平成29年度行政事業レビュー「公開プロセス」議事録(6月23日(金曜日))

【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  おはようございます。それでは、時間となりましたので、ただいまより、文部科学省公開プロセスを開会させていただきます。
 私、進行役を務めます文部科学省サイバーセキュリティ・政策評価審議官の中川です。どうぞよろしくお願いいたします。
 外部有識者の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただき、誠にありがとうございます。本日は、長時間にわたる議論となりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 公開プロセスの取りまとめ役は、日本大学総合科学研究所の有川博委員に務めていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【有川委員】  よろしくお願いいたします。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、議事に入らせていただきます。
 なお、本日は、樋口大臣政務官、田野瀬大臣政務官が参る予定ですので、あらかじめ御案内させていただきます。
 それでは、まず、一つ目の事業でございます。
 これからの時間帯は、職業実践専門課程等を通じた専修学校の質保証・向上の推進について御議論を賜りたいと存じます。
 初めに、事業概要の御説明をさせていただきます。事業担当課は5分以内で簡潔に説明をお願いいたします。
【説明者】  生涯学習推進課長です。よろしくお願いいたします。
 それでは、最初に、専修学校の特色について、少し御説明したいと思いますので、資料の33ページを御覧ください。
 33ページの上のスライドを御覧いただきますと、3.のところに学校数・生徒数という記載があり、学校数が3,183校、生徒数が約65万人となっております。国公私の内訳を見ていただきますと、私立の割合が圧倒的に多いという特徴がございます。
 その右側に課程の内訳がありますが、高等課程、専門課程、一般課程の三つがありまして、このうち、専修学校の専門課程、すなわち、専門学校については、地域産業を支える身近な高等教育機関であると認識しております。
 こうした専修学校につきましては、法令上は、小・中・高・大学等のいわゆる一条校とは区別して規定をされており、制度的には、カリキュラム編成などの面において、非常に自由度が高いという特色がある一方、社会からの認知ですとか、社会的評価が十分でないといったような課題が指摘されているところでございます。
 1枚めくっていただきまして、35ページを御覧いただきますと、下のスライドに、学校規模別学校数の資料がございます。一番上の表が専修学校でありますが、御覧いただきますと、200人以下のカテゴリーが全体の7割弱を占めておりまして、その下にある他の学校種と比べて見ますと、小規模な学校が非常に多いという特徴が見て取れるかと思います。
 専修学校につきましては、平成19年に自己評価の実施・公表が法令上義務化されましたが、今申したような特徴がございますので、なかなか取組が進んでいなかったという状況がございました。このような状況を受けて、平成25年3月に学校評価ガイドラインを作成し、また、平成25年度から本事業を立ち上げ、質保証・向上に努めてきたという経緯がございます。
 続きまして、11ページをお願いいたします。この事業名に出ております「職業実践専門課程」について少し御説明をいたします。横長の資料ですけれども、真ん中の二重線で囲ってある枠に制度の概要がございまして、そこに書いておりますように、企業等との密接な連携によって、より実践的な職業教育に取り組む課程を文部科学大臣が認定するという制度でありまして、右下の点線のところに認定要件がありますけれども、企業等との連携が、教育課程の編成や、演習・実習、研修といった各段階において求められるということが特徴でございます。このように本制度は、より実践的な教育の実施や学校評価に取り組むといった一定の要件を満たす学校を大臣が認定することで、専修学校の質向上の峰を引き上げて、専修学校全体の裾野を広げることで質の保証・向上を図る狙いを持っているものでございます。
 続きまして、事業内容については、9ページの資料を御覧ください。横長の概要の資料がございますけれども、メニューが大きく三つございます。一つ目は、左側の水色の部分ですけれども、「調査研究協力者会議の開催」ということで、「ガイドラインの作成」ですとか、「新たな制度の創設」といった制度的な検討や周知を行うメニューでありまして、特に今年度は、白抜きのところで囲みましたように、「社会のニーズに応える情報発信」として、高校等を意識した情報発信等の在り方について検討を行って、広報ツールの開発を行うという取組を予定しております。
 その下の二つ目、「学校評価の充実」というメニューでありますが、このメニューも毎年度、取組を発展させてきているところです。今年度は情報公開に着目しまして、情報公開実践の手引に関する視聴覚教材を作成し、その活用を含めた研修を各地で実施する体制作りを予定しているところでございます。
 最後に、三つ目のメニューが右側の緑の部分ですが、「職業実践専門課程等の充実に向けた取組の推進」ということで、中に三つの取組がございます。一つ目は「教員の資質能力向上」で、教員の指導力向上のための研修プログラムを開発する取組です。二つ目は、第三者評価に着目したモデル構築を行うという取組でございます。また三つ目は、質の保証・向上に向けた実態調査として、シンクタンク等に委託し、専修学校に関する実態調査を行うという取組でございます。
 本事業は平成25年度から実施しておりまして、随時メニューの見直しをしながら実施してまいりました。その内容については29ページの資料において、これまでの変遷をまとめておりまして、また、その詳細については30ページと31ページにおいて、委託先等を含めて記載しているところですので、御覧いただければと思います。
 これで説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、私の方から、論点について御説明させていただきます。お手元の論点等説明シートを御覧ください。ファイルの1のところの1枚目にございます。
 まず、1点目、これまでの成果を事業の見直しに反映しているか。2点目、民間の評価団体が競争的な環境の中で第三者評価を実施する仕組みを検討するべきではないかという点。3点目、アウトカム・アウトプットは適切に設定されているか。以上の論点等について、御議論をお願いいたします。
 外部有識者の皆様におかれましては、事業担当課への質問等を通じ、無駄の削減のみならず、より効果の高い事業に見直すという観点から御議論をお願いいたします。
 また、質疑等と平行して、適宜、お手元のコメントシートへの記入をお願いいたします。
 説明者は、外部有識者からの御質問に対し、簡潔明瞭に回答願います。
 発言を希望される方は、机上の名札をこのように立てていただき、私から順に指名するということで、よろしくお願いいたします。
 それでは、外部有識者の皆様からの御質問等をお願いいたします。
 では、松浦委員。
【松浦委員】  松浦でございます。3ページについて、お聞きいたします。余り大きな点はないのですけれども、アウトカム評価のところの設定でございます。下から2カラム目ですね。
 この定量的な成果目標のところで、3行目以降、「生徒の満足度の向上」が「改善」したと回答する割合を90%とする、要するに、受け手側が満足した回答が90%を超えればいいのだという設定になっているんですけれども、このモデルの構築全体としては、社会に要請される人材を供給するということが大きな目標であるというふうに政策上はなっている。ですから、これは生徒が満足しただけでは、このプロジェクト自体の定量的な評価ということの全体像はつかめないのではないかなと思います。ある意味、その協力していただいた企業さんとか、この卒業されたこのコースを終えられた生徒さんが入られた、就職された企業さんの方の御意見もある程度の集約が必要なのではないかなと思いますが、そういう実態把握はされていますでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。この事業のアウトカム等の指標は二つあり、一つは「自己評価の実施・公表の割合」ということ、もう一つが「生徒の満足度」ということなんですけれども、「生徒の満足度」につきましては、生徒の意識といいますか、その意識が改善したと思われる、考えている学校数の割合を調査しいているものであり、したがって、その生徒の満足度自体を直接生徒に聞いているわけではありません。ただ、生徒も重要なステークホルダーの一つだとは認識しておりますが、御指摘のように、それ以外のステークホルダーというのも当然あるわけですので、アウトカムの設定については、今後検討してまいりたいと思っております。
【松浦委員】  じゃあ、追加で。こういう評価というのはいわゆる自己評価に当たるわけで、ここで言っている手法として第三者評価を導入してはいかがかというようなことが論点になっていました。
 往々にして、自己評価は自己中心的になることが多いということもございまして、やはりスキルのある教員、それから、その教員が社会のニーズをきちんと把握できると、その教員の資質を深めながら、生徒さんにとって楽しい授業を提供できると。卒業されたら、その受け手の企業の方々がこれはいい人材であると喜んでいただけるというような形が作れて、ようやく一つ完結するんだろうということかと思いますので、あえてパラメータを1個に絞らずに、やはり全体像、その成否という意味ではそういうことにちょっと目を配っていただければと思います。
 以上です。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、田辺委員、お願いいたします。
【田辺委員】  この事業ですけれども、私は、今の日本が企業内研修がなかなか難しくなっている、あるいは、離職も増えているので、こういう実践的な職業教育が非常に重要になっていると思うんですね。
 だから、この取組は非常に重要なんですけれども、ただ、その成果が見えてないような気がして。もともとは、この例えばアウトカムが出ていますけど、自己評価をすればいい、あるいは、公開すればいいというわけじゃなく、その質が向上しているのかどうか、あるいは、設定している一定水準を超えた学校が増えているかどうかがポイントなわけですよね。
 これは何か本当にアウトカムというよりは、何か公表していますという、数だけを。でなくて、本当は質の良い、まさに訓練、学校、教育ができているかどうかという観点から見て、工夫する余地があるのかなと思います。
 例えば自己評価の実施・公表割合ということなんですけれども、平成27年度から28年度で目標値が20%上がっているにもかかわらず、成果実績が3%しか増えてないわけですね。これに対してどういうふうに評価しているのか、何が悪かったのか。これに対して、例えば本当に29年度、100%にするために、具体的に何をしていこうとしているのかというところがさっきの今年度の取組もよく分からなかったわけですね。
 だから、56.6%しかないところを、今年度100%にしなきゃいけないですね。それに対する今年度の政策、具体的な話は何か非常にふわっとしていて、目標に対して本当に真剣にやろう……。いや、私もこの100%にするかどうかと、これは手段ですからね。これができても、本当に質が上がっているかは分からないんだけど、少なくともここに書いてある目標値を達成することも、まず、何で28年度は3%しか上がらなかったのかということに対する分析ですね。
 それが何が足りなかったのか、目標は8割だったのに。100%、今年度100%にしようとしているのに、それに対して具体的にこれをどう、なぜ、どうやったら100%になるのかというふうに考えておられるのかを説明してください。
【説明者】  ありがとうございます。お手元の資料の30ページを御覧ください。横長の資料がありまして、その30ページの下のところに、自己評価の実施・公表の実施率の推移というデータがございます。ここでアウトカムとしているのは下段の公表の数値なんですが、その前段階として、そもそも実施しているかどうかという数値が上段にございます。
 御指摘いただいた平成27、28年度のところについては、公表の数字が53%と56%だったのですが、実施割合については76.9%と79.9%となっておりまして、ちなみに、私立大学は88%と承知しておりますので、専修学校は私立が多く、かつ、小規模な学校が多いということを考えると、確かにここにとどまっているという見方はできるんですが、これが現状だとも思っております。したがって、自己評価をやっているけれども、公表していない学校が相当数あるというところが課題だと認識しております。
 したがって、平成28年度に、その上に変遷が書いてありますけれども、情報公開の面に着目をしまして、情報公開実践の手引を作成いたしました。すなわち、情報公開について、事例も交えながら、公開の在り方について分かりやすく解説をしたものを作ったところでありまして、今年度は、その手引を用いて、普及啓発に向けて取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
【田辺委員】  とういことは、目標の100%を最初から放棄しているわけですよ。29年度の最終目標は100%というふうに設定しておきながら、それに対する施策はなくて、この79.9%を100%に上げなきゃいけないというのが今年度の一番重要なアウトカムの狙いだと思うんですよね。それについてはどうお考えですか。
【説明者】  別に放棄しているわけではございません。そもそも自己評価をしないと公表もできないわけですから、学校評価の在り方については26年度に手引書を作成して、その啓発についても続けているということであります。
【田辺委員】  だから、それでも79.9%にとどまっているために、何をやろうとしているんですかという質問です。
【説明者】  引き続き、その手引を活用した情報公開について、研修会等を通じて広めていきたいと考えています。
【田辺委員】  だから、特に29年度は変えるつもりはないわけですね。最終年度というか、100%に設定している目標に対して79.9%で、にもかかわらず、特に焦点を当てているわけじゃないという理解でいいんですかね。
【説明者】  焦点を当てているわけじゃないということではなく、毎年、上にありますけど、教育研究協議会を開催したり、あるいは、研修会を9ブロックで開催したりといった取組はやっております。
【田辺委員】  分かりました。
【説明者】  そこで粘り強く取り組むということでございます。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  太田委員、お願いします。
【太田委員】  まずは、事業の内容が少し分かりにくいので、確認させていただきたいんですけれども。
 ガイドラインを作るための調査研究協力者会議等を開催すると。これはガイドラインを作ったり、制度の検討等をされるというのが1点と、学校評価をするために啓蒙活動をされるというのが1点。そして、もう一点は、職業実践専門課程について実証研究をするとか、実態調査をするという、その3点だという理解でよろしいですか。
【説明者】  メニューが三つありまして、最初の二つについてはおっしゃったとおりですが、最後のメニューについては、現在は特に第三者評価に着目して、専修学校の分野に応じた評価の在り方を実証研究していただいているということでございます。
【太田委員】  とすると、専修学校についてのガイドラインの作成とその普及啓蒙活動と第三者評価の3点が一つの事業になっているということでよろしいですか。
【説明者】  はい。そういうことでございます。
【太田委員】  アウトカムで設定されている指標は二つ出てきているように思うんですが、一つは、先ほどの第三者評価の自己点検の結果を公表する割合を100%に持っていくというのが1点。そして、二つ目は、生徒の満足度が改善したとする割合を90%以上にすると、それでよろしいですか。
【説明者】  最初に出されております自己評価の公表割合につきましては、もともと専修学校におきましては、小学校の規定を準用しております。高校以下と同じ扱いで、自己評価については実施・公表が義務、学校関係者評価という外部の方による評価は努力義務、第三者評価という枠組み自体は、制度上の位置付けがないという状況になっております。
 ここにあります自己評価の実施・公表というのは、法令上で義務付けられている自己評価の実施・公表というものについてのものなので、直接的には第三者評価で検証しているものとは切り離したものとしての位置付けとなっております。
【太田委員】  つまり、自己評価は義務だけれども、それが100%になってないという、そういうことですか。
【説明者】  はい。そのとおりと思います。
【太田委員】  それはゆゆしき事態だと思いますけれども。事業のやり方としては、基本的に御省ではほとんどされなくて、ほとんどが外部委託されている、ということでよろしいですか。
【説明者】  会議以外の部分は委託という形でやっております。
【太田委員】  予算割合としてはほとんど、ほとんどと言うと言い過ぎかもしれませんが、9割以上が外部委託ということでよろしいですか。
【説明者】  はい。そういうことです。
【太田委員】  とすると、この目標の立て方がまず良いのかどうかというのが先ほど来議論になっている点でありまして、自己評価の公表割合は100%を目指すというのは、法令違反を無くすという意味であれば当然であろうかと思いますが、二つ目のアウトカム指標なんですけど、これも目標の立て方がそもそも90%で良いのかということで、これはアンケートを取って、90%以上というと何か良さそうですが、まず、このアンケートがちゃんとしたアンケートなのかということで、これは統計的社会調査の専門家が入ってやっているアンケートですか。それとも、何となく普通の方が、素人と言うと語弊がありますが、普通の方が感覚的に作ったアンケートなんでしょうか。
【説明者】  この二つ目の指標を取っておりますのは、三菱総研の方に委託をして実施をしている実態調査でございまして、その母数となっている集計値、大体2,500ぐらいございますので、統計的にも十分な価値のある評価、調査が行われているものと考えております。
【太田委員】  サンプルサイズだけではなくて、アンケートというのは作り方によって結果が相当に左右されますので、そのアンケートの作り方と評価の仕方ということ自体が一つの学問分野になっているわけですね。その専門的トレーニングを受けた方がしたアンケートで学術的批判にたえるものと、感覚的にクエスチョネアって質問票を作って作ったアンケートでは、政策を評価するときの信頼性が全然違うわけですね。きちっとしたアンケートなのかということの質問です。
【説明者】  そうです。そういう意味で言いますと、有識者の中には統計の専門家の先生方が入っていただいておりますので、きちっとしたものという認識です。
【太田委員】  とすると、これ、ベンチマーク、そのまま、何というんですか、アンケートをすると、ほとんどの方は改善されたと答えるのが普通だと思うんですけれども、その普通何も効果がないときに、改善されたと答える人の割合がどれぐらいで、それと比べて、どれぐらい有意に改善されたという割合が高くなったということの検定はされているんですか。
【説明者】  検定は行っていると聞いております。ちょっと即答はできないんですけれども、検定を実施しているということは承知しております。
【太田委員】  有意差が出ているということですか。
【説明者】  有意差について……。
【太田委員】  統計的な有意差が出ているという理解でいいですか。
【説明者】  はい。
【太田委員】  その点について詳しく書くというのは、このアウトカムについては非常に本質的だと思うんですけれども、その点については、追加資料、事後的で結構ですが、よろしくお願いいたします。
 そして、次になんですが、これ、29年度が最終目標ということだと思うんですけれども、ほとんど外部委託ということでやると、目標の達成をお願いして委託するということでは、事業の遂行責任という点で問題があると思うんですけれども、この目標を必ず達成するように、外部委託するときに、どのような仕組みをされているんですか。目標達成できなかったら、例えば委託費を払わないとか、いろいろな工夫ができると思うんですけれども、できるだけ頑張ってくださいとお願いしている以上に、何かやっていらっしゃることがあれば、教えてください。
【説明者】  第三者評価の三つ目のメニューについては、分野ごとに第三者評価の枠組みを作るということがございますので、その分野のコンソーシアムの拠点となる専門学校に委託をしております。
 したがって、我々としては、もちろん目標の達成に向けて頑張っていくというところではあるんですけれども、それを、外部に頼っているという表現は少し異なっており、むしろ外部に対してそういった認識の下でお願いをしているところではありますが、その一つ一つに対して、ここが頑張れば全部達成できるといったような構造にはなっておりません。
【太田委員】  ただ、予算の9割以上が外部委託に使われていて、その目標は別に立てていて、その目標が達成されるための何ら施策を打ってないとすると、これは事業遂行責任としては問題がある立て付けではないでしょうか。
【説明者】  評価の枠組みとしては、自己評価の枠組みと、あと、それを客観的に担保するための第三者評価に着手しているところでありまして、将来的には自立的にそれぞれの学校なり、あるいは、それぞれの分野の団体なりが評価のサイクルを回してもらうことが目指すべき方向だと思ってはおりますが、その枠組みなり、その基準なりについて、それぞれのところで作っていただくというのがまずありまして、その段階で今取り組んでいるということでございます。
【太田委員】  まだありますが、ほかの方に。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  ここで残り15分ほどでございますが、外部有識者の皆様におかれましては、コメントシートへの記入を平行してお願いいたします。記入がお済みの方につきましては、挙手いただければ、事務局の方でコメントシートを回収するようにいたします。
 それでは、亀井委員、お願いいたします。
【亀井委員】  改めて確認ですけれども、基本的にこの事業の目的というのは、9ページにある三つの青いのとオレンジ色のとグリーンのと、これを通じて、最終的には職業教育を充実し、専修学校の質保証・向上を実現すると、こういう目的でよろしいわけですよね。
【説明者】  はい。そのとおりです。
【亀井委員】  だとすると、アウトカムは、職業教育の充実や、専門学校の質保証・向上に当たる、これがアウトカムになるんだと思うんですが、これについてはなぜそうではなくて、ある種途中のアウトプット指標の多分一つであるであろう、本来義務であるという話もありましたが、自己評価の公表のパーセントになっているんでしょうか。
【説明者】  専修学校は、いわゆる一条校とは違った制度の位置付けになっておりまして、したがって、一条校ですと、例えば学習指導要領を定めたりとか、大学だったら、学部の設置認可を厳格にしたりという手段があるんですけれども、専修学校はそういうものがなく、非常に弾力的な制度になっている中で、質を確保するツールとして、自己評価なり、学校関係者評価とか、第三者評価といったものが重要な存在になっているという、そ制度の現状がございます。
 したがって……。
【亀井委員】  いや、多分制度上の問題ではなくて、結局、卒業生の就職率がどうであったかとか、あるいは、卒業生の評価がどうだったとかというところから逆算するというのが、もちろん教育ですから、なかなか短い期間で測るべきでは私はないと思いますけれども、これはそれこそ、29年度もこれは31ページの方のグリーンの方ので見ますと、ようやく実態調査が卒業生に及んだんだなという感じがしますけれども、卒業生の状況をきちんと見ていくというようなことを丁寧にやっていただくような枠組みから逆算をして、その中で、恐らく評価制度であるとか、第三者評価というものが使われてしかりではないかなと思います。この点はいかがでしょうか。
【説明者】  御指摘のとおり、確かにアウトカムの見方については、何か多面的な指標や考え方があろうかとは思いますけれども、ここでは、今申したような質を保証する政策手段の観点から、自己評価というのが非常に大事なツールであるという認識で設定しておりまして、これだけでは十分ではないとも思いますので、また工夫していきたいと思います。
【亀井委員】  ありがとうございます。多分そこは文科省さんもいろいろとアウトプット、アウトカムもロジックモデルをいろいろと考えていらっしゃるところだと思いますので、そこは全省挙げての話だと思うんですけれども、特に教育の場合は非常にここをきちっと論理的に詰めておくことが重要だと思うので、担当課のみならず、是非、全省としてもやっていただきたいなと思います。
 ちょっと分からないのが31ページなんですけれども、30ページもあるんですけれども、例えば31ページの職業実践専門課程等の充実に向けた取組の推進というところの中に、調査研究というのがあるんですが、先ほど来の御説明ですと、基本的には第三者評価という形の方向性になってきていますと、こういうお話がございました。
