令和元年度行政事業レビュー「公開プロセス」 1日目 議事録(6月18日(火曜日))

【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、お時間となりましたので、ただいまより文部科学省公開プロセスを開会させていただきます。
 私は、本日の進行役を務めます、文部科学省のサイバーセキュリティ・政策立案総括審議官の菱山でございます。よろしくお願いいたします。
 外部有識者の皆様におかれましては、お忙しい中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。本日は、長時間、大体6時ぐらいまでを予定しておりまして、長くなりますけれども、よろしくお願いいたします。
 また、本日インターネットで中継されております。それを視聴されている国民の皆様もよろしくお願いいたします。
 それでは早速、議事に入らせていただきます。このコマにつきましては、先ほど御挨拶いただきましたけれども、中村裕之文部科学大臣政務官が参加しておりますので、よろしくお願いいたします。
【中村大臣政務官】  どうぞよろしくお願いします。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、これからの時間帯は、伝統文化親子教室事業について御議論をいただきたいと思います。
 この時間の取りまとめ役は、有川博委員に務めていただきますので、お願いいたします。
【有川委員】  お願いします。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  初めに事業概要の御説明をいたします。事業担当課は5分以内で簡潔に説明をお願いします。では、よろしくお願いします。
【説明者】  よろしくお願い申し上げます。伝統文化親子教室を担当しております、文化庁の地域文化創生本部でございます。行政レビューシートに基づきまして御説明をさせていただきたいと思います。
 事業の目的でございますけれども、次代を担う子供たちに伝統文化等に関する活動を体験・習得できる機会を提供することによりまして、それら伝統文化等を確実に継承・発展させるとともに、子供たちに伝統文化に親しんでいただきまして、豊かな人間性を涵養することを目的としております。ここで申します伝統文化等といいますのは、民俗芸能や工芸技術、邦楽、日本舞踊、それから、生活に関する文化でいいます茶道や華道、それから、国民娯楽といわれておりますけれども、囲碁、将棋というようなものも全体を伝統文化等と考えております。
 事業の概要は2つのタイプがございます。1つは教室の実施型と呼んでおりますけれども、伝統文化等に関する活動を行う団体等が活動を企画し、実施していただくことを文化庁が委託をしているというものでございます。もう一つは地域展開型ということで、地方自治体が親子の方々がそのような体験できる機会を企画・実施していただくものというもので、2つの型がございます。
 予算額につきましては、2ページのレビューシート1枚目にありますように、約12億円ということになってございます。
 それから、1枚めくっていただきまして3ページ目です。アウトカム、これは論点の1つでございますけれども、30年度までは、教室に参加した子供たちへの意識調査におきまして、伝統文化等への興味・関心、参加意欲が肯定的な変化になったかどうかというものを80%以上になった項目数を調べるということにしております。後ほど御説明しますけれども、これまでの議論を踏まえまして、今後はもう少しこのアウトカムを充実させていきたいと考えてございます。
 活動実績と致しましては、教室実施型が約3,500、地域展開型が11ということで、地域展開型が30年度が初年ということで、数が当初の予定よりは余りできていないということで、しっかりと今後も取り組んでいきたいなと思っております。
 それから、事業の事務局の委託の業務について御説明したいと思いますので、6ページを御覧いただきたいと思います。ここでお金の流れが書いてございます。30年度実績でございます。文化庁が12億円のものを、そこから2つの線が伸びておりますけれども、教室実施型が左でございます。まず、企画競争でAの民間団体に委託をしてございます。そこから再委託をしまして、Cの民間団体に教室を実施していただいている。Bの民間団体1機関というのは、こちらは終わった後のアンケート調査をやっております。ですので、見ていただいたら分かりますように、Aの民間団体に文化庁は委託しておりますけれども、Aの方は民間団体の申請書や精算の書類のやりとり等事務的なところを主に担っていて、実際の活動はCの団体のところが担っている。Bは、事務的な中身ですけれども、アンケート調査の部分に特化した部分の役割を担っているというふうに役割分担をしているところでございます。Dは、教室実施型について自治体に対して委託をしているという部分でございます。
 飛びますけれども、9ページ、ロジックモデルのところでアウトカムの部分を少しだけ御説明したいと思います。初期アウトカムは、今私が申し上げたような30年度の項目を考えておりますけれども、今後は中期アウトカムや長期アウトカムのようなこういった点もしっかり見ていきたいなと思っております。すなわち、子供だけではなくて保護者とか指導者についても終わった後どうだったか。それで、余り肯定的じゃなかったような評価については、それについてもちゃんとフィードバックしていくというようなこと、そういうことをしていきたいなと思っております。
 それから、11ページ、事務局の委託業務の関係で申し上げますと、31年度からは、企画競争ではなくて一般の競争入札方式に改めて実施することを予定しております。また、業務実施に当たっては、毎月1回受託者と業務の打ち合わせをしまして、進捗や問題点がないかといったことをしっかりと確認しながら進めていきたいと考えております。
 駆け足でございますけれども、最初の御説明は以上でございます。よろしくお願い申し上げます。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、私から論点について御説明させていただきます。お手元の論点等説明シートを開いていただけますでしょうか。
 まず2点ございまして、1点目としては、事務局委託業務の実施方法についてという点、それから、2点目として、事業成果検証のために適切なアウトカム、アウトプットが設定されているかという点、主にこの2点につきまして御議論をお願いしたいと思います。
 それから、議論に入る前に、数点お願いを申し上げたいと思います。委員の皆様におかれましては、事業担当課への質問等を通じまして、無駄の削減のみならず、より効果の高い事業に見直すという観点から御議論をお願いしたいと思います。
 それから、質疑などと並行しまして適宜お手元のコメントシートへの記入を同時にお願いいたします。
 それから、これは説明者へのお願いですが、外部有識者の委員の先生方からの御質問に対しまして、簡潔・明瞭に御回答願います。
 それから、発言を希望される委員の方は、机上の名札を立てていただきまして、私から御指名をさせていただきます。
 それでは、委員の皆様から御質問ございましたら、お願いいたします。
 それでは、川澤先生からお願いいたします。
【川澤委員】  御説明ありがとうございました。済みません、実施状況の確認なんですけれども、行政事業レビューの実績の部分で、教室型の開催の目標値が4,000に対して3,400程度ということで、これは教室型に応募する者が少ないから目標を下回っているのか、なぜ目標を下回っているのかということについてまず確認させていただけますでしょうか。
【説明者】  予算上4,000ということで目標といいますか、予定をしておるんですけれども、実際予算の執行を見ると95%ということですので、多少の誤差はあるんですけれども、大体予定をしているというか、想定しているところに手を挙げていただいているというか、この500の差を大きく見るか、小さく見るかというところはあると思うんですけれども、執行の結果を見ると、大体予定したところに近いところになっているのかなと考えております。
【川澤委員】  関連して、平成31年度の1次審査結果がウエブサイトにアップされていたので拝見したんですけれども、踊りとか琴とか、伝統芸能の中の分野がかなり偏りがあるといいますか、やはり選定されている分野と、それに従って予算規模にもかなり分野ごとに違いがあるなと思ったんですが、その辺りは、ある意味、分野ごとに同程度選定するとかそういったことは、既に応募者の分野に偏りがあるから難しいということなのか、若しくは選定の中で何らか結果として分野の偏りが出てしまったのか、その辺りはいかがでしょうか。
【説明者】  基本は、応募いただいていてよほど趣旨に反しない限りは、この事業の目的もやっぱり裾野を広く体験していただきたいというものもありますので、そういう意味では分野の偏りというのが申請者の偏りみたいになっていまして、うちの方で少しでこぼこを調整するみたいな感じでバイアスを掛けているというよりは、上がってきた、申請を出していただいたベースだというふうに御理解いただければと思います。
【川澤委員】  その意味ではそもそも課題として挙げていただいている担い手の不足というところがあると思うので、既に応募の段階でかなり分野に偏りがあるようでしたら、地域型で分野の偏りを補正していくとか、地域によって経験できる分野に違いが出てきてしまうとやはり全体の底上げは難しいと思いますので、その辺りは、選定された地域の分野を御覧いただいて、次年度に向けてどういう取組が必要なのか、地域型へのより積極的な働き掛けが必要なのかというところは御検討いただければと思いました。
【説明者】  ありがとうございます。おっしゃるとおり、きめ細やかにといいますか、そこら辺を見て、自治体等と協力できる部分はしっかりやっていくと。やはりなるべく子供たちに等しくこういうことを経験していただくことが重要だと思いますので、丁寧にやっていきたいと思います。
【伊藤委員】  今の川澤委員の話と関連するんですが、私も31年度の教室実施型を見ていると、中心は生け花教室が多く入っていて、かなり偏りがあるなと思っていました。
 もう一回先ほど御説明いただいた目的のところなんですが、9ページのロジックモデルの中での課題の中には、伝統文化、生活文化、国民娯楽の継承、このために子供たちが体験できる場を作ろうということ。これだけを読むと、特に例えばお花とか、あと、教室実施型は日本舞踊も多かったかなと思うんですが、そういうものに限定、そこに特化をしたいという意思があるわけではないということでよろしいんでしょうか。
【説明者】  お尋ねのとおりです。
【伊藤委員】  とすると、1つは、生け花教室とか日本舞踊がこの教室実施型がなければ一切やっていないかというと、私はそうじゃないんだろうなと思うんです。先に質問させていただくことになりますが、それぞれの自治体ベースでいろいろなこういう日本舞踊に関する教室とか生け花教室とかをこの補助事業とは別でされているものというのはある程度把握されているものなんでしょうか。
【説明者】  今のお尋ねは、そういう教室をやられている方々の実施状況とか、若しくは自治体主催のものについてというお尋ねだと思うんですけれども……。
【伊藤委員】  そうですね、両方あると思います。
【説明者】  ある程度、少し単発的にこういう事例がありますというのは我々も聞いたりしているんですけれども、全国的なものというのは現在のところは把握してございません。
【伊藤委員】  多分それぞれの自治体で文化協会があって、文化協会の中には、華道の協会とか茶道の協会とか支部をお持ちになっているから、その文化協会が主催をするケースというのは非常に多くあるなと。そういう事業をよく見ているんですが、地方自治体が主催をしなくても、そういう文化協会が主催をして、地方自治体がそれに対して補助金を出しているというケースが非常に一般的に多くあると思っています。
 としたときに、今、最終的なインパクトで考えられている、伝統文化、生活文化、国民娯楽に興味を持つ人が増えて、心豊かな生活を送れる社会の形成ということは、必ずしもこれをやっていなければ達成できないわけではないということと、もしかしたら、今、1年間大体3,400ぐらいの教室、この教室に参加をしている方が、人数をこの間一応お聞きしたら、把握が完璧にはできていないというお話だったかと思うんですが、仮に10人以上来ているから4万人から5万人と推測したときに、やっぱりまだまだそこが限定的になっているし、既にほかの自治体とかでやられている、繰り返しますけれども、親子教室ということではなくて、伝統文化を育むため、触れるための場というふうに考えたら、もっと文化庁でやっているものよりも多いんじゃないかな、実はそちらの方がインパクトが大きいんじゃないかなというふうに感じるんですが、そこはもし私が今感じていることが違っていたら教えていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
【説明者】  数字がないので非常に説得的に申し上げるのが難しいかもしれないんですけれども、この事業を何年間かやっている中で、地方自治体に主体となってやっていただくというところがなかなか現実難しいんじゃないかなという実感を持っております。やはり自治体によって体制が違っていて、特に文化芸術関係だとなかなかスタッフが十分いなくて、例えばこの事業を国主体でやるのではなくて来年度から地方でやってくださいとお願いしたときに、実際できる体制になっているのかなというのは我々ちょっと自信が持てないところがあります。とは言いながらも、やはり自治体にも主体的にやっていただきたいので、地域展開型を進めてきたわけなんですけれども、そういう意味からすると、自治体の方で既に結構体制が整っていてたくさんやれている方で間に合っているというような状況ではちょっと厳しい状況じゃないのかなというふうに想像しているところでございます。
【伊藤委員】  私から最後にしたいと思います。私も普段、自治体にずっと関わっていて、同じように思うんです。なかなかここに力を割けていないし、お金も回せていないとは思っているんです。ただ、このスキームをそのまま自治体が主体となってやってくださいとなったらなかなかそうはならないけれども、これが先ほど申し上げた、この事業として一番目指すところは、華道や茶道ということだけじゃなくて、それぞれの伝統芸能、伝統文化、地域ごとの伝統だってあると思いますし、そういうふうに少し枠を広げることによって、もともと自治体がやっている事業をちょっと広げることで文化庁が考えている趣旨にも合ってくるし、もしかしたら、あえてこれをやらなきゃいけない、これをやってもらわないと補助金出さないよということではなくて、今やっていることに対して後方支援をするようなスキームって、私は、済みません、これは現場からの実感でしかないんですけれども、考えられるんじゃないかなと。もちろん負担が多くなるというふうに感じるケースは多いとは思うんですが、ただ、全くやっていないわけでは、これも逆にゼロだと思うんです。どこの自治体も何かしらはやっていて、ただ、それがちゃんと特化してできていないから効果がまだまだ出ていないというようなところが今の現状じゃないかなと感じています。
【説明者】  ありがとうございます。地域展開型を去年からやり始めたところで、地域展開型というのは自治体が主体となってやるものですから、そこの数を増やすためには、まさに今、伊藤委員がおっしゃったように、自治体が企画されているようなものなんかとしっかりコラボレーションしていくという観点がまさに効果的な事業の実施にもなると思いますので、そういう観点を大事にしたいと思います。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】 じゃ、松浦先生から。
【松浦委員】  それでは、レビューシートの6ページなんですけれども、契約関係のことで1点だけ私はお聞きしたいと思います。先ほど企画競争型でやっていらっしゃったけれども、次回からは一般競争に移行していきたいという趣旨の御発言がございました。見ると、Aの民間団体1機関、Dの地方公共団体11機関ということで、今御説明いただいたとおりですけれども、これは全て、お話になったかもしれないので、私ちょっと聞き漏らしたかもしれませんが、両方とも企画競争ではなくて一般競争にされる予定なのか、そうではなくて、どこか一部分だけ企画競争から外して一般競争に持っていきたいという御趣旨だったのかがちょっと分からなかった。
 何を言いたいかというと、企画競争は、いろいろな提案を受けて、これが大変優れた提案であるからということで選択されるわけですけれども、一般競争をやると、定型的にやらなければいけない最低限の業務もこちらで、文化庁側で把握した上で競争を掛けないとできないと。つまり、仕様書をきちんと書けるのかどうかという辺りですね。どこの部分を一般競争に持っていきたいというふうに御発言されたのかをお聞きしたいです。
【説明者】  30年度の企画競争の部分においては、Aの、30年度は凸版印刷であったわけなんですけれども、ここの提案の中に、Bの民間団体、30年度の場合には株式会社JTBを入れた形で提案があったということです。今年度31年度は一般競争入札でやるということで、これは全体について一般競争入札に掛けたということになっています。
【松浦委員】  全般というのは、大項目のAとDがございますけれども、委託先として親になるものが2つありますけれども、このAもDも一般競争ということですか。
【説明者】  済みません、Dの方はこれは地方公共団体からの話なので、Dの地方公共団体は別途申請が上がってきて、文化庁の中で有識者に審査をしていただいたというので、Dの方は全然別でございます。
【松浦委員】  済みません、だめ押しで申し訳ない。そうすると、Dは企画競争で、提案がよろしければそれを採択という従来の方法でやるということですね。いろいろなバラエティがあると。
 Aの方に関してちょっと私が危惧しているのは、Aを全部一般競争に本当に持っていけるかどうかなんです。事務的な部分というのは、つまり、ここに書かれている再委託されたBの部分、ここに関しては、今までの経験から、何をしなければいけないかということが事前に規定できると思いますので、これは一般競争に掛けられるんだろうと思いますが、その親になっているAの民間団体1機関というのはどういう切り分けになりますか。つまり、合わせ技で、今回は企画競争に出てきたけれども事務の処理に関しては競争させますというのか、A全体をもう一般競争にしてしまうということは、この内容を熟知されているということになるんですけれども、その辺どうでしょう。
【説明者】  済みません、もう少し詳しく御説明しますと、Aの部分については2つございまして、業務運営経費という部分、いわゆる事務経費、あと、事業実施経費ということで、いわゆる事業を行う経費と、2つございます。左の業務運営経費については一般競争入札でやっていく。いわゆる事務経費のところです。いわゆる事業を実施する経費の部分については、これは文化庁の方で審査しながら、いわゆるここで言う企画競争でやらせていただくということでなっていますという整理です。
【松浦委員】  ようやくすっきりしました。要するに、今までは再委託のBの部分、事務的な部分に関してまで一緒に提案されて、付いてきたものを採択する格好になってしまっていたけれども、ここに関してはやることがある程度つかめているので、そこに関してだけ、Bに関して一般競争の契約に持っていくという趣旨だったということでよろしいんですね。
【説明者】  そうですね、はい。
【松浦委員】  ありがとうございます。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  では、吉田先生。
【吉田委員】  先ほど川澤先生と伊藤先生の御意見の中にもあったんですが、それに関連して実施方法についてなんですが、今話が出た、ページでいうと7ページの方のCグループの支出先がございますよね。これも基本的には企画競争というふうになっているんですが、実際に30年度まで競争性は担保されたんでしょうか。それとも、予算の範囲内しか手を挙げなかったということなんでしょうか。
【説明者】  傾向で申し上げますと、申請が上がってきて、この事業の支援する伝統文化等の範疇に入らないようなものとか、この枠組みに入らないものについては除外をして、それ以外のものについては申請を採択してきておりますので、そういう意味では申請の大部分については趣旨にのっとっているので、採択されているという結果にはなっております。
【吉田委員】  結論から言うと、いわゆる応募要件に合致したものに関しては、競争はなかったという認識でよろしいですか。
【説明者】  よろしいですか。済みません。実際には、団体を選定するに当たっては、外部委員の先生が有識者会議で審査をしております。当然、要件に合うもの、要件に合わないものは事前の審査をしながら、あとは、それで、全体的に本当にやっていけるのかどうか、実施できるのかどうかを審査させていただいています。そういう意味では競争性があると思っています。
【吉田委員】  質問は、応募者数が数字が出ていないので非常に分かりにくいんですけれども、要は、要件を満たしたもので、どうしても予算の範囲内で収めるためにどうして今回採択できなかったものもあるという意味での競争性があったかなかったかをお聞きしたかった。
 なぜかというと、先ほどからどうも分野に偏りがあるよねということなので、なぜその分野の偏りが出来ているのかということと、もう一つ、Cの支出先の団体は、ほぼ26年から30年まで同じ団体ではないのですか。若しくは、毎年全く違うんでしょうか。
【説明者】  議論の、先ほどから話になっている分野の偏りをどう見るかというところにもよると思うんですけれども、以前も御説明したと思うんですが、茶道、華道が20%弱ですけれども、ほかのものであれば、神楽、獅子舞、御囃子も17%とかいう……。
【吉田委員】  この年度だけ見てもそういう議論になるんですが、この4年間なり5年間でばらつきが出ているのか。それとも、毎年度同じ団体に支出されているような状況なのかというのをお聞きしています。
【説明者】  分野が、ですので、そんなに茶道、華道だけ大幅に高いわけではないので、ばらつきがあるかどうかという……。
【吉田委員】  数字でお願いしたいんです。今まで例えばこの中に出ている団体で、毎年度受けている者若しくは3か年度以上この支出先に入っている者というのはあるんでしょうか、ないんでしょうか。
【説明者】  ちょっとすぐには言えません。
【吉田委員】  後ほどで結構です。
 もう一点、それに関連してなんですが、やはり伝統文化に触れる機会を提供するというのがこの事業目的なので、そういう意味では、開催教室数、これがアウトプットとして出ているのは当然だと思うんですが、やはり参加者数。先ほど伊藤委員の会話にも出てきましたけれども、参加者数の捕捉というのは非常に重要だと思うんです。これは先ほどの地方公共団体との今後どういう割合でやっていくかというのを皆さんがPDCAサイクルで評価していくためにも、地方公共団体の参加者数の把握も含めて、両方の把握を努めていくと。
 もう一点、もし参加者数をアウトカムなりに取り入れるのであれば、手間は掛かるんですが、アンケートは一緒なので、リピート率も。要するに、意識調査をされているんですが、リピートが多いということは伝統文化に興味を持ってくれたということなんですね。ということで、参加者数をやはりアウトカムなりアウトプットのどちらが適当かというのはあるんですけれども、これは地方公共団体実施分も直接実施分も含めて捕捉する必要があると思うんですけれども、いかがでしょうか。
【説明者】  そのようにしたいと思います。それで、念のため、御参考ですけれども、今現時点で我が方で持っている数字だけ御紹介させていただきます。29年度は7万9,000人ぐらいのお子さんが参加したという数字です。
【吉田委員】  その場合にリピート率を見るというのは、効果側面を見るのに非常にいいので、是非よろしくお願いします。
 あと、私、大昔ですが、実はある県の文化国際課長を経験していまして、こういう事業をやっていましたけれども、そこら辺は地方でやりにくい面も実はあります。流派等があって、なかなか県が公平にやるというのに非常に躊躇する場面もあるので、その辺は一応勘案しながら、どの方法がいいかというのは、ここ数年でそういったデータを取って見極めていってほしいなというふうに、これは要望です。
 先ほどの、また分かりましたら、お答え願います。
【説明者】  済みません、昨年の分のしか比較ができないので、把握できていませんけれども、先ほどのレビューシート、資料の7ページのところ、Cの出資先上位10者リストですけれども、そのうちで昨年度、29年度から重複していない、新たにここに載っている者は3団体でございます。3団体が新たにここに入ってきているということです。
【吉田委員】  少ないですよね。
【説明者】  実際は、団体ですけれども、統括団体ということで、下部に全国のいろいろな教室が入っているような形で、まとめて申請をしていただいている方式を取っているものですから、比較的出てきているという状況にはなっています。
【吉田委員】  だから、問題は、統括団体が偏っているというところが問題にされていたので、そこは事務委託をやっているがためにその民間企業との関係でどうしても厚くなる部分があるのかどうなのかも分からないんですが、ここはやはり幅広に応募してもらうような努力は必要なので、ここは再委託要件の中で、何か年も一緒にやっていくのが本当にいいのかどうかも含めて今後検討の必要があるんじゃないかと思います。
【説明者】  その前に、募集の仕方だけちょっと説明させていただきたいと思います。募集に当たっては、全国の地方公共団体の文化担当部局等に御案内を申し上げているということ、それと、全国的な統括団体というところにも御案内を申し上げているところなので、決して特定の団体とか特定の流派ということを我々は意識をしているわけではないということです。結果的にこうなってはいます、偏りが若干出ているということはありますけれども、ある程度公平にというか、そういうやり方はさせていただいているところです。現状はそういうことです。
【吉田委員】  全国の統括団体に当然配布しているんだと思うんですが、その統括団体全部というのが本当なのかどうなのかというのがあるのと、もう一つ、もし結果として偏りがあるのであれば、それはなぜなのか、なぜほかの統括団体から出てこないのか。そこら辺も分析を是非やっていただいて、それをクリアすれば、よりこの事業の効果は上がるんだということで、そこら辺は、忙しい中悪いんですが、文科省自身がやはり分析すべきかなと思いますので、要望として言っておきます。
