませんでした。自治体の中でかなり理科教育に力を入れているような自治体なんかも把握しています。そうした自治体の応援、いわゆる我々が指導とか助言をしたりだとかアドバイスしたりとか、ソフト面、単純に言うとお金がかからない支援はいつでもたくさんできるんですけども、予算が絡むということになるとなかなかハードルも出てくる中ではありますけども、そういった自治体の皆様を応援するというのが文科省の大きな一つの役割でもありますので、今、伊藤委員から言われた御指摘、本当に貴重なものと受け止めて、何ができるか考えていきたいと思います。ありがとうございます。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  よろしかったでしょうか。
 それでは、あとは総括表だけできれば、できます。あと1分だけお待ちください。
 それでは、1分間の間に、亀井委員、どうぞ。
【亀井委員】  ロジックモデルの書き方なんですけど、ちょうど昨日、別の役所、これは、すみません、公開プロセスではない別の役所でロジックモデルのつくり方みたいなことをやっていたんですけれども、事業ごとに書くとこうなっちゃうんですけれども、多分、課長は結構大きなところも見ていらっしゃるわけで、全体としてどうしていきたいのかみたいなところのロジックモデルをつくってみたらいいんだと思います、政策課題に対して。理科嫌いをどういうふうに克服するのかとか、あるいは特に、先ほど小林先生が冒頭おっしゃったような、最初は好きなのに途中で嫌いになるところをどういうふうに改善するのか、それに、御自身がやっていらっしゃること、それから場合によったら、他府省がやっていることはあまりないのかもしれませんけれども、あるいはほかの局がやっていること、ほかの課がやっていることを交えて、どういうことで自分たちはできていて、何が抜けているのかが見えてくると、デマケーションも含めて考えると、ロジックモデルはむしろそう使うべきものですので、今ちょっと事業ごとになっているというのは、ややいびつな形になっているわけですから、ぜひそういったような思考実験に使われたらいいんじゃないかなというふうに思いました。これはコメントです。
 以上です。
【説明者】  ありがとうございます。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  今、亀井委員からいただいたコメントは非常に重要で、どうもそれぞれの事業レビューというと、事業ごとに切れているんですけれども、教育全体、それからほかの分野も含めて政策全体を捉えながらどうしていくのかというのは非常に重要な点だと思いますので、文部科学省としてもそれをしっかりと受け止めたいと思います。
 それでは、よろしいでしょうか。
 それでは、評価結果と取りまとめのコメントの御議論に移りたいと思います。評価結果につきまして堀川座長からお願いいたします。
【堀川委員】  まず、各委員の評価の分布状況ですが、事業全体の抜本的改善が1票、事業内容の改善が5票となりました。その主な取りまとめコメントを紹介します。
 週1回以上の観察や実験をした先の目指す姿がまだ曖昧、観察や実験が増えると最終的に国民全体の科学に関するリテラシー向上につながるのか、エビデンスが不明確。PASEOに限らず自治体の創意工夫を広く補助対象にできるよう周知が必要。事業の内容や規模の根拠としては極めて有効かどうか判断することができない。ただ、これは事業規模を縮小すべきという評価ではない、逆の方向にあると、ポジティブな意味でということですね。
 次に、事業目的を正確に反映したアウトカムを設定し、成果の評価を行うことが重要である。補助金不交付自治体についても実験などの教育環境を把握し、政策的な必要性を検討する必要があるのではないか。PASEOについては、教員とPASEOとのより効果的な連携の在り方、複数の自治体でのPASEO任用等についてさらなる検討が必要ではないか。PASEOが必要な自治体とそうでない自治体、必要だが補助を受けていない自治体がどの程度あるのか把握できるような調査が必要、サンプリング調査の活用。そして、PASEOにおいてより効果的に実施するための再検討が必要。
 以上を踏まえまして、最終的な評価としては、5票となりました事業内容の一部改善とし、その取りまとめコメントですけど、大きくは2つの柱でまとめたいと存じますが、今お話があった理科全体でのレビューも必要だという意味合いでいいんでしょうか、亀井委員。場合によってはそういう場を設けてもいいのではないかというのがコメントとして1点目です。
 次に、柱としては、事業の効果及び成果指標、またはロジックモデルについてでございますが、法の目的に基づいた事業の目的に沿ったアウトカムの見直しが必要。取組の有無の違い、事前事後といった形で事業設計と評価設計のデザインを改めて併せて行うことも必要。週1回以上の観察や実験を行うことによって子供たちの理科への興味関心が向上する、さらには科学のリテラシーが向上するというロジックをつくることによって説得力を増すことになると考えるので、検討が必要。そして、他の事業と連携した総合的な効果も視野に入れ、観察・実験の量・質の向上が小中学校の意欲関心の向上につながっているかどうかの因果関係について確かめる必要がある。その上で、全国学力・学習状況調査等といった調査で明らかになった課題に対処できているかを見ていく必要がある。これが1つ目の柱です。
 次の柱は、事業の執行及びその方向性に関するものです。補助金不交付自治体についても実験などの教育環境を把握し、政策的な必要性を検討する必要がある。PASEOについては、教員とPASEOとのより効率的な連携の在り方、複数の自治体でのPASEOの任用等についてさらなる検討が必要。PASEOが必要な自治体と、そうでない自治体、必要だが補助を受けていない自治体がどの程度あるのか把握できるような調査を、サンプリングでもいいから検討する必要がある。そして、子供たちの学習への興味関心を持たせることで、より確実な学習の定着が期待できることから、さらに各自治体の工夫などの実態を把握し、より効果的な実施に向けて検討する必要がある。
 以上で取りまとめたいと存じますが、いかがでしょうか。挙手をお願いいたします。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  全員挙手されています。
【堀川委員】  ありがとうございました。
 以上です。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。あと2分ほどございますけれども、以上をもちまして理科教育等設備整備補助等の公開プロセスについては終了させていただきます。
 次の3つ目のテーマは、休憩を挟みまして、15時40分から開始させていただきますので、また時間になりましたら、皆様御参集くださいませ。お願いいたします。ありがとうございました。
( 休憩 )
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、3つ目のレビューを始めさせていただきます。ただいまから、持続的な産学共同人材育成システム構築事業について、御議論をお願いしたいと存じます。担当部局から事業概要の説明を簡潔に5分以内でお願いします。事業概要と、それから、金額規模、それから、実施年数等を簡潔におっしゃってください。
【説明者】  よろしくお願いいたします。高等教育局でございます。持続的な産学共同人材育成システム構築事業についてお話をさせていただきます。
 2ページ目をお開きください。中段、事業概要ございます。事業概要といたしましては、社会人の学び直しを含め、実践的な産学共同教育の実施に不可欠な実務家教員を育成するためのプログラムを開発するとともに、そのプログラムの修了者を実務家教員の候補者とするマッチングサイトを構築・運営するというものに補助する事業でございます。
 中段、予算額ございますが、令和元年度に約3.2億円でスタートいたしまして、5年間の事業という予定でございまして、当初より漸減しながら進める計画でございまして、今年度は2億円、来年度は、要求はこれからでございますけれども、この半分の1億円程度で予定しているというところで、それ以降は、各大学において独自に進めていただくという予定になってございます。
 こうした事業を企画した背景について御説明するため、ロジックモデルを使いたいと思いますので、8ページ目を御覧いただけますでしょうか。ロジックモデル①というページでございます。
 人生100年時代を迎える中、各大学においては、正規の課程のみならず、社会人などの学び直しのための実践的なプログラム、こうしたものを拡充するなど、学び直せる環境の整備を進めているところでございまして、図1、2にありますように、こうしたプログラムは年々増加しているところでございます。
 また、社会人を送り出す企業の側の要望を見ると、図3でございますけれども、大学に重視してほしい教育方法として、企業などの出身の講師等による講義が期待されているというところでございます。
 他方で、こうした社会人向けのプログラムを提供していない大学に提供するためにどういう条件が必要かと尋ねてみたのが図4でございまして、教員の確保が課題であるという答えが一番多くなっているところでございます。
 こうしたところから、実践的な教育を行える実務経験のある教員、いわゆる実務家教員を増やしていきたいと考えているわけでございますけれども、後ろに資料を添えたので御覧いただければと思いますが、新規に採用された大学の教員のうち、前職が民間であるとか自営業、そういった方である方々の割合というのは、これまで約1割程度、1万人に対して1,000人程度ということで、横ばいになっているという現状がございます。
 また、豊富に実務の御経験があっても、必ずしも教員ではございませんので、教える内容に体系性を持たせたり、あるいは授業計画を立てて、学生の評価をしっかりすると、そういった教えることに関するノウハウというのを必ずしもお持ちでないという課題もございます。
 本来であれば、こういうノウハウというのは、採用した各大学において、研修と申しますが、いわゆるファカルティ・ディベロップメントとして行われるべきなんですけれども、図5に示しますように、実務家教員に対する研修というのはなかなか行われていないというのが、現状、実態でございます。本事業は、今後、教壇に立とうとする実務家の方であるとか、既に実務家教員となっている方々に対して、こういうものを教えるスキル、これを身につけていただくためのプログラムを開発するとともに、そのためのマッチングサイトを構築するというものでございます。
 9ページをお開きください。この事業に係るアウトプット、KPIなどお話をいたしたいと思います。2つ、アクティビティ、活動内容ございますけれども、そのうち上段の教育プログラムの開発・実施につきましては、アウトプット指標といたしまして、プログラムの開発に携わる大学や企業の数、プログラムを受講して修了した実務家の数などを挙げています。マッチング支援サイトについては昨年9月に完成したばかりでございまして、今後、登録数であるとかマッチング実績、アウトカム指標として、実績は今現時点の実績は下に添えているとおりでございます。
 事前に設定していたKPIというのは以上でございますけれども、これまで事前の勉強会などで御指摘いただいている中で、教育プログラムの質自体に係るアウトカム、これについての設定が足りないのではないかという御指摘をいただいてございまして、少し見直してございます。
 初期アウトカムの上段でございますけれども、例えば研修プログラム自体の満足度、受講した方の満足度をアンケートなどを取るなどして向上させたり、このプログラムを修了して実際に教壇に立っている方々を増やしていく。また、その実務家教員が働いている大学でどう評価されているかを何らかの形で把握する。こういったことを何らか指標として補足できないかと考えている次第でございます。
 ちなみに本事業で開発した教育プログラムの修了者は約487名、500名弱いるわけですけれども、そのうち、現に実務家教員として活動されているのは68名と承知しているところでございます。また、一番右の段でございますけれども、中長期のアウトカムといたしましては、このプログラムの率であるとかノウハウを活用する大学等が増加して、水平展開していくことであるとか、先ほど触れた新規採用教員数に占める実務家教員の割合などをウオッチいたしまして、こうした実務家教員の採用自体が増えていくことを設定したいと考えているところでございます。
 説明としては以上でございます。よろしくお願いいたします。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。
 それでは、また説明資料の1ページに戻っていただいて、簡単に論点を整理させていただいてございます。これは説明者に確認したいんですが、事業としては令和5年度までということでよろしいですか。
【説明者】  結構でございます。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ということを踏まえて、目的のために適切な事業であったかという過去のところも含めて御議論が必要になってくるかと思います。それらを踏まえまして、出口戦略を含めた今後の取組、それから、アウトカム、アウトプットの目標値、これは改善したという御説明でございましたけれども、事業目的と成果の検証ができるような形で設定されているのか。それから、事業終了後の成果の普及、促進の在り方なども含めまして、少し広くなりますが、御議論をいただければと思います。挙手の順に示してまいりますので、お願いいたします。
