独立行政法人日本スポーツ振興センター見直し内容

平成29年8月25日
文部科学省

1.政策上の要請及び現状の課題 

 文部科学省では、スポーツ基本法の趣旨を踏まえ、スポーツを通じ「国民が生涯にわたり心身ともに健康で文化的な生活」を営むことができるスポーツ立国の実現を目指しており、スポーツに関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、平成24年3月にスポーツ基本計画を策定し、それに基づき、スポーツ振興の取組を着実に実施してきたところである。また、平成29年3月には、平成29年度から33年度までの5年間のスポーツ政策の重要な指針となる新たなスポーツ基本計画を策定したところである。
 独立行政法人日本スポーツ振興センター(以下「本法人」という。)は、我が国のスポーツ振興の中核的機関として、スポーツ基本法並びにスポーツ基本計画等に基づき、日本オリンピック委員会(以下「JOC」という。)、日本パラリンピック委員会(以下「JPC」という。)等のスポーツ関係団体と連携・協働しながら、日本のスポーツ界を支えることが期待されている。
 現在、我が国においては、ラグビーワールドカップ2019(以下「ラグビーW杯」という。)、2020年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会(以下「2020年大会」という。)等の大規模国際競技大会の開催を控え、これまでになくスポーツに対する関心が高まっている。本法人は、この絶好の機会を逃すことなく、子供たちはもとより広く国民各層に対し、スポーツにより人生を生き生きとしたものにし、年齢、性別、障害等の有無に関わらず、スポーツを通じて人々がつながり、前向きで活力に満ちた社会を作ることができるなど、スポーツの価値を伝え、「スポーツ参画人口」を拡大し、関係各団体との連携・協力により「一億総スポーツ社会」の実現に取り組むことが求められる。
 本法人の業務及び組織については、中期目標期間終了時に見込まれる中期目標期間の業績についての評価結果、「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」(平成25年12月24日閣議決定)(以下「平成25年閣議決定」という。)をはじめとする既往の閣議決定等に示された政府方針、さらに、上記の本法人を取り巻く環境を踏まえ、日本のスポーツ界における中核的な拠点としての政策実施機能を的確に発揮しつつ効果的かつ効率的な業務運営を確保するため、以下のとおり見直し、次期中期目標・中期計画の策定等を行うこととする。
 併せて、サイバーセキュリティ基本法(平成26年法律第104号)に基づき策定された「政府機関等の情報セキュリティ対策のための統一基準群」(以下「統一基準群」という。)が平成28年度に改定され、本法人も同基準群に沿った情報セキュリティ対策の徹底が求められるとともに、「サイバーセキュリティ対策を強化するための監査に係る基本方針」(平成27年5月25日サイバーセキュリティ戦略本部決定)が一部改定され、本法人は、サイバーセキュリティ戦略本部が実施する監査の対象となったことから、これらを踏まえた見直しを図ることとする。

2.講ずるべき措置

第1 中期目標期間

 本法人の中期目標期間は、第2期スポーツ基本計画の取組を着実に実施すること及びその評価を行う必要があることから、5年とする。

第2 事務及び事業の見直し 

1 第2期スポーツ基本計画に基づいた事務・事業の実施

 第2期スポーツ基本計画は、平成29年度から今後の5年間のスポーツ政策の重要な指針となるものであり、国及び地方自治体のほか、具体的施策の担い手としてJOCやJPCなどのスポーツ関係団体とともに本法人の役割について幅広く記載している。そのため、本法人の事務・事業については、本基本計画に規定されていることを中心に適切に実施していくこととする。

2 2020年大会に向けたスポーツ施設の着実な整備及び2020年大会後の適切な管理運営

 2020年大会に向けて、関係閣僚会議で決定した整備計画に基づき、新国立競技場の整備を着実に実施するとともに、同じく競技会場となる国立代々木競技場の耐震改修等工事を着実に行い、2020年大会の開催が円滑に行えるようにする。
 また、新国立競技場については、整備計画を踏まえ、大会後の運営の在り方や手法を検討するとともに、本法人が所有する他のスポーツ施設と同様にスポーツ事業を主とした利用率の向上や維持管理費の抑制を図ることとする。