 以上です。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  亀井先生。
【亀井委員】  ありがとうございます。先ほど、ちょっとお話があったと思うんですが、この政策の目的たる、地域固有の文化を守り育てていくということは、私、これ、極めて大事なことなんだと思います。やや趣味的なのかもしれませんが、日本全国これは私もいろいろと回っていて思うのは、それは各地違うということだと思うんです。各地に違う各地固有の文化を各地において守り育てていくというのは、これ、私、文化政策として多分最も大事な1つ大きな方向性なんだろうなと思います。
 そういう観点でロジックモデルを見ると、ややマクロ過ぎないかなという感じがします。これは先ほど何人参加したのかと。これは前も事前勉強会でもお話をしましたが、後の場合はアウトリーチという考え方があって、アウトリーチとしてこの事業がどのぐらい優れているかというのは、多分マクロとしてのベンチマークは可能なんだと思いますので、それはそれで考えていただくといいと思うんですが、では、地域固有の文化を守るというところについてはどういう手当てをしているか、あるいはどういう目配りを皆さんがされているのかというと、大変失礼ながらこのロジックモデルを見る限りは見えてこない。やっぱりそこは残念なところで、そういう目配りもロジックモデルの中にどう入れるのかというところは是非考えてほしいなと思います。
 それは、つまり、どういうことを言っているかというと、実際に、でも、皆さん行動は起こされているわけです。つまり、どういうことかというと、民間団体主体ではなくて、地方公共団体にやってみましたと。先ほど質疑のやりとりでもあったんだけれども、実際にやってみたら、地方自治体の方はなかなか体制が整っていなくてというところがお話としてあって、多分そういう手触り感を持っていらっしゃるんだと思うんです。
 実は私は政策として文化庁がやるならば、なおさらそれでも、各地方公共団体が、それはもしかしたら文化部局じゃなくて、教育委員会なのかもしれないし、あるいは教育委員会じゃないのかもしれないし、首長部局なのかもしれませんけれども、そういうところがより熱心に取り組んでいるところを、地域固有の文化を守っていくところをもっと文化庁が後押しをするというような形になるのが多分あるべき姿なんだと思っています。恐らくそこに気付いていらっしゃるから、民間団体中心型から地域固有型というところをやりたいし、ここはまだ予算としてはわずかかもしれないけれども、これを始めていきたいというふうに考えていらっしゃるということなんだと思うんですが、今私が大体申し上げた問題意識がずれていないかまず教えていただけますか。
【説明者】  同じ方向だと思います。
【亀井委員】  であるならば、多分ロジックモデルの中に地域固有の文化をというところをどうやって入れ込むかというところは、マクロで見る、子供たちにどれぐらいアウトリーチできたかという話は今まで出てきましたが、これはこれで入れていただく。それがほかの文化庁がやっていらっしゃる様々な事業と比べてどれぐらいある種効果的で効率的であるかという比較は一方でした方いい。これはベンチマークした方がいい。
 もう一方で、地域固有のとか、あるいはさっきお話がありましたけれども、様々な多種多様なという中身をもう少し細かく見ていく。マクロの次に来るセミマクロでいうと、多分種類分けで見ると、お花・お茶ばかりじゃないという話がありましたよね。これは1つある。もう一つあるのは、もう少し多分丁寧に見ていくと、地域固有のというものがどのぐらい入ってきているかというところも、多分初期アウトカムベースで少し見ていただくと、多分この事業で目指しているところがロジックモデルとしてもっとはっきり見えてくるんじゃないかなと思いますので、是非そこは検討していただいたらいいんじゃないかなと思います。
 事業の設計のところでいうと、多分これ、30年度から始められたんですよね。
【亀井委員】  であれば、そこをもうちょっと増やしていくということを考えられてもいいんじゃないかなという感じがします。というのは、実際に今回付けていただいているチラシを拝見すると、文化庁の伝統文化親子教室事業ですというのをチラシの一番前に文化庁のロゴと一緒に必ず書いてあるんですよね。これは多分、民間団体からするとすごく意味がある。それは何でかといったら、私たちは文化庁と一緒にこういうことをやっているというのは、もちろん団体としてもそうですけれども、その地域地域にいらっしゃるお師匠さんが多分、私はこういうことを担っていて。多分申し込まれないところは、はっきり言えばやる気がなくて、そんな子供の面倒なんか見てられるかという人たちもいるのかもしれない。そこは分からないです。それはそれぞれのお考えだから、私は自由で構わないし、来ないのは来ないかもしれない。だけれども、こういうものを掲げて事業をしているということはすごく大きいんだとすると、もしかすると、ここにもっと付加価値があるんだとすれば、お金は使わなくていいかもしれないというふうに考えることもできるんだと思うんです。
 という中で、1つは、予算をどうやって地方公共団体の方にシフトしていくかということは是非考えていただきたいし、あるいは皆さん自身の知恵とか、あるいは実際にいろいろと現場に行かれたりとかというところも含めてのお時間をそっち側にシフトしていただくということがこの事業としては重要なんじゃないかなと思うんですが、ここら辺はどうお考えですか。
【説明者】  まさにおっしゃっていただいたように、地域展開型を増やすというのはきめ細やかに、伊藤委員もおっしゃっていただいた観点なんかも踏まえながら、30年度初めてだったので数が少なかったですけれども、今年度しっかりと取り組んでいきたいと思っています。
【亀井委員】  そこを多分アウトカムでやっていかないと、いくらそこを増やしても、全体の数だろうと言われて終わってしまうんです。だから、そこは多分ロジックモデルの表現の仕方というところに皆さんの意思をやっぱり込めていただきたいなと思います。
 これまでやりとりしてきている中で、文化庁として、地域固有の文化を、そうは言ってもなかなか自治体がやってくれないんだよねというところは何となく感じてはいて。でも、やってくれる部署があるのか、あるいはさっき伊藤先生がおっしゃったような話というのがやり方としてあり得るのであれば、そういうことをちょっと考えていけばいいのかもしれないし、場合によったら、一緒にやってくれたところはとことんえこひいきしてもいいのかもしれないし、今やるとこれだけ目立ちますよとかいう、自治体の皆さんのやる気をくすぐるような形のところを是非考えていただけると。だから、もしかしたら、お金の付け方は、地方公共団体寄りは相当厚くするという手もあるんだと思うんです。それは是非考えていただいたらいいんじゃないかなと思います。
 単純に新しい形として1つ加えましたではなくて、今後は大きな流れでいうと、だんだんとこっちの予算は削っていきますと。そっちの予算をむしろ地方公共団体寄りに寄せていきますというようなことまで考えていただけたらいいんじゃないかなと思いますが、ここら辺もいかがでしょうかね。
【説明者】  先ほども申し上げたみたいに、なかなか地方公共団体の体制のところがあるので、一足飛びにはいかないと思うんですけれども、先生おっしゃる方向性というのは、私も認識は共有しておりますというか、重要だなというふうに思います。
【亀井委員】  地方をいろいろと見ていると、資料館とかいろいろなものがあって、でも、なかなかそこに人が手当てできていないとかそういった中で、なかなか正直、文化政策が乏しいんですよね。せっかくあるものがなかなかうまく生かされていなくて、それこそ、今日、政務官いらっしゃいますが、多分御自身の地元でもそういうことが起きているような感じはしていて、何か立派なものはたくさんあるのに説明してくれる人がいないというだけで、せっかく子供さんが来ても例えば地域にせっかくあったものが学びにならないとかというところも含めて多分少し幅広く考えていくと、ああ、そういうふうにお金使えるんだったら、これ、使ってみようという人たちが出てくる可能性もあるんだと思います。
 地域にとって使い勝手がよくて、その上でこの政策の目的にかなうものというところを文化庁として、地方自治体がなかなか順番でいうと劣後するんだけれどもという話なのかもしれませんが、そこは是非、そこに注力していただくような事業にだんだんとシフトしていって。いきなり変えてしまうと、いきなり、えっ、そんな急に梯子を外されたと多分こちらの団体側の方のお声もあるんだと思いますので、そこを宣言しつつ5年ぐらい掛けてシフトしていただくということは是非考えていただきたいし、それは何でですかと言ったら、レビューで言われたからですと言えばいいわけで、僕たちが悪者になればいいわけですから、是非そういうところを御検討いただきたいなと思いました。
 私からはとりあえず以上です。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、有川先生、伊藤先生。
 ちょっとその御発言の前に、今、先生方、コメントシートへ記入いただいていると思いますが、もし終わられた方いらっしゃいましたら、手を挙げていただければと。ありがとうございます。
 それでは、有川先生、お願いします。
【有川委員】  今後の方向性については、ほかの委員と全く同じ意見なんですけれども、そういう意味合いでは、ちょっと時間を遡らせるような話を聞いて申し訳ないんですが、この地域展開型を30年度から始めたときに、従来からある教室実施型とどういうふうに連携してこの事業を進めていこうと考えたのかもう一度確認したいんですが。
【説明者】  十分な連携がまだできていないところが今後の改善点だとは思うんですけれども、例えば教室実施型で教えていただいている先生を活用して地域展開型でやるとかというようなことはやってきております。
【有川委員】  これまでの意見を踏まえて、かなりそれについて参考にしていきたいということは、やはり30年度に新しい方の片方の事業を新規に立ち上げたときに、この新規に立ち上げた部分を従来の事業とどういうふうに連携させていくかということが余り明確に作られていなかったという感じを受けるんです。したがって、全体のこの事業の流れ図から見ても、事業の課題を把握するというような調査については、教室実施型の方の流れの再委託のようなポジションでやってもらっていますけれども、本来であれば、これ、新しく立てた事業も連携させて効果的に進めていくんだったら、両方合わせた全体の調査分析を、本庁の文化庁が再委託じゃなくて直接いろいろな課題や、あるいは項目を設定して委託すべきなんだろうと思うんです。
 それから、繰り返し同じ話になってしまいますけれども、やっぱりアウトカムを直してもらいましたけれども、まだ、教室実施型にほとんど特化して、地域展開型で地方自治体にどういった意識を高めてもらうのか、あるいは地方自治体の中にあるいろいろな人材とかノウハウをどういうふうにして活用するのかというのがアウトカムの中に出てきていないので、是非各先生から出された31年度以降の改革に当たっては、事業のウエイト付けも非常に意味があるんだろうと思いますけれども、連携の仕方として、課題の調査分析や、あるいはアウトカムの設定、評価の仕方も併せて頭に置いて、きちんと総合的な事業を展開していただきたいなと思います。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  いいですか。
 じゃ、伊藤先生、それで、吉田先生。
【伊藤委員】  先ほど亀井委員がおっしゃった、自治体によって差を付けていくという考え方、とても大切だなと思っています。今回いろいろ自治体の職員や文化財担当とかと話をしていた中で、やっぱり人数が少ないんです。人数が少ないから、やりたいと思ってもできないというのが率直なところで、しかも、今回の伝統文化という観点だけじゃなくて、文化財もあるし、歴史もあるし、あと、それぞれの資料館、自治体へ行くと郷土資料館とか、そういうものも含めて数名の中でやっていこうとすると、なかなか新しいところに手を出させないという状態があって。
 しかもそのときって、大抵国の、文化庁の補助金のものというのは、計画策定が中心になってくるところがあって、歴文構想だったり、かなり大きい計画を作らなければいけないというところが、なかなかそこに踏み出せない要因にもなっていて。だから、計画作らなくてもいいよという話じゃなくて、少なくとも今回のこの親子教室については、1つのイベント的取組の集合体になっているからこそ、それぞれの自治体がやりやすいような環境で、最終的には補助金をよりシフトをしていくというような考え方は十分成り立つんじゃないかなというふうに亀山委員の話を聞きながら感じました。
 私からもう一点だけ。これ、26年度からやっているかと思うんですが、もともと前身事業で、親子教室ではなくて子供教室というのをやっていたんじゃないかなと思うんです。そのときの資料を見ていると、多分平成15年からやっているので、実際にはスキームは多少違いはあるとは思うんですが、こういうふうに申請を受け付けて教室を実施するというやり方はもう15年ぐらいやってきているんじゃないかなと思うんです。ある意味これだけの蓄積があれば、この15年間で何か特性だったりとか、例えば地域的な偏在であったりとか、評価ができているんじゃないかなとも思うんです。そういうのはいかがなんでしょうか。
【説明者】  地域的な偏在の部分は、済みません、しっかりと見てこなかったので、今後の課題にさせていただければと思います。
【伊藤委員】  吉田委員、ごめんなさい、もう一点だけ。であれば、15年やって、この部分については成果があったと言えるものは何かないでしょうか。徐々に増えてきているとか。ただ、先に言ってしまうと、10年前の資料を見ていると、10年前、教室の実施数が4,500だったので、減っているなとも思うんです。
【説明者】  御案内のように、子供たちに小さいときにこういうものに接してもらって、それを5回や10回接してもらって、こういうことに親しんでもらう。中には、その後のお稽古事につながるかもしれないですけれども、大人になってまた帰ってきてもらうとか、そういう非常に裾野を、好きな気持ちを持っていただく裾野の事業なので、なかなかこれがこの数字に表れましたというのがなかなか申し上げにくいところが恐縮でございます。
【吉田委員】  私、和歌山県に住んでいるんですが、私が住んでいる地区では、子供神輿、笛、太鼓を実は6月からボランティアで大人たちが子供たちに教えて、秋祭りまでに一流に仕上げるということをずっとやっているんです。これをやっている昔の村、地区というのはどんどん減っています。そんなきれい事じゃないんです。やっぱり過疎化、高齢化が起こっていて、当然小学生の数は和歌山県だと3分の1ぐらい減っているんです。
 そういう地方をイメージするのであれば、教室型という前提を頭から取っ払っていただいて、これ、増やしていくというよりも、いかに残していくか、継承していくかというところが地方にとっては危機的状況なので、そこに着目をして。今もう必死になってボランティアで続けているところ、ここは市からも、県からも全く補助金をもらっていません。だから、そういったところを、今必死になって残しているところをどう支援していくかと。
 どうしても県の課長時代にも、教室型というのがやはり多かったんですが、そうじゃなくて、地域ボランティアが地区に定着して伝統文化を継承していく、その努力をしているところをどう支援していけるかというところを考えていただければなというのが要望です。教室型にこだわる限り、なかなか地域とはマッチングしない可能性が高いと思っていますので、是非今後検討していただければと思います。
【説明者】  非常に重要な観点である一方で、事業の目的そのものにも関わる話ですので、しっかりと今日の議論も踏まえて考えたいと思います。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  川澤先生、それから、亀井先生。
【川澤委員】  多分皆さんの話と少し重複あると思うんですけれども、恐らく亀井先生がおっしゃった、いわゆる教室ではなくて、地域のお祭りとか、取組を幅広く認識するというか、そうすることによって、恐らく選定とか事業の経費の使い方の透明性とかそういうところもまた難しさが出てくると思うんですけれども、やっぱり実質として何を残して、どういう取組を後押ししていくかという意味では、まさに吉田先生がおっしゃったような、教室型ではなくて、ある意味、地域の固有の文化をどう継承しているかというのを幅広く提案してもらって、これ、企画競争でやっているわけですけれども、そこにまさに提案をしてもらってきめ細かく評価をするというところが非常に重要な点かなと思いました。何となく教室型で定型的に企画提案するというのではなくて、実際の本当の企画提案というところの意味をもう少し実体のあるものにしていただければなと思いました。
【説明者】  国の予算なので、つい要件とか、5回以上やるようにとか、ついつい形を設定してしまいがちではあるんですけれども、実のあるようにする必要があると思いますので、しっかり考えたいと思います。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  亀井先生。
【亀井委員】  これ、まさにアートのアウトリーチなわけですよね。アウトリーチって多分いろいろな手段が今出てきていて、そこは是非、今、これは現代アートも含めてですけれども、そのアウトリーチのやり方を文化庁がもっと取り込んでいただいたらいいんじゃないかなと思います。そこは、さっきの話じゃないですけれども、地方自治体、地方公共団体をもっと信頼していただいてという中で大事なことは。
 ただ、幾つか重要なのは、ボランティアにお金を出したら良くなるかって、これはよくならないです。だけど、ボランティアの人たちにどうやったら意欲を増してもらえるかとか、俺たち頑張っててよかったなと思ってもらえるかとか、そういったようなところをそれぞれの自治体が工夫して、彼らが知恵を持ち寄って、その知恵が結果的に文化庁に集まるような形、それで、またその知恵を文化庁がそれぞれの地域に返していくというのが、私は中央省庁としての文化庁、文化政策を担う文化庁としての大事な意義なんだと思いますので、そのためにお金をうまく使っていただきたい。となると、恐らく大きな方向性はというのはさっき繰り返したとおりになると思います。
 政策の目的としてはそのとおりだし、多分大変厳しい危機感があるから様々な形で、議員立法も含めた形で様々な立法がされているんだと理解しています。だとするならば、その立法に至った経緯だとか、あるいは施策に至った経緯としての危機感をどういうふうに文化庁が受け止められるかというところだと思います。
 加えて、やっぱり僕は、アウトリーチの方法は今、ものすごい自由度を増している。実際に触らせてあげるとか、アートに直接触れることで子供たちが変わっていくわけですね。それは伝統芸能においても同じことが言えるはずで、さっきの御囃子の話なんかまさにそのとおりで、できなかったことができるようになるみたいな話だとか、あるいはその結果として地域のつながりが生まれるだとか、多分いろいろな副次的な効果が生まれてくるので、短期的な成果は私は焦る必要はむしろないと思います。
 子供がどう変わったかとか何とかというのは、これは実はマクロでは非常に見えにくい。それは内面で起きていることですから、それをむしろ測ろうと無理なアンケートを作ってやろうとしないで、どこにどういう拠点が私たちとしては設置できていて、それが確かに育っているなという皆さんの手触り感が上がっていくことが大事だと思いますので、そういう形でロジックモデルを。そうすると、初期アウトカムが多分すごく充実してくるんだと思います。私たちは、何を触っていることで、確かに各地でやる気が出来てきたというようなことが見えるようなものを作っていただいて、また次の担当者に継承していただくというものを是非御検討いただければと思いますので、そこは本当にある意味お願いベースですけれども、是非御検討いただきたいなと思います。これは、意見として申し上げたいと思います。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  先生、いいですか。
【有川委員】  大丈夫です。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  どうもありがとうございます。済みません、御議論どうもありがとうございます。コメントシートの集計がまとまりましたので、取りまとめ役の有川先生から、評価結果及び取りまとめコメント案の提示をお願いいたします。
【有川委員】  それでは、私の方から、まず票数の分布を発表したいと思います。事業全体の抜本的な改善を求めるという票が3票、事業内容の一部改善を求めるというのが3票、3対3になっております。
 それから、主なコメントの紹介をしたいと思います。
 教室実施型は、一部のものに偏りがあると感じられる。
 自治体独自で行っていることを把握して、国と地方の役割分担をしていく必要がある。
 財源のウエイトについても、地方自治体への補助にシフトしていくべきだ。
 地域型の拡充のためには、教室開催型だけではなくて、ボランティア・住民団体主体の技術継承型の活動を支援対象とするフレームも検討すべきだ。
 伝統文化、生活文化を子供たちに継承していくという、そういった政策の目的は非常に重要である。その上で、この目的に沿って多様な地域固有の文化を守り育てるということを重視するならば、やはり地域展開型にシフトしていくことが重要だ。
 新たに始まった地域展開型と従来の教室実施型の2つの事業手法の適切な連携の取組が明確に示されていない。
 地域展開型についても、その成果指標と成果測定を適切に行う必要がある。
 教室実施型については、幅広い募集を継続しつつ、教室実施型の開催が不足している地域及び自治体の取組が低調な地域は、積極的に地域展開型を実施することが必要である。
 企画競争から一般競争への改善といいますか、改変が行われている部分があるけれども、安易といいますか、安直に一般競争に行くことなく、適切なものについてはやはり企画競争をするということも検討する必要があるのではないかといった意見が出されております。主な意見であります。
 それでは、最終的に、評価結果ですけれども、3対3に分かれたのでありますけれども、一部改善を求める者の意見の中にも、現在の軸足を、教室実施型に置いてある軸足を地域実施型に変えるべきだと、財源も含めて変えることを検討すべきだと。それから、地方自治体の中におけるいろいろな実態、地域の活動をきちんと把握する必要があるというような意見が一部改善の者からも出されていることも踏まえますと、この会議での最終的な結論としては、事業全体の抜本的な改善とした上で、取りまとめコメントと致しましては、4つぐらいにまとめたいと思います。
 1点目は、自治体独自で行っていることについての把握を適切に行って、国と地方の役割分担をしっかりしていく必要がある。その際には、ボランティア・住民団体主体の技術継承型活動を支援対象とするフレームなども検討する必要がある。これが1点目。
 2点目につきましては、多様な地域固有の文化を守り育てることを重視するならば、地域展開型にシフトしていくべきであり、財源のウエイトについても、地域展開型、地方公共団体への補助の方にシフトしていく必要があるというのが2番目の意見。
 3点目の取りまとめコメントとしましては、事業目的の達成に必要な2つの事業指標の連携の取組を明確化させて、地域展開型についても適切な成果指標、効果測定を行う必要があるということ、これが3点目です。
 それから、4点目の取りまとめコメントと致しましては、契約の相手方の選定の方法として、一般競争にするという方向性としては頷けるものの、企画競争が必要な部分については、やはり企画競争を適切に契約の選定方式として守っていく必要があるだろうという、この4点の取りまとめコメントにしたいと思いますが、どうでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、今の結論と取りまとめコメントということで、1番目は終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして、伝統文化親子教室事業の公開プロセスについて終了させていただきます。ありがとうございました。
 次の次世代アントレプレナー育成事業(EDGE-NEXT)につきましては、5分間の休憩で、14時50分開始としたいと思います。よろしくお願いいたします。
( 休憩 )
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、時間が参りましたので、2コマ目を始めさせていただきます。
 この回については、白須賀貴樹政務官に出席をしていただいております。
 これからの時間帯は、次世代アントレプレナー育成事業(EDGE-NEXT)について御議論をお願いしたいと思います。
 この時間の取りまとめ役は、松浦亨委員にお願いしております。よろしくお願いいたします。
 初めに、担当課から事業概要の御説明をいたします。事業担当課は、5分以内で簡潔に御説明をお願いします。
【説明者】  産業連携・地域支援課長の西條です。よろしくお願いいたします。それでは、座って御説明させていただきます。
 我々の方、次世代アントレプレナー育成事業、EDGE-NEXTと呼んでおりますけれども、こちらについて御説明申し上げます。
 2ページ目になりますレビューシートを御覧ください。ここの事業目的のところに記載してあるとおりでございますが、これまで各大学で実施してきたアントレプレナー育成に係る取組の成果や知見を活用しながら、人材育成プログラムの受講生の拡大やロールモデル創出の加速に向けたプログラムの発展、こういったことに取り組むことで、起業活動率の向上やアントレプレナーシップの醸成を目指して、我が国のベンチャー創出力を強化する、これを目標に展開している事業でございます。
 同じく2ページの事業概要の方に書いてあります具体的な内容でございますけれども、実際に起業まで行える実践プログラムの構築、アントレプレナー育成に必須の新たなネットワークの構築など、国全体のアントレプレナーシップ醸成に係る取組を実施するものでございまして、5つのコンソーシアム、主幹機関としては、東北、東大、名古屋、九州、早稲田、こういった大学に対して、アントレプレナー育成に係る高度なプログラムの開発など、将来自立的にプログラムの発展を図ることができるようなエコシステム、こういったものの構築に資する費用を支援するものでございます。なお、事業終了後の自立的運営に向けて、外部資金の導入基準を段階的に設けておるというところでございます。