 亀井委員、お願いいたします。
【亀井委員】  御説明ありがとうございました。先ほど、アウトカムの見直しがあったというところは大変大事なところで、これはぜひしっかりやっていただきたいと思いますし、一方で、満足度を聞いても、大体こういう人たちは、修了した満足のほうが大きいので、プログラムの満足度という聞き方をすると多分、ろくな答えが返ってこないと思いますので、それはあまり、出来レースになるような、小林先生、ばか受けされていますけれども、そういう、何かためにするようなアンケートはくれぐれもしないように、そこはしっかりやっていただけたらいいのではないかなと思います。
 プログラムのクオリティーという意味では、487名のうち68名という話がありましたけれども、きちんと、もともとの当初の目的である実務家教員になれることだと思いますので、そこをしっかり追求していくということだし、もっと言えば、それに何が足りないのかという、逆に言えば、487分の68を引いた四百六十幾つ、四百五十幾つみたいなところの、この人たちがどういう状況になっているかということをしっかり把握されることが大事なのではないかなと思います。
 先ほど審議官からも出口戦略という話がありましたけれども、ややもすると、これができました、あれができましたという話になるんですけれども、こういう、ある種、これは放っておいたら誰もやってくれないわけですよね。そういうところについて、文科省が資金を出して、そういうチャレンジを促したという意味では、私は事業の意義はあったんだと思っていて。ただ、大事なことは、何ができましたかというよりも、何ができなかったのかということをしっかりと踏まえて、その後の事業構築のある種の糧にしていくということが大事だと思いますので、できたことばかりを探すのではなくて、できなかったこともしっかり探していただくことはとても大事なことではないかと思います。
 それから、これは私の感覚から言うと、FDは、これは別に実務家教員のためにFDをやっているわけではなくて、FDは別に、もともとアカデミア出身の人間もFDをやっていかないと、研究のプロではありますけれども、教えるプロではないという意味では、実務家も、実はアカデミア出身の人もあまり変わらないわけでありまして、例えば、今、足元のようなオンライン教育みたいなこと、あるいはミックス化していくだとか、そういったような変化においては、FDの内容がいろんな形で変わっていく。それは日々、毎年変わっていくということはしょっちゅうあることだと思いますし、他人の事業を見て、私も学ぶことがたくさんありますので、そういう意味では、むしろ実務家教員に限った形で聞くような形のアンケート項目ではなくて、これもどんなFDをしているのかみたいなことがきちんと聞けることがむしろ大事なのではないかと思います。FDによって結果的に教育内容がどう充実しているのかみたいなところは、これは大学のまさにマネジメントそのものなんだと思うんですけれども、そういったところはしっかり聞いていけばいいのではないかなと思います。
 ここまではコメント。
 この後、一つお伺いしたいのは、68人がめでたく大学の教員になられたということだと思うんですけども、この68人のうち、マッチングサイトを使った人、何人いらっしゃるんですか。
【説明者】  お答えいたします。ありがとうございます。まだ稼働したばかりですので、68名はそれぞれで選んでいるので、私どものマッチングサイトを使ったわけではございません。
【亀井委員】  だとすると、はっきり申し上げると、マッチングサイトは、正直言って無理だと僕は思っていて。むしろ、これは私の友人でも実務家を経験して、先日、大学の教員になった人がいますけれども、この人はJSTがやっていらっしゃるJREC-INが大体、大学の公募をしていますので、そこでいろんな形のことをされていらっしゃると承知していますから、むしろJREC-INに実務家教員のところをしっかり書いてもらうという形で、皆さんが何かサポートしていくことがいいのではないかなと思います。
 以上です。
【説明者】  ありがとうございます。事前の勉強会の中でもマッチングサイトの必要性についてよく検討するように御指摘いただいておりましたので、私ども検討したいと思っております。公開されているということなのであれですが、改めて現状は御説明いたしますけれども、科学技術振興機構、JSTが行っているマッチングサイトとしてJREC-INがあるわけでございますけれども、基本的には研究人材のデータベースとして設計されているため、御指摘のとおり、実務家教員の求職も掲載可能なんですけれども、登録する情報などがやはり研究業績であるとか研究分野、こういった情報に特化されているような状況にあるということで、今回検討したのはマッチング支援サイト、私どものサイトのほうでは学問分野に加えて実務経験であるとか教えることのできる内容であるとか、そういったことも少し幅広く登録ができるようなサイトをつくろうということで、今、始まったところでございます。
 一方で、御指摘のとおり、JREC-INは非常に活用されておりますので、多くの方々あるいは多くの大学がサイトを御覧になっているということでございますので、実は現状もこの教育プログラムを受講した実務家の方々にはJREC-INのほうにも登録することを促しているところでございます。したがいまして、運用している東北大学もJSTとの連携を模索しているところでございますので、今日いただいた御指摘も踏まえて、その2つのサイトを統合と言うとあれですけれども、JREC-INの改善なども含めて、向こうに御相談していくことになりますけれども、検討してみたいと思っている次第です。
 以上でございます。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。画面の表示が安定していないようですが、堀川委員、水田委員、川澤委員の順で御発言いただくという予定になっております。
 堀川委員、どうぞ。
【堀川委員】  堀川です。よろしくお願いいたします。最初確認だけです。確認をまず。マッチングはゼロということで。
【説明者】  はい。現状はまだ出ておりません。
【堀川委員】  分かりました。その前提で、資料の8ページにありました図4ですけれど、主に社会人を対象としたプログラムを提供していない学部・学科等におけるプログラムを提供するための条件の調査結果において、教員の確保が難しいということが第1になっていたと。このために、実務家教員の候補者を登録したマッチングサイトを開設することで状況の改善を図ろうとしたというのは前提としていいでしょうか。
【説明者】  なので、ここの間、議論していただいたとおり、このゴールがどうもマッチングサイトに特化して、これまでも御説明してきたところがありますけども、私の理解では、それだけではなくて、プログラム自体も実務家の方々に対してそういう教えるスキルをつけるプログラムといったものも通じて、そういった教員の確保、こういう分野を教えてほしい実務家の方はいるけれども、自分が教えたことがないというような形で教壇に立つのはなかなか難しいケースにも対応するということで、必ずしもマッチングサイトだけがゴールではないというのは、皆様御指摘のとおりなのかなとは感じていたところでございます。
【堀川委員】  この事業は、教員の資質を高めてもらうのと、マッチングサイトがあると思うんですけど、ただ、マッチングサイトの出口戦略について意見を言いたいんですが、結局、マッチングが半年以上たってもゼロ、年度をまたいでもゼロというのはなかなか深刻な状況にあるのかなと。そもそも、この図4が、学部・学科によって状況も異なって、プログラムの開設についてそもそも消極的なところであれば、学科であれば、幾ら教員をそろえたとしても、消極的ですから動かない。逆に積極的なところは、もう既に相当なプログラムを実施していると考えると、この段階で既に、というか、この段階ではなくて今の段階かもしれませんけど、今の段階ではもう積極的なところはそれほど多くないのではないかという状況の中で、この理由でサイトをつくったということになりますと、なかなか最初の事業設計自体が有効であったのかというのはやはり検証し直す必要があるのではないかなと。
 そういう意味では、まさに、半年でも動いたという状況があるわけですから、それによる採用側の各大学等が、このマッチングに対してどういう考えを持っているのか。その効果をやはりもう一度確認するタイミングではないかと。そのときには、場合によっては高等教育局の大学等に関係のあるセクションも巻き込んで、連携して検討することも一つではないかなと。
 さらに言うと、出口戦略として補助額を徐々に逓減することで、自分の財源で運用してもらうというのが一つの出口戦略だというお話は聞いているんですけれども、ただ、事業目的であるマッチング実績がこのまま低迷したままでは、事業継続の必要性自体が疑われることになるわけですよね。将来的に東北大学等の中核拠点が、自己の財源で、補助なしで自走することは想定されていますが、このままの状況で、平たく言うと、中核拠点に丸投げされても、中核拠点としても非常に動きにくい。1大学は全大学に対してやっぱりプッシュするというのは非常に難しいことですから、そういうことにならないためにも、事業の制度設計に立ち返って根本的に見直しするなどして、財政面だけでなく、事業の効果の面からも持続可能となる具体的なロードマップを今、中核拠点に手渡す前に、本省が相当てこ入れする必要があるのではないか。そういう意味での指標の設定等も検討することが緊要、急がれる検討だと考えています。
 以上です。
【説明者】  ありがとうございます。まだ半年とはいえ、実績が伴っていないので、厳しい御指摘だと思ってございます。おっしゃること、そのとおりで、東北大学だけが幾ら実務家……。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ちょっとお待ちいただけますか。
 それでは、音声のみにして失礼します。
 では、説明者からの応答部分から始めさせていただきます。
【説明者】  かしこまりました。御指摘ありがとうございました。今後の出口戦略に向けて、東北大学だけではなくて、文部科学省としてもという御指摘だったかと思います。御指摘のとおり、東北大学だけで、プログラムだけで実務家教員を増やしていくというのはなかなか難しい部分あろうかと思いますので、文部科学省としても、まず東北大学と連携して、サイトに限らないんですけれども、実務家のニーズであるとか大学側のニーズというか、実務家の先生を採用して、そういう実践的な授業を行う。そういったところを促すような取組と併せて進めていく必要があるのだろうと思ってございます。
 先ほどのJREC-INとの連携についても含めて、文科省も一緒に進めていかなければいけないと考えているところでございます。ありがとうございました。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。
 それでは、次の御発言、水田委員、それから、川澤委員、伊藤委員の順です。
 水田委員、御発言をお願いいたします。
【水田委員】  それでは、私からも発言させていただきます。御説明ありがとうございました。それで、エージェントシステムについては、この後も多分発言が多いと思いますので、簡潔に1点だけなんですけど、東北大学の資金の使途です。これは拝見しても開発コストとランニングコストがよく分からなくて、このエージェントシステム、今、東北大学で運用されていると思うんですけど、開発コストとランニングコストはどのくらいかかっているのか教えていただければと思います。
 それから、2点目ですけど、こちらのほうがメインなんですが、亀井委員の御質問とも関連するんですけど、開発されたプログラムの標準化と横展開ということは言われているんですが、これはどこで需要があるんでしょうか。
 具体的には、実務家教員を育てたいと思っている大学や大学院に対して需要があるのか。それとも、普通の大学について、実務家の方を雇用した際のFDに役立てたいと思って、そういった需要があるのか。それとも、専門職大学のように、ある一定程度、実務家教員を雇用しなければいけないという特殊な事情があるようなところに需要があるのか。この横展開というのはどういうところを目指されているのかということをお伺いしたいと思いました。
 私からは以上です。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  回答お願いします。
