平成30年度行政事業レビュー「公開プロセス」 2日目 議事録(6月26日(火曜日))

【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、時間となりましたので、ただいまより、平成30年度文部科学省公開プロセスを開会いたします。
 私、進行を務めます文部科学省サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官の藤野です。よろしくお願いいたします。
 有識者の皆様方におかれましては、先週に引き続きまして、お忙しい中、御出席頂き、まことにありがとうございます。本日におきましても長時間にわたる議論となりますが、よろしくお願いいたします。
 また、インターネットで視聴される国民の皆様方におかれましても、よろしくお願いいたします。
 本日の公開プロセスの取りまとめ役は、愛国学園大学の有川博委員に務めていただきますので、よろしくお願いいたします。
【有川委員】  よろしくお願いします。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  本日は、文部科学省の公開プロセスの2日目でございます。6月19日に引き続き本日ということでございまして、4事業を対象といたしまして実施いたします。
 それでは、議事に入ります。
 これからの時間は、特別支援教育就学奨励費負担等について御議論を賜りたいと存じます。
 初めに、事業概要の説明をさせていただきます。事業担当課は、5分以内で簡潔に説明をお願いいたします。
【説明者】  先生方、今日はどうぞよろしくお願いいたします。特別支援教育課長の中村と申します。説明をさせていただきます。
 事業の説明に先立ちまして、特別支援教育就学奨励費の対象となる児童生徒数の現況について、16ページをごらんください。
 本資料については、義務教育段階に係るものですが、少子化の影響により児童生徒の数が約10万人、昨年度から減少している中で、特別支援教育の対象となる児童生徒数は3万人増加をしております。
 17ページをごらんください。今回、レビューで取り上げていただく特別支援教育就学奨励費につきましては、教育の機会均等を図るため、交通費や学用品費など、保護者の経済的負担を軽減するために必要な援助を行い、特別支援学校等への就学を奨励することを目的としております。
 18ページをごらんください。特別支援学校への就学奨励に関する法律について説明をさせていただきます。第2条に、就学奨励を実施する主体について規定をされております。第1項においては、都道府県が実施主体となり、就学のために必要な経費の全部又は一部を支弁しなければならないとされております。
 その上で、第4条において、都道府県が支弁する経費の2分の1を国が負担することとされております。これが負担金の根拠規定となっております。
 補助金につきましては、法律を根拠とせず、予算補助となっております。
 なお、国立特別支援学校につきましては、第2条第4項におきまして、国が支弁することとされており、交付金の根拠規定となっております。
 19ページをごらんください。特別支援学校、特別支援学級の在籍者数の推移でございます。増加傾向が続くとともに、在籍者の増加幅が広がっており、平成29年度においては初の2万人増ということになっております。
 20ページをごらんください。就学奨励費の予算額の推移でございます。対象者の増加に連動しまして、予算額は増額しておりましたが、平成28年度において、約30億円の不要が発生したため、人数の増加を加味しつつも、予算を縮減してきているところでございます。
 21ページをごらんください。就学奨励費の執行実績の推移でございます。徐々に増加をし、平成29年度におきましては、100億円を超えております。
 22ページをごらんください。具体的な対象経費であります。交通費や寄宿舎居住費、修学旅行費、学用品購入費などについて支援を行っております。交通費や修学旅行費につきましては、付添人経費も支援可能としているところでございます。
 23ページをごらんください。支弁区分の認定方法であります。生活保護法における需要額、最低生活費と収入額の割合により、1から3区分に分類しております。収入額が低い1区分が、支援の範囲が最も広くなっておるところであります。
 24ページをごらんください。本事業のスキームについて御説明をいたします。左側、都道府県の行う就学奨励の手続の流れのイメージでございます。市町村が発行する住民税証明の関係で、保護者の提出書類が整うのが6月頃となります。申請を受け、教育委員会が支弁区分を決定通知します。その上で、保護者より学校へ領収書等を提出、教育課程上、必要な経費であることを学校が確認した上で、教育委員会に送付をするという流れになります。
 教育委員会ごとに時期はまちまちになりますが、学校を経由して保護者に支給されております。右側については、国の補助金交付に関する流れでございます。10月頃に交付決定をしております。
 25ページをごらんください。自治体の担当者の事務負担軽減といたしまして、平成26・27年度から、補助金交付申請手続の簡素、合理化、経費の確認方法の簡素効率化について図ってきているところでございます。
 26ページをごらんください。保護者の負担につきましては、平成29年度からマイナンバーを活用することにより、課税証明書等の提出を省略することが可能となっております。事務負担軽減、保護者の手続の軽減をやってきているところなんですけれども、効率的な事業執行について、先生方の御知見をおかりして、更に検討できればと考えております。
 27ページをごらんください。アウトカム設定については苦慮しているところでございます。
 就学奨励費を創設した背景について触れさせていただきますと、昭和29年時点におきまして、重い経済的負担が要因となって、就学させることができなかった状態、それを改善するために法律を制定し、保護者の負担を軽減する本就学奨励費が創設されております。法律制定時の目的を踏まえれば、特別支援学校・学級への就学者数について、定量的指標になり得るかと考えております。また、近年、障害のある子供の社会参加が叫ばれる中で、時代の変化を踏まえ、進学率の増加などを設定することも妥当かと考えておりますが、委員の先生方の御知見をおかりして、検討できればと思っております。
 その他、勉強会のときに、支援の決定につきまして、現場での確認作業等についてどのように行われているのかを調べてほしいという宿題を頂いているところでございます。質疑の時間に御指示いただければお答えをさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、私の方から、論点について御説明をいたします。お手元の資料の1ページでございますが、論点等説明シートをごらん願います。
 論点は二つございます。まず1点目といたしまして、子供たちが同じ条件で教育を受けることができるという本事業の趣旨に鑑み、より効果的・効率的な事業執行の方法がないかという点であります。2点目といたしまして、アウトカム、アウトプットは適切に設定されているかという点であります。
 この二つの論点等について御議論を願いたいと思います。
 これから議論を始めるわけでありますが、有識者の皆様方におかれましては、事業担当課への質問等を通じ、無駄の削減のみならず、より効果の高い事業に見直すという観点から、御議論をお願いいたします。
 また、質疑と並行いたしまして、適宜、お手元のコメントシートへの記入をお願いいたします。
 説明者は、有識者の御質問に対し、簡潔、明瞭に回答をお願いいたします。
 発言を希望される方は、机上の名札を立てていただきますと、私の方で御指名をいたしますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、有識者の皆様方からの御質問等をお願いいたします。
 亀井委員、お願いいたします。
【亀井委員】  ありがとうございました。大変、何というか、個別性が高い話でありますので、なかなか簡単に効率性を追求するものではないと思いますし、特に現場の市町村がいろんな事務負担が増えている中で、また、その市町村の役場の機能が、要求されるものは多いんだけれども、人員が削減されている中で、そこは大きな流れの中で考えていかなきゃいけないのかなというふうには、御説明を伺いながら考えました。
 そういう中で、4ページをごらんいただきたいんですけれども、これはレビューシートのアウトカムのところですよね。これは先ほどの御説明だと、27ページのところでアウトカム設定についてという形で、御担当の事業課の方からも問題提起があった話ではございますけれども、これは特別支援学校、定量的な成果目標。今、4ページ目の方では定量的な成果目標としては、特別支援学校及び特別支援学級への就学を経済的理由により断念する者を減らすというのが、この事業の、端的に言えば、もともと法律を制定した方針であり、あるいはこの事業の目的なんだと思うんですね。ここはもう端的に書かれているんですが、だとすると、成果指標は就学者の数ではなくて、まさにこの成果目標に書かれたことそのものを書けばよくて、経済的理由により断念した者と、これをどう把握するかというのがあるんだと思うんですけれども、ただ、ここを把握する努力というのは何かしらの方法でしてもいいのではないかなという気がします。既にこれまで御説明があったとおりで、全体として数は増えてきているわけですね。この理由はいろんな理由が考えられると思いますし、ここでそこを何か付言するつもりはございませんけれども、全体として増えているから、この絶対数でいいのかというよりは、むしろ全体としてのニーズが増えていますと。本当は子供は、もちろんこれはもう、まさに憲法が規定する基本的人権に関わるところでありまして、あらゆる者が教育を受ける権利があるわけでございますね。
 そういう教育を受ける権利があるんだけれども、経済的理由によって、例えば送り迎えが大変だとか、なかなか介護タクシーが手配できないだとか、いろんな理由があるんだと思うんですけれども、そういう理由がある中で、就学を断念してしまう方があってはならないんだと思います。そこがゼロを目指すというのはなかなかしんどいんだけれども、事業をやっていくことによって、これが確実に減ってきているんだと。行きたいという希望がある方に対して、経済的理由、ほかの理由もあるかもしれません。学校が合わないとかですね。それはもちろんあって、それは私はいいんだと思うんですけれども、そういう中で、経済的理由によって断念する者が限りなくゼロに近付いていくということを目指していくことがこの事業の本質であるならば、やはりここはアウトカムにするというのが適切ではないかなというふうに思います。
 その上で、これはアウトカムなのか、もしかすると、ソーシャルインパクトに限りなく近いのかもしれませんけれども、おっしゃったとおりで、社会的には、障害がたとえあったとしても、社会参加が何らかの形で可能になる。労働をすることももちろんできる。勤労することができる。働くことができるというような形の社会にしていくということは望ましいことだと思いますので、そういう形の設定ができれば望ましいのかなと思います。
 ここで是非伺いたいのは、今申し上げたようなことは、当然考えてらっしゃるんだろうと思うんですが、それがなぜ成果指標という形になると、就学者数まででとどまってしまうのかというところの御事情について、ちょっとお伺いさせていただけますでしょうか。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  担当課の方からお願いいたします。
【説明者】  経済的理由により断念をする者がどれぐらいいらっしゃるだろうかというような確認の仕方のところで、少し迷っているところございまして、果たして、私、私というような形でお答えいただけるだろうかと。その辺が少し迷った点でございます。ここに書き切れなかった点でございます。
【亀井委員】  ありがとうございます。ここは、何ていうか、数字の取り方とか、もちろんそこは人権に関わるところもあるんだと思いますね。十分配慮はしなきゃいけないんだと思いますので、いきなりマクロで幾つですと。日本国全体でいうと何人ですというふうなところまで、私は入れなくていいんだと思うんです。個別の地域を幾つか、都市型とか、あるいは地方型みたいな形で、幾つかサンプルを取って、御協力いただいていける教育委員会、それは都道府県の教育委員会になるのか、市町村になるのか。多分都道府県になるか、どっちなんでしょうね。分かりませんけれども、御協力いただける教育委員会と組んで、ちょっと実態把握を丁寧に行ってみると。全体としてこんな傾向にありますということをまずは把握していくということでも、これは統計学でいうところのサンプルを取ってという形になるんだと思うんですけれども、そういう形でも私は構わないと思います。
 しばしばこれはアウトプットとかアウトカムと、きっちりした数字を取らなきゃいけないというようなイメージ。EBPMなんかもそうですよね。そういうふうに言われるんですけれども、皆さんが事業の目的に沿って御努力されていることをマクロの数字が取れないからといって諦めるのではなくて、一つの、私たちがやっていることのディレクションは、確かにこれは改善に向かっているものであるということを確認できるようなサンプルの取り方という方法もあると思いますので、是非そこは御検討いただいてもいいんじゃないかなと思いました。
【説明者】  ありがとうございます。亀井先生から今頂きました御意見を踏まえて、少し検討を進めさせていただきます。
【亀井委員】  何か定例的に現場との会議もされているやに伺っておりますので、是非そこはそういう形で進めていただけるといいんじゃないかなというふうに思います。よろしくお願いいたします。
【説明者】  どうもありがとうございます。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ほかにいかがでしょうか。大屋委員、お願いいたします。
【大屋委員】  ありがとうございます。亀井先生からもお話がありましたけど、この事業自体は、国民の基本的人権の擁護に関わるということですので、いわゆる政策目標に対するコストみたいな意味でのコストパフォーマンスで判断すべきものではなくて、やるべきことはきちんとやるというのが最大の目的だというふうに承知しております。その上で、事業執行の効率性という観点が問題になる。そこをどう追求していくかということだと思うんですが、まず現状の把握について、先ほどの亀井先生の続きでお伺いしたいんですけれども、やはり数字で見ますと、一般的には子供の数は減っているわけですから、基本的な需要というのは大体軒並み比例して減っていくはずであるところ、この事業については、やっぱり伸びている部分があって、ここにやはり当事者の側、社会の側、両方でまだ求めに応じ切れていないところがあるという御認識だと思うんですね。多分それはそのとおりで、まだそこの、ちょっと言い方は悪いんですが、伸びしろがまだあるので、先ほども出たように、就学者数をアウトカム指標としてとりあえず設定しますということだとは思うのですけれども、これは当然ながらですが、事業が完全にうまくいってですね。そんなことは、まあ、ないわけですけれども、それこそ進学を希望される方全員がこの特別支援の対象になったときに、その後、人口の減少に従って、やはり需要が落ちていくと。自動的にアウトカム指標が低下していくということになってしまいますので、やはりこれは筋からいうと、指標の設定の仕方がおかしいから検討する必要があるだろうというふうには思います。
 それで、確かに、特に経済的理由で選ばなかったということをどういうふうに証明するか、どういうふうに把握するかというのは非常に難しいところがあるわけですが、これは私の理解が正しければということではあるんですが、頂いた資料の35ページに、もちろん最終的には、本人、保護者の最大限尊重して決めるんだけれども、要するに、学校側といいますかね。教育提供者の側から見たときに、この方はやはり考える必要があるのではないかということで判断をするわけですよね。就学時健康診断で。そうすると、マックスとしての必要性のありそうな方というのがこの数字であるというのが把握できて、結果的に特別支援に至らなかった方というのも差分として把握できるわけですよね。ただ、この方々がもちろん支援を受けないという方向に行ったので、なぜですかと聞いて、きちんと答えてくれるか分からないという点が問題だとは思うのですが、でも、はっきり言うと、そこで数は捕捉できているはずなので、聞こうとすることはできるよね。もちろんそこで、例えばインタビューで聞くと、何らかのメーキャップがされる。やっぱりおもんぱかって、聞く人のことを考えて回答してしまうというような偏差があることはあり得ると思うんですが、一応そこで把握する努力は可能なんだろうなというふうに思います。
 チラッと言いますが、大学業界では、合格したけど進学しなかった人が、なぜうちに来てくれなかったのかというところはやっぱり非常に関心のあるところでして、もちろん来てくれなかった人なので、ここに対する調査というのは一定の困難があるんですが、でも、やっぱり一応聞いてみるという。聞くとそれなりに答えてくれると。来ないので、困難を恐れなくて済むということなのかもしれませんが、ということは知られておりますので、そこの把握の努力はされてもいいのかなというふうに思いました。
 これは1点です。
 もう一つは、そういう意味で、事業としての効率性、事業執行の効率性の方をこれは考えるべきだと思うのですけれども、まず大原則について確認をさせていただくと、これは、要するに、様々な学用品であるとか移動経費なんかについてこれだけ掛かりましたというのを、おおむね保護者さんの方々から申請を頂いて、それを確認して、給付すると、こういう形の事業が基本であって、したがって、おおむね親御さんには一旦負担すると。タイムラグがあって、その分は払い戻されるという状況になっておると。ただ、ここは様々な形で改善はされていて、先ほどの、例えば大量購入する、定期的に購入する体操服みたいなものであれば、一々領収書の確認はしませんとか、そういうことをやってはいるんだけれども、大原則としてはこうだということでよろしいですか。よろしいですね。
【説明者】  はい。結構です。
【大屋委員】  はい。そこがやっぱり問題だというふうには思っていまして、もちろん制度の建前としては、これだけのお金が掛かるのであるから、それを負担として修正する、補填するということだとは思うのですが、一つは、その建て替えている間の逸失利益というのがあるはずなんですね。その間、そのお金は使えないという問題点が、親御さんの目から見ると、当然あるはずであると。様々な理由で、様々に負担の掛かるお子さんを抱えている家庭に掛かる負担というのは、できるだけ小さい方がいいであろうというふうには思うところだというのが一つです。
 それから、これは行政側にとっても負担であって、ここを何とかする努力というのはされておられるというのは承知している上で言うのですが、やはり領収書を確認して、金額を計算して、これは幾らでございましたという計算をする手間というのを、ちょっと言い方は悪いんですが、時給で換算したら幾ら掛かっておるんですかと。それだけの手間を掛けて、どれだけの不正が、例えば発覚して、どれだけ払わなくていいお金を払ってしまったことが分かるんですかというのは問題点だろうと思うんです。このあたり、先ほどちょっと御紹介いただきましたけれども、現実にやっておられるのは市町村さんが中心でしょうか。そこでどのぐらいの手間が掛かっているかということについて、何か情報をお持ちでしたら伺いたいんですけれども。
【説明者】  事前勉強会のときに大屋先生の方から御指導頂きまして、幾つかの学校に確認をいたしました。そこで、保護者、学校、教育委員会の間のスケジュールというのは資料の24ページでお示しをしたとおりにおおむね行われているという回答でございました。それで、大体1人の事務担当者が各学校で処理をしております。3人ほどいても、1人が最初から最後まで通してやると。教育委員会の支給時期に合わせた保護者からの根拠書類の収集とか、実績額の確認作業を負担に感じているという模様もありました。
 事務的に簡素化するために、定額支給にしてほしいという意見もございました。ただ、定額支給を望む声の反面、同じ者から、学用品など児童ごとの必要額にやはりばらつきがあると。一つの家庭は8,000円ぐらいで済むんだけれども、一つの家庭は1万円超してしまうというばらつきがどうしてもあると。
 それとか、あと、これは1区分、2区分、3区分とあるんですけれども、大体2区分の人ぐらいまで対象になっているんですね。1区分の方は大体申請なさるそうです。2区分の方で申請されない方もいらっしゃるそうです。辞退をされると。そういうのを見てきていると、定額にすると我々としては助かるんだけれども、相当予算が掛かるだろうなという意見を言われております。五つぐらいの学校に確認したんですけれども。
 一方で、別の学校、別の県の別の学校では、教育委員会より学校へ概算支給を、大体去年これぐらい掛かっていますので、概算支給をもう渡しておられるそうです。学校で実績を確認の上、あんまり差がなくお渡しできているという例とか、あと、保護者より書面により委任を受けて、現物支給をしている学校もありました。他の自治体、学校における工夫を亀井先生の方からも前回ありましたけれども、こういう好事例というか、取組をして、すぐさま支給をしているというようなところのいい取組例というのをお示しすることによっても、大分変わってくるのかなというふうに感じたところでございます。
【大屋委員】  ありがとうございました。これは片方ではもちろん、財務当局なんかの顔ぶれを見ると、ここで支給額が増えるのはちょっと怖いというのは当然分かるんですけれども、逆に言いますと、それは2区分の方々で、恐らく実際には掛かっている負担を、要するに、申請するのが面倒くさいとか、手間だとか、そういう理由で申請しておられない可能性が直観的にはあるなという気がいたしまして、それは本来、国の負担においてやるべきものを、しかも、厳しい状況にある家庭の親御さんの懐に転嫁しているということになるので、筋論としては大変よろしくない状態なのではないかと思うんですね。
 もちろんこれは国のお金ですから、最終的には国民の税金で賄っていただくお金なので、無駄があってはいかんというのはそのとおりではあるんですけれども、他方で、要するに、行政経費それ自体がどれだけ全体の負担として引き合っているのかということも考えるべきだと思います。やはりこれは定型的な定額支給であるとか、あるいは、例えばですけれども、私も昔、ちゃんと旅費法で旅費をもらったことがあるんですけれども、国のお役人の出張経費だって、例えば公共交通機関、新幹線なんかについては、あれは定額ですよね。要するに、時刻表に載っている額で払われて、領収書取らないでしょう。宿泊費も1泊幾らでくれて定額じゃないですか。特別の理由があって、それをオーバーするときだけ理由書を出せ。大体怒られるんですけど、認められないんだけど、そういうシステムになっているわけでしょう。
 同じように、要するに、大体このぐらいなら不自由がないはずであると。ひょっとしたら、多少余るかもしれんというぐらいの額で、定額処理してしまって、特別な場合だけ例外処理するというルールにした方が、あるいは行政経費まで考えたときの全体の負担は小さいとか、あるいは先ほど言った社会的な公正な負担のルールにかなうとか、そういうことが考えられるんじゃないかと思うんですね。
 先ほどおっしゃったとおり、グッドプラクティスの共有というのは極めて重要なことだと思いますので、それも是非推進していただきたいと思うんですけれども、私としては、ここはやっぱり現場からの希望があるようであれば、そのあたりの考え方の転換というものを考えていただいてもいいのかなというふうに思いました。
【説明者】  どうもありがとうございます。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  伊藤委員、お願いいたします。
【伊藤委員】  よろしくお願いいたします。まず最初にちょっと簡単な質問で、ちょっと調べていくうちに分かりにくくなってしまったんですが、この事業として交通費については、これは通学であったりとか、帰省に掛かる交通費の補助をしているかと思うんですが、これというのは一律全てにおいて、区分は別として、例えば1区分だとしたら全額の補助ということになるんでしたっけ。