 本事業は、目的で触れているとおり、大学発ベンチャー施策の一部として実施している事業でございます。8ページから9ページ、ちょっと飛びますけれども、こちらの方に大学発ベンチャー創出に係るロジックモデルの資料を用意してございますので、そちらの方で大学発ベンチャー政策の全体像から見た事業の位置付け、これを説明した上で、本事業に係る成果目標やその状況について御説明したいと思っております。
 8ページを御覧ください。左側に「大学発ベンチャーの今日的位置づけ」と書いてありますが、経済社会全体の動きとしては、知識集約型に急速に変化する中で、オープンイノベーションの加速が不可欠となってきております。その中で、知の中核としての大学を中心とするイノベーション・エコシステムの確立が極めて重要になってきているというところでございます。
 一方で、大学側の動きでございます。真ん中にあります2006年の教育基本法の改正に伴いまして、大学の使命として、従来の教育研究に加えて第3のミッションとして社会貢献が明記され、すなわち、研究成果の社会還元がより重要になってきております。一番下にありますように、その方法論としては、共同研究、ライセンス、大学発ベンチャーの創出というのがありますけれども、近年、このうち、ベンチャーの役割が非常に大きくなっているというところでございます。
 現状と課題でございます。近年、大学発ベンチャーの市場価値、こちらの方は2兆円程度まで成長しております。また、設立数も、真ん中にありますけれども、非常に堅実に伸びはきている状況であります。一方で、米国とかと比較いたしますと、やはり投資資金金額は非常に小さいですし、特に起業活動率、これは18歳から64歳労働者がいわゆる計画段階から創業3年目の企業に関わった経験がある割合でございますけれども、米中などと比較しますと、日本は非常に低いと。その原因として、学生の起業意欲、ベンチャーへの関心の低さが挙げられているところでございます。
 こういった中で、政府全体としてもこの状況を克服するためにも取り組んでいるところでございますが、各ステージごとに課題がありますので、そのステージごとに対応が必要という状況でございます。その中で文科省と致しましては、右側の一番下のところにありますけれども、特にアーリー部分を対応しておりまして、その中で起業人材の育成フェーズに当たるのがこのEDGE-NEXT事業ということになります。
 10ページ目に成果目標ということで用意させていただいております。左側のインプット、本事業、予算規模は4億弱となってございます。目的は先ほど御説明したとおりでございます。アクティビティのところに参りまして、本事業の具体的取組、こちらも先ほどレビューシートのところで御説明したとおりでございますが、コンソーシアム形式でより多くの大学が参加するとともに、効率的な取組を目指すというものでございます。
 アウトプットでございます。1つは人の観点、どの程度人材が育っているか。これは緑の部分で表しております。また、組織、環境変化の観点、これはこれらの取組が組織的かつ継続的に行えるようになっているかと、赤い部分になりますが、それぞれアウトプット、アウトカムを設定してございます。
 アウトプットのところを見ていただきますと、人の観点では受講者数やビジネスコンテストの参加件数、また、組織の方では参加機関数やプログラム設置数ということで、29、30年と2年のデータでございますけれども、目標をほぼ達成しているという状況でございます。
 また、初期アウトカム、このアウトプットを通じて得られる本事業の成果ということで、人の観点の方では、受講者のアントレプレナーシップに対する意識向上ということですが、これはアンケートを集計してございますけれども、こちらの方も目標値を達成はしてございます。また、組織の観点の方では、外部との連携、認知度向上ということですが、特に将来の自立化に資する外部資金につきましては、目標額を大きく上回るという形になってございます。
 それを受けての中期アウトカム、この事業を通じてその先にある政策への貢献ということになりますが、人の観点では、起業に向けた本格的な活動、起業・新規事業に挑戦、又は支援する人材の増加、また、組織の観点としては、起業人材を支援する体制の強化ということで、事業を通じて育った人材が起業などを行って、その人材が体制を支援する、アルムナイとして支援するような体制、またそれが新たな人材育成に貢献するというエコシステムを目指すものでございます。
 こういった形で、長期アウトカムとして、イノベーション創出を担うアントレプレナーの創出や、インパクトとして、ベンチャーエコシステムの形成、社会への成果還元を設定ということで書かせていただいております。
 今回のロジックモデルを作っていく中で、特に初期アウトカムから中期アウトカムに向かうところ、すなわち、本事業と大学発ベンチャー施策をつなぐ部分で様々な課題が浮き彫りになってきてございます。その辺もこのロジックモデルのところに記載させていただいてございます。
 こういった形でまとめさせていただき、時間の関係で説明は省略しますが、アンケート結果などデータ類は12ページから14ページに用意させていただいております。
 私の方からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 私から、論点について御説明させていただきます。お手元の論点等説明シートを御覧いただけますでしょうか。
 論点は3点ございます。1点目と致しましては、民間資金の導入目標を設定するなど事業の効率化を図るための具体的な取組が行われているか。2点目として、事業成果検証のために適切なアウトカム、アウトプットは設定されているか。それから、最後、3点目として、この事業から見えてきた次なる課題は何かという、以上3点でございます。
 以上の論点につきまして御議論をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 亀井先生。
【亀井委員】  ありがとうございました。大変このロジックモデルについても、当初、これ、最初にお話を伺ったときと比べると、まさにこのプロセスを通じていろいろな形でこの事業の課題もより分かりやすく整理をしていただいたのかなと思います。ありがとうございます。また多分、恐らく担当課の皆さんとしても、じゃ、私たちは次何やるんだというところもより見えてきたんじゃないかなと思います。
 その件について少しお伺いしたいんですが、その前に、今、多分時間の制約もあったので、端折られたんだと思うんですが、アンケートから見えてきたところについて少し詳しく御説明いただけますでしょうか。
【説明者】  アンケートとして、13ページと14ページに受講生のアントレプレナーシップ醸成度合いということで、アンケートの結果を集計させていただいてございます。
 これ、まず13ページの方でございますけれども、アントレプレナーシップ醸成に係るアンケートの調査ということで、まず現状認識というところと、それから、興味・意欲、それから、能力・スキル、こういったものがどういう変化を辿ったかというところを前後で調べてある。能力・スキルの一部については、知識が身に付いたというところなので、それは比較してございません。
 一応、我々も設定と致しまして、受講前と受講後でいわゆる成果が上がったところが何%ぐらい、4分の3ぐらいはさすがに成果が上がってほしいなというところを目標値に定めております。そういう意味では、例えばこれ、1から5段階になっていますけれども、1の人が2、3、4、5に上がったとか、そういったところを集計してやるというものでございますけれども、そういったところから、一応、現状認識の部分、それから、興味・意欲の部分とについても、目標としている75%以上というところは達成はしてございます。ただ、一方で、まだ新規事業を自分で立ち上げてみたいというところはもうちょっと低かったかなというところはございます。あと、能力・スキルのところはどう見るのかというところはございますけれども、こういうような結果になっているというところが現状でございます。
 それと、もう一つ、次の14ページの方は、いわゆるこのEDGE-NEXTをやっている大学、それと、かつてEDGEに関わったことがある大学と、それから、それ以外にも、ちょっと範囲を広げて機関として調査をさせていただいてございます。いわゆるこのアントレプレナー育成プログラム、このプログラムが全学的に理解されているかとか、それから、5年前との体制整備がされているかと、それからあとは、エコシステムって出来ているんですかというようなところに分けて、それぞれ実施機関と、それから、調査機関全体という形でまとめてございます。
 当然、実施機関は比較的やはり意識は高いのでそれなりに、赤いところが「とても増加している」というような形になりますけれども、その中でもちょっと見えてくるのは、やっぱりエコシステムのところはまだちょっと弱いのかなというところ、それからあとは、調査機関も含め全体で見ていくと、やはりまだなかなか全体、裾野を広げるというところについては、もう少し我々も努力が必要かなというところが感じられるというところでございます。こういった形で、アンケートというものなのでどう見るのかというところはございますけれども、一応、これを1つ我々としては気付きを得ていく上の指標として使わせていただいているというところでございます。
【亀井委員】  ありがとうございました。非常に分かりやすい現状把握だと。アンケートは結局、自己認識、これは私の認識だったり、組織に対する認識なので、あとは、それをどういうふうに客観的なものにしていくのかというのは、それはまた工夫していただくといいんだと思うんですが、初期の理解としては大変優れた理解になっているんじゃないかなと思います。
 その上でもう少しお伺いしたいのは、ロジックモデルに戻るんですけれども、今のような現状把握ができましたと。やってきたことについては、多分やったことで、もともと少し意欲の高い人とか、あるいはやる気のある人たちが、特に組織が手を挙げてきたんだけれどもというところではあるんですけれども、人への観点、それから、組織・環境の変化の観点ということでそれぞれについて整理いただいたとおりで、この変化を促し、まずは事業対象組織、それから、そこから少し広げていって全体にというような方向性の中で、ちょうど今後の課題を書かれているところがあるんですが、ここをどういうふうに把握し、かつ事業としては今後どういう改善を加えていこうというふうにお考えなのか、ここはいかがでございましょうか。
【説明者】  9ページのところに、まさに初期アウトカムから中期アウトカムに向かうところ、こちらの方で、いわゆるこの事業として出てきたところを、本当にその施策、大学発ベンチャーという施策、若しくは最終的には国の全体のベンチャーということにはなるんでしょうけれども、そういったところにつなげていくというところでやはりかなりギャップがあるなというところを感じてございます。
 そのところ、2つのコラムで書いてございますが、1つ、緑側のところでいいますと、いわゆるこういうことをやっているんですが、例えば海外を目指す人材とかこういったトップ層をかなり伸ばそうとした人たちが、これをちょっと引き上げをする仕組みがしっかり出来ているのかという点や、あと、より広く参画を図る、先ほどの調査機関の方から見るとまだ低いというのもあるので、これも従前の事業のEDGEの13校から比べると広げてはいるんですけれども、更にそこの部分の裾野をどう拡大していくかというところがやはり我々の方も課題として見えてきているところでございます。
 さらに、組織的に見てきますと、ちょっと重なるんですけれども、トップ層や何かを引き上げていく上でも、本気で起業を目指す人材、こういったところを、今度はベンチャーキャピタルが投資をするような段階にまで持っていくというアクセラレータープログラム、こういったところがなかなかまだまだ出来ていないのかなと。これが上手くつながってくるといい方向に行くんじゃないかなと考えてございます。
 民間企業、こちらの方も、先ほど具体的な数字は出しませんでしたが、外部資金のところも目標額に比べると2倍とか3倍は入っていますが、一方でやはりこれが自立的になるまで持っていくということまで考えますと、さらに民間企業の参加促進が必要じゃないかというところが、これらのデータや取組を通じて見えてきているところかなと考えています。
 そういった意味では、こういった部分について、単にコンソーシアムは広げていけばいいかとかいうところもあるので、ただ、かなり今、ムーブメントとしてこういう動きがあるものに興味を示している大学も増えてきていることは確かなので、そういった人たちがこういった体験を積んでいるところとどう情報交換ができるかと、そういうようなものを少し促していくような仕組みを少し考えた方がいいかなというのが1つです。
 それから、先ほどのアクセラレーターみたいなところのプログラムは、少し組織的に大学と組めるような仕組みを作った方がいいんじゃないでしょうか。実はこれ、済みません、長くなって申し訳ないんですが、1ページ前の8ページのところに文科省の施策ということで、起業人材の育成から起業(Early Phases)とあるんですが、実は我々の方も、Early Phasesのところでの支援策はやってございます。その下に、これは一言、START/SCOREとしか書いてありませんが、これは研究開発の資金を提供したりとか、ベンチャーを立ち上げるための資金だったり、そっちに向いていく、ちょっとアクセラレータープログラム的なものを個人単位でやっているというのはあるんですが、なかなかこれ、やっぱり組織的にこのEDGE-NEXTとうまくつなげていないところがあるので、そこのつなぎを少し考えないといけないんじゃないかというところが今ちょっと考えているというところでございます。
【亀井委員】  ありがとうございます。アクセラレーターってなかなか大学だけだと難しくて、じゃあ、企業にいるのかといったらこれも少なくて、日本には多分そこが少ないし、そこら辺が多分この前のIMDの日本のランキングの評価なんかにも現れていて、経営力が低いと言われているわけですよね。そういったところも含めて、これはもしかすると文科省の範疇をやや超えるところかもしれないので、事業の範囲と、それから、文科省の中での事業の連携と、それから、他省庁との連携というところを、多分このロジックモデルをより広く見ることで考えていただくといいんじゃないかなと思いますので、是非御検討いただければと思います。
 取り急ぎ、私は以上です。
【説明者】  ありがとうございます。ちょうど今、政府全体の方でもスタートアップエコシステム、これをもう少し加速すべきということで、科学技術担当大臣、平井大臣の方が中心になって今、音頭を取って、内閣府中心に文科省、経産省入って、今そういった議論をさせていただいております。その中で今回のこういったロジックモデルから見えてきたところをどう中に入れて、これはもちろんおっしゃるとおり、文科省だけでやっていてもしょうがないので、これはいかに各省と連携しながらやっていくかというところを少し考えていこうと議論をしているところでございます。
【亀井委員】  ありがとうございます。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ほかに御意見、御質問。
 じゃ、吉田先生、次、松浦先生。
【吉田委員】  ありがとうございました。この前にもちょっとやりとりはさせてもらったんですが、今回のこの育成プログラム、もう既にスタートしているんですが、この中で少し懸念された、皆様も共通の認識を持っていたと思いますが、マーケットに関してやっぱりグローバルマーケットを意識したものに何とか誘導できないかというところが非常にうちの、日本の弱みでもあるというこの点に関しては今、何らかの工夫というのはされているんでしょうか。
【説明者】  先ほどもう少し御説明すればよかったんですが、グローバルマーケットを見るための取組ということでございます。おっしゃるとおりで、国内市場だけを見ていただけでもだめだというのはおっしゃるとおりで、こういったものについてはグローバル市場を見据えた展開というのは不可欠だと考えてございます。
 実際には各機関において、例えば海外機関、欧米とか欧米以外もありますけれども、多少連携して、これ、今、参加している中でもかなりの数が、海外の機関と協力という形で、例えば送って、二、三日講義を受けるとか、簡単なものというのは取り組んではいます。
 ただ、それだけだとやはり海外マーケットを見ているというところとは異なるので、今新しく、昨年30年度から新たな取組ということでトライアル的に実施させていただいているのが、お手元の資料の15ページに今日、付けさせていただきましたが、アントレプレナー育成海外武者修行プログラムというのを、これは少しトライアルという形でやらせていただいております。
 これはこのアントレプレナー育成をやっている中で、特に世界のマーケットに出てみたいという子たちというか、もうベンチャーを立ち上げている人たちですけれども、そういう人たちを海外に派遣をいたしまして、これは大学同士なので割とプログラムは作りやすい。ただ、武者修行と言えば、実際は本当に一人で行って戦ってくるというのが武者修行だと思うんですが、ただ、アクセスするまでに時間を掛ける必要はないと思うので、大学のプログラムを使って、いわゆるネットワークを使ってそういったところに行って、でも、実際のマーケティングのところはその人たちが勝負をするというような取組を支援するということをやらせていただいている。
 これは特に海外での活動資金については、もうベンチャーを立ち上げているというところもありますし、より柔軟に動けるということで、これ、民間企業の方に賛同をお願いしまして、我々の方もお金を頂いて、大学への寄附という形になるんですが、そういった形でやっていただいているという事業を去年、東京大学がUCサンディエゴ、それから、早稲田大学がイスラエルのテルアビブ大学と組んで展開させていただいております。
 非常にいいチームを送り込むということだったので今回は割とピカピカな人たちが行って、特にイスラエルなんかだと、行きますと、いわゆるエンジェル投資家でも世界で名立たるエンジェル投資家が出てきて、実際にディスカッションもしてくれてというところで、大分事業に対する見方も変わって。実際に行った会社を立ち上げた人は、その後にEUの国際的なコンペがあるんですけれども、そこに350ぐらい候補が出る中で、4部門あってその中のサイバーセキュリティの部門で優勝を最後にしたという形です。やはりそういった経験を通じて、あとは、実際に事業としても今、契約も動き出しているという形です。そういったものが逆にトップと戦うというアイコンというか、そういうものがまた見えることによって、参加している人たちも意識を高めていく、まさにグローバルに目を向けていくということができないかなというように考えて取り組んでおります。
【吉田委員】  ありがとうございます。武者修行って何かなと思っていたんですけれども。基本的には今おっしゃったように、いわゆる投資サイド、それから、リサーチの分野、それからもう一つはテクノロジーの分野ということで、この辺の世界のマーケットの中心にいるトップイノベーターたちとやはりいかにコンタクトをさせてあげるかということが勝負になってくると。やはり大学の中では、日本は当然ながら、海外でもやはり大学には制約があるので、是非海外プログラムの拡充というところで実質化していただけたらなと。これは要望にとどめます。
【説明者】  ありがとうございます。実は企業回り、我々も今営業して回っているんですけれども、なかなかやっぱりお金を頂くのは大変で。と言いながらも、これをやった後に、去年は3月14日に実際に現地に行ったチームがプレゼンをするという機会を設けまして、そこに企業も呼んで、そこで見ていただいて。これ全部、当然のことながら英語でやる形でやったんですけれども、そういった中で御理解も得ながら、こういったところに少し参加していただくというようなことを今、我々の方でも努力はさせていただいております。
【吉田委員】  多分、今、企業がもう1つというふうに、日本のやっぱり企業の弱点が、オープンリソースとかオープンパートナーという考え方が非常にないので、そこも逆に言うと、これは刺激になると思うんですね。企業に対する刺激のプログラムでもあると思うので、是非そこはちょっと強調して、今後、予算シフトもそちらの方へ回すぐらいのつもりでやっていただけたらなとは思います。
【説明者】  ありがとうございます。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  次、松浦先生で、それで、川澤先生、亀井先生で。はい、お願いします。
【松浦委員】  御説明ありがとうございました。私個人的には、やはり日本の各企業、個人が、寄附文化というか、頑張っている人を助けようという文化が余り欧米に比べると高くないということが前提にあると思います。ですから、突然これをぽんと持ち出しても、すぐに「ああ、すばらしいですね」と言ってくれる企業って結構いらっしゃらないと日本の風土では思うんですね。
 それを変えていこうということなんですけれども、文部科学省ですから、大学でのそういう人材を育成する、教育をするというフェーズでは、今やられているということで、結果も75%オーバーのいい結果が出ているということで評価できると思いますけれども、その後、まさに御説明いただいたとおり、いかにして彼らのスキル、経験を持ってベンチャーを設立して、確かに大企業というのは、こう言っては何ですが、内部に入っていくとほとんどお役所的になってしまっているところが多くて、小回りが利かないと。
 ですから、非常に小回りが利きやすいところと協働してうまくベンチャーを立ち上げさせていくと。それが数年後には自立できる、世界を相手に勝負ができるんだという辺りを、ほかの委員からも御指摘ありましたけれども、とてもそれを全部文部科学省で実施し、把握することはできないと私は思っていますので、初期の部分からいかにしてベンチャーを、これ、産業活動になりますので、産業活動をいかにアクティベートしていくのかということを、他省庁の施策ともすり合わせの上、再度前向きに御検討いただければと思います。ありがとうございました。
【説明者】  ありがとうございます。先ほども申し上げたとおり、まさに今、政府全体としてそれに取り組むという方向性は出ております。もちろん文部科学省でできるところは、きっちり我々、責任を持ってやらなければいけないと思っていますけれども、それ以外も全部我々がやりますということはとても言える状態じゃないですし、企業の方もかなり危機感は持ち出して、経団連の方でも最近、スタートアップエコシステムの構築という、Society5.0に向けてというようなものを出してきております。
 今までどちらかというと、日本の場合はIPOを目指すというのが多くてですね。逆にIPOをしやすいので、どんどん小さいのがぽこぽこぽこっと。かつ、ベンチャー対大企業みたいな感じだったんですが、今はまさにおっしゃるとおりで、ベンチャーをどう、その小回りの利くところをどう使って、大企業のアセットとそういうものを組み合わせてやっていくかという、大きな方向性は出ています。
 ただ、個別でいうと、なかなかやっぱり難しいところはあると思いますので、そういったところにも貢献できるような形では我々の方も、今、経産省とも当然お話をしながらやっておりますし、そういった形では進めたいとは考えております。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  次、川澤先生、お願いします。
【川澤委員】  まさに今、政府の中で役割分担をして推進という話がありましたけれども、吉田先生からもお話があった、トップ層の引き上げで大学間で連携をしてという、そういったところはまさに文科省のフィールドなのかなと思っています。逆にアクセラレータープログラムとかそういうところは、経産省とかそういうところが強みがあるところなのかなと個人的に思っています。
 恐らく大学での取組をどういうふうに活性化するかとか、大学が持っている財産をどう有効活用するのかというのは、是非積極的に進めていただければなと思います。単に海外に行くだけというのではなくて、やっぱりそこでネットワークを作ったり、日本の場合はVCの投資額が低いというような現状もあると思いますので、そこで実際にVCとつながれるとかですね。それは国内外かかわらずだと思いますけれども、何かそういったやっぱり強みのある部分により特化して予算を増加していくというのが必要なのかなとは思いました。
【説明者】  ありがとうございます。確かにそのネットワークをしっかり作っていくというのは、これはもうないととてもできない世界ですので。当然海外の方も、先ほどの武者修行みたいなところも一緒ですけれども、まさにネットワーク作りというのも。結局はこれ、帰ってきて、単に、はい、受けました、終わりですとなってしまうとあれなので。いまだに今回行った人たちも向こうとはつながりを持って、実際に東大の方で行った会社は、1つ向こうに、支店と言うほどでもないんですけれども、ちょっと足掛かりを作ったというのも報告が入ってきています。
 正直なところ、数がたくさん出ればいいんですが、数を打つというよりは、まずは我々はこういう道があるんだよというところをそういう人たちが幾つか行くだけでも開けてくるのかなというところがあって、あと、そうなってくると、政府がどこまで支援をするかというところになってくると思うので、どちらかというと、そこの見える、しかもネットワークを作っていく、それがまたしっかりと事業につながっていくというところをいかに見せるような形ができるかというところは考えていきたいと思っています。
【川澤委員】  恐らくその行かれた方がまた大学での基礎講座等で話をして、もうピカピカな人をたくさん作るのはやはり難しいので、1人がいて、その人がかなり多くの人のモチベーションを高めていくというのが逆に大学じゃないとできないことだと思いますので、是非それは御検討いただければ。
【説明者】  まさにそういった仕組みを是非。先ほどおっしゃられていたように、なかなか今、人材がいないのは事実なので、最初に回すところは我々の方もお手伝いはしようかと思っていますけれども、このロジックモデルの9ページの真ん中にある、まさに人が育ち、それが組織に貢献していくという、このいいサイクルをやっぱり作っていかないと、継続的にならない。例えばどこかに委託だけしてアクセラレーターをやってもらうというよりも、大学が将来的には自分たちの卒業生や、ベンチャーを立ち上げた人、失敗した人、それから、投資家になったような人たち、そういう人たちがストックになって逆に新しい人たちを支援していくというところを何とか作り上げてはいきたいなというようには考えてございます。