【説明者】  ありがとうございます。前者につきまして、今お調べしてございますので、先に後者からお話をしたいと思います。横展開、一義的に目標としては、冒頭御説明したとおり、社会人向けのプログラムを行う際に、実務家による実践的な事業を行いたいといったときに、そういう先生がいないというときに、あるいは実務家は確保できたけれども、その方にそういう教育者としてのスキルを身につけさせたいというところがすごく狭い意味でのターゲットではございますけれども、実は、必ずしも社会人向けだけではなくて、学部生とか、大学院生に向けても、今お話があった専門職大学院、専門職大学だけではなくて、一般的な大学においてもそういう実務経験のある方々によって講義を持っていただくということは重要なことだと考えてございまして、さきの高等教育の無償化と言われている就学支援の新制度においても実務経験のある教員の方が一定数単位を持っているなどの条件になっているところでございまして、そういう意味においては、ターゲットは、最初は狭くですけれども、広く、各大学において、そういう実務側の経験のある方、実務経験のある教員の方に教育スキルを身につけてほしいということをFDでやりたい。そういったことを考えている大学に対して、横に展開していきたいと考えているというところでございます。
 前者の部分について、今お答えを担当の者からお話しします。
【説明者】  前者の部分ですけども、開発費用が今、パッと出ないんですけども、運営拠点としまして、令和3年度予算で、4,000万円程度を試算しておりまして、そのうちランニングコストについては大体50万ぐらいになっておりますけども、開発費用についてはもう少しお時間いただかないと、今、分からないような状況になっております。
【水田委員】  分かりました。すみません、2番目にお答えいただいた標準化と横展開の部分なんですけど、正直申し上げて、私は図4がすごく違和感があって、社会人を対象としたプログラムという、社会人教育について実務家の教員が必要だというような解釈に基づいてやっていらっしゃると思うんですけど、そういう狭いところをターゲットにした形でよろしいのかというのは何かずれているような気がしたんですね。高等教育機関で、科目と履修プログラムを設定して、それで、これは単位を付与しているわけですよね。そういったプログラムを開発して、社会人教育の講師を養成する、あるいは内部のFDの教育プログラムをつくると。やり方、手法と、目的としていることが何かずれているような気がしたんですけど、そういうことはございませんか。私の勘違いでしょうか。
【説明者】  お尋ねの趣旨を捉えられていなかったら恐縮ですけれども、先ほど申し上げたとおり、このまま事業をつくったときの契機といたしましては、社会人の教育、リカレント教育をどう推進していくかという観点からスタートしてございますけれども、繰り返しになりますけれども、実務家による実践的な教育が必要なのは、必ずしもそういうプログラムにとってだけではございませんので、そこは幅広く水平展開はしていくべきであろうと考えているところでございます。
【水田委員】  すみません。最後に一言だけ。単位を付与する履修プログラムでつくられているので、こんなガチガチのプログラムにする必要があったのかどうかというのがよく分からなかったんですね。それだけです。
 以上です。
【説明者】  ありがとうございます。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、続きまして、川澤委員、その後に伊藤委員の御発言をお願いいたします。
 川澤委員、どうぞ。
【川澤委員】  御説明ありがとうございました。今、水平展開のお話があったかと思うんですが、11ページの4つの大学の連携校と連携企業等というのがあるかと思います。これは中核拠点で連携している大学それぞれ並べていただいているんですけども、こういった連携校でニーズがある、もしくは水平展開を見越している。そういったことはないんでしょうか。この連携校や連携企業の位置づけというのを少し教えていただけますでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。お尋ねの連携企業、連携校でございますけれども、当然、水平展開の一因ではありますけれども、この連携校につきましては、まず多くのところが教育プログラム自体の開発に一緒に連携して携わっているところでございまして、そのうち、汎用的な部分はどこか代表のところがやって、一部専門的な部分を手分けして、各大学でやっているとかそういうチームの組み方をしているところで、そのプログラムを各大学において実践しているというところになっています。
 そのカリキュラムの開発において関係する企業がございますので、そこから意見をいただいたりしながらプログラムの改善をしているということで、当初、目的の中では、この企業の中から企業の職員の方が実務経験を生かして、プログラムに参加するなども計画の中に入っていて、一部そういうことをやっているところもあろうかと思いますけれども、連携校、連携企業というのはそういった位置づけでございます。
 なので、水平展開といったときに、ここの上がっている連携校はもちろんなんですけれども、私どもとしては、そこからさらにほかのところについても展開していく必要があろうかという、そうやって広げていってもらう必要があろうかと考えているところでございます。
 先ほどの、その前のお尋ねに関連しますけれども、その際には必ずしも60時間の単位化をしなくても、このノウハウの一部を通常のFDの中で取り入れたとか、そういった形での展開の仕方もあっていいのかなと考えてございまして、中長期のアウトカムを図るときにはそういったことをどういうふうに我々として補足できるか。そういったことも考えてみたいと考えているところでございます。ありがとうございます。
【川澤委員】  ありがとうございます。恐らく連携企業、連携校。連携校はプログラムの中のということだったんですけども、連携企業からといったようなところ、当初の計画をきちんと実現していくということがまずこの事業で必要かなと思いました。やはりニーズであるとか、事業設計の核となるものというのが何となく不明確な印象を持ちますので、この計画で、そもそも実現しようとしていたものを一つ一つ具体化していって、その先ということは、個人的にはマッチングサイト等は、もうその統合に向けたというところのほうが無駄な予算を執行しない形になるのではないかと思うんですが、少なくとも実施しようとしていた計画というのは着実に実現していっていただきたいと思いました。
 その辺り、いかがでしょうか。
【説明者】  マッチングサイトの取扱いについては、引き続き、まだJREC-INとの重複感については御指摘のとおりである一方で、まだ始めたばかりということもありますので、そこは東北大にも今後の改善の見通しであるとか、JREC-INとどう連携を取れるのか、そういったことは考えていかなければいけないと思いますけれども、少なくともJREC-INとの連携というのは必ず必要だと思いますので考えていきたいと思いますし、それ以外の部分については、当初目指していた実務家教員の養成という部分のプログラムの良し悪しにつきましては、しっかり議論して、ちゃんとどういうふうに効果を把握するかも含めて、今、KPIにかかっていないので、そういったところの補足の仕方が各拠点に任されているような状態にありますので、そこについてしっかり押さえていって、当初の計画どおり進んでいるかを補足しなければいけないというのは御指摘のとおりかと思います。ありがとうございます。
【川澤委員】  ありがとうございました。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。議論はまだしばらくお続けいただけますが、併せまして、有識者の方々には大変申し訳ないのですが、コメントシートの記入と提出のほうも並行してお願いいたします。
 それでは、伊藤委員、小林委員の順で御発言をお願いいたします。
 伊藤委員、どうぞ。
【伊藤委員】  まず事実関係を教えていただきたいんですが、先ほど水田委員の御質問の中であったマッチングサイトにかかる毎年度のコスト、4,000万円というお話があったと思うんですけど、これは私の認識では、レビューシートでいくと6ページに当たる、6ページの支出先上位10者、東北大学、2番の運営拠点のところなのかなと思ったんですけど、それで間違いないでしょうか。
【説明者】  さようでございます。
【伊藤委員】  これがこの中のうち、マッチングサイトのランニングコストという観点でいくと50万というお話ありましたよね。これ自体も令和5年度で終わるという認識でいいんでしょうか。もしマッチングサイトが継続するという前提に立ったときにです。
【説明者】  はい。それ自体もそうです。令和5年度で終了になります。
【説明者】  来年は半減させた上で、再来年以降はなしという予定でございます。
【伊藤委員】  ということは、もしやるとしたらですけど、多分何かしらかかる部分については、それは東北大学の中で吸収するという考え方になるんですか。
【説明者】  ええ。そういう形で。ほかの企業や大学などと連携して、何らかの形で進めるということを、何らかというか、進めていくということで今検討していると承知しています。
【伊藤委員】  ちょっとこだわってしまって、すみません。考え方の世界でいくと、5年度、来年度半減して、それで補助としては終わりになった後については、マッチングサイトの所有権はどこに行くということになりますか。
【説明者】  東北大ということになります。
【伊藤委員】  なるほど。
【説明者】  はい。委託ではないので、こちらに権利は入らないのではないかと思います。
【伊藤委員】  分かりました。まさに今の話でいくと、この後どう統合していくということも論点になるということになろうかと思いました。
 それと、大きく立ち返って、この実務家教員のニーズの話で、先ほど水田先生から御指摘があった8ページの図4は、必ずしもこれだけではなくて、ほかのニーズもあるということでもあったと思うんですけど、少なくとも、この資料を見ると、社会人対象プログラムを提供していないところについては、教員の確保というのはとてもニーズがあるというロジックになると思うんですが、まず第1点は、これが全てではない。要は、あまりこれが際立ち過ぎるとミスリードになるのではないかと思ったんですけど、どうでしょうか。
【説明者】  それは御指摘、そういう面があるのかもしれないです。特に実務家教員の必要性といったときに、繰り返しになりますけども、こういうプログラムをやっているところだけではございませんので、どうしてもこの事業をつくったときの説明というか、リカレント教育の推進という文脈の中での事業でございますので、そことそごのないような形で、そこに特化した事業というような形でつくってきたし、これまでも説明してまいりましたけれども、実際には実務家教員のニーズというのはほかにももっと、本来あるわけですし、逆に、今、私はこの事業だけでなくて、そもそも各大学に、もしかしたら研究者教員のほうが大事で、実務家教員の採用に消極的な大学に対しても、そこの考えを改めるというか、実務家の方々にも大学教育に入ってもらう、参入してもらうということを促していかなければいけない立場ですので、そういったことも本当は併せて把握して、説明していかなければいけないのかもしれないというのは、これまでの議論を通じて感じているところでございます。
【伊藤委員】  ありがとうございます。私も同じように感じているというか、今、途中でお話があったリカレント教育について、今すごく必要性が高まっていって、過去にもレビューでやりましたけど、そのプログラムに関して補助を出したりとか、そういったものがあると思うんですが、この事業としての必要性が実はまだ私自身ちゃんと感じられていないところがあって、リカレント教育は必要だ。ただ、そこについて、例えば大学の中で、自分たちが特徴を持ってやろうと思えば、当然自分たちの中で実務家教員を探したり、トレーニングシステムをつくったりというところが出てくると思うんですが、あえてこういう形で補助を出して、実務家教員を養成するということの必要性です。何となく同じ話を伺っているんですが、再度お聞きしたいんですけど、補助をするという観点においては、どういうところが一番必要性が高いんでしょうか。
【説明者】  冒頭の御説明の中で、駆け足で申し上げましたけども、実務家の方で教員になるという方がいるとしても、その方が必ずしも教育的なスキルを持っているかどうかというのが分からない状態で、学生の側、これは必ずしもリカレントに限らないですけれども、その授業を受ける学生の側から見たときに、経験はお持ちなんですけれども、その経験をお話するだけにとどまるようなケースがあるというような課題があって、そういったところに対してしっかりと授業として、大学教員の一員としてしっかりと授業として教えられるような教員を育成していきたいというのが当初の目標でございます。
 もっと未来の話をすれば、そういった事柄は、先ほども御指摘あったとおり、通常の教員にも必要なスキルでございますので、どの大学においてもそのファカルティ・ディベロップメントの中でそういったノウハウを教えるようなことができていればいいんですけれども、下の図5の資料は、実務経験を有する教員に特化して調査してしまっているので、今後、FDの中で、そういった教育スキルについてのFD、研修、そういったものをやっているところがどのぐらいあるのかというところもしっかり補足した上で、現状ではそういったことが必ずしも十分に行われていないのではないかということで、そのためのノウハウを開発してもらうということで、今、4か所の拠点にプログラムの開発をお願いをしたというところでございます。