 こういう中で、この「職業実践専門課程の実態等に関する調査研究」が平成29年26、27、28、29年度の4年間も続いているというのは、これは何を研究されていらっしゃるんでしょうか。また、これがどう政策の立案過程に生かされているんでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。この実態調査につきましては、調査項目として、経年的に変化を見るために毎年度調査をしているものもありますし、また、調査項目を見直して、その年度、年度で調査している項目もありまして、例えば28年度ですと、新たに高等学校のニーズや意識を調査する必要があるということで、高等学校を調査対象に加えて、一方で、その連携先の企業に対する調査は縮小したりするなど、年度ごとに見直しを行いながら、継続的に調査すべきものはデータを取ってやっているというところでございます。
【亀井委員】  これは、じゃあ、継続調査ということですか。
【説明者】  継続している事項もあるということでございます。
【亀井委員】  いや、全体として、継続、この図表を見ると、毎年、違う調査をやっているように読めるんですね、すみません、この31ページだけを拝見すると。実態としては、継続と、これはアンケートとかでもそうですけど、継続しているものと新規のものとあるんですけれども、割合としては大体何対何ぐらいの認識で考えればよろしいでしょうか。
【説明者】  すみません、ちょっと……。
【亀井委員】  この資料だけ見ると、まるで毎回新規で、いや、これがまさにこの次の質問につながるんですが、入札と採択のプロセスになるんですけれども、ある種、継続を前提としているんであれば、26年度と27年度からは業者が変わっていますけれども、結果的にこれはどうしても続いてしまうものになりがちではないかと。実は他の応札プロセスを見て、応札とされたプロセスと見ていても、基本的には応札した会社を全部採択するような形にだんだんと収斂していくんですよね。
 そういうようなところも含めて、お伺いしたいんですけれども。
【説明者】  継続分と毎年度異なる割合というのはこの場でお答えできませんが、ただ、調査対象が変わってくれば、例えば企業の代わりに高等学校を対象とするということになれば、それだけでかなりの数が入れ替わってまいりますので、毎年度異なってくる部分も相当程度あるとは思っておりましてお答えになかなかならないかもしれませんけれども、そのような事情もあって、毎年度入札をしながら、委託先を決めているということでございます。
【亀井委員】  一方で、例えば、もちろん私もアンケート調査とか幾つか研究でやっていますから分かるんですけれども、同じようなことが続くんであれば、同じ、何ていうんでしょう、それはそういう形でその毎年度、毎年度やっているといいながらも、ある種の参入障壁になっている可能性はあって、そこの部分は一定の配慮をどうされているのかなというところをお伺いしたいんですが、いかがでしょうか。
【説明者】  実際に26年度と27年度では業者が変わっておりますし、27年度と28年度は同じ業者になっていますけれども、手続に則って、しかるべき公募期間を設けて公募おり、結果として、たまたま27年度、28年度は同じ委託先になっているということでございます。
【亀井委員】  例えば省庁によっては、実際に応札をなぜ希望されなかったのかとか、ヒアリング調査みたいなことをされていらっしゃるんですけれども、そこら辺はされていらっしゃいますか。
【説明者】  それは実施をしておりません。
【亀井委員】  そうですか。それは多分他の省庁においては、なぜ一者になったのかとか、声掛けが、最初興味があるというふうに言っていたんだけれども、最終的に一者になったというのは、ある種排他的になっている可能性があって、それを常に見直していくというのは他の省ではされていることが幾つかございますので、そういったところを参考にされて、入札の在り方というところは見直されていくことがまた必要なんではないかなと思います。
 私の方からは取りあえず以上です。
【説明者】  ありがとうございます。また御指摘を踏まえて、取り組んでいきたいと思います。いずれにしても、自己評価なり、その評価のサイクルを回していくことについては非常に課題だと思っておりまして、それを更に前進させるために、どういう取組がいいのかというのは考えていきたいと思っております。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  中室委員、お願いいたします。
【中室委員】  ありがとうございます。最後の方の質問なのに、ばくっとしたことをお尋ねしてしまうようで申し訳ないんですけれども、ここの事業の中で、繰り返し用いられている質の保証・向上ということなんですけれども、その「質」というのは一体どのようなことを意味しておられるんでしょうか。
【説明者】  質とは、教育の質とか、施設環境とか、教職員の質とか、様々な複合的な要素があると思っておりまして、したがって、それらのレベルを向上・確保するための手段として、評価の枠組みを専修学校で自立的に実施していくということを目指しているところでございます。
【中室委員】  ということは、例えばですけれども、スチューデント・ティーチャー・レシオとか、幾つか細かい質の内訳として、その細かい指標、定量的な指標があるという理解でよろしいんでしょうか。そうではなくて、そういったものを総合的に捉えるということなんでしょうか。
【説明者】  評価を行うときには、評価項目は多面的にわたるものになりますけれども、そういった評価の枠組みを通じて、総合的な質保証を図っていくということになります。
【中室委員】  その評価のクライテリアに従って評価を付けていったときに、その評点が高くなると、何が起こるとお考えなんでしょうか。要するに、そこがアウトカムになるべきなのかなという感じがするんですけれども。その評価が高くなる、質の評価が高くなると、何が起こるんでしょうか。
【説明者】  もともとこの事業は、ほかの学校種と異なる形で規定されている専修学校の特色でもありますが、専修学校の社会的評価の不足や、全般的には職業教育というものについての社会的な評価の不足というところが実は指摘されており、専修学校についてもその評価をとにかく上げていきたいというのが実は狙いとしてもともとありました。
 質については色々な見方、確かにありますが、一般には信用とか信頼を得ることではないかと思われまして、そのためにも、学校としても、社会的に説明責任をしっかり果たしていくということが大切なことではないかと思っております。
 この質保証・向上の在り方につきましては、社会的評価の向上に向けまして、本事業を通じて、本当に試行錯誤を行いながら、メニューの改善なども進めているわけですけれども、まずはやはり学校自身が自立的、自発的に教育改善を進めていく仕組み作りが大切ではないか。大学でいうと、内部質保証という言い方をしております。
【中室委員】  おっしゃるとおりだと思うんですけれども、だとすると、この事業の目的は質を高めるということで、その質は社会的な評価というものを高めていくことにあるという定義なんですね。そうすると、それがなぜこのアウトカムに入ってないんでしょうか。
【説明者】  冒頭、御説明したところですが、基本的に、法令上の義務についての履行をしっかりしないといけない。それは今申し上げた社会的責任を果たしていくということですけれども、そこが残念ながら、今まではなかなかできていなかったというところで、まず、学校評価に着眼してこの事業を推進したということで……。
【中室委員】  だとすると、それはアウトプットであってアウトカムではないのではないかと思うんですけれども、そこが多分、これまでの先生方が御指摘されていたところであると思いまして、自己評価や第三者評価は非常に大事だと思うんですが、これはアウトカムになるべきものではなくて、アウトプットとして定義されるべきものなんだと思います。
 その観点で言うと、この成果目標というのはこの事業の目的に照らし合わせてみると、極めて曖昧なものになっているというふうに言わざるを得なくて、やはりその質ということを定義されているその目標に照らしてアウトカムを設定していただく必要があるのではないかと思いますし、松浦先生が冒頭おっしゃいましたように、ひょっとすると、社会的な評判ということだけではなくて、労働市場に出た後、その人たちがどのような成果を収めているかという観点もアウトカムの中に入ってくる必要があるのではないか。例えば、就職率であるとか、第1志望の会社に就職できているかどうかとか、あるいは、卒業後の離職率がどうかとか、そういった点も成果目標とすべきではないのかなというふうに思うわけですけれども。
 亀井先生がおっしゃったことの質問にちょっと加えてなんですけれども、この事業のほとんどが外部委託で、特に三菱総研に随契で委託をされているということで、その理由もお伺いしたいと思います。
 すなわち、専修学校の教育課程に関連するようなガイドラインや調査研究といった、恐らく極めて専門性が必要とされる事業について、なぜ三菱総研が一者応札で委託されているのかということと、その中に、例えば大学の研究者などの外部有識者が混じっているのか、意見が含まれているのかどうかということをちょっとお伺いしたいと思います。
【説明者】  まず、学校評価につきまして、まず、文部科学省におきましてガイドラインを作っております。この委託事業につきましては、既に25年3月に作っているガイドラインに基づいて、これを現場でしっかりと取組をしていただくための周知を行う解説資料を作っていただく。そういう意味で、より分かりやすく、色々な事例などを含めて、分かりやすい形で提示するというのがこちらの委託事業の趣旨となっております。
 そのような観点で、より取組についてすぐれた知見を有するところにお願いするというところで、実際、公募を行い、三菱総研さんから手が挙がってきたものです。この事業の委託先におきましては、有識者の方から御意見を聞きながら進めていくということでございます。
【説明者】  学識経験者としては、例えば5名のうち2名程度の先生方は学識有識者でありまして、それ以外にも、例えば高校の先生ですとか、専修学校の関係者などで構成をされています。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  太田委員、お願いいたします。
【太田委員】  まず、これは局が違うのかもしれませんけれども、専修学校と大学は違うということは重々承知の上でございますが、教育機関の評価という意味では文部科学省さんの所管だと思いますけれども、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構という専門の組織がありまして、こちらは大学の評価についてのガイドライン等の作成も含めて、専門的に研究されていると思うんですね。
 大学と専修学校は違うということは分かるわけですが、同じ教育機関としてかなりオーバーラップする部分もあるだろうと思います。その辺りの連携というのはどのようにされて、実際どう生かされているんでしょうか。
【説明者】  今おっしゃった独立行政法人の業務については、その設置法で業務の範囲が規定されておるわけですが、その条文においては、大学と高等専門学校と大学共同利用機関というものが評価の対象にされておりまして、専修学校は対象とされていないということがございます。それは制度的な背景といったものがあるかと思いますけれども、現状では、専修学校の第三者評価については、専修学校の関係者の中で独自に作り上げていかなくてはならない状況だろうと思っています。
【太田委員】  それは恐らく御省の中では常識的な判断なんだと思いますが、公開プロセスを見ている国民からすると、何という縦割り行政だというふうに聞こえると思いますが、いかがですか。
【説明者】  言いたかったのは、当然の業務として何か行われているわけではなくて、どのみち、専修学校についてその第三者評価の仕組みを作り上げるためには、仮に独立行政法人がやるにせよ、あるいは、専修学校関係者がやるとするにせよ、新たな取組を実施し作り上げていかなくてはならないという状況には変わりがないということです。
【太田委員】  いや、法律に書いてないということであれば、必要に応じて立法措置を講じて書けばいいということだと思いますが、例えば書いてないことはやっていけないということにはなってないですよね。それしかやってはいけないんですか。
【説明者】  業務の範囲に入っていない以上は、それをやるための体制なり、その予算なりが措置されていないのが現状でありまして、いずれにしても、専修学校の第三者評価の仕組みを作り上げるためには、新たな措置を講じて取り組まなくてはいけない状況だということです。
【太田委員】  そのための事業でそのための予算が付いているわけですよね。
【説明者】  本事業がそのための事業でございます。
【太田委員】  その協力先、あるいは、出資先で非常に専門性を有しているであろう近隣のところの独立行政法人が全く参画していなくて、協力、連携もしようとした形跡も見られないのはなぜですか。
【説明者】  独立行政法人が専修学校の評価について必ずしも専門性を有しているとは認識をしておりませんで、専修学校については、扱っている分野についても、大学と異なって様々でありますし、これから作り上げるべき部分が多いと思っております。
【太田委員】  いえ、私はその独法の先生が行われている科研費の研究プロジェクトに入っておりまして、まさにここに出ているような専修学校にインタビューに行って、こういうところで行われている教育の実践が大学に何か生かせるものはないのかといって、そちらの独法の方がこの専修学校について研究して知見をためているということをたまたま知っているもんですから。
 そちらの独法の方が大学に役に立つかもしれないといって専修学校を調べているのに、専修学校が評価をするときに、専門の独立行政法人に全く何の提携も協力も依頼してないというのはちょっと考えられないセクショナリズムだと思うんですよね。
 それは当然に連携して相談してお互いに協力して、その目標、法律の範囲ではその対象に入ってないから、予算を別にする必要がある。そこまではいいかもしれませんけれども、だからといって、全部別にやらないといけないというと、税金の使い道として効果的とは言えないんじゃないでしょうか。
【説明者】  連携するかどうかというか、税金の使い道という点では、いずれにしても、新しく作り上げなくてはいけないというところではあるんですけれども、そもそも専修学校に関する評価の法令の体系からして、大学は設置認可がもともと厳格であった状況で、それを緩める反面、自己チェックを取り入れるという背景でやっておりましたけれども、専修学校は、高校以下の自己評価の規程を設ける中で、それが準用されたということで、制度的にも異なる背景を持っておりまして、そのような状況の中で、まずはその自己評価を定着させて、さらには、第三者評価を導入してそれを定着させることに取り組んでいるところでありまして、それぞれの背景を基にして、事業を進めているというところです。
【太田委員】  ありがとうございました。
 第三者評価についてお伺いしたいんですけれども、これはどういう形で第三者評価をするように研究されているんでしょうか。例えば、御省が第三者評価をするのか、あるいは、類似の独立行政法人を専修学校専門で作って、そこで第三者評価をするのか、あるいは、民間の第三者評価機関を複数立てて、認証若しくは評価をしてもらうという間接統治のような形態を取るのか、どういう予定なんでしょうか。
【説明者】  第三者評価の枠組みは、まず、専門学校という高等教育段階の部分において研究を進めておりますが、イメージとしては、大学における認証評価、いわゆる第三者評価の枠組みを参照しながら、一方で、職業教育という観点により着目した仕組みができないかということを検証しております。
 現状11の分野で検証しているんですけれども、それを踏まえて、どのような形の第三者評価の在り方が適当かということはしっかり文部科学省として考えていきたいと思っておりますが、大学においては民間の独立の第三者評価機関を学校が自由に選んで、競争的な環境の中で第三者評価をするという仕組みになっておりますので、そうしたことを十分留意しながら、今後の仕組みを考えていきたいと思っています。現時点で、どのような形の第三者評価の実施があり得るか、適当かということをまさに模索中という状況でございます。
【太田委員】  現状、その結論はいつ頃までに出るというようなそのタイムラインは決まっているんですか。
【説明者】  現時点では、この事業につきまして、分野横断的な第三者評価、また、分野別の評価に関しては、当面、この資料の31ページのところに、28、29と、29というところであります。一通り、この仕組み構築に向けた土台作りについては、まず、この29年度ということを一つのこの実証研究事業の目安として進めております。これを踏まえて、検討についてはどのやり方が適当の検討に入っていきたいと考えております。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、少し時間もありますので、コメントシートへの記入をなされていない外部有識者におかれましては、記入をお願いいたします。また、事務局はコメントシートの回収をお願いします。取りまとめまでは若干時間がございますので、その間、引き続き御議論いただければと存じます。
 では、有川委員、お願いいたします。
【有川委員】  今までの議論と重複するところがあって恐縮なんですけれども、三つの評価、自己評価と、学校関係者評価と、それから、第三者評価の関係について伺いたいんですけど、まず、自己評価については、恐らく専修学校の質の保証・向上のためのメインの手法として使われているとすれば、いくら自己評価をしても、それを公表しないんであれば、外からチェックが働かないんで、第三者評価も非常に重要な手法だとは思うんですが、まず、外の目にさらすということが必要重要な、そっちこっちから評価を受けることになるので、公表してない自己評価というのは、確かに公表している分だけをカウントしているんで、そういう意識は十分あるんだろうと思いますけれども、やはり自己評価していても、それを公表していないということについては自己評価してないと同じような扱いをするなり、きちんとそこのところは、第三者評価を考えると同時に、公表についても相当強く改善を図ってもらいたいなと思います。
 その上で、この学校関係者評価の方なんですけれども、先ほど、努力義務だというお話だったんですが、職業実践専門課程の認定要件になっているということは、職業実践専門課程については、義務付けのような気がするんですけれども、この学校関係者評価については、アウトカムにもアウトプットにも登場してこないんで、実態が見えないんで、第三者評価の試行が今行われている。こちらの方は、アウトプットに出てきているんですけれども、この両者の関係はどういうふうに理解すればよろしいんでしょうか。
【説明者】  学校関係者評価は、確かに、指標としては出てきていないのですが、自己評価という法令上の義務を主眼に置いたアウトカム指標を設定するためにこのように整理しておりますが、全体として、学校評価をどのように充実していくべきか、それに対するアウトカム指標はどうあるべきかということは、今回の御指摘を踏まえて、また改めて検討させていただければと思います。
【有川委員】  特に学校関係者評価がこだわるのは、大きな事業内容の目的としての職業実践専門課程の認定要件ですよね。認定要件で認定されたところがやってないんだったら、そもそも認定してはいけなかったという話になりませんでしょうか。
【説明者】  それは認定要件になっておりますので、認定されている学科につきましては、当然、学校関係者評価をやっております。ただ、この部分には直接的ではないんですけれども、配付資料の4ページの真ん中に、政策評価の記載がございまして、職業実践専門課程の認定校数についての指標を設けております。この学校関係者評価をやれば、認定校というのは後で増えていくというところもありまして、こういう形ではアウトカムに反映しておりますが、そもそもこの事業に関するアウトカム指標が適当かという観点を踏まえて検討していきたいと思います。
【有川委員】  くどくて申し訳ないですけれども、学校関係者評価の実態については、そうすると、文科省としても把握していないのでしょうか。
【説明者】  そこは把握をしておりまして、ちょっとデータ上ここにお示しをしていないので、口頭で申し上げますと、学校関係者評価については、平成28年度におきましては実施が約5割、49.7%、公表が40.5%という状況になっております。
【有川委員】  そうすると、繰り返しになりますけれども、認定されているけれども、実施してないところが半分あるということですよね。そういう理解でよろしいわけですね。
【説明者】  今申し上げました数字は、全ての専修学校におけるパーセンテージですので、認定学科につきましては、全ての学科でこれを実施公表しているという状況になっております。
【有川委員】  そうなんですか。では、それを是非アウトカムやアウトプットにも書いていただければと思います。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  では、亀井委員、お願いします。
【亀井委員】  第三者評価なんですけれども、納税者の視点で考えると、受益者はまず一義的に自分たちの評価をしてもらうんだから、各学校は自分でやるべきではないかと。
 だとすると、この実証研究を行うに当たっても、当事者の負担というのはどのぐらいあるんだろうかというのは当然質問になるんだと思うんですけれども、この事業そのものに対して、例えば26年度全体で7,000万円近く、それから、27年度が9,000万円、それから、28年度がやっぱり9,000万円、それぞれお金が掛かって、それぞれやっていることは違うわけですけれども、この全体のその第三者評価の実証研究として掛かった費用に対するこの国の負担割合というのはどんなもんなのか、ここはいかがなものでしょうか。
【説明者】  この第三者評価の実証研究につきましては、委託先がそれぞれの専門学校になっていますけれども、個別の専門学校についての第三者評価をやるというわけではなく、例えば文化学園だったら、ファッション分野の第三者評価はどうあるべきかという観点から、その学校が拠点となってほかの学校や企業を巻き込んで在り方を検討しているということでありまして、したがって、そういった分野が現在11ありまして、それぞれの分野で在り方を積み重ねてきたというところでございます。
【亀井委員】  そうすると、質問が二つ出てくるんですが、そもそもこれは入札なんですか。分野を決めるのに入札というのがあるのかなというのがちょっといま一つよく分からないです。まず、その入札プロセスとして、あらかじめ11分野というのは政策的に決まっていたんではないですか。
【説明者】  特に11分野として限定していたわけではなくて、26年度については8分野、それから、27年度については11分野と拡充を図っておりますけれども、予算の上限がある中で、できるだけ多くの分野において基準の策定に取り組んでいただきたいということで、我々の方からの様々な事業の周知等の結果がこのような形になっております。
【亀井委員】 そもそも入札プロセスとして、もう応諾するところがある程度相手が決まっていて、結果としての入札になって、応札という形になっているんではないですかということの確認なのですが。
【説明者】  様々な事業の周知を関係団体とも含めて行った結果、このような形になっております。
【亀井委員】 事業分野としては、当初、幾らぐらいを想定されていたんですか。あるいは、この11の内訳が他の本来は別の分野を考えていたんだけれども、分野が入れ替わったとか、そういったことというのはあったんですか。
【説明者】  分野については入れ替わっておりません。ただ、当初の予算上の積算では24か所で予定をしておりましたが実際には8か所であったということです。
【亀井委員】  元の質問に戻るんですけれども、そうはいっても、この第三者評価、飽くまでも基本的にはこれは将来の受益者である学校の生徒さんのためだとは思うんですけれども、そうはいっても、当面は学校のためですよね。あるいは、この業界としての、例えば文化分野であればそうだし、あるいは、何とか分野とそれぞれの分野ごとの業界のためですよね。
 だとしたら、彼らの自助努力によって行われるべきではないかという意見に対して、これはどう考えたらいいですか。
【説明者】  冒頭御説明したように、専修学校の特性として、私立の、しかも、小規模な学校が多いという状況で、しかも、自己評価、法令以上義務付けられている自己評価ですら、ここ数年、取組の成果もあって実施率が上がってきてはいますけれども、まだ100%には至っていないという状況の中で、専門学校の独自の取組に期待するだけでは、第三者評価の取組が進捗しないんではないかと考えておりまして、このために国としても事業を設けていっておるところでございます。
【亀井委員】  だとすると、お伺いしたいのは、事業全体でそれぞれの分野は幾ら掛かっていて、そのうち国の負担というのは何割なんですか。これ、全部、国の持ち出しですか。つまり、受益者が当面は学校なわけだから、あるいは、業界、それぞれの学校なわけだから、彼ら自身の負担もある程度は、それはもう全部は、いや、なかなか、じゃあ、全部やってくださいと、何もこっちは出しませんというのはなかなか難しいから、インセンティブとして一部出して、ある程度促して、じゃあ、例えば3分の2、こっちが出すねとか、半分出すねとか、ある程度のそういう仕切りの中で、あなたたちもそれはそれで汗をかいてくださいというところが、ある種、設計としてはあるべき姿ではないかなと。そこら辺はいかがでしょうか。