【説明者】  おっしゃるとおりです。ただ、あくまでも最短経路ということで申請していただくということになります。
【伊藤委員】  このときというのは、例えば自治体によっては福祉タクシーであったりとか、もうなくて、一般タクシーで通学する場合。場合によっては、片道2,000円、3,000円掛かる。そのときにも10分の10の負担、補助という考え方でよろしいですか。
【説明者】  もうその経路しかないということであれば、おっしゃるとおりです。
【伊藤委員】  今のお答えで何となく分かったところがあるんですが、実際、幾つか事例を調べていたりとか、話を聞いている中で、最短、何ていうんですかね。適正な手段というところの中で、例えばスクールバスが走っている場合は、スクールバスに基本的には乗るという形になる。多分そういう考え方になるんですよね。実際には、もちろんスクールバスで行くことはできるんだけれども、例えば多動が少し激しくて、乗っている間、何人かで乗ることができないから、本来は個人で、1人で乗らなければかなり行きにくくて、実際、私、自治体でやっていたときに、それがきっかけになって、学校に行けなくなってしまった子供とかいるんですが、私ずっとこれを調べていた中で、何でタクシーで補助金出ないのかなと思っていたら、今の話ですね。スクールバスで行けるようなものが、手段があるのであれば、スクールバスで行ってくださいとなっているというところですよね。
 としたときに、少なくともそのとき話をしていたときには、もちろんこれは、今回の事業は金銭面の補助という形になるかと思うんですね。ただ、それだけじゃないというのか、場合によっては、自己負担があってもいいから、どうしても、例えば個人、1人でタクシーに乗らなければいけないとか、そういう現金給付だけじゃなくて、これは多分、現物給付に近くなってくると思うんですけど、何かそういうような考え方というのはできないんだろうかという話をお聞きしたりとか、自治体でこういうことをやるときによく出ていたんですが、そこについて何か今まで、急にこの話を聞いて、ああ、今まで事例であったなと思われるのか、あんまりないかなと。ちょっとその辺の感触をお聞かせいただきたいんですが、いかがでしょうか。
【説明者】  通学費について、やっぱり自治体の担当の方から相談はある程度件数があるんですけど、やっぱりもうケース・バイ・ケースで、今、伊藤委員おっしゃったケースそのままというのがあるか分からないんですけれども、どうしてもその子にとって必要であるというのを学校現場等で判断するのであれば、それは認め得るかなと思います。
【伊藤委員】  最近は福祉タクシーもかなり進んできていて、必ずしもどこか行きたいというときに全く手段がないというケースが減ってきているとは思うんですが、ただ、そうはいっても、福祉タクシーを、じゃ、この補助にちょっと乗らないけれども、福祉タクシーの場合と、大体どこの自治体でも福祉タクシー助成の事業を持っていたりするので、それでやろうとするけれども、実際にはこっちはこっちでまた問題があって、タクシーチケットは1回分、1乗車1回分しか使えないとかですね。いろんな制約があって、できれば、多分これは障害を持っている保護者の方からすると、移動手段というのが一番ネックになるところがあって、今回のこの事業はあくまでも多くの中の補助の一つとしての交通費ということになるかと思うんですが、移動手段のところに通学だけじゃなくて、外出支援ということも含めてしにくいところがあるので、そのときには必ずしも現金の給付、一律な現金給付ということだけじゃなくて、じゃ、自治体でどういうサービスをやっていて、例えばそこに対しての定率補助をするとかですね。何かそういうようなことというのは考えられないのかなというふうに感じたんですけど、いかが思われますでしょうか。
【説明者】  先生、まず外出支援というのが、これは対象になっておりませんで、通学に掛かる経費、帰省に掛かる経費、それともう一つが他の学校との交流及び共同学習をする場合に出掛けていくに当たっての経費というのが対象になってまいります。負担金、補助金として規定された額での支給。2分の1の支給とか10分の10の支給というところで整理されておりますので、本当に真に必要なもので、例えば1万円掛かって、3,000円ずつは支援しましょうという形の作りではないと。あくまでも就学のため、交流及び共同学習のためではお出ししましょうというので。
【伊藤委員】  はい。この補助事業の仕組みとしては認識をしているつもりなんですが、その中で特に今、外出支援というとちょっと広がってしまったかもしれませんけど、通学、学校に行くための手段というところの選択肢が、これは本当に地域によって大きな違いがあると思うんですけど、なかなか選択肢がとても限られていて、そのときに例えば二つぐらいしかない選択肢の中で、こっちだとどうしても子供が行きにくいという状況が生じている場合について、さっきのお答えでいくと、ある程度そこは自治体の創意工夫の中で、この事業で見られているんじゃないかというお話なのかなと思うんですが、若干こう。若干じゃないですね。僕が知っている事例の中で、なかなか10分の10にならないんですというようなお話があったので、そこは逆に言うと、自治体側がもっとこの事業の趣旨を捉えて改善することができるというふうに考えてよろしいですか。
【説明者】  はい。自治体として上乗せ補助なんかもされているところもありますし、範囲を広げるというのもあるとは思います。それと、先生、これはスクールバスを運行しているところについてでも、医療的ケアが必要な子供さんであれば、やはりスクールバスに載っている間に、たんの吸引とかがやっぱり動きながらできませんので、また看護師さんが乗ってなければ、そういう行為もできませんので、それであれば保護者の方が送られる。若しくは介護タクシー、福祉タクシーを御利用になさる。それもその子にとって最善の選択であれば、この補助対象になりますので、介護タクシーを利用する場合についても。それで、それ以外に何か御自身でなさるということであれば、ちょっと対象から外れるかな。大体これでカバーできているというふうに我々は理解をしております。
【伊藤委員】  今の自治体の上乗せでやっている中身というのは、私がある程度調べていた中で感じたのは、この事業として、じゃあ、更に幾らか出そうというような上乗せの仕方というよりは、特別支援事業の中で、大体どこの自治体でも支援員さんだったりとか介助員さん、こっちの方を完全に一般財源の中で自治体独自でやられているという、これがかなり大きな上乗せ部分じゃないかなと思うんですね。このインフラ部分というのか、就学に係る部分については、結構この事業の中でやろうとしていて、ただ、何となく理解できたのは、まだまだ自治体の裁量の中で、この事業の枠内に収められる。自治体の負担の中でやるのではなくて、この事業の趣旨にのっとって、ある意味では、10分の10負担、10分の10補助の中でできるというところなのかなと、今、理解をしたんですが、そんなふうなことでいいんですかね。
【説明者】  今おっしゃったのは、例えば機関補助が入ってくるという、そういうニュアンスですか。伊藤委員がおっしゃったのは。
【伊藤委員】  交通、就学に係る補助の中で、場合によっては、この事業の10分の10にならずに、別な事業。それは自治体独自の事業でやっていて、もちろんこっちの事業で補助金、県や国から出ているものはあるけれども、必ずしも10分の10にならない。要は、自治体からすごい負担が生じてしまっているというケースを聞いていたんです。
【説明者】  済みません。ちょっと非常に、あんまり丁寧じゃない回答かもしれません。やっぱりケース・バイ・ケースで、聞いてみないとというところは正直あると思いますが、ちょっと繰り返しになりますけれども、子供にとって最良の通学手段は何なのかというところの判断になるのかなという認識ではおります。ですから、それが自治体の中で、その基準がどこに設定されているか。あくまで都道府県の就学支援事業という立て付けになっていますので、そこの判断もあるのかなという気はします。
【伊藤委員】  分かりました。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  時間がある程度経過しておりますので、コメントシートを記入済みの方につきましては、合図していただきましたら回収いたしますので、お願いいたします。
 それでは、有川委員、お願いいたします。
【有川委員】  私もこれまで各委員から出た意見におおむね同じ感想を持っているんですけれども、若干、少し付け加えさせていただきますと、まず感想から申し上げますと、今回の行政事業レビューの公開の対象になったというおかげで、地方自治体におけるいろいろな工夫の事例を本省の方で把握していただいた。そして、これからそれらを参考にして事例を展開してもらうということは非常にいいきっかけになったんだろうと思います。
 それと合わせて、先ほど来議論が出ているんですけど、やっぱり事業目的に即したアウトカム指標をこれからきちんと作っていくためには、就学者の実態というものをやはり出来る限り把握する工夫を同時に行ってもらいたい。
 それともう一点なんですけれども、冒頭説明がありましたけれども、就学者が急激に増加している原因が必ずしも分からないところがありまして、その就業する必要性がある人たちが急に増えてきたのか、それとももともと必要である人たちが今回すくい上げられることになったのか。恐らく前者だと思うんですけど、だとすると、どういった者が新しく就学者として、この全体の数値を上げる状況になってきたのか。そこのところが分からないと、指標の設定にもなかなかうまく生かしきれないんじゃないかと思うんですが、どのように2万人超のところを分析されているんでしょうか。
【説明者】  先生、児童生徒数が2万人、特別支援学校に入られる児童生徒、特別支援学級に入る児童生徒さんが増えてきているという、その2万人増の理由でございますよね。
【有川委員】  はい。原因。
【説明者】  その理由というのが明確に文科省の方でも、厚労省の方でも、こういう理由ですというのを把握していませんので。
【有川委員】  把握してないと、つまり、もともと断念している人たちを救済したいという目的で事業をされているんですけれども、急に増えてきた人が、断念した人たちがすくい上げたのではないとなると、新しく出てきた人たちが母集団という、その言い方が適当かどうか分からないんですが、どうやって増えてきたのかを分析しないと、その数、対象になる数がちゃんとすくい上げられているのかどうかも把握できないような気がするんですけれども。
【説明者】  はい。有川先生の御意見、よく分かります。その辺、少し分析をさせていただきたいと思います。
【有川委員】  是非指標の設定の工夫と合わせて、その原因分析もお願いしたいと思います。
【説明者】  はい。承知しました。どうもありがとうございます。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  松浦委員、お願いします。
【松浦委員】  御質問でございますけれども、32ページを拝見いたしますと、いわゆる発達障害の子供たちの占める割合がもう7割に近い。全体の子供たちの約7割に近付いているという感じですね。旧来から言われていた、いわゆるハンディキャップのある、言語障害、肢体不自由、身体虚弱等々の児童生徒さんの数というのはそんなに増えているわけではない。横ばいということだったと思うんです。
 実は、こういうブルーでプロッティングされた子供さんたちの通学への手段というのは、今まで低床のリフトバスですとかいろいろな先行の事例がもう定着していて、かなり安定した運用ができているんだろうと思うんですけれども、問題は、この発達障害の子供たちで、例えばADHD、緑ですね。それから、学習障害はちょっと置いとくとして、自閉症スペクトラムですとか、特に情緒障害、こういうような児童生徒さんというのは、かなり手厚いケアの下に移動を考えないと非常に難しい子供たちだと思うんです。
 今、有川委員がお聞きになったのは、こういう子供たちが増えている理由を知りませんかという御質問だったと。私もよく分からないんですけどね。それで、でも、こういう子供たちが圧倒的に増えているということは事実ですね。資料のパーセンテージでは6.5という、教員に聞かれたアンケート、我々の認識では10と思っていますけれども、そういうような形でどんどん増えているということです。
 まずこれか基本的にありまして、レビューシートの方の3ページ目でございますが、執行額ですね。執行額がこのように年度を追ってどんどん、いわゆる障害のある児童生徒が増えているにもかかわらず、執行額がほとんど動いていない。
 それから、同じく件数もです。認定された件数も、4ページにありますけれども、4ページのアウトプットの、下から二つ目ですね。1万6,000台でほとんど動いていないということで、どうもこの増えてきている発達障害の子供たちの御家庭の状況をうまく拾えてないのではないだろうかと。今のシステムで、認定制度でですね。だから、その辺についての実態を御検討いただいた上で、有効な、身体障害の子供たちよりもっと手間が掛かるはずですので、親御さんも多分、この子供たちのために仕事に行けないような状態という家庭が多いはずです。ですから、その辺を再検討、調査していただければというふうに、これはお願いでございます。
【説明者】  先生、どうもありがとうございます。通級指導を受ける児童生徒さん方への支援につきましては、この就学奨励費の中では、通常の学級に在籍していながら、週に一、二回、通級指導教室の方に通うと。形としまして、同じ学校の中で、例えば3階で通常勉強していて、4階の通級指導教室に行くというのであれば、通学に掛かるお金が掛かりませんので、自校通級と言うんですけれども、他校通級、自分はB学校というところにいて、A学校の通級指導を受けに行くに当たって、バス代が掛かりますとかという場合には対象になってくる部分でございます。
 それで、余り通級についてのお金が相当掛かるというよりは、指導を受けに行くに当たっての必要な額というのが対象になっております。ただ、先生から頂いた御意見について十分検討させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  亀井委員、お願いいたします。
【亀井委員】  ありがとうございました。これまで議論してきたところにもう私は尽きるんだと思うんですけれども、これはちょっと済みません。公開プロセスで見ている国民の人たちがどう思うか分からないです。これはこれまで過去何回かやってきたので、ある種、その結論にもう至っているような感じもあるから、やや、多分きょう初めて聞いた人からは、あれっ、何かまとまっちゃっているなという感じに見えるのかもしれないんですが、大事なポイントは、私は個別性の高さだと思っています。個別性の高さにどこまで対応できるかと。これは実は行政が一番苦手とするところですよね。
 行政というのは、これまでも話も何度かありましたけれども、やっぱりどちらかといえば、画一的なことと、あとはやっぱり共通でやらないといけない。それはある種、納税者の声に応えようとすると、どうしてもそうなってしまうところがあるんだと思うんですが、本件については、私はそれはちょっと置いておいて、やはりまずアウトカムからきちんと設定をし直して、経済的理由によって断念する者をゼロに近付けていくために、逆に言えば、どのぐらい使わなきゃいけないのかというところまで見極めていくというところに多分事業のポイントを、まず文科省さんが、もともとそういうことで設計されているんだと思うんですけれども、そこを明示的に見せていただく。加えて、これによって、実際に支給をされる市町村さんも含めて、ああ、そういうふうなお金の使い方なんだと。だとすればということで、これまでお話があったとおりで、個別性の高いところについてはきちんと支給をしていく。それで、更に言えば、その中である種手間を掛けずに行くとすると、一番最初にやるべきは、基本的には去年と同じ形で出すというのがすごく大事なところで、先ほどベストプラクティスのお話でもありましたけれども、学校として、ある種そこは御判断を頂いて、もっと言うと、個別においても1年生が2年生に上がったときに、1年生で掛かった手間と、2年生で掛かった手間、もちろんそれは障害の程度によって様々振れる可能性もあるんだとは思うんですけれども、とりあえず去年の分を渡しておけば、余り大きくは変わらないのではないかなというのが多分言えるんだと思うんですね。
 というような形で、去年出したものと同じ金額をできるだけ前払いをするという形になれば、事務的な手数も掛からないですし、それでも足りないということであれば、そこは後で追加で出してくださいという話に多分なるんだと思いますし、そこまで追加して出してくる形もそんなに多くはないと思いますので、という形で、もともとの政策にかなったやり方であり、これは個別性ともともとの基本的人権のというところにかなった形で、かつ、親御さんや、あるいは現場の事務、学校も市町村もですね。そこの負担が軽減できるようなやり方の一つの形は、前払いのような気がしますので。かつ、それは外形的に統一する話では、私はないと思います。それは個別性が高いですから、そこを多分、考えていただくというのがすごく重要なんじゃないかなというふうに思いました。
 そういう中で恐らく今まで有川先生はじめ、何名かの先生方からも御指摘がありましたけれども、原因はなかなかこれは分からないですよね。私もいろんな方に聞いても分からないです。現場の人に聞いても分からないし、専門の方に聞いてもなかなか分からないという話ではありますけれども、様々な理由が考えられるんだと思いますけれども、そこに応じていく中で、ベストプラクティスを文科省として積極的に採用していくというので、かつそれを積極的に現場でやってくださいと。もっと言うと、これは公平性だとか何とかというふうに言われるけれども、まずはみんなが教育をしっかり受けられるようにしていくんだという形で、ある種の規制緩和ではないのかもしれないけれども、いろんなものを1回ちょっと緩めていくぐらいの覚悟でやってみてもいいんじゃないかなという気がいたします。
 そこは是非前向きに考えていただけるといいんじゃないかなというふうに思いましたし、その最初の一歩として、まずはアウトカムの設定と実態把握をしっかり進めていただくということが大変重要なんじゃないかなというふうに思います。
【説明者】  ありがとうございます。是非検討させていただきます。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ほかにいかがでしょうか。
 水田委員、いかがでしょうか。
【水田委員】  私の方で感じていたことももう御発言いただいているものばかりで、アウトカム指標について、やはり特別支援学級あるいは学校の就学者数、これは社会的厚生から考えると減少すべきものであるので。ただ、この事業自体は今の負担金、補助金、あるいは国立学校の交付金の制度の活用者が増えるようにということですので、私自身は、確かに見直しは必要かとは思いますが、対象者が増えているか、あるいは新しく見つかっているというか、今まで気付かなかったけど、対象者になっている人が増えてきているのかもしれませんけど、そういう中では、就学者がアウトカム指標に当分の間、ならざるを得ないというような気がしています。
 ただ、ほかの施策によって、こういった障害を持つお子さんが減ってきたら、この指標はもう成り立ちませんので、対象になる方のうち、どれだけの方が活用しているかという、やっぱり割合を求めなければならないというふうに思います。ですので、私はちょっと、ほかの委員の方とほぼ同じなんですけど、ただ、今の段階では、就学者数でもしようがないかなというふうに思っております。
 あと、おっしゃっていただいた配付の方法の、交付の方法のベストプラクティスの横展開みたいなことは是非やっていただきたいというふうに思っております。ちょっとほかの委員の方とかぶってしまいまして、申し訳ありません。
【説明者】  どうもありがとうございます。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  コメントシートの集計がまとまりましたので、有川委員、お願いいたします。
【有川委員】  どうも遅くなりました。いただきました票数の結果、投票の結果ですけれども、事業内容の一部改善が5票、現状どおりが1票という票数になっております。
 頂きましたコメントの主なコメントを御紹介させていただきたいと思います。
 成果指標の見直し、経済的理由により断念している人、そういったものの実態をサンプリングでもよいから適切に情報を収集して、実態の分析を進めてほしいという意見。
 それから、現場の市町村、学校の負担を軽減するためには、外形的な確認作業。例えば概算払いとか前払いというような方法も検討してほしいということと、今後の対応については、やっぱり本事業の個別性の高さというものに十分配慮されて取り組んでほしいという意見。
 それから、事業目的に即したアウトカム指標の設定が必要であると。そのためには就学者の実態を把握する工夫が必要であるし、就学者が急激に増加している原因分析も適切なアウトカム指標の設定にとって緊要であるという意見。
 それから、自治体の状況を調べることによって、支給においていろいろな工夫がなされている事例が見えてきたということは大変よいことではないかという意見。
 それから、経済的理由などによって就学できない。そういった人たちがどれだけ減っているのかということもきちんと分析する必要があるのではないか。それは裏返せば、経済的理由で就学できない人がどれだけいるのかという分析も必要だという意見になっております。
 それから、自治体の取組について、それらの実態把握がやっぱり重要であろうと。その実態把握に基づいて横展開をしていくということが是非求められるという意見。
 それから、給付の手続に要する時間が掛かって、保護者の負担が発生するということで、より経済的困窮な家庭がこの制度を使いにくくしているのではないかという意見。
 それから、本事業が基本的人権の保障に係る事業であるので、不足なく着実に実施されることが期待されるという意見。
 事業執行の効率性を高めるという観点からは、まだ改善を検討する余地があるだろう。その具体的なやり方としては、現物支給とか定額支給の拡大等々の簡便な方法による支給額の決定などについても更に検討を加える必要があるのではないかという意見を頂きました。
 それらをまとめさせていただきまして、事業の目的、あるいは評価の指標に関する二つのポイントと、それから、事業の執行についての意見を二つのポイントとして、四つのポイントをこれから申し述べますけれども、結論としましては、評価結果としては5票、5人の方が意見として示されました事業内容の一部改善という結論にさせていただきまして、順番が逆になって大変恐縮でありましたけれども、事業の目的及びそれに対する測定指標の設定に関してでありますけれども、一つは、事業の目的と、目的の達成度を測定するアウトカム指標が必ずしもリンクしていないという、そこをきちっとリンクするように努める必要がある。これが1点目の、やや抽象的な意見になるかもしれませんけれども、そのためには実態の分析、現状における就学者の実態の分析と、近年増加している新たな就学者の原因分析というものを図って、適切な成果指標を設定する必要があるというのが1点目と2点目の話であります。
 3点目と4点目の事業の効率的な執行のための柱としましては、一つは、地方自治体でいろいろ工夫をして取り組んでいるという、そういう状況を踏まえると、自治体における実態、業務効率のための実態の把握を適切に行って、それらにおける参考になる事例を全国に横展開する工夫をする必要があるという意見と、もう一つは、現場の、あるいは保護者の負担をできるだけ軽減させるために、支給の仕方について概算あるいは前払い、あるいは現物支給、あるいは定額支給などの拡大について、当然公正性の確保というのは担保しなきゃいけないんですけれども、そういった効率的な執行についても十分更に検討する必要があるという、そういう意見、その4点で、先ほどの業務の一部改善という結論にしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 では、どうぞよろしくお願いいたします。
【説明者】  ありがとうございました。しっかりやっていきますので、どうぞよろしく御指導お願いします。ありがとうございました。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、以上をもちまして、特別支援教育就学奨励費負担等の公開プロセスについては終了いたします。