3 スポーツ振興くじの売上拡大及び効果的な助成の実施 

 スポーツ振興くじについては、平成28年度の売上が過去最高を記録するなど順調に売上を拡大させているところであるが、より一層のスポーツ振興財源を確保するため、魅力的な商品開発や効果的な広告宣伝等の販売方法の工夫をすることにより、更なる売上拡大を図ることとする。
 また、スポーツ振興くじ助成については、地域スポーツの振興における役割が極めて大きいことを踏まえ、助成メニューの不断の見直しを行うとともに、助成の効果を客観的に評価できる指標・手法を設定し、翌年度以降の助成に反映させることにより、スポーツ関係者等の理解が得られる真に現場のニーズに応えた助成メニューとすることとする。

4 2020年大会及びその先を見据えた国際競技力の向上 

 「2020年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会の準備及び運営に関する施策の推進を図るための基本方針(平成27年11月閣議決定)」や「競技力強化のための今後の支援方針(鈴木プラン)」(平成28年10月スポーツ庁長官決定)、「第2期スポーツ基本計画」(平成29年3月文部科学大臣決定)を踏まえ、我が国の国際競技力向上の中核機関である国立スポーツ科学センターやナショナルトレーニングセンターから構成されるハイパフォーマンスセンターについて、その機能の整備・充実を図りながら、JOC、JPC及び各競技団体等と連携し、2020年大会だけでなく、その後を見据えた国際競技力の向上に取り組んでいくこととする。

5 登山の健全な発展のための機能や役割のあり方

 国立登山研修所に対しては、ここ数年の登山ブームにより一般登山者が急増したことに伴い、毎年遭難者数が増加していること、及び平成29年3月に発生した那須雪崩事故を踏まえ、機能や役割の強化が求められている。そのため、我が国の登山の更なる発展に資することができるように、トレッキングやトレイルラン等の新たなアウトドアスポーツ愛好者等も含めた一般登山者への普及・啓発を含め、機能や役割について見直しを行う。 

6 社会情勢に対応した災害共済給付業務及び学校安全支援業務

 災害共済給付業務については、引き続き、加入率の向上に努めるとともに、受給者の利便性の向上、業務運営の効率化等の改善に取り組み、社会情勢に対応した給付を行う。
 また、災害共済給付業務から得られた学校事故情報を分析及び調査・研究することにより、学校における事故防止を促進するとともに、学校安全の情報が学校現場の教職員まで行き渡るように工夫するほか、新たな関係団体との連携・協力関係を構築する。 

第3 組織の見直し

1 内部統制の推進

 本法人は、今中期目標期間において、新国立競技場の整備に端を発したガバナンス体制の不備、及び会計検査院から不適切な会計処理について指摘を受けたことを踏まえ、その改善に向けて体制強化等の取組が行われ、適切な体制整備に努めたところであるが、引き続き、理事長のリーダーシップの下、役職員の意識改革、監査体制の強化など内部統制の強化の取組を推進する。

2 情報セキュリティ対策の推進

 「サイバーセキュリティ戦略(平成27年9月4日閣議決定)」及びサイバーセキュリティ対策に関する対策の基準となる「統一基準群」を踏まえ、情報セキュリティ対策の水準を向上させるための取組を推進する。

第4 運営の効率化

 理事長のリーダーシップの下、業務成果の最大化を図るため、組織運営について不断の見直しを行うとともに、適切な人員配置を行うことにより、迅速かつ効果的、効率的な組織運営を行う体制を構築する。

第5 財務内容の改善

 本法人が保有するスポーツ施設の稼働率の向上を図るとともに、定期的に料金を検証するなど、自己収入拡大を図るために必要な措置を講じる。また、他の優良事例を参考としながら、インターネットを通じ広く寄附金を募るなどの新たな寄附金の獲得やネーミングライツの導入が行われていない施設についての導入を検討する。
 なお、新国立競技場等の整備に伴い、次期中期目標期間に長期借入等による資金調達を行わなければならなくなった場合は、その時期や金額等について十分な検討を行った上で、本法人の他の業務に支障が生じないような償還計画を検討する。

お問合せ先

独立行政法人日本スポーツ振興センター見直し内容について

スポーツ庁政策課
電話番号:03-5253-4111(内線3001)