【説明者】  考え方として、専修学校の質の保証・向上というものが、結果的には社会、生徒さんも含め、社会の受け手側にとって非常にメリットがあることだという考えの下で取組を進めているところでありまして、今回の第三者評価の調査研究についても、それぞれの分野において、ものによっては3年掛かりでやってきておりまして、27年から始まったものについてはそれ以降積み重ねてきておりますけれども、したがって、それが個別の学校のためという発想には立っておりませんで、この取組の結果として、質が保証・向上すれば、それは社会全般に対する利益につながるということで考えております。
【亀井委員】  ここは、だから、まず、平行線になってしまっているので、もうそろそろ取りまとめ済んでいる。大丈夫。であれば、もうやめますけれども……。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  すみません。延ばしていただいたので。
【亀井委員】  そこはきちんと。ある種、でも、受益者が誰なのかというところは、もう少し丁寧に考えてみてもいいんではないかなというのが今の議論のやり取りに感じた次第です。
【説明者】  評価手法についてもいろいろ御指摘いただきまして、検討の余地はあると思っておりますので、また事業の……。
【亀井委員】  私が申し上げたのは評価手法の話ではなくて、そもそもの受益者が誰で、どういう費用分担の在り方があるのか、そこは役所・それぞれの学校・社会との関係の中で、これは誰のお金なのかというところを精緻に考えていただくことが必要だと申し上げている次第です。
【太田委員】  追加ですが、社会とおっしゃるのは、その社会への貢献はどうやって測って、それで政策がどういうふうに有効だったのかを、どうフィードバックする仕組みを作るのか。この事業の社会への貢献って測るのは相当難しいですよ。きちんと測れる見込みがあって言っているのか、言い訳として社会と言っているのかは大きな違いだと思います。
【松浦委員】  2点、御質問します。
 まず、6ページですけれども、今の亀井委員の御質問と似たようなものでが、アンケートや情報公開を推進する事業、それから、アンケート等でもっていろいろ企画をする事業、こういうものをプロポーザルでやったということで、全体的には、共通できる部分の第三者評価の項目はどうあるべきか、それから、それぞれ派生したいろんな分野で特徴的なあるものをどう評価すべきかという、こういう積み重ねでなっているということですね、全体としては。これが1点。
 それと、もう一つですけれども、3ページに戻りまして、ちょうど中ほど、執行額・予算額のところですけど、30年度要求がゼロというのは、これはまだ概算要求が通るかどうか分からないからゼロと書いてあるということなんですか。ちょっと誤解するかもしれないですね。分かりました。ありがとうございます。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  ありがとうございました。
 それでは、コメントシートの集計がまとまりましたので、取りまとめ役の有川委員より、評価結果及び取りまとめコメント案の提示をお願いいたします。
【有川委員】  じゃあ、私の方から、取りまとめた数字と最終的な案を述べたいと思います。
 まず、投票結果ですけれども、事業全体の抜本的改善を求めるという委員の方が5名、事業内容の一部改善を求めるという委員の方が1名という結果でありました。
 それから、コメントにつきまして、幾つか紹介させていただきたいと思います。
 アウトカムの達成目標の実現に、アウトカムは事業の実現に向けて十分なものが設定されているとは考えられない。それから、アウトカムの設定が専修学校の質保証・向上に対応していない。そして、それの改善の方向としては、様々な政策リソース、政策手法を用いて、質の保証・向上に取り組むことが必要だという意見が一つ。
 それから、入札プロセスも一者応札が多く、担当課がそれに対して十分な分析、把握が行われていない。入札プロセスの見直しが非常に必要だというふうな意見。この方もまたアウトカムの根本的な見直しが必要だと。ほとんど共通した意見であります。
 それから、自己評価や生徒の満足度など、客観性に乏しい政策目標になっている。三菱総研に委託を行っている理由が分かりにくい。それから、自己評価の達成度が低過ぎるという意見であります。
 それから、学校の質保証・向上のために評価以外の手法がよく見えない。それから、公表されない評価というのは評価とは認められない取扱いをすべきだという意見。それから、外部委託の割合が高いので、事業の目的を達成するための仕組み作りをきちんと検討すべきである。
 それから、専修学校の教育内容は多様、多岐多様にわたっているので、複数評価機関による多面的な評価を促進することが必要になるだろうという意見。それから、事業の成果指標の設定がやはり事業全体を捉えていない。社会全体のニーズの把握や、あるいは、卒業生を受け入れた組織から見た評価等々、多面的な評価項目の設定が必要だろうという意見があります。
 これらを踏まえまして、最終的な評価結果といたしましては、5名の委員が入れました事業全体の抜本的改善を求めるという結論で、それに対する、それを支えます取りまとめコメントとしましては、三つのポイントで整理させていただきたいと思います。
 一つは、専修学校の質の保証・向上のために、評価以外の、それ以外の手法、様々な政策リソースや政策手法を用いて、多面的な質の保証・向上のための手法を工夫していく必要があるという内容的な話。
 それから、2点目は、それと連動するんですけれども、したがって、この事業のアウトカムの設定については、専修学校の質保証・向上に対応した非常にそれにふさわしい多様なアウトカムの設定をする必要があるという意見、これが2点目のポイントです。
 3点目が、契約、入札の関係ですけれども、外部委託の割合が高いので、事業の目的を達成するための仕組み作りをきちんと立て、かつ、入札のプロセスの透明性を確保、あるいは、競争性や透明性を確保するための取組にしっかり取り組むべきだと、こういうふうなポイントでまとめたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 どうぞ。
【松浦委員】  自分の評価の水準を取りまとめるために、ちょっと評価を訂正させてください。
 各委員の述べられたことと私の考えたことはほぼ同じでありまして、私だけがどうも一部改善に付けたようでありますんで、これは皆様の評価基準では抜本的改善ということでしょうから、私の票も抜本的改善に訂正していただければと思います。これで数字を合わせたいと思います。
【有川委員】  合わせる必要はないでしょうが、一応訂正ということで、じゃあ、全員一致ということで、抜本的改善という結論にしたいと思います。
 では、これで。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  ありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして、職業実践専門課程等を通じた専修学校の質保証・向上の推進の公開プロセスについては終了させていただきます。
 次の留学コーディネーター配置事業につきましては、5分間休憩の後、10時38分の開始といたしますので、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
( 休憩 )
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、2コマ目を始めさせていただきます。
 これからの時間帯は、2番、留学コーディネーター配置事業について、御議論を賜りたいと存じます。
 初めに、事業概要の御説明をさせていただきます。事業担当課は5分以内で簡潔に説明をお願いいたします。
【説明者】  学生・留学生課でございます。お手元の資料、3ページから、行政事業レビューシートがございます。これに基づいて、御説明させていただきます。
 留学コーディネーター配置事業、この事業は、優秀な外国人留学生を数多く受け入れるために海外の重点地域に日本留学を促進するためのコーディネーターを配置するということでございまして、平成26年から開始しております。平成26年に、インド、ザンビア、ミャンマーに配置し、平成27年にブラジルと、現在4か国に配置しているところでございます。
 関係する計画、通知としては、「留学生30万人計画」、「日本再興戦略」、これは平成25年に閣議決定されましたが、これに基づきまして、我が国として、2020年までに、この平成25年時点で約14万人と見込まれていた我が国への受け入れ留学生を30万人にするという目標が立ててございますので、こういうことを背景に実施してございます。
 事業概要でございます。重要地域ごとに、日本留学の司令塔となる留学コーディネーターを配置、在外公館、我が国の政府機関の海外事務所、各大学の拠点などとも連携・協力を行って実施しております。現地の大学・高等学校とのネットワークも構築、こういったことを行いながら、我が国への留学の説明会などを実施し、PR、また、優秀な人材の受け入れに努めているというところでございます。
 予算は年間1億2,000万、1拠点当たり年間3,000万というところでございます。
 次のページ、御覧ください。アウトカム、アウトプットと書いてございます。アウトカム、四つ。まず、一番上に、これは事業開始の前年度の実績から、その当該国からの受け入れを倍増させるということで目標値を設定してございます。平成28年度実績まで目標値を上回る留学生の伸びを示しているところでございます。
 あと、三つ、アウトカムございますが、これは現地における日本留学フェア、説明会の来場者数を増やす、本邦教育機関参加者数を増やす、現地の入試受験者数を増やすということで、これも28年度までの実績で非常に大きな伸びを示しているところでございます。
 アウトプットが下の方に書いてございますが、これは実際に行ったアクティビティ、留学フェアや留学説明会の開催数、現地の関係者との会合の回数、日本の教育機関の現地への説明会の開催数ということでございまして、これらは非常に回数、伸びているところですが、1点、御説明しますと、例えば、説明会の開催数、一番上にあります。平成27年度18回、平成28年度82回となっておりますが、これは活動を進める中で、大規模の人数を対象とした会合を打つよりも、少人数の小規模のものを数多く打った方が非常に効率がいいといったようなノウハウ、そういったことも共有しながら進めておる結果、こういう数字となっております。
 最後に、7ページを御覧ください。予算の関係でございます。これは全て委託費となっております。こちらには北海道大学の例がありますけれども、御覧いただきますと、内容としては、人件費、旅費、事業活動費ということで、予算の大部分がこのコーディネーターの人件費に充てられているというような状況でございます。
 私からの説明は以上でございます。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、私の方から、論点について御説明させていただきます。お手元の論点等説明シート、1枚紙を御覧ください。
 まず、1点目、コーディネーターを配置したことによる当該地域からの留学生受入れ数の増加の効果などの分析・評価を行っているか。2点目、留学生30万人計画の目標の達成の観点から十分な取組となっているか。3点目、アウトカム・アウトプットは適切に設定しているか。
 以上の論点等について、御議論をお願いいたします。
 それでは、外部有識者の皆様からの御質問等をお願いいたします。
 説明者は、外部有識者からの質問に対し、簡潔明瞭に回答をお願いいたします。
 では、太田委員。
【太田委員】  そのアウトカム、留学生数の増加について伺いたいんですが、倍増させるといっても、自然にだんだん人の往来等は時間とともに増えていきますので、自然に増加していくと思うんですね。これ、倍増するのか、させるのかというところがポイントだろうと思うんですけれども、まず、ここの採択大学が派遣している4か国ですか。この4か国全体の留学生の伸びがどれぐらいで、その中で日本のシェアは増えているのか、減っているのかということについてお伺いしたいんですが。
【説明者】  用意しております資料の10ページを御覧ください。10ページには、全体の受け入れ数、これ、配置国からの留学生の受け入れ数と、また、我が国に来る全体、これは一つのトレンドと思いますが、留学生全体の伸びが書いてございます。左上にあります、ちょっと数字が書いてありますが、この事業、留学生総数も実はこの事業実施期間の間も伸びるトレンドがございまして、1.4倍になっております。この配置国については、それを上回る2.0倍の伸びを今示しておるところでございます。
 また、太田先生からシェアの御質問がございました。14ページを御覧ください。これ、国によって必ずしも一定のデータが取れなかったんですけれども、例えば配置しておりますこれ、14ページの上、サブサハラ地域、アフリカでございますけれども、左上の図、サブサハラ全体における日本の、これはサブサハラ全体の伸びと、これ、実際にコーディネーターが活動を行った地域の比較でございますけれども、全体としても、日本への留学生数、シェアは少ないんですけれども、平成28年度時点で、アフリカ、サブサハラ地域のうち、0.42%しかございませんが、コーディネーターが活動したところは、平成26年の事業実施に比べても、倍ぐらいの伸びに、シェアの伸びになっているということでございます。
 その下にインドのシェアがございますが、これ、残念ながら、データが、事業開始以降のデータはちょっとございませんでした。
 次の15ページ、御覧いただきますと、ミャンマーについては、これは各国、日本、イギリス、アメリカ、オーストラリアが比較のためにデータが取れましたんで、載せておりますけれども、全体としても留学生数、伸びておりますけれども、日本の伸び、これは赤色のグラフでございますが、伸びているような状況でございます。
 あと、ブラジルにおける留学先のシェア率でございますが、一番右の図が一番分かりやすいと思いますけれども、平成26年以降、中国、韓国等と比べても、日本への留学生のシェアの伸びというのは高いというような現状がございます。
 以上でございます。
【太田委員】  明快な説明、ありがとうございました。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  中室委員、お願いいたします。
【中室委員】  ありがとうございます。事前勉強会のときに御質問したこととちょっとかぶってしまうかもしれないんですけれども、留学生が増加しているということは大変良いことだと思うんですけれども、一方で、この日本の大学に留学した留学生の就労の支援がどうなっているのかということについてお尋ねをしたいと思います。
 すなわち、こうした高度技能人材と言われる人たちが日本に流入してくることが、日本の経済だったり、社会にプラスの影響を及ぼすというのは、この人たちが大学を卒業した後、日本に残って就労してくれるということが前提になっているんだと思うんですけれども、一方で、日本の特殊な労働市場のこともあって、余り定着が進んでいないということを示す調査もありますので、その点について、この事業の枠組みの中でどのように支援をされているのかということをお聞かせいただきたいと思います。
【説明者】  中室先生御指摘の点は非常に重要と認識しておりますが、この事業の中では、もうこれはコーディネーターが日本への留学のPRをする際に、日本での就職について、求められたら情報を提供するといった程度にとどまっており、これは正直に申しまして、これは足りてないと思っております。ここは是非強化していきたいと思いますが。
 ちょっと17ページを御覧いただきたいんですけれども、留学生就職促進プログラムという事業を、実は、まさに御指摘の点に問題意識を持っておりまして、これを今年から開始することとしております。御案内かもしれませんけれども、実は、日本人、日本への留学生にアンケート調査をすると、大体6割ぐらいの方が、日本への就職を希望されています。ところが、実態は、実績としては3割にとどまっています。
 それで、政府としても、昨年の「日本再興戦略」でその3割の就労率を5割に向上させようという目標が掲げられておりまして、本年度より、この留学生に対して、この日本の企業に就職するために求められる日本語のスキル、あるいは、日本の企業文化等の講義、あとは、インターンシップ、そういったものを自治体や経済団体とも協力して取り組むという留学生の就職促進プログラムというものを今年度から行っておりますので、是非ちょっとこういった事業とこの留学コーディネート、コーディネーター配置事業を有機的に結び付けてやっていきたいと思っております。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  亀井委員、お願いいたします。
【亀井委員】  ありがとうございます。大変これまでのやり取り、何度かさせていただく中で、御説明も資料も含めて、丁寧に御対応いただけたこと、まず、感謝を申し上げます。
 そういう中で、ちょっと是非お伺いをしたいのは、この事業の持続可能性についてです。いろいろと拝見をさせていただくと、サブサハラ、インド、ミャンマー、ブラジルでそれぞれやっていらっしゃるわけですけれども、具体的な参考資料等を拝見すると、率直に申し上げて、たまたまそこの拠点の善意にかなりおぶさっているところ、何というか、依存しているところがあって、その1.2億円といっても、現地の活動実績等々を見ていると、そこに来たたまたま研究者をまた連れていったりとかということも含めて、かなり金額から見れば、かなり効率的、効果的に事業が行われているのかなというふうに拝見するんですけれども、ただ、これ、彼らの拠点も拠点で、そのまま位置付けてくれるわけじゃないわけですよね。
 もっと言えば、彼らも別に自分の大学の我田引水するためじゃなくて、ほかの日本全体のためにやっているというところも多分、ある種、お金も出しているし、その制約もあるんだと思うんですが、彼らが引き上げた場合、あるいは、これから今、これ、4拠点ですけれども、もう少し重点地域を考えたときに、もう少しほかの地域でもやろうとしたときに、そもそも、このお金でいいのか、それとも、先ほどの例えば16ページ、17ページで全体像の中でというようなお話がありましたけれども、そもそもの最初のスタートのところの1番、ある種のバリューチェーンだと考えるならば、バリューチェーンの最初のところが1.2億円で、その後ろの方が比較的分厚いわけですけれども、ここの資金配分の在り方そのものも見直しをしてもいいんではないかなと思うんですけれども、ここら辺のお考えはいかがでしょうか。
【説明者】  この事業、平成26年から開始しておりまして、それなりにこれは配置したところの留学生は増えていて、ノウハウも蓄積されつつあります。そういう意味で、私ども、これは非常に効果があるなと考えております。
 御指摘のとおり、この事業、基本的にはその当該国にそれなりに拠点を有している大学のインフラに乗っかっている部分もありまして、これは、恐らくこれは今、5年間の予定でやっておりますけれども、このお金が切れたとき、大学が引き続き、そういうことでやってくれる保証はありませんし、大学がそもそも拠点から引き上げたら、できないということがございます。そういう意味で、亀井先生御指摘の持続性という点では、非常に脆弱と言わざるを得ないと思います。
 一方、これ、初めてこういう事業を国費を投入してやっている中で、効果はもう見えてまいりましたので、是非これは、これ、一応5年間の時限を切ったプロジェクトでございますが、きっちりとこれを評価した上で、その後、より恒久的にこういった取組を続けることについての検討、あとは、予算配分、是非考えていきたいと思います。
【亀井委員】  ありがとうございます。
 ほかの事業についてはここで余り議論してはいかんのかもしれませんけれども、例えば、留学生の外国人留学生が本来、我々がターゲットとする地域に対してどう配分されていて、そうでないところにというところも含めて、恐らく、何というんでしょう、これはある種の長い意味でのソフトパワー外交でもあるんだと思いますので、かなり戦略的にお金が使われるし、その使途、使われ方についても、多分よく吟味をした上で、多分再配分というところを考えるのもしかりなんではないかなというふうに思います。
 というのは、先ほど来御説明があるとおり、一定の成果が得ているというのは、いろんな角度から見ても、そこは見えてきているわけでありまして、是非そこは前向きに考えていただくこともあり得る、あり得べしではないかなというふうに思いました。
 以上です。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  田辺委員。
【田辺委員】  2点質問がありまして、まず、一つは、目的とアウトカムの関係で、事業名自身はコーディネーターを配置するというふうに非常に政策そのものを手段を言っているんですけど、日本に優秀な学生を受け入れるための体制を整備するというふうに目的が書いてあって、だから、体制整備ということだと、予算を出している間だけやればいいんじゃなくて、この4か国、4地域ですかね、にこの37年度終わった後、お金を、予算が出した後に本当に体制が残ることも目的にされているのかどうかという点を、まず、第1点目なんですけど。
【説明者】  まさに御指摘のとおりでありまして、これは私どもとしては、この5年間の間に体制を作って、その後、先ほど亀井先生からもありましたけど、その体制が恒常的に維持できるようにしていきたいと。これで、一定のノウハウ、システムができると思いますので、それをできれば、その他の重点国にも展開していきたいというふうに考えてございます。
【田辺委員】  この今やっているところの予算が終わったら、そこは具体的にはどういう形で残るイメージなんですか。
【説明者】  これは、毎年、毎年の予算でありますけれども、私ども担当としては、これ、是非、恒常的な、何といいますか、拠点を設置するようなことを考えていきたい。
【田辺委員】  すみません、2点目ですけど、これ、非常に外国人留学生が増えているというのは非常にいい成果が出ていると思うんですよね。重要なのは、優秀な外国人ということなんですね。外国人、留学生が増えても、優秀じゃない学生が増えていたら、意味ないわけですよ。
 じゃあ、本当に優秀な学生が来ているのかどうかという、日本にリクルート、紹介するとき、その学生の質を事前、あるいは、来てから、大学に受け入れて、本当に来た学生が質をちゃんと確保できているのかというところがないと、一生懸命余り優秀じゃない学生を日本に呼んできているんじゃないかという。ちょっとそこら辺のどういう取組をされているのか、ちょっと教えて。
【説明者】  これは、実は、留学生が来てから質を測るよりも、もう向こうにいるときに測れた方がいいということがございます。それで、実は日本の各大学には、この現地での入学試験、一定の試験をしてもらえないかということで実はお願いをしております。それで、その数は増えております。
 それで、その上で、現地のコーディネーターには、全国、その地域の高校に回っていただいておりまして、是非優秀な生徒をこれ、現地で入学試験も受けられるからというとこで、そちらへ来てもらえるように働き掛けをしているということで、13ページにその渡日前の入学許可の促進ということで資料を載せておりますけれども、実際にコーディネーターが現地の高校などに働き掛けて、現地で渡日前試験を受けた方の数というのが現状増えてきているような状況でございます。
【田辺委員】  分かりました。まさにそういう観点、事前で、あと、事後、実際来てからも、全ては難しいでしょうけれども、そういう観点でやるといいと思いますし、特にさっき言われたインドとか、特に学生、今回は2倍ということなんですけれども、本当は国、地域によって目標も変えた方がいいかもしれない。今少ないところがとかいうのを考えると、本当に優秀な学生、特にプログラミングとか、そういうところの学生なども確保していくという観点からは、もっと、何ていうんでしょう、これまでの成果をもう少し踏まえて考えていただくといいなと思いました。
 以上です。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  外部有識者の皆様におかれましては、コメントシートへの記入を併せてお願いいたします。記入がお済みの方は、挙手いただければ、事務局の方でコメントシートを回収いたします。
 それでは、引き続き、御議論をお願いいたします。
 有川委員、お願いいたします。
【有川委員】  私からも、重点地域という点についてちょっとお伺いしたいんですけれども。今回、この5か年で対象になっている国のその重点地域としての選定方法と、この5年の間に更に重点地域を増やす予定があるのかというのと、この重点地域で展開したその事業のノウハウを、それ以外の国にどういうふうに生かしていく考えなのかを教えていただきたいんですが。
【説明者】  重点地域でございますけれども、この事業を実施する前、平成25年度に、これ、文部科学省の中で戦略的な留学生交流の推進に関する検討会という有識者会議を開催させていただきました。その中で、我が国として、我が国の国益への国益等を考えた際に、重点となる地域がどこかということで、九つの実は国、地域を決めました。