 次の日本遺産魅力発信推進事業につきましては、休憩の後、14時50分開始といたしますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
( 休憩 )
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、公開プロセスを再開いたします。2こま目のこの時間は、日本遺産魅力発信推進事業について御議論を賜りたいと存じます。
 初めに、事業概要の御説明をいたします。事業担当課は、5分以内で簡潔に御説明をお願いいたします。
【説明者】  それでは、御説明いたします。お手元の資料の3ページをごらんください。行政事業レビューシートということで、日本遺産魅力発信推進事業でございます。
 事業開始年度は平成27年度でございます。
 経済財政運営と改革の基本方針の閣議決定等に位置付けられているものでございます。
 事業の目的でございますが、地域の歴史的魅力や特色を通じて、我が国の文化・伝統を語るストーリーを日本遺産に認定すると。ストーリーを語る上で不可欠な魅力ある有形・無形の文化財群を地域が主体となって総合的に整備・活用し、国内外に戦略的に発信することにより、地域の活性化を図るものでございます。
 事業の概要でございますが、大きく二つございまして、一つが、日本遺産魅力発信推進事業ということで、補助金でございますが、自治体に対して情報発信、人材育成、普及啓発、公開活用のための整備に係る事業等を補助事業により支援してございます。補助率は定額でございます。
 もう一つが、日本遺産プロモーション事業ということで、シンポジウム等による知名度の向上、それから、認定地域に専門家を派遣して、アドバイスを行うことで、各地域が抱える課題を解決し、日本遺産のブランド力向上を図るというものでございます。
 1枚おめくりいただきまして、4ページでございます。
 アウトカムといたしましては、各補助事業者が事業を実施する際に設定する当該事業により得られる効果について、毎年度80%以上の達成度を目指すというものでございますけれども、さらに、二つ目、それから、三つ目でございますが、より具体的に各補助事業者における「日本遺産を活用した集客・活性化」に係る成果指標について80%以上の達成を目指す。
 それから、その一つ下でございますが、各補助事業者における「日本遺産を核としたコミュニティの再生・活性化」に係る成果指標について、80%以上の達成を目指すというものを設定させていただきたいと思っております。
 それから、アウトプットでございますが、日本遺産の認定件数でございます。27年度から開始いたしまして、27年度が18件、28年度が19件、29年度が17件、30年度が13件ということで、これまで67件を認定してきております。2020年までに100件程度認定という目標がございますので、32年度まで認定を続けることにしております。
 認定地域に対しましては、1年目に約4,000万円、2年目に約2,000万円、3年目に約1,000万円、3年間で計7,000万円の補助金を支給しているところでございます。
 それから、8ページをごらんいただきますと、資金の流れということで、大きく二つのうちの一つ、補助金等の交付につきましては、Aの協議会のところに支給をしております。それから、日本遺産プロモーション事業につきましては、Bから、B、C、D、E、Fに対しまして、委託又は請負で資金を支出しているということになってございます。
 それから、17ページをごらんいただけますでしょうか。昨年度から日本遺産フォローアップ委員会というものを立ち上げまして、認定後3年間の取組の各認定地域の取組の評価を行っております。昨年度初めてこのフォローアップ委員会を開始いたしまして、年度末に各認定地域の課題を通知し、公表をいたしたところでございます。今後ともこの枠組みに沿って、PDCAサイクルを回しながら事業をやっていただきたいというふうに考えております。
 それから、34ページでございますけれども、日本遺産魅力発信推進事業の補助金によって、3か年でどのような項目について協議会の方で事業をされているかということの例示をさせていただいているところでございます。
 36ページについては、文化庁の補助金、日本遺産魅力発信推進事業以外の事業として関連して、どのようなものをしているかということをお付けしてございます。
 それから、38ページには協議会の構成メンバーの例。
 それから、40ページ以下には、各認定地域が定めている地域活性化計画の指標の具体例をお付けしているところでございます。
 こちらからの説明は以上でございます。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  このこまにつきましては、新妻文部科学大臣政務官が御参加されておりますので、御紹介いたします。
 それでは、私の方から論点について御説明をさせていただきます。お手元の資料、1ページでございますが、論点等説明シートをごらんください。3点ございます。
 まず1点目でございますが、今後の事業展開の在り方についてという点でございます。
 2点目といたしましては、適切なアウトカム、アウトプットは設定されているかという点であります。
 3点目といたしまして、調達方法及び価格は適正かという点であります。
 以上の論点等について御議論をお願いしたいと存じます。
 それでは、有識者の皆様方から御質問等をお願いいたします。
 説明者は、有識者の御質問に対しまして、簡潔、明瞭に回答をお願いいたします。
 それでは、よろしくお願いいたします。
 亀井委員、お願いいたします。
【亀井委員】  ちょっと説明で分かりにくかったところがあるので教えていただきたいんですが、4ページ目にアウトカムが三つほど出ております。例えば一番上のアウトカムは、各補助事業者に対するアンケート調査が成果指標になっていて、これは具体的に言うと、「各補助事業者が事業を実施する際に設定する当該事業により得られる効果について、毎年度80%以上の達成度を目指す」とあるんですが、この80という目標があって、それに対して、成果実績91.9なんですが、この91.9というのはどういうふうに算出されたものなんでしょうか。
【説明者】  お答えいたします。一番上のアウトカムにつきましては、各補助事業者が効果を設定しますけれども、それに対して私どもの方で事後的にアンケート調査を行いまして、達成されたかどうかということを算出いたしまして、その結果が91.9になっているというものでございます。
【亀井委員】  ごめんなさい。例えば資料は、きょうはそういったものについて、91.9の根拠の資料というのはありますか。
【説明者】  きょうは、済みません。特段御用意してございません。
【亀井委員】  ごめんなさい。今の御説明も、私よく分からなかったんですが、具体的に言うと、今、認定している日本遺産の方々が自治体それぞれあるわけですよね。その人たちに何を聞いていて、何が返ってきて、91.9になったのかというのを簡潔に御説明いただけますでしょうか。
【説明者】  この事業につきましては補助事業でございまして、各地域に対して補助金を支出する場合に、先ほどちょっとお話しさせていただいたんですが、例えば情報発信とか人材育成とか、そういった事業に対して補助を行っているんですが、各事業ごとに目標を設定させていただいております。それで、その設定をさせていただいた内容を踏まえて事業を行っていただいて、最終的には各年度が終わったときに実績報告書を提出していただいて、そのときにどのくらい達成したのかというのを把握した上で、この率を出しているというところでございます。
【亀井委員】  この91.9の母数は、分母は何で、分子は何ですか。
【大屋委員】  私が間違っていなかったらお聞きしたいんだけど、頂いた資料の42ページ以降に、認定地域指標一覧が出ていますよね。これが今おっしゃった各補助対象者において設定した指標でいいんですか。
 例えば集客・活性化の指標として、観光客入込み数。例えば近世日本の教育遺産群というのについて言うと、弘道館、足利学校、閑谷学校、咸宜園の、これは利用者かな、入館者かな。目標値の合計値というのが最初に指標として出ているとか、弘道館における入館者数の指標として出ていたりしますと。
 このうち、例えば弘道館のものを平成28年度で見ると、目標値8万5,000で、実績値9万5,184だったから、これは成功とカウントしますと。
 一方で、ごめんなさいね。例で出しちゃうんだけど、閑谷学校は、同じ年度で9万3,000の目標値を掲げていたところ、実績値は8万8,000強なので、これは失敗とカウントしますと。この全ての指標の数が分母で、達成と評価されたものが分子で、それが80%を目指したところ、91.9の指標において達成と評価されましたと、こういう理解でいいですか。
【説明者】  大変失礼しました。先生が今おっしゃるとおり、こういった形で今後把握していきたいというふうに考えております。
【亀井委員】  ごめんなさい。現状の把握は何かと聞きたいんです。例えば考えられるのは、今、大屋先生おっしゃったような形での分母で分子なのか。それとも達成できた自治体とか拠点数の数が分母で、全体が分母で、できたところが分子なのか。例えば、そういう割り算もあり得ますよね。パーセントになる場合は、まず、そこのどっちですかと。まず、今後どうしたいという話じゃなくて、現状どうなのかというのを教えてください。
【説明者】  失礼します。今までの取組としては、認定された協議会の数、つまりは、今おっしゃった自治体の数でやっておりました。ただ、今後のやり方として、今この指標としてお示ししていますのは、今まではアンケート調査で行っていたものというところを改めてしっかりと指標を取るという形に切り替えて、今まさに数値を取っております。その段階においては、そういった母数に関しては、委員おっしゃったような形でもやれることはできますし、また、従来どおり自治体の数でこれもできるかというふうに思っております。
 ただ、従来で言えば、自治体の数という形でカウントをやって、それが80%達成している自治体が何個あるのか、そこについての数値をこの91.9という形で並べさせていただいております。
【亀井委員】  ありがとうございます。だとすると、ごめんなさい。二つ目のアウトカムは、これは何を言っているんですか。この97.2というのは。
【説明者】  済みません。こちらですけれども、28年度まではこの91.9という形のアンケート調査でございまして、これはあくまでも各自治体の指標については自由に設定していたというのがございます。ただ、この29年度以降は、こちらの方からこの指標を設定してくださいと。それがこちらの資料でいうと、後半に出てくる形になってくるんですけれども、観光客入込み数と、そういった形の値に切り替えて29年度以降はやっていくという形で、今お示ししているところでございます。
【亀井委員】  ありがとうございます。じゃ、一つ目と二つ目は、これは続きで見ればよくて、集め方が変わりましたと、こういう理解ですね。
【説明者】  はい。
【亀井委員】  ありがとうございます。三つ目は、これはいかがでしょうか。
【説明者】  失礼します。三つ目でございますけれども、実はこの二つ目と三つ目につきましては、これは両方とも今まさに、今後改善した形でやっているというものでございます。
 一つ目が、例えば、後半でいうと、41ページ目でございます。41ページ目の観光客入込み数でやっているものが二つ目の項目。三つ目の項目につきましては、この中でいうと、地域の文化に誇りを感じる住民の割合、こちらの数をカウントしております。なので、それぞれにおいて立てている指標が違うということで、二つ目と三つ目は分けているという形でございます。
【亀井委員】  なるほど。ありがとうございます。まず一つは、これは指摘としては、今御説明もお伺いしましたけれども、この御説明というのは、この事業の説明のコアですから、きちんとやれるようにしてくださいというのがまずお願いです。
 それから、その根拠というのがやっぱり見えるようになっているということが非常に大事だと思いますので、今御説明いただいて非常によく分かりましたけれども、この91.9とは何か、97.2とは何か、85.7とは何かというようなことが、きちんとこれは公開されているわけですから、国民の皆さんかたどれるような形で分かるようにしていただくということが大事じゃないかなと思います。
 その上で、この成果指標についてもうちょっと考えていただきたいなと思うのは、今御説明があったとおり、住民の皆さんの、ある種、シビックプライドと言うんですかね。そういうものが上がっていくという話と、それから、観光客が増えていくという話は、これは多分、何というか、いわゆるロジックモデル的に言うと、いろんな順番があるんだと思うんですよね。まず地域がどうなっていくのかというのは、先に、今の場合は全部ロジックモデルを抜きにして、日本遺産になったからと観光客がドンと増えたりして、これはロジックモデルも何もなくなってしまうということもあるのかもしれないんですけれども、長い目で見て、単純に観光客を増やすだけではないというのが恐らく日本遺産の同じく意義なんだと思うんです。日本遺産に認定されることによって、地域の皆さんが地域にあるものの付加価値を認識するとか、あるいは自分たち固有の歴史をみんなが学ぶようになっていくだとか、そういったようなことも意味があるんだと思いますし、それこそが恐らく文化庁さんがされている意味なんだろうなというふうに思います。
 観光客の話は、観光庁さんにお願いすればいいわけでありまして、ここは別に縦割りでやるつもりはないんですけれども、地域の中で、どういう形で今あるべき姿に向かっていくのか。これをバックキャストで考えていったときにどういうロジックモデルが成り立つのかというところから成果指標というものを丁寧に見ていただくし、それをきちんとそれぞれの協議会、あるいは自治体に対してアドバイスをしていただくということが非常に重要なんじゃないかなと思いますので、ここら辺も含めて成果指標については、抜本的に見直しをしていただく必要というのが今後の事業の在り方としてはあるんじゃないかなというふうに思います。
 これ以外の論点、またいろいろとあるかと思いますが、その点はまた後で聞かせていただきたいと思います。
 とりあえず以上です。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  大屋委員、お願いいたします。
【大屋委員】  ありがとうございます。今、亀井先生からあったところの話にまさになるんですけれども、一つは、これは改善をされたところだということは承知しているのですが、42ページ以降の設定された指標を見ますと、もちろん事業の性格に応じて、要するに、共通にこのあたりの数字は聞かないかんよというのを設定されたわけですよね。41ページに書いてあると思いますが、集客活性化が目標であれば、その観光客入込み数は入れないとまずいですみたいなことを統制してらっしゃるので、そこはそこでいいんですが、例えば先ほどの、これは91.9なり、97.2なりという数字が何なのかといったときの母数の統制がきちんとしているかどうかという問題がありまして、例えばですけど、今の観光客入込み数で見ても、近世日本の教育遺産群というプロジェクトについて言うと、これは5本あるんですね。全体としての数字と、個々の構成施設の入館者が別に設定されていて、全部で5本ありますというところで、2番の「かかあ天下」というのは1本ですと。こうなったときに、要するに、プロジェクトの成否を考えるためのインパクト、構成、重さという点で見たときに、近世日本の方のそれぞれの指標というのは5分の1ぐらいしかないはずなんだけれども、「かかあ天下」の方は100%ですよね。これを例えば6個、このページに載っているのは全体で9個ありますから、9個の数字を平均しましたみたいなことをすると、何を計っているのか分からない数字になっちゃうわけですから、ちゃんとこのあたり、例えばプロジェクトごとに、プロジェクト全体の成否を判断する指標はこれであって、これが成功していたら成功で、フェールしていたらだめなんですよという話をきちんと定義してもらわないといけないはずですというのが第1点ですね。
 第2点は、その際に全然性質の違う指標が混在してないですかという話であって、近世日本の教育遺産群とかみたいに、かなりシュアに当該日本遺産の内容と深い関係のある展示施設ですよね。展示施設の入館者数で見ているものはいいのですが、例えば高岡の「加賀前田家ゆかりの町民文化が花咲くまち高岡」というプロジェクトで、高岡市の宿泊数が入っているんですね。これは例えばですけれども、高岡にそういう施設があるとは、ごめんなさい。僕、存じ上げないんだけど、国際シンポジウムを1個やったらぶっ飛びますよね。要するに、このプロジェクトと全く関係ない理由で変動する数字になっていますと。
 「琵琶湖とその水辺景観」の関係7市の宿泊者数なんかもそうで、これははっきり言いますけど、京都の混雑のせいで増えていますよ。京都でホテルに泊まれないから、大津に泊まっているやつ、いっぱいいますからね。そういう事情で変動する数値をアウトカム指標として数えることに、本来あんまり意味はない。更に言うと、丹波篠山なんか定住者数にしていますから、これは観光客入込み数で集客活性化と言っているのかどうかも分からないような数字を設定してしまっているというのは、やはりちょっと、当初動き出してしまったものに後から設定されているものなので、やむを得ないものはあるのですが、本来これをごっちゃにしてプロジェクトをやってはいけないと思いますし、例えば定住型と同じ活性化と言っても、外国人観光客を呼んでくるものと定住者を増やすものと違うのがあるんですとおっしゃるのであれば、それは例えば違うタイプとして明確に定義して、募集をしないといかんかったはずじゃないですかということになろうかと思いますね。これが第2点の問題点です。
 第3点は、生の数字が分からない指標が相当見受けられます。44ページに、これはコミュニティの再生・活性化に関する指標ということで、地域の文化に誇りを感じる住民の割合系の指標をまとめていただいているのですけれども、例えば最初の、やっぱり教育遺産群で申し訳ないんですが、水戸市における地域の文化財に誇りを感じる市民の割合を平成29年度を100とした上で、30年度、31年度にそれぞれ101、103へとパーセンテージで動かしていきたいと、こういう指標ですよね。これは問題なのは、済みません。我々の業界で言うと、例えば10点成績を上げますと言われたときに、100点満点の試験でですよ。50点のやつを60点にするのと、90点のやつを100点にするのというのは全然違う話ですよね。要するに、簡単に変動するあたりの数字をこれだけいじりますという話なのか。非常に変化しにくいレベルの、例えば95点から100点を目指しますというのは達成困難な数字であるところをいじりましょうという話なのかによって、評価は全然変わってくるはずなんです。
 ところが、このあたりの数字、かなり全体的に元数字が見えない値で設定されていますので、これでは、要するに、政策としての効果測定は全くできないということになってしまうのではないかと。
 これも繰り返しになりますけれども、割と事業の途中で、政策を、やり方を見直していただいて、後付けで設定しているものなので、なかなかそこのコントロールがうまくいっておりませんという、うまくいきませんという事情はよく分かるところはあるんですが、やはり今後に向けては相当の改善が期待されるところだというふうに思います。
 最後に、これは更に言うとなんですけれども、結局、そういう形で個別事業がそれぞれに設定した指標の達成割合という形で見ておられるので、結局この事業全体として幾らお金を使ったところ、どのような効果があったかというのが全く可視化されないのですね。
 例えばですけれど、これだけが観光庁さんの事業じゃないから、これだけを、こんな言い方しちゃだめなんですけれども、これだけで判断しちゃだめなんだけど、例えばこれによってインバウンドの観光客入込み数にこれだけ影響が出た。これが例えば日本政府の進めるインバウンド促進政策にこれだけ効果があって、それに対して費用がこれだけだったから、これはやる価値ありましたねみたいなことを例えば考えたい、考えるわけですよね。
 例えばですけど、文化庁さんの取組としてはこのぐらい、観光庁さんのインパクトとしてはこのぐらい、例えば別の省庁さんがこんなことやっててみたいなことを足し合わせていった結果、日本全体としてインバウンドの入込み客数増加が達成できたか、できないかみたいなことを我々はいろいろ考えるわけですけれども、この評価の仕方だと、そのうちの文化庁さんの寄与分がどれだけなのかさっぱり見えない。さっぱり分からなくて、結局、幾らお金使った結果、何が起きたのかの評価が誰にもできない形になってしまっていると思います。
 繰り返し言うと、もう進行してしまったものに後からコントロールを入れておられるので、ここがなかなかうまくいかないですという事情は、それはよく分かりますが、やっぱりここは特に将来に向けて、その全体的なアウトプットの数字を文化庁さん自身がきちんと把握されて、それが全体としてどのぐらいの数字になるのかということをきちんと評価する形の事業に再編された方がよろしいと思います。
 これをもうちょっと言うと、これは、要するに、80%以上の、成功しているプロジェクトが80%以上という感じの指標になっていますでしょう。そうすると、まんべんなくほどほどに当たるとうまいこと達成できたという評価方法になるんだけど、当たり外れがすごくあったけど、全体としてはうまくいきましたというのは、評価としてネガティブになりますよね。例えばもっと数は多いんだけど、10個ぐらいやってみたところ、8個ぐらいは、何か6割ぐらいしか成功しませんでしたと。だけど、1個100%成功したのがあって、1個500%成功したのがあって、その500%成功したところは、これは文化庁さんの支援があったからできたのでありがとうございます、ありがとうございますと言っていると。そういうケースで、全体で見ると、例えば観光客入込み数で見たら、物すごい成功している事業になるはずなのに、この評価の仕方をすると失敗になりますよね。だって、八つは60%サクセスなんだから、80%で、80%以上の成功という指標を達成できないでしょう。もちろん全体としてアウトプットが出ればいいという事業なのか、要するに、ほどほどにみんな頑張ってほしいという事業なのかというのは、これは政策目的によっても変わってくるものだと思います。
 例えばですけど、悪口になっちゃうかもしれないけど、観光庁さんだったら、要するに、トータルで数字が出ればいいですということかもしれないし、文化庁さんとしてはそうじゃないと。我々はやっぱり文化の保護なんだから、全てのプロジェクトに参加してくれたところできちんと成果を上げたいということかもしれない。でも、だとしたら、そういう理由なので、我々はこの指標で、こういう設定の仕方をするんですというのはきちんと御説明いただきたいというふうに思いますので、そこまで含めて、今後きちんと考えていただきたいというふうに思いました。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  伊藤委員、お願いします。
【伊藤委員】  1点目は、今お2人がお話ししたこととほとんど一緒で、大屋先生のような指標を作るためには、さっき亀井さんがおっしゃいましたけど、この事業の目的が何なのかがぶれていると、そもそも指標を作れないような気がするんですね。そこが私もまだ分かってなくて、この3ページのレビューシートの目的の欄には、「国内外に戦略的に発信することにより、地域の活性化を図る」になっているんですね。ただ、15ページの、このスライドの方になると、「国内外に戦略的に発信することにより、地域の活性化・観光振興を図る」なんですね。これは同じようで、実は全然違っているところがあって、これは多分さっきのロジックモデルというお話かと思うんですけど、観光振興もセットで図るんだったら、これは観光客入込み数ということは常に考えなきゃいけないけれども、地域活性化を図るんだったら、必ずしも観光客じゃないんですね。例えばこの日本遺産に認定された文化財に関わっている人がどれだけ増えたのかとか、これは全然変わってくると思うんですが、これというのはそもそもどっちなんですかね。
【説明者】  これは両方だというふうに考えております。
【伊藤委員】  両方?