【川澤委員】  最後に1点だけ。外部資金の先なんですけれども、民間企業もそうなんですけれども、ベンチャー支援の場合、VCも日本の中でこれから強くしていかないといけないという課題はあると思うんですが、VCの巻き込み方というんですか、かなり初期の段階から、ある意味、武者修行のところから出資をしてもらって、そこで有望な人がいたら逆にもうそのアーリーステージから投資してもらうというような、そういうサイクルというのは、実際には今、実現しているんでしょうか。
【説明者】  EDGE-NEXTをやっている大学の中でも、当然、VCなんかと組んで、実際にピッチとかいろいろ体験をさせる中で、実際に来てもらって、そういうことをやって、起業しているというのも、当然、あります。ですから、そういった活動については、やはりこういう動きがあれば、当然、VCの方も興味があれば来てくれてという形で、ある意味、そこに求心力というか、形では来てやっているところもあります。
 ただ、それがすごい勢いで起きているかというと、まだやはりそういう状況ではないですし、正直、ベンチャーキャピタルが本当に投資をする段階と、ちょっとその前のやはりつなぎのところがなかなかやはり、先ほどの課題じゃないんですけれども、うまくまだいっていないかなと。当然、ベンチャーキャピタルの方にはいろいろな方がいるので、本当に投資だけの目的でやられちゃうとなっちゃうと、せっかくいい技術だったのに結局は芽が出ないというのは、これは大学の責務としては逆に言うと非常に良くないことだと思うので、いかにうまく育てて、それが大きく育っていただけるときに入れてもらえるような、そこを上手くつなぐというところをやはり考えなきゃいけないなというところを、今回の件を通じて非常に感じているところでございます。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  次、亀井先生、お願いします。その後、伊藤先生。
【亀井委員】  結構、論点出尽くしているような気がするし、大体、これまで話してきたので、少し大きいところでお話をすると、多分、なぜ日本の企業がだめなのかとか、あるいは大学がこういうところに乗ってきているようで、いま一つ本当に波に乗っていない感じがするかというと、多分、これは昭和の日本の成功をまだ引きずっているからだと思っていますと。それは、多分、御存じのとおりで、工業化社会の最大の成功者が日本なわけですよね。日本の大企業がそうですと。そこを実はそうじゃない付加価値を作っていくという話になっていかなきゃいけないし、工業化社会的知見のため方とか人の育て方ではだめなんだというところが実はすごく大事で、これは実は企業も大学もその呪縛からまだ取り除けていないし、30年かけてどうにかして何とかしようと思ったけれども、平成、やっぱりだめだったという話なんだろうなと。まだ一部の経済人がゆでガエルだと言っているのは、多分、そういう話なんだろうなと。そういう中にこの事業があるということなんだと思うんです。
 そういう意味で言うと、実は、あと、ロジックモデルを作ってくださいと、私、お願いしておいてなんなんですが、ここの初期アウトカムから中期アウトカムに至る経路が、実はこれはロジカルじゃない可能性がある。ここは、多分、考えておく必要があるのかなと思っています。
 何を申し上げたいかというと、例えば最近、コレクティブインパクトというのが色々とそういうふうに、理論化はまだされているのか、されていないのかよく分からないんだけれども言われていると。いろいろと集めると、実はロジカルじゃない感じで問題解決というのは進むというやつでありまして、そのためには実は課題を共有することが大事みたいなところは理論的に言われているんですけれども、そこはいろいろな形の、いろいろな人が言っているし、私は、多分、そういうことなんだろうなと思うんですけれども。
 例えば何でこんな話をしているかというと、福岡市というところがあるんです。福岡市は、今、スタートアップナンバーワンといって高島市長、この前、高島市長と随分いろいろな話をしたんですけれども、スタートアップがものすごく増えているわけですね。これは何で福岡が成功したかというと、ほとんど第三次産業しかなかったから。あそこは一級河川がないから第二次産業が育たなかったから、その素地がないから第三次産業ですごくうまくいったし、逆に面白がるような気質もあって、ある種、ベンチャーとか企業とかというのがすごく進みました。ということは何を言っているかというと、もしかするとこういうふうにロジカルに考えないところに答えがあるのかもしれない。なので、そこも是非考えていただきたいんです。
 彼ら、福岡は何をやったかというと、スタートアップカフェといって、とにかくみんなが集まる場所を作ろうみたいな感じでやりました。こんなの、全然ロジカルじゃないんです。だけど、みんなが集まるし、何か雰囲気を持って、あと、みんなで集まってイエーイってやろうぜみたいな感じになった。これで、でも、実は人が集まってきて、人が集まると結果的には何が起きるかというと、化学変化が起きて様々な変化が起きるということにもなるので、そういうちょっと経路も想定しておいた方が、文科省的にはちょっと辛いかもしれないんですが、この初期アウトカムから中期アウトカムがうまく表現できないのは、そういう理由もあるのかもしれないなと、これを見ながら実はさっきずっと考えていたんですけれども、思った次第で、是非そういったところも御検討頂くといいんじゃないかなと思いました。
 ここは少しチャレンジングな話なんだけれども、ロジカルに考えないことも大事だと思いますし、そもそもベンチャーなんていうものはうまくいかない方が当たり前なので、うまくいかないこともあると思って政策を、いろいろな形の手立てで考えていただいてもいいんじゃないかなというふうに思いました。
 これはちょっと済みません、意見として申し上げたいと思います。何かお考えがあれば是非。
【説明者】  ありがとうございます。
 確かに、正直、この施策をやっているところでは、これがあれば絶対こういくという答えには当然ならないので。
【亀井委員】  ならないでしょうね。
【説明者】  そういう意味では、今、おっしゃるようなところで、且つちょっと我々の手法も確実、こんなことを言ったら怒られるんでしょうが、確実だけを打つというよりは、まさにここで言うリーンスタートアップですね。つまりこういうことをやってみようというのを投げ込んでみて、その反応を見て、それがよければ次に回していくというのをここはやはりやっていかないと、我々、逆に言うとベンチャーを立ち上げる人たちにはリーンスタートアップだねと言っているんですけれども、みずから、我々もある意味、リーンスタートアップ的な手法で政策は投入していかないと、その代わり可笑しいと思えばピボットして違う方向に行くということは必要じゃないかなというふうに思っております。
 それともう一つ、前回、ちょっと前のヒアリングのときもありましたけれども、まさにそのコンソーシアムというのは少し効いていて、実は今回、コンソーシアムをやっている単科の大学とかも入っているんです。例えば滋賀医科大学と早稲田が、今、同じコンソにあるんですけれども、そこが滋賀みたいな医科大学が意外と早稲田の文系と出会っちゃうとおもしろいことが起こっているというのもあって、そういう意味では、極めて、そのコンソーシアムという特徴をうまく生かしながら、先ほどおっしゃったようなカフェではないんですが、混じり合う、これは違う大学の違う地方の人たちがまた混じり合うというのは、これはまた大学だけでいいかというのはあるんですけれども、そういう意味ではイノベーションが起きる1つの素地だと思っているので、そういうかき混ぜというか、そういうのもちょっとしっかりさらに何ができるかというところはちょっと考えなきゃいけないかなというふうに思っています。
【亀井委員】  ありがとうございます。
 先ほど吉田先生がおっしゃったところは僕は絶対マストだと思っていて、世界のトップとやる。それは別にグローバルスタンダードにしなさいと言っているんじゃなくて、世界の一番いいところを引っ張ってくるというのが、多分、1つと、もう一つはやはりオープンであるというところは極めて大事で、ここは、多分、ロジカルじゃないこともあるかもしれないけれども、その原則というのはすごく私は大事なところじゃないかなというふうに思いますんで、決してグローバルスタンダードでやりなさいとかということではなくて、世界でトップのものときちんとやれるようにして、そこに通用するような人を育てていくという話なんだと、これはそもそもそう思いますので、是非そういったところでいろいろな試行錯誤をしていただくといいんじゃないかなと思いますし、試行錯誤ができるから政策としての価値があるんだと思いますんで、その観点で是非進めていただければと思います。
【説明者】  ありがとうございます。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  伊藤先生、お願いします。
【伊藤委員】  最初の事前勉強会のときから、今回のこの事業というのはどんな事業者でもいいからベンチャー、起業すればいいということではなくて、大学発なんだと、大学を経た上でという、もしかしたら大学卒業してすぐに起業するかどうか分からないけれども、一旦、ビジネスの世界に出た後に起業するということも含めてだというところはすごい、そのときに認識をしているんですが、ここと、もちろん文科省だけでそれが全て成立するわけではなくて、他省との関係があるんだというのが8ページ目のずっと教えていただいたところだと思うんですが、もうちょっと具体的に言ったときに、ほかの経産省とか厚労省とかの事業を見ていると、全く同じモデルは当然ないんですけれども、ベンチャー支援の事業というのは当然、例えば医療系ベンチャー支援事業だったりとか、あと産学連携で経産省で持っているとか、今、お話のあったコンソーシアムのスキームを使っているものも経産省の中には入っていて、ただ、これは別に大学だけのコンソーシアムではないというところに違いがあると思っているんですが、もう1回だけ、もう1回、理解をしたいがためなんですけれども、この事業がほかのそういうベンチャー支援だったりとか、コンソーシアムとは違って、ここにしかできない特色であるからこの事業って必要なんだなと思っているんですが、そこをもう1回、教えていただきたいんですがいかがでしょうか。
【説明者】  ちょっと最初にあった大学発ベンチャー支援なのかベンチャー支援なのかとか、その辺、社会全体として、先ほど、最初に御説明したように、やはりオープンイノベーションというのに流れていく中で、大学というところが非常に重要な役割になってきているというのはある前提なんですけれども、文科省として施策を打っていく上で、もう一つは大学側がまさに社会貢献というのを求められているというよりも、やはりそこで生み出されたものをちゃんと社会で使ってもらえるようになると。その手法としての大学発ベンチャーということで、我々、大学発というのをあえて付けて、施策全体としてもそれをやる。
 それをやっていく上では、やはり人材の育成、これは人材はベースになりますので、そこを、それが実際にも足りていないというところがあるので、そこを我々、中心に人材育成というところでやる。この人材育成というところは、正直、大学の中でカリキュラムを組んでやってもらうことになると、やはり文部科学省の方でしっかりと責任を持ってやらなきゃいけない。ただ、ここから出てきた人材が、じゃ、大学発ベンチャーだけなのかというと、これは当然違いますし、それが実際の企業の方でそういう活躍をするというのは、ある意味、これは今度は人材政策で見れば科学技術人材としてカウントできると。
 我々も、これ、科学技術人材政策なのか、ベンチャー政策なのかというと、これは縦横みたいなところがあって、どっちの政策だと言えば、今回、ちょっと人材の整理の表にはなってはいるんですけれども、これ自身は縦横がちょうど交わるところのものなのかなというふうに考えています。
 文科省としては、とにかく経産省とかも、当然、プログラム、かなりやっていますし、我々、今、実はこれ、NEDOと、我々の方だとJSTという、そういう法人があるので、そこの法人間でもそこら辺がきれいに、逆に言うと、変にデマケだけではなく、ある意味、しっかりと情報共有をして、単にここからここで線を引いてというところでやるよりも、お互いがどういう、使いたい人がどういうようにいるのか、どういう要望があるのかというところを情報共有して、こっちだったらNEDOでやった方がいいよね、こっちだったらJSTがいいよね、そういうようなところはしっかり作っていこうと。
 今、全体のスタートアップを作っていこうという中で、今、そういう話し合いもさせていただいておりますので、そういう意味では、ある意味、切れ目がなかったり、逆に言うと、ほかの制度を使えばよかったのに違うのを使っちゃったというようなことにならないような仕組みというのを、ちょっとしっかり作っていきたいなというようには考えています。
【伊藤委員】  そういうのは、具体的に、例えば定期的にNEDOやJST、文科省、経産省が入って会議をするような場というのは作られていくんでしょうか。
【説明者】  どちらかというと、法人、今回はNEDO、JSTで情報交換できるようにしましょうと。実際にお金を出すところなのでというところがあります。
 それと、あと、このEDGE-NEXTでやっている大学と、逆にNEDOの事業でコンテストをやっているようなところがあるので、今、実際にはもうコラボして、EDGE-NEXTでやっている学生がそこのコンテストに行ってというところ、またそこから出てきた人たちがNEDOの事業に行ってというところもできるようになってきておりますので、そこをしっかりと、そういった体制をさらに、実際にそういうものが生まれるような形でやっていきたいというふうには考えています。
【伊藤委員】  ここからは、実態が全て分かるわけではないんですが、数年前に厚労省のこういう議論をしていたときに、厚労省の医療系の人材育成があって、文科省でも、これもそうだし、ほかの事業でもやっているかと思うんですけれども、なかなか、じゃ、厚労省側が全てを認識している中でやっているかというと、そうとは、少なくともその場では思えなかったところがあったので、多分、そこは連携という言葉は簡単に使えるけれども、なかなか実際には難しいところがあるなというふうに思いました。
 多分、さらにこの事業がより効果を見せられるかどうかというのは、今回、作っていただいたアンケート調査の中で、まだ3年目だから、先ほども出たように意識の部分でしか、まだ聞くことはできないけれども、この後、5年たったときにどれだけ行動に変化が出てくるのかというところは、逆に今、始まったばかりだからこそ、今からその指標を、ある程度、考える時間があるんじゃないかなと思います。多分、それが一番大きな、効果が出るか出ないかの判断にもなるんじゃないかなというふうに感じました。
【説明者】  ありがとうございます。
 ちょっと指標のところは我々もこれから本当にどうとっていけばいいのか、今回も示させては頂いておりますけれども、やはりしっかりと試行錯誤はしながら、よりいいものがとれるようなことは考えていきたいと思っています。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  吉田先生、お願いします。
【吉田委員】  実は質問する前に答え、勝手に知っているところがあるんですけれども、1つ懸念していたのは、まさしく先ほど、お答えの中に少しありましたけれども、参加している、要はコンソーシアムに参加している大学の中の学部学科が偏っていないかと。要するにそこの多様性って結構大事なんです。
 それはなぜかというと、この分野において、もちろん文科省の仕事は高等教育機関における人材の供給だと思うんです。その中で、実はこのアントレプレナーと言いながらも、先ほどもこれも触れられましたけれども、例えばここを経験した人が、みんな、起業家になるんではなくて、要はサポーター、いわゆるパートナーとしてファンドマネジャーになったり、若しくは一般の企業で連携のカウンターパートになったり、リサーチャーになったりって、いろいろなパターンがあっていいわけです。
 要するにイノベーターを輩出していきたいということだと思うので、出来たら、今後でいいんですけれども、参加している学生の学部学科の多様性を、担保するのは難しいので、指標として補足しておくと。それから、進路先も、みんな、アントレプレナーにはなれませんので、ただしパートナーとして活躍できる分野にどれぐらい行くかみたいなところも、当然、教育機関としては見ておかなくちゃいけないなというふうには思っています。
 それから、もう一つは、昨日も実はまさしく起業のミーティングで投資のミーティングをしていたんですけれども、シーズファンドを、最近、日本のファンドがリスクテイクしなくなってきて、シーズファンドの大きさを云々かんぬん言うような事態になってきているんです。だから、そこら辺で、もし経産省なんかと区別するとすれば、コンソーシアムのシーズファンドをどう捻出していくのかというところも、当然、課題になるんだろうと。
 特にさっきの中間のところに、引き継ぎのところ、インターフェースのところで、そこを文科省側が助けられるのか、はたまた経産省等との協力で、要するにまだアクセル踏む前の段階です。シーズファンドを誰がどう捻出するのかというところなんかは、非常に1つの問題意識を持つべきところかなというふうには思っています。
 以上です。
【説明者】  ありがとうございます。
 特に、ちょっとアンケート等のところはしっかりとやらせていただきたいと思いますし、シーズファンド、まさにちょっとギャップファンドとも言っていますけれども、ここは確かに、今、弱いと言われていて、そこをどういう形で担保していくのかというところは、今、政府内でも経産省とも話はしています。先ほどの話じゃないですけれども、二重投資になったりしたら困るので、そういうところでまさにどっちだったらどっちがやった方がいいというところとかを話もできるような形では進めていきたいというようには考えてございます。
 ありがとうございます。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  有川委員。
【有川委員】  私、1点だけ、レビューシートの6ページを見ていただいて、このアントレプレナー育成に係る課題の調査分析のところに絞ってちょっとお伺いしようと思うんですけれども、今、JSTが受託して各大学ですか、コンソーシアムがどういうふうな課題を持って事業を進めているかというときに、各大学とどういうふうな分析に当たっての連携が行われているのかというのをまずお聞きしたいのと、それから、今、JSTが1者入札の形でこれを受託していますけれども、ほかにこれをやれるところはどういったところが想定されるのか、なのに、なぜこの社だけが手を挙げてくるのかというのをどういうふうに分析しているか。
 それで、かつ1者入札の評価なんですけれども、公正性とか競争性を考えたら、1者入札はやはり改善しなきゃいけないとは思うんですが、こういった課題の分析にはやはり特定の者が、ある程度、長期間腰を据えて分析した方がいいのか、それともやはり調査分析する者が入れ替わって複数の目で見ていった方がいいのか、その辺、契約の競争性とか公正性を離れて、調査分析をする側に立ってみて、これは複数がいいのか、あるいは単体で続けるのがいいのかというのを教えていただきたいのと、もう一つ、この調査分析した成果について、最終的に各大学、コンソーシアムにどういうふうに、これがフィードバックしているのかというのも教えていただきたいんですが。
【説明者】  ありがとうございます。
 6ページのところでございますけれども、まず、今、完全に競争入札という形でやらせていただいておりまして、いわゆる総合評価方式にはなってございます。実際には、これ、説明会を開いて、何者か、2者とか来ていただいたりはしているんですけれども、実際に入札のところは1者になってしまっているというところが実情でございます。
 ちょっと改善もということで、例えば公告の期間を、年々、ちょっと延ばして時間的余裕を持たせたり、それから今年に関しては説明会を2回開くとか、一応、ほかの者も入ってこれるようなということの取組はさせていただいておりますが、結果としてそういう形になっているというのが現状でございます。
 継続性の観点は、もちろん総合評価でやりますので、当然、元々やっていた方が強いというのはあるかもしれないんですけれども、ここは正直なところ、我々としては毎年の入札で、それに適したところが来てくれれば、それはやっていただけるんじゃないかなというように思っております。
 実際には、これ、我々も現地調査という形で現地に行くんですが、そこにも一緒に行って、向こう側とコンタクトしながらいろいろと情報を分析してもらうと。分析結果につきましては、これ、我々も毎年、評価という形で評価させていただいておりますので、また3年目、今年には特に中間評価というのも考えておりますので、そういったところに反映をした上で、実際にはもうこれ、単に調査していてもしようがないので、現場に対してフィードバックをしていくという形で活用させていただいているというところでございます。
【有川委員】  ありがとうございます。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  亀井先生。
【亀井委員】  今回のプロセスを、私、大変ある種、ありたい姿に近いところで進んだなと思うので、是非これは政策立案審議会を始めとして、文科省全体でも展開いただきたいのは、やはりロジックモデルを作っていただくと、さっきのロジカルじゃない部分もあるとか言っておきながら何なんですが、やはりこの事業の課題というのが見えてくるんだと思うんです。
 公開プロセスって、以前、これ、元々事業仕分けで始まったときからいろいろな変遷はありますし、伊藤委員はそこら辺、よく御存じだし、私もやや産みの親的な立場もあるんで余り余計なことは言いませんけれども、それはさておき、ここ、足元に来てすごく大事になってきていることは、そういったやりとりを通じて、事業課の方でみずから事業の新たな方向性が見出されるということがすごく大事なプロセスだと思いますので、是非文科省全体、まずは局内でいいですし、それからさらに文科省全体、文化庁、スポーツ庁も含めてですけれども、1つのロールモデルとして是非どういうことを見出していくのかというようなところを、是非庁内、省内でもいろいろな形で共有していただければと思いますので、是非そこは御検討いただければというふうに思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  松浦先生、いかがですか。よろしいですか。
【松浦委員】  それでは、皆さんから御議論頂きました結果でございます。現状のままで可が1票、それからもう少し見直しをしてくださいという票が5票でございました。キーワードは幾つか、本当にキーワード的には3つ、4つに絞られると思います。
 まず1点目は、全省庁挙げて取り組まなければいけない本来のこの事業の中で、文部科学省がどこの部分を具体的にどう担って後ろにつなぐのかというところの評価、これを是非ともお願いをしたいということが1点でございます。
 2点目ですが、このコースを選考している学生さんが全てベンチャーを起こせるような人間になるという保証も何もないということで、まず文科省としては、教育育成プログラムの評価自体をやはり繰り返し行っていただきつつ、そのプログラムの中ですぐれた人材を育成し、彼ら彼女たちが次の世代にこれをまた伝えていくというようなアカデミックな体系、チャレンジングなアカデミックな体系を、文科省としてはそこを担っていただきたいというのが2つ目のキーワードです。
 3点目ですけれども、皆さん、おっしゃっていましたけれども、初期アウトカムと中期アウトカムとの間のギャップがまだ十分埋めきれないけれども、ここはまだまだ考える余地もあるし、試行錯誤しなきゃいけない部分でしょうということがありますので、いろいろバリアントのあるような、そういういろいろな違った取組の仕方というものも試みながら、この初期と中期の間のロジックモデルの提携を目指していただきたい。
 4点目でございますが、ここまで頑張って人材を育てるということになりますと、もちろん海外ということに関して目を向けていただく必要があるということで、グローバルなネットワークをどのように構築していくか、又はその人的な関係をどのように構築していくかというような、そういう方法論についても是非とも目を向けていただきたいと。バラエティの中に入っているということです。
 統計のところで1つあったんでけれども、今、評価をしてかなりブラッシュアップしていただいたロジックモデルでございますけれども、果たしてここのパラメーターだけでどのくらいの長い期間、これを追えばより適正なプログラムが作れるかという値のパラメーターの選定と評価期間、それが合理的であるかどうかというところを、いま一度、立ち返って御検討頂きたいと。
 大体、このくらいにまとめられると思うのですがどうでしょうか。よろしいでしょうか。
(「結構です」の声あり)
【松浦委員】  ありがとうございます。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして、次世代アントレプレナー育成事業(EDGE-NEXT)の公開プロセスについては終了させていただきます。どうもありがとうございました。
 次のスポーツ人口拡大に向けた官民連携プロジェクトについては、若干、5分早めになっていますが、次回は55分からということで済みません。
( 休憩 )
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、時間となりましたので、3コマ目を始めさせていただきます。
 このコマにつきましても、前の時間に引き続きまして白須賀政務官に出席を頂いております。よろしくお願いいたします。
 これからの時間帯は、スポーツ人口拡大に向けた官民連携プロジェクトについて御議論を頂きたいと思います。この時間の取りまとめ役は有川博委員に務めていただきますので、よろしくお願いいたします。
【有川委員】  よろしくお願いします。
 初めに、担当課から事業概要の御説明をいたします。事業担当課は、5分以内で簡潔に御説明をお願いいたします。では、よろしくお願いします。
【説明者】  スポーツ庁でございます。よろしくお願いします。
 お手元の資料の2ページのレビューシートにありますように、スポーツ人口拡大に向けた官民連携プロジェクトでございます。