 この現在実施している4か国というのはその九つのうちの四つでございます。それで、私どもとしては、重点地域、実はその九つ指定しておりますので、例えば今漏れているところでも、ロシアや中東など入ってございますが、そういったところを、実はこれは是非追加していきたいということで、これまでも予算要求、検討しておりましたけれども、これは全体的な予算の関係で現在はそこは置けていないという状況でございます。将来的には是非そういったところにも置いていきたいと考えてございます。
 また、このノウハウの移転ですけれども、これは今動いています四つの拠点においては、これはそれぞれでノウハウの蓄積をされておりますが、これは毎年、必ずコーディネーターの方に集まってもらう全体的な会合の場を設けておりまして、そういった場を通じて、ノウハウの共有を図っております。
 これはまだそのほかの、この事業に参加していない部分への共有は現時点ではできておりませんが、これ、5年やれば、それなりのノウハウの蓄積、まとめられると思いますので、この5年の後の取組も含めて、検討する中で、このノウハウも是非普及をさせていきたいと考えてございます。
【有川委員】  ありがとうございます。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、松浦委員、お願いいたします。
【松浦委員】  ありがとうございます。大変分かりやすく説明していただきました。
 日本に留学生を増やそうといっても、日本に魅力がなければ、来てくれないというのは当たり前なんですけれども、それは置いておく、別の政策として置いておくとして、魅力があるという日本であるという前提で留学生を増やす。そうすると、目標は二つありまして、やはり、日本で就労して仕事をしたいという方々をいかにしてフォローしてあげられるかと、就職率を上げられるかということと、もう一つは、大事なことは、これは予算がODA枠なんで、やはり相手国に対して貢献しないと意味がないわけですね。
 ですから、ただ、日本に定着することだけにとらわれるわけではなくて、帰国していただいて、どれだけ社会に貢献していただいたかということも是非ともフォローアップというか、アウトカムの指標の中で御検討いただければと。もちろん数を増やすという事業なので、アウトカムにそれは貢献度はどうなのって書きづらいとは思うんですけれども、何か工夫がしていただければなと思います。
 御意見でございました。
【説明者】  分かりました。ただいま松浦先生から御指摘の点、非常に大事だと思いますので、是非検討したいと思います。実は、このフォローアップ、非常に重要だと思っているのですが、現状、ここは脆弱、非常に貧弱なフォローアップしかできておりません。これは是非強化したいと思います。
 19ページ、お手元の資料19ページに、フォローアップの状況ということで、ちょっと説明、資料を付けておりますけれども、状況ですが、下の方の箱に書いてございます。一応、現在、在外公館や大学で把握している世界で活躍している、日本に留学したことをもって、また世界で活躍をしている方々の情報を収集したり、帰国留学生会を把握したりしてございますが、これはまだ非常に少ない数にとどまっています。
 ただ、例としては、次のページ、20ページ、御覧いただければと思いますけれども、特にアジアの各国においては、日本に来たことによって非常にまた良い学習を受けた上で、母国で活躍していらっしゃる、モンゴルやミャンマーにはもう大臣になられた方もいらっしゃいます。現在、ボスニア・ヘルツェゴビナは現在の大臣の環境大臣、環境・観光大臣の方は東北大学にいらっしゃった方とか、こういった方々が出てきておりますので、是非こういった国々と我が国の、こういった方々は非常に重要な架け橋になっていただけると思いますので、フォローアップ、しっかりしていくことを検討したいと思います。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  亀井委員、お願いいたします。
【亀井委員】  現地のことをちょっとお伺いしたいんですけれども、多分、現地には在来公館が当然、一つは大使館がある、あるいは、違うものもあるかもしれませんけど、あるいは、JETRO、多分経産省の関係がある。ここら辺との連携体制とか、あるいは、実際の連携はどういうふうに行われているかをお話しいただけますでしょうか。
【説明者】  現地の、具体的には、大使館、JETRO、JICA、それと、大学の出先があるところはそこ、国関係だと、もうJETRO、JICA、大使館です。それと、特にインドなどは、科学技術関係の、科学技術振興機構の事務所がございます。そういったところとも連携をしてございます。
 実際の連携の在り方なんですが、これ、特に現地の政府機関と当たるときには、もう必ず大使館の方を通じた方がスムーズなので、そこの方に同行してもらって行っていると。そのほかは、正直申しまして、パンフレットを置いていただくだけとか、そういったことにとどまっておりますので、ただ、これも実はそれぞれの機関の善意に乗っかっているところもありますので、限度がございます。
 あとは、もうそれは現地コーディネーターの努力で、どれだけ巻き込めるかというところに掛かっておるんですが、現実問題としては、今申しました、特にJETRO、JICA、大使館等の協力は、連携は進めております。
【亀井委員】  恐らく、多分彼らがミッションとしてどう認識するかだと思いますし、先ほど申し上げたとおり、先ほども松浦先生からもお話がありましたけれども、これはODAでありますと。あるいは、先ほど申し上げている、日本の多分ソフトパワー、外交戦略の一つにもなるはずですと。まさにこれは、もちろん政府要人がということも必要かもしれませんけれども、企業の例えばキーパーソンになっていく、あるいは、そもそも一人の国民としてということで日本ファンになってもらうということにも当然つながってくるわけだと思いますので、そこは多分それぞれ在外公館もミッションとして理解をしてもらうような、ある種そこは省庁間の連携というところまで進んでいただけるのが、もちろん、個別の多分現場ベースではいろいろとやっていらっしゃるし、その方がうまく進むからだと思うんですけれども、そここそが多分本省が多分対応すべきところじゃないかなと思いますので、是非お願いをしたいと思います。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、太田先生、お願いいたします。
【太田委員】  これは地域選定であるとか、あるいは、留学生獲得についての全体的な戦略といいますか、デザインというのはどこかで考えていらっしゃるんですか。
【説明者】  地域選定、また、それぞれの国との交流をどの程度するというのは、一応、文部科学省の中では、先ほどちょっと言及をしました平成25年に実施した会議をはじめ、常々これは私の中で、文科省の中ではこれは戦略立案してございます。実は昨年度から今年にかけても、定着を促進することも含めた検討をしてございます。
【太田委員】  これは恐らく文部科学省さんの外国人留学生向けの奨学金との関係もあるんだと思いますけれども、恐らくここで来ていらっしゃる、この4地域から来ている留学生のうち、かなりの部分というのは奨学金を取っているという理解でいいですか。
【説明者】  奨学金を取っている方の割合は実は少ないです。大体、今、年間、十七、八万人の大体留学生が今いますけれども、実は国費で措置できているのは2万人程度でございます。こういった国の方々も割合としては同様でございまして、ただ、むしろ、日本への留学というものの情報が行き渡ることによって、日本を選択肢として考えてくれると。国費の措置もありますけれども、むしろ、何といいますか、日本に行くということへの理解が進むことで、私費でいらっしゃる方というのも相当開拓できているという状況でございます。
【太田委員】  ありがとうございます。
 そうすると、留学生1人当たりの獲得コストみたいなものが計算できると思うんですけれども、これはもしこの活動がなければ、これぐらいであっただろうという数字の推計は難しいんですが、それとの差でいうと、予算、単純に六千七百どれだけで、1人2万円ぐらいですかね。これ、丸ごと全部この事業の成果とすると。ただ、実際には、そう、この事業がなくても来た方もかなりいらっしゃるはずで、増えた方もかなりいらっしゃるはずで、それを除くと、1人留学生を増やすのにどれぐらいコストが掛かっているか。
 ただ、数を増やすということを主眼とすれば、当然、獲得コストの低いところに重点的に導入すべきだと。あと、また、全体の戦略を伺ったのは、いや、ここはコストは高いんだけれども、ただ、そうではあってもやるべきだという議論も当然あってしかるべきだと思うんですけれども、そういう留学生の獲得コストと、ここはコストは高くてもやるべき、関係を深めるべきだというような、総合的にどこかで考えられていらっしゃるのかどうかというのがちょっと気になったんですけれども。
【説明者】  留学コストとの関係は、正直まだ考えたことございませんでした。恐らく、政府部内、どこでも考えてないと思いますので、是非ちょっとそういった検討ができるのかどうか、検討してみたいと思います。
【太田委員】  ありがとうございました。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  既にコメントシートは全て御提出いただきましたので、ただいまコメントシートの取りまとめを頂いておりますので、取りまとめに若干のお時間を頂きますが、その間、引き続き、御議論をお願いいたします。
 田辺委員、お願いいたします。
【田辺委員】  ちょっとまた2点ほど。
 一つは、4ページのアウトカムなんですけどね。これもあえてなんですが、アウトカムというところの2番目からかな。例えば説明会の参加者とか、そういったところがあるんですけれども、これの目標も、前年度を上回るとかいうことで、ちょっと、だから、何ていうんですかね、これをアウトカムと言うほどのものでもないのかなという。本当は日本の留学が増えるとかいうことで、これはアウトプットというか、活動の一つの目安ということ、それも、だけど、前年と同じというのでは、ここの結果がありますよね。相当伸びているので、やっているんだから、少し目標値を少し上げるといいかなという、これが1点目です。
 もう一点は、私自身、やっぱりこれが持続的に現地に留学を、日本の留学を支援する体制ができるというのはいいと思うんですね。ずっと同じところにお金をずっと出し続けるわけにはいかないと思いますから、今回、一定期間出すのはいいと思うんですが、それをやっぱりいかに、さっき、持続可能性というのを言われましたけれども、できるかと。
 そこで一つ重要なのは、日本に来るためにはやっぱり日本語を事前に勉強しているという形で、だから、現地の日本語、大学などで教えている現地もあるでしょうし、一方で、民間ベースの日本語学校も、これから、今も相当あると思いますし、ミャンマーとか、多いでしょうし、インドなどもこれから。
 そういう日本語学校と組んで、日本語、日本に留学できるとなると、日本に来てからも日本の授業を要するにきちんと勉強もよくできるということですから、本当に留学生という観点だけじゃなくて、これは日本語、日本語学校の海外の普及、あるいは、海外でのそういったところと組むことによって、ある種、自立的なというか、持続可能な政策的に追加的な、この事業が終わった後も、うまく現地の日本語教育の、これは公的な機関もあるでしょうし、ビジネスとしても同じと。
 そういうところとうまく連携してやれば、長期的な、何ですか、持続可能なシステムになるんじゃないかと思ったりもしたんですけどね。
 いかがでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。まず、アウトカムについてでございますが、確かにこれ、一番最初に掲げておりますアウトカムは、それこそ、留学生の数ということで明確だと思うのですが、それ以降のアウトカムは、もう御指摘のとおり、前年を上回るということで、これは正直言いまして、これ、最初にこのアウトカム目標を立てる際に、これ、説明会が多ければ増えるというわけではないだろうとか、いろいろな議論がありまして、質を高めるということもあると考えた上で、結局こういうアウトカムになったんですが。
 特に現地の入試受験者数を増やすみたいなところは、これはもっと、これも留学者数に連動したようなアウトカムに検討し直すということは必要かと思います。これ、三つ、おっしゃるとおりの御指摘のとおりと思いますので、これまでにこの事業を3年間やってまいりましたので、ここら辺のアウトカムの付け方も、我々はこれまでの経験から、事業の経験から検討できると思いますので、是非ちょっとこれは見直しを検討したいと思います。
 それと、これ、持続的にやっていくと。また、この国も戦略的にずっとこの国であるかどうかというところ、これはやはり国についてはできるだけ持続的にしつつも、重点国は変わっていくので、そこは是非対応して、このこういった取組ができるようにしていきたいと思いますが、確かに、あと一つ御指摘ございました日本語を事前に学ぶような体制を、現地の日本語学校などと組むなどして作っていくということも一つではいないのかということは、これも御指摘のとおりと思います。
 実は、例えば国費留学生、これは毎年1万人ぐらい、特に優秀な方を現地で大使館で、まさにこのための採用の試験をして、特に優秀な方を1万人呼んでいるんですけれども、これについては実は現地での日本語の予備教育などもしております。それで、万全の、優秀な方に、ちゃんと日本のことも分かってもらって来ていただくということをやっておりますが、そこにとどまっておりますので、確かにこれ、民間のアクティビティを導入することなども含めて、検討の余地があるのではないかと思います。
【田辺委員】  補足は、だから、コーディネーター、留学コーディネーター機能をそういう現地にある日本語を教育するところに担ってもらうという、そういうことができるんじゃないかということです。
【説明者】  なるほど。分かりました。是非検討したいと思います。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  松浦委員、お願いいたします。
【松浦委員】  手短に。もう感想です。昔、私も留学生をたくさん押し付けられて往生したことがあるんで、そのときの体験ですけれども、もう田辺委員とかぶっちゃう、ほとんどかぶっちゃいます。つまり、日本語もほとんど分からない、英語もほとんど分からない留学生を20人ぐらい押し付けられたと。私は結局、その国の言葉を覚えざるを得なかったという。
 だから、ここでN1という言葉が出てきた。このN1というのがその大学の教育を受けるのに十分とお考えなのか、それとも、日本の国の中で日常生活を送るのに必要最低限、そこそこ十分であると考えなのか、余りディストリクトは利かないですけれども、正直、僕はN1というのは結構やさしいと思うんですね、ほかの外国語の検定に比べると。だから、これを、だから、N1、N2というレベリングではなくて、TOEICのようなスコアリングのような形に将来持っていくような方法はないのかとか、そういうようなことも。
 例えば、先進途上国であれば、科学系、工学系の留学生希望者は多いです。だけど、先進国になると、今度は逆に文系、日本文化に興味を持つという方が多いんで、そうすると、日本文化であれば、英語じゃなくてもやれるでしょうが、日本語のスキルが要る。だけど、理工系になってしまうと、どうしても英語が必要になってくるという辺りもやっぱりちょっとチェックしなくちゃいけないのかなと思います。
 以上です。
【説明者】  分かりました。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、コメントシートの集計がまとまりましたので、取りまとめ役の有川委員より、評価結果及び取りまとめコメント案の提示をお願いいたします。
【有川委員】  じゃあ、私の方から、まとめについて、出てきました投票結果に、まず、についてお話ししたいと思います。
 事業内容の一部改善という投票になりましたのが5名の委員の方、現状どおりという方が1名でありますけれども、現状どおりの意見を出された方も、中身では一部改善を求めているという状況の投票結果になっております。
 そして、主なそれぞれの委員の方のコメントを紹介させていただきたいと思います。
 アウトカムの評価指標のたてつけがやはりまだ十分ではない。あるいは、持続可能性についてのやっぱり確保が十分でないという意見。現地コーディネーターの体制整備の観点から、持続可能性のある現地体制整備へ取組が不十分だと。事業終了後も、現地体制が維持される方策を十分検討していって取り組んでいく必要があるだろうという意見。
 この事業の持続可能性の脆弱さを認識されているけれども、その問題意識を十分持って事業の適切な検証を行って、次の事業や他の地域での活動につなげる工夫が必要だという意見。それから、事業の目的が体制整備であることを踏まえて、事業の持続可能性と併せて、アウトカムについても体制整備に係る指標を工夫されたいという意見。
 やや何か意見だけかなり先に先出ししましたけれども、それ以外、3名の先生の方からは、限られた予算で外国人の受け入れのための取組が工夫されて、一定の効果があると認められるという意見が出されております。とりわけ、事前勉強会で指摘されたポイントについて、かなり丁寧にリサーチされていて、今後の展望が示されている点については大変すばらしいと思いましたという積極的なコメントも頂いております。
 そのほか、改善すべき点として、留学生1人当たりの獲得コストを計算し、獲得コストの低い国や地域を重点化する一方、獲得コストの高低にかかわらず、重要視すべき地域の選定を図るなど、全体的な戦略が必要なのではないかという意見。それから、他の関連制度との予算の組み替えを視野に入れて、より効果的な予算の振り分け方が必要なんではないか。それはその前の意見と同じ趣旨だと思いますけれども、外国人留学生の受け入れの政策全体の中において、この事業をうまく活用していく予算の配分の見直しも工夫される必要があるんではないかという指摘であります。また、卒業後の支援、レベルの高い人材の確保、在外公館などの利用といった、ここを通じたコストの削減などの努力も必要だろうという意見があります。
 こういった意見を踏まえまして、最終的な投票結果については、実質6票と言っていいんだろうと思いますけれども、ほとんどの委員の方が事業の内容の一部改善を求めているということで、結果としては、評価結果としては投票内容の一部改善、そして、その取りまとめコメントとしては、三つのポイントでまとめたいと思います。
 1点目は、限られた予算で留学生の導入に当たって、一定の効果が得られているというのが1点目のコメント。
 2点目のコメントは、持続可能性の脆弱さを十分踏まえて、事業の適切な検証を行って、今後の活動につなげていってほしい。その際には、アウトカム指標についても十分それぞれの問題意識を踏まえて工夫を更に行ってもらいたいというのが2点目。
 3点目は、その外国人留学生の受け入れのために、全体の政策の中、他の地域も含めて、全体の政策の中でこの事業の有効な活用、運用をしていってもらいたいという、そういった点でまとめたいと思いますが、よろしいでしょうか。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  ありがとうございました。
 それでは、以上を持ちまして、留学コーディネーター配置事業の公開プロセスについては終了させていただきます。
 次の地震防災研究戦略プロジェクトにつきましては、11時40分開始といたしますので、少し休憩ということで、よろしくお願いいたします。
( 休憩 )
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、3コマ目を始めさせていただきます。
 なお、このコマにつきましては、田野瀬文部大臣政務官が参加させていただいておりますので、御紹介いたします。
【田野瀬文部科学大臣政務官】  よろしくお願いします。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  これからの時間帯は、3、地震防災研究戦略プロジェクトにつきまして、御議論を賜りたいと存じます。
 初めに、事業概要の御説明をさせていただきます。事業担当課は5分以内で簡潔に説明をお願いいたします。
【説明者】  それでは、地震防災研究戦略プロジェクトについて、御説明いたします。
 まず、20ページを御覧ください。幾つかの事業が取られますが、国が緊急的に調査すべき地震・津波の切迫性の高い地域、あるいは、調査研究の蓄積がない地域を対象としております。
 南海トラフ地震は、例えばで申し上げますが、最大で死者32万人、経済的被害が220兆円といった甚大な被害が想定されております。これは今後30年以内の発生確率70%とされてございます。
 他方、日本海でございますが、平成19年、新潟県の中越沖地震のように、過去には大きな被害を伴う地震が発生しておりますが、太平洋側に比べて、これまで調査研究が進んでおりません。調査データが不足した状態になっております。
 一方で、東日本大震災を受けて、地方自治体が津波の想定を作成しなければならなくなったということがございますが、基礎的なデータ収集のための調査研究の必要が高まっているということでございます。
 首都直下地震につきましても大きな被害が想定されておりますが、地震のメカニズムの把握とともに、建築物の脆弱性への対応というものが必要となってくると考えております。
 さらに、地震に限らず、我が国は地域によって災害について多様性がございます。こういったところへの対応も必要となってくるかということで、取り組んでいるプロジェクトでございます。
 21ページを御覧ください。例えばということで申し上げた幾つかの地域がございますが、南海トラフを対象としたプロジェクト、それから、日本海を対象とした地震・津波の調査プロジェクト、都市を対象とした被害軽減のためのプロジェクト、このプロジェクトは昨年度終了しております。地域の防災力を向上させるためのプロジェクトを実施しております。
 特に南海トラフ、日本海を対象とした事業では、データ収集のための調査観測やそのデータを用いた将来発生し得る地震・津波のシミュレーション、さらには、それらの成果を地方自治体、住民の方々に分かりやすく伝えるための地域研究会等を実施するということが主な内容となってございます。
 22ページを御覧ください。これらの調整観測研究につきましては、国の防災対策の基本的な方針が防災基本計画にまとめられておりますが、国は、災害及び防災に資する基本的なデータの集積、研究所や大学における防災研究の推進、防災技術の研究開発の推進を図るとともに、その成果を地方公共団体等が活用できるように努めるとされておりまして、この方針に沿って進めております。
 23ページ、24ページを御覧ください。時間の関係から、個別の説明は割愛いたしますが、これらの事業の主な成果をまとめたものでございます。調査・観測やシミュレーションによる成果は当然のことといたしまして、その研究成果がきちんと国の防災関係機関の検討でありますとか、地方自治体の防災計画、それから、被害想定等に活用されているということがまとめてございます。
 25ページを御覧ください。事業の効果を把握するための定量的な指標として、アウトプット指標といたしまして、地域研究会等の開催回数、アウトカムとして、論文、学会発表数、また、メディアでの掲載件数というものを設定をしておりました。また、目標値につきましては、過去の実績値の平均を基に、それから、10%程度上回るような設定をしてございます。
 26ページ、27ページを御覧ください。アウトプット・アウトカムの指標につきましては先ほど御説明申し上げたとおりなんですが、実際に防災関係機関、地方自治体での成果の活用状況、こういったものはなかなか定量的な指標にしにくいということがございます。他方で、地震の起こる切迫性の高い地域でこうしたプロジェクトが進んでおり、それが当初の計画に沿って順調に進んでいるのかどうかということをお示しするということもこれらの事業の進捗状況を説明する指標となり得るのではないかということは、これは事前のヒアリング等で御指摘を頂いておりますので、26ページ、27ページのような改善案を検討したところでございます。
 例えば26ページは日本海での事業でございますが、沖合の反射法地震探査、沿岸、海陸統合の統合調査といった手法で実際に行った地域、また、データを使ってシミュレーションを行った地域、こういったものの進捗状況をパーセントで示してございます。27ページは南海トラフでございます。この点について御意見いただければ、幸いでございます。
 28ページを御覧ください。国立研究開発法人との関係について、今回御紹介しております国直轄プロジェクトは、冒頭でも申し上げたとおり、国として行うべき緊急的に切迫性の高い地域、あるいは、データがない地域といったものを対象として、様々な研究機関のトップクラスの研究者を結集して行っております。
 一方で、防災研究を推進しております防災科学技術研究所は、地震に限らず、様々な災害の研究を行っておりますけれども、地震・津波に関しては国全体の基盤となります大規模な観測網の整備、運用といった長期間安定的に運用するべき基礎的、基盤的な役割を担っておりまして、重複はなく、一定の役割分担がなされているのではないかというふうに考えてございます。