【説明者】  はい。地域の活性化にも資するし、観光振興にも資するということで。
【伊藤委員】  この話は何か先週、同じ文化庁の観光拠点形成の事業でも同じだったかなと思うんですが、観光は確かに入込み客数というのは見やすい。数字として取りやすいから、そっちに走りがちだけれども、それというのは本当に文化庁としての主たる役割なのかというと、そこはやっぱり違うところがあって、両方を目的にするとは言っても、主たる目的というのは、絶対、主と従であるはずじゃないかなと思うんですね。それによって実は、さっきからお話が出ている指標化というのは変わってくるところがあって、もし観光振興を前提とした地域の活性化であれば、例えば観光入込み客数は、地域によっては1.何倍。2倍まで行かなくてもいいけれども、その代わり地域の活性化の部分で、さっきみたいな、関わってきたらこれだけ増えた方がいいんだという、これもまさに地域によって違ってくるかもしれないですしというようなところは、やっぱりそもそもこれは何のために認定しているのかというところがもう少しシンプルにというか、整理されないと、この後、じゃ、指標が本当に作れるのかなという、すごい疑問に感じるところがあります。
 ちょっとこれはここで終わらせていただいて、もう一点ですね。これは27年度から認定をされているので、これは事前の勉強会の中でも3年間、トータルで7,000万円の補助を出すということで、当然ながら3年以降、4年目からは自走してもらうんだということを、この資料にも書かれているかと思うんですが、じゃ、実際に27年度に認定された自治体については、今年度から自走が始まっていると思うんですが、そこについてはちゃんとうまくいっているのかどうかという把握はされているんでしょうか。
【説明者】  それはこれからやらないといけないと思っていまして、フォローアップ委員会、御説明したように、フォローアップ委員会というのはこれから、昨年度から回しておりますので、またその場で審議していただくための基礎的な把握というのはしなきゃいけないというふうには考えているところです。
【伊藤委員】  どこでしたっけね。資料の中で、1年目、2年目、3年目のこのモデルケースというのが書かれていて、2年目から既に自走に向けた準備、3年目で自走するんだというようなモデルを書かれていたかと思うんですが、そこを強調するのであれば、もう実際に一番最初のケースが既に18か所出てきているんだから、そこについては、この時点ででも、少なくとも年度明け、じゃ、例えばそこの自治体が自前でどれぐらいの財源を使っているのかとか、別な補助金を結果的には取っているのかというのは、これは少なくとも大きなケーススタディになると思いますので、そこはやはり把握をする必要があるんじゃないかなと思うんですね。もちろんフォローアップ委員会はやるんだけれども、現場としては、少なくとも客観的にどうなっているのかというのは把握をしておく必要があるんじゃないか。
 少なくとも伊勢原を見せていただいたときに、伊勢原はとてもこの日本遺産認定されたことによって、非常に地域の方たちもみんなでこういうのを広めていこうという意味にもなっているし、観光客数もすごい増えていると。これもまさに伊勢原の場合はある一定程度は日本遺産と観光客というのを結び付けているという狙いがあるんじゃないかなというのを、お話聞いてて感じたんですが、じゃ、今年度でたしか終わりですけど、来年度以降、本当に全部自前でできるかというと、必ずしもそうは言い切れないという話をされていたかと思うんですね。もちろんこの事業以外にももう一個別な補助金を持っていたかと思うんですが、これが終わった後にどうなるかというのは、もう3年目の自治体では3年目から常に考えておく必要があるからこそ、現時点での状況というのは常に把握しておく必要があるかなと思います。
 もし何か御意見があればお聞かせいただきたいんですけど。
【説明者】  おっしゃるとおりかと思いますが、フォローアップ委員会を立ち上げたのも、昨年度ようやく、3年目で立ち上げたということで、3年目の取組モデルというのを仮にもここまで取りまとめたのも、ようやくまとめたというところで、そういう意味じゃ、27年度認定地域のようなところにはもうこの周知自体がもう遅れてしまっているというようなところはございます。
 委員のおっしゃるとおり、これからはこれを基に情報を把握して、早め早めに、このモデルにのっとった事業をやってもらうようにしてもらう必要があると思っています。
【伊藤委員】  ちょっと一旦最後にしますが、伊勢原は多分うまく行っているところでお見せをいただいたかと思うんですが、私が知っている中では、必ずしもうまくいっていないところ、ここの場では名前はもちろん出せないんですが、終わったらどうしようと、本当に担当者が思っているようなところもあるからこそ、この3年目以降というのは大切じゃないかな。お金があるから今やっているという状態になっているところも現実にあるんじゃないかなと思います。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  説明者の方で、マイクを使ってらっしゃらない方はちょっと切っていただけますか。二つ同時しか使えないようでございますので。
 それでは、亀井委員、お願いいたします。
【亀井委員】  今の話の続きになるんですが、これは全部で日本遺産120でしたっけ。最後の目標は。
【説明者】  100です。
【亀井委員】  100ですか。100フォロー委員会、回せるんですか。100の事業。
【説明者】  それは回していきたいと思っています。
【亀井委員】  具体的にどういうふうに回そうと考えてらっしゃるのか。100に100それぞれ、幾つかのパターン化はできるんだと思うんですが、ある種のロジックモデルのようなものがあるんだと思うんですね。政策評価的に言えば。政策評価じゃなくて、政策推進の立場からすると、どういう段取りで進めていって、最終的な成果に向かって、バックキャストでどういうふうにやっていくといいのかというようなそれぞれの型があるんだと思うんですけれども、ただ、それは地域ごとに多分、そんな型は違いますと。うちはこういう形ですといって、それぞれ市町村が考える形になるんですが、フォローアップ委員会が100をどうやって見ようというふうに考えてらっしゃるのか。実際に今やってらっしゃる感じからすると、今の開催実績からすると、年間何回ぐらいですかね。その回数で100が本当にこれは定例的に回せる形になるのか。あるいは今までの様子を見ていると、既にこの状態でもアップアップの状態で、本当に回せるのかなというのが率直な、済みません。今の私の感触なんですけれども、ここら辺の見通しについて教えていただけますでしょうか。
【説明者】  これは昨年度初めてフォローアップ委員会というのを立ち上げましたけれども、昨年度のやり方としては、一つには、今お示ししてあるとおり、各認定地域が設定する指標に照らして、それが達成されているかどうかということ。それから、もう一つは、日本遺産プロデューサーが各認定地域を回って意見交換をしておりますので、そのプロデューサーが認識する課題というのを、このフォローアップ委員会にお示しをするということ。それから、これも資料としてお付けしてありますけれども、日本遺産の補助金を使った事業、それから、補助金の事業以外の事業でどのように日本遺産の認定地域が活性化をされようとしているかと。それから、協議会の構成メンバーという点で言えば、どれぐらいの民間の巻き込みをされているかというふうなこと。その辺のことをフォローアップ委員会にお示しをして、審議をしていただいたわけですけれども、委員がおっしゃるように、なかなかロールモデルみたいなものが定型的に設定できればいいんですけれども、おっしゃるように、各認定地域、それぞれ事情が違うというふうなことでございますので、今のところは引き続き、そういったもろもろの情報収集をした上で評価をしていただくというふうに考えております。
【亀井委員】  多分これ、今、日本遺産フォローアップ委員会が全部で7名いらっしゃるんですけれども、7名を例えばこれは100で割ると、10から20の間になりますよね。それぞれ例えば個別に御担当いただいて、しっかり見ていただくぐらいのことをやらないと、多分難しいと思いますと。
 それから、今、御説明がありましたが、日本遺産プロデューサーは、文化庁さんからお金をもらって、プロモーションをお手伝いする立場ですよね。その人たちが評価に加わるというのは、これは余り公正ではない形だと思っていて、彼らはそれを進める人。評価する人は評価する人で、そもそも32ページ、33ページで分けていらっしゃるわけですから、その人たちから報告をもらうというのも、これはなかなか適正な評価にならないのではないかなと。一旦だからついでにという話なのかもしれませんけれども、そこも含めて、フォローアップ委員会の在り方というのは、あるいはこの委員の皆さんにそれぞれ何をお願いするのかということも含めて、きちんと設計をしていただく必要があるのかなという感じがしました。
 ちょっとここから別の話をしたいんですけれども、今、大体、先ほど2年間で7,000万という話がありましたが、これはそれぞれの協議会に行く形のお金になるんですけれども、それ以外にもこの事業では幾つかお金が使われているんですが、例えばプロデューサーを派遣するという事業があるんですが、このプロデューサーの派遣というのは、1年間に大体何か所行かれているという形になるんでしょうか。
【説明者】  基本的には、全地域を回っていただくことにしておりますが、認定地域によっては、複数回訪問をしたり、例えば初年度認定のところとかは、複数回訪問していただいて、早めに指導助言の効果が表れるようにしております。
【亀井委員】  いや、ごめんなさい。何回か行かれたか聞きたい。まず数字で教えてください。
【説明者】  実績でございますか。
【亀井委員】  実績で。はい。
【説明者】  済みません。ちょっと今、細かい数字がないんですが、基本的には1地域に当たり、必ず1回は行ってもらうような形にしております。
【亀井委員】  ということは何回ですか。少なくとも。
【説明者】  昨年度でいけば54か所、認定された地域、29年度までに54か所ほどでございます。
【亀井委員】  ありがとうございます。これは54か所に行っているのが、この一般社団法人フュートゥラディションワオというところが行かれているという、ここから派遣された人が行っていると、こういう理解でよろしいですか。
【説明者】  そうです。
【亀井委員】  ありがとうございます。だとすると、ちょっとお伺いしたいのは、ここで謝金が大体2,500万払われているんですけれども、約50回として、1回、大体50万円の謝金が払われていると、こういう理解でよろしいでしょうか。
【説明者】  済みません。先ほど、最低1回ということで、場合によっては2回行っているところがございます。
【亀井委員】  いえ、皆さんに伺いたいのは、この1回当たりの金額というのが妥当かというところを私、聞きたいんですけれども、一般的に別に私が安いとか高いとかいうつもりはなくて、行政のお仕事で行く場合って、その2桁万円に行くことというのは、普通、私はあんまりないんだというふうに理解しています。そういう中で、最低で50回だとして、これが全部で2回行ったとして、100回だとしても、1回25万円ですよね。こういう類いの謝金が払われているということがあり得るということは、どう考えたらいいんでしょうかね。
【説明者】  このプロデューサー派遣事業につきましては、実際に企画競争という形で公募を行っております。その中で、この資料にもあるんですが、平成28年度から事業を展開しておりまして、そこで出てきた提案書に基づいて審査を行った上で、1社を選定しております。その1社から企画提案書の中にある事業内容と経費が一緒に出てくるんですが、それを含めて外部での有識者の方で審査していただいて、その審査結果で一番評価の高かったところを契約業者としているところでございます。それに当たっては、経費の妥当性も審査していただいているところでございます。
【亀井委員】  いや、ごめんなさい。皆さんにまず伺いたいのは、そういう経費の把握ができているかという話なんだと思います。外部の審査員が入ったから云々ということではなくて、ほかの事業と比べたときに、こういう専門家を派遣した場合、もちろん私、専門家を妥当に何かディスカウントしましょうということを申し上げているわけじゃないわけですね。納税者の立場に立ったときに、国民の税金から払われるお金の払い方として妥当なのかどうかと。もちろんあれですよね。行政の仕事をしていますと、私がそれで信頼されているかどうかは分かりませんが、それで一定の信頼を得て、ほかで事業を獲得できる可能性も民間事業者にとってはあるわけですよね。というところで考えれば、ここは安かったとしても、場合によったら、ほかで挽回できるからというような形で考える人もいるかもしれないというふうに考えると、行政の仕事というのはしばしば単価は安くなるんだと思うんですよね。
 その場合に、この単価というのをその外部有識者の方が審査をされたからそれで? という、これを見てみると、どういう形なのか分かりませんけれども、そこの入札プロセスは私分かりませんけれども、派遣をするということは1回の単価が幾らかぐらいのところはある程度、文化庁さんとしても念頭に置いといていただく。これは個別にブレークダウンすると、丸ごと幾らではなくて、結果的に、何回か行っていただくことも含めて考えていくとというようなことはある程度想定しておいていただいて、その上で、外部の有識者の意見を仰ぐというのは一つありだと思うんですが、ここら辺はそういうプロセスはたどっていないという理解でよろしいんでしょうか。
【説明者】  済みません。今、委員が御指摘のところについては、そういったプロセスは必ずしも踏んだ上でやってございませんけれども、委員の御指摘でございますので、そこら辺、ちょっときょうは具体的な額もお示しできなくて恐縮でございますけれども、全体として見直しを行っていきたいというふうに思います。
【亀井委員】  ありがとうございます。是非そこはいろんな形で多分課題もあるかと思いますので、今、指摘したことも含めて、抜本的に見直しをしていただく必要があるんじゃないかなというふうに感じました。
 とりあえず私は以上です。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ある程度時間が経過しておりますので、コメントシートの記入を併せてお願いいたします。合図していただきますと、また回収いたしますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、松浦委員、お願いいたします。
【松浦委員】  簡単なことをちょっとお聞きします。23ページでございますけれども、これはいわゆるレフェリーがこういう視点に立って、各事業に改革、改正すべき、改革すべきところを指摘したという根拠になるマスターなんですね。これね。これというのはいつ出来上がって、いつから適用されたものなんでしょう。
 事業の募集のときにこういうような視点から、これにフィットする事業について手を挙げてくださいというやり方をされたのか、そうじゃなくて、後で、1年、2年たってから、この委員会が、レフェリーの委員会が、こういう視点で評価しましょうねというふうに後付けで評価ポイントを作ったのか、そのどちらになるんでしょう。
【説明者】  これは後者でございまして、このフォローアップ委員会を立ち上げて、審議をしていただいて、この23ページにありますような考え方を整理したということになります。
【松浦委員】  であれば、やはりこの事業の立ち上げ自体が、最初からどういう視点に基づいて何をやりたかったのかということが明らかではない。各委員がおっしゃっていたのと僕も同じなんですけれども、最初は地域の活性化という非常に観念的な目標があって、地域の活性化といったって、いろんな取り方があるし、これは何なんだろうと、ずっと悩んでいたんですけれども、それとあと、入込み客数。まあ、活性化にはお客さんに来ていただくという趣旨もあって、それが非常にカウントはしやすいと、数字にしやすいということもあったのかな。それともインバウンドを増やしましょうという国の政策もあったのかもしれませんけれども。
 ただ、お客さんが増えて活性化するというのはやっぱり文化庁主体の仕事ではないし、むしろコミュニティ、地域のコミュニティが自分たちの歴史についてもう一度学び直して、それを少なくとも日本の皆さんにですよね。わざわざ海外と言わなくても、まずは日本の皆さんに自分たちのところにはこういう歴史があると。皆さんのところにもありますよねというようなことを、自分たちの歴史について、皆さん大切にしましょうと、守っていきましょうというような連帯感を作るというのが地域の、文化庁的地域の活性化ではなかろうかと思うんだけれども、目標がフラフラしていたなと聞いていましたが、やっぱりだめ押しで23ページを拝見すると、じゃあ、なぜこれを最初にできなかったんだろうというのが私の感想でして。
 まあ、一応これを見ると、どういう観点で評価したかというのと、それぞれの事業がどれに該当するかというのが評価票が付いているんですね。4ページからね。だから、そういう形でもって、各地域にはお願い、あるいは指導されたのかもしれないんですけれども、こういうような事業を立ち上げるときには、最初に何をやるのかということをはっきりさせた形で事業募集を掛けていただきたいというふうに思います。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  伊藤委員、お願いいたします。
【伊藤委員】  先ほどのプロデューサー派遣事業の方に少し戻ってしまうんですが、事前に仕様書を頂いて、これを見ていると、さっき亀井さんからもお話があった、このプロデューサーを派遣するための団体と、実際にその団体が何名かのプロデューサーを選んで派遣をする。パッと見たら、これは別なもののように見えるんですが、仕様書を見ていると、各専門領域における個別の課題及びニーズを踏まえた指導助言等を行う人材の候補者を提案する。つまり、このプロデューサー派遣事業に向いている団体の中で、何人か候補者をピックアップしておいてください。ただ、最終的な選定及び任命は文化庁が行うということになっていますよね。一般的に誰を選ぶか、この事務局をやるための事業と、そこから専門家がいろんなところに行くことというのは、一般的には切り離されるものではないかなと思うんですが、もちろんそれが全てではないと思いますし、この仕様書上も事務局的になる団体の中で何人かリストアップしてくださいという仕様書になっていると思うんですが、ここは結果論だけでいけば、その事務局となっている団体の代表者がプロデューサーになっているという結果がなっていて、ここはなかなか、さっきの亀井さんのお話の金額のところも併せてになりますけど、一般的な理解はなかなかされないんじゃないかなと感じているんです。
 繰り返しますけど、やっぱりこのプロデューサーの派遣、要は、日本遺産の魅力を個々の自治体に魅力をどう発揮してもらうかということを文化庁と一緒に考える。どういう企画がいいかということを考えるのがこのプロデューサー派遣事業の中の事務局に当たる団体になると思いますし、具体的に現場に行って、じゃあ、どうやったらこの地域だったらいいのかというふうに、これはある意味、団体ということではなくて、人間ということになっていくと思うんですが、そこは必ずしもセットではないんじゃないかなと思うんですが、少なくとも政府の契約を幾つか、似たような事例はないかなと思ってみたんですが、例えばですよ。これは全然分野が違いますけど、公益法人の相談員の事業というのがあってですね。公益法人、公益認定を取りたいという相談をするという事業があって、その相談員をする事務局に当たる契約と、公益法人は相談員という、具体的に現場に行く人たちというのは、これは全く別物なんですよね。多分それが一般的というと、これは感覚論になってしまいますけど、常識的かなというふうに感じるんですが、何かこちらが思っていることがちょっと違うということがあれば教えていただきたいんですが。
【説明者】  ちょっと違うということはないんですが、私どもとしては、企画提案書を出していただく中で、日本遺産プロデューサーとしてふさわしい候補も推薦をしてくださいということで、そこも含めて審査をした上で決定をしているということでございますけれども、先生のような御指摘もありますので、今後そのプロデューサーの選定方法の見直しとか、その辺は検討していきたいというふうに思っていますけれども。
【伊藤委員】  仮にこの仕様書で行くのであれば、もうセットの仕様書にする。最初からするべきな気がするんですけどね。謝金であったり、もう全部この委託費の中に入っていると。実際にはこの謝金で別出しというか、この中で決めて謝金を出しますということになっているので。かつ、一応、形式かどうかは別として、文化庁が選定をすることになっていますよね。実態を今お聞きするのがいいのか、例えば、今、現時点でプロデューサーになっている方と、提案があって候補者としてリストアップされた方の中には、イコールじゃない方がいるのかどうか。どれぐらいの方がイコールになっているのかと。今すぐ、もしお答えいただければあれですけど。
【説明者】  提案とイコールでございます。
【伊藤委員】  イコール?