 目的にございますように、スポーツ庁の大きな目標であるスポーツ実施率の向上、この事業概要につきましては、特にスポーツ実施率の低いビジネスパーソンを中心とした事業でございます。
 詳細につきましては、11ページのロジックモデル基づきまして御説明をしたいと思います。
 まず、現状把握と課題でございます。スポーツ実施率の現状を見ますと、週1回以上のスポーツ実施率を見ると、成人の約半数がスポーツの習慣がない、特に働き盛り層のスポーツ実施率が低くなっております。その理由を見ると、家事や仕事が忙しいなどの理由が挙げられます。また、企業における取組も非常に有効な一面、従業員のスポーツ実施に対して企業経営陣の理解がないというところがございます。
 こういったことで、スポーツにより得られたはずの効果とございますけれども、スポーツの習慣化により、本来であれば、ロコモ、フレイルといった健康上の問題、あるいは生活習慣病の予防、また、スポーツの習慣化によりストレスの耐性ですとか、集中力、意欲の高まり、そういったものが失われているのではないかという問題意識もございます。
 現在の国民全体の社会上の課題ということで、運動不足が原因で年間5万人の方が死亡しているですとか、平均寿命と健康寿命の差が大きいですとか、医療費が非常に増大しているですとか、日本の時間当たりの労働生産性はG7で最低であるとか、こういった様々な課題がある中で、運動・スポーツにより、そういった阻害要因を除去できないか、社会の悪循環を解消できないかということで取り組んでおります。
 課題を多少ブレークダウンしますと、スポーツの取組への企業経営陣の理解がないということは、企業がスポーツの実施を促すことへのメリットを感じていただく必要であるということ。仕事や家事が忙しいということについては、職場からスポーツのきっかけ作りを図っていただけないか。あるいは、面倒くさい、運動・スポーツが嫌いという層には、日常生活の中でも気軽に取り組めるスポーツを認識、普及させる必要があるのではないか。そういった課題がございます。
 アクティビティとしまして大きく4つございますけれども、大きな上の2つを中心に御説明しますと、まずは企業の取組を推進するということで、スポーツ推進企業、スポーツエールカンパニーの認定事業を行っております。右に詳細を書いてございますけれども、従業員のスポーツ振興に取り組んでいる企業を認定するという制度でございまして、そういった企業を広報、あるいは好事例を収集、横展開することで、企業における取組を推進していこうというのがまず1つ目でございます。
 2つ目のFUN+WALK PROJECTは、身近な歩くということを取り上げて、スポーツのきっかけ作りとするムーブメントを起こそうということでございます。右下に、FUN+WALKの事業概要がございますけれども、まず官民連携協議会というものを作りまして、多くの産業界、関係省庁、厚生労働省ですとか、環境省でございますけれども、また、様々な主体にも御参加いただきまして、この歩くという国民運動をどのように進めるかということを議論して、プロジェクトを進めております。また、ロゴマークも作りまして、ロゴマークを配布、普及することによりまして、FUN+WALKの事業を普及させることとしています。戦略的なプロモーションとございますけれども、例えば一つ例を挙げますと、下に書いてございますけれども、まずは歩きやすい服装、FUN+WALK STYLEの推進ということで、昨今、スニーカー通勤ですとか、リュックを担いでの通勤ですとか、そういったスタイルの普及なども努めております。
 2枚目、めくっていただきますと、アウトプット、アウトカムでございます。
 まず最初に、スポーツ推進企業、スポーツエールカンパニー認定制度につきましては、アウトプットとしましては、こういった認定事業の普及をして、多くの企業に申請いただくように努めております。また、認定企業のPR用ロゴの作成、あるいは認定された企業の好事例の普及、そういったことを行っております。
 この事業の初期アウトプットとしましては、狙いとしましては、こういった認定企業が周知、広報され、メディアでの露出が高まり、関心を高めていく。あるいは、各種イベント、シンポジウムを通じて、こういった認定企業の取組が紹介され、大きく取組が進むということを初期アウトカムで考えています。それに関連した測定指標を設定しております。
 FUN+WALK PROJECTのアウトプットでございますけれども、先ほど申しましたとおり、官民協議会を設置し、メニューを検討しております。また、普及用のロゴの作成、あるいは健康情報等、歩くことのインセンティブを発信するプラットフォームを開発しております。
 こちらの初期アウトカムにつきましては、こういったロゴマークを活用した取組としまして、例えば顧客に対して歩数に応じたインセンティブを設ける協賛企業が出現、これはまさに官民連携の取組として企業の取組を促していく。あるいは、歩きやすい服装に関するPRキャンペーンが例えば百貨店等で実施されるとか、歩くと楽しいを実感できるアプリですとか、そういった媒体からの発信が進むということを初期アウトカムとして設定しております。それに関連した測定指標を設定しております。
 これに基づきます中期アウトカムにつきましては、矢印が交差しておりますけれども、相互に関連するものと考えております。
 1つは、職場における中期アウトカムとしましては、従業員の健康増進のためにスポーツを実施する意義とか効果を理解していただける経営陣が増加すること。あるいは、こちらの有識者会議の勉強会でもありましたけれども、職場で従業員がスポーツをする機会を設ける企業ですとか、歩きやすい服装、あるいは働き方の弾力化、こういったことに取り組む企業が増加していくこと。あるいは、こういった取組を通じて、職場内でスポーツに関心を持つ従業員が増加していくこと。こういったことを中期アウトプットして設定しており、測定指標も設定しております。
 個人については、こういった事業を通じて楽しい、得するを目当てに、日常の時間帯に歩く人が増加すること、歩くことの健康への効果についての理解が進むこと、競技スポーツだけではなく、スポーツが気軽にできる、身体能力にかかわらず楽しめるスポーツがあることを知る人が増える。そういったこと中期アウトカムとして設定しております。
 さらに、長期アウトカムにつきましては、それぞれの事業がまた更に複数絡み合うものでございますけれども、社会環境へのアウトカムとしましては、スポーツをしやすいビジネス服装への寛容、スポーツ時間を確保する生活スタイル、働き方に関する考え方がまとまる。気軽に、スポーツが身近なものであるという考え方が広がる。そういったものもアウトカムになります。
 個人に対しては、職場、あるいは地域におきまして楽しみながら歩く、気軽なスポーツの実践などスポーツ習慣が定着する、そういったものを設定しております。
 最終的なインパクトとしては、スポーツしやすい社会の環境、個人のスポーツ習慣の確認といったところで、測定指標としましては先ほど申しました65%という実施率を設定しております。
 一番下の目指すべき社会としましては、国民全体が心身ともに健康的で活き活きと過ごせる社会の実現、これはスポーツ基本法にも書いてあるところでございます。あと、健康長寿の延伸、医療費の削減、スポーツによる企業全体の生産性向上は、スポーツだけではないかもしれませんけれども、上のインパクトと循環をして、こういったところに貢献できればということでございます。
 こういったモデルを新たに作成しまして、今後とも効率的、効果的な事業運営に努めてまいるところでございます。
 指導方、よろしくお願いします。以上でございます。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、論点について御説明をさせていただきます。論点等説明シートを御覧ください。3点ございまして、1点目としては、事業をより効果的に実施するための、今後の事業展開の在り方について。2点目として、事業成果の普及・活用について。そして、3点目として、事業成果検証のために適切なアウトカム、アウトプットは設定されているか。以上、3点が論点として提示されております。これらについて御議論をお願いいたします。
 亀井委員。
【亀井委員】  ロジックモデルのところは、是非、後で議論したいんですが、その前のそもそものところを、是非、認識として教えていただきたいんですけれども、36ページ、これはスポーツエールカンパニーの認定企業を対象とした、スポーツ取組の効果ですという形が見えてきましたと。それで、全体として、誰がどういうように動いたのかというところは、もうちょっと詳しく分析する必要があるんですけれども、取組参加前と後ではスポーツを行っている人が増えてきましたと。
 これを37ページ、38ページで見てみると、37ページは以前は余りなかったんだけれどもという話ですが、38ページを読んでちょっと分からなくなったのは、会社でもできる気軽なものもスポーツであることが分かり、取り組みたいと思うようになったということで、もしかしたら、そもそもスポーツの定義が変わったのかもしれないというのは、ちょっとここはどういうように考えたらいいのか。今まで自分がやっていたものもスポーツと呼んでいいのか、みたいなところも含めてあるのかなと思いました。
 一方で、39ページ、ここがそもそものところなんですけれども、資料としては、よかったというところが44%、49%、42%という形で強調されているんですが、私は、すみません、人間がひねてくれているのかもしれませんが、グリーンの方をどうしても見てしまうんです。グリーンの方を見てしまうと、余り変わりませんという話が結構多いです。そういうことを考えると、そもそも効果があるかよく分かりませんというような形で言うと、もしかすると皆さんのお立場としてはお話ししにくいのかもしれませんけれども、なぜそもそも国民の税金を使って、スポーツをしましょうという企業を応援する取組をやらなければいけないんですか。それは、例えば公衆衛生上の観点でいけば、健康のためだとか、最終的に社会としてコストが掛かるからとか、そういったようなことは分かるんですけれども、それであれば恐らく文部科学省やスポーツ庁でやる必要はないわけであります。だとすると、この事業はなぜここでやらなければいけないのかというところについて、まずそもそものところを教えていただけますでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。一番最後の部分だけよろしいでしょうか。
【亀井委員】  いや、ごめんなさい、この数字をどう読んだかというところも含めて。
【説明者】  分かりました。
 まず、1点目、38ページのところは、確かにスポーツの定義といいますか、企業の中のスポーツの取組は、企業ごとですけれども……。
【亀井委員】  いや、ごめんなさい、その前のところで、もし御存じであれば、36ページのシフトしたというのが、例えば3日やっていた人が5日になったのか、2日やっていた人が3日になったのか、そもそもやっていない人がやるようになったのか、そこら辺の全体像をどう把握されているか。ここにあるものではなくて、クロスでやっていらっしゃれば当然、分かると思うんです。そこは御存じですかというところが最初です。
【説明者】  今の点でございますけれども、対象者がトータルとして前後でどう変わったということでありますので、今、おっしゃったように、たくさんやっていた人が下がっているかもしれませんけれども、全体としては、週1回以上というトータルで見ていただくと、母数に対して週1回以上やっている方が上がったというのがこのデータでございます。それぞれのクロスまでは、今、手元にはございませんけれども、データとして割合が上がったというのがまず1点でございます。
 38ページの定義のところでございます。こちらは、すみません、右にありますけれども、元々苦手意識があったが、会社でできる気軽なものもスポーツであることが分かり、取り組みたいと思うようになったと、こういった聞き方をしていますので、スポーツの定義といいますか、それぞれの企業で行っている運動ですとか、スポーツの取組についてこういうような認識を持ったということでございますので、委員おっしゃるとおり、競技性の高いものではなくて、それぞれの企業が会社の中で取り組んだものもスポーツだという理解も進んだ面もございます。
 あと、39ページでございます。おっしゃるとおり、変わらないというのがこのアンケートの中では非常に出てきます。ずっと見ていきますと、これは従業員調査と企業調査を行っているんですけれども、やはり元々やっている人も一定数いらっしゃいまして、そういった方は意識も変わらないし、取組も変わらないというところがございますので、緑の変わらないという部分は、もともとやっている人もいるし、なかなか企業の取組で響かなかった方が交じっている可能性があるというところでございます。
【亀井委員】  ごめんなさい、その上で?
【説明者】  その上で、国としてなぜこの事業をするかというところでございます。元々スポーツ庁というのは、スポーツの振興を通じて個人ですとか、団体ですとか、スポーツ庁ができたとき、スポーツ庁のミッションとしましては、すみません、スポーツの取組を通じて国民の心身の健全な発達、明るく豊かな国民生活の形成、地域社会の形成、国際的な調和に寄与することを目的としております。そういった中で、特に国民全体のスポーツの振興を通じて、こういった価値を見出していくことが一つのミッションと考えてございます。
 各省庁が取り組んでいるのも、もちろんそのとおりでございまして、元々各省庁でやっているスポーツ行政の一元化という形でスポーツ庁ができたところでございますので、それぞれのパートといいますか、例えば健康というキーワードですと厚生労働省ともちろん連携をして、相互に効果を上げるような形で取り組んでいきたいと考えてございます。例えば、お手元の資料の57ページ、後ろの方でございますけれども、健康というキーワードでスポーツ庁が進めるべき分野、厚生労働省が進める分野がございます。
 こういった事業を進める際には、今、両省で連携会議を設置しまして、58ページ、FUN+WALKの取組、特に健康リスクを持っていらっしゃる方が中心かもしれませんが、スマート・ライフ・プロジェクトといったところで,運動、スポーツ、健康というキーワードにつきましては連携をして、両者相互に連携という形で進めているところでございます。
【亀井委員】  大変失礼ながら、やはり36ページのレベルでクロス分析が行われていないというのは、政策官庁としてあり得ないと私は思います。どの集団が、どういうように動いたということを、まずきちんと分析する。つまり、スポーツエールカンパニー認定企業が、どの層を相手に、どこをどういうように動かそうとしているのか。さらに言えば、今、目的としてありましたけれども、連携をしていますということではなくて、スポーツ庁としては、どういう目的でスポーツを国民の皆さんに推進させるのかという意義のところの説明も不十分だと思います。これだけのいろいろなプロセスをやってきながら、まだ分からないというのは、ちょっといかがなものかと思いますので、是非、ここは善処していただきたいと思います。
 取りあえず、この段階では以上です。
【説明者】  分かりました。データもございますので、トータルの数字で比較をお示ししただけで大変申し訳なかったんですけれども、ローデータがありますので、また詳細は分析して……。
【亀井委員】  いや、大事なことは、ローデータがあるからということではなくて、政策官庁として、自分たちがどの集団に、どう働き掛けているか。これは意識の問題で、皆さんが政策官庁として何をするかというところを明確化していただく必要があるということだと思います。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ほかに。先ほど吉田委員、いいですか。
【吉田委員】  ちょっと質問ですが、これは一応、企画コンペですよね。企画競争と書いてあるんですが、お伺いしたいのは、9,200万円の予算で、A、B、C、D、4段階が支出先になっているんですが、まずAとCに関しては応募者が1なので、競争性が実はなかったということですけれども、これは同時に募集コンペをしたんですか、それとも4つ別々にコンペをしたのでしょうか。
【説明者】  これは別々でございます。
【吉田委員】  その際に、企画コンペの場合、当然、コンペ要件、どういう目的で、どういう効果で、どういう指標測定をします、その方法に関して企画を出してくださいという形ですが、それに関して、Aの事業とBの事業について、どういう条件をクリアしなさいという企画要件だったんでしょう。
【説明者】  お手元の資料の11ページの右側に事業内容とございます。ここのスポーツエールカンパニーが、こちらで言うとBの部分、下のFUN+WALK事業がAの部分となります。こちらに書いてございますけれども、事業内容をこちらに提示してまして、丸の所でございますけれども、この項目についての企画提案でございますので、こちらの事業についての提案を求めたところでございます。
【吉田委員】  なるほど。実は、この質問をした理由は、非常に失礼かもしれないけれども、いろいろお聞きしてきたんですが、やはり戦略的な検討が全て不十分な事業だと思わざるを得ないところが多々あります。一つの原因としては、文部科学省が企画コンペをする前の段階で、きちんとした目的と、それに対する戦略的な練りよう、しっかり練度を上げて企画コンペの条件を提示しなかったのではないかということで、今、お聞きした。
 もう一つは、こういうものの場合に、やはり企画コンペをやって、1者しか応募しなくて1者採用というのは、相当、文部科学省の戦略や評価基準に合致した、若しくは、それ以上のものが出てきた場合に限られると思うんです。本来は、再入札すればいい話です。これは、1回の入札だけですか。再入札はしていない?
【説明者】  はい。
【吉田委員】  そういうことですよね。そういう意味では、この前からいろいろな議論をさせてもらいましたけれども、委員の皆さんの意見も聞きましたけれども、政策事業としての熟度や、検討の練度は非常に低いだろうと思うんです。やはり企画コンペの在り方は、抜本的に検討し直す必要があるのかなと思っています。
 それが一応、私の質問とコメントなので、お答えは結構です。そうですか。はい。
【説明者】  ありがとうございます。1者応札というところは、前々から非常に重く受け止めていまして、31年度につきましては、おっしゃるとおり仕様書の明確化ですとか、募集期間の改善ですとか、そういったことを行いまして、この事業につきましては4者応札という形になっております。
【吉田委員】  ありがとうございます。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  では、川澤委員、その後に伊藤委員でお願いします。
【川澤委員】  すみません、ちょっとまた話が戻ってしまうかもしれないんですけれども、先ほどスポーツの定義、捉え方が違うことで、少しアンケートの結果に変化があったのではないかというお話ございましたけれども、今回から議論を聞いている方もたくさんいらっしゃると思いますので、いわゆるインパクトとしてロジックモデルの中でも、成人のスポーツ実施率を週1回以上が65%程度と大きな目標として掲げられています。ここに至る取組として、歩くということが予算の半分ぐらいを占めている、FUN+WALKの取組の半分ぐらいを占めているわけです。この歩くことで、週1回のスポーツ65%程度にどうつながっていくのか、まずそこはいかがでしょうか。
【説明者】  スポーツの種類につきましては、ウオーキング、ダンス、サイクリング、様々な身近なスポーツも含めてスポーツと捉えております。この事業の中で歩くを捉えているのは、課題認識のところで、どうしてもビジネスパーソンの方ですと仕事が忙しいですとか、そういったところがございますので、まず身近なところからということで、現状のスポーツ実施率の中でも一番身近なものがウオーキングという形になっていますので、スポーツの入り口としてはまずウオーキングから取り組もう、いろいろな側面から取り組めるのではないかということで取り上げたところでございます。
【川澤委員】  歩くこともスポーツであるというお考えの下でやられているわけで、そうすると歩く度合いがどのぐらいであれば十分なのか。単に、少し歩いただけで週1回65%というのは、恐らくほとんどの人は歩くことがあると思いますので、その意味では、どのぐらいのレベルまで歩くことをもって、週1回以上が65%と想定しているような状況を達成しているのか、その辺りはいかがでしょうか。
【説明者】  お手元の資料の40ページの所でございますけれども、この事業につきましては、目標歩数は1日8,000歩で、これは健康日本21でも言われていますけれども、1日プラス1,000歩、歩こうということを一つの目標にしています。現状、女性は少し少ないんですけれども、プラス1,000歩をすると、8,000歩なり、9,000歩なり行くだろうということで、まずは設定をしております。目標歩数としては、こういうものを選定しているということでございます。
【川澤委員】  そうしますと、効果分析という意味では、現状として日本全国の人の測定は難しいわけですけれども、例えば認定企業の中でですとか、若しくはモデル事業の中でですとか、基本的なこれまでの歩数から、この取組によってどのくらい歩数が伸びたですとか、そういった効果検証というのは一部の地域だけでもされているんでしょうか。
【説明者】  例えば、FUN+WALK PROJECTに賛同して、ロゴマークを申請した福井県の例もあるんですけれども、FUN+WALKを始めた前後で職員の方の歩数がどれくらい増えたか。実際は、平均千二、三百歩増えたと聞いています。あと、それに伴い、歩くことへの習慣が付いたということはまず伺っております。
 また、私どもスポーツ庁も、実は2月にFUN+WALK月間という形で、職員の皆さんに1か月トライアルをしていただきまして、平均歩数は1万500歩ぐらいだと思うんですけれども、歩数が全体的に増えたということと、大事なのは、終わった後に大体9割の職員の方に歩く習慣が出来たということもアンケートで出てきています。ちょっとまだ一部のデータではございますけれども、そういった評価も行っております。
【川澤委員】  まさにそういった、これはもう本当に国民全体の運動というわけですから、そうではなくて、やはり一部の取組で効果があった、どういった働き掛けであったり、声掛けであったり、全員でゲーム性を高めるとか、そういうところは効果があったのかというところをやはり具体的に分析されて、それをある意味、もう少し幅広い地域で展開するとか、そういった着実な一歩一歩がなくて、今、何となくキャンペーンをやりました、国民全体に周知しましたと。では、それが65%の方の歩くことの習慣化にどうつながるのか。やはり分かりにくさというのは、当然、あると思いますし、効果の見えにくさというのもあると思いますので、そこは事業の進め方のアプローチとして、少し規模を絞って、成果のあった取組は広げるみたいな、モデル事業的な取組ですとか、そういったことも考えられるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。おっしゃるとおりでございます。例えば、資料の47ページを御覧になってください。いろいろな研究があるので、一概にこれとは言えないんですけれども、特に歩くことへの健康影響というのはかなり論文も出ておりまして、これはそのうちの一つでございますけれども、特定の地域で13年間、疫学的に調査をした結果,8,000歩でこちらに書いてある生活習慣病の多くが改善されるのではないかというデータもございます。こういったデータも一つございますけれども、今、おっしゃったとおり、これをすることでどういうような効果があるという発信が不十分であるとは考えておりますので、そういったデータも使いながら発信していきたいと考えております。
【亀井委員】  ちょっと今の点。ごめんなさい、発信ではないんですよ。例えば、48ページの所、こういう類いの論文は他の分野でもあって、文部科学省ですと、昨年、読書の推進をやりました。読書をやった人たちは、まさにこの部分について先行研究、様々な先行研究を使いながら、どういうようなところにアプローチをすると、どういう効果を長期的にもたらしていくのか、子供の読書というのはどういう意義があるのか。これは、様々な研究者が研究しているはずです。スポーツにおいても同じようにあるはずです。それを駆使しなければいけなくて、このイメージで留まるレベルではないんです。
 それは発信ではなくて、先ほど政策的検討の練度が足りないというお話があったんですけれども、まさにそこを、文部科学省の中にも知見があるわけだから、他の分野からきちんと引っ張ってきて、そういう検討をされることが、この事業がEBPMに何で選ばれたかというと、そういうことができるはずだから選ばれているわけで、是非、そういった形の検討をしていただきたいということを申し上げている。決して発信ではないということであります。
【説明者】  分かりました。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  伊藤委員。
【伊藤委員】  今のことにつなげて、既に研究、本当にあるんです。平成24年の厚生労働省の健康日本21の中にも歩数の研究結果が出ていますし、国土交通省のまちづくりの観点からコンパクトシティーにおける歩くことの意義という研究も出されていて、先ほど7,000歩というお話がありましたけれども、8,000歩でしたっけ、7,000歩でしたっけ。今、8,000歩を目標にしているんでしたっけ。
【説明者】  はい。
【伊藤委員】  既に22年度の調査の段階で、地方と大都市と全部並べて平均7,000歩ぐらいに行っているから、ある意味、エビデンスだったり、研究は既に出されている。その中で、多分、ここからは同じ話になってしまいますけれども、何でここで機運醸成になってしまうのかというのが、なかなか理解できていないところがあるんです。もし、本当に歩数、歩くことによる、今回、一番大きなインパクトでいくと、医療費の抑制であったり、健康ということが書かれているので、そこを目指すのであれば、まさにその研究結果をより知らしめていくことにもなるだろうし、機運の醸成というよりも、それぞれの自治体だったり、地域の中でどれぐらいこういう歩くことをやっているかということを捉えなければいけないし、実はそれはスポーツ庁としてやるものでもなくなっているのではないか。これは既にほかの省でやっていることでもあるから、今、このタイミングでスポーツ庁が、歩くことによって週1回以上のスポーツ実施率を65%にする、それが結果的には医療費抑制だったり、健康につながるんだというところまでする理屈が、このロジックモデルの中と、ほかの省庁でやっていることを考えると、その一つが見えないと思うんですが、そこについてはいかがでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。健康日本21の中での歩数の実績ですとか、国土交通省はそういった厚生労働者のデータを使って、都市部と地方部の分析をしたというのは承知しております。特に、地方部においては6,000歩台とか、なかなか歩いていないという現状等は分かっています。