 そのページ以降は個別の成果事例など細かい説明資料なので、説明は割愛させていただきます。議論の課程で適宜御参照いただければと思います。
 以上、御審議をよろしくお願いいたします。
 説明は以上です。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、私の方から、論点について御説明させていただきます。お手元の論点等説明シート、1枚紙を御覧ください。
 論点の1点目、成果は、地域の防災力向上にどのように生かされているか。2点目、成果の普及方策は適切なものとなっているか。3点目、研究開発法人の目的あるいは事業活動の一部と重複しているのではないか。4点目、アウトカム・アウトプットは適切に設定されているか。
 以上の論点等について、御議論願います。
 それでは、外部有識者の皆様からの御質問等をお願いいたします。説明者は、外部有識者からの御質問に対し、簡潔明瞭に回答をお願いします。
 亀井委員、お願いいたします。
【亀井委員】  これまでのいろいろと議論の経緯を踏まえて、丁寧に対応していただいて、ありがとうございます。特に26ページ、27ページにありますアウトカム・アウトプットの改善案のところは、なるほどと、この事業がどういうふうに設計されていて、どういうふうに進んできたのかというところが大変分かりやすくなっているので、これをアウトカムとするのはなかなか難しいところがあって、ただ、ある種のアウトプットとしては、まず、その事業がどう設計されていて、特に予算の場合、単年度ですから、そういう中で全体としてどういう設計をされていて、どういう進捗なのかというところを示していただくには、まずはこれは非常に大事なところじゃないかなと思いますので、是非今後とも、ある種のアウトプットという形で、何というんでしょう、こういう場合って比較的この事業の場合は進捗に遅れとかが生じにくいのかもしれないですけれども、そういうことをコミュニケーションするためにも、是非前向きに御検討いただければなと思います。
 その上で是非お伺いをしたい。逆に、これが出てくるから、非常にお伺いしやすいんですけれども、こういった知見が、じゃあ、地域の、まさにきょうの論点の一つ目になりますけれども、防災力にどういうふうに生かされていくのか、例えば見えてきた、例えば山陰・北陸はいろいろともう数字が出てきましたと。それで、これはもともとデータが、事前のところでもお伺いしましたけれども、たまっていなかった日本海、比較的ここは空白地帯であって、だから、日本海を埋めるんだ、あるいは、南海トラフも同じだと。
 こういう形で、この部分についてきちんと埋めていくということでデータを埋めていっているわけですけれども、埋めているところとまだ埋まってないところでどんな差があるのかというところを定性的に御説明いただけると、多分これを御覧になっている国民の皆さんも、なるほど、こういう意味があるのかというところがよく分かっていただけると思うので、そこも是非御説明いただけると有り難いです。そこはいかがでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。26ページ、まさに御指摘いただいたところでございますけれども、各年度ごとの事業ということで、どのエリアをいつやるかということをお示ししてございます。それぞれ、各年度でまとめまして、年度ごとに事業の成果報告書としてまとめまして、これらを公表するとともに、御地元にも御説明をしてございます。
 成果といたしましては、例えば23ページになりますけれども、それぞれ地域社会への還元というところになりますけれども、例えば富山県で津波の浸水想定に反映された。これは今年の5月ということでございます。
 時期をちょっと見ていただいたらお分かりかと思いますけれども、調査をした結果が、地元の防災計画等に反映されるのに若干のタイムラグがございます。これは当然、シミュレーションの結果をそのまま書き写せばいいという性格のものではございませんで、どのような対策を打つかということを地域全体でお考えになって、その中に、一部使っていただくという性格のものでございますので、時間的にはタイムラグがございます。
 そういった意味で、直接、御地元でどう使っていただいたかということについて、こういった形でできるだけ御説明することが大事だろうというふうに思って資料をお作りしておりますけれども、その点はなかなか難しい、指標化するのはちょっと難しいということかと思います。
 今、定性的なものでも御説明をということでありましたので、こういったものをしっかり説明して、また、自治体での防災計画というのも重要だと思いますけれども、住民の方々に分かっていただくということも大事だと思いますので、そういった意味での地域への還元というのは引き続き努力を続けてまいりたいと思っております。
【亀井委員】  ありがとうございました。大変分かりやすい御説明で、基本的にはそういう形でコミュニケーションできていければ、なるほど、この事業はそういう形で、私たちの社会とつながっているんだということがより見やすくなるんではないかなと思います。
 そういう中で、まだ少し先のことなんで、すみません、あえてこれはなければないという形でお答え結構なんですけれども、では、じゃあ、この日本海地震・津波調査プロジェクトというのが大体平成32年に入ったところぐらいで終わりますというような予定のときに、これが終わった後というのは、こういったようなお金の使い方というのは今後どうなっていくんでしょうかね。
【説明者】  後継のプロジェクトにつきましては、まだ現在進行中のプロジェクト、これをまずしっかり進めて成果を出すということが大事だというふうに思っておりますので、まずはそこに注力をしてございます。
 後継のプロジェクトにつきましては、事業が終了、近付きますと、そういった次をどうすべきかということについて具体的な検討に入っていって、次の事業設計なりに反映していくということになろうかというふうに思っておりますが、目下のところ、データの収集という意味では、日本全国見渡してみれば、必ずしも十分ということではないかというふうに思っておりますので、現在のこのプロジェクトでの進捗といいますか、結果も踏まえつつ、その次について検討させていただきたいというふうに思っております。
【亀井委員】  恐らく、多分これまで、特に東日本大震災というのは非常に大きな、従来の地震だけではなくて、津波も含めた災害想定をしなければいけないということで、多分シミュレーションの在り方等々も大きく構造的に変わってきたんだというふうに理解しておるんですけれども、そういう中では、特に海に近接しているところということで南海トラフと、それから、日本海、特にデータがなかった日本海を進めてきまして、一方で、都市の脆弱性の問題等々もあるので、これはこれで平行してやっていき、これが緊急度の高いものとして国が直轄で行いというふうな形でやってきましたというような理解だと思うんですけれども。
 この後、多分足りないとすると、優先順位は次になるんだけれども、この後やるとすると、どんなことが想定されるんですかね。これはお話しできる範囲で結構ですけれども。
【説明者】  ありがとうございます。特に都市のプロジェクトにつきましては、これは平成28年度で終了しております。その29年度以降につきまして、まだやはり首都直下地震等での対応というものについては更なる発展が必要であろうというふうに考えまして、その成果を発展させたプロジェクトを立ち上げてございます。
 このプロジェクトは、官民の地震観測ネットワークを作る、被害推定をして、それをまた企業や地域でのBCP、BCMに活用していただくというような新しい取組をしてございます。これは一つは官民、政府が整備をしてきた地震観測網に加えて、民間が持っているデータも活用しましょうということで、これは今世の中で言われておりますIoTとかビッグデータとか、そういった流れと整合性を持って進めているもので、かつ、政府の投資が民間の投資と併せて、より1足す1が2以上の価値を生むということをもくろんで取り組んでおります。
 そういった意味で、官民の連携が単にデータを統合させるということだけではなくて、防災対策というところで連携して取り組んでいくということが重要だろうというふうに思っておりまして、従来の取組に併せて、そういうところにも広げていきたいということで取り組んでいるところでございます。
【亀井委員】  ありがとうございます。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】 中室委員、お願いいたします。
【中室委員】  ありがとうございます。私からは二つお尋ねさせていただきたいんですけれども。
 一つは、他省庁とのすみ分けという観点で、これ、行政事業レビューをやっていますと、この防災関連の事業が各省庁でかなりいろんなところで出てきているという状態になっていまして、例えば内閣府だったり、環境省だったりというところとのその他省庁とのすみ分けということ、きちんとすみ分けができているということであれば、その研究の成果だったりとか観測調査のデータなどがきちんと共有されていて、効果的、効率的に事業が行われているかどうかという点について一つお伺いをしたいということがございます。
 二つ目には、事業の内容をちょっと細かく契約を見てみますと、随契が非常に多くなっているということなんですけれども、この中でも特に海洋研究開発機構に委託をしているプロジェクトに関しましては、名古屋大学等に再委託されているということなんですけれども、これは国が直接契約を行うことができないのかどうかという点についてお伺いをしたいと思います。
【説明者】  ありがとうございます。
 まず、1点目の各省とのテーマ分けといいますか、役割分担ということでございますけれども、例えばということで申し上げますと、24ページに内閣府、南海トラフの巨大地震による長周期報告書でありますとか、こういったところに使われているということが書かれておりますけれども、内閣府の防災分野、防災のところでは、司令塔として全体を見ておられますけれども、直接的に防災の関係でいうと、被害推定というのを示すということが非常に大きな役割の一つだというふうに思っております。
 文部科学省で進めておりますこういったプロジェクトの成果が被害想定の基になる、例えば震源モデルでありますとか、津波のシミュレーションの手法とか、そういったところに使われておりまして、上流、下流という言い方はちょっと適切かどうか分かりませんが、上流部分について、文部科学省がそのプロジェクトで基礎的な知見を出して、それを基に、今、内閣府の方で全体の被害推定、被害想定というのをおまとめになっておられるというふうに認識しております。
 また、津波の関係でこれも申し上げますと、沿岸までの津波がどういう津波を考えるべきかということの基礎的なシミュレーションみたいなものは文部科学省の方でいたしますけれども、沿岸に達した後、その津波に対して具体的にどういうハードの対策を講ずるかということについては国土交通省さんが中心になって具体的な整備、若しくは、補助事業、自治体への補助事業といったような対策を展開されているというふうに認識しておりまして、専ら、各省がおやりなるような事業若しくは判断の基になるものを提供させていただいているというふうに考えてございます。
 それが1点目でございます。
 それから、2点目の再委託の件でございますけれども、これは事業のたてつけといたしまして、チーム、もともとプロジェクトでやろうとしている課題に対して、チームで応募してくださいというような企画提案公募の形を取ってございます。したがいまして、中心となっておりますのは海洋研究開発機構でございますけれども、海洋研究開発機構が名古屋大学もチームの一員として非常に重要なプレーヤーであって、大事なチームの一員だということで、そういうチームで手を挙げていただいて、それが提案公募という形で採択されたということで、こういうたけつけになってございます。
 実務上も、非常にプレーヤーがたくさんおられますので、それを全て国が契約事務を行うというのも行政効率という観点からも必ずしも適切でないというふうに思っておりまして、現行のような形を取らせていただいているというのが実情でございます。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  松浦委員、お願いいたします。
【松浦委員】  何点か、指摘というほどではございません。
 まず、26ページなんですけれども、このマップを拝見させていただいて、日本海側でこれから行う予定、新潟から北側ですね。これというのはやはり断層調査とかそういうようなものがメーンと考えてよろしいんでしょうか。
【説明者】  まず、海底の地殻の構造を調べて、その中で活断層、活断層というのは海域の断層の存在、これを位置でありますとか形状といったものを調べるというのが基本的な作業になるかと思います。
【松浦委員】  ありがとうございます。
 続いて、44ページでございますけれども、私の理解では、京阪奈の辺りというのは三つのプレートがぶつかり合っているちょっと非常にリスキーな場所というふうに認識しております。また、東北、関東にかけては二つのプレートがぶつかっていると。北海道は北米プレートに乗っているんで、ちょっとリスクからはエスケープしているという認識であります。
 これを見ますと、要するに、左側の絵ですけれども、東日本大震災があったためかどうか分かりませんけれども、非常に海底の測定点が非常にきちんと整備されておりまして、これからまた何か起きるとすると、今度は逆戻りですね。ぼーんと1回はねたんで、今度は逆に沈むと、太平洋側が沈んでいって日本海側が持ち上がるということですから、これは太平洋側をモニターしていれば、日本海側のと、そういう動向も見れるだろうという意味でいいと思うんですが。
 この南海トラフ、今問題になっている南海トラフに関して、このセンサーが非常に少ないというのは単にお金がないということなんでしょうか。
【説明者】  厳しい財政状況というのは常に背景としてあるわけでございますけれども、今御指摘の四国沖、南海トラフの四国沖の震源域について、観測の空白域になっているということについては我々も問題意識を持っております。
 現在、地震本部の政策委員会の下に、海域の観測についてどうあるべきかという議論を重ねてまいりまして、現在具体的にこの観測の空白域になっている四国沖の次期システムですね。次のシステムをどういうふうに考えるべきかという検討を具体的に行っております。
 ですから、厳しい財政状況の下ではありますけれども、南海トラフについてはやはり切迫性が高いということもありますし、観測の空白域ということで御地元からもいろいろ要請を頂いておりますので、そういった検討をしっかり進めていって、いずれは観測網の実現にこぎつけられるように努力をしたいというふうに考えてございます。
【松浦委員】  じゃあ、続けて、今の関連でございますけれども、東北、東日本、関東に関しては一度非常に悲惨なことが起きてしまったということもありまして、余震とか逆戻りとかということが確かにありますけれども、今度今切迫しているのはやはり30年以内に70%の確率と切りますよと専門家が皆さん、意見がほぼ統一している南海トラフということでして、これは統計的な数字だから、30年起きないというわけじゃないですね。30年起きてから70%の確率でということではないので、これはいつ起きるか分からないという前提ですので、政府としてはもう非常に厳しい、文科省としても厳しいとは思います。
 だけれども、これはもう政府としていろいろと資金繰りをして、やはりここの、ここもプレートの問題ですので、やっぱり海底の探査網をやることはやはりなるべく早くここの部分を埋めてあげないと、西日本の方が人口は多いですので、三重県なんかもリアス式海岸なんかがあって全く同じ状況、松島と同じ、全く同じ状況が想定されますということで、是非とも、この辺は文科省だけではなく、政府として取り組んで、なるべく早くここの測定網を作り上げていただきたいなというのが私の、今年はそういうことを言ってもいいと書いてありましたので、言わせていただきました。
 あとは、アウトカムなんですけれども、皆さんは上げられていませんでしたけれども、私、体感的に感じているアウトカム、二つぐらい、実際に地震速報が非常に速くなりました。それは私、常にメールが来たり、テレビですぐにどこでどのくらいの地震があって、津波の問題、おそれがあるか、ないかというのは非常に速くなったということを体感しています、東日本でも。西日本はちょっと分かりません。
 それから、もう一つ非常に体感しているのは、どこの町に行っても、ここの海抜は何メートルで、何か大きな津波があったらどこへ逃げなさいという表示が非常にたくさん増えたと。これはやっぱり社会に還元しているアウトカムとしてきちんと評価されてよろしいんだと思うんですね。
 やっているのは文科省さんではないかもしれませんけれども、国交省さんかもしれませんけれども、そういうデータは頂戴できると思いますので、社会的な還元というのが基礎調査研究をしただけでは出てこないものですので、そういうところからデータを集めて、アウトカムの指標として付け加えられてはいかがかというのが御提案でございます。
 以上です。
【説明者】  ありがとうございます。
 まず、1点目、南海トラフの空白域のところについては、御指摘を踏まえて、我々もしっかり検討を進めて、システムの実現に努力をしてまいりたいというふうに考えております。
 それから、2点目のアウトカムの点でございますけれども、御指摘の中でもおっしゃられたように我々が直接言われている部分というのは非常に限られておりますので、どうやってデータを集めたらよいかということについて、あるいは、別途、担当の省庁なり自治体がデータをお持ちかもしれませんので、そういったところとの連携も含めて、どういった形でお示しできるか、検討させていただきたいというふうに思います。ありがとうございます。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  引き続き、議論いただきますが、外部有識者の皆様におかれましては、コメントシートへの記入を平行してお願いいたします。記入がお済みの方につきましては、挙手いただければ、事務局の方でコメントシートを回収いたします。
 それでは、太田委員、お願いいたします。
【太田委員】  これはアウトカムの設定の25ページでしょうか。やはりアウトカムもアウトプットも、地域研究会の開催回数という、アウトプットの方は開催回数、ワークショップ参加人数ということで、これは何か事業の目的としているところから相当遠い、計測しやすいということはよく分かるんですけれども、非常に遠いかなと。
 このアウトプットのワークショップの参加人数が増えたら、あるいは、地域研究会の開催回数が増えたら、成果が上がるということに直接的な関係が薄いように思われまして、この辺、これが実際数字で一人歩きすると、この回数を増やさないといけないと、現場は必ず動いてしまうと。
 それ、その数字を増やさないといけないと現場に負担が掛かるがゆえに、本来の目的が達成されないという懸念がありまして、これはずれているという、目的とその測定する指標がずれていることによる弊害はかなり大きいだろうと思います。この辺は引き継ぎこの指標で行かれるということでしょうか。
【説明者】  御指摘のように、地域研究会でありますとかワークショップの参加人数というのは、成果を説明するのに、どの程度効果的なのかということについては非常に苦慮するところであります。
 ほぼ活動実績、アウトカム・アウトプットということで成果を説明する中では、定量的に、できるだけ定量的にということも考えますので、そういった中で、ほぼ活動実績の指数になっているに過ぎないという御指摘はそのとおりだというふうに思います。
 ただ、実際にその活動量として、特に防災の分野で申し上げますと、これはやはり住民の方に、あるいは、自治体の方に成果を使っていただくということが非常に重要ですので、そういったところでの目配りといいますか、その実績というのも一面では非常に重要な指標になるであろういうことで上げさせていただいております。
 他方で、それが、何といいますか、マイナスの効果をもたらす可能性ということについては、これはほかの例えば論文なんかでも粗製濫造の話とかございますとおり、目標が、手段が目標にならないようにということについては関係者は認識をしているというふうに理解をしてございます。改めて、御指摘のようなことにならないように、関係者含めて、気を付けて事業の推進を図っていきたいというふうに思っております。
【太田委員】  これ、直接的な目標はデータの整備、データが足りないところについて、緊急性が高いところについてはデータを整備するという目標であれば、それの方がはるかに直接的に測れるように思うんですが。
【説明者】  そういう意味でも、今回、事前のヒアリング等で御指摘を頂いたような改善案ということで、26ページ、27ページに示させていただいたようなものを新たに考えて付けさせていただいたということでございます。
 こういう事業の評価はいつも苦しいところがございまして、どのように説明すれば分かっていただけるかというか、御説明できるかというところはいつも苦労しております。そういう意味では、いろいろ御指摘を頂きながら、改善していくしかないのかなというふうに思っておりまして、引き続き御指導いただければと思っております。
【太田委員】  すると、今後はもう事前の説明、勉強会のところで出たことを直ちに反応していただいたということですばらしいと思うんですが、この改善案の方にシフトして、こちらで今後図っていくという、そういう理解でよろしいんですか。
【説明者】  従来お示ししておりますアウトカム・アウトプット指標、これは例えば地域研究会の開催回数も含めて、これも繰り返しになりますが、一面では事業の取組状況を御説明する指標ではあるかなというふうに思っておりまして、新たに追加するものと併せて、事業全体の御説明という形で使わせていただきたいというふうに思っております。
【太田委員】  あとは、プロジェクトの位置付けなんですが、文部科学省さんが担当されているということは、こちらのデータの方がより基礎的というふうに理解してよろしいでしょうか。あるいは、防災科学技術研究所さんその他、ほかのより直接的に防災を対象としているところの方がより応用的といいますか、このデータを使って実際に防災をするというふうに理解してよろしいですか。
【説明者】  大きな役割分担としては御指摘のとおりでございます。そういう意識で取り組んでおります。
【太田委員】  とすると、この構築したデータベースというのはどこかに集約されるんでしょうか。あるいは、完全にもうシェアされているという、そういうものなんですか。
【説明者】  構築されたデータベース自身は、事業担当機関がデータベースとして公開をするとか、あるいは、データとして地震本部の関連の事業でもあるところについては、地震本部のホームページ等に載せて公開をして、誰でも使えるような形にしてございます。
 ですから、直接必要とされるところには直接お持ちをしておりますし、一般から広く使っていただくという観点からは公開して見られるようにしているというふうに取り組んでおります。
【太田委員】  一つ見方としては、支出先は大学がやはり文部科学省さんということで多いと思うんですね。見ようによっては、防災というテーマに従って大学にお金を出しているというふうに誤解をされかねないところがあろうかと思いまして、本当に目的、防災で緊急性のあるものについてデータを集めるということであれば、大学やJAMSTECさんがやるのが本当にいいんだということが必要になると思います。すみ分けができているからいいということではなくて、やはり一番得意なところがやるべきだろうと思います、コストを削減するという意味では。
 このこういった研究に関しては、大学を中心としたこういうプロジェクトの型式でやるのが最も効果的であると。具体的に言うと、大学がやるのは一番コストが安いと、ほかの研究よりか。そこは説得的に説明される必要があるのではないかと思いまして、そうでないと、何といいますか、大学関係の行政を担当しているところが防災名目でそちらにお金を引っ張ってきたんじゃないかと、防災はいろんな省庁で行われているというふうに見られかねないので、いや、これは大学が得意とするところなんですという説明がやはり頂ければなというふうに思いますが。
【説明者】  ありがとうございます。先ほど御指摘の例えば南海トラフのプロジェクトでございますと、23ページになりますけれども、この基本的な調査のところについては、実際に船を運用してまた海の構造調査等に知見があって、このプロジェクトでは最適であろうというのが海洋研究開発機構ですので、海洋研究開発機構の方で全体を仕切って、まず、調査については主導してやっていただいているというような状況にございます。
 地域社会への還元というところで、例えば愛知県の地震対策アクションプランの中にこの成果が使われているというようなものがございます。こういったものは名古屋大学がこの部分を担当されておりまして、地域の防災担当者を集めた地域研究会とかを定期的に開催をいたしまして、その調査の結果というのを自治体の防災計画に反映するというところを、実質的な取り回しみたいなものを大学の方でやっていただいております。これはやはり地域の大学が持っているネットワークでありますとか、研究のそれまで培ってきた研究のネットワークでありますとか、知見の活用ということで地元の大学は一番適切な役回りをしていただけるであろうということで、名古屋大学がチームとして入っていただいております。