【説明者】  はい。
【伊藤委員】  それを、結果論かもしれないですけど、形式的になっているんじゃないかと思うんですよね。そこは一つは仕様書の方の改善が必要じゃないか。実態として、そういうふうに疑念を持たれないようにするには、もしかしたらこの仕様書の中でもう一体なんですと。この派遣をする事務局の事業と、実際に個人として派遣をするのはもう一体なんですというふうにしてしまう。私は、それよりは、実際には分けた方がいいと思いますけど、今の現時点のこのやり方だったら、もう一体になっているんじゃないかな。実は一体になっているんじゃないかな。そこは少なくとも仕様書の見直しが必要じゃないかなと思うんです。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  担当課の方はいかがですか。
【説明者】  今の伊藤委員の御指摘を踏まえて、見直しを検討したいと思います。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ほかにいかがでしょうか。水田委員、お願いいたします。
【水田委員】  昨年度から地域活性化計画を立てて、目標値を定めて、あとフォローアップ委員会を開催して、目標達成度をチェックしていくということで、PDCAサイクルの改善を図られたということで、その点は評価すべきことかなというふうに思っております。
 フォローアップ委員会の結果が結局この事業の改善にどんどんつながっていかなければいけないので、それがどのくらい反映されて、事業の見直しにつながっているのかということをやはり知りたいところがあるんですね。
 まだ3月に報告書が出たばかりですので、なかなか難しいと思いますが、今のところフォローアップ委員会の結果を受けて、何か考えていらっしゃる改善点とかあるのであれば、お聞かせいただきたいというのが1点です。
 それからもう一点は、もう指標の点については、ほかの委員の方から御発言あったんですが、日本遺産については、面展開するということが、点ではなくて、面で展開するということが目標になって、目的になっていたかと思います。地域活性化計画の目標値に定められているものが例えば観光客の入込み数にしても点の入込み数で、一つの点に行った人がもう一つの点に連続して行っているかどうかという、そういう指標になっていない気がするんですね。合計数は出ているんですけど、そのあたり何か改善とか考えられているかどうか、お聞かせいただければと思います。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ちょっと回答前に恐縮ですが、かなりもう時間が押しておりますので、コメントシートの提出をお願いいたします。
【説明者】  1点目のフォローアップ委員会の今年度への反映につきましては、今後また今年度のフォローアップ委員会を行うに際して、昨年度の指摘がどのように改善されているかということを把握しなければならないと思っておりますけれども、現段階において、まだ具体的にこうというふうなことはお示しできる状態にはなってございません。
 ただ、きょう、各委員から指標についての御意見も頂戴しましたので、なるべくそういう観光振興とは切り分けた形での客観的な指標設定というのができないかということは、フォローアップ委員会でもまた御審議をいただきたいと思っているところでございます。
 それから、面展開で一つの地点から別の地点に行ったようなものというのは、なかなかちょっとそれは把握が難しくて、現状では、今、資料でお示ししているような来館者、入館者といったようなところにとどまっております。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  取りまとめを行う間、何かございませんでしょうか。
 亀井委員、お願いします。
【亀井委員】  基本的に日本遺産というのはすごくおもしろいと思うんですね。もともとの発案は悪くなかったんだと思うんですよ。ただ、これを、これは実は今のずっと議論というか、審議のプロセスを聞きながら、ふと思い出したのがあれです。地方創生の案件です。内閣府がやられている地方創生も同じことが起きていて、何となくKPIというのは設定したものの、そこをどういうふうに内閣府として取りまとめるのかとか、あるいは最初のKPIがとにかくいいから数字を出して、とにかく地方政府からすると、自治体からすると、いいから、まず補助金取ってこいよという感じになるわけですよね。
 一方で、地方創生もそうですし、これもそうだと思うんですけれども、政治としては、やっぱり地域にいろんな形でお金が行って、かつ、地方にあるものを生かして、観光を振興していくだとか、あるいはシビックプライドを上げていくだとか、あるいはそこから新しい産業が起きていくだとか、サービス業が広がっていくだとか、そういうような形にしていく、あるものを生かしていくというのは、多分これは一つの方向性なんだと思うので、そこまでは悪くないんだと思うんですが、問題は、まず最初にやっぱりこの事業としてはお金が先行したというところなんだと思うんです。
 その後、引き継がれたのか、その当時からされているのか、私は分かりませんけれども、引き継いでみれば、とりあえずまず1回配っちゃいましたと。後から考えてみたら、これって、あれっ、何をやっているんだっけという話にやっぱり。初めに事業ありきというところがあったのではないかなと。それがきょうのやりとりの中でも、そもそもこの成果指標って何ですかと伺ったときに、やっぱりなかなか丁寧な部分が見えてこなかったり、あるいは個別の、今これから100に向かっていくんだけど、今、60なら60、80なら80というところが見えている中で、その人たちが、じゃあ、それぞれどこまで進んでいるかとなると、それがまだ十分に把握できてないと。それはその数値というのは、多分大きく分けると三つか四つぐらいのパターンに分かれて、それでいくと、ここまで行っているところもあれば、8合目まで行っているところもあれば、まだ3合目ですみたいなところもあって、ある種の全体像のマップというのを皆さんがしっかり作っていくことによって、この事業がうまく行っているのかどうかということが評価できるんだと思うんですね。
 それが今、現状ない状態の中では、多分フォローアップ委員会にもし私が指名されたとしても、これは委員としてはしんどいですね。率直に申し上げて。フォローアップ委員会としては、なかなかこれは評価できないということになります。これはかつてのODAがそうでした。
 そういう取りまとめ部局として、皆さんが事業課として何をされるのかというところを、これは本当にこれはもうゼロベースで、ゼロからもう一回考え直すぐらいのつもりで、ただ、現状としてはお金は既に行っているし、でも、それを地域はそれなりに活用しているし、ただ、もともと眠っていたコンテンツによって差があるから、それで進んでいるからいいとか、進んでないからだめだということではなくて、その中で少しずつでも進めていく、アクセレーションできる、加速化できるような方策というのを地域にアドバイスをしていくというのがまず本質的には文化庁さんがされないといけないし、それを特定の事業者さんに丸投げをするという形ではなくて、進めていかれるというのが政策を進めていく態度なんだと思うんですね。
 そこの部分というのを是非今後、これはそういう意味で言うと、本当に1回、もしかすると事業をやめてから、もう一回ゼロから直してもいいぐらいのつもりで、ここは立て直しをしていただくことが必要なんじゃないかなというふうに思います。是非そこは御奮闘を期待しているところであります。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、有川委員の方から取りまとめの御提案をお願いいたします。
【有川委員】  ありがとうございます。頂きました投票についての分布を報告します。事業全体の抜本的改善を求める者が5票、事業内容の一部改善を求める者が1票ですけれども、前者の抜本的な改善を求める5票のうちの1票は、限りなく廃止に近いという附帯意見も付いているところであります。
 それを踏まえまして、主なコメントを紹介させていただきます。
 今後の補助事業の成果指標設定と、その検証方法、事業全体としてのアウトカム指標設定、いずれも不適切であり、将来に向けて抜本的な改善の必要がある。その具体的な方向性として幾つか挙げていただいていますけれども、そのうち代表的なものを紹介させていただきますと、事業全体としてアウトカムがどう適切に設定して、それを明確にする必要がある。個々の補助事業の成果指標は、可能な限り統一すべきであり、目的により統一できないものは別のタイプとして整理するなど、事業の構成を再検討する必要があるという意見。
 それから、目標として掲げられている地域の活性化の具体的な趣旨が不明確である。この点を明確にした上で、適切な成果指標を設定する必要がある。それから、プロデューサー派遣事業の経費の精算根拠が不明確だという意見。
 それから、成果指標はそれぞれの事業のありたい姿に向かうプロセスに応じた形で、根本から見直していただきたい。現状、事業の全体像として説明できておらず、事業の分析もできていない。これについては、今後の方向付けとして、日本遺産そのものについては意義あるものと思われるけれども、事業の設計、執行がそもそもからゼロベースで検討し直す必要があるという改善意見を付けていただいております。
 併せて、入札プロセス価格も説明責任を果たしてないという意見が出されておりまして、この点についても入札プロセスについては、本件のみならず、文化庁で横串で見直しをしていただきたいという意見になっております。
 それから、補助事業終了後の事業成果の連続性、継続性についてどう確保していくのか、ロードマップが十分見えてこない。その構築が必要ではないかという意見が出ております。PDCAサイクルの改善は図られてきているけれども、フォローアップ委員会の位置付けが浮いてしまっているのではないか。フォローアップ委員会の評価結果を踏まえた評価、又は委員会自体が機能しているのかどうかのメタ評価も必要ではないかという意見が出されております。
 それから、地域活性化が主たる目的であれば、観光客が増えないとしても、認定された日本遺産に関わる人たちがどれだけ増えたかなどの指標設定になるのではないか。それから、フォローアップ委員会に頼るだけではなくて、補助が終了した自治体でどのようにその後、財源を確保したり、取り決めをしているかということをきちっと把握していく必要があるのではないか。プロデューサー派遣事業については、仕様書の抜本的な見直しが必要だ。提案を受けた候補者と、文化庁の選定したプロデューサーが全て同じになっていることはやはり実態面からも、形式面からいっても見直す必要があるという意見であります。
 今ので主な意見を紹介させていただきまして、結論としましては、評価結果といたしましては、限りなく廃止に近い1票も入れて、抜本的改善が5票でありますので、事業全体の抜本的改善を求めるという評価結果で、それを支えるコメントとしては、評価コメントとしましては、四つの柱でそれを、内訳を構成したいと思います。
 一つは、成果指標の関係でありまして、個々の補助事業の成果指標の設定と、その検証方法、事業全体としてのアウトカムの指標設定、いずれも不適切であるので、将来に向けて抜本的な改善をする必要があるというのが1本目の柱。
 2本目としては、やや、こちらの方が先なのかもしれませんけれども、本事業の設計、執行等もそもそもからのゼロベースでの検討をし直す必要があるという意見。
 それから、3番目の柱としましては、本補助事業の終了後の成果の継続性、連続性をどのように確保、維持していくかということについての制度設計をしっかり構築する必要があるという点。
 それから、4番目としましては、本事業におけるプロデューサー派遣事業を含む入札プロセス価格、あるいは事業の執行方法についての説明責任の確保と、事業の明確化を図る必要があるという、この4点で本事業の評価としたいと思います。よろしいでしょうか。
 では、どうぞ今の意見で改善をよろしくお願いしたいと思います。
【説明者】  よろしくお願いいたします。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、以上をもちまして、日本遺産魅力発信推進事業の公開プロセスについては終了させていただきます。
 次のスポーツによる地域活性化推進事業につきましては、休憩の後、16時開催といたしますので、よろしくお願いいたします。
( 休憩 )
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、時間ですので、再開いたします。3コマ目のこれからの時間は、スポーツによる地域活性化推進事業について、御議論を賜りたいと存じます。
 初めに、事業概要の説明をさせていただきます。事業担当課は、5分以内で簡潔に説明をお願いいたします。
【説明者】  スポーツ庁でございます。それでは、スポーツによる地域活性化推進事業について御説明申し上げます。お手元の資料の14ページをお開きください。
 本事業につきましては、地方公共団体の補助事業でございまして、スポーツによる地域活性化ということで、大きく二つの事業からなっております。
 まず初めに、左側の運動・スポーツ習慣化促進事業について御説明申し上げます。ページをめくっていただきまして、17ページをごらんになってください。
 スポーツ庁におきましては、スポーツ実施率の向上、こちらを大きな政策目標としております。現在、51.5%のスポーツ実施率をオリンピックのある平成33年までに65%、こちらを目標としております。
 各種施策の中で本事業が「自治体と連携として地域住民の運動を継続してもらうための仕掛けづくり」ということで、重要な事業として位置付けております。
 めくっていただきまして、21ページでございます。駆け足で申し訳ございません。本事業の概要ですけど、右側に体制整備でございますけれども、運動・スポーツを実施する部局は、自治体の中でもかなり多くございます。首長部局、スポーツ部局、健康福祉部局、産業部局、関係する団体もかなりございます。こういったところがまず実行委員会という形で連携していただきまして、それぞれの自治体に特有の取組を実施していただく。そういう事業でございます。
 また、ページをめくっていただきまして、25ページでございます。昨年29年度の本事業の成果でございます。詳細は割愛させていただきますけれども、スポーツの実施率ですとか、スポーツを続けたいという人の割合ですとか、あるいは事業を通じて健康になったと思う人の割合、こういったのも事業として取っております。自治体によってばらつきもございますけれども、こういった指標を今年度から、KPIといいますか、新たに指標として取り組むこととしております。
 1枚めくっていただきまして、27ページでございます。本事業、3年経過をいたしまして、本事業につきましては、地域におけるスポーツの習慣化事業の取っ掛かりとして、実証していただきたいというふうに考えています。事業が終わった後の継続の状況でございますけれども、引き続き補助金で継続しているのが3割、本事業が終わった後、事業を継続しているのが6割。全体的に93%近くの自治体が事業を継続しておると、こういうふうな状況にございます。
 1枚めくっていただきまして、29ページでございますけれども、29年度までのKPI、アウトプット、アウトカムにつきましては、こちらのとおりでございますけれども、本年度につきましては、見直しを検討しまして、アウトカムにつきましては新たに本事業に参画した地方自治体における週1回以上のスポーツ実施率、先ほど申しました補助事業終了後の同様事業の継続です。こういったものをアウトカム。アウトプットにつきましては、新たに3項目追加をしまして、週1回、本事業参加者における週1回以上のスポーツ実施率、スポーツの継続意欲、スポーツを通じて健康になったと思う人の割合、こういった事業に密着した指標を新たに設けることとしております。
 最後に1枚めくっていただきまして、30ページでございますけれども、本事業を通じて、横展開も非常に重要だというふうに考えてございます。現在、事例集を作成するなど、横展開を図っていきますけれども、今後はより一層、効果的に展開が図られますように、横展開を強化していきたいというふうに考えております。
【説明者】  引き続きまして、大きく二つに分かれております、この事業のうちのもう一つ、スポーツによるまちづくり・地域活性化活動支援事業の方につきまして、説明をさせていただきます。飛んでしまって申し訳ございませんが、35ページをごらんいただけますでしょうか。
 この事業は、スポーツコミッションといいます。そこの真ん中に絵がございますように、地方自治体や体育協会、企業、メディアなど、この構成は地域によってまちまちでございますけれども、こういうスポーツに関する、また、ツーリズムに関する関係団体が集まります組織、こちらに対して支援を行うというものでございまして、このスポーツコミッション。これはロケ地等を誘致するフィルムコミッションのスポーツ版で、スポーツで地域を元気にする取組でございますけれども、こちらに対する支援を行うということで、下のところに地域への経済効果としまして、合宿参加者やスポーツツーリストの滞在に係る消費や、スポーツアクティビティの参加料収入などの経済的効果で地域が元気になるという支援でございます。
 戻っていただきまして、32ページをごらんいただけますでしょうか。こちらのスポーツを通じた地域の活性化につきましては、三つの数値目標をスポーツ基本計画で掲げております。まずはスポーツ目的の訪日外国人数を138万人から250万人、スポーツツーリズムの関連消費額を2,204億円から3,800億円に。それから、地域スポーツコミッションの設置数を56か所から170か所にということで、これまでのこの事業の大きな、この事業につきましてのアウトカムにつきましては、こちらのスポーツコミッションの数を170に増やすというところを設定しております。
 こちらの方は、当初56から昨年の9月現在で、34ページになりますけれども、83団体まで増えてきております。ただし、この数、そして、今までの成果ですが、36ページの方ですけれども、これまで3か年で18の地域の取組を支援してまいりました。地域の雪ですとか、スポーツ施設ですとか、それから、スポーツ施設ですとか、それから、自然の環境、温暖な環境、それから、アイススケートリンクのような施設などを地域の資源を活用いたしまして、どれ一つ取っても同じような取組にはなっておりません。支援しておりますが、こちらの方、スポーツコミッションの方は順調に増えてきておりますけれど、どのような経済効果が上がっているのかということにつきましては、これまで必ずしも明らかではありませんでした。
 38ページをごらんいただきたいんですが、様々な、この事業ではない取組では、例えば網走市が合宿誘致で年間5.9億円。それから、さいたま市の場合ですと、埼玉のスポーツコミッションが行っておりますサイクリング大会、ツール・ド・フランスさいたまクリテリウムですけれども、こちらで29.1億円というような経済効果を上げているというところがございました。
 ですので、私どもスポーツ基本計画では、スポーツコミッションの数の増加のほかにツーリズム関連消費学と、それから、訪日外国人数の増加ということも掲げておりますので、39ページをごらんいただけますでしょうか。このスポーツコミッションの数の増加に加えまして、平成30年度につきましては、スポーツツーリズム、国全体の関連消費額もアウトカムの方に設定したいと考えております。また、それに対して、この事業がどれぐらい寄与しているのかということを調べるために、本事業に参画した地方公共団体におけるスポーツツーリズムにより経済効果につきましても、どのような算定式か、これから検討いたしますけれども、アウトカムに追加したいと考えております。
 以上でございます。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、私の方から論点について御説明をさせていただきます。お手元の資料1ページでございますが、論点等説明シートをごらんください。
 3点ございまして、まず1点目といたしまして、スポーツの実施を促進させる新たなアプローチや自治体と企業等との連携の在り方など、今後の事業展開についてということであります。
 2点目は、これまでの事業の成果の検証についてという点であります。
 3点目ですが、アウトカム・アウトプットは適切に設定されているかという、以上の3点の論点等につきまして御議論願いたいと存じます。
 それでは、有識者の皆様方から御質問等をお願いいたします。説明者においては、有識者からの御質問に対しまして、簡潔明瞭に回答をお願いいたします。
 それでは、伊藤委員、お願いいたします。
【伊藤委員】  この二つの事業は、似ているようで、結構性質が違うなとも思うんですが、私から、スポーツによる地域活性化の方の事業で、こちらはスポーツという手段を使って、地域の活性化につなげよう。その中の手段としての幾つかの自治体が健幸ポイントをはじめとしてやっているという、こういう仕組みかと思うんですが、ただ、さっきの後半のスポーツコミッションの方は、消費額とか違うアウトカムがあるかと思うんですけど、こちらの方は、結果的に出ている成果指標はスポーツ実施率、週1回実施しているか。これだけだったらスポーツすればいい。地域活性化というものは特段関係ないんじゃないかなと思うんですが、ここは何か考えは、見直しの検討がされているんでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。先ほどお手元の資料の29ページのところでございます。アウトカムにつきましては、29年度までのスポーツ実施率に加えまして、済みません。事業に参画した自治体のスポーツ実施率、並びに事業の継続性といいますか、補助事業終了後の同様の事業の継続率とあります。
 アウトプットの方ですけれども、この事業を行ったスポーツ実施率に加えまして、スポーツを継続する意欲ですとか、あと、スポーツの価値はいろいろございますけど、例えばスポーツを通じて健康になったと思う人の割合ですとか、健康作りですとか、健康寿命の延伸ですとか、そういう自治体の課題もございますけれども、少しこういった、スポーツの結果として、一つの指標として、「健幸」というキーワードも少しアウトプットの一つとして今年度から取り入れようということは考えております。
【伊藤委員】  ありがとうございます。今のアウトカムの方でいくと、継続している比率というところがあったと。これは現時点においてはモデル事業ということでよかったですよね。内容をお聞きしましたけど。モデル事業ということになれば、最終的には文科省とすれば、こういう取組ですね。22ページにあるようないろんな自治体でやっている事業が全国で展開をされるということが最終目標だということでよろしいですよね。
【説明者】  はい。
【伊藤委員】  としたときに、特に健幸ポイントがこの中で一番多いので、健幸ポイントの事業自体は、現時点では既にモデルの領域はもう超えていて、実際には25年度ぐらいから始まっていますし、まだ4年を考えてみれば、ある程度のもう既に成功か、失敗の要素というのは出来上がっているんじゃないかな。ただ、この事業として結果的に中止になっているのは健幸ポイントの事業で、中心的にやっている自治体も一番最初に始めたけれども、今でもこの事業の補助を使ってやっている自治体もありますよね。3年を終わって、もう一回この事業の補助を使っているとか。となってくると、これはモデルというよりは、継続すればいいということだけでも文科省としては本当はよくなくて、スポーツ庁としてはよくなくて、更にそれが横に、ほかの自治体に展開をするためには、こういう要因が必要ですよとか、それが見えてくるのが本来のモデル事業の在り方じゃないかなと思うんですが、そこはいかがでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。今御指摘ありました22ページのところで、この健幸ポイントと書いてありまして、この健幸ポイントの中身も結構、よく見ると多種多様でありまして、例えば参加者の運動量を測りながら、何かインセンティブを与えると。その運動の中身もいろいろ自治体によっていろんなメニューも準備しながら促していくというところもございます。
 この健幸ポイントのポイントというところはインセンティブになりますので、無関心層の方を呼び込むには非常に有効というふうには考えていますけれども、このインセンティブで何かプラスを上げる部分は、まあ、補助の対象にはなりませんので、自治体の独自でやっていただくという形で考えています。
 少し話が戻りますけれども、モデル事業かどうかというところでいくと、最終的にはモデル事業という形で、同じようないい取組をできるだけ多くの自治体に展開していきたいというふうに考えていますが、今、3年始めていまして、なかなか自治体で主体的に取っ掛かりをするところになっていないところもまだ多いところもございまして、少し国のこういった補助事業も活用しながら、自治体で少し予算化をして、いろんな事業も横目で参考にしながら、まずは進めていただいて、最終的に自走していく。そういうこともあるのかなというふうには今見ております。
 いずれにしても、今おっしゃったように、全く同種の事業で非常に単純化されたものであれば、完全に完成されたものだというふうに考えていますし、今のところ、いろんなメニューも盛り込みながら、この健幸ポイントと称しているものもございますので、事業の採択に当たっては、今御指摘の点はよく留意して採択はしていきたいというふうには考えております。
【伊藤委員】  本来、調査をしなければいけないのは、健幸ポイントをやっているからいいということではなくて、じゃあ、そのやっている自治体の会員登録者数がどれだけ増えているのかとか、もともとの問題意識で書かれていた労働世代と、若い世代がどれだけ運動をするための動機付けとして、例えばですけど、この健幸ポイントがつながっているのかというところこそがモデル事業として調査をしなければいけないところじゃないのかなと思うんですね。