【伊藤委員】  もう最後にしますが、私自身も非常勤ですし、ほんの数コマしかないですけど、実務家で、大学で、8年、9年教えていて感じるのは、じゃあ、自分にトレーニングシステムがあったかというと、そうではないなと思っています。もちろん、だから、なくてもいいんだということを言いたいわけではなくて、そこは各大学の中でももっと大学独自の特色を出す中で、そういう実務家教員をどれぐらい養成していくのか、雇用していくのかということも考えていく。必ずしも文科省が常に金銭的な支援ということありきでなくてもいいのかなということは感じていました。
 以上です。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。
 それでは、コメントシートは適宜御提出いただきながら、次に、小林委員、御発言をお願いいたします。小林委員の後に亀井委員に御発言をお願いいたします。
 それでは、小林委員、お願いします。
【小林委員】  小林です。私もそもそも論になってしまうんですけど、企業出身の方の授業にニーズがあるというのは、それ自体はそのとおりだと思っていて、ただ、通常は専任教員として採用してしまうと、企業を辞めて、来ていただくことになるので、現役の方ではなくなってしまうわけですね。したがって、いわゆる旬な話というか、リアルタイムで行われているようなこと、もちろん企業秘密もありますけど、そういう話が聞けなくなってしまうというところから、現役の方にゲストスピーカーとして来ていただいたり、あるいは非常勤講師として1コマ持っていただいたり、今の伊藤委員の話がまさにそうですけども、そういうことをしているわけですが、そうではなくて専任教員として採用される人の数を増やす必要があるということに関する説得的なロジックというのはありますでしょうかというのが1点と、あと、今回対象になっているマッチングサイトについては、非常勤講師の採用について機能するような形にはなっているんでしょうか。そうだとすれば、その実績については把握されているんでしょうか。
 以上です。お願いします。
【説明者】  ありがとうございます。前段でございますけれども、専任でないと駄目かという点でございます。難しいところで、専任の先生が増えることは、それはそれで一つの指標だと思いますけれども、一方で、おっしゃったとおりで、非常勤の講師であったり、あるいはゲストスピーカーのような形で教壇に立っていただくことも、それはそれで重要というか、実際の実践的な最新の情報を聞くという意味で重要だと考えておりまして、実際この受講者の方々の中には、必ずしも採用されただけではなくて、将来的にそういうゲストスピーカーと話す機会があるのに備えて、こういう講座を取ってみたという方もいるやに聞いてございますので、そういったところ、必ずしも、指標としては専任に定めるのがいいのかなと思っておりますけれども、それ以外のやり方というものがあってもいいのかなと思いますし、将来、理想的には、一時的に学校のほうに籍を移した後に、さらにまた企業に戻って、さらに実務経験を積んでというような形で、そこが自由に行き来できるようなことになるのが本当は理想なのかなと思っているところでございます。
 2点目でございますけども、申し訳ございません。実績とおっしゃられてしまうと、実はこのマッチングサイトにつきましては、実績がございませんので、常勤、非常勤問わず、ないんですけれども、必ずしも、非常勤講師の募集について、サイトから除外するわけではございませんので、非常勤講師につきましては、必要であればここに掲載いただければ、マッチングの掲載情報としては載るということになろうかと思います。
【小林委員】  なるほど。そうすると、採用実績がないのはいいんですけど、非常勤講師としての募集の掲載も、今のところ、実績としてはないということになりますか。
【説明者】  ございますので、それが果たして非常勤がいたかどうかがパッと分からないです。
【小林委員】  なるほど。そこはまた把握してもらえるといいのではないかなと思いました。
【説明者】  ありがとうございます。
【小林委員】  はい。以上です。
【説明者】  制度的に妨げるものではございません。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、コメントシートのほうは御提出のほうをお願いいたします。
 亀井委員、御発言をお願いいたします。
【亀井委員】  ありがとうございます。今、ずっと話に出ていた、これは大学によってローカルルールはいろいろあると思うんですが、専従、特任、非常勤のところ、私は多分特任で、実務家教員であります。そういう意味では、複数の籍があって、行ったり来たりというか、まさに、今の私のタイトルのとおりになっているという形で、多分そういう人を増やしたいんだろうなとは思うんです。
 私は別に、私みたいになれと言うつもりは、全くそんなおこがましいことを言うつもりはないんですけど、多分そういう人が増えてったらいいんだろうなというのは、何となくそれは実際に大学の現場で、教育指導をさせていただいたり、研究指導させていただいていても、そこは大変感じるところであります。ただ、これはいろんな領域によってあるような気がしていて、一般的に、私は文系、理系という言葉はあまり好きではないんですけれども、最近ですと、例えば文理融合みたいな形。私はちょうど社会デザイン研究科というところにいますけれども、これも非常に文理融合的だし、もうちょっと伝統的な文学部、法学部、経済学部みたいな形でもないというところは多分そういう人たちが求められているんだろうし、隣にちょうどできたAI研究科というのもできましたけれども、AIのような、ある種、倫理的なことと技術的なことが両方分かるみたいなところが大変大事なところで、そこら辺のある種、特定領域を絞ったほうが、むしろ、いわゆる文学部系統で哲学を教える人にそういう実務家教員が出てくるかといったら、多分そういう人は出てこないんだと思うんですよね。
 というような形で、いわゆる伝統的な人文というよりは、社会科学であったり、あるいは自然科学の中で比較的、物づくりに近いところとか、あるいは社会と近くて、実際にイノベーションを生むところのイメージなんだと思うんですが、そういう領域のイメージは、先ほどから幅広い、幅広いという話があるんですが、お持ちなんでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。御指摘のとおりで、実務家教員のニーズ、それは学生の側のニーズであり、大学のニーズであり、教員の成り手のほうのニーズであり、確かにそれぞれ分野によって様々であろうというのは、御指摘のとおりではないかと思います。この事業は、4か所に分担していますけれども、その4か所の中でも、連携校で、一部の分野に絞って、汎用的なスキルの部分は共通したカリキュラムになっているんですけれども、一部の、例えば名古屋市立大学などだと、一部、どこかの大学だと減災医療であるとか、一部だけだとスポーツであるとか、そういった、ある特定の分野についての実務家教員についてのスキルを学ぶような、少し特化したような、アレンジを効かせるようなこともしていますので、今後、こういうふうにプログラムを広げていくときの視点として、いわゆる汎用的な実務家教員というのではなくて、こういう分野ではこういうニーズが求められているんだと、こういうスキルが求められているんだというようなことを分析して進めていくべきだというのは御指摘のとおりと思っている次第でございます。ありがとうございます。
【亀井委員】  そういう意味で、ぜひここからの次の作業としてお願いしたいのは、これは前の事業でも少しお話をしたんですけれども、この事業のロジックモデルをつくっているうちは、この事業はうまくいっています、何とかなりますという形の説明になっちゃうんですけれども、そもそもは、これはほかの先生方もおっしゃっている話なんですけども、そもそも、この事業の目的で、かつ、この領域において実務家教員を今の何倍にしていくとか、今、実質幾つなんだけれども、これを幾つにしていくみたいなことをしたときに、高等教育局として、あるいはそれぞれそちらの課としての大学との関係性も含めてアプローチするとか、そういった事業以外のアプローチも含めて、どんな手だてを複数使って組み合わせて、実現していくのかというロジックモデルを一度つくってみられたらいいのではないかなと思います。
 要は、それはつまり、どういうことかというと、インプットからの説明ではなくて、インパクト、アウトカムからの説明で、では、どういう状態になっていくといいのか、望ましい変化は何か。これはもともと高等教育局が意図されているとおり、大学が自律的に変わっていくということを促すにはどうしたらいいのかというところを考えたときに、では、呼び水としてここが必要というのが次なる事業の形としてきちんと見えてくると思いますので、ぜひ政策体系全体としてのロジックモデルというところを、社会課題別、今回の場合ですと、実務家教員は増やすべきであるということを仮に正しいとした場合にという形で、検討を始められたらいいのではないかなと思います。そのためにも、今回の知見で何ができていて、何ができなかったのかというところについて、しっかり把握されることが大事ではないかなと思いました。
 以上です。
【説明者】  ありがとうございます。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。ただいま、6名の委員中、届きつつあるものも入れると、あと1名の方の委員から届けば集計が可能な状況です。ですので、少しお時間をいただきたいと思いますが、お待ちいただいている間に、一番最後の亀井委員の御指摘についてでございます。
 本日、事業レビューの形で行っておりますのは、やはり個別の、特に高等教育という視点から見た産学共同人材育成ということでございます。ところが、文科省全体としては、例えば、産学連携の共同研究というところに中心点を置いたような事業も行っているわけで、例えばそういうこと、共同研究を実施していくときに、実はその前提、前段として、産学共同人材育成、要するに、教員としてそういうことができる人は必要だと。その辺の政策体系の全体像を一緒に議論しながら御説明しないと、そもそもの本事業の必要性、今後の展望、それから、研究あるいは産学連携の動向も変わってきておりますので、どういう方向に今後、事業発展あるいは改編していくのが望ましいのかといったようなこともなかなか難しいところがありますので、そういったことをこの事業レビューという体系の中で、どういうふうに反映していくことができるのかということは、文科省としても考えてまいりたいと思います。
 また画面が消えているんですが、皆様、聞こえていますでしょうか。
【亀井委員】  大丈夫です。聞こえています。まさに今おっしゃったような話もそうですし、今後、ちょうど今、私は、別の内閣官房のほうの会議で、アジャイル型政策形成とか評価みたいなところもやっていましたけれども、政策が絡むものみたいなことをつくっていって、改めて立ち止まって、社会課題を起点にいろいろと政策を考えていくみたいなことをしっかりやってもいいのかなと思いますので、ぜひそういったところも何か前向きに、少し立ち止まって、いろいろお忙しいとは思うんですけども、ぜひそういう形で考えていただけたらいいのではないかなと。今の審議官のお話のとおりかなと思います。その一つの入り口が多分レビューなんだろうなと思います。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  御指摘ありがとうございます。
 今、お取りまとめ中でございますので、あと少しお待ちくださいませ。委員からのコメントは全て出そろったところでございます。集計もお渡ししてください。今、集計表ができてまいりました。ありがとうございます。
【亀井委員】  ごめんなさい。時間つなぎで一つだけ。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  はい。ありがとうございます。
【亀井委員】  大学の現場で感じるのは、別に弊学だけではなくて、ほかからも聞くんですが、先ほど伊藤さんからもお話があったと思うんですけれども、案外、いわゆる特任、ごめんなさい。専任教員に対してのFDの機会というのは、率直に言って、結構あるんだと思うんですよ。だけれども、非常勤講師がほぼほったらかしになっている。それは非常勤講師の待遇の問題もあるし、そういったようなことも含めて、今の学費でできるのかと、大学経営からすれば多分そういった問題もあるんだと思うんですけれども、非常勤講師にとってのFDの問題というのは結構あるはずで、先ほど小林先生からもお話があったとおり、今の現職の方に来ていただくとすると、やっぱり気軽に来ていただくとすると、ゲストスピーカーもあるし、あるいは非常勤講師で、半年やっていただくみたいなことにもなるんだと思うんですが、なかなかそういう中で、では、その人に事前にFDがしっかりできているかというと、やっぱりそれは私たちの反省も含めてなんですが、なかなかそこまでは手が回っていない。できるだけそういうコミュニケーションを取るようにはしているんですけれども、そういうような状況は率直にあって、そこら辺はぜひ高等教育局でも、ある種、FDの問題を問題にされるのであれば、そこはもう少し考えていただいてもいいのではないかなと。ですから、むしろ何を言いたいかと、やっぱり課題のほうから何ができていなくて、何が問題で、あるいは、例えば、今、足元で急激に改善していますけど、コロナ禍でオンラインになりましたと。やっぱりそれは学生がみたいなところで、とにかく教室に戻すんだというところで、今、方向性が出ていますけれども、そういう中でも来れない子はいて、そうなったときにみたいなところも含めて、それぞれの教員が大変苦労しているのは間違いないので。それが特に非常勤の先生に負荷が大変かかっているのは間違いないところなので、そういったところも含めて、しっかり課題基点で考えていただくというところは、ぜひいろんな形でお願いをしたいなと思います。
