独立行政法人大学改革支援・学位授与機構の見直し内容

平成30年8月23日
文部科学省

1.政策上の要請及び現状の課題

 独立行政法人大学改革支援・学位授与機構は、大学等の教育研究活動の状況についての評価等を行うことにより、その教育研究水準の向上を図るとともに、国立大学法人等の施設の整備等に必要な資金の貸付け及び交付を行うことにより、その教育研究環境の整備充実を図り、あわせて大学以外で行われる高等教育段階での様々な学習の成果を評価して学位の授与を行うことにより、多様な学習の成果が適切に評価される社会の実現を図り、もって我が国の高等教育の発展に資することを目的としている。
 今後、我が国では既存の産業構造、社会構造が大きく変化していく中で、社会経済の発展のために革新的な技術の社会実装を進め、生産性の大幅な向上を図ることが必要となっている。また、健康寿命が世界一の長寿社会を迎え、人生100 年時代を迎えるに当たっては、人生の様々な段階で高等教育機関において学ぶことができる環境整備が求められている。一方で、大学進学率が上昇し、大学に入学する学生の裾野が広がる中で、従来の大学と比較して教育の質の低下が懸念されているのも事実である。加えて、グローバル化の進展等により高等教育における人材の国際的流動性が高まる中、高等教育の質保証に関する国際的な連携枠組みの形成が活発化しており、高等教育機関における学修履歴・学位等の国際的通用性を確保する重要性が高まっている。我が国はユネスコの枠組みの下で採択された「高等教育の資格の承認に関するアジア太平洋地域規約」を平成29年12月に締結しており、今後は、国内外に向けた情報発信等を通じて、質保証を伴う国際教育連携への積極的な参画が必要となっている。

 このような現状認識を踏まえ、本法人は、以下に示すマネジメント課題に対応していくことが必要である。

  • 産業構造、社会構造の変化に対応する教育研究の革新が求められている中で、大学等がその役割や機能を強化し、教育研究の質を一層向上させるための大学等における取組の支援及び大学等が社会に対する説明責任を果たすための教育情報の公開・活用を支援する。
  • グローバル化の進展に伴い学生の国際的流動性が高まる中で、「高等教育の資格の承認に関するアジア太平洋地域規約」締結国として質保証を伴う国際教育連携への積極的な参画を果たすため、我が国の高等教育の国際的な信頼性の確保や学位等の国際的通用性の確保を図る。
  • 人生100年時代を迎えるに当たり、これまで以上に、社会に出た後も学び続け、新しい知識やスキルを身に付けていくことが求められている中で、学んだ知識等の適切な評価の実施を担保する。
  • 我が国社会経済の活力や持続性を確かなものとする上で、大学が若手をはじめとした教員がおかれている教育研究環境の向上を図りつつ、学問の進展やイノベーション創出などに最大限貢献できる組織への転換や、地域社会のニーズや大学の強み・特色を踏まえた機能の検討等を推進しうるよう、大学の経営的視点での大学運営や自己変革を促進する。
  • サイバーセキュリティ基本法(平成26年法律第104号)に基づき策定された「政府機関等の情報セキュリティ対策のための統一基準群」(平成28年8月31日サイバーセキュリティ戦略本部決定。平成30年7月25日改定)に従って、独立行政法人は情報セキュリティ対策を講じることが求められている。

 さらに、「サイバーセキュリティ対策を強化するための監査に係る基本方針」(平成27年5月25日サイバーセキュリティ戦略本部決定。平成28年10月12日改定)に基づき、独立行政法人は、サイバーセキュリティ戦略本部が実施する監査の対象とされている。

2.講ずるべき措置

(1)中期目標期間

 本法人は、我が国の高等教育の発展に資することを目的として実施しており、成果を得るまでに相当の期間を要するものが多いことから、中期目標期間は5年とする。

(2)中期目標の方向性

 今中期目標期間に行ってきた事務・事業を継続して実施することを基本とし、以下の内容については、次期中期目標において拡充・重点化を図る目標として位置付ける。

○我が国の大学評価の更なる質の向上

 我が国の高等教育の質保証の取り組みを向上させるため、第3期中期目標期間中に一貫して果たしてきた認証評価における先導的役割を引き続き担い、調査研究の成果、国内外の質保証に係る情報、質保証能力向上のためのプログラム等を提供することにより、大学等における内部質保証の確立を多角的に支援するとともに、様々な大学評価の実施主体として、効果的・効率的な評価システムを開発・実施する。

○高等教育の資格の承認の推進

外国との資格の承認を容易にするために必要な日本及び諸外国の高等教育の制度及び資格に関する情報の収集・整理・提供に係る取組を発展させる。また、情報を収集・整理・提供するにあたり、諸外国の高等教育の動向について留意し、我が国の高等教育の発展に資するよう適切に取り組む。

○学位授与事業の普及啓発

 生涯学習社会の実現、リカレント教育の推進に資するため、学位授与事業に関して情報を積極的に発信し、社会における理解の増進及び高等教育学習者等への更なる周知を図る。

○大学の戦略的な経営判断の促進

 教育研究情報と財務情報との連携など、法人統合による効果を発揮し、財務・経営面を含めた国立大学法人のマネジメント機能向上や、大学自らが将来の発展の方向性を検討・判断するにあたり一助となる指標の開発に大学と協働して取り組む。

○情報セキュリティ対策の推進

 引き続き、「政府機関等の情報セキュリティ対策のための統一基準群」に基づき法人が定めた情報セキュリティ対策の基本方針及び対策基準等に従って、情報セキュリティ対策を推進する。さらに、サイバーセキュリティ戦略本部が実施する監査の結果等を踏まえ、リスクを評価し、必要となる情報セキュリティ対策を講じる。

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高等教育局高等教育企画課