 私が知っている自治体で、いろいろ聞いたり調べたりしてみると、登録者数が頭打ちになっている。一時期、すごく有名になったところだけれども、頭打ちになっていて、かつ、どうしても60代以上が7割から8割の状況が変わっていないというお話を聞いたんです。それはその自治体の特殊要因というよりも、やっぱり時間のなかなか取れない若い世代というのがこういうことがしにくくなっているんじゃないか。その中の一つと、何で取っ掛かりにくいかという一つの、そこの自治体での原因分析としては、やはり歩数計を持って、更にデータを入力をするというか、連動するので、少なくともそれを登録するに当たっては事前の勉強会というのか、研修会に来てもらう必要があって、なかなかそこに来てもらうということに、1個、大きなハードルを感じられてしまっているんじゃないかというような、事例というのはもう出来上がっているからこそ、私は個人的にはこの事業としてはモデルの領域ではなくて、一番何をしたいのか、目的が、私は継続率が、本来は成果ではなくて、スポーツをきっかけにして、この事業であれば地域活性化。この地域活性化の捉え方もいろいろある中で、少なくともこの事業としては、スポーツを手段としながら、こんな、例えばですけど、総合型地域スポーツクラブのような、みんなが集うようなところに関わる人がどんどん増えていくとか、何か違うような設定の仕方があるんじゃないかと思いますし、そのための材料というのが常にこの3年、4年で出来上がっているんじゃないかなというふうに感じるんですが、これは意見として申し上げたいと思います。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  大屋委員、お願いします。
【大屋委員】  ありがとうございます。アウトカム設定の指標については、これは以前に申し上げたことではあるのですが、やはり事業の評価という観点からすると、事業の対象として施策が行われたところと、それ以外の一般社会の動向を区別して把握することが必要であると。要するに、社会一般として、何か知らないけど、例えばテレビドラマでスポーツがはやって、みんながやることになったので、自然と上がりましたというのでは、この事業の評価にはならないはずですので、その点で両方ですね。要するに、社会一般の数字だけではなくて、本事業に参画した地方公共団体におけるデータを把握して、それがアウトカム指標に取り入れられるという改善の方向については極めて適切なものだと思いますので、是非今後その方向で進めていただきたいと思いました。
 それはそれでいいのですが、これも事前に申し上げたことの繰り返しになるわけでございますけれども、まず事業全体の構造を確認させていただくと、一つ目に御説明いただいた運動・スポーツ習慣化促進事業ですね。これは主たる働き掛けの対象というのは、当該自治体の住民の皆さんであって、その方々が運動・スポーツに取り組んでもらいたいなと。それによって達成すべき価値というのは、もちろんグルッと回ると、例えば医療費が削減されるかもしれないとか、みんな元気が出るかもしれないとかあるかもしれないけれども、そういう経済的な価値というよりは、まさに説明資料の中でもおっしゃっていただいたけれども、スポーツはみんなのものなんだと。健康という、その非経済的な価値をこの事業を通じて実現していきたいんだという、こういう事業であるように思われるわけですね。
 それに対してもう一つのスポーツによるまちづくり・地域活性化支援事業の方は、これはおっしゃっていただいたように、コミッションを作って、経済的な活性化を目指そうとするものであると。その際に、例えば成功例として挙げていただいている埼玉のツール・ド・フランスさいたまクリテリウム。これなんかは埼玉の人も、それは中には見ているだろうけれども、そこが主たるものではなくて、それこそ、これは世界最高のレベルのものだから、世界中から観光客を呼びたいと。あるいは自転車乗りも呼びたいということでやっておられるものですよね。要するに、当該自治体は、どちらかというともうける側であって、顧客として期待しているのは、自治体外の人がメーンであると。達成するものも経済的価値である。こういう整理では間違ってないですか。それでよろしいですか。
 いいとしますと、こういう理解でよろしければ、やっぱりこれ、私、この二つの事業それぞれについては、大変適切なものだと思うんですね。私自身は残念ながらその習慣はありませんけれども、スポーツという習慣を持って、皆さんが活発になること自体はとてもいいことで、もちろん方法論としていろいろ指摘すべきことがあるとしても、それは目指されるべき価値だろうと思います。
 ただ、これももう一つ言うと、そういう意味で言うと、これはやっぱり全国展開されたい事業、してほしい事業ですよね。それに対して、スポーツによる地域経済の活性化というのは、これは全国津々浦々でやってもあんまり意味がないはずなんですよね。全国の自治体が同じようにラグビーグラウンドを作ったら、それだけラグビーファンが世界から来ますというものではないので、やっぱり特化して、ここに掛けたいという自治体に集中して行われる事業だと思うし、ただ、そういうことを通じて、ちょっと言い方は悪いかもしれませんけど、さっきの話じゃありませんが、文化庁さんが目を付けるような観光資源とか文化資源は乏しいけれども、例えば、うちには野っ原があるんだよと。これを生かして、快適なスポーツができるようにしたいんだという形の自治体さんを支援されることというのは、これはやっぱり価値のある事業だと思うんです。
 ただ、やっぱり分からないのは、なぜこの二つが同じ箱に入っているのかということで、要するに、働き掛ける対象も、目指すべき価値も、人の動きの方向性も全く違う。これを一つの箱に入れて、もちろんそれごとに今、アウトカム指標をきちんと整備していただいたわけですけれども、やっぱりこれは箱を別にした方がきれいなのではないかと。個々の事業として、まともなものであればあるほど、この二つはきちんとアンバンドルする、二つの別のものとして整理された方がいいのではないかと思いましたというのが私からのコメントになります。もし何かありましたら。
【説明者】  ありがとうございます。今の御指摘を受けまして、今、私どもも別々に説明させていただきましたけど、レビューシートでの作りですとか分けて、今後は作成したいというふうに考えます。
 あと1点、少し、先ほどの御指摘の中で、追加で御説明させていただきますと、資料の25ページの方でございます。運動・スポーツ習慣化事業の方は、多くの住民の方にスポーツに参加していただきたいというところでございまして、自治体によってはそれぞれかなり、例えば子育て世代を狙うですとか、高齢者を狙うですとか、目的を持って事業を設定している中で、この右下のスポーツを通じて健康になったと思う人の割合ということで、自治体によってはやっぱり医療費を削減したいですとか、そういう目標を立てて、指標を取り入れるようにしたり、あるいはこのBMIですとか、体組成ですとか、目に見えて、少し健康指標も改善して、それだけが目的ではないんですけど、最終的に少し、例えば健康ですとか医療費とかそういう狙いも少し含めた取組を行っている自治体もかなり多くなっているというのは付け加えさせていただきます。
【大屋委員】  はい。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  亀井委員、お願いいたします。
【亀井委員】  ありがとうございます。今のちょうど25ページの話の続きをちょっと聞きたいんですけれども、今回採択されたのが上山市から指宿市までありますけれども、これ、いわゆる全国平均に比べると、全国平均は、今、42.5から51.5%を週1回以上、スポーツやる人、上がってきているんですが、51のところにヒューッと行くと、みんな、それより上に来る自治体ばかりなんですよね。多分、むしろやるべきは低い人たちなんじゃないかなと思うんですが、そこら辺の採択というのはどうお考えなんでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。今の御指摘は、ベースの低いところの自治体を採択すべきというところでございます。この事業につきましては、申請主義で、出てくるところを採択するというところもございますし、やはりスポーツ実施というのはイベント的にやるのではなくて、習慣化するというのはかなり大きな仕掛けが必要だということで、いろんな自治体も、結局、スポーツ無関心層というのはかなりの層がございますので、こういった意欲のある自治体の取組を少し事業内容を好事例にして、何ていいますか。手を挙げてこない自治体の水平展開を最終的には図っていきたいというふうには考えております。
【亀井委員】  いや、これというのは、自治体においてしばしば行われる健康教室に近い話になっているんだと思うんですけれども、もちろんこれは健康教室を何でやるかと、公衆衛生上の知見があって、自治体の場合、多くこれまでも議論されているように、運動をある程度行うと、例えば血圧が下がりますとか、あるいは血糖値が下がりますとか、そういったような知見があるので、そういうリスク要因のある方を保健師さんがピックアップをして、健康指導するというのは、これは極めて効果的だというふうに、これは言われているわけですけれども、一方で、そういうことをしないで、自治体が健康教室をやりますというと、健康な人ばかりが集まって、更に健康になりますという話になりますと。そもそも何でその人に公費を投入しなきゃいけないんですかと、こういう疑問が自治体で起きてくるわけですね。これと同じような話じゃないのかなと、私は今伺っていて思ったんですけれども、むしろ健康習慣がない自治体というのがあるんだとすれば、そこを積極的に声掛けをしていくという形で、そこの改善を促していくという形でやっていかないと、やっている人たちを見てといっても、私もさっきの大屋先生と一緒で、比較的スポーツ習慣が、自分の持病のこともあって、ないんですけれども、こういう人間をつかまえていかないと、全体としての数字は上がってこない。これは別に、私は今ある特定の人を言いましたけれども、地域も同じような形で、であれば、その地域で低いところをどうやって、これはスポーツ庁さんとして、まさにこれは戦略的にやっていかなきゃいけないんだと思うんです。申請主義というのは一つの考え方だとは思うんですけれども、そこはそういうふうにしていかないといけないのかなと、これはコメントとして申し上げたいと思います。
 その上でちょっともう一つ申し上げると、これはさっき伊藤さんがおっしゃったとおり、私はこれはやっぱりモデル事業なんだと思うんです。だとすると、スポーツ庁さんとしては、この出口をどこに考えてらっしゃるんですかね。
【説明者】  ありがとうございます。一つは、資料の17ページにございますけれども、スポーツ実施率の向上ということで、現在、第2期スポーツ基本計画がございます。一つは、この65%を目指しまして、地方自治体における取組。ほかの取組も下にございますけれども、こういったものも総合的に進めながら、目標を目指していくというところを行っております。
【亀井委員】  そうすると、じゃ、65になったら一旦。ただ、これというのはまさに、恐らくスポーツ基本計画というのは、またこれ、65になったら、じゃ、75を目指しましょうみたいな感じになっていくのかもしれないんですけれども、一方で、これは納税者の視点からすると、どこまでこれを行政がやるのかという話なんだと思うんですよね。基本的には、健康は自分で自己管理する。もちろんそうでなくて、もともと生まれつきいろんなことを抱えた、リスクも抱えた方もいらっしゃるのも事実ですから、そういう人たちに対してはまた違うサポートをしなきゃいけないんだと思うんですが、基本的な原則としては健康というのは自分で守っていくんだということですよね。
 もっと言えば、スポーツをやるか、何をやるかというのも、それも自分で判断をしていくんだというのが大きな原則だと思っていて、どこまで行政がやるのかというのはある種、それぞれの人の判断もあるんだから、抑制的であるべきなんだと私は思います。もちろんスポーツの価値も十分分かった上でなんですけれども、そういう中で言うと、これがどこまでやり続けるのかというのは、ちょっと今のお話を伺っていると、計画で定められましたからと、これ、グルグル、グルグル、いろんなものが回転して回っているようにも見えなくもないんですけれども、そこはどう考えたらよろしいんでしょうかね。
【説明者】  直接のお答えになるか分かりませんけど、27ページのところにこの事業の成果の一つとして、こちらの事業は自治体で採択した計画を全て投入するわけではなくて、一部を補助させていただいて、残りの財源は基本的には自治体さん、あと、本日の論点にございますけど、あるいは民間企業との連携ですとか、そういった中で協力しながら、まず取っ掛かりとしてやっていただく。
 自走していく中では、恐らく自治体さんも要素の枠組み、あるいは先ほどの企業との連携ですとか、そういった中でうまく習慣化をつなげていくということで、どっぷり全部やるというよりは、少しきっかけ作りとしてのしかけであるということと、あと、どこまでやるかというのはまさに、私どもはさっきの横展開も非常に重要というふうには考えていますけれども、そういったものがうまく展開できればというふうには考えています。
【説明者】  ありがとうございます。だとすると、やっぱり採択の工夫というのは是非していただきたいなと思いますし、ちょうど27ページの前に26ページのところで、成果というのは、大きく分けると公衆衛生上のものと、あと、先ほど伊藤さんから御指摘のあったような、スポーツを核にした地域作りみたいな話ですね。別のところでは、文化を核にしたみたいなものとかそういうのもありましたけれども、文化庁さんなんかがそうなるんだと思うんですが、スポーツを核にしたうちはラグビーでまちづくりをやるとか、アメフトでやるんだとか、サッカーでやるんだとか、野球でやるんだという、そういうプロチームが近くにあるからみたいなこともあるんだと思うんですけれども、そういうようなことで実際に地域作りをされているところもたくさんあるんだと思いますので、そういうのもあるんだと思いますと。
 そういう幾つかのパターンに分かれたときに、先行しているところは放っておいても自立的に回っていくわけですよね。やっぱりそこから若干遅れたところをどういうふうにしていくのかというところは、是非着眼していただくといいんじゃないかなと思いますし、後者の方が比較的事例としては見やすいんですけれども、前者の方の、例えば国保の問題だとかは、これは地方自治、地方財政にとって大変深刻な問題で、公衆衛生の場合はなかなか時間掛かるんだけれども、そこは厚労省さんとしっかり組んでいただいて、ある種、公衆衛生で見て、きちんとしたリターンが得られるというようなところをもうちょっと突っ込んでいただくことが必要なんじゃないかなと。スポーツは目的ではなくて、私はやっぱり手段なんだと思います。そこはそういうような形で考えていただくと、よろしいのではないかなというふうに思います。
 済みません。片方の事業ばかりお話をして。もう片方の方は、大体今、論点が出ていて、出口は見えているような気がしますので、是非めり張りを付けてやっていただくといいんじゃないかなと思いました。
 以上です。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  一定程度時間がたっておりますので、コメントシートの記入を、それから、提出をお願いいたします。
 有川委員の方から。
【有川委員】  私の方から、済みません。1点、意見を述べたいと思うんですけれども、ほかの委員からも意見がありました、この二つの事業について整理し直すということは、全く同意見なんですけれども、整理した後の形になるんですけれども、後者の地域活性化の方の目標といいますか、それに対応した成果指標が、消費額の向上とか経済効果の向上とか、文化庁のミッションとして、それだけで……。
【亀井委員】  スポーツ庁です。
【有川委員】  ごめんなさい。失礼しました。スポーツ庁のミッションとして、そういう経済効果だけが地域活性化の目標なのかなというのがちょっと疑問なものですから。例えばこのスポーツコミッションというものは、本当に前者の方の各個人のスポーツの振興のために働く役割もあるのではないかなという気がしまして、だから、事業は二つに分けてもらうんですけれども、スポーツコミッションと、単に経済効果のために働くだけではなくて、その地域の構成員、あるいはコミッションを構成する団体の人たちもスポーツに対する意識を高めたり、あるいは活動を活性化していくというのも非常に重要な役割じゃないかなと思うので、経済効果以外の指標も是非、地域の活性化の文化庁のミッションとしての指標として、あるいは目標として立てていただく工夫をしていただきたいんですが、どうでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。スポーツの価値には二つの種類があろうかと思います。スポーツ、それ自体が持っている根源的な価値と、それから、本日頂きましたスポーツを、言葉は悪いですけど、だしにして、それで経済効果を上げていくというもの。私ども、スポーツ全体としては、その両方が必要かと思っておりまして、35ページの方をごらんいただきたいんですけれども、更に地域活性化のためには、地域の経済効果のほかに、ローカルブランディングですとか、それから、関心層の拡大ですとか、こちらの方も持続的なまちづくり、地域活性化には必要であろうかと思っております。
 全てお金、お金だけではなくて、こちらの方も事業の申請を上げていただく段階ではどういうものかということを聞いておりますし、また、成果のときにもそういうことについてどんな経済効果以外の効果がまちにあったのかということも聞いていきたいと考えております。
【有川委員】  もしそれだけ重要視されているんでしたら、アウトカム指標についても少し検討していただければと。経済効果以外にもですね。よろしくお願いします。
【説明者】  はい。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ほかの委員の方はいかがでしょうか。水田委員、お願いいたします。
【水田委員】  済みません。指標の細かい点なんですが、週1回のスポーツを実施というところなんですけど、これはアンケート調査で週1回スポーツをしていますかという、そういう設問になっているということでよろしいでしょうか。
【説明者】  そうです。はい。結構です。
【水田委員】  多分、スポーツの定義が回答者によってかなり違うのではないかと思うんですね。ですから、恐らくここで言っているスポーツというのは、ある程度負荷を掛けて、時間を掛けてやっている運動だと思いますので、もし何か成果指標としてお使いになるのであれば、何か定義を統一……。ああ、もう統一されていますか。
【説明者】  はい。御指摘ありがとうございます。このスポーツの定義というのは非常によく、どこまでがスポーツかというような御指摘もありまして、スポーツ庁で実施している調査票は、具体的に言うと、スポーツの定義を書きながら具体的な、例えば競技性のあるものから、例えばウォーキングですとか散歩ですとかダンスですとか、いろいろ身近なものもスポーツですよということで含まれるというふうに言っています。
 ただ、全国で展開する上で、きちんとそういうのが統一されるよう、その辺はまた少し、周知も含めて徹底はしていきたいと思っています。
【水田委員】  あと、もう一点なんですけど、もう一つの事業の方で、先ほど経済効果のお話が出ていまして、ほかの視点も必要だということで、それは私も賛成なんですが、経済効果をどのような指標にするかというのは、今御検討中と伺っていますが、例えば産業連関表を使われてというようなことをお考えになられていますか。
【説明者】  はい。まさしくこれから検討していくことになろうかと思います。そして、この経済効果、資料にありました埼玉のところに聞いてきましたところ、やはり地域の産業連関表を回して、算出しているということなので、そちらの方も参考にさせていただきたいと思います。
 また、観光庁が出しておりますところで、主に外から交流人口が増えるところですけれども、定住人口1人の年間消費金額が124万円だとしますと、定住人口の1人の減少分は、外国人旅行者であれば8人分、それから、国内の旅行者で宿泊を伴う場合は25人分、日帰りの国内旅行者の場合は79人分の交流人口の増大で代替されるというデータもありますので、そちらの方とかも考えながら、今後考えていきたいと思います。
【水田委員】  ありがとうございます。恐らく簡便な方法でやられた方がいいと思います。具体的には、前提条件の置き方とか、あと、産業連関表、市町村レベルですと、もう作られてないところがほとんどですよね。政令市と都道府県は作られていますけど。ですので、何らかの統一して簡便な方法で計算できる方がいいかなというふうには思います。
 以上です。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  伊藤委員、お願いいたします。
【伊藤委員】  先ほどスポーツの定義、一定程度、スポーツ庁で作られているというお話だったかと思うんですが、少なくともこの間お見せいただいた相模原市での調査は、個々人の判断によっているということだったので、多分そこは、まさにさっきの水田先生のお話のように、どこかで一定のルールを決めないと、全くばらばらになってしまう可能性があるんじゃないかな。実はここというのは大きいかなと私は思っているんですが、ここがあるからスポーツがやっぱり手段じゃないかと思うんですけど、都心部でスポーツ実施率を聞くと低く出てしまっている。地方は高く出るんだけれども、ふだんの通勤の、この車か、電車を使うかによって、実際には通勤、通学は、スポーツと同じように、ある意味、8,000歩、1万歩、歩くという意味においては、これはスポーツと言ってもいいんじゃないか。スポーツじゃないですね。運動と言ってもいいんじゃないかというところは結構、結果的には自治体によって違いが出てきてしまうから、だからこそ、スポーツをするかしないかではなくて、最終的には、私は、亀井さんがおっしゃったとおり、公衆衛生の部分というのはやっぱり大きくて、要は、健康なのかどうか。健康ということが最終ゴールにあって、そのための手段の一つがスポーツだというふうになってくると、この事業の組み立ても見えやすくなってくるんじゃないかなというふうに感じるんですが、ここはやっぱり違うんですかね。
【説明者】  ありがとうございます。まさにスポーツの範囲は非常に幅広いと思っていますし、おっしゃるとおり、まず身近なところから運動習慣を付けていただいて、どんどん最終的にスポーツに行っていただくというのが一番いい形だというふうに考えていますので、スポーツの範囲という、逆に言うと、こういうのもスポーツの範囲ですよというのをしっかり捉えて、意識改革すべきではないかというのはスポーツ審議会の中でもいろいろ御意見を頂いていますので、そういったものもきちんと意識改革はしていきたいと思います。
 あと、先ほど自治体のお話がありましたけども、スポーツ庁の方では、例えばウォーキングですとか、例えば1駅歩きのような、意識して少し運動習慣するのもスポーツとか、そういうことも割と細かく書いていますので、例えば事業を行っている、例えばこの評価指標の中ではできるだけ統一的にその辺はやりたいというふうには考えています。
【伊藤委員】  その意味では、ここはもう最後、意見だけなんですが、最終的にはやはり自治体の自主性こそが大切になってくる。要は、何かというと、こういう事例があるからこういうふうになったら補助金あげますよというようなスキームではなくて、個々の自治体が、要は、市民、住民がどうやったら健康になるのかという目標値の中で、たまたまスポーツを使うこともあるかもしれないし、全然違う視点で健康のことを考えるかもしれないし、その中の一定の事例として、モデル事業でこういうのをやっていますよというような事例紹介が、もしかしたらこの事業としては出口なんじゃないかな。今、私が申し上げているのは前者の方ですね。上の方の習慣事業の方になりますけど、出口になるんじゃないかな。この出口が全国全部にこういうような取組が広がって、やらなければ、スポーツであったり、運動をすることができないんだよということには、実際にはならないんじゃないかなというふうには思うんですけど。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  亀井委員。
【亀井委員】  若干時間をつなげます。ちょっと一つ教えていただきたいのは、例えば20ページを拝見すると、スポーツの実施状況等に関する現状を見ると、これはこれまでも少し委員の方からも御指摘あったと思うんですけども、課題になっているのは現役、いわゆる働く世代の人たち以下ですよね。この人たちに、例えば先ほど幾つか事業をやった地域が幾つかありましたけれども、特に効果があった地域というのはどれなんですかね。そんなに事例ないから、多分手触り感で見えてらっしゃるんじゃないかなと思いますけど。
【説明者】  ありがとうございます。22ページのところに29年度の交付先がございます。効果といいますと、いろいろな視点がございますので、例えば9番目の富山県氷見市の事例というのは少し、これは女性のスポーツ実施率、特に20代、30代、低いというところに着目をしまして、女性のための健康スポーツ実践。例えば少し美容ですとかいろんな側面を使いながら、最終的にスポーツに取り組むですとか、あと、この氷見市というのはハンドボールの聖地でございまして、全員ハンドボールするわけにはいかないので、少し「ゆるスポーツ」をこの氷見市では。いろんな世代を超えて、いろんな方が参加できるような「ハンぎょボール」という新しいスポーツを氷見市では開発。いろんな世代、男女問わず、また、障害の有無にかかわらず、そういったものをいろんな形で日々できるような形ですとか、少し地域おこしのような側面もございますけど、少しスポーツを盛り上げて、実施率を高めていく。非常に全国でも注目された事案でしたので、ちょっと御紹介させていただきました。