 これはすみません。やや時間も。何かつなぎ的だったと思いますので、失礼いたしました。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。
【説明者】  非常に参考になりました。ありがとうございます。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、座長から取りまとめの御発言をお願いいたします。
【堀川委員】  それでは、各委員の評価の分布状況ですが、事業全体の抜本的改善が4票、事業内容の一部改善が2票となりました。その主なコメントを紹介します。
 非常勤やゲストスピーカーでの対応ではなく、専任で実務家教員を増やすことのエビデンスが不明確。マッチング支援サイトの必要性は極めて薄い。
 実務家から高等教育機関の教員に転身する道は複数あり、この事業で選定したプログラムで育成された人材が他のルートで教員になった人材よりも優れていることを示す必要がある。JREC-INがある現状で人材エージェントシステムによるマッチングが必要であるか、理由を説明することが難しい。
 事業設計の時点で、ニーズの明確化や出口戦略の検討が不十分である。社会の要請に沿った大学教育を実現するために実務家教員を増やすとの政策目的は妥当だが、その目的達成の手段として有効とは判断しがたい。こうした取組を通じて、できたこと、できなかったことの把握が不十分。特にマッチングサイトについては、その意義が認められず、既存の仕組みの活用も含め、根本的な見直しが不可欠。
 事業の必要性が分かりにくい。特にマッチングサイトの必要性が分かりにくい。今後、見直しが必要ではないか。マッチングサイトとしての事業目的を達成する手段として有効に機能していない。
 以上を踏まえまして、最終的な評価としては4票となりました、事業全体の抜本的な改善とし、取りまとめコメントとしては、大きく2つの柱でまとめたいと存じます。
 一番大きい話は、マッチングというか、エージェントシステムについてでありますが、これについては、一つの柱としては、事業の効果及び成果指標等に関するものとして、効果自体が問われているということで、その見直し、または廃止、またはJREC-INとの統合ということも検討していただきたいという明確な意見、様々な意見が出ておりますので、この点はよろしくお願いいたします。
 そして、事業効果については、さらに、5年度限りで終了なので、それまでの継続、それまでは継続する必要はあるが、後継事業を行うかどうかの効果測定は今から行う必要がある。採用の決定に影響を及ぼしていることを示すような評価が必要と考えられる。例えばプログラム履修者に対する採用機関の評価、プログラムの履修者と非履修者の選考通過率の差異。
 まず1つ目の話、効果については以上です。
 次に、2つ目の柱としては、事業の執行及びその方向性に関するものとして、マッチングサイトの効果については薄いとか、不要とかありますが、在り方について抜本的に見直すということと、それは重なりますが、実務家教員に向けた課題分析と、これを踏まえた、より有効な新たな事業の検討が必要。また、高等教育全般といった幅広いターゲットとするのではなく、社会が求める特定の領域に絞り込んだ取組も必要。また、企業と大学を行ったり来たりする人材や仕組みの必要性が重要であり、その視点での見直し、検討が必要。さらには、持続可能性を担保するためには、中核拠点に丸投げとならないように、財政面だけでなく、事業の有効性の観点からロードマップと指標の設定を検討するということが緊要。
 JREC-INと、効果と、今後の事業執行は重なっていますが、効果と事業の執行についての大きく2つの柱で取りまとめたいと存じますが、いかがでしょうか。よろしければ挙手をお願いいたします。ありがとうございます。
 以上です。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  皆様、御挙手いただいております。ありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして、持続的な産学共同人材育成システム構築事業の公開プロセスを終了させていただきます。すみません。途中、接続の問題が生じたりして、お見苦しい進行がございましたところをおわび申し上げます。
 予定どおり終わっているんですけれども、途中の集計、それから、もう一度、機器のチェックをこの間にしたいと思いますので、次の開始は16時50分からとさせていただきます。50分に再度チェックインしていただくようにお願いいたします。どうもありがとうございました。
( 休憩 )
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それではお時間になりましたので、本日4つ目の事業レビュー、最終でございます。長時間にわたり、委員の皆様におかれましては大変お疲れのところ、あと1つ、よろしくお願いいたします。
 ただいまよりイノベーションシステム整備事業についての公開プロセスを開始したいと思います。
 初めに、事業担当部局から事業概要の御説明をさせていただきます。説明者は簡潔に、5分以内で説明をお願いいたします。その際、事業名とそれから開始年度、事業予定、あるいは事業規模についてはまず冒頭に御説明ください。
 それでは説明者、開始してください。
【説明者】  よろしくお願い申し上げます。事業名でございますが、「オープンイノベーション機構の整備」ということで、この事業は2018年度からスタートしており、5年間の事業とデザインしております。
 2018年度に採択されました8件については今年度まで、また、2019年度に採択いたしました4件については来年度終了という予定になっております。
 事業規模でございますけれども、レビューシート2ページ目の真ん中ほどにございます予算額、令和4年度でございますが、14億900万円ということで、大体1大学当たり1から1.7億程度という規模になってございます。
 事業の目的でございます。同じくレビューシート2ページ目でございますけれども、上から、事業名のところから6下っていただきまして、目的の欄でございます。組織対組織の本格的な産学連携等を通じて、イノベーション創出のためのシステムをつくるという目的でございます。
 この目的を達成するために行っておりますオープンイノベーション機構の整備の事業概要、その下の欄でございます。こちらは大学を対象にしまして、大型共同研究の案件形成を通じた大学の産学官連携システムをしっかりつくるというものでございます。
 丸1、まず、どういったものを支援しているかというのが丸1、丸2とございますが、しっかり大学の経営トップによるリーダーシップを取っていただいた上で、この大型共同研究の特別な集中的なマネジメント体制をつくってもらうということ。
 丸2でございますが、この大型というところで、部局を超えたプロジェクトをつくってもらうということ。また、その下の行でございますが、億単位の大型プロジェクトもやっぱり動かしていただくといったこと。
 これを通じまして、支援終了時には、間接経費や特許の実施料等を基に、この産学連携のオープンイノベーション機構を自立的に運営してもらうといった事業内容になってございます。
 資料下のページですが、7ページを御覧いただけますでしょうか。
 7ページで本事業の目的を1点だけ補足させていただきますと、左上のオレンジの箱の真ん中にあります目的の2行目後ろのほうでございますが、こちらのほう、国費投入額を超える民間投資の誘引を図り、政府目標でございます「企業から大学等への投資の3倍増」といったような目標を実現するためのコアな事業という位置づけでございます。
 ロジックモデルのほうが下にございまして、インプットは省略させていただきます。アクティビティ、この拠点の審査・採択、そして大学では実際に共同研究の案件形成獲得等々を進めていただくということになっております。
 採択に当たりましては、「大型」という点、公募要領におきまして、部局横断の案件といったようなこと、そして審査の観点におきましても、実際に1,000万円以上等を含め、大型の共同研究が実際の実績ですとか、また協定があるかとか、そういったところも見させていただくということで、「大型」の概念につきまして大学側とも共有しながら、まずスタートを切っております。
 また、アウトプットでございますが、採択サイドとしましては中間評価等によるフォローをしっかり行っていくということで、まず、初めに採択された大学につきましては令和2年度、また、次の年には令和3年度という形で進めております。
 アウトカムとしては、まず、額を増加していただくということが初期で、システム改革は規定整備等。中期につきましては、民間資金獲得については、まず、額のみならず案件も増やしてほしいということ。また、大学のシステム改革のほうにつきましては、しっかり体制を確立して案件を増やすということ。また、この運営の自立的なモデルについて、まず構築を始めていっていただくということ。
 長期的には、こういった取組を通じて、令和7年度までに約7割の共同研究増ということ。また、大学のほうでは産学連携組織の自立的運営等。また、さらには学内外へモデルを展開したいということでございます。
 こういったことをしっかりフィードバックしまして、また、こういった取組が他大学にも展開されるように、ガイドライン等への反映等を通じて、この成果の全国展開というものまで持っていきたいというふうに思っております。
 取り急ぎ、以上でございます。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  以上、説明終了いたしました。
 それで、最初にまた1ページに戻っていただきまして、2行ほど論点が簡単に書いてございます。このイノベーションシステム整備事業のそもそもの目的というのが、組織対組織による大型共同研究の推進を進めていくということなんですけれども、その目的に沿って採択された大学の事業結果のオープンイノベーション機構というものを構築した中で、どういう評価をしていくのかといったようなところになりますので、事業目的に応じた大学の取組、あるいは大型共同研究の推進による民間資金獲得に向けた取組というのがどうなっているかというのと、今後の方向性といったような点が主な論点になってこようかと思います。
 それでは、委員の皆様から御質問、御指摘をお願いいたします。
 亀井委員、堀川委員、水田委員。
 亀井委員、お願いいたします。
【亀井委員】  ありがとうございました。この間もいろいろと、ベンチマークとかいろいろとお尋ねして、実際のところ、これを取り組んでいるところと取り組んでないところ、随分重複があるかもという話だったんだと思うんですが、そういったところも明らかにしていただいてよかったかなと思います。
 この点については、ちょっと私がコメントした後、ぜひ具体的に、どういうふうな形でベンチマークをしてみて、この事業の成果というところを理解したのかというところについて、ぜひ改めて御説明いただければというふうに思います。
 その上でなんですけれども、これは大変大事なところで、日本の研究ってどうしても一つ一つ、一本一本が細くなってしまう。それをより太くしていく。最終的には社会的なインパクトをより大きなものにしていく。それを大学からどんどんどんどん出していくのだというようなところの問題意識は大変共感するものだし、これは本当に大事なことであり、それは高等教育としても、科学技術としても、産業としても大事なことで、そういう観点では非常によく分かるんですけれども、一方で、これを今回入れたところはそうなんだけれども、それを、要は中期アウトカムから長期アウトカムに向けてどんなことをされようとしているのかというところについて、ぜひそこら辺の、言葉は悪いですけどたくらみというか、考えているようなことがあれば、ぜひお聞かせいただければと思います。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  じゃあ担当、お願いします。
【説明者】  ありがとうございます。まず1点目、ベンチマークでございますけれども、7ページにございます、少し下、4分の1ぐらいに黒い点線で囲んだ数字を出させていただきました。亀井先生の御指摘を踏まえまして、この事業に採択された12大学の共同研究の受入額と伸び率を、同じような母体となっている大学と比較してみたというものでございます。
 「同じような」ということなので、小さいところとか、ある程度研究でやっぱりやっているぞというところで、自主的なRU11、Research University11大学、これは私立も入っております。
 ここと全体と比較してみましたところ、本事業に採択された大学の伸び率が平均して24.1%、RU11全体だと20.7ということで、本事業の優位性というものがこういった形でも見られるかという分析をさせていただいたところです。