 それはほかのプロジェクトでも同様でございまして、地域の課題解決ということに地元の大学に参画していただくといいますか、それをリードしていただくというような形でテーマ設定をしておりまして、それをそもそも選ぶときには、一応有識者の外部の有識者に審査をしていただいて、最適であるということを御確認を頂いて選ばせていただいているということでございます。
【説明者】  1点補足をさせていただきますと、実情のところを今課長から御説明しましたけれども、形式上も最初に公募を行っているという話がありましたが、そのときは、別に大学とか国立研究開発法人に限って公募はしておりませんで、対象は民間企業等も含めておりますので、例えば民間企業がチームを組んで手を挙げて、その提案が外部有識者の選定委員会で選定をしておりますけれども、その委員会でこっちの方がいいだろうという評価があれば、民間企業のチームがこれを落札というか、公募の結果、そこに採択されるという可能性も排除はしてございませんので、一応御参考までに。
【太田委員】  地域の現場に近いというお話があったですけれども、それは研究所等でもいろんな地域の研究所が、出先機関があったりということで、特に大学の方が有利だという説明に、実際には公募だということなので、来た中からベストのところを選んだということだと思うんですが、これ、例えばいろいろ調べるのはまとめた方がいい場合もあろうかと思うんですけれども、これだと、いろんな大学に少しずつお金が行ってしまっていて、通常の研究費を出しているということと近いのではないかと。ありていに言ってしまうと、大学に対するばらまきではないかという批判が来たときに、きちんと答えられるようになっておく必要があるのかなというふうに思って質問した次第です。
 以上です。もうお答えは結構です。ありがとうございます。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  では、田辺委員。
【田辺委員】  太田委員の質問と関連するんですけれども、今回のこの研究も非常に重要な私は研究だと思います。どちらかというと、政策のニーズというのが国及び地域もやっていると思うんですけれども、さっき、テーマの選定と採択のプロセスで有識者というんですけど、その中では政策担当者はどの程度入っているのかというのをまずお聞きしたい。
【田辺委員】  テーマの選定とその具体的な公募をしたときの採択のときに、いわゆる大学のいわゆる研究者だけで選んでいるのか、政策面、つまり、政策的なものの目的のために行うわけだから。
【説明者】  その選定委員会は研究者の方のみで構成をしております。
【田辺委員】  テーマの選定はどうですか。
【説明者】  テーマの選定、つまりこの南海トラフプロジェクトとか日本海プロジェクトの内容につきましては、地震調査研究推進本部という会議の中での議論を踏まえて検討しておりますけれども、その地震調査研究推進本部の委員の方々には、例えば内閣防災、先ほど申し上げました防災の司令塔の組織の行政機関からも御参画いただいておりますし、あとは、ユーザーとなる気象庁からも委員として御参画いただいております。そのほか、研究者以外にも、マスコミ関係の方々、あとは、社会防災系の方々にも、あと、地方自治体の方にも御参画いただいて議論いただいておりまして、そういったことを踏まえて検討しております。
【田辺委員】  プロセスは分かりました。
 それで、一つは、成果、いろいろ苦労されているということはよく分かりましたけど、それで、今回もいろいろ検討いただいたんですけれども、やっぱり論文、学会での論文発表とか論文成果の発表だけだと、これはアカデミックな視点の評価に重点がありますよね。それと、新聞とかいろんなところでメディアに出るという、これもなかなか半ば行政的な重要性という、そこの評価が必ずしもアウトカムにきちんと出てないですよね。つまり、論文にならなくても、さっき言ったデータがここを調査されてないから、取らなきゃいけないんだと。それは論文にならなくても、発表しなくても、重要なものは重要なわけですよね。
 そういうまさに政策的な観点からの重要性を評価する。それは調査したことが目的じゃなくて、結果が、それはリスクがないということが分かるのも重要なこれ、結果ですからね。だから、ある種、学会的な論文の有用性で評価するんじゃなくて、政策的な意義ある研究だったのかという視点のアウトカム、これについてはいかがですか。
【説明者】  まず、行政、若しくは、政策的な事業の、事業を進めていく上での例えば政策的な必要性みたいなものは、もともと事業として立てる段階で、文部科学省が事業を担っておりますので、そこで一定の必要性なり、有効性なりといったものを判断しております。
 大変恐縮ですが、それが事業レビューシートとかこの事業評価の形でどう出てくるのかということについては、まさにこうやって御議論いただく中で、そこのアジェンダセッティングが間違っているんではないかとか、もっとこういった形、こういった面を強化すべきではないかと、そういった御議論を頂くということで改善していくということなのかなというふうに思っております。
 事業を実際に実施していく上では、選定のプロセスは先ほど研究者が中心でということを申し上げましたけれども、事業を実施していく上では、例えば事業ごとにこの事業の運営委員会といったようなものを作りまして、その中には、例えばユーザー官庁でありますとか、場合によっては、内閣府の防災司令塔みたいなところからも委員に入っていただいて、その事業の進捗みたいなものを見ていただいているというような状況でございます。
【田辺委員】  そのときに、あれですか、通常のプロジェクトですと、中間評価とか事後評価をやるんですけれども、それはやられているんですか。
【説明者】  これは役所全体の政策評価の仕組みの中に、事前、中間、事後の評価というのは義務付けられておりますので、事業に応じてやっております。
【田辺委員】  なるほど。それをうまくこういうまさにアウトカム、その評価で、いや、全然役立たないとか、それもアカデミックの観点じゃなくて、まさに事業目的とか、研究目的、政策目的の観点から、事後評価をきちんとやって、それをきちんと出していけば、これは重要なアウトカムだと思うんですね。論文の数がどうだというよりも、私ははるかに重要じゃないかと思います。
 以上です。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  ただいま、コメントシートを御提出いただいたものを取りまとめをしてまいりますので、取りまとめに若干の時間を頂きますけれども、その間、引き続き御議論を頂きたいと思います。
 亀井委員、お願いいたします。
【亀井委員】  まさに今の関連なんですけれども、そういう意味では、26ページ、27ページを作っていただいたのはすごく良かったなと思っていて、この観点を、じゃあ、具体的な数字にどう落とし込むかを是非考えていただきたいなと思っています。
 例えば、研究にしても、調査プロジェクトにしても、例えばどの拠点がどれだけ塗り潰せたかとか、あるいは、取りたいデータが取れたか、取れなかったかとか、あるいは、何でしょう、シミュレーションがきちんと回せたのか、回せなかったのかというところがまず一つ、具体的なところとしてのまずアウトカムとしてそれは出せるんだと思いますし、もうこれはアウトプットなのかもしれませんが、ただ、それが、おっしゃるとおり、あとは残り説明しにくいんですけれども、先ほど御説明、課長から御説明いただいたとおり、23ページにあるような地域社会への還元が具体的に、例えば富山県において、津波の浸水想定というのは今まで出てなかったんだけれども、これが出るようになったとか、ここら辺は定性的にならざるを得ないんだと思うんですね。
 これを何件、何件って足しても仕方がない話ですから、これは事例としてくみ上げていけばいいんですが、それがない状態でそこだけ出されてしまうと、じゃあ、このお金の使い方がどうだったのかという話になってしまいますので、むしろ、きょう、今回のやり取りの中で御提示いただいた26、27を、よりもともとの調査設計をされた段階で、これはもちろん有識者の皆さん、入っておられると思いますので、こういうことをやるんだというある種の調査の設計があるんだと思うんですが、それがちゃんと想定どおり行われていて、それがまさに先ほどお話があったように、使われるようになったのか、ならなかったのかというようなところを率直に出していただく方が、何というんでしょう、もともとのこのプロジェクトの事業、この事業の目的にかなう形になるんじゃないかなとは思います。
 そういう中で、もちろん、アウトカムとして地域での説明会がおかしいとか、そういうことを私は申し上げるつもりはないんですけれども、その飽くまでも説明会の回数は一環だと思いますし、結果的には、地域社会にどう貢献するかというところになると、その23ページに定性的に書かれたところになると思いますので。
 そこの、何ていうんでしょう、プロセスをきちんと追えるような形、これは結局、因果関係の話で、私よりも多分、中室先生の方が説明は上手だと思うんですけれども、因果関係をきちんと御説明いただくことで、想定したものがきちんとできたから、最終的には社会の役に立ったというところの想定していた論理がきちんと通っているか。それが追っていったときにどうなっているかというところをきちんと御確認いただく作業というのがある種のアウトプット・アウトカムなんじゃないかなと思いますので、是非そういった形で進めていただければなと思います。
 以上です。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  有川委員、御発言。
【有川委員】  すみません、1点だけ、ちょっと確認したいんですけど。
 せっかく論点に入っているので、冒頭説明があったんですけれども、この防災科学技術研究所に対する運営費交付金でやってもらっている通常の業務と、通常の研究と、今回のこの研究で委託している内容とが重複してないという御説明は頂いたんですけれども、それはどなたがどういうやり方で重複してないかどうかチェックされているんでしょうか。
【説明者】  まず、今回御説明させていただきました地震防災研究戦略プロジェクトでございますけれども、これは国直轄の課題解決型のプロジェクトでございます。そのプロジェクトを実施するに当たって、最適のチームを公募して、適材適所といいますか、一番課題、課題といっても、ブレークダウンしていくと細かい課題になりますけれども、その課題の解決に一番適したプレーヤーがその課題に取り組んでいただくという形を作っております。
 そういう意味では、防災科学技術研究所が一部テーマとして担っているところがございますけれども、まさに基礎研究、基盤研究ということで防災科学技術研究所が取り組んでいるものが、そのポテンシャルが持っているところでそれを活用できる部分というのはやっておりますけれども、基本的には防災科学技術研究所の基本的な仕事というのは、42ページとか見ていただきますと、基礎研究、それから、基盤的研究開発というものを総合的に行うというふうにされておりまして、その目的に従って、その右側に書いてありますような基盤的な観測網、これは陸域のみならず、海、津波の観測網もそうですし、さらには、火山の観測網、あるいは、下に書いてあります大型の実験施設ということで広く使っていただけるような、かつ、国に一つしかないような施設というものを安定的に運用するというようなものを実際には行っておりまして、こういったものから出てくるデータを更に利活用して、基礎的な研究というのを進めております。
 そういう意味では、事業のプレーヤーとしても選択するときに、最適であるかどうかということについて、個々に判断をさせていただいているというふうに考えております。
【説明者】  補足をさせていただきます。誰が確認しているかという御質問もあったと思うんですが、まず、我々が入ると思います。我々も当然、限られた財源を有効に活用したいという思いがございますので、当然、毎年の予算要求なり、事業の実施のときに、重複して内容がないことは確認をさせていただきます。
 あと、予算を要求する過程において、当然、省内の会計課、若しくは、財政当局、財務省の御担当者に御説明を、事業の内容と防災科研の運交金の内容を御説明しますけれども、そういう場面でもチェックを頂きますし、今だと、政府の中のお話でしたけれども、外部有識者という観点でいえば、地震調査研究推進本部が毎年予算のヒアリングを行うという取組もしておりまして、その中で、毎年、いろんな関係省庁の取組も含めて御議論いただきますので、その中でも重複の観点についても御議論いただいているというところでございます。
 以上です。
【有川委員】  ありがとうございます。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  太田委員。
【太田委員】  先ほどの質問でもあったんですが、これ、重複してなければいいという問題ではなくて、こちらは40ページ以降、もう少し前ですかね。40ページ、もう少し後の国立研究開発法人防災科学技術研究所の概要、42ページですね。この後を見ると、もうこれ、防災の専門の研究機関であって、人員も予算もあって、既にかなりの事業を行われていると、交付金も出ているということで、普通に考えたらここがベストなわけですよね、この事業を行うのが。
 国直轄のプロジェクトというのは、ただ単に独立行政法人ではなくて、これは研究開発法人ですが、別法人を通してないというだけのことで、これも国の事業の一環であるということには変わりがない。その専門の機関があると。
 それで、緊急的なことが対応できてないから対応するとすると、これは通常業務として緊急に対応できてない、まだ体制が、防災科学技術研究所の体制が不十分だというふうに考えるのが自然だと思うんですね。そうしたら、緊急で国でやるべき予算は当然こちらの研究所に行くのが自然だと思うんですよ。必要であれば、大学の技術があれば、この防災科学研究所の方から大学の研究者の協力を得て、そのプロジェクトを回して、その必要な知見を得るというのが、これは普通に素人の私から見ると、それが通常のプロセスだと思うんです。
 それをあえて文部科学省さんがその予算を取って、大学向けに公募してお金を出すというのは、そもそもの目的が、大学に対する研究費を配るということ自体が目的だったんじゃないのかと、その緊急的な防災のプロジェクトとして行うというよりも、というふうに見えてしまう。
 その点について、何か説得的に、防災科学技術研究所ではできないんだと、大学でないといけないんだという何かそういう御説明があれば、お聞かせいただきたいです。
【説明者】  南海トラフの事業で申し上げますと、日本海のプロジェクトでもそうなんですけれども、海域の調査、海底の地殻構造の調査みたいなものが非常に大きな割合を占めております。あるいは、また、大型の計算機を使ったシミュレーションをするというようなものが特徴的なプロジェクトでございます。
 そういった中で、防災科学技術研究所自身は、海については津波の観測網というのは持ってはおりますけれども、船を運用しているわけでもございませんし、海底の地殻構造ということでいうと、そんなに知見があるわけでもございません。防災の科学技術というのは非常に幅広くありますけれども、それは基礎と基盤というふうに限定されておりますとおり、全てをカバーできるわけではありません。
 それは各ほかの役所の関係の法人でも、防災の研究というのが、本来の業務に加えて、そういう防災の切り口の仕事というのはいろいろおやりになられていて、それが国全体の防災力の向上とか、維持向上といったところにつながっているということなんだろうというふうに思っております。それは防災のある種の特殊性といいますか、特徴ということだろうというふうに思っております。
 繰り返しになりますけれども、南海トラフのプロジェクト、あるいは、日本海のプロジェクトでいえば、海域の調査をするところは専ら海洋機構とか、その得意なプレーヤーがされておって、大学については、例えば地域の防災力向上のプロジェクトは大学が数多く課題を取っておりますけれども、その課題についてはそのやはり地域の課題ごとにテーマを上げておりまして、その地域の課題に一番近いといいますか、取り組んでいる大学が中心になって対応していただいているというふうに思っております。
【太田委員】  その二つの事業は実は同じにしておく意味は余りないですよね。ビジネスの言い方で言うと、シナジーがないといいますか、津波に関して海を調べるという話と、地域ごとの防災で啓蒙活動をするであるとか、伝達するであるということは直接的に関係ないように思いますが。つまり、一つの事業にしておく意味がないですね。
 海のことに関して、JAMSTECさんが得意であるということであれば、それは防災科研とJAMSTECさんで協力関係で補完し合えばいいわけで、こっちのプロジェクトに入れるという、要は文部科学省さんのプロジェクトに入れる必然性が余り見えませんし、また、地域について、地域の大学が得意だという話は、これは同じ事業に入れるほどシナジーがあるように見えないんですけれども。
【説明者】  ちょっと説明が上手でなくて恐縮でございます。誤解を生むような形になっておりますけれども。
 事業として、そもそも非常に大きくくくって、地震防災研究戦略プロジェクトというふうにくくっております。その中で、地震や津波の切迫性が高い、緊急性の高い地域を対象にした事業として、南海トラフとか首都直下というテーマの事業が柱で立ってございます。それから、データがそもそもないところということで、日本海のプロジェクトが立っていて、さらに、これは非常に小ぶりですけれども、地域の防災力の向上ということで、一つの小さなプロジェクトが入っているということで、このプロジェクト自体がちょっと複数のものでなっているものを、ちょっとばらばらに、一緒に説明してしまったものですから、ちょっと誤解を招いたかというふうに思いますけれども、シナジーという意味では、それぞれの事業でちょっと完結をしておりまして、その事業ごとの横の関係というのは確かにそれほど重視をしてなくて、ちょっとくくったようなプロジェクトになっているというのはちょっと御指摘のとおりであって、その辺、もう少し相乗効果を生むようなやり方があるのではないかということについては少し検討してみたいというふうに思います。
【太田委員】  特に津波に関しては防災科学技術研究所さんの方に相当知見があるという理解でよろしいですか。海の中の調査はできないというお話でしたが。
【説明者】  津波についても、これは特に東日本大震災以降、非常にクローズアップされて、どこがやるのがよいというのが確立している分野というのはなかなか言いにくいというふうに思っております。そういう意味では、そのシミュレーションの手法みたいなものも、最近、例えば地震本部でも最近、津波のレシピというふうに呼んでおりますけれども、予測手法のある種のマニュアルといいますか、考え方みたいなものを作ったところで、これはまだまだ発展途上の分野であろうというふうに思っております。
 津波の取組は必ずしも防災科研が得意にしているわけではありません。一定の知見はもちろんございますけれども。
【太田委員】  ただ、こちらのページにありますけれども、44ページとか43ページを見ると、基盤的地震・津波観測網について(1)、(2)と出るわけで、津波の観測のインフラを整備するというのは防災科学技術研究所の何か通常業務のように見えるんですね。
 海の中を調べるという意味でいうと、知見がないので、JAMSTECさんと協力するというのは分かるんですが、そのときに、文部科学省さんの方から、大学その他のプロジェクトに出てというと、何かそこが本当に最適なプレーヤーなのかなと、その研究プロジェクトをする上で。
 そのほか、余り関連性の薄い地域の話が入ってくると、これは先に大学に研究費を出すという目的ありきなんじゃないのかと。防災、地震、津波というのは後付けのテーマで出てきただけであって、本来は大学、研究機関にお金を出すという大学目的があって、テーマが出てきたんじゃないのかという疑念を持たれかねないと思うんですね、文部科学省さんがおやりになると。
 とすると、いや、そうではないと。これは防災や地震のためにベストのプレーヤーなんだと、このグループがというふうにはなかなかこの資料を見る限りは説得されるのは難しいかなというふうに思います。
【説明者】  ちょっとお答えになっているか分かりませんが、ちょっと津波の関係でちょっとだけ申し上げますと、45ページに、緊急地震速報の開発・運用というのが左上に書かれてございます。これは今は緊急地震速報というのは気象庁が業務として運用されているので、もう非常に身近なものというふうになっておりますけれども、これは10年前に開発されたものでございますが、これはもともと防災科学技術研究所が開発したものでございまして、技術移転がされて、今現在、運用されているというものでございます。
 これはなぜ実用化できたかというと、これは基盤観測網、地震の基盤観測網を作って、そのデータから、緊急地震速報という技術ができるんじゃないかということを問題意識を持って研究した研究者が、データを高度に利用するということで技術として確立させたものでございます。
 同様のアナロジーが津波の分野でも言えるかというふうに思っておりまして、津波の予測の手法というのは、今現在、いろんな手法がございますけれども、まだ研究開発途上でございます。そういう意味では、基盤の観測網を今作ったところでございまして、この観測網から出てくるデータを基に、高度な津波の予測手法というのが開発されて、現在、もう既に気象庁の方で津波の予報・警報というのは運用されておりますけれども、もっと洗練された高度な技術を使った津波予報・警報というものになるであろうというふうに思っておりまして、そういったところはやはり基礎研究として取り組む必要があるということで、そこは防災科学技術研究所もやっております。
 ただ、若干繰り返しになりますが、この分野はまだ発展途上でございまして、これは大学とかでもより効果的な手法がないかということについて研究がされております。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  松浦委員。
【松浦委員】  ちょっと私がフォローしたらおかしいと思うんですけれども、でも、お話を聞いているうちに、ちょっと私も意見を言いたくなりましたので、感想を言いたくなりました。
 一つはマーケットの問題でして、防災科研に全てやっていただくというのは、ちょっとビジネスの世界でいうと、独占ですね、市場独占という形になってしまうのと同じで、それというのは結局のところ、コストの無駄が発生するリスクがあるということが一つ。
 また、防災はずっと基本的なスケジュールで仕事をしていらっしゃいますから、緊急を要するときにうわっと人を一気に有能な人間を集めてプロジェクト編成をするというのは非常に難しいだろうというのがもう一つですね。
 もう一つは、これはお金の話なんですけれども、正直言って、プロジェクト付けました、これだけの額を、じゃあ、防災さんに運営費交付金でぼんと渡せるのかというと、これは今の財務構造では、これは文科省さんのせいじゃないと思います、非常に難しいんだろうと思うんです。だから、もう結局のところ、こういう形で企画競争にせざるを得ないと。これは、だから、財務の問題ですね。研究費をどのように確保できるかという問題だと思いますけれども。
 そういうような幾つかの点があって、こういう結果になっていると思います。
 また、地域によってリスクの要因も違いますし、ノウハウも違う。例えば北海道では、奥尻でも既に二十数メートル、30メートルに近い津波、体験していますね。あれは断層ですけれども。
 ということで、それぞれ過去の経験等々がございますので、こういうチーム編成というのも私はありだろうというか、むしろ、こういう方がベターなんじゃないかなというふうに思っていますけれども。
 感想でした。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  ありがとうございます。
 それでは、コメントシートの集計がまとまりましたので、取りまとめ役の有川委員より、評価結果及び取りまとめコメント案の提示をお願いいたします。
【有川委員】  投票結果は、事業全体の抜本的改善を求める意見が1票、事業内容の一部改善を求める意見が5票というふうになりました。
 コメントを主なものを紹介させていただきたいと思います。
 ほとんどの委員がその事業のアウトカムとアウトプットが事業の目的とリンクしてないという指摘が目立っております。一部の議員は、これまでの事前勉強会等でのやり取りを踏まえまして、丁寧な対応を頂き、アウトカム・アウトプットについても改善案を示されたという、そういう意味の方向性は評価されている委員もあります。
 その上で、なお、アウトカムの設定が事業目的に照らして適切ではない、現在のアウトカム指標もアウトプット指標も防災計画や防災意識の向上に貢献するという事業の目的ときちっと対応していない。今回示された改善案も、進捗状況だけでは事業目的の成果には余り役に、成果特定には役に立たないだろうという意見。それから、アウトカムが論文数・発表数になっており、政策ニーズに対応している成果が出ていることや、国あるいは地域の防災力強化に役立っているということを示すアウトカムが必要だろうという、具体的なアウトカム指標も提示されております。
 それから、アウトカムに関しては、文科省の基礎的研究のみだけでは測り難い面があるので、実際にどういうように、いろんな他省庁で研究しているので、それらの成果も併せて、連携したアウトカム・アウトプット指標を作るということも考えていただいてはどうかという話であります。