 一方で、スポーツというのは歩くことだけではなくて、様々な身体活動といいますか、種目があると思いますけれども、少なくとも週1回、運動をする、スポーツをするといいますか、運動・スポーツ習慣があるかどうかというと、一番最初におっしゃった、今、上昇はしていますけれども、55%、2人に1人がやっとやっているような状況です。データを蓄積するというよりも、歩くことの効果もある一方で、なかなかスポーツ実施率が上がらない中で、特にビジネスパーソンというキーワードでいくと、仕事が終わって、なかなか本格的なスポーツをするのが難しい中で、まさに身近な歩くということに着目して、スポーツ実施率を上げていこうというところでの取組でございます。ですから、いろいろなデータも活用しながらスポーツ参画人口を増やすということで、一番身近な歩くに着目したところでございます。
【伊藤委員】  実際、そのためにやっているのがFUN+WALK PROJECT、要はロゴマークを作ることであったり、機運の情勢ということになってくるかと思うんですが、企業側からすると、今、これをやっていることのメリットというのは、たしか事前勉強会の話でいくと、イメージアップだったり、社員自体がそれで少しスポーツをしてもらって健康になってくるというメリット、ある意味では直接的なメリットというわけではないと思うんです。この認定を受けたら何か助成を受けられるとか、そういうものではないですよね。だからこそ、ビジネスパーソンに対しての歩く視点に、先ほど川澤委員からありましたけれども、今回の事業費の半分、約5,000万円を使って機運の情勢をすることがどこまでつながるのか。
 今、私が仕事でやっているのは、ある町へ行って、その町に住んでいる人たちも、そこは田舎の町なので、全て車で行くから平均歩数が1日大体4,000歩。そのときに、こういうように機運の醸成をしましょうと言ってやるのか。そこには一つ大きな特徴があって、オリンピック選手が多いという特徴があったから、もともとスポーツ庁でもおっしゃっている「する」「見る」「ささえる」の観点から、少しずつスポーツに関わってもらおうということを去年から始めていて、結果にだんだんと、歩くだけではなくてスポーツをするように、運動をするようになってきている。
 実は、アプローチの仕方というのはいろいろあって、ここからは主観になってしまいますけれども、たくさんあるアプローチの中で、どうしてこのロゴマークだったり、エールカンパニーのように認定をするということになっていくのかが、まだ自分の中では理解ができない。ここに1億円使うのだったら、もっと違うところに使えるのではないか。去年、やった健康ポイントだって、ある意味、同じような趣旨でやられている。そういうようなところについて、もし御意見があればお聞かせいただきたいんですが。
【説明者】  ありがとうございます。今回、ビジネスパーソンへのアプローチとしては、まず企業へのアプローチとしては、先ほどのスポーツエールカンパニー企業認定ということで、これは歩くということだけではなくて、資料の33ページ以降にありますけれども、様々な企業への取組があります。週1回、1時間、早期退社して、好きなスポーツを計画的にやっていただくとか、こういったかなり先進的な取組がある一方、多くの、全体で5,000万人、6,000万人というビジネスパーソンに対して、そのうちの運動・スポーツをしていない人に声を広げるということでいくと、本格的なスポーツというより、繰り返しになりますけれども、まず歩くということに着目した。ですから、啓発活動と、それぞれの企業の取組を進めるという、事業としてはこの2段階でやっているところでございます。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  では、吉田委員、亀井委員。
【吉田委員】  まず、FUN+WALK PROJECTに関しては、今も議論が出ていましたけれども、少なくとも歩くとか、有酸素運動が有効であるという話は、ほぼ全ての国民は知っている状態で、今更、ムーブメントを起こすと言っていますけれども、もうブームのピークは去っただろうという認識です。それが正しいかどうか分からないですが。
 しかも、経費を全部、A、B、C、Dを見ると、人件費も含めて、ほぼイベントに行っているお金なんです。幟やチラシ、印刷物、それにイベントで必要だった人件費ということです。この9,400万円のお金をイベントに使って、基本、そういった壮大な目標を達成できるのか疑問です。そもそも、やはり現状の認識が違うのではないかと思っています。1つは、先ほど言ったように啓発活動の段階ではもうないだろということ。それから、もう一つ、出しているアンケート結果を見ると、多分、もう一個、別の質問をぶつけると、みんな運動すればいいと分かっているけれども、という理由なんですよ。ほとんど上位は。分かっているけれども、こういう理由でできないんだという答えになっているんです。でしょう? 運動が役に立たないとは誰も言っていないんです。
 だから、はっきり言うと、この課題を、運動をしたくてもできない理由をクリアするようなことに対して、国なのか、自治体なのか、企業で何ができるかという話なんです。それに寄与しているかというと、スポーツ推進企業の認定、この前もお聞きして、はっきりした答えをもらっていないんですが、これは取り組みますと言った企業を認定しているのか。認定というのはおかしいと思うんですが、ちゃんと取り組んで、こんな実績を上げて、ビジネスマンが仕事や家事が忙しいからできないという理由を取り除いてあげて、たくさんスポーツするようになったという実績を上げた企業を表彰的に認定しているのか。一体、認定とはどういう意味なのか、まず1点、質問に答えてください。
 その認定が、要するに促す方なのか、モデル的に表彰するという話なのかによって、その後の展開は全く違うはずなんです。表彰事業というのは、僕は一つ効果のある事業だと思っているんですが、取り組んでいない企業を認定して促すというのは、戦略的な効果として、こんな事業、今まであったのか不思議で、そこに本当に効果があるという理由を逆に教えてほしい。
【説明者】  ありがとうございます。お手元の資料の11ページの所に認定条件がございますけれども、取組実績があって、その取組実績を申請していただいた企業の中から認定するというのが一つでございます。経営者をはじめ、企業全体が推進している取組ということで、この取組は本当に審査をしていても様々でございますので、基本的には経営者の方が主体的になって、従業員の方の参加の下で一定の取組実績があるものを認定しております。そういった意味で、モデルということではないかもしれませんけれども、多くの方がこういったことをきっかけにして認定をしていただくということになります。
 一方で、昨年ですと350社ぐらいの認定があるんですけれども、実際、従業員への取組がすごくすばらしいものもございますので、そういったものは好事例といいますか、いろいろなジャンルでの取組は御紹介しているところでございます。
【吉田委員】  結論から言うと、実績を出した企業を認定する、ある意味、表彰的な事業ですよね。モデル企業を表彰して、モデルに従えというための事業ですよね。これは政策としては有りなんです。であれば、その実績があった、なかったの基準は何なんですか。
【説明者】  認定基準にありますけれども、具体的にここまでやれということは、正直、書いてはございません。それぞれの企業の中で、従業員が行うスポーツ活動による支援、促進とございますけれども、まず企業主体で従業員のために、会社が主体となってスポーツ活動しているかを記載いただきまして、どういう実績があるかを個別に審査するという形です。
【吉田委員】  要は、こういう取組をしたから、こう改善されたということがなければモデルにはならないわけです。そこが明確に具体化されているのかどうかだけ、イエスかノーかぐらいでお答え。
【説明者】  申請の段階ではございません。実際、取組しているところを認定しまして、更に認定してから、例えば1年後ですとか、どう改善したかは報告を求めております。
【吉田委員】  ありがとうございます。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  次、亀井委員ですが、その前にコメントシートの記入を、今回はまだ出ていないので、すみませんが、よろしくお願いいたします。
 では、亀井委員、お願いします。
【亀井委員】  ちょっと論点を変えて、ロジックモデルを作られたと思うんですが、いろいろと手前を掛けていただいて、ありがとうございました。これ、大体、全ての担当課の皆さんに聞いているので、お伺いしたいんですが、これを作ってみて、この事業の課題はどこら辺にあると認識されましたか。
【説明者】  年度当初にこの話を頂きまして、初めてロジックモデルを作りまして、少し全体的な話をしますと、私ども、第2期スポーツ基本計画のスポーツ実施率65%という大きな柱に向かって、できることを色々やろうという形でずっと取り組んで、なかなかそこが明確でないという御指摘も頂きまして、今回、初めて手前の初期、中期アウトカム、中期、長期と、それぞれ段階を取って事業の中の、何といいますか、やるべき絞り込みができたといいますか、そういった意味では従来と比べてやるべきことが少し見えてきたのと、これからの事業運営の見直しのきっかけになったというのが一つでございます。
 もう一つは、測定指標も、併せて前後で事業を見ていきますと、例えばFUN+WALK PROJECTについては、どちらかというと個人へのアプローチが多かったので、企業、団体へのアプローチが少し足りなかったですとか、前回勉強会でも御指摘いただきましたけれども、都会部と地方部の違いですとか、その辺はかなり数字でも出てきていますので、事業の中でフィードバックしながらやらなければいけないという課題は持っております。
【亀井委員】  ありがとうございます。もうちょっと教えていただきたいんですが、事業を見直すきっかけになったというのは、何を具体的に見直そうと考えていらっしゃいますか。
【説明者】  例えば、普及啓発の相手ですとか……。
【亀井委員】  普及啓発の相手というと、例えば従来はこうだったんだけれども、今後はこうしようと思うというところで具体的に教えていただきたいんですが。
【説明者】  分かりました。1つは、言ってみると東京中心のPRイベントしか今までしておりませんので、今、各地方部の取組が非常に手薄といいますか、ほぼできていなかった部分はございますので、全国展開といいますか、そういったところに目を向けなければいけないということがございます。
 あと、発信先は、割とイベント的にマスコミ等に発信するのが中心でしたけれども、スポーツエールカンパニーのような企業への取組も非常に効果がありますので、FUN+WALKについてもそういった主体といいますか、法人ですとか、団体ですとか、そういったところの取組も非常に弱かったところがありますので、そこは見直しをしたいとは考えております。
【亀井委員】  ありがとうございます。ごめんなさい、私、ロジックモデルを作って、どうしてそうなったのかが、いま一つ、まだ分からないんですけれども、大体ロジックモデルを作ると、要はインパクトから考えていったときにという話でもありますし、あるいはアクティビティから考えていったときにということがあるんですけれども、アウトカムの中のつながりがやはり曖昧であるということがすごく言えると思うんです。これは、今、書いてあるロジックモデルも、多分、そうだと思います。だとすると、ここでどういうようなパスを作るのかとかいうところが曖昧な状態で、ちょっと今のような、何ていうか、マイナーチェンジレベルの話ではないような気がするんですけれども、ここら辺はいかがですか。
【説明者】  ありがとうございます。最終的なインパクトから逆算するというところで、私どもも、どうやってこの事業に直結したアウトカムを構成できるかと考えているんですけれども、今、ちょっと御指摘もありましたけれども、こういった目指すべき姿を書きながら、どういった測定指標があるのかも含めて、今の御指摘も含めて、ここは更に検討したいと思います。
【亀井委員】  本当は、やはりこのプロセスで、今までもう何往復かしているので、大体、きょうの段階である程度見えているという状態であってほしいと思いますし、今回、文部科学省をやっていても、ほかの担当課はそこがもう明確に見えているし、大体、共有できている感じもあるので、是非そこは、先ほど申し上げましたけれども、ほかの知見を生かしながら進めていただくしかない。そういう形で言うと、恐らくこの事業の形態では全くないものになるのではないかとお話を聞いていて思ったものですから、是非、そこも含めて考えていただく必要があるのではないかと思いました。
 以上です。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  伊藤委員。
【伊藤委員】  先ほど来の、今までの研究の中で、大都市部よりも地方の方が歩数は小さい。これは何でかというと、もう当たり前ですけれども、車を使うからということになると思います。最終的には、一応、この事業としては、歩いてもらうことによってスポーツの実施率を高めていこうというロジックモデルになっている、ただ、事実上、今、歩いている所が中心に、もともと歩数の多い都市部が中心になって認定を受けていたり、イベントが東京中心になっている。そういうようになってくると、繰り返しになってしまいますけれども、本当はもう課題は何年も前から分かっていて、ビジネスパーソンになかなか打てていないという課題の解決策としてこれをやろうとしているけれども、実際には、もっと大きいのは都市と地方の部分であって、地方にどれだけアプローチがこの事業でできているのかと考えると、少なくとも企業も見ていると、そうなっていないのではないかと思うんです。
 それよりは、もし本当に歩くということがスポーツ実施率、さらにはその先の医療費抑制だったり、健康につながるというようになるのであれば、いかに地方の生活、生活習慣を変えていくかということを考えなければ難しい。今、考えられている課題の解決にはならないのではないかと思うんです。車で通勤しているものをどうやって歩くように変えるか、これはどこの自治体でも困っているところであって、別にこれは1個の話だけではなくて、他の公共交通機関をどうするのかというほかのものも複合的に絡まってくるので、そう簡単に出てこない。そう考えてみると、通勤自体、通勤時に歩くか、歩かないか以外のことを考えなければいけなくなる。
 そうなってくると、本当に解決したいターゲット層にこの事業では行き当たらないのではないか。結局、機運の醸成で盛り上がってくるのは、元々どちらかというと歩いたり、運動しやすい環境にある大都市部になってはいないかと思うのですが、違っていたら教えていただけますか。
【説明者】  ありがとうございます。地方と都市部の課題というのは、この事業の最初からの大きな課題ではありますので、そこの問題意識は非常に合っていると思います。ですから、官民連携協議会という中で、官だけではなくて、企業の方の御協力も得ながら、どう発信していくかというところが本年度も含めての課題になっています。
 お手元の資料の45ページに、数は少ないんですけれども、FUN+WALKに賛同した地方自治体の取組もありまして、例えば福井県はFUN+WALKを進めようということで、県内300社の企業に歩くことを進めたり、私どもは予算を措置しているわけではないですけれども、こういった取組が地方自治体を介したり、企業ですとイオンモールが全国展開してモール内のウオーキングですとか、全国といいますか、そういった取組も今、進んでいるようなところですけれども、いずれにしても今後の大きな課題であることは間違いないと思います。
【伊藤委員】  お話を伺っていると、アクティビティと、初期、中期アウトカムにまだまだ乖離があって、これを進めていったらアウトカムに結び付くと、今の説明では思えないんですよね。それよりは、歩く以外のスポーツ実施の観点も考えなければいけない地方の中でいくと、田舎だったら歩かないけれども、農作業している人間は運動していないのかという話と結構同じようなことになってくる。
 この後、政策官庁であるスポーツ庁が考えなければいけないのは、1つは、これは前から同じ話になりますけれども、スポーツ実施率65%と言っているスポーツの捉え方を明確にしなければいけなくて、少なくとも今、現実においても、自治体によってアンケートを取るときの捉え方は違っているし、歩くことを運動に入れていない自治体の方が実際には多いというようなところをちゃんと明確にすることが、スポーツ庁の役割にもなってくると思います。
 もう一つは、結果的に今の事業ではゴールには行き着かないから、違う手段を考えなければいけないのではないか。多分、次に出てくるのはスポーツクリエーションという、新たなスポーツ、スポーツが苦手な人でも楽しめるスポーツを作るんだというところも出てくるかなと思うんですが、こちらの方こそ既にいろいろな地域の中で、昔からやっている地域のスポーツというか、運動をもう一回やり直してみましょうというようなことは結構動いているから、本当はそういうものをスポーツ庁で把握することの方が、現時点において重要な役割のような気がするんです。すみません、意見です。
【説明者】  ありがとうございます。
【伊藤委員】  はい、川澤委員。
【川澤委員】  今のお話でもあったと思うんですが、やはり施策の手段は周知だけではないと思うんです。恐らくイベントをやったりですとか、それも一つの手段だと思うんですけれども、例えば自治体の取組について補助金を出すとか、企画競争の後に補助金を出すとか、企業に福利厚生の関係で助成金を出すとか、いろいろなアプローチがあると思います。モデル事業的に一つの地域で実施することもそうですけれども、余り出先機関もないと思いますし、マンパワーの問題もあるとは思うんですけれども、やはり1億円の予算を使っているわけですから、どの施策、手段が有効かというのは、もう一度、改めて考えていただかないと、先ほどお話があったように、やはりアクティビティから最後のアウトカムまでのつながりというのは、この手段では到底、行き着かないようになってくると思います。そこは是非、今回をきっかけに、ほかのいろいろな手段を含めて、幅広く御検討いただければと思います。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  亀井委員。
【亀井委員】  大変厳しいことを申し上げるようですけれども、私、きょうの資料に、これまでの検討不足が全て表れると思っています。ほかの局、担当部課は、大体16ページから17ページです。この事業については61ページあるんです。ここが多分、先ほど吉田委員おっしゃった戦略的検討が進んでない証左でありまして、要はこの事業は、どのような意思を持って、どのような人を相手に、何をするのかというところが、まだ曖昧なのだと思います。これだけ重ねてくると、何回か重ねてきた中で、ほかの担当課は資料を絞り込んできました。確かに、一時期は物すごく増えた時期もあったけれども、絞り込まれてきました。
 この事業については、それがなされていないし、先ほどのロジックモデルのやりとりについても、伊藤委員おっしゃったとおり、アクティビティと初期アウトカム、中期アウトカムの間が、長期アウトカムはちょっと別にして、これはほかのいろいろな影響がありますから、その間の論理的な因果関係をなかなか見出しにくい。そこについての言及がないまま、だから事業の見直しのコメントもそこから離れたものになってしまっているというのが、今、この場で行われたやりとりなものですから、やはり率直に申し上げて、これは事業そのものを本当にゼロから見直さないと、私、スポーツを推進していくというそもそもスポーツ庁が設置された意義というのは重々あると思います。だとすると、その上でどういうことをやらなければいけないのか、更に言えば厚生労働省がやっていること、あるいは、ほかの役所がやっていること、様々やっていること踏まえたときに、それでもスポーツ庁がやらなければいけないことというのはあると私は思うんです。
 そこを政策官庁としてきちんと立案し直すという意味では、私はこの事業を廃止と先ほど書きましたけれども、書いてもう既に出していますけれども、どういう結果が出るか分かりませんけれども、そのぐらいのつもりで、是非、ほかの先生方はどういう形で書かれたか分かりませんけれども、根本から見直しをしていただく必要がある。先ほどおっしゃったとおり、周知やイベントではない方法も含めて、幅広く御検討いただく。そもそもスポーツ庁として、なぜをこれでやらなければいけないのかというところを、もう一度、明確化していただく必要があると思いますので、そこはくれぐれも前向きに御検討いただいたらいいのではないかと思います。
 これは意見として申し上げます。コメントは不要です。ありがとうございました。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ほぼ御意見は出尽くしたと思いますが、ちょっと取りまとめに時間が掛かります。では、どうぞ。
【川澤委員】  ちょっとすみません、観点を変えて。こういったスポーツ実施率について目標を設定して、歩くということを検討するような取組は諸外国でも行われているんですか。今、いろいろな方法を考えた方がいいというようなことを申し上げたんですけれども、参考までに諸外国でも行われているのであれば、少し教えていただければと思います。
【説明者】  ありがとうございます。今、瞬間、諸外国で歩くということはちょっと思い付かないんですけれども、例えば英国のイングラウンドでは若い女性のスポーツ実施率が非常に低いということなので、今、すごく大きなキャンペーンをやっています。例えば、歩いたり、サイクリングしたり、ダンスをしたり、身近なスポーツをしようというキャンペーンを今、やっているということは伺っております。
【川澤委員】  やはりアイデアは、先ほどもおっしゃったような地域で、もうかなり前から取り組まれているものもあると思いますし、若しくは、全然地理も違いますし、全く状況は違いますけれども、諸外国の取組で参考になるようなこともあるかもしれませんので、そこも含めて幅広く検討いただければと思いました。コメントです。
【説明者】  分かりました。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  伊藤委員。
【伊藤委員】  最初のお話の中で、スポーツエールカンパニーが広まっていって、どんどん宣伝効果として、それでだんだんと認定されている企業の社員、若しくはこういうことはいい取組だということで、幅広くいろいろな人たちが運動するようになればいいというお話あったかと思うんですが、スポーツエールカンパニーということ自体の波及度がどれだけあるのかと感じたんです。少なくとも、私は今回、初めて知ったというのと、多分、これは2017年度からで、実際には2018年1月ぐらいに発信が始まったと思うんですが、先ほど新聞検索で、業界紙から全国紙まで全部でどれぐらい載ったか見てみたら38件なんです。全国紙に載っているのは1回だけということを考えると、この取組への波及度もそれほど高くなっていないのではないか。企業、企業の中では、もちろん347社は自分たちでやっているけれども、本来の目的はその企業の中だけでという話ではなくて、これがどんどん、どんどん波及していくということが最初の御説明の中の目標だったはずだから、そう考えると、元々の手段も余り結び付かないような気もするし、スポーツエールカンパニーのやっていること自体も、まだまだ結び付いていないと言ってしまってもいいのではないかと思うんです。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  どうもありがとうございました。では、取りまとめ役の有川委員より、評価結果、及び取りまとめ案の提示をお願いいたします。
【有川委員】  お待たせしました。
 評価結果、集計につきましては、廃止が3票、事業全体の抜本的な改善が3票になりました。本件も、3対3という結果になっております。
 主なコメントについて紹介させてもらいます。
 スポーツの定義を提示してから企画競争をしたのか否かが不明である。個人のインセンティブなのか、企業へのインセンティブなのかも不明だ。こういった点から、本事業のアウトカム設定が適正に行われていないと考える。
 また、別の委員は、あることの重要性を周知するのではなく、一定の地域での歩数を着実に増やし、横展開するようなモデル事業的な取組と、効果検証に転換すべきではないかという意見。それから、文部科学省の事業として、本事業の目的が明確な形に絞り切れていないのではないか。そのこともあって、本事業の目的と手段との関係、連携が分かりにくい。したがって、どうしても本事業のロジックモデルが適切に構築できないという意見。また、戦略的検討が不十分なまま事業化したという印象が拭えない。抜本的改善でも適正化は難しいのではないか。改めて基本的なロジックモデルを作り直し、新たな事業の立案を検討されたい。
 また、別の委員は、データがあるにもかかわらず分析が行われていない。政策官庁としての戦略的検討が不十分である。結果として、事業の必要性、意義に関する説明ができていない。EBPMとしても、自ら課題を見出すことができていない。これだけ検討不足の状況で、事業を存続すべきではないという意見であります。
 また、別の委員の意見ですけれども、この事業によってスポーツ実施率65%以上という目標実現に影響が出るとは思えない。スポーツの捉え方を明確にした上で、他の省庁や地域での取組、行っていることを把握することが必要で、この事業自体は一旦やめることが必要だという意見であります。
 これらを踏まえまして、最終的な当会議としての評価結果でありますけれども、実は抜本的な改善のうち1人は、限りなく廃止に近い抜本的な改善というような意見になっておりますし、それ以外の抜本的な改善の意見の方たちも、ほぼ、現状の事業ではやはり遂行していくことについてかなり難しさを表明されておりますので、結論としては廃止としたいと思います。