 2点目、より太くしていかなくてはいけないということで、中期アウトカムから長期アウトカムへのたくらみということでございますけれども、これ、実は中間評価を経まして、やっぱり幾つか指摘を得ております。
 まだ足りていない点としては、一例申し上げれば、例えば医から、理とか歯とか工とかまでは来ているんだけれども、経済的・ビジネス的というところを含めたときに、例えば経営とか心理とか、いや、この学校はもっとそういうリソースありますよねと。そこまで持っていけていますかといったような御指摘もありまして、そういったところも含めて価値を高めていくといったことにより、より進化した形での取組ができるとよいなというふうに思っています。
 まずはちょっと一例ということで。
【亀井委員】  ありがとうございます。そういう意味では、ある意味、走りながらハードルを上げていくということが実はとても大事で。まさにこれはある意味、このResearch Universityの話を出していただいたのは結構大事なことで、これを出したところじゃないところもちゃんと上がっているということも大事で、大学としての相場観が上がっていくということはとても大事で、この事業だけで実現するのではなくて、これは高等教育のほうともちゃんと連携をして、そういったような形で、大学としてそういうことができるところはちゃんと取り組むべきだし、さらに言えば、こういう余地があるよというような形で領域を示していくだとか、そういったようなことについては、中間評価をやると同時に、もちろん、始めた頃はこうだったかもしれないけれども、世の中が実はさらに進んでいて、ハードルは上がっているよというようなことをしっかり示していくことが実は大事だと思いますので、それは、何か後出しでずるいじゃないかって話があるかもしれませんが、むしろ、でも社会は先に進んでいるわけで、日本の競争力が低いことは明らかになっているわけですから、そこはぜひしっかり負荷をかけていっていただけたらいいんじゃないかなというふうに思います。
 以上です。
【説明者】  大変ありがとうございます。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは堀川委員、お願いします。
【堀川委員】  私も基本的に同じ話になると思うんですけど、まず、ちょっと事実関係だけ。最初の採用した大学は、既に事業5年は終わっているということになるんでしょうか。
【説明者】  はい。2018年度に採択したものは今年度まで。
【堀川委員】  今年度まで。それを前提に、ちょっと、きっとかぶると思いますが、本件事業というのは、採択大学が、日本有数の大学がそろっていますよね。財政基盤もしっかりした大学がそろっていて、本件事業が先ほど説明があったように収入を上げることが目的とした事業であるということを考えれば、本来なら自前の資金、東大とかは相当な資金を持っていると思いますけど、場合によっては運営交付金から出してもいいし、運営交付金を自前の資金とするか、位置づけはありますけれど、そういった当然入ってくる資金でもっていってもいい事業だと考えるんです。
 それをあえて国費を導入するのであるからには、やはり国民に十分説明責任を果たすために、国にとってのメリット、成果というのをやっぱりより明確にする必要があるなと。
 それで、亀井委員とかぶってくるんですけど、これに関して全国的に広げて横への展開、先生がおっしゃったように補助金をもらっていない大学等を含めて、進めることが長期アウトカム指標には設定しているんですけれども、具体的なそれに関する指標等の設定が、既に終わっている事業もありますので、積極的に進めていく必要があるのかなと。
 まだ生きているというか、5年が終わっていない大学もありますので、こういった過去のいろいろな経験からすると、やっぱり金の縁がある間にいろんな情報を取るほうが効果的だというのが多々ありますので、やはりまだ行っている事業がある間に、積極的に、本来国が出すための位置づけ、意義に対する展開を積極的に図っていただきたいというのが1つ。
 さらには、これを横への展開をすると考えると、正直言ってほかの大学、財政的に豊かな大学以外の大学に、これだけの投資を自らするのかという、デメリットというのはやっぱり逆に聞きたいと思うんです。モデル事業というのは、本来そういうデメリットも顕在化させるところにあるので。
 ところが、こういう採択を受けたところは、自らがデメリット、課題、事業を遂行するにおいて懸案になった点というのはなかなか出しにくいということも理解できるので、その点はやっぱり積極的に本省のほうが注視する。そしてそれを反映していただいて、本当にこういうメリット、デメリット、両方あるんだけれど、これだけ投資をしたほうが有効に機能するんだということまで深掘りしていただければなというのが、それは意見です。
 以上です。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  お願いします。
【説明者】  大変ありがとうございます。そもそも自前でやるべきではないかという御指摘ですけれども、正直、今、東京大学ぐらいの規模であっても、かなり若手の研究者のポスト確保とか、そういった基本的な大学の教育・研究の基盤のところで、相当もう、実際にかなり使っているので精いっぱいというような状況もございまして、そういったこともありまして、こういった大型の共同研究をする、例えば知財ですとかプロマネとか、そういった専門家を雇うといった部分については、こちらのほうでまず最初に応援をするといった形を取らせていただいた次第です。
 一方で、先生御指摘のとおり、こういうのをやっていくと、何がインパクトがあるのか、何がメリットがあるのか、よく説明していかなきゃいけない。実際にこれ、幸い、一部達成できていない学校もあるんですが、民間資金の獲得額というのをしっかり目標達成してきています。ということは、イノベーション、企業にとっても進んでいる。大学にとっても、間接経費等を通じて財源の多様化が進んでいるという、自立的な経営に向けた、まず資金をちゃんとこれで得られていると。
 これが回っていくと、まさにこれ、終わった後は自立的に運営してねと。国のお金は抜けますよという構造になっていまして、先行投資の価値がそれであったということが証明できるようには、最後のところで取り組んでいるというところでございまして、しっかりそこのところを、数字や事例も含めてちゃんとPRしていくようにしたいと思います。
 横展開でございますけれども、やはり先生御指摘のとおり、どういうところがデメリットがあったかとか、そういうことこそ共有することが、じゃあどうすればいいんだという話をほかの学校にもできることになると思います。そういったところを、事後評価等も含めて深掘りできるようにしたいと思います。
【堀川委員】  よろしくお願いします。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは水田委員、次いで川澤委員の順です。
 水田委員、お願いいたします。
【水田委員】  御説明ありがとうございました。私からは2点、質問と意見を述べさせていただきます。
 まず1点目は、中間評価について先ほど少しだけお話しいただきましたが、もう少し詳しく、中間評価にどういう内容が出ているのかということと、あと、PWCに、自立的な形に向けた調査研究を委託していたと思います。これ多分、自走化する際にどういうことが課題になるのかとか、調査研究で明らかになっているのではないかと思うので、それを教えてください。それが1点目です。
 それで2点目、こっちのほうがちょっと大きいんですけど、先ほど堀川先生からも御指摘ありましたが、今回の採択大学、これ、もうトップの研究大学ばっかりなんです、全部。RU11とほとんど重なっていますし、あと指定国立大学とRU11以外ということになると、もう山形大学と神戸大学ぐらいしかないんですよね。山形大学は、恐らく城戸先生がいるので大型の共同研究を取ってくることができるので、そういう条件があったと思います。
 ですので、私から見てしまうと、このオープンイノベーション機構というのは、もともと大型の共同研究を取ってくるポテンシャルが物すごく大きな大学だけを集めて、体制をつくっているんです。
 これを本当にほかの地方大学とか私立大学とかに横展開できるかというと、ちょっと難しいんじゃないかという気がしたんです。逆に、今進んでいる選択と集中を後ろ押ししているような感じもしていまして、横展開が本当にできるのかどうか、その辺のことをちょっとお聞かせいただければと思います。
 以上2点です。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  じゃあ説明者、お願いします。
【説明者】  ありがとうございます。先生がおっしゃるPWCのほうでございますが、ここは分析などをPWC自体が行うということではなくて、有識者会議の全体のいろいろなフォロー等をしていただいている役割でございますので、中間評価等に併せて御説明を差し上げたいと思います。
 中間評価のほうでは、まず、見ているポイントが、大学が持っている強みを核にして、ちゃんと大型研究、共同研究が、どういった形で拡張するプランがしっかりしているかということ。また、プランに伴う進捗ももちろん見ております。そして、資金の獲得額、共同研究の実績額というのを見ているということ。
 また、資金を獲得していく上で、この取組が補助金が終わってもしっかり続くように、例えば研究者へのメリット、例えば業績に応じて処遇に反映するとか、スペースをお渡しするとか、そういったようなものがしっかりビルトインされているかといったようなところも併せて見ております。
 特に特筆すべき点として例を少し申し上げますれば、実際にそういった処遇に反映されたようなこともしっかりフォローしているということと、あと、企業が研究活動拠点を学内に設置するという、新たな場所の提供があったということ。これはやっぱり持続的な関係構築に非常に重要でございますので、そこは評価をされております。
 一方、課題として指摘されていることもございまして、まず、自立的経営に向けて、OI機構自体の運営経費と共同研究の収入の観点から、やはり事業終了後に向けて、自立の財務的なプランニングを精緻化してつくりましょうという指摘は全体になされております。単に計画ということではなくて、本当にそれができるフィージビリティがあるかということを精緻にやりましょうという意味です。
 また、こちらは大学トップのリーダーシップの下という立てつけで始めておりますが、実際進めていく上で、例えば人事担当、財務担当、そういったところの役員等と、しっかり本当に連携が図れていますかというところも問うております。
 こういったところが指摘になっておりまして、あとは先ほど申し上げた人社系であるとか、あと利益相反マネジメントのもっと工夫した取組の指摘等。あとは、強みのある分野から少し幅を広げるときに、研究テーマも当然増えるわけですけれども、そういった観点から必要な専門家がなければ追加しましょうといったようなことがございます。
 2点目ですが、横展開は難しいのではないかという御指摘でございます。
 おっしゃるとおり、このまま、これより小さな規模の大学に全く同じものをやるのは、やはり無理であろうというふうに思っております。
 それで、資料の7ページでございますけれども、それの一番左の下に関連施策という緑の点々で囲んでいるところがございまして、我々ちょっとこの辺りの工夫から、いい、特色ある、研究力があるんだけれども、ここまで体力がないところに、それほど無理をし過ぎずに、リーズナブルにこの形を入れられないかという工夫ができればというふうに思っているところです。
 具体的には、この「共創の場形成支援」というプログラムは、具体の産学官連携の拠点を形成するものでございます。やはりマネジメントを、大きいものを入れるときに、やっぱり強い何か核がないと始まらないのでありまして、この拠点形成自体への支援というのを、まずこの共創の場等で今やっているんですけれども、これを核に太らせていくぞといったときに、例えば必要な人材について、少しアドオンして支援をするとか、そういったようなことをこのプログラムに載せる形で、いきなり全学とか億とか言ってもなかなかあれですので、まずその足元からやっていくといったようなことを手がかりに、御支援をしたいと。
 その際に、やっぱり研究者へのインセンティブ、処遇に反映させるとか、あと、研究の時間を取りましょうですとか、スペースもこういう形で優遇できませんかとか、知財の扱いとかですね、そういったようなことは、規模は違えどやる取組は似たようなことがあるということも踏まえて、この事業の成果もそういったところに展開したいと思います。
 また、その関連施策の下についているガイドラインという、こういうものをつくってございますけれども、ここはどの方でもリファーして、こういった新しい工夫がされてうまくいっているのかといったようなこと、さっき亀井先生からハードルを上げていくという話がありましたけれども、こういうところに新しい成果とかも反映させて、少しでも、他大学でも取り組めるようにということを進めてまいりたいと思っております。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは川澤委員、伊藤委員の順で御発言をお願いします。