【亀井委員】  ありがとうございます。まさにさっきちょっと私、別の角度から言った、要は、平均より上の人たちじゃなくて、平均より下の人たちにどうてこ入れしていくかという採択の問題と、もう一つは、全体として課題で、今度は地域軸じゃなくて、年代軸で見ると、若い世代、より若い世代が課題だとするならば、より若い世代をやるところを積極的に採択をしていくとか、多分そこら辺は今、氷見、ほかの地域はどうなんだろうなというのをあんまり年代にこだわった感じじゃなくて、どちらかというとポイントというのは年代じゃないですよね。というようなところも見て、年代にこだわったところがなかなか見えてこないので、つまり、これは何を言いたいかと、採択もそうですし、事業設計も是非そうなんですが、今、足りないところをどうやって底上げをしていくのかというところをスポーツ庁さんとして、ある種、戦略的に企画設計していただくというのがすごく大事なんじゃないかなというふうに思います。
 だから、もちろん手が挙がってきたところからやっていくというのは、自身の精神からしたら、これは大いに結構なことなんですけれども、そういう中で、スポーツ庁さんはどこを応援するのかというところはもうちょっと、これは財源が今の半分だったときに、じゃ、どこにしますかというぐらいのつもりで考えていただけると随分変わってくるんじゃないかなというふうに思います。
【説明者】  済みません。1点だけ補足をさせていただくと、もう一度、資料の25ページをごらんになってください。左下のところです。さっき委員御指摘のとおり、運動している人はどんどん運動はやる一方なものですから、やはりどうしてもこの事業で無関心層と呼ばれる、実施をしていない方をいかに引き込むかというのが各事業の中のコンセプトに入っておりますので、この左下に新たに運動・スポーツを週1回ということで、事業を採択して、参加者を求めるときに、ここは自治体の苦労がかなりあるんですけれども、できるだけ今までやってなかった方を引き込んで、この事業として新しく、週1回やった人の割合とありますけど、これはばらつきございますけれども、これを見る限りは、少し自治体も参加者をかなりそういった無関心層に着目しながら、ちょっと苦労しながら事業を実施しているという面はございます。
【亀井委員】  そこはよく分かりますが、何が言いたいかというと、個別の自治体で工夫してくださいというんじゃないんですよ。皆さんがお金を出す立場として、この事業を企画するときに、戦略的にそういうことをやる人たちを、あるいはやらせなきゃいけない人たちを、だから、私を連れ出してスポーツをさせてくださいという話なんです。そういうふうにしないと、亀井さん、危ないですよというようなことを言ってくれないと、これは地域レベルでも、年代レベルでも同じで、私は多分、両方はまっているんだと思うんですけれども、そういうふうにどう促していくかというところが、今は現状、手挙げベースになっているということだし、今の御説明でも、それは分かるんです。各自治体さんが工夫されているのはよく分かる。だけれども、それはあくまで個別の工夫であって、それをいかにスポーツ庁さんが事業設計として促していくかというところを、是非インセンティブ設計していただけるといいんじゃないかなと思いました。
【説明者】  分かりました。
【伊藤委員】  最後1点だけ。今、亀井さんがおっしゃった、亀井さん、危ないんだよということの何が危ないかというのは、それは健康の部分だと思うんですよね。だからこそ、それはスポーツだけに限らず、例えば健診を受けているのかどうかとかですね。そういうところもひっくるめたものになるから、どこかでスポーツ庁としてはこの事業としては対策と課題を、こうですよというものが出口になるんじゃないかなというふうに感じました。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  では、取りまとめができたようでございますので、有川委員、お願いいたします。
【有川委員】  どうもお待たせしました。投票結果ですけれども、事業全体の抜本的改善を求めるという意見が2票。事業内容の一部改善を求める票が4票という分布になりました。
 主なコメントを紹介させていただきたいと思います。
 地域住民を主たる対象として健康という非経済的な価値を実現しようとする事業と、地域外を中心とする顧客の誘因により、経済的な活性化を目指す事業という、働き掛けの対象を目的とする価値の異なるものが本事業は混在していると。したがって、この二つの事業について、事業の性質で評価方法が不透明になっているということもあるので、それぞれの事業について適切に整理し直すことが必要であるという意見。
 それから、同じような意見ですけれども、二つの事業は本質的に違う事業であり、事業の効果測定の仕方も全く異なるものなので、事業の整理が必要だと。事業を整理した上で、地域の活性化の効果を、経済効果以外の面でも捉える工夫が必要ではないかという意見。それから、住民のスポーツ習慣化による健康増進とスポーツを通じた交流人口の増加は、事業として一緒にしない方がよい。前者の方の週1回のスポーツという定義についても統一した方がよい。事業は当然分離した方がよいという意見から出てきておりますが、もう一つの後者の方の経済効果の指標については、どのような手法を取るのか慎重に考えた方がよい。前提条件の設定や市町村レベルでの経済統計の有無が問題になってくるだろうという意見であります。
 それから、各自治体の年齢構成で補正した参加率を示した上での評価をする工夫が必要なのではないか。それから、30代から50代の参加率の低さに対する方策も検討する必要があるのではないかという意見と、本事業がモデル事業ということであるけれども、そのモデル事業としての出口が見えないという意見。
 それから、事業を実施する地域の選定要件も曖昧なので、事業地域の選定方針を戦略的に見直す必要があるという意見。
 それから、モデル事業としての段階は既に終了したはずだと。これまで行ってきたものの実績に基づいた要因分析をしっかり行って、この目的に向けた課題と対策をしっかり固めて事業を展開していく必要があるという。さらに、スポーツは手段であるから出口としてはスポーツ実施率以外のものも考える必要があるのではないかと。その意味では、公衆衛生の観点などから健康度などを指標として考えることも必要なのではないかという意見であります。
 こういった主な意見を紹介させていただきましたけれども、評価結果の結論としましては、票数が多かった4票の方の業務内容の一部改善という結論を取りたいと思いますが、もちろん事業を完全に解体しなきゃいかん、解体というか、二つに分けなきゃいけないという点では、ある意味、抜本的なところも求めてはおりますが、一応結論としては事業内容の一部改善という結論で、それを支えるコメントとしましては、4本の柱でそれを内訳として示したいと思います。
 一つは、本事業の中の二つの事業は、本質的に違う事業なので、事業の整理が必要だ。そして、事業を整理した上で、評価指標の作り方でありますけれども、週1回のスポーツという定義については、きちんと明確にする必要があるということと、地域活性化の効果については、経済効果以外の面も捉える指標を工夫する必要があるという点と、経済効果指標についても、どのような手法を取るかというのを更に慎重に検討する必要があるという意見が二つ目の柱としたいと思います。
 三つ目の柱としては、モデル事業としての出口が見えないということでありますので、モデル事業か収束段階に入ったということを踏まえまして、これまでの実績を踏まえた要因分析に基づく適切な課題と対策の構築が必要であるというのは3番目の柱、意見の柱とさせていただきまして、4番目としましては、事業を実施する地域の選定方針を戦略的に見直すべきだと。この四つのコメントを取りまとめコメントとさせていただきまして、先ほどの一部改善という結論にしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
【亀井委員】  結構です。ありがとうございます。
【有川委員】  どうぞこれで改善をよろしくお願いいたします。
【説明者】  よろしくお願いします。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、以上をもちまして、スポーツによる地域活性化推進事業の公開プロセスについては終了いたします。
 次の研究大学強化促進事業につきましては、休憩の後、17時、5時開始といたしますので、よろしくお願いいたします。
( 休憩 )
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、本日最後のコマを始めさせていただきます。
 これからの時間は、研究大学強化推進事業について御議論をお願いしたいと思います。本コマは、EBPM、根拠に基づく政策立案の推進の一環として試行的に実施するものです。したがいまして、このEBPMの試行的実践は、EBPMの考え方を各府省に定着させる観点から実施するものであるということでありますので、予算削減や事業の廃止ありきではなく、ロジックモデルやデータ等のエビデンスを用いて、事業をより効果的なものへと改善していくための取組であるということを基本としております。
 それでは、初めに、事業概要の説明をさせていただきます。事業担当課は簡潔に御説明をお願いいたします。
【説明者】  学術研究助成課でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、本事業の概要につきまして、資料の10ページ以降にございますパワポの資料を使って御説明をさせていただきます。
 まず、10ページの事業の概要について御説明をいたします。
 背景といたしまして、我が国の研究力が相対的に下がっているという課題がございまして、特に研究者を支える研究支援者数が諸外国と比べて少ないということがその要因の1つというふうに考えられました。そこで、真ん中の赤線のところでございますが、本事業におきましては、研究マネジメント人材の確保、活用ということを中核に据えまして、研究力強化の取組を支援し、世界水準の研究大学群の増強を目指すこととしております。
 右側の部分でございますが、本事業は平成25年度にスタートいたしまして、研究パフォーマンスの高い大学、大学共同利用機関、合わせて22機関を対象としております。
 中段にございますが、本事業においては、研究マジメント人材、特にURA等の確保、活用、それから、集中的な研究環境改革の取組といったものについて、各機関の戦略に基づき推進するものでございます。有識者から成る推進委員会を立ち上げておりまして、毎年度フォローアップを行うとともに、昨年度には中間評価を実施したところでございます。
 次に、11ページをごらんいただきたいと思います。本事業については、EBPMということで、このようなロジックモデルを作成しております。事前の御指摘も踏まえまして、研究活動に関する複数の指標というものをアウトカムとして設定しております。まず、一番下の長期の成果目標からごらんいただきたいのですが、長期の成果目標といたしましては、1つは人件費の完全自主財源化ということと、それから、Nature Index論文数、国際共著論文割合、産学共著論文割合という3つの指標を新たに掲げております。これらは、いずれも論文の被引用数の向上と関係が深いものでございます。また、その上の短期、中期のアウトカムといたしましては、URAによる具体的な取組と関連が深いと考えられる複数の指標を挙げております。
 次に、12ページをごらんいただきたいと思います。ここでは、アウトプットといたしまして、本事業の採択機関におけるURA等による取組のうち、主要なものを挙げてございます。それぞれ22機関の中で何機関が実施しているかということをこの資料で挙げてございます。
 13ページでございますが、アウトカムの分析でございます。ここでは、1つは、本事業採択機関において、事業実施の前後で各指標がどのように変化したか、いわゆるビフォーとアフターの比較をしております。また、本事業の採択機関と非採択機関における指標の変化というものを比較いたしまして、統計的な有意差の有無について検定を行っております。
 本事業の対象22機関の中には、規模や性格等、様々なものが入っておりますけれども、比較を行う際にはなるべく条件を合わせる必要があるという御指摘を頂いておりました。そこで、ここでは、科学技術・学術政策研究所、NISTEPがいろいろな分析に使っている大学分類を使うことにしております。ここでは論文数のシェアというものに注目をいたしまして、大学グループを4つに分けており、論文数シェアが1%以上の大学を第2グループと呼んでおります。シェアが特に大きい上位4大学については除かれております。この第2グループにつきましては、本事業の採択機関が10機関と、非採択機関3機関が含まれており、この両者を比較するという方法を取っております。
 この分析結果に基づいた現状の認識を14ページにまとめて記載しております。まず、本事業採択機関におけるURAの総配置数が増加するとともに、自主財源化率が向上しております。これは、各機関においてURAの配置、活用が研究力強化に有効であると認識をされてきたためと考えております。
 それから、採択機関における国際情報発信、プレスリリース数や総閲覧数が大幅に増加をしております。これは、URAによる具体的な取組の成果が表れているものと考えております。
 また、採択機関におけるNature Index対象論文数の伸び率並びに国際共著論文率及び産学共著論文率の伸びを見ますと、比較対象機関、非採択機関と比べて高く、また、統計的な有意差又は有意傾向が確認できます。これにつきましては、URAによる論文投稿支援等の各種の取組の成果が表れつつあるためと考えられます。これらの指標は論文の質を示す指標とも密接な関係があるということが分かっておりますので、URAによるこれらの取組をさらに推進することにより、論文の質の向上にもつながることが予想されると考えております。
 それから、採択機関において、女性教員数及び外国人教員数が増加をしております。これについては、他の事業による影響も考えられるところではございますが、本事業による取組が一定程度反映されている可能性があると考えております。
 なお、科研費の獲得ですとか国際共同研究機関数等の指標につきましては、採択機関において、この事業の実施前後で向上は見られるんですけれども、比較対象機関、非採択機関との間での有意差というのは確認できませんでした。
 これらの点につきまして、本事業の有効性を検証するためには、さらにミクロな視点からの分析が必要だと考えております。例えば科研費の応募につきましては、URAが関わった場合と関わっていない場合とで採択率に差があるかどうか、また、国際共同研究機関については、URAが関わった場合と関わっていない場合とで、例えば国際共著論文数等の成果に差があるかどうかといったさらに精緻な分析が必要ではないかと考えております。
 こういった現状の認識を踏まえた今後の方向性について、14ページの下の方に掲げております。これまで本事業のアウトカムといたしましては、URAの自主財源化率100%という指標だけを挙げておったんですけれども、今後は論文の質の向上と関係が深い指標、ここに挙げているNature Index対象論文数、国際共著論文割合、産学共著論文割合といったものを新たに長期のアウトカムとして設定し、具体的には、アジアの主要大学というものをベンチマークとして意識した取組を進めてまいりたいと考えております。
 また、今回のEBPMのプロセスを通じまして、本事業による成果が見える部分とはっきり見えない部分、課題の部分が明らかになってきたと考えておりますので、今後は、限られた資源を特に成果の高い取組に重点的に投入するということを促してまいりたいと考えております。
 また、URAの質保証というものについて、ほかの事業で取組が進んでおりますので、そういった取組とも連携しつつ、今後は特に質の高いURAの確保、活用といった点に意識をしながら、自主財源化を促してまいりたいと考えております。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  このコマにつきましては、新妻文部科学大臣政務官が御参加されておりますので、御紹介いたします。
 それでは、私の方から論点について御説明をいたします。お手元の資料の1ページ目、論点等説明シートをごらんください。
 2点ございます。まず、第1点目でありますが、アウトカム、アウトプットを適切に評価できる成果指標を設定する等、ロジックモデルの妥当性についてという点であります。
 2点目につきましては、成果の普及、展開とその活用方策についてという点であります。
 以上、2点の論点等につきまして御議論願いたいと思います。
 それでは、有識者の皆様方から御質問をお願いいたします。説明者は、質問に対しまして、簡潔明瞭に回答をお願いいたします。
 それでは、大屋委員、お願いいたします。
【大屋委員】  ありがとうございます。御紹介いただいたとおり、事前に申し上げた内容も踏まえて、ロジックモデルについてはきっちり整理していただいたと考えております。実際、参考資料の1、16ページにデータが挙げられておりまして、国際競争力という面で日本は下がりましたと。2002から4年と2012から14年を比べて4位から10位に下がったというふうにおっしゃっているわけですが、この数字自体が明らかになっているように、トップ10補正論文数の数自体は増えているんですよね。日本がかつて5,750だったものが6,524まで上げたのだけれども、ほかがそれと比較にならないぐらい上げたので、順位としては落ちてしまいましたということだと思います。これが現在の日本の大学界の位置をかなり明瞭に示していて、大学自体はそれなりにきちんと頑張って、それは大学にもピンとキリがあって、頑張っているところと頑張っていないところがあるわけだと思いますけれども、それなりに頑張っていても、世界の競争がどんどん激化しているので、全体としてはずるずる滑っていきますと、こういう状況だと思うんですね。
 そういう状況で、例えばですけれども、世界大学ランキングのトップ100に入っている学校の数とか、そういう相対的な指標をアウトカムとして掲げてしまうと、これは他律的な要因で下がっちゃうことになりますよと。だから、自分たちでできることをアウトカムにするべきで、それが世界からどのように相対的に評価されるかということは外的要因が大きいから、別のところに整理しましょうというのが私の申し上げたことで、そのとおりに整理されていると思うのです。
 それを踏まえた上で申し上げますと、それで結局、この事業は、要するに日本の大学の研究力を上げたいということが目的だと承知をしておるのですが、そのためにURAの配置がまず有効だという仮説がどの程度検証されるかというのが問題になろうかと思う。これはロジックモデルの問題だと思うんですね。それを見たときに、それなりにこれは効いていそうだな、数字的にもそうだなというのが割とはっきり見えるところと、はっきり見えないところがある。私は採択大学から逃げたら、そっちも採択大学だったという、お釈迦様の手の上から何とかみたいな感じになっているんですけれども、個人的な経験から言うと、ダイバーシティーのところに対するURAさんの貢献は余りないですね。採用プロセスのところで機能していただいたかというと、私の見た範囲では、そういうことはほとんどない。一方で、国際競争力の向上とか、産学連携というところではかなり御活躍いただいたという感じになっている。そうすると、この仮説の4本ぐらい柱がある中のどこでは有効で、どこではそうでなかったかということを検証しなきゃいけないし、検証する仕組みを作らにゃいかんはずですよね。
 その点から見たときに、EBPMって始まったところの話ですし、研究大学強化促進事業はその前にやられた、率直に申し上げると、かなり文科省さんに典型的な事業の形態だと私は思っておりますので、今から後出しで評価するのは申し訳ないところがあるんだけれども、典型的に当たり外れの分からない制度設計をしちゃいましたよねという感じがいたします。つまり、今回かなり御努力いただいて、NISTEPセカンドグループの中での採択機関、非採択機関の評価ということで、有意差が見えるかどうかやっていただいたわけですけれども、1つは、採択機関と非採択機関のNが完全に結構違うので、これにどこまで信頼性があるかと言われると、ちょっと厳しいものが出てきますよね。
 もう一つは、結局、12ページが象徴的で、これよさそうだなという事業ですよね。事業メニューをほぼ全機関が同じようにやったんですね。とすると、全体として、ここに挙がっている7本のうち、例えば当たりが4個で外れが3個かもしれないんですけれども、その当たりと外れの差がどこで見ても観測できない状況になっているんですよ。
 例えばですけれども、EBPMで言うと、もとの流れとしてはEBMという証拠に基づく医療という考え方があるわけですが、証拠に基づく医療の最も基本的なテクニックって二重盲検試験ですよね。実薬を投与する群と投与しない群に分けて、かつ、プラシーボ効果を考えて、それが患者さんにもお医者さんにも分からないように比較してみましょうと。その結果として、実薬を飲んだ群の方が治療効果が上がっていれば、これは当たりだということになるし、そうでなければ外れだということになります。このような形で、トリートメントする群と、それと比較する対照群というのを設けて差を作らないと、検証できないはずなんです。
 ところが、よさそうな機関を対象に、みんなそろって同じことをやったので、全体として当たっているか外れているかしか分からないし、率直に言うと、プラシーボ効果も抜けないですよね。これはしようがないんですけれども、要するに、研究大学と呼ばれたんだからみんなで頑張ろうみたいな、意識によって生じたかもしれない変化というのも除去できなくなっている。
 何を申し上げているかというと、もちろんプラシーボできませんから、トリートメントしなかった群のブラインドではできないのは分かっています。例えばよさそうな大学には支援をしてあげたいというお気持ちを持っていただいているとすると、それはありがたくて、よさそうなんだけれども、おまえらは比較する群だから、金やらないけど頑張れというのは言いたくないとおっしゃっていただけるのであれば、それもよく分かります。
 でも、だとすれば、これは実はイギリスではやったんですが、有効そうな施策をメニューを変えてそれぞれの大学で実施させると。例えば取組内容Aは、対象となる大学のうち半分でやります。Bは別の半分でやります。それぞれ組み合わせを変えて、3年なり5年なりやってみたところ、そこで出てきた成果と、A、B、Cの組み合わせとの間の相関関係が出るだろうかというので施策の当たり外れを評価するという手法があるわけですね。
 そういう形で、こういう事業全体の検証方法としてのデザインを将来に向けて考える必要があるだろうと思いましたというのが1つ目です。
 もう一つは、ところで、その仮説を踏まえて、URAが有効であるだろうという仮説ですよね。そこからアウトカム指標としてURAの人件費自主財源化を挙げていただいているところがよく分からなくて、つまり、URAさんというのは財源がどこから来ようがURAとして働くので、有効だろうと思うんですよね。そうすると、それをどの程度自主財源化しているかというのは、結局、汗をかいたかどうかというアウトプットの問題であって、アウトカムとして世界にどれだけの成果が出たかということとは本来的に無関係ではないかと。それは単にほかのアウトカムを達成するための手段の1つにすぎないのであって、それをアウトカム指標として出してくるというのはやっぱりおかしいのではないかと思うのですね。
 この点については、御意見があればよろしくお願いいたします。
【説明者】  ありがとうございます。そうですね。1点目、2点目、両方ともに関係すると思うんですが、今回、EBPMをやってみて、基本的に公開情報を中心にやったんですけれども、そうすると、URAの取組というのは現場レベルでされているので、それがこういうマクロな指標に反映されているかというと、なかなか難しいのかなという気がしております。そこを検証するためには、もっとミクロレベルの検証は必要だと考えております。
 今、手元の資料の中で、少しだけ踏み込んだ分析というのが資料の26ページ、参考資料9-2というところなんですが、産学連携の関係でちょっと別の視点からの比較をしております。26ページの右側のグラフをごらんいただきたいんですが、ここではこの事業の対象機関の中で、特に産学連携を重視していると答えた9機関をピックアップしまして、そのうち、URAが実際に契約条件等の交渉を支援しているかどうかで4機関と5機関に分けております。そうすると、URAが実際に交渉に携わっているという5機関の方が、大型共同研究の1課題当たりの金額の伸びが高いということで、URAの支援が効いているんじゃないかというデータがございます。こういった形の分析をほかの取組についてもやっていく必要があるのかなと考えてございます。
 2点目につきましては、確かにおっしゃるとおり、自主財源化ということとURAの効果というのは本来別ではあるんですけれども、もともとこの事業のたてつけといたしまして、URAという職を日本の大学に定着させるというのがございまして、人件費については最終的には自主財源化するというたてつけになっております。各大学、人件費が厳しい中で、これはなかなか難しい目標ではあるとは思っているんですが、そういった中で、これまでのところ、着実に自主財源化が進んでいるというのは、大学がURAの有効性を認識して、貴重な人件費を回していただいているということを示す1つの指標なのかなという思いで挙げさせていただいております。