 この最後の意見の他省庁の事業との連携のアウトカムというアウトカムに関しての連携の話ですけれども、別途、事業全体としての他省庁との連携についても委員から指摘がなされております。
 防災関係の事業を行っている他の省庁ともしっかり研究成果やデータが、データ分析の結果を共有、連携していただきたいという意見であります。そして、これらはそれぞれの省庁でやっている、官公庁等で行われている研究がそれなりに自分たちの役割分担に即してやっているという前提の意見でしたけれども、その根幹についても議論か投げ掛けられております。
 地震防災をテーマに、大学に研究資金を提供すること自体が目的となっているのではないかと疑念を持たれかねない。基礎的データの収集に大学が最適なのか、そもそも文科省が担当するのが適切なのか、そういったところをきちんと検証して、適切な関係機関の効果的な役割分担というのをもう一回確認する必要があるんではないかという意見も出されました。
 このようなコメントを踏まえまして、最終的な評価結果としましては、事業内容の一部改善という評価で、コメント、取りまとめコメントとしては、三つ、3点。
 一つは、アウトカムやアウトカム指標やアウトプット指標は事業の目的に即したものに早急に改める必要があるということと、2点目が、他の地震防災の研究をしている省庁の事業と適切に連携、情報共有を図るという点と、3点目が、そもそも、それぞれの官公庁、あるいは、大学等で行っている研究、それぞれの関係機関でのやり方について、より効果的な役割分担になる必要があるという前提で、文科省における個々の事業の必然性についても十分検証する必要があるという、こういう意見で、一部改善としたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 では、そういうことで。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、以上をもちまして、地震防災研究戦略プロジェクトの公開プロセスについては終了させていただきます。
 次は午後になりますが、次の特色ある共同研究拠点の整備の推進事業につきましては、45分間の昼食、休憩時間を挟みまして、13時30分開始といたしますので、よろしくお願いいたします。
( 休憩 )
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  では、お時間となりましたので、ただいまから午後の部を始めさせていただきます。
 それでは、4コマ目、特色ある共同研究拠点の整備の推進事業につきまして、御議論を賜りたいと存じます。
 初めに、事業概要の御説明をさせていただきます。事業担当課は5分以内で簡潔に説明をお願いいたします。
【説明者】  学術機関課長、寺門でございます。どうぞよろしくお願いいたします。座って説明させていただきます。
 まず、御高承のことだと存じますが、このインデックス4の資料の最後、末尾、21ページの整理表をまず御覧いただきたいと思います。本事業につきましては、政策目標は8で、科学技術イノベーションの基盤的な力の強化、それから、施策目標は8-2に掲げてございまして、イノベーションの源泉としての学習研究と基礎研究の推進と上げております。
 また、達成目標は、中ほどの2にございますとおり、我が国の研究力強化を促進するため、大学における共同利用・共同研究体制等を活用した独創的・先端的研究の推進や研究環境の整備を行うことを達成目標として上げてございます。
 お戻りいただきまして、9ページを御覧おき願いたいと存じます。事業の概要について、説明申し上げます。
 本事業につきましては、我が国全体の学術研究の更なる発展を目指すために、個々の大学の枠を超えまして、研究設備等の共同利用ですとか共同研究を行う大学の研究所などを、共同利用・共同研究拠点として文部科学大臣が認定する、そういう制度を持ってございます。この制度自体は平成20年度に創成いたしまして、平成29年4月現在で、国立大学77点、公立が6、私立22拠点と、計105点を認定してございまして、認定期間は6年間ごとに見直すということにしてございます。
 資料10ページ、次のページには、これまで認定拠点の推移を掲げてございますし、資料11ページには、現在の全体の認定一覧というのを掲げてございます。
 このうち、公立、私立はそれぞれ5、20、現時点であるわけでございますけれども、この公私立大学の共同利用・共同研究拠点につきましては、それぞれ建学の精神に基づく特色ある研究所ですとか、他に類似のものがない新たな学問領域を担う研究所などを認定しているということでございます。
 それから、資料9ページ、続きますけれども、この事業におきましては、こういった公私立大学の認定基準に対応しまして、共同利用・共同研究拠点としての体制整備に要するスタートアップの支援として、補助事業としては平成25年度からでございますけれども、認定から3年間という形で支援補助事業として行ってございます。
 具体的には、拠点が所有いたします研究設備ですとか学術資料などを学外の研究者に解放し、共同利用を行うために必要な設備等の更新ですとか、サポートする支援スタッフの配置、人件費ですね、そういったものなど、研究活動のためのインフラ整備に対する補助を初期投資として支援をしてございます。
 また、このスタートアップの制度と併せまして、平成28年度からでございますけれども、このスタートアップの支援が終了した拠点のうちで、拠点機能を更に向上させるという観点から、機能強化支援として対象拠点を厳選して、併せて支援を行ってございます。
 少しおめくりいただきまして、12ページには、平成25年度からの補助事業額による支援額の推移につきまして掲載をしてございます。
 これらのこの予算事業を通じまして、これらの拠点の認定ですとか、また、この事業を通じまして、初期の目的である大学の枠を超えた共同利用というのを行うとともに、共同研究が活発に行われるということを通じまして、共同研究者層の増、さらには、多くの共同研究の成果というものが統一されるということを目的として掲げてございます。
 こういった目的から、本事業のアウトカムにつきましては、資料3の行政事業レビューシートにございますとおり、公私立大学、3ページでございますけれども、お戻りいただきまして、公私立大学における多様な共同利用・共同研究の成果の産出をしておりまして、この成果指標というものにつきましては、共同利用・共同研究拠点における論文数と共同研究者数としてございます。
 それから、13ページになりますけれども、論文数、それから、共同研究者数の数字データにつきましては、13ページの右下のグラフにありますとおり、平成20年度の拠点制度開始時からの推移として整理をいたしてございますので、御覧いただきたいと存じます。
 冒頭申しましたとおり、この補助事業の補助金によるこの支援事業といたしましては、平成25年度から行ってございまして、昨年度で4年を経過して、今年度は5年目となるところでございます。したがいまして、拠点の認定期間というのは6年でございまして、これを一サイクルとすると、ちょうど来年で6年目を迎えるということでございます。したがいまして、当課といたしましては、本事業による成果をより可視化するとともに、より効果的に事業を進めるために、見直すべき点については関係審議会等の御議論も頂きながら、見直しを不断にすべきと思ってございます。例えば、アウトカムを更なる適正な設定をどうするかといった点、具体的にはそういった点について更に議論を深めてまいりたいと考えてございます。
 また、後ほどの時間でこれは御質疑等、また、御説明をさせていただこうと存じますけれども、これまでのレビューの過程におきまして、皆様方から賜りました御指摘の点、すなわち、本事業の優位性、それから、拠点の活動状況、また、研究者の構成、また、拠点活動の持続可能性といったような大事な論点につきましては、14ページ以降に追加の補足資料として添付をさせていただいております。後ほどお時間があれば、これについても御説明申し上げたいと存じます。
 本事業の本日の御議論を賜りまして、更にこの事業について審査いただきたいと考えてございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、私の方から、論点について御説明させていただきます。お手元の論点等説明シート1枚紙を御覧ください。
 論点の1点目、事業の成果はどのように普及・活用されているか。2点目、各拠点は本事業に頼らず、競争的資金を獲得して活動すべきではないか。3点目、3年の支援期間終了後の継続性は担保されているか。4点目、アウトカム・アウトプットは適切に設定されているか。
 以上の論点等について、御議論願います。
 それでは、外部有識者の皆様からの御質問等をお願いいたします。説明者は、外部有識者からの質問に対し、簡潔明瞭に回答をお願いします。
 では、中室委員、お願いします。
【中室委員】  ありがとうございます。私から二つ質問をさせていただきたいと思うんですけれども。
 先ほど御指摘、論点等の中でも御指摘がありましたとおり、3年の支援期間終了後の継続性という観点から、この事業が終了した後もちゃんと共同研究が継続されているのかどうかということをまず一つお伺いをしたいというふうに思います。
 二つ目には、この事業で得られた補助金を各大学がどのように使っているのかということを、もしお分かりの範囲で教えていただきたいと思います。すなわち、これ、1点目の継続性と関係があるんですけれども、ひょっとすると、ほとんど人件費に使っているんじゃないかというふうに思いまして、仮になんですけれども、こういうインフラがあって他の研究者にも共同利用していただきましょうというふうになったときに、人件費でそういう補助的なスタッフを雇用して、例えばデータの受渡しであったり、整理だったりを手伝ってもらっているということがあるのであれば、その人件費に対する補助が切れてしまうと、途端に継続性はなくなってしまうということになるんだと思いますので、その点についてお聞かせを頂きたいと思います。
【説明者】  御指摘、ありがとうございます。大変大事な点でございますし、折々、御指摘賜ってございます。
 資料で、まず、最初の御指摘の点、持続可能性という点につきましてでございますけれども、17ページにその資料が一応御準備してございます。まず、そもそもの時点でございますが、その申請段階では、当然でございますけれども、この事業が終わった後でもちゃんと持続できるような形で、大学として、学長がその判断を最終的に責任をして申請をするという形になってございます。
 もともと、予算事業そのものが、予算を低減させていくというシステムがビルトインされてございまして、そういった形で、まず、申請の段階でそういう形で一定の担保を取っているということでございます。
 それから、まだ、この事業、25年度からが最初でございまして、まだ終わったところがないわけでございますけれども、これは今後、慎重に見極めなきゃいけないところでございますが、その17ページの下段にございますとおり、一番最初に取った、25年に取ったところの拠点の外部資金の競争資金の獲得状況で見てみますと、種類によって幾つか増減がございますが、基本的に御努力いただいて伸びていると。それに、当然、もともとビルトインした制度では予算が減ってございますので、こういった傾向からすると、一定程度、この事業が終わった後でも、拠点として、認定した拠点としての性格を発揮していただいているんじゃなかろうかと思いますが、これは今後、十分に注意していかなければと思ってございます。
 それから、2点目の大事な御質問でございます。どういった点に使途が使われているかという点につきましては、ページ数で申し上げますと、15ページにその資料が具体的にございます。
 もともと、この事業については特に使途を限定するといったような、あるいは、使い勝手の悪い形にはしてないというふうに思ってございまして、具体的に下段にございますとおり、もちろん人件費に使われているという面もございますけれども、人件費以外の例えば設備費ですとか、事業推進費、運営費といったものについていろいろ使われているという点がございますので、そういった点について、いろんな形で、それぞれ大学の伸ばしたい、必要だと、供給拠点として必要な事業というものの予算にそれぞれ使われているという事業だということでございます。
【中室委員】  ありがとうございます。
 ちょっともう一点だけ、ちょっと細かいことなんですが、お聞きしたいと思いまして、それがアウトカムのところにあります公私立大学における共同研究者数の増加というのを成果目標として置いておられるわけなんですけれども、この目標値について、26年度は2,700人、27年度については4,700人、28年度については1,000人ぐらい減って3,700人ということになっているんですけれども、これの根拠があるかどうかということをちょっと教えていただけますでしょうか。
【説明者】  国立大学の同じような制度がございます。その伸び率というものを勘案して、やっぱり後発と言ったら失礼ですけれども、私立大学等においても、こういった伸び率で研究者等が増えるというのが望ましいだろうということとも勘案して置いている数字でございます。
 ただ、これについても指標そのもの在り方と当然掛かる部分でございますので、妥当な数字かどうかということも含めて、きょうの御議論も踏まえて、検討してまいりたいというふうに考えてございます。
 御指摘、ありがとうございます。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  亀井委員、お願いいたします。
【亀井委員】  ありがとうございます。これ、そもそもこれ、公立大学と私立大学に限定されているわけですけれども、ここら辺、まず、初めて御覧になる方もいらっしゃると思うので、丁寧にちょっと御説明いただけますでしょうか。なぜこの公立大学と私立大学に特化しているのか。
【説明者】  先生方には釈迦に何とかでございますけれども、もともと制度的沿革として、国立大学の方が附置研究所という形で、従前、国立学校特会等の中で研究所を支援してきたという制度的背景がございます。
 ただ、当然のことながら、高等教育の枢要を担っている例えば分野では、当然、私立大学が大変重要でございますし、私大の方からも、建学の精神を踏まえて、そういう特色のある、国立にはない強みを生かした研究力を生かしたいという御要望もございますので、遅ればせでございますけれども、こういった制度を、十分ではないと思いますが、予算として御準備をして募集を頂いていると、そういう、まず、背景になっているということを申し上げたいと思います。
【亀井委員】  ありがとうございます。
 もう一つ、多分これ、普通に外から見たときに当然起きる疑問は、いや、これはある種、研究費というのはある種の競争的な状況の中で、それぞれ研究者が自分で独立性のある研究を出し、あるいは、信頼ができるような研究成果を出し、その循環の下で資金を獲得するべきものであって、こういったような形のお金も含めて、競争的資金に含まれていいんではないかというような考え方があると思います。この点はいかがでしょうか。
【説明者】  先生もおっしゃったように、研究者の方々がそれぞれの独自性に基づいて、競争的資金を取っていくという研究者に着目するアプローチも当然あろうと思いますが、やはり、これは喫緊の課題でございますが、科学力、基礎科学力を上げていく中での多面的なアプローチの中で、拠点として、共同利用・共同研究拠点としての組織整備というものになりますが、それについても、別な予算ツールというものを用意して、多面的な形で応援をしていくという、そういった形が一つ望ましいんではないか。
 実はこれ、日本学術会議、これも先生には釈迦に説法ですが、1957年にこういった方式が有効だという形で、相当、先生方も御所属になっているアカデミアの中でも一定程度認識されておろうかと思いますけれども、そういったものがあろうと思いますので、そういった点について、最低限のツールとして、こういったことも御準備しているという点についても御理解を賜れれば有り難いと思ってございます。
【亀井委員】  だとすると、一方で、多分利用状況がすごい大事になってくるんだと思うんですが、これはいわゆる研究資金ではなくて、ではなかなか取れにくいし、そういう中でまさに拠点として複数の先生たちが、あるいは、学校を超えてという形で連携をしているということが重要になってくるんですが、こういったところは私たち、どういうふうに確認をすればよろしいんでしょうかね。
【説明者】  すみません、補足資料で御説明を申し上げますが、16ページに、十分ではないかもしれませんが、一応整理をいたしまして、マル2の部分でこの拠点を利用した公私立大学における共同利用・共同研究者の研究した論文の数が伸びているといったような成果ですとか、それから、設備に着目して、共同利用者数が伸びているといった、一定程度こういった、当然と言えば当然ですが、成果が出ていると。
 これについては、ただ、本当の予算措置の影響として、コヒーレンスがある形での因果関係があるかどうかというのはまた見極めが必要だと思いますので、これは今後、来年度にも行おうと思っている評価の中で、十分そこは検証してまいりたいと、個別の検証と併せて考えてまいりたいと考えてございます。
【亀井委員】  これ、大体のイメージでいいんですけど、これ、割り算すれば分かるんだと思うんですけど、1拠点当たりの大体、何ていうんでしょう、いわゆるアカデミアとリサーチアシスタントみたいな形になるんだと思うんですけれども、いわゆる研究代表者みたいな形の、何でしょう、登録されている人数というのは大体1件当たり大体何人ぐらいだというふうに考えればよろしいんですかね。
【説明者】  分野とかを、もうざくっと言ってしまいますと、乱暴に言いますと、10名ぐらいだと思います。
【亀井委員】  なるほどね。そういう意味では、まさに共同研究に特化した形で行われているという形で理解すればよろしいんですか。
【説明者】  そういうふうに御理解いただければ、大変有り難いと思います。
【亀井委員】  これは、ただ、一方で、そうは言っても、追々、ある種のイコールフッティングが確保されて、これが目的ではなくて、やっぱり研究成果が目的であるということで言うならば、もちろん拠点にお金を出すのもいいけれども、最終的に成果を出すのは、ある種、そうは言っても、アカデミア一人一人なわけですよね。
 だとすると、そういうところにシフトしていくべきではないかというような御意見があるかもしれないです。そこはいかがでしょう。
【説明者】  まさしくそういう御意見もあると思いますが、一方で、最近の日本の論文数のアウトプットを考えるときに、トップグループの次を担うような組織の論文生産のケイパビリティといいますか、能力が減っているんじゃないかという御議論もあって、例えば実は、先ほど申し上げた全国の共同利用・共同研究拠点の協議会があったりするんですが、その中では、例えば東大の梶田先生が入った宇宙線研究所もあるわけですが、そういった方から何か聞いてみますと、やはり第2、第3のより厚みを増すような形での組織についての支援というのも必要だと。
 もちろん、それの根本は、先生がおっしゃるようなアカデミアの研究者の方々だと思いますが、こういったものについても、必要に応じて、もちろん厳選した形で何らかの形でこういった組織、必要、支援の必然性というのもあるのではないかと思っておりますが、それも今回のこのこういった事業の十分検証を踏まえて、目配りといいますか、配慮してまいりたいと思います。
 ありがとうございます。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  田辺委員、お願いいたします。
【田辺委員】  2点ほど、お聞きしたいと思います。
 国立大学の後を受けてというか、それとは別に、公私立の研究拠点を整備しようというのは非常に結構だと思いますが、そもそも、この3年とか6年間で支援をしたときに、拠点のその最終イメージというんですかね。拠点になるために応援しているわけですから、こうなれば拠点だとかいうところの、当然選ぶ段階でも、拠点になる可能性は十分ある、あるいは、何ていうんですかね、そういう可能性あるところを選ぶわけですけれども、その選ぶときの特色あるというちょっと言葉が不明確なんですけれども、どういうところを選んで、支援している間にどうなれば拠点になったと言えるというふうに、そういうターゲットというんですかね。イメージをどういうふうに考えているかというのをちょっとお聞かせください。
【説明者】  13ページをお開きいただけますか。これももう先生方、ほとんどがいわゆる学際領域的な分野の第一人者の先生でいらっしゃいますので、十分お分かりだと思いますけれども、まず、特色というイメージは、その13ページのポンチ絵にありますとおり、特色ある研究分野で、芸術分野ですとか、服飾、それから、最先端研究、こういった学問領域として研究名としての特色性もあると思いますが、一方で、これらはそもそも共同利用・共同研究ですので、そういった面のアカデミアからの一定の支持を得た上で、全国的にそういった研究設備を利用することによって、よってもって、我が国の学術の底上げを図る。研究力の底上げると。
 そういった点について、実は、内規ですけれども、審議会を中において観点を幾つか設けて審査をしてございます。それも十分じゃないというのがあるかもしれませんが、それはこういった御議論の場を通じてフィードバックさせていただいて、適切なメルクマールができるように、引き続き留意してまいりたいと思ってございます。
【田辺委員】  それで、その論文数で相当伸びているということなんですけれども、論文の数があればいいというだけじゃなくて、まさにこれは世界のトップクラスというか、評価される、日本独特のものはまた別かもしれませんけれども、そういうような、何というんでしょうか、評価、質を見込んだアウトカムというか、アウトプットの評価というのはどういうふうにされていますか。
【説明者】  まさにそれはおっしゃるとおりでございまして、その点が実は今欠けているところだと思ってございまして、中間評価は終わってございまして、最終評価の中には、そういったインパクトファクターについてのものですとか、そういった質についての分野、もちろん学問分野によってはなかなか難しいという御議論もありますけれども、そういった点に配慮した形で、評価指標というものを持っていかなきゃいけないということは課題だというふうに認識してございます。
 どうもありがとうございます。
【田辺委員】  もう一点だけ。すみません、それで、今回、この評価、持続性とかを見るときに、最後のところで事後評価、期末評価といいますか、という形でされているということなんですけどね。それと、大学の体制といいますか、そういうようなのも選択するところからというのがあるんですけれども。
 どうも見ていると、最後になって、まだ学内支援が弱いんじゃないかと出てきていますが、本当はこの6年後の直後、3年後、6年後じゃなくて、本当に拠点としてきちんとやってなかった場合に、これ、そもそもあれになるわけ、何ていうんですかね、無駄になるわけで、そういうもうちょっと何ていうんですかね、数年たったところでの評価、なおかつ、そこできちんとやってないときは、支援したお金を返してもらうとかいうようなきちんと拠点があるためのがないと、この6年間だけきちんとやれば、これは一応終わるという、今のスキームはそうなっているような気がするんですけどね。その点については何か議論は。
【説明者】  当方に限らず、文科省の事業は基本的にそういう事業が多いというふうに私も思いますけれども、当方の事業に関しましても、そういった形で、きめ細かな、大学が現場が過度な御負担にならない形で、実は私ども、現地調査をさせていただいていまして、実は認定数が少ないということも幸いしていまして、フェース・ツー・フェースな形での対話を大事にしてございます。
 そういう点について、田辺先生から今御指摘いただいた点も含めて、きちっとその持続可能性が保てるかというのは大事な話でございますので、審議官ともちょっとお諮りしながら、十分留意して、その点もここに含めてやっていきたいと思います。
 ありがとうございます。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  引き続き、御議論いただきますが、外部有識者の皆様におかれましては、コメントシートへの記入も平行してお願いいたします。記入がお済みの方は挙手いただければ、事務局の方でコメントシートを回収いたします。
 それでは、太田委員。
【太田委員】  10ページのグラフなんですが、これ、まず、素朴に事実関係をお伺いするんですが、平成21年から22年で国立大学が激増しているのはどういう事情なんですか。
【説明者】  お答えさせていただきます。もともと国立大学の方では、こういった共同利用・共同研究拠点という仕組みは研究所の方でやっておりまして、これは20年度から国公私立共通の制度として始まりましたけれども、22年度に国立大学がもともとやっている仕組みを一斉に移行という経緯がございましたので、もともとやっていたところを制度に併せて移行したというのが平成22年度という形になっております。
【太田委員】  そちらの方は、別途予算措置されているという理解ですか。
【説明者】  運営費交付金等の中で一定程度措置をしているということでございます。
【太田委員】  なるほど。その運営費交付金の中の内訳がこれに相当する額は幾らぐらいというのは分かります?