 川澤委員、どうぞ。
【川澤委員】  御説明ありがとうございました。2点ありまして、1点目は私も水田委員が御指摘いただいたところと同じで、いわゆる、例えば地方の複数の大学で1つのOIC機構をつくるといったような形でないと、なかなかやはり現実的には難しいのではないかなというような気がいたしました。つまり、今ある採択大学のモデルをそのままほかの大学に適用するというのは難しいだろうと。
 ただ、今お話ございましたように、そのレッスンラウンド、別な形で応援していくというようなお話もございましたので、そこは、今あるものの水平展開を無理にしていくということはないのかなというふうに理解いたしました。ありがとうございます。
 一方で、今、採択大学の中には、過去の事業も踏まえて、様々な産学連携の関わる部局というのがあるかと思います。例えば産学連携部門やTLOも各大学であるかと思いますし、その辺りの既存組織との連携というのは、例えばこの採択をする際に確認をしたり、または中間評価等でもきちんとチェックしているのか。追加的に、先ほど人事担当との役割の連携も必要だといったような、新たな連携の必要性というのも示されると思うんですけれども、その辺りというのは、誰が、連携が効率的に行われて、効果的に行われているかということを判断して、かつイニシアティブを取られているのか、その辺りというのはいかがでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。既存の産連組織との連携と役割分担ということにつきましては、この事業開始、また中間評価等でも確認をしながら進めているところです。
 正直、これ、時限が来て終わったときに、じゃあ今までの産学連携の体制でいいのか、もしくは組み替えてこうしたほうがいいんじゃないか、のようなことも、事業の後半に入るにつれてだんだんと議論も出てきておりまして、そういったところもしっかり終盤フォローして、よりよい大学の産学連携組織の形態を、ある意味柔軟につくり替えていくぐらいのことも一緒に考えていきたいというふうに思っています。
 イニシアティブの取り方はかなり学校によって様々かなというふうに思っております。トップダウンで割と学長、理事が引っ張っていってというところもありつつも、ただ、これは非常に実務的な話ですので、特に強い分野を持っている部局なりチームなりの、こうしたいとか、ここが足りないとかこうしたいとかというものに引っ張られるものも多いでしょうし、このOI機構で非常に成果を上げてきているところなどからすると、やっぱりそういうところが、OI自体が引っ張って、大学こっち行くぞ、というのもありますし、また、ちょっと、うまくまだ回り切っていないなというところは、まだそこまでは至らないといったような状況で、かなりばらついていろんなパターンを見ております。
【川澤委員】  分かりました。ありがとうございます。今の採択大学の中だけでもいろいろなパターンがあるかと思うんですが、その辺りはフォローアップ、もしくは中間評価の引き続きの年度評価とかも含めて、きちんとフォローしていただきたいなというふうに。
 どういうふうにイニシアティブを取ってどういうふうに成功していくのかというところは、非常に重要なところではないかと思いましたので、一点ありがとうございました。
【説明者】  ありがとうございます。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。御記入可能な委員におかれましては、コメントシートへの記入と事務局への送付をお願いいたします。
 それでは質問を続けます。伊藤委員、お願いいたします。
【伊藤委員】  よろしくお願いします。まず先に1点、事実関係で、これ今5年単位でやっていて、新規は取っていないですよね。
 事業の終了年度は今のところ未定になっているのは、一旦はこれ、整理をするということなんですか、来年度で。
【説明者】  ありがとうございます。このレビューシートの立てつけ上、少し細かいものも入っておりまして、このシート自体としては「終了予定なし」というふうに書いておりますけれども、核となって今やっているOI事業につきましては、最終的に採択されたところが終了するのが来年度ということになってございます。
【伊藤委員】  そうしたときに、これまでの文科省の事業でいくと、大体5年とか一旦終期を設定した後に、後継事業を設定されるケースが非常に多くあるなと思っているんですが、今、何かそういうことが検討されているかどうかということと、今までの話でいくと、成果が見え始めている段階なので、これは新たな採択ということもあり得るんじゃないかと私は今、個人的には感じているんですが、その検討があるかどうかということと、その時に、全く同じものを同じスキームで続けていく予定があるのか、少し、今まで話があった改善点を加えた上で、例えばですけども産学連携の中でどこをウエートを置くかという、少し絞り込むとか、何かそういうところの検討ってあるんでしょうか。
【説明者】  大変ありがとうございます。今の中の、いろいろ議論しながらやっているんですけれども、さっき水田先生や川澤先生などからも御指摘いただいたように、やっぱりこれ、このまま、もう少し中規模とかの大学にそのままやるのはやっぱりちょっと無理かなと、難しいなと思っていて、正直全く同じようなタイプのものというのはちょっと違うのかなと思っています。
 一方、成果が出始めて、この事業を始めたときの約束も、5年終了時でこの運営形態が自立できるようなということで、かなりそこに向かっているので、それはそれとして、一回この事業の成果として整理していけばいいのかなと。
 一方で、中規模でいい研究ネタを持っている、そして産学官である程度始まっている、あと、地域ももうコミットし始めているとか、そういうところが、この共創の場で、こちらも見られてきているものですから、新たにこの産学官の大学のマネジメントシステムの支援に当たって中規模ぐらいの大学を考えたときに、アイデアとしては、この共創の場形成支援プログラムにオンしていくというのを、ちょっと当面やってみたらどうかなと。
 やっぱり、何と申しましょうか、ある程度、今ここで応援しているような大学でしたら、言っても大きな大学って幾つもあるのがすぐ想像できるとか、山形だったらあそこ、とかいうのが思いついちゃう、それぐらいのところならこれで行けるんですけれども、ここに来たよ、やっと来たよというところには、この勢いでつくらせてもなかなか難しいので、拠点に寄せるような形で必要な人材とかマネジメント部分を、大学のペースを見ながらオンして支援できるというようなことを、ちょっとやっていければなというふうに思っているところです。
【伊藤委員】  そこが一番重要だなと思っていまして、産学官連携はこれまでも数多くやってこられて、このレビューにも何度となくかかってきた中で、もちろん、いろいろなものがありましたけど、やっぱり国費が出ている間はしっかりやるんだけれども、終わった後に、じゃあそれが、まさに横展開であったりとか、モデルから全国展開につながっていったかというと、つながっていなかったという事例というのが複数あって、その時には、やっぱり今まで話があったように、この今の12拠点だからこそできている。それを無理やり横展開するのでなく、もしかしたらここで一旦、完全にもう終えてしまうという判断も含めてなのかなと思っていますので、だからこそ、今年度で終わるところの成果と、逆に特徴は何なのか。
 少なくともこれまでやってきた産学官連携との違いというのは、最初にお話があったように、研究者個人ではなくて組織と組織というところ。これはちょうど私、知合いがこれを今やっているんですけど、明らかに違うと言っているんです。それは何かというと、これ、研究者の立場からするといい面と悪い面があって、自由な進め方ができないという意味でのしがらみはあるんだけれども、ただ、やっぱりそれは数字をしっかり出していかなきゃいけないという面においては重要だというような意見があったので、そこが、これ、今、聞いておきながら自分で結論を持っているわけではないんですけど、ここの判断基準って非常に重要だなというふうに感じました。
【説明者】  大変ありがとうございます。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、コメントシートの御提出のほうは引き続きよろしくお願いいたします。あと4名の委員からいただくと終了いたします。
 亀井委員、どうぞ御発言をお願いいたします。
【亀井委員】  ありがとうございます。伊藤さんの今の話に通じるんですけど、本当に私は――最初に横展開って、僕、自分で言っておいて何なんですけど、産業連携・地域連携課長にこういうことを言うのも何なんですけど、本当に横展開で、いわゆるトップオブトップのところから下に下ろしていくのが正しいのかというのは、ちゃんと考えてください、これ。
 やっぱり何より問題なのは、この国の問題は幹が細いことなんですから。もうとにかくスタートアップ、結局これ最終的にはスタートアップになっているはずなんだけれども、スタートアップしないのと、スタートアップしても細いというのがこの国の課題で、とにかく何か細いものばっかり立って、結局地域に雇用を生むところまで技術がブレークスルーしないというのがこの国の大きな問題で、その問題意識に立ったときに、今の、これまでお話ししていたような、私は横展開というのは、本当に下に下ろすことなのか、むしろ掘り下げることなのか、それとも、場合によったら、今の指標は何となく民間から獲得してきたという話なんですけれども、大事なことは、この後ブレークスルーして、きちんと社会からお金をもらえる、市場からお金をもらえるようになることがゴールなわけで、今日のところはこれは中間評価段階だから、どちらかといえば外部資金で、それは多分、市場とか企業というのはちゃんと見ている、技術の目利きがあるよねということを信頼して、私たちはそれを中間指標として取りあえず評価をしているんだけれども、本当に目指すべきは、外部からお金をちゃんとというか、パテントなり何なりで稼げるようになると、こういう理解でよろしいですよね。
【説明者】  おっしゃるとおりでございます。まさにそういうところでの、パテント等の収入を基にこういったものを自立していくというコンセプトで、これは進めておりますので、本当に1桁これでも少ないという御指摘は、もう本当にそのとおりでして、やっぱりここはもう大学、あと企業共に、今、脱炭素とかDXとか来ていますので、スタートアップも今、施策が動いていますので、まさにそこを一緒にやっていこうということを、これをきっかけにやりたいと思います。
 横展開というのもおっしゃるとおりで、これをこのまま、みんなにどうぞと言っても消化し切れないことは過去の反省でも分かっていますので、使える要素をしっかり取り出すということと、あと、やっぱり規模とか分野とか地域とかに応じて、いきなりどんとやるのではなくて、丁寧に、しっかり強いところをちょっとずつやっていくというのを一緒に進めていくというのが、まずは、大学をかえって疲弊させても困ってしまうので、そこはそういう形で、フレキシブルにやりたいなというふうに思っています。
【亀井委員】  そこはすごく大事だし、もしかしたらもう一押しすべきは、死の谷をどう越えるかだと思っていて。
 ややもすると、要素技術はできましたと。だけどパテントにはなりませんと。あるいは、要素技術はできましたと。だけど最終製品にはなりませんということは、これはややもするとよく起きるわけですよね。
 今日のこの議論の前提は、民間企業はちゃんとやってくれているというけれども、僕が昔、民間企業を見た経験で言うと、むしろ民間企業だって、申し訳ないけど、研究はやるけれども、最後商品になりませんと言ってごろごろ転がっているものもたくさんあるわけで。
 という中で考えると、ちゃんと、このロジックモデルで言うと、長期のアウトカムに民間からの受入れというだけじゃなくて、やっぱり収入というほうが本当の長期のはずで、ここをやっぱりきちんと最後までやり切るというところは、この事業を、5年で切るんじゃなくて、場合によったらそれによって、お金じゃなくてもしかしたら何か違う組合せをさせるだとか、それこそ文科省が知恵を出すべきところなのかもしれないので、ぜひ、そこはしっかりやり切ってくださいというのが、多分ここのお願いになるんじゃないかなというふうに思いました。
 ここはぜひ、よろしくお願いしたいなというふうに思いますし、伊藤さんがおっしゃったように、場合によったらそれは下ろさないでやめるという判断もあるし、そこの次なる事業の戦略にもなってくると思います。これは国全体の政策との整合性にもなってくると思うので、ぜひ、そこはしっかり考えていただきたいなというふうに思います。エールを込めて、よろしくお願いします。
【説明者】  ありがとうございます。一言だけ、せっかくなので。
 「共創の場」も、シーズプッシュじゃなくて、もう初めから企業、自治体、あと雇用とかその辺まで、場合によってはまち・ひと・しごととか、地方創生の事業も視野に入れたような形で、そこからバックキャストして必要な要素を集めていくという形で入れているので、そういった新しい拠点形成のタイプのものの取組とセットで、そこに合う分野・規模でこういったマネジメントシステムも御支援できる工夫を、ちょっと、いろいろ頑張って、有識者の方にも。