【大屋委員】  お気持ちはよく分かりますし、URAさんの有効性とか重要性は私も深く認識するところです。その意味では、URAのキャリアパスで教授クラスのところまできちんと整備するような傾向が強まってきているのは大変望ましいことだと思っているのですが、しかし、1つは、このURA自主財源化を進めるというのは、ある種、補助事業の条件であって、当然満たされるものとして、言い方は悪いんですけれども、大学の方ではうちのURAは外れやなと思っていても、やっぱりやらざるを得ない。その意味では上がっていく数字であるということになりますし、仮説の検証のためには余り役に立たない。あらかじめ掛かっている条件だということにもなりましょうし、結局はどれだけ汗をかいたかの問題であって、その汗をかいたことが成果につながっているということでは直接的にはない。これは整理するとすれば、アウトプット指標というのがふさわしくて、アウトカムからは除外すべきなのではないかと思いますということです。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  水田委員、お願いいたします。
【水田委員】  済みません。実はEBPMというのは私も初めてでして、見当違いなことを申し上げるようでしたらお許しください。訂正していただければと思います。
 アウトカム、現時点において確認できる成果の分析というところを御説明いただいて、恐らくこれ、採択機関と非採択機関のそれぞれの数値の平均値のt検定を行ったということですよね。まず最初に、これはもうEBPMじゃないと言われればそれまでなんですけれども、研究者としてこれを見ると、URAを配置するとか研究支援サービスを受けるというのは1つの要因にすぎなくて、ほかの要因をコントロールした上で差が出るのかというのを見ないと、ちょっと難しいかな。具体的には、恐らく多変量で要因を変数として入れておいて、それでもURAの配置とかサービスというのが有意な変数となるかどうかを見ておかないと難しいような気がしたんですね。
 ただ、件数が少ないので、コントロール変数を入れると、変数の数が件数を上回ってしまって、全然分析ができなくなってしまう。もしかしたら、パネルにすればできるのかもしれないですけれども、悩ましい問題があるのではないかなというのが1つです。その辺、どのように受け止めていらっしゃったか、もう今、うなずいていらっしゃったので、それを分かった上でということだと思います。
 とりあえず、それで。
【説明者】  ありがとうございます。厳密に分析しようとすれば、複数の変数の影響を考えないといけないというので、例えば多変量解析みたいな方法があるというのは承知はしておるんですけれども、正直、限られた期間でそこまで手が回らなかったというのもあるんですけれども、変数の立て方がなかなか難しいなと思っておりまして、本事業以外で影響しそうな事業というのもあるんですけれども、そういった事業の対象機関と本事業の採択機関がかなり重複しているという問題がございまして、そうすると、説明変数同士の独立性がないじゃないかといった懸念もありまして、もし仮にやったところでちゃんとした分析ができるのかどうかというのは、なかなか難しいかなとは思っております。
【水田委員】  分かりました。ありがとうございます。解決策がなかなか難しいと思いますけれども、厳密にやろうとすると、どうしても避けては通れないところがあるかなと思いました。私も研究論文数の規定要因みたいなものを若干分析とかしたことがあるんですけれども、今おっしゃったとおりで、何か重なっているかもしれませんけれども、大型の資金が取れて、それで1つでかい設備を入れると、その設備のアウトプットだけで物すごい数の論文が出てきちゃうんですよね。そういうタイミングに当たってしまうと、すごい攪乱要因になってしまう可能性もあって、その辺、補正しないとなかなか難しいかなと思いました。
 以上です。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  亀井委員、お願いいたします。
【亀井委員】  ありがとうございました。本当にこれまでのプロセスでここまで改善するのかなというぐらいでありまして、本当に関係の皆様の御努力をまずたたえたいと思います。それは率直に本当にそう思います。
 つくづく思うのは、今まで文科省が作ってきた多くの資料、私も結構長い間見てきましたけれども、今までの資料というのは、大体、取組事例のよかった話がだあっと並んでいてという話だったのが、それとは全く違う仕立てになるんだというのを改めて痛感しました。これは是非、今回の皆さん、研究振興局さんでやられたお話を省の中でも横展開していただけると、大変ありがたいなと思います。
 今、水田先生からお話があったとおり、EBPMって別に万能なわけでは全くなくて、むしろそれよりは、いろいろな変数間の独立がどうだとか何とか、統計学的に言うといろいろとあるんだけれども、それでも、まず、自分たちが考えるロジックモデルはこうであって、それに基づいて数字を取りに行って、今回の場合、それがなかったわけですから、公開数字でやったから結構大変だったんだと思うんですけれども、取りに行って、取りに行ってみたら、自分たちが考えていたロジックモデルでは、ここは当たったけれども、ここは当たらなかったみたいなことを検証しなからぐるぐる回していくという、統計的に正しいかというよりは、営みそのものを言っているんだろうなと思っていて、そういう意味では、今回、いろいろな課題はあるんだと思うんですけれども、その御努力は多としたいですし、かつ、そこで見えてきた成果と課題からこの事業の再設計が進むということは大いに期待をしたいなと思います。
 そこで、是非ちょっとお伺いしたいんですけれども、14ページに、先ほど御説明の時間もあったと思うんで割愛されたのかもしれませんが、今後の方向性のところで、本事業による成果と課題が明らかになってきていると。今後は、各期間の協力を得て云々かんぬんで、限られた資源を成果の高いところに重点的に投入したいというふうに書かれているんですが、ここをもうちょっと具体的に御説明いただけますでしょうか。
【説明者】  本事業のこれまでの取組については、御指摘もございましたけれども、基本的に大学の戦略にお任せをしてきたという部分もありますし、またURAという職が、実際に日本の大学でどういった機能を果たすのかというのが必ずしも明らかではないという部分もあって、多分に試行錯誤的な部分もあったのかなと思っております。
 今回、5年が終わって中間評価もやって、今回のEBPMもやって、この事業がどういったところに成果が出ていると、あるいは余り成果が出ていないというところがかなり明らかになってきたと思いますので、今後は各大学レベルでもこういった分析をやっていただいて、各大学の取組の中でどういったものが成果が高いのか、高くないのかというのをやっていただきつつ、成果が高い取組に特に重点的にこの予算を使っていくような、そういう方向にちょっと変えていきたいと、そういう趣旨でございます。
【亀井委員】  なるほど。ありがとうございます。まさにそれは、何て言うか、政策ってある種、社会を相手にしているので、外れることは多いにあり得るわけですよね。それは恐らく、事業よりも難しい。一般に市場で行われるビジネスよりもよっぽど難しいわけでありまして、そういう意味では、政策というのは外れる可能性もあるというのが、私はEBPMの最初の認識なのかなと思います。
 ですから、全てが成功するわけではないんだけれども、そういう中で今おっしゃっていた、まさに課長おっしゃった、より改善を重ねていって、しかるべきところに投資をシフトさせていくという形が非常に大事な取組だと思いますので、これは是非、今回、試行的実践ということで、ある種、大変御負担をお掛けしたわけでありますけれども、各局、あるいは各課においても、横展開できるものとできないもの、向いているものと向いていないものがあると思いますし、今回のは比較的向いていた話だと思うんですけれども、全部はなかなかそんなにきれいに見えないと思うんですが、見えてきたところから具体的な数字に落として、マクロからミクロみたいな形でやっていけるといいんじゃないかなと思いますので、是非今回の知見を基にして、いろいろと横展開をしていただきたいなと思いました。
 最後はコメントです。何かありましたら、頂ければと思います。
【説明者】  ありがとうございます。ちょっと事業の横展開ということに関して、本日の論点にも上がっておりましたけれども、ちょっと説明省かせていただきましたが、11ページのロジックモデルのちょうど真ん中のあたりに、研究大学コンソーシアムを通じた情報の発信・共有による横展開とあるんですが、この事業の対象機関を中心として、研究大学コンソーシアムというものを昨年8月に立ち上げまして、それぞれの取組の中で、特によいグッドプラクティスについて普及を図るという目的で作ったものでございます。
 このコンソーシアムの中にも幾つか、またさらにタスクフォースが分かれているんですけれども、そういった中で、今回のような取組をさらに広げていくと。今回のEBPMについても、そういったコンソーシアムを通じて、各大学レベルにおいて、こういったデータに基づいた分析というのをやっていただきたいというふうに考えておりますので、そういう形で横展開ができたらなというふうに考えております。
【亀井委員】  ありがとうございます。是非そこで御配慮いただきたいのは、お金渡したんだから成果出せみたいな話って、しばしばよくあるんですけれども、成果が出ない場合もたくさんありますので、是非そこをファクトベースで大学からも正直に出してもらって、出なかったからお金を減額するとなると、ここでまた違う準市場が設計されてしまうので、是非そういったところも含めて、ファクツをきっちり把握をし、政策として次なるディレクションを定めていくというところのプロセスをぐるぐる回していただけると、いい方向に行くんじゃないかなと思います。是非よろしくお願いします。
 ありがとうございます。
【説明者】  ありがとうございます。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ほかにいかがでしょうか。
 伊藤委員、お願いします。
【伊藤委員】  もう、何か新しい論点が出るわけではないと思うんですが、私もこの資料を見ていて、これだけ数字に基づいて、中間評価であったりとか、今後の課題も含めて記載をされているというのは、文科省の大学研究だったり、事業をたくさん経験してきたんですが、本当にないなというふうに感じています。
 先に1点だけ、今後の方向性というか課題の中でURAの質のところが書かれているかと思うんですが、この部分って、意外にこの今のロジックモデルの中にはなかなか入ってこないんじゃないかなと。どうやってURAの質を見るのか、質を担保するのか、そこは今どういうふうにお考えなんでしょうか。
【説明者】  URAの質に関しては、既にスキル標準というのが作られてはいるんですけれども、今後、それをベースにしながら、さらに認証評価システムにつなげていくということを、うちの課ではないんですが、ちょっと別のところでやっておりまして、そこと連携をしていきたいと。具体的に申し上げますと、先ほど紹介した、本事業の対象機関で作っているコンソーシアムがあるんですが、その中でも1つのタスクフォースで、そういったURAの質保証の問題について議論をいただいておりまして、そこで出てきた提言というのを、そちらの質保証の事業の方にフィードバックして反映させていくと、そういう今、取組を始めたところでございます。
【伊藤委員】  そういう意味では、ほかの事業というのかほかの課でやっているものを、うまくこちらにつなげていくという考え方になるんですかね。
【説明者】  そうですね。相互に今は連携しながら、この事業から得られたノウハウというのもあると思いますので、そういった知見もそちらの質保証の取組の方につなげていきたいというふうに思っております。
【伊藤委員】  これはコメントですが、今のところはすごく重要かなと思いまして、EBPMをやることによって、この事業がうまくいくためのロジックモデルの中には、そういうURAの質という、この事業だけでは解決できないものが含まれているというのが、まさにこういうことをやることで見えてきているんじゃないかと思います。それは非常に重要なことかなと思いました。
 こういうふうに大学研究、大きな目的でいくと、大学の世界競争力をいかに高めていくかというところにおいては、ほかの事業もいろいろ出てくると思うんですが、そこに、この事業で今回こういうふうにEBPMをやったということがどう横展開できるかということも大切かなと。先ほど亀井さんがおっしゃったように、できるもの、できないものがあると思うんですが、その意味では、今回この調査にどれだけの時間というか労力が掛かっているのかというのは、逆の視点で大切になってくるのかなと思うんです。これを横展開しようと思うけれども、たまたま今回、試行的実施で、これがあったからできたということになってしまうと、結局は来年度、再来年度できなくなってしまうということにもなりかねないので、そこは御感想でもいいんですが、何か御意見ありますでしょうか。
【説明者】  研究力強化という観点で言うと、本事業だけではないというのは当然、もともとそうなんですけれども、研究をやるためには当然、研究者の雇用とか研究費とかというのが大事でございまして、本事業はそういったところを直接支援するものではないと。あくまでも研究支援人材とか周辺の環境を整えるものであるということで、そういう意味では、本事業でできる部分、できない部分というのがだんだんはっきりはしてきていると思います。
 本事業の成果とそれ以外の研究者の雇用、育成とか、研究費等の事業と、それをどういうふうに連携していくのかというのはまた今後の課題だとは思うんですけれども、ただ、今回、本事業でEBPMをやった知見というのが生かせる部分も恐らくはあるのかなと思っております。
 今回、情報収集に当たっても、まさにURAの方々の御協力というのをかなり全面的にいただいておりまして、URAの方の主要な任務として、データに基づいて、各大学の強み、弱みを分析して戦略を立てるというIRの任務がございまして、まさにEBPMと同じようなことをやっていただくという、そういった任務がございます。各大学でもそういうふうにURAをうまく活用して、IRに基づいた戦略を立てていくということは有効であろうと思っております。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ほかにいかがでしょうか。
 大屋委員、お願いいたします。
【大屋委員】  ありがとうございます。1つは、この事業自体は、事前の段階から、かなり検証のことを見据えて設計されているというふうに承知しておりまして、なぜ承知しているかというのは職務上の秘密だったような気もするんですけど、大変にいろんな情報を集めなくてはいけない事業設計になっていたと思います。それは1つの重要な手法であって、要するに仮説があるんだから、仮説を検証する方法というのが考えられているはずで、その検証に必要なデータをつかめる段階というのが事業設計の中に当然入っているはずだと。これは医学とか科学の研究だとそういうことになっているわけです。
 あらゆる政策でそれがうまくいくかというと、必ずしもそうではないわけですが、それが1つのモデルであるということを前提に、データの取り方を想定した事業の設計ということが今後はされると望ましいのであろうなというのが1点です。
 もう一つは、せっかく機会があるのでちょっと申し上げたいことではあるんですけれども、今回、この事業の成果について結構細かく検証していただいた中で、ダイバーシティーが増えているというふうにおっしゃっていただいたのですが、厳しいのが若手教員数なんですよね。正直に申し上げますと、女性教員が増え、外国人教員が増え、多分それなりのネガティブインパクトが若手教員のところに出てしまっている。なぜかというと、今いる人の首は切れないから。ダイバーシティーを増強する部分は新規採用のところで対応されるのが中心になり、そうすると、新規採用のポストを外国人、女性に振り向けて、男性、若手が冷や飯を食うと、こういう環境はどうしても生まれがちである。
 ダイバーシティーを強めること自体は、多分ポジティブなものがあると思いますし、いろんな意味で見ていいことなんですが、この若手教員の減少あるいは就職難ということが、長期的には日本の研究力にかなりネガティブなインパクトとして効いてくる可能性があると思っていますので、この点については意識をしておいていただきたいというふうに、まだ私の世代も取り残されている研究者がおりますので、せっかくの機会ですから申し上げておきたいと思います。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  松浦委員、いかがでしょうか。
【松浦委員】  結構です。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  よろしいですか。
 亀井委員、お願いいたします。
【亀井委員】  すいません、有川先生の取りまとめのつなぎですけれども、さっき、定量的に把握することが大事とは言ったものの、実は最初に共有するべきはストーリーなんですよね。風が吹けばおけ屋がもうかるという話なんですけれども、風が吹いて、何が起きて、何が起きて、何が起きるからおけ屋がもうかるというところの、これはすいません、今回やっていただいて大変御理解いただけたと思うんですが、そこのストーリーを今後大学に展開されるときにも、大学の皆さんとも共有いただく必要があるのかなと。ある種、このパスが、もういろんなパスがあると思うんですけど、何かをしたことで何かが動く、その次に何かが動くというときの、そのパスが、どこがつながっていて、どこが切れているのかというところの因果関係を1つ1つ、しばしばこれは相関で見がちなんですけど、やっぱり因果関係のストーリーがないと、相関関係で物を見てしまって、自分がやったことではない、だから、ほかの事業の影響みたいな話で、そこをどうやって取り除くかという技術的な話はまたあるんですけれども、そこの因果関係を一旦論理的に考えておいていただいて設計をし、だとすると、この途中のパスは見ておきたいから、これは取っておかなきゃねという形のことをやっていただく必要があるのかなと思います。
 そこはだから、そういう意味では、さっき大屋先生がおっしゃったとおりで、かなり事業の設計段階で、この事業はそれなりに用意をしていたから、今回どたばたあったかもしれないけれども、何とか対応できたんだという話なんだろうなと思いますし、逆にEBPMが向いているところが見えてくれば、これは事業化云々というよりは、多分文科省全体の話なんだと思うんですけれども、そういうものをあらかじめ設計しておく、事業そのものとして設計をしていくと。
 今回、これはすいません、この事業の話よりは、きょうのあと残り3つ、それから、その前の4つをさかのぼると、今、政務もいらっしゃるので申し上げておくと、文科省の場合は、これは政治が主導して、ややもすると事業初めにありきになることが大変多いなという感じがしております。だから、予算化はするんだけれども、それは何でやるんだっけというところが、後追い後追いになってしまうと。評価の体系も後追いになってしまうと。この事業は私はそういうことではないんだというふうに理解していますけれども、それが、結果的には政策評価にさらされたときに大変厳しい評価を受けるというのは、ちょうどきょう、政務官が2つの事業を見ていただいて、ある種、端的に御理解いただけるような形だったんだろうなと思うんですけれども、そこがすごく大事なポイントではないかなというふうに思います。
 是非そこは、せっかくEBPMを政府全体で、また各省においてもという形で進められておりますので、そこの、ある種全体としての設計、これは政治も十分に配慮していただく必要もあるんではないかなと、これはコメントとして申し上げたいと思います。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  松浦委員。
【松浦委員】  座長が取りまとめに苦労されているようですので、僕も1つだけ。
 僕らが、いわゆる生もの屋ではあるんですけれども、こういうことをやるときには、政策というのは多変量なんで、非常に分析が難しいということは、もう皆さんがおっしゃったとおりではありますが、できる限り……、まず前提は仮説を立てることです。だから、今回のように、URAは有効であろうという仮説を立てられましたと。そうしたら、次にやることは、テストベッドをなるべく単純化するということです。いろんな要因を排除できるような形でもって、最低限、統計的解析にたえられる母集団を残して単純化する、その上で検定をする。それでポジティブがネガティブかと。ネガティブだったら、最初の仮定が間違っていましたという話に、それだったら持っていけるんですけれど、多分、今日の母集団の数でこれだけ変量があって、頑張って数字を作っていただいたというそのアプローチ自体は今後の役に立つと私も思いますけれども、ちょっときょうのデータだけで、今後こうしましょうという雰囲気にはなれないなというのが正直な。こういう傾向が見えるのではないかというのが僕らの表現です。でも、こういうような分析ということは非常に重要だろうと。理系であれば、そういうことをやらなければ、それこそ論文アクセプトされないので。文系はいろいろ書くとアクセプトされるみたいですけれど、文字数とかあるんですけど。
【大屋委員】  査読がないです。
【松浦委員】  でも、政策評価というのも、そういう理系のモデルを意識した形でもって仮説を立て、母集団をどれだけ絞り込んで変数をなるべく少なくした形でもって、仮説と合理性を検証するということを心していただければ、今回の御努力は無駄じゃないというふうに思います。
 感想でございました。
【説明者】  ありがとうございます。
【有川委員】  どうも、大変つないでいただきました。ありがとうございます。
 まずは、頂きました投票結果の票数の分布を報告したいと思います。事業内容の一部改善を求める意見が5票、それから現状どおりという意見が1票でした。
 出していただきましたコメントの主なものを紹介させていただきたいと思います。
 アウトカム指標、インパクトの整理は適切に改善されている。個々の施策の有効性を検証するためには、事業全体で施策のバラエティーを持たせるなど、検証可能な構造にする必要がある。そのためには、施策効果検証が可能となるよう、類似の対象において実施する施策にバラエティーを持たせるなど、対象選定の段階から検証段階を想定した事業設計を試みることが大切だと、そういうふうな意見が出されております。
 それから、URAの自主財源化はアウトカム指標としては適切ではない。URAの効果を検証する適切な指標、仕組みの構築について検討する必要がある。本件EBPMのノウハウについては、文科省、さらには各大学で横展開できる工夫をされたいという意見。
 事業自体は感覚的に有益と思われるが、対照群との有意差から厳密な評価をするのは難しいと思われる。統計的な厳密性を言う研究ではないため、ある程度割り切って指標を設定するのがよいように思う。URAの活動実績を定性情報で補完するというのも1つの方法ではないかという意見。
 ロジックモデルはかなり整っていると考えられる。成果が出るということも大切だけれども、ロジックモデルを構築して、何をもって成果が出ているのか分析することが非常に重要だろうと。少なくとも一定の成果が見えているので、大学の研究強化やその他の事業との整理もできてくるのではないか。また、EBPMのスキームの横展開をこれから考える必要があるのではないかという意見。
 母集団が少ないことから、その結果の有意であるかどうかというのは明確には分からない。傾向が見られる程度ではないか。ほかの影響因子の作用も排除できないように思われるので、そういった点も踏まえて、今後の対策を検討していただきたいという意見。
 EBPMを中心としたやりとりは大変有意義であったと考える。本事業の成果と課題も見えつつあるのではないか。したがって、本件のプロセスを通じて得た成果と課題を踏まえて、事業の再構築を進められたいという意見であります。
 EBPMなんで、当委員会としての意見も論理的にやりたかったんですけれども、分かりやすいやつから順番立てて、当委員会としての最終的なコメントとしたいと思いますが、まずはその前に、結論としては、5票入りました事業内容の一部改善ということにしたいと思います。
 それを支える取りまとめコメントとしては、5本ほどの柱を立てさせていただきまして、1つは、対象選定の段階から、検証段階を想定して事業設計を試みる工夫が必要だというのを1つの柱にしたいと思います。
 2つ目については、URAの自主財源化は、アウトカム指標ではなくてアウトプット指標にしていただき、URAの効果を検証する適切な指標、仕組みの構築をさらに検討していただきたいというのが2番目の柱。
 3番目の柱としては、URAの活動実績を評価する際には、定性情報についても補完する形で検討してはいかがかというのを3番目の柱。
 4番目の柱としては、今回実施されたEBPMのスキームやノウハウを横展開できる工夫を検討していただきたいという意見。
 そして、最後の5番目としましては、本件プロセスを通じて得た成果と課題を踏まえて、本事業の再構築を進めていただきたいという、このような意見で取りまとめたいと思います。
 どうぞよろしくお願いしたいと思います。
【説明者】  ありがとうございます。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、以上をもちまして、研究大学強化促進事業の公開プロセスについて終了いたします。
 これで、本日の文部科学省公開プロセスは終了いたします。有識者の皆様方におかれましては、2日間にわたる検証作業の中、貴重な御意見を賜り、心より御礼申し上げます。
 また、インターネットで試聴されました国民の皆様方にも、検証作業に御参加いただきましたことを厚く御礼申し上げます。引き続き、文部科学行政への御理解と御支援をよろしくお願いいたします。
 以上をもちまして終了いたします。ありがとうございました。



―― 了 ――

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