 その上で、それを裏付ける取りまとめコメントといたしましては、戦略的検討が不十分なまま事業化したという印象が拭えない。改めて基本的なロジックモデルを作り直して、新たな事業の立案を検討されたいというのが取りまとめコメントの1点目。2点目は、EBPMとしても自ら課題を見出すことができていない。これだけ検討不足の状況で、事業は存続すべきはないということを2点目の取りまとめ意見とさせていただきます。3点目の取りまとめ意見として、スポーツの捉え方も明確にした上で、他の省庁や地域で行っていることを把握する必要がある。その上で、この事業については一旦止めるべきである。
 この3点の取りまとめコメントに基づいて、結論は廃止としたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。
 では、こういうことでありますので、よろしくお願いいたします。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  どうもありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして、スポーツ人口拡大に向けた官民連携プロジェクトの公開プロセスについては終了させていただきます。どうもありがとうございました。
 次の社会総がかりで行う高校生留学促進事業については、17時5分に開始をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
( 休憩 )
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、時間になりましたので、本日最後のコマを始めさせていただきたいと思います。これからの時間帯は「社会総がかりで行う高校生留学促進事業」について議論をお願いいたします。この時間の取りまとめ役は引き続き有川博委員に務めていただきますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、説明をお願いいたします。
【説明者】  失礼いたします。教育改革・国際課でございます。よろしくお願いします。お手元の資料に基づきまして御説明申し上げたいと思います。
 まず、事業目的につきまして2ページ目をごらんいただければと思います。当事業、「社会総がかりで行う高校生留学促進事業」の目的でございますけれども、事業の目的という項目にございますとおり、異文化理解や友好親善を促進するというもの、こういったことを図りながらグローバル人材の育成を目的とした事業でございます。
 具体的な事業概要という部分に関しましては、こちらに記載もございますが、詳しくは14ページを御覧いただければと思います。14ページにございますけれども、大きく2つの要素で構成しております。1つは留学経費を支援するということで、上限5.7万円を1,500人に支援する。2週間以上のプログラムについて学校単位での応募が原則というものでございます。なお、独自の留学支援策に取り組む都道府県については優先的に採択をするというようなインセンティブも設けている事業でございます。こういった留学経費を支援するものが1つ。
 そしてもう1つの要素としては、留学に向けた基盤形成を図るという観点でございます。その中の要素といたしまして、1つは外国人高校生を短期で招致して、受入れ高校の中での交流を通して、日本人高校生の国際的視野の涵養を図るといったもの。そしてもう1つは、留学への機運を醸成するといった観点から、留学経験者による講話だったり、また、実際の留学相談といったような場を醸成していくといった事業でございます。
 事業の流れという部分に関しましては、次ページ、15ページのスライドをごらんいただければと思います。文部科学省から都道府県宛てに事業を募集し、学校から提案あったものを都道府県で絞り込んだ上で文部科学省に応募していただく、審査委員会の審査を経て採択をするというものでございます。5.にございますとおり、学校から実際に参加プログラム報告を(都道府県が)受けるということで、実際の実績報告というのを我が方、文部科学省にも報告いただくという形になっております。
 また、国費がどのように活用されているのかといった観点につきましては、次ページ、16ページをごらんいただければと思いますが、まず補助単価の考え方という部分でございますけれども、こちらに関しましては渡航費を除く実際の現地のプログラム参加費の3分の1から2分の1程度を補助するということを念頭に置いておりまして、これによって、例えば、その下段にございますとおり、国費と合わせて自治体の支援というのを引き出しているような事例であったり、また、国費を活用することによって学校のプログラムを低廉に実施されているというような形で活用されているところでございます。
 次に、これまでの事前勉強会等を踏まえまして、当該事業と成果目標、アウトカムとの関連につきまして、9ページのロジックモデルに基づきまして御説明申し上げたいと思います。
 この9ページのロジックモデルの表の中段ほど以降がアウトカムの整理でございますが、まず、この当該事業を通じまして、留学にまず関心がある層に対しての意欲の喚起ということを図っていく。これによって、参考値の下のデータがございますけれども、この事業を始めた26年度に関しましては、事業に関しては二次募集を掛けるような状況でございましたが、直近30年度に関しましては応募倍率1.6倍というような、そういった意欲、手を挙げるという層が増えてきているという状況がございます。
 こういったことを経験とした層として、次の中期アウトカムの部分でございますが、自治体や学校内で事例が共有されて、留学の意義、ノウハウが高まっていくということを次の目標としております。実際、その下に参考値で書かせていただいておりますが、中ほどのフォーラムを開催するとか、また、外国人高校生を高校に受け入れたという層、こういったところも伸びておりますし、また、この参考値の一番上のところございます留学経費そのものを支援している都道府県の数という部分に関しましては、平成23年度から比較しますと伸びてはきているものの、ただ、課題といたしましては、直近に関しては伸び悩んでいるという状況が課題でございます。
 そして、当該事業の成果目標であります長期アウトカムのところにつきましては、2点目標を設定しております。1つは、閣議決定であります「教育振興基本計画」にも設定されています日本人高校生留学生数を3万人から6万人に2022年までに倍増していくという目標が1つ。もう1つといたしましては、将来留学したいと思う高校生の数を増加していくというものでございます。
 これ各々につきましては、留学生数の増という部分に関しては下の項目、国際交流状況調査のところを御覧いただければと思いますが、平成20年度から大きなトレンドとしては増加というところでございますが、25年から27年というところに関しては微減という状況がございます。また、課題として認識しておりますのは、将来留学したいと思う高校生の割合というもう1つのアウトカムに関してのデータでございますが、こちらに関しましては伸び悩んでいるという状況がございます。
 これに関連するデータといたしまして、13ページのところでございますけれども、留学の希望者の有無というところについて、留学したいと思う層、そして留学したいと思わない層というところでのアンケート結果でございますけど、留学したいと思わない層の中での理由、複数回答という部分でございますが、依然として多い回答といたしまして、経済的に厳しいというような回答、また、留学方法、外国での生活への不安、また、帰国後の学校生活や進路への不安というようなものも挙げられているところでございます。こういった課題に対して改善していく必要が、今後このアウトカムを伸ばしていく観点では必要だと認識しております。
 事業自体の効果というところに関してでございますけれども、9ページ、ロジックモデルにお戻りいただければと思いますが、先ほど御説明しました長期アウトカムの一番下の項目でございます。関連のアンケート調査によるものでございますけれども、大学で留学した経験のある者の約9割がそれよりも前の年代で何らかの渡航経験があるというところでございます。そういった意味で、高校生等の留学を喚起していくというのは将来的な本格的な留学を大学でしたり、また、国際社会で活躍できる我が国の人材を増やしていくということに関しまして非常に重要だと考えておりますので、政策の価値はあると考えております。
 ただ、10ページをお開きいただけると思いますが、今回いろいろ御示唆いただきましてロジックモデルを作成していく過程の中で顕在した課題ということで、今申し上げた中でもございますけれども、より多くの政策効果を発揮するためには、この支援事業の各種条件の設定というところに関して改めて見直しをしていく必要があるのではないかということ。また、都道府県の数が伸び悩んでいるということに関しましては、インセンティブの在り方ということに関してまた見直しを掛けていく必要があるではないかということの2点を自覚しているところでございます。
 今回頂きました事業検証の結果を機会といたしまして、より政策効果を発揮できるような事業に見直しを図っていきたいと思っているところでございます。
 本日もどうぞ御示唆よろしくお願いします。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  どうもありがとうございました。それでは、私の方から論点について御説明をいたします。論点等説明シートをごらんになってください。
 まず、2点ございまして、1点目としては、事業の目的及び事業成果の検証という点。それから2点目としては、これまでの事業成果、高等学校等における国際交流の状況調査、自治体における取組状況及び社会環境の変化を踏まえた今後の事業の在り方という点、以上の論点について御議論を頂きたいと思います。
 それでは、御質問をお願いします。早速、亀井先生、お願いします。
【亀井委員】  ありがとうございます。これまでも大変建設的な議論ができてきたかなと思っております。ただ、今日の公開プロセスで初めて御覧になる方もいらっしゃると思いますので、少し振り返りながら議論を整理していきたいなと思うんですが、最初にこの話を伺ったときに、例えば吉田先生ですけれども、吉田先生からも問題提起があったんですけれども、私も思うのは、経済格差が教育格差にそのままその連関してしまって、世代を超えて教育の機会が奪われてしまっているということがこの国で起きているんではないか。こういった問題提起は既に様々な先行研究があって、調査があって、ここは既に見えているところです。さらに言えば、基礎的な教育のみならず、こうした資金が掛かるところについては、よりそういった経済格差が教育格差に進みやすいという問題があるというのが多分この事業の1つの大きな特徴なんだと思うんですね。
 ですから、この前のたしかやりとりであったのは、縦軸に行きたい、行きたくないという高校生のやる気、それから横軸に制約がある、ないというところでいくと、制約がなくて行きたい人は、言葉は悪いけど、ほっときゃいいです。ですが、行きたいんだけれども、制約があって行けない。制約でいうと、あるある層。意欲があるけれども、制約があって行けない、ここに実は政策を集中した方がいいんじゃないかというような議論をここでさせていただいた記憶があります。
 そう考えると、じゃ何が変わるかというと、恐らく変えるべきは2つあって、1つは今の5万数千円という単価が、でもやっぱり個人負担が必要ですよね、ここは経済格差が掛かってくるから、ここを例えば3倍ぐらいにすれば、もしかしたら家族の負担、御両親の負担がなくても行ける、保護者の負担がなくても行けるかもしれない。そういう形で例えば3倍にするとか2倍にするとか、その代わり、対象者数は今1,500人を3倍にするのであれば500人にするとか、そういう考え方があるし、金の出し方としても学校単位ではなくて個人単位応募できるような形、これは2つ目の改善点かもしれませんけれども、こういうことが可能なんではないかみたいな意見交換をしたように記憶しているんですけれども、ここについてお考えはいかがでしょうか。改めてお聞かせください。
【説明者】  ありがとうございます。まず、経済格差が教育格差につながらないようにという御指摘については、教育政策全体の中での大きな課題ということをそもそも文部科学省全体として認識しているというところでございます。
 留学に当たって、まず経済的支援をしていくというところについて、まず国の方針としては、倍増で6万人を倍増で目指すということを閣議決定で大きな方針として目指して、その姿勢として経済的支援策というところで始めたということがきっかけであります。
 この5.7万円が十分かということについてのまず1点目の御指摘だと思っておりますが、まず5.7万円が全く無駄ではないという認識では現状政策をやっている者としては思っております。
 それが、先ほど少し触れさせていただきました16ページのスライドで、自治体の支援を引き出して自己負担を少なくするきっかけになる。また、学校のプログラムを低廉に実施していくということで国費が生きているという事例にもつながっておりますので、そういった形で生かしていただいているということはあると思いますが、一方先ほどデータでも御紹介申し上げましたとおり、留学を希望しないという中の大きな理由の1つに経済的な要因というものがあるというところについて、さらにこの政策を進めていくときにどう考えるのかという御示唆だと思っております。それはこれから事業の見直しということでしっかり考えていきたいと思っております。
 あと1点、もう1つ御指摘がありました個人支援というところにつきましては、考え方はいろいろあると思っておりまして、学校の推薦なく個人で手を挙げる者を支援していくということもありますけれども、こちらに関して様々な民間の支援事業もそういった形でやっておりまして、国費でやることの意味というところに関しましては、学校のグローバル化に向けてのマインドセットを変えていくという意味もありまして、戻ってきたときに例えば単位が認定されないとか、そういった課題が留学生の中でもまま聞こえるというところもございますので、やはり学校も教育活動の一環という形で関与して、そしてその留学生の留学生活をしっかり学校として受け止めるということも大切かと思っておりますので、引き続き学校という単位に関しましては事業の中では考えていきたいとは現時点では思っているところでございます。
【亀井委員】  ありがとうございます。先ほどお話があった16ページのところも決して無駄になっているという話ではないんだと思うので、もう一段政策を深化させるにはどうしたらいいんだろうかという議論になっているというふうに私も理解しています。ですから、これまでやってきたことが全ていかんのでという話ではない議論だというふうな理解でおります。
 今の最後のところも、学校単位であるべき論とそうでない論というところは多分、政策のデマケなんだろうなというふうに思っていて、それぞれの役割分担、民間の制度も含めてなんだと思いますので、逆に言えば、国費でやるからこそ国費留学生みたいな形である種ステータスを高めていくみたいなこともあるのかもしれませんし、より厳しい審査を設けるみたいな線引きの仕方というのがあるんだと思いますので、是非そこら辺も含めていろんな形で前向きに検討していただいたらいいなというふうに思います。
 ただ、何より重要なことは、どうしても政策目標ってマクロで6万人とか出ちゃうわけですよ。だけど、本当に6万人行かせるために数を事業として積み上げるのが大事なのかというと、そうではない可能性もあると思っていて、そこら辺、まさに大前提としての今の社会の状況に関する認識というところを改めて考えていただく必要があるんだと思いますので、是非そこはしっかり御検討いただいたらいいんじゃないかなというふうに思いました。とりあえず以上です。ありがとうございます。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  では、伊藤先生。
【伊藤委員】  私も事前勉強会でも一度お聞きしたことの確認なんですが、今日の17ページに事業の流れが書いてあるんですが、今回のこの支援をする留学の定義というか、捉え方、1つは確認なんですが、必ずしも何か学校に入るとか語学の留学をするということだけではなくて、2週間以上という期間を1つのルールにしているので、その中である意味、ここにはインターン、文化スポーツって書いていますけど、どこかに所属するかどうかということは問わないというふうに聞いた記憶があるんですが、そこは間違いないでしょうか。
【説明者】  高校生の留学に関しては伊藤委員の御認識のとおりでございます。
【伊藤委員】  としたときに、実は27年度でしたっけ、秋のレビューの中でも議論していたなと思うんですが、まず認識が違っていたら教えていただきたいと思うんですが、あのときはどちらかというと、さっきの亀井委員お話でいくと、6万人という数よりも、より国際感覚だけじゃなくてスキルとしても出る必要があるのではないかという議論があって、その中で短期よりもやはりそういうことを考えたときには長期にしていく必要があるじゃないかという議論があって、ある程度そこには、私の認識では共通認識のようなものがあったのかなと思っているんですが、何かあの当時4年前と今でこの事業の設計が、考え方が変わったという部分がありますでしょうか。
【説明者】  伊藤先生御指摘の平成27年のときの御指摘でございますけれども、このときの御指摘というのは、まずは留学期間という部分に関しては、実は長期のみならず、まずは留学体験をする取組を促進していくということが、全体の留学機運の喚起であるとか層の厚みを増すということで必要なのではないかという御指摘も頂きまして、短期派遣への重点化ということも1つ御指摘を頂いたところでございます。
 ということもございまして、実はこの事業設計に関しては、今2週間以上1年未満ということで御支援させていただいているところの2週間というところ、2週間以上という枠を設けたというのが、その当時の見直しのきっかけでございます。
【伊藤委員】  多分あの当時って明確に今と違いがあったのは、長期については30万円、短期については10万円で、長期は30万円掛ける300人だっけ、たしかそうですね。300人。短期が10万円掛ける1,300人というような事業設計をされていたんじゃないかなと思います。今の考え方は分かったんですが、もう1つは、今の単価でいくともう短期も含めてより補助額が低くなっているというのが、これまでお聞きしていた全体予算が切られているからそうせざるを得なかったという理由以外のことがもしあれば教えていただきたいんですが。
【説明者】  御指摘の留学予算に関して十分な経費を確保できていないということに関しては、こちらの事業等実施者と設計者であります我々の方もしっかり留学を通しての留学成果というところについての説明というところが十分できていなかったというところが課題だと思っております。
 今回いろいろこの事業レビューのきっかけを通じまして、この事業そのものの事業成果といったような調査の仕方も必要なのではないかという御示唆も事前勉強会で頂いております。そういった事前、事後を通して、この事業を通じての効果というところもしっかり改善を図っていかなければいけないと思っています。
 あと、構造的な問題もございまして、前回、予算的な問題というシーリング的な問題というところも申し上げましたけれども、事実そういった課題もございまして、この事業自体がどうしても、採択時の採択率は倍率1.6倍ということで100%の採択なんですが、渡航に当たっての海外の事情変更とかもろもろありまして、執行率としては8割ぐらいになる。そうすると、次年度の要求に関しては、未執行分が基礎額から減額されるというような要求ルールもございまして、ここら辺はこの事業の特別な性質というところもしっかり説明をして、予算当局にも御理解を頂くということが構造的な問題としては必要だと思っております。
【伊藤委員】  今の最後の財政的なテクニック部分は是非とも解消した方がいいところだと思うんですね。事業の本質と違うところの問題で減額されてしまっているということになってしまうので。
 最後に1点。これ論点が少しずれてしまうんですが、とは言いながら、事業が始まった26年度が2億9,000万円ぐらいなので、半分ぐらいまで減額されているんだけれども、ただ、減っているのって留学する方の補助金のみが減っていて、受け入れの方ってずっと3,000万円台だと思うんですよね。ここは最初のお話の中で機運の醸成のためにグローバル人材の基盤形成事業があるということを考えると、ニーズは既に1,500人以上あるんだから、機運の醸成がされているからこそ、ここの部分を留学の方にシフトするという考え方は成り立つんじゃないかなと思うんです。
 これは、例えば、いつもアメリカからの留学生受入れが115人ぐらいで、大体固定化されているんじゃないかなと思うんですが、これはなかなか変えられない事情があるかというと、いかがなんでしょうか。
【説明者】  変えられない事情といいますか、機運醸成の施策としても重要だということで我々が予算を要求して、認めていただいているという経緯はございます。
 亀井先生も御指摘ありましたとおり、やる気の層と制約の層というところがありまして、機運醸成施策というのも必要だと思っておりまして、まずは国内で国際交流ないし異文化への接点という機会を得て、経済的な制約がない層というのは、それによって自己負担だったりとか、いろんなきっかけで自分で留学することができるというような、国費を必ずしもそれ以上使わないで留学することができる層というのにも留学のきっかけがつながるということもあるかと思っていまして、そういった観点から、機運醸成施策と、そして留学の経費支援というところはそれぞれターゲットとして違う層への喚起もあるということで、引き続きこういう2つの軸というのは留学施策を推進していくときには必要だと思っております。
【伊藤委員】  今の受入れによる機運の醸成って非常に重要だと思いながら、今の限りある財源の中で考えたときに、どっちが優先かなと考えると、やっぱり行きたいと思っている子供たちがいる中で行けていないというのは自己負担がどんどん高くなっているというところになるかなと思っていまして、受入れの方って多分、都道府県レベルでいくと、出すよりも受入れをやっている県の方が多いと思うんです。これは明らかに都道府県だけじゃなくて基礎自治体も含めて、出すとなるとなかなか、出す方が単価が高くなってしまうから、受け入れの方、姉妹都市をしているところの受け入れだけをやっているというところが、少なくとも私が知っているところは幾つかあるので、そっちとの連携というのは十分に考えられるんじゃないか。出す方は、先ほど優先的に補助を出すというような連携はできていると思うんですが、受入れの方もそういうこともあり得るじゃないかなと感じました。
【説明者】  ありがとうございます。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  吉田先生、川澤先生、松浦先生の順番でお願いします。
【吉田委員】  御苦労さまです。とてもいい議論ができているので話がしやすいんですが、まず、ただ、今いろいろ問題点を聞きましたけど、予算運用上の話をすると、負のスパイラルへ入っている事業なんですよ。今言った理由というのは、全部マイナスで循環しちゃうんですよね。シーリングで下がりました、中身も支援割合を下げました、なおかついろんな事情で執行率が悪くなっちゃう。なぜかといったら分母が小さくなっているからという負のスパイラルに入っているので、ここから脱しない限りなかなか状況は改善できないだろうと。
 今回、いろいろロジックモデルも含めて検討の中で、明らかにここが問題だ、その要因は明らかになってきていて、あとそれを絞り込んで政策的にどういう選択肢でやっていくかというところまで来ているので、抜本的に予算を増やせという項がないので困っているんですが、そこも含めて検討しないと、そんなちまちま3,000万こっちへ回せとかいう議論ではないと思っています。
 特に13ページの資料の中で、基本的に留学を希望しない理由というのははっきりしていて、この中で資金ニーズがある理由というのは2番目の経済的に厳しいしかないんですよ。あとは学校教育の中で工夫すればやっていけることがほとんどの理由なんですね。そういう意味では、これはあくまで資金的な支援をしようという事業ですので、ここにスポットを当てて、例えば今の5万円プラス、所得的に水準が低い家庭の方に関してはより経済負担を軽くするために厚い補助率、若しくは補助額を出すとか、いろんな手を考えざるを得ない。ここのマイナス要因を増やす以外に、この事業を分母を増やして、執行率が、事故的なものがある前提で予算を増やして、応募者を増やさなきゃいけないということだと思うんですよね。
 だから、あまりにも財政、私も元財政畑が長いんですけど、財政的ルールだけで負のスパイラルへ入って、潰しちゃう事業ではないと思うので、是非抜本的に、今回明らかになったネガティブ要素に関してこういう解決策を打つと。どう工夫してもいわゆる財源が必要だというところまで説得しないといけないと思うんですね。そこは至急検討していただけたらなと。今日、どういう結果になるか分からないけど、私としてはもう1項目欲しいなと思っている。そういう改革があればですよ。そういう改革をしていただければという前提なんですが、現状どおりの下にもう1個、四角が欲しいなと思っているところです。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  次、川澤先生、お願いします。
【川澤委員】  先ほど亀井先生からお話があった応募の方法なんですけど、今、学校単位というふうになっていて、私も個人的には、支給対象資格が学業成績が優秀で人物等に優れておりという、いわゆる優等生が選ばれていくというタイプだと思いますので、優等生ではないけれども、すごく面白いとか、そういう人が国費留学で留学するというのも日本の高校生の中でも面白い取組かなと思って、個人での応募というのを御検討いただければと思ったんですが、一方では、お話にあった学校側の意識改革というところも理解はいたしました。
 ただ、一方で、恐らくこれ一度プログラムが出来上がってしまったら、そのプログラムを作った人については恐らくかなり意識改革があるんだと思うんですけれども、定例になってしまえばある意味ローリングしているだけなので、そこで学校側の意識改革というのが期待できるのかなというのは少し疑問だったんですけど、その辺りいかがでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。川澤先生御指摘の学校のプログラムを作った後の学校の意識という問題でありますけれども、p.15の実際にこの審査プロセスの上のところにあります3.で、審査委員会において審査を行って採択をしていくといったときに、現状1.6倍の応募ということもございますので、プログラムのよりいいものが採択されるということで、ずっと継続的に支援を受けられるというものではないということから、常にブラッシュアップを図っていかなければいけないというような設計には、応募倍率も幸いに担保できているということもありまして、そういう状況になっております。