【亀井委員】  ぜひぜひ。多分、バックキャスト型でやる場合は、何か必要なものが抜けているみたいなことが結構、最後の死の谷のポイントになるので、そこをきちんと紹介してあげるとか補完してあげるみたいなことが、文科省の大切な機能になるかもしれませんので、ぜひそこはしっかり、バックキャストならではのところをしっかりサポートしてあげたらいいんじゃないかなと思います。
 以上です。
【説明者】  大変ありがとうございます。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。
 それでは堀川委員、お願いいたします。
【堀川委員】  今のいろんな議論を聞いていて、僕も最初から、なかなか横展開は難しいんだろうな。ただ、国にとってのメリットは何なんだろうとなると、基本的にはまずそこから来るんだけれども、ただ、資料の10ページを見たときに、さっきはあえて言わなかったんですけど、課長自らおっしゃったように、大学によっては逆に収入がうまく伸びていない大学があると。きっとこれ、総額じゃなくて、本来横展開するのであれば、大学ごとの分析が必要なんだなと。
 ただ、今までの議論で、私もそう思っていたんですけど、この企業というのは、やっぱ強い大学をより伸ばして、日本としての強い研究機関をつくり上げるという意味では、強い大学に投資することが最も効率なんですよね。成果が上がりやすい。
 それをさらに伸ばしていくという事業だという位置づけにするのであれば、それが国のメリット、国にとっての価値だと考えるのであれば、先ほど課長がおっしゃった、1つの大学の中の学部をまたぐような事業をマネジメントするとか、そういったものが一つのこの事業のアピールになるのかなと。
 理解が間違っていない、学部をまたぐという説明をされましたよね。
【説明者】  はい。
【堀川委員】  東大だったら東大の学部をまたぐような、強い組織形態をつくるということを、ある意味では東大の中でやり、京大の中でやり、強い大学の中でやる。これをやるということは、ある意味それが横の展開になるわけですから。その大学における。
 そうすることによって、強い大学をさらに伸ばすという事業が国のメリットだということであれば、それが一つの仕様にもなり得るんだろうなという考えも一つあったんですけど、それについてはいかがお考えですか。
【説明者】  そうですね、おっしゃる、そういう形でやっております。別に、何というか大型の大学ではなくても、やっぱり分野間の連携というのは非常に有効なので、こことこういうのを組んでこういうのができているんだ、みたいなことは、かなり規模が違っても、ある意味展開できる部分もあるので、先生がおっしゃったように、部局をまたいだというところはもちろんしっかり、どういうのがうまくいったか、難しかったか、ここが必要だったとかというところまで深掘りしていければと思います。
 国にとってのメリットというのは、まさにイノベーションがこれで増えて、民間企業でも新しい価値が生まれて、大学にも外部資金が増えてというところがまさにメリットで、それをいきなり体力なくできないところの先行投資的にやっておりますので、これによって大学の自立的に収入が増えて、税金に頼らずにやっていけるという、この産学連携のところが回り出すというのは、財政にとっても非常にメリットかなというふうに思っています。
【堀川委員】  ありがとうございます。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。
 川澤委員、お願いいたします。
【川澤委員】  ありがとうございます。先ほど収入の面のというお話もあって、そうするとやはりプロフェッショナル人材で、知財とか、本当にプロフェッショナル人材が無期で雇用されて、きちんと安定的な雇用の中で活躍してもらう必要というのが往々にしてあると思うんですけれども、その辺りというのはいかがお考えですか。
【説明者】  これもおっしゃる点、非常に大事かと思います。やっぱりこういう活動を持続的にどんどんやっていくということであれば、常勤ポストとして、大学でポストを御用意いただくというのも一つあると思います。
 一方、例えばそういうプロフェッショナルの方々が、もうちょっとこういう大学でやってみたいとか、海外に行って、またちょっと行ってきていいかなとかいうこともあると、それはかえって、ずっとここにいてくださいというよりかは、行く行くは大学にとってもメリットがあるキャリアパスをグローバルにつくってくださるということもあるかもしれないので、その辺りは常勤、あと年限を切ったような形でというのをうまく組み合わせながら、大学のほうで、またそういった方々ともよくお話しさせていただきながらつくっていくのかなというような感じを受けています。
【川澤委員】  分かりました。ありがとうございます。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。コメントシートのほうは出そろっておりまして、今少し取りまとめのお時間をいただきたいところでございます。
 本事業も、この前のレビューの対象にもございました高等教育面の人材育成などとうまく連携していくことで、よりよい効果が出てくるものと思われますが、それぞれフェーズも違っているところもございますので、関係課がよくその事業の相互の理解をしていくということも、事業運営において必要なことかと思っております。
 ほかに御指摘などございますでしょうか。ほとんどまとまっておりますが、もう少しお待ちくださいませ。
 それでは小林委員、どうぞ。
【小林委員】  すみません、最後にあれですけど、今回、この事業は最終的に自走することが前提で、したがって、もともと自分たちの、あるいは企業との連携の中での資金でやっていけるものを、しかし最初のハードルが越えられない、そこをプッシュするんだという施策だと思うので、それはそれでいいと思うんですけど、しかし一方で、外部性の大きな――経済用語ですけど、なかなか資金の回収が難しいような研究だと、企業自身もそう簡単にはお金を出してくれなくて、そういう基礎的な研究というのが、しかし大型なものが必要であるというときに、それをこの枠組みでは支援しにくいのかなという気がするんですが、その点、どういうふうにお考えでしょうか。
【説明者】  そうですね、それは御指摘のとおり、それはこういう枠とは別途、まさに基礎研究は基礎研究として重要ということがすごく指摘されておりまして、別の形での研究費の御支援ということで、省としては全体施策をつくっているところです。
【小林委員】  その場合って、だから研究する機関に、文科省からダイレクトに資金を下ろす形になりますよね。そうすると、ここまで問題意識として挙げられてきたような大型の共同研究というものにはなかなかなりにくいのかなという気がするんですが、そこはどうですか。
【説明者】  かなり基礎研究で、何か経済的な価値をすぐ求めていくみたいなところとは違う、割と、そこはそこでこれはこれというところが、すごく雑に、シンプリファイして申し上げるとそういう立てつけになっていて、やっぱり大学でしかできないわけなんですよね、基礎研究、ほとんど。
 そこはまさに大学の大学であるゆえんであり、そこはしっかりやっぱり税金を投入して支えると。それは企業が出していくというところとは、今の日本の状況だとまた違うと。
 もう、米国のGAFAみたいな世界で、いやもうどんどん投じてこっちでやるぞ、みたいなのに行けば、また話は別ですけれど、とてもそういう感じではないので、そこはしっかり国のほうで基礎研究の御支援をするというのが、今の日本の状況だと思います。
【小林委員】  だから、そういう意味で、まさに基礎研究の大型化というのが必要になってくる気がするんですよね。それへの支援というのがあるのかどうかという話です。
【説明者】  あります、あります。それはまた違う事業でありまして、まさに国際、もう半分以上外国の方で、国際頭脳循環がそこではされてみたいなことを拠点とする別の支援もございます。
【小林委員】  なるほど、分かりました。ありがとうございます。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  その点、事務局から簡単に補足いたしますと、まずは先生方よく御存じの、基礎研究そのほか一般に関しては、相当の規模でまず科研費、これは個人研究のレベルですね。それから、基礎研究といえども非常に大きなレベル、大きなチーム、あるいは国際チームが必要なものもございます。基礎というよりは、例えば宇宙ステーションみたいな大きなものもあるんですけれども、そういった大きなプロジェクト、それからそこまで行かないけれども最先端の研究が必要なもの、それは大学をまたいでということですね、そういったことは、イシューに応じて基礎的なものから、あるいは意欲的な、ちょっとチャレンジングなものから、さらに今回の、仕組みをつくるものと。
 イシューによっていろいろメニューはございますけれども、やはりそういった中でも大学が自らの手元にある資金で取り組むようにできるようになっていくことというのが、最終的には非常に重要なところだと思いますので、プロジェクト型の研究とは別に、どうしたらそういう、大学の自身の経営の中でそういったことができていくのか、できる余裕ができるのかというのは、また別途の課題としてございます。
 いろいろな資金メニューはありますが、最終的には大学が自らの意思で研究ができる体制ということが非常に重要かと思っています。
 よろしいですか。それでは、コメントシートの集計が終わりまして、座長より全体の取りまとめの御説明をお願いいたします。
【堀川委員】  まず初めに、各委員の評価の分布状況ですが、事業全体の抜本的改善が1票、事業内容の一部改善が5票となりました。
 その主なコメントを紹介します。
 現状で成果が出始めていることはよいこと。その上で今後、横展開もしくは後継事業を行うかどうかは慎重に検討する必要がある。
 この事業自体は立派な成果を上げていると思うが、目的をほぼ達成できた。この先はそのまま横展開は難しい。別の形の支援が必要という意味で、次の展開に向けて見直しが必要。
 学内に複数存在する産学連携機関それぞれの役割を明確化することは、効率的な事業執行、また対外的な機関との円滑な共同研究において重要。
 今回のプロセスを通じてロジックモデルの精査や具体的な調査・分析も進み、事業が目指すべきところ、さらに、その実現のために、より政策効果を発揮する精度の高い取組を期待したい。
 課題は、採択大学において顕在化されにくい状況にあることから、これを考慮し、文科本省のほうで注視する必要がある。
 中間評価においては肯定的な評価を受け、共同研究の獲得実績が目標値を上回り、事業採択大学における伸び率も差があることから、効果的に事業が運営されているものと考える。
 以上を踏まえまして、最終的な評価としては、5票となりました「事業内容の一部改善」とし、取りまとめコメントとしては、大きく2つの柱でまとめたいと存じます。
 1つ目の柱は、事業の執行及びその方向性についてです。これ、横展開について様々な意見が出ています。
 現在の12拠点の特徴や課題などを精緻に分析することがまず必要。別の形の支援が必要という意味で、次の展開に向けては見直しが必要。
 または、地方大学や中堅私立大学に対して同様の取組を波及するような計画であれば、ポテンシャルの違いによって同様のスキームの導入は困難と考えられるため、関連施策等で軟着陸する工夫が必要、ということで、慎重な対応、既に原課のほうは考えておられますが、それを徹底してほしいというのが1つ目。
 また、学内の既存の産学連携機関とOIC機構の連携や統合等が必要ではないか、検討していただきたい。
 また、課題を顕在化させなければモデル事業として十分とは言えないので、課題の顕在化はしっかりと本省のほうで注視していただきたい。
 ゴールは資金調達だけではなく、安定的な産学連携支援の確保であり、これに至るためのボトルネックの分析と、それに応じた具体的な策の実施が必要。
 社会の変化、競争の激化はますます進んでおり、既存の枠組みにこだわらず、変化に応じた目標の引上げも必要、というのが1つ目の柱です。
 次に2つ目の柱は、事業の持続可能性に関するものですが、この事業の位置づけが、リーディング大学の体制づくりによる、産学連携の加速も一つ目標としていると思うんですが、そういう目的に立つのであれば、補助金交付終了後の持続性について、今後は検証が必要であると。
 以上、大きく2つの柱で取りまとめたいと存じますが、いかがでしょうか。よろしければ挙手をお願いいたします。
 ありがとうございます。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、本日はこれで4つの事業に関しまして公開プロセスを実施いたしました。
 あと残り4つございますので、別の日に、もうワンクールお願いしたいというところでございまして、本日は長時間にわたり……あ、3つでしたっけ。3つでした。ちょっと減りましたが、3事業に関しまして公開プロセスを実施いたしますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。本日は長時間にわたりありがとうございました。
 
 

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