 ただ、支給対象資格の部分に関しては、先生御指摘のいろいろな層をチャレンジさせていくということは、これからのまさにグローバル人材の育成というのは多様性を経験させるということで、また、日本国内が多様な社会に対応できる社会構築していく、そのための人材育成という趣旨もございますので、そういった観点から支給対象の資格要件というところに関しては少し工夫をしていくということもあるのかなと思っております。
【川澤委員】  もちろん学業成績が優秀というもの個人の努力ですので、そこはきちんと評価されるべきところだと思うんですけれども、同じ基準でほかのことに頑張っている生徒ですとか、そういったところも評価してあげることが恐らく学生のモチベーションを高めることにもなると思いますので、自分も該当するんだ、行ける可能性があるんだというのがメッセージとして重要だと思いますので、そのあたりは是非御検討いただければと思いました。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  じゃ、松浦先生、それから有川先生、お願いします。
【松浦委員】  どうもありがとうございます。ロジックモデルのページ、9ページで1点だけお聞きしたいことがあります。左側から4番目の初期アウトカムのところの下の方ですが、小さく※のマークを付けて、「引率教員の関係で応募が困難なケースが多い」という表記が、たしか前回の勉強会でも拝見したんですけれども、今日もあるなと。ここで質問なんですけども、今、学校単位で応募を掛けていらっしゃるというお話でしたね、個人じゃなくて。学校単位で掛けるとなると、ある程度まとまった人数を超えた学校が引率教員付きで応募するというのが前提条件なんですかね。
 もう1つ、ついでに一緒に質問しちゃいますが、留学という時点で引率という、引率教員が都合付かない、じゃ、これなら修学旅行と同じじゃないかなと一瞬私は思ってしまうわけでして、留学というからには、やはり向こうの地域社会に溶け込んで、そこでお友達を作って、向こうで勉強する。教育であれば、多分文科省も教育アタッシェを各外交官に出しているはずなので、そういうところとの御協力関係を、外務省の教育アタッシェは文科省から行っていると思いますので、そういうところとのつながり、あるいは姉妹校とか姉妹都市のつながりという形でもって、引率教員の関係で2週間を超えるのは無理ですって書かれると、じゃ、2週間までだったら引率教員が付いていくんですね。じゃ、そうすると、たった1人の生徒のためにその資金はどこから出るんでしょうとか、いろいろよく分からなくなったんです。ここの解釈をちょっと教えていただけますか。
【説明者】  お答えします。要項上、1プログラムの最大人数は20名までと上限を設定はしております。その際に引率教員を派遣しなければいけないということまでは要件にはしておりませんが、多分学校の自主的な判断で、安全確保ということで引率教員が付く場合もあるということだと思います。
【説明者】  補足させていただいてよろしいでしょうか。学校のプログラムということなので、いわゆる大学生が留学するときにコーディネーターを付けて行っているというのと同じような感覚で、実際に教員の方が行ってそのサポートをするというような役割を果たしています。また、未成年であるということなので、未成年でもちろん能力がある子たちが行っているので、解決能力が仮にあったとしても、年齢の制約の関係でクリアできないという問題もありますので、実態上は引率教員で学校の先生が付いているというケースが多いということで、この問題意識が自治体の方から上がっているということでございます。
【松浦委員】  お答えありがとうございます。じゃ、必ずしも引率教員を付けなければいけないというルールではないということですね。
 それと、マックスは決まっているけど、ミニマムは決まってないということなんですね。そういう解釈でよろしいですね。
【説明者】  はい。
【松浦委員】  未成年問題に関しては、おっしゃるとおりでして、青年に達していない子供は一人で入国させない国というのは結構あちこちあります。そうすると、誰がアテンドするんだという話にはなるんだろうと思いますが、海外でよく問題になるのは、トラブルが起きたときにどこがどう処理するのかという話に行き着くんだと思うんですね、この引率教員の話は。修学旅行でもそうですね。修学旅行も教員が付いていくのはそういう問題に対処するためだと。
 そうすると、生徒さんの留学分にだけ資金の補助をしますけれども、引率で付いていかなくてはならない、学校の立場上、付けなきゃいけないと考える校長先生が圧倒的に多いんだと思いますが、その経費は全く補助にならない。そうすると、ますます全部持ち出しになっちゃって、そうなると、教育委員会がその経費を出してくれるという太っ腹な教育委員会ならいいですけれど、そうもならずということで、なかなか現状のままでは外に出していく、アウトバウンドを増やしていく、今の形で増やしていくことはすごく難しいんじゃないかなと思うんですね。もうちょっと戦略的に考えないと、これ最終的に嫌なことが起こったときにどこが責任を取るんだって話になって、皆手が挙がらない状態になるのではないかと。
 来る分には拒まないですよ。伊藤先生おっしゃったように、来る分には安全性も自分たちがやらなきゃいけないカテゴリーは決まっています。あとは自己責任で来ているんでしょうって話で、多分アメリカから来る高校生はそういう考え方で来るでしょうということなので、その辺をクリアにしていただければ、財政当局にもお話をしやすいのかなという気はいたします。
 これからの100年を考えると、こういう若い方々に異文化を体験していただく、短くても、これは僕は絶対必要なことだと考えています。ほかの委員もそうだと思います。ですから、できれば、今のような私の疑問点をちょっと検討していただきまして、再度、敗者復活戦みたいになっちゃいますけれど、査定でうんと減っちゃっている金額をもうちょっと戻せないかと。それから、引率教員に関して何か措置できないのかと。在外公館の教育アタッシェを利用できないのか、協力してもらえないのか、その辺りを含めたストラクチャーを書いていただきたいなというふうに思います。ありがとうございます。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、有川先生。
 その前に、そろそろコメントシートへの記入をお願いします。
【有川委員】  レビューシートの3ページと4ページの関係でちょっと伺いたいんですけれども、現状3万5,000人を6万人に倍増するという計画の数値になっていますけれども、現状の29年度の数字の3万5,000人のそのうちの3万1,000人は研修旅行の人たちで、留学生は4,000人ぐらいだと。6万人のうちの恐らくほとんどは研修旅行が占めるような形になっているんだと思うんですが、この事業の目的あるいは効果を考えると、グローバル人材を育成したり、あるいは語学の運用能力を高めるというのは、留学と研修旅行ではちょっと違いがあるのではないかと思うんですけども、それを一緒くたに実際の数字として込み込みで入れて、将来の目標6万人に込み込みにしているというのはちょっとやっぱりラフな制度設計のような気がするので、できましたら、留学と研修旅行についての数値目標はある程度分かるように分けていただいて、研修旅行の方については数値目標に向けて進んでいただくのは結構なんですけれども、留学の方については、これまでの議論がありましたように、数よりも質の方にもうちょっと力を入れていただきたいなという気がするんですが、どうでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。まず、数値目標の設定に関してという部分に関しましては、閣議決定で3万から6万人というところで、今、有川先生がおっしゃられたような問題もはらみながらの数字ではあるものの、それをベースとした設定ということになっておりますので、にわかにこの数字自体を目標設定を変えるというのは非常に困難ではありますものの、ただ、先生御指摘の留学というのを、今回支援する留学支援事業の中でどういったものをプログラムとして支援していくのかといった、この事業の見直しに当たってのその考え方というところでは、より質の高い、教育効果が高いものに対して重点的に支援していくという考え方は大切にしたいと思っておりますので、今後の事業見直しの際に生かさせていただきたいと思っております。
【有川委員】  その際にもう1点確認しておきたいというか、注意していただきたいのは、将来留学したいと思う高校生を増加させるというのも1つのアウトカムになっていますけども、この中に留学と研修旅行が込み込みに入っていると、やっぱり目標が不明確になるんで、そこのところもきちんと整理して進めていっていただきたいんですが。
【説明者】  分かりました。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  吉田先生、川澤先生の順で。
【吉田委員】  今の質問、先ほどの質問にも被るんですが、実はずっと気になっていることは、先ほど言った件もそうなんですけど、あと川澤先生がおっしゃったこともそうですけど、この制度は基本的に入り口の間口は、いわゆる応募する側からしたら間口を広げてほしいんですよ。今、入試制度でもいろいろありますよね、AO入試から始まって。そういった、川澤先生がおっしゃったような、単なる秀才、作られた秀才だけではなくて、いろんな才能を持った方を多様に応募できるような間口の広げ方というのは絶対必要だと。その中で、ネガティブな要因を持っている人のネガティブな要因を取ってあげるということも必要だと。特に経済的負担の問題。
 その上で、この入り口から入って選ばれた生徒たちが実際に行くときに、品質の問題を上げてほしいと思います。あくまで、人を選ぶのとプログラムを選ぶのと2つあるわけですね。プログラムの選びに関してはやはり効果をしっかり見きわめて、先ほど有川先生おっしゃったけど、いわゆる修学旅行なのか、研修旅行なのか、よく分かんないようなものではなくて、ちゃんと将来につながる品質の高いプログラムを選択してあげる。ただし、そこに入ってくる生徒に関しては間口を広げてあげるという制度設計に変えてほしいんですね。
 今、のんべんだらりになっていて、研修に関しては、6万に入れるかどうかはお任せしますが、少なくとも皆さんがPDCAを回す上では分けて、指標データを取って分析すべきだろうと。先ほど説明の中でおっしゃっていましたよね。導入部として必要な軽いものがあれば、ちゃんとした留学というのも当然要るんだと。そこはちゃんと分けて、それを6万人に入れるか、入れないかはちょっと政治的判断かもしれないけど、少なくとも事業評価の中では分けて議論しないといけないというのは有川先生おっしゃったとおりだと思います。とにかく間口を広げて、出口の品質のところは上げるという制度設計に是非見直していただきたいと思います。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  川澤先生。
【川澤委員】  10ページのロジックモデルから顕在化した課題の2つ目に、「留学に係る経費の支援を行っている都道府県数において伸び止まりが見られる」というふうに書いていただいていて、1点質問なんですけども、留学に係る経費支援を行っていなくて、かつフォーラムも開催していなくて、外国人生徒の受入れも行っていない、いわゆる何もやっていない自治体、都道府県というのは存在してしまうんでしょうか。つまり、それは住んでいるところによって、かなり留学の機会を逸してしまっているという問題が起きているのかなと思ったんですが。今、厳密に数字を知りたいというよりも、もしあるようであれば。
【説明者】  都道府県の中にはございます。もちろん考え方として、都道府県によって、その都道府県の居心地がいいから、そこで住みたいというような価値観を持っている都道府県の県民性であるだとか、県政の考え方というようなところもやっぱり地域性としてあります。地域性を分析された方がよいということを事前勉強会で頂いたので、進めていくと、やっぱりそのような、最後、価値観に限りなく近いところというのもあり、もちろんそういうところに関しては留学に行かせてくださいというまずアプローチではなくて、まずは受入れてみましょうとか、留学フェアをやってみましょうというアプローチから行っていかなければいけないという状況にございます。
【川澤委員】  いえ、危惧したのは、住んでいる場所によって留学の機会を逸してしまうというのを懸念したんですけれども、恐らくそういう地域があるといったときに、文科省として積極的に、そこをある意味応募を待つだけではなくて、まずは受入れやフェアから、若しくは、そういう働き掛けがかなり必要かなと思います。
 ただ、一方で、補助金として自治体に支給すると、補助金があるから、自分たちの独自に予算措置しないというディスインセンティブになる場合もあると思うんですけれども、それよりも今時点で機会が逸失されているという方が大きいと思いますので、そこは是非御検討いただければと思います。
【説明者】  ありがとうございます。川澤先生おっしゃっていらっしゃるとおり、地域性というのはあるものの、これからの日本社会を考えていったときに、どんな事業体でも今、生産拠点が例えば海外にあるような小規模の地方の企業もあったりというようなところもある中で、やはりグローカルという言葉があるとおり、どの自治体もやはりグローバルな視点がその地域の中で活躍する人材でも必要になってくるという認識で、国の政策を立案する立場からは思っているところであります。
 そういった問題意識から、今年度から自治体と、留学に当たっての国際交流担当の職員を集めて、研究会、何が課題になっているのかというところをブロック別に少し行脚しながら課題を掘り上げる。また、他の好事例とかも共有しながら、検討のインセンティブを持たせるというような取組も併せて汗をかきながらやっているところでありますので、そういった取組も一緒にしながら、その地域における留学機運の醸成というのも進めていきたいなと思っています。
【川澤委員】  そこは是非お願いしたいというか、よろしくお願いします。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  伊藤先生。
【伊藤委員】  最初のたしか問題意識の中にも、今、都道府県独自の留学制度が伸び悩んでいるという話があったかと思うんです。これは私も実感として全く一緒で、さっきもちらっと言いましたけど、出すというのはかなり限定した数になりますね。都道府県レベルだと10人、多くても20人出すか、出さないかぐらいだと思うんですけど、そうなったときに、これはある意味投資をしていることになるので、その投資の効果って何なのかというのを一地域で考えようとすると、当然ながら難しいところがあって、その高校生が大学に行って、社会人になって、かつ世界で活躍をしたときに、ただ、本当に、じゃ、その県にとってプラスになるのかという議論っていつも昔からされていて、建前で留学が必要だと言いながらも、なかなか都道府県だったり基礎自治体レベルでいくと、そういうふうにならない傾向にあるなと私は実感で思っていたので、だからこそ私はこの部分においては国のサポートというのが、国が主導するということが大切だなと思っているんです。
 都道府県レベルは本当に、国がやってくれるんだったら、そこに乗ろうという方が話はすぐ付きやすいんじゃないかなというふうに感じていて、今、課長がおっしゃった今年度から自治体との対話をするということはとても大切じゃないかなと思っているんです。
 もう1つ、その意見交換するときというのは、都道府県が中心ですか。それとも市町村のレベルまで話していくんですか。
【説明者】  現時点では都道府県の国際交流担当の職員を対象としてやっております。
【伊藤委員】  ここは総じて難しいところはあるんですけど、例えば熱心にやっている基礎自治体もそこに入ってもらうということは結構重要じゃないかなと思っていまして、特に基礎自治体になると、今、国際交流担当の職員ってほぼいないに等しくて、大体国際交流協会に全て丸投げしているんですね。でも、国際交流協会も結果的にはプロパースタッフがほとんどいるわけではなくてとなってくると、既存の事業をこなすというところに姉妹都市の関係で何かやらなきゃいけないことをやるということの方が多くなってしまっているなと思うので、そこはこういう形で国から何か仕掛けをしてくれると、とても動きやすくなるんじゃないかな。すいません、今の話は全部エビデンスじゃなくて実感値なんですけど、というふうに感じました。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  亀井先生、吉田先生。
【亀井委員】  これ、ちなみにトビタテとの関係で言うと、どういうふうに位置付けていると考えたらいいですか。
【説明者】  トビタテは、先ほど来御指摘ありました個人で申請して、自分の実現したいプロジェクトを応募する。それを官民の合同の審査会で、民間からの寄附が基盤となっておりますので、そういった中で民間企業が是非グローバル人材として育てたいという視点を審査のプロセスの中で加味して支援しているという部分です。ですので、ある意味、実験的なプログラムというところがトビタテの特色だと思っておりますので、そういったチャレンジングな留学提案というところを後押しするというのがトビタテになっています。
【亀井委員】  ありがとうございます。なので、是非これから考えていただくときには、トビタテでカバーするところと、こちらのある種純粋国費でカバーするところと、しばしば、さっきの財政当局の説明の中にも、いや、民間でやってくれるならそっちに振ればいいじゃないみたいな話は必ず出てくるんですけれども、国費だからこそやらねばならないことが私は必ずあると確信しています。
 これはなぜかといえば、今、伊藤委員がおっしゃったような話ももちろんあるし、一方で、実は自治体によっては、これは広域にしても基礎自治体にしてもそれぞれそうなんですが、国際交流を積極的に行うことがむしろ勝ち組になっている自治体というのはたくさんあって、実際に自治体職員でいろんな制度を使いながら外国国籍の方を雇っていらっしゃる、雇っているのか、派遣なのかというのは、その辺の形式はともかく、そういうことによってむしろ地域が元気になっている例というのは幾つかこの国の中でも見ることができる。これは極めて希少な例でありまして、いや、だからよくこの世界で言われるのは、ブーメランというのは思いきり強く出すと強く返ってくるというふうによく言われるこの世界ですけれども、要は、だからこそ高校生のうちに出せという話なんだと思います。
 その辺は多分お互い一致しているんだと思うんですが、そこが分からない人たちにどう説明していくのかというところは、これは一方で今回の戦略を再立案するときに是非考えていただかなきゃいけない、あるいは都道府県にとってどんな効果があるんだみたいな、さっき伊藤委員がおっしゃったようなそういうところというのをどう反駁しながら理解者を増やしていくのかというところで、それも特に今までのイメージだと欧米に出すイメージだったので、そうじゃなくて、むしろアジアに出すんだと。今成長しているアジアに出すことで若い人たちがいろんな刺激を受けるんだみたいなところも含めて、従来の留学のイメージを少し変えていくところも含めて、実は、ですから私、抜本的改善と書いているのは、これ前向きな抜本的改善で、「予算拡充を含め」と括弧して書いてあるんですけれども、そういう形で、トビタテで上手くいっていることと、それから国費だからやらなきゃいけないところを、じり貧になるのではなくて、むしろ積極的に是非立案し直してほしいなと思いますので、是非そこはよろしくお願いをしたいと思います。これは意見として申し上げたいと思います。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  最後に吉田先生。
【吉田委員】  難しいですよね。口で言うのは簡単だけど、基本的にこの制度設計って自治体が事業主体であって、そのプログラムを選定して、行く人も選定して、支援する。いわゆる助成を自治体のプログラムに対してするという制度設計なんですよ。だから、国が事業主体、実施主体という意識はない制度設計になっているので、さっきから議論が錯綜しちゃっているところがあるんですね。あくまで国が主体の事業だったら、皆さん、がっちり受け止めて、変えられるところあれば、今の制度設計はそうなっていないというところで悩みもある。
 そこも、もう一度この制度は、すぐにという話ではなくて、この制度の在り方、要するにプロポジションがどこにあるのかということを、国の立場、それを実施主体ではなくて助成主体のまま行くべきなのか、実施主体になってもいいのかとか、そこはちょっと抜本的に考える時期が来ているんだろうと思います。
 僕はある県の国際課長もやっていましたので、伊藤委員の言ったような県ばかりではなくて、亀井委員の言ったような県の方が増えてきているとは思いますので、姉妹都市は全部解消して、全部予算を組み替えて、積極的なプロジェクトを一緒にやるという契約に全部変えたんですね。今から20年ぐらい前ですからね。そういうところは増えているので、理解はしてくれるはずで、市町村とは違うので、都道府県レベルだとそんなに狭い了見では反対をしないと思います。
 だから、もう少し、国と県のプロポジションの在り方というのをもう1回、共同事業なのか、若しくは単に今までどおり助成する立場なのか、もっと主導的にやる立場なのかというのは、そこも含めて検討された方がいいと思います。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 コメントシートの集計がまとまりましたので、取りまとめ役の有川先生から評価結果及び取りまとめ案の提示をお願いいたします。
【有川委員】  取り急ぎまとめたいと思います。評価結果、集計結果ですけれども、事業全体の抜本的な改善が2票、事業内容の一部改善が4票です。抜本的な改善については、従来見られたネガティブなものに対する抜本的な改善ではなくて、ポジティブなより積極的な、先ほど亀井委員から発言がありましたように、より積極的に予算を増やして事業を展開すべきだという抜本的な改善になっています、2票とも。
 それでは、主なコメントを紹介したいと思います。研修旅行と留学は趣旨が違うので、分けて進めていくべきではないかという意見。事業の意義は大きく、課題としても挙げられていた独自支援策を講じていない自治体へのインセンティブが必要だ。執行率によらない予算確保が必要だという意見。研修旅行と留学とでは目的や効果に違いがあるのではないか。それらをまとめて3万人から6万人への倍増計画として数値目標を掲げるのはラフな制度設計になりはしないか。将来留学したいと思う高校生というのも研修旅行を含む概念だとすると、その中身はかなりラフなものになりかねないので注意されたい。また、今のままでは負のスパイラルから抜けられない。地方では留学に補助をした後、直接的な効果が見えにくいため、事業が縮小してきているところが多いので、国のサポートが是非とも重要である。それから、所得によって補助額の変化を検討する、変えること検討する必要がある。財政の技術的なことで減額されることは本質的ではないので、財政当局に説明をより明確にしていくことが必要だ。なお、担当課の課題認識が明確であったので議論は大変やりやすかったという意見。それから、社会の実態に応じた形で支援対象、支援内容、1人当たりの金額も含めて、そういったものを抜本的に見直す必要がある。絞り込んだ対象に事業を行うためには、地方自治体や教育委員会とのより一層の連携を進めるべきだ。改善の方向性については、担当部局がロジックモデルを作成するプロセスから見出したものであり、このプロセスについては大いに評価したいという意見。それから、留学希望者数を増やすために助成が必要となるのは、アンケート結果から見れば経済的に厳しいという理由で留学を断念している生徒への支援であることは明らか。そこに重点を置いた改善を行うべきで、予算の拡充が必要だという、こういう意見になっております。
 それでは、最終的な評価結果につきましては、抜本的な2票の方にちょっと引かれるところはあるんですが、4票となった事業内容の一部改善という結論にさせていただいて、その取りまとめコメントとしましては、細かく幾つかあるんですが、助成が必要なのはアンケート結果から見れば経済的に厳しいという理由で断念しているところが明らかなので、そこに重点を置いた改善策に改めるべきだ。
 2点目の取りまとめコメントは、社会の実態に応じた形で支援対象、支援内容を抜本的に見直す必要がある。
 3点目の取りまとめコメントとしては、所得によって補助額の変化を検討すべきだ。財政の技術的なことで減額されることは本質的ではないので、予算の増額に向けてしっかり取り組むべきだ。
 4点目につきましては、研修旅行と留学との違いについて、明確にこれからの見直しに当たってはそこのところを適切に整理していっていただきたい。
 それから5点目、最後の取りまとめコメントですけども、地方自治体において独自の支援策を講じていない自治体についてはインセンティブを与えることが必要だということと併せて、地方自治体ではこれまで事業を実施してきているところでも効果がすぐに出てきにくいところがあったので、きちんと国がサポートすることが重要である。
 この5点の取りまとめコメントに基づいて、一部の事業の改善としたいんですが、よろしいでしょうか。
【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。それでは、以上をもちまして、社会総がかりで行う高校生留学促進事業の公開プロセスについて終了させていただきます。
 これで本日の文部科学省公開プロセスは終了いたしました。外部有識者の委員に皆様方には長時間の検証作業の中、貴重な御意見を賜り、心より御礼申し上げます。ありがとうございました。
 また、インターネットで視聴された皆様にも検証作業に御参加いただきましてありがとうございました。
 次回は来週25日におきましても公開プロセスを実施いたしますので、皆様方にはよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

―― 了 ――

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