【説明者】  60億台、ざっと。
【太田委員】  60億ぐらい。
【説明者】  ぐらいの辺りだと思います。
【太田委員】  で、70ということは、一つの当たり、1億円弱ということですね。私立大学、国公立大学の方は拠点の方はお幾らと。
【説明者】  4,000万が標準ですけれども、実際は2,000万ぐらい、ですから、スタートアップですね。
【太田委員】  スタートアップ。国立大学に比べて、約半額か3分の1ぐらいと。
【説明者】  その点は厳しく、審査関係者の方からも御指摘いただいているところでございます。
【太田委員】  そうですか。それは私立大学が少ないのか、国立大学が多いのかという議論になると思うんですけれども、どのようにお考えでしょうか。
【説明者】  行政事業レビューでなければ、少ないというふうに言いたいところです。
【太田委員】  なるほど。その1円当たりの効果、論文数ですね。どちらの方がより少ないコストで成果が出ているんですか。
【説明者】  論文数の公私立大学ごとのちょっとデータは持っておりませんが、恐らく私立大学の方がある部分においては当然御貢献なさっている分野もあろうと思いますけれども、そういうコスト感覚みたいなやつはちょっと十分、私どもで認識してございませんでした。ちょっとこれを期に勉強させていただいて、今後の評価書に生かしたいと思います。すみません。
【太田委員】  こちら、成果の方では、13ページの方では出ているわけですよね、右下に。拠点が整備したら、これだけ効果があったという話。同じことは国立大学でされてないんですか。
【説明者】  今、データはございませんけれども、国立大学のは国立大学の方で、認定とは別に、また見直しの評価審議会等がございまして、そこが厳しく見ていますし、そもそも、中期目標、中期計画を立てる時点で、研究所を含めた組織再編、組織整備というのをすることになっていますので、そこはいろんな形で適切なチェックが入っているというふうに思います。
 ただ、そうした精査については今後、私立大学もありますので、先生の御指摘を踏まえて、突き合わせる形で、よく精査してまいりたいと思ってございます。
【太田委員】  その全体の数を増やすのであれば、1円当たりにどちらの方が論文数が増えるかというのを調べて、その効果の高い方に投入するというのがごく常識的な手法かと思いますので。
【説明者】  一つの貴重な御意見として賜りたい。ありがとうございます。
【太田委員】  あとは、これは人件費に使われているのは二十何%という話だったんですが、これ、こういう拠点整備されて人件費に充当できるとなると、一番やはり心配なのは、就職のない博士課程修了者の一時的な待機所といいますか、ホットパーマネントな職、若しくは、有期付きの職が、常勤の職が得られるまでの間に一時的にここに所属してもらうという形で使われがちだろうと思います。
 例えば、ある分野の何々先生がどうもこういう拠点を作ったらしいというと、例えば学会で会ったときに、いや、うちの卒業生、職なかったんで、ちょっと一、二年頼むよという会話が起きることは非常に予測できることでありまして、それが本当にその人の専門と研究拠点の研究テーマがマッチしているどうかというのはどのように判定される。そこが厳しければ、そういうある種の悪用ではないですが、用途替え使用みたいなものが抑制できるかと思うんですが。
【説明者】  事前の段階では、難しければ、やはり事後の現地処分スポットのオンザスポットのそういった調査、現地調査などで実際に調べてみるとかという形で、先生がおっしゃったような趣旨が完璧がどうか、見て回りたいと思います。その点は十分ではないかもしれませんので、そこは十分、今後考えてまいりたいということでございます。
【太田委員】  余り限定してしまうと、例えば関連する分野なのに、実は厳密には専門が違うからはじくというようなことになると、それはそれで厳し過ぎると。結果として出ているのは、本当にそのテーマの論文なのかということも、余り厳密に見過ぎると、急に思い立って別のところに役に立つということも当然あり得ますから、よしあしなんですけれども、余りにも無関係なものが無関係に入っているとなると、それはそれで、さじ加減が難しいということではあろうかと思いますが。
【説明者】  おっしゃるとおりだと思います。15ページに、一応、どういった形が、人件費の形、どういう方が採用されているかというざくっとした属性が書かれておりますが、今先生がおっしゃった点についてはより内在的な問題だと思いますので、先生がおっしゃったような点も十分踏まえて考えてまいりたいと思っております。
【太田委員】  ありがとうございました。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  では、有川委員、先にお願いします。
【有川委員】  1点お伺いしたいんですけれども、16ページのこの右側、グラフの右側、設備等の共同利用数を見せていただくと、学内と学外が半分、五分五分ぐらいですかね、同じぐらいの数字になっていて、それなりに学外の利用もあるとは思うんですけれども、研究資源の公開体制がどういうふうに整備されているかというのは、どういうふうに検証されているんでしょうか。
【説明者】  これも事前で一番大事なポイントの一つが、学外への共同利用の支援体制、提供体制がきちっといるか、要するに専属のスタッフがいるかというのはチェックしてございます。
 それは当然、中間評価や現地調査などでもチェックしてございますので、そういった点は一応チェックしているという点は、この際、申し添えたいと存じます。
【有川委員】  人的スタッフの有無ではなくて、実際、研究資源がどれだけあります、いつ利用できますというような形での情報発信はどういうふうにしてチェックされているんですか。
【説明者】  もちろん大学のホームページもございますし、前提として、関係の一番深い学会がエンドースメントを一定程度しているかという点が申請の条件になってございますので、当然そこがなるということは、そういった学会が使い勝手がいい形でフォーマットが用意されているということになってございますので、そういう点においては、一定のその利用可能性といいますか、使われている担保はできているかなと思いますが、十分じゃない点があれば、そこは見直してまいりたいと思ってございます。
【有川委員】  それはアウトプットなんかには全然指標としては今のところないということですね。
【説明者】  もし、そういった点も確かに大事な点でございますので、アウトプットないとして指標として必要であるかということについてであれば、関係審議会の委員とも御相談しながら、徹底して検討してまいりたいと思います。
 ありがとうございます。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  松浦委員、お願いいたします。
【松浦委員】  よろしくお願いします。
 16ページ……、失礼しました、口頭でちょっとお聞きしますけれども、2点ほどお聞きします。
 この事業自体は、あちこちにたくさんの機関にお金を薄くばらまくよりは、どこか拠点をきちんと立て上げて、そこに研究者が自分のファンドを持って研究していただくということなんだろうと私は個人的に理解しております。
 そこで御質問ですけれども、そういう考え方で、インフラを整備する、インフラにはもちろん自分たちの事務の方も必要だと、技官の方も必要だと思うんですね、人件費が発生すると。それから、ちょっと理系が幾つかあるんですけれども、特に心配なのは、理系の場合にはコンピュータとかデータベースとかという言葉が出てくる。サーバは6年が貸与限度、クライアントは3年と今言われていると。
 それをリプレースどうしても掛けなくちゃいけないですけれども、そのときにはお金なくなりますね。外からグラントを持った研究者の方に、その分、言ってみると民間では減価償却の金額ですけれども、人件費を見込んだ額をきちんとチャージして、料金設定をしたような運用をされているかどうかということをちょっとお聞きしたい。
【説明者】  基本的に共同利用ですので、いろんな研究者に使っていただくことが大前提でございますけれども、ただ、やはり一定の使えば、資材ですとか試料に掛かる費用というのは一部徴収している形で、なるべく自走するような形で活動しているということになっておりますので、ただ、共同利用、一定の実費分を頂いているというふうに設備を扱っているところもございます。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  よろしいですか。
【松浦委員】  分かりました。
 我々も昔はよくそういうことをしまして、消耗品の研究費だけを自分で持ち込んで使わせていただくと。でも、それはずっとコンティニュアスに財源があって機器更新ができるという環境が保証されているから、それができたんだけれども、これは立ち上げのブースト資金が3年、それから、強化資金が3年で、計6年でなくなっちゃうというときに、電算機等々に関してはサーバはもうリプレースしなければいけないタイミングです。そのときのいわゆる減価償却分をきちんと積んでおかないと、多分このモデルは破綻しちゃうと思うんですね。
 人員に関してはスクラップ・アンド・ビルドで何とか横滑りできるかもしれないですけれども、本来はそのスタッフの人件費というのもちゃんとチャージしなくちゃいけないんだろうと。
 そういう環境の中で、グラントを持った研究者が行っていただいていることを是非検証していただきたいし、そういうこともモデルも検討していただきたいと思います。
【説明者】  ありがとうございます。これも行政事業レビューでなければ、大変有り難い御指摘で、設備費がなかなか大学、付かないという重大な問題が、多分先生もお困りだと思いますけれども、そういった問題というのが内在的に関連していると思いますので、先生の御指摘を踏まえて、広い意味で、会計課長がいらっしゃいますけれども、いろいろ御相談してまいりたいと思ってございます。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  引き続き、御議論賜りますが、コメントシートへの記入をなされていない外部有識者におかれましては、コメントシートへの記入をお願いいたします。事務局はコメントシートの回収をお願いいたします。コメントシート取りまとめに若干のお時間を頂きますので、引き継ぎ、外部有識者におかれましては、御議論を頂ければと思います。
 中室委員、お願いします。
【中室委員】  ありがとうございます。ちょっと先ほどの質問とまたオーバーラップしてしまうかもしれないんですけれども、11ページのこの現在採択されている拠点をざっと見てみますと、例えば社会科学で私が何をやっているか分かるようなところだけ見ても、この研究センターだったり、データアーカイブだったりするところの研究代表者が結構大きい科研を持っているというふうに類推されるんですね。
 例えば特別推進とか科研Sとかというような、基盤Sと言われるような、かなり大きな研究費を持っておられる先生が代表者を務めているような研究所がこの資金で採択されているんではないか。
 そういうふうに考えると、一番最初に亀井さんが質問された、なぜ科研費などの競争資金の枠組みの中でこれができないのかということがやっぱりちょっと疑問として残るんですけど、その点はいかがでしょうか。
【説明者】  先生の御学問分野で御覧になっているのがどこかというのはあれですけれども、例えば、確かに、国立大学だと、公私立に限って言うと、ただ、一方では非常に本当のスタートアップとして、そういった支援を、要するに、研究者個人であると、結果的に組織的にまさに御議論になっているように、永続できないという点があるので、学内としての意思決定をした上でスタートアップをして、共・共拠点とした活動をしたいという点があるので、多分、学校によって違うと思う。
 ただ、先生のような、多分、経済学と総合政策などの分野で大きなところは基本的に、例えば先ほど申した国立であれば、基本的な人件費分ぐらいしか動いてなくて、研究費はまさに拠点としてのまさに研究力を生かして、大きな研究を取っていくということでございますので、そういう意味では、ロールモデルとしては大きなところが将来的にあって、スタートアップの時点では、例えば小さなと言ったら失礼ですけれども、萌芽的な部分については、それを目指して、最初の段階で、我が方のこういった公私立の予算を活用していただいて、それで持っていくという、そういういわば経時的なといいますか、そういう流れの中で、こういった予算があるんじゃないかというふうに私も位置付けておりまして……。
【中室委員】  その理念としてこういうふうに分けられているというのは分かるんですけど、現実問題として、科研費の大型の資金の獲得とかぶってないかどうかというのはリサーチされていますか。
 もしそうなのであれば、何が気になるかというと、その資金が一緒になって使われているという可能性が。
【説明者】  分かりました。今時点では、少なくとも公私立に関してはないと思いますけれども、もう一度調べますし、今後、そういった点について、重複という観点はやはりあってはいけないことだと思いますので、そこは足らざる点があれば、その点は審査の段階でチェックするようにします。
【中室委員】  いや、重複があってはいけないというふうに思わないんですけれども、もしも、科研費の枠組みの中でやれるのであれば、その方がすっきりしているんじゃないかというふうに思うんですけれども。要するに、例えば、大型の研究費を取っている先生たちが、そこで収集した例えばデータなりというものを他の研究者にも使ってもらえるようにしましょうというインフラ整備をなぜ科研費の中でできないのかということなんですけれども。
【説明者】  拠点としてのそこは整備の話がありますので、御議論としては分かります。分かりますけれども、一応、拠点としてのそれぞれ、あと、研究者が個人としてやった、個人的にやるのもそういった科研費の領域がありますけれども、そこの上で、どういった形でいい意味での制度的なフィードバックができるかについては、先生の御指摘を踏まえて担当課とも相談しますが、一応、制度的な前提としては、私、るる申し上げている点ということは御理解いただきたいと思います。
【太田委員】  関連で事実確認なんですけれども、科研費で支出できなくて、こちらで支出できる項目ってありますか。例えば、通常、研究機関で備えるべき備品の類いというのは多分、研究費では出さないですよね。これはそういったものも出せるということですか。
【説明者】  出せます。
【太田委員】  資質項目が違うとういことですか。
【説明者】  ええ。
【太田委員】  通訳もこれは出せるけれども……。
【説明者】  出せます、出せます。
【太田委員】  要は、科研費よりも、こちらの方が資金の自由度が高い。
【説明者】  高いです。
【太田委員】  それは科研費の方が逆に厳しいという言い方。
【説明者】  いや、そういう御趣旨では話ではありません。科研費の担当がいないところで言うのはちょっとアンフェアだと思いますので。それで、違うものは違うというふうなことだろうと思います。ただ、我が方としてはそういった、なるべく組織整備としての使い勝手の良さと考えてございますので、すみません、十分に科研費についてお答えできないことをおわび申し上げたいと思いますけれども。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  亀井委員、お願いします。
【亀井委員】  基本的にはやっぱりものの考え方としては、基本はやはり国に対して科学者だとか研究者が向くんではなくて、行政府に対して向くんではなくて、やはりコミュニティの中で自立をする形をより促していくのであれば、こっちだったらこのお金を取りに行けるとか、それは国から取れるとかではなくて、やはり基本的には科研費に収れんをさせていくという形が本来は僕はあるべき姿だとは思います。
 そこは多分、もうお釈迦様に説法で、よく御理解はされているんだと思いますので、そこは是非、そういう収れんのさせ方があり得るのか、一方で、さっきの科研費はいろんな、ちょうどお昼のときにもそんな話が、そういえば、使い方をおかしくする人がいて、その結果として厳しくなってきた多分歴史もあるんだと思うんで、そういう中で、何かこっちに抜け道があってというような形で、かつ、何か取れる人は両方取れるみたいな形になっているのはアンフェアではないかなという中で、変なゲームが起きないようにするのが、かつ、そのゲームに文科省が、何というか、そこをアクセラレーションさせないのがすごく大事だと思います。そこはもう御配慮いただけるようにお願いしたいと。
 もう一つは、さっき、太田先生が御指摘をされた話にまさに重なるんですけれども、やっぱりこれ、ある種のもともとのスタートが、国立とそれ以外のある種の格差にあるわけですよね。そこをどうやって、これも是非、これはむしろ、この事業の中で回していただきたいのは、ある種フェアでない部分をどうやってフェアにしていくのか。片や交付金の中に入っています。それはいろんなプロセスがあって、きちっと見られていますけれども、ただ、基本的にはこれは渡し切りで、この中の算定根拠はあるけれども、その中をどう使おうが、それは彼らの自由ですというお金ですよね。
 こっちについてはそういう特定目的があって、そこを是正するために出していますが、単価で割ってみたら、単価が違いますねというのはやっぱりそれはおかしくて、ある種の例えば研究の生産性とか、あるいは、効果とかによってきちんと見ていって、ある種のイコールフッティングはされていくような形にしていくのはあるべき姿ではないかなと思いますので、そこは是非、なかなかまたいだ話なんで大変だとは思うんですけれども、工夫をしていただきたいなと思います。
【説明者】  御指摘、ありがとうございます。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  松浦委員、お願いします。
【松浦委員】  私はシートを出してしまったもんですから、感想でございます。ほかの委員の先生の御質問も私の経験も踏まえて、ちょっとですけれども。
 まず、科研費の話ですけれども、確かに非常に使い勝手はよろしくないというのは実感しておりますので、やっぱり備品を50%超えちゃいけないとか、始めから共同研究者、分担研究者を連名で出さなくちゃいけないですから、この事業のように、全国にこれを公開して、どうぞ使ってください、料金払ってというシステムにはなってないですね。どっちがいいのかというのはもう別。
 先ほどお聞きしたのは、私がお聞きした趣旨は、そういう意味で、科研はグラントの一つであるという認識の下、こういう拠点を整備したところを使っていただく、使わせてもらうのにチャージが幾らですよというようなものを科研の方に申請して、コスト、そちらからグラントを取るというイメージなのかなと思って、先ほどちょっとお聞きいたした次第です。
 以上です。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  田辺委員。
【田辺委員】  この拠点化ですけど、一つは公募しているはずなんですけどね。どの程度の応募状況なのかというのを教えていただけますか。
【説明者】  応募状況は、資料の12ページにございますとおり、こちらの支援額推移の申請数のところに、こちらが応募状況でございまして、ただし、事前に相談も受けておりますので、最終的に申請があったのはこの数という御認識で頂ければと思います。
【田辺委員】  まだまだ応募が多そうなんですけどね。
 もう一つは、やっぱり公立、私立の拠点も本事業で応援したようなところだけが拠点ではなくて、既に拠点化しているところもあると思うんですよ。あるいは、これから、このさっきのほかの例えば競争的資金を取りながら拠点化するところもあるわけですから、この事業でやったところだけを見るというよりも、これ、もう事業として終わった場合は、そのフォローなんですけれども、僕、公立、私立大学の拠点化というのをもっと広く捉えて、本事業以外の拠点化もある意味、目配りをしながら応援していくとかいうことで、何か政策でやっているところだけを応援するというんじゃなくて、資金的な支援は難しいかもしれませんけど、もっと広く総合的にといいますか、拠点化というのを見て、それをまたPRしていくとかということを考えてはどうかと思うんですけど、いかがですか。
【説明者】  大変貴重なまた有り難い御指摘だと思います。科学力を組織として、公的資金にとって大変重要な点だと思いますが、実は、共同利用・共同研究拠点以外の全国の例えば附置研究所ですとか、センターといった場で協議会がございます。そういったものがまさに一つのコアになると思いますが、そういうところは、先生がおっしゃった形で、より広く対外的な可視化を含めていくとか、そういうような努力をする中で、またそれに併せて、文科省というのは様々な形で予算措置等を講じていますので、そういういった相乗的にまたそういった点について取り組んでいくということで、先生の御趣旨を体現していくのかなと今拝聴してございました。
 ありがとうございます。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、コメントシートへの記入をまだなされていない外部有識者におかれましては、コメントシートへの記入をお願いいたします。コメントシートの取りまとめに若干のお時間を頂きますので、その間、引き続き御議論を頂ければと存じます。太田先生、お願いします。
【太田委員】  これは、先ほどから一本化というか、できるだけ集約した方がいいのではないかということについてなんですけれども、これ、私もコメントシートを出してしまったので、感想ベースなんですけれども。
 やはり年がら年じゅう、アプリケーションを書いていると、年がら年じゅう、成果報告書と、あと、経理の事務の処理をしていて、それに相当数の研究費と研究者の時間が割かれている。その事務作業が膨大になっているから、生産性が下がっているという面はかなり大きくて、これ、別枠にしておくと、別に応募しないといけないですよね。応募する段階では、何といいますか、どちらか片方通ればいいけれども、落ちるかもしれないから両方出しておこうというのも当然出てくるはずで、いろいろ複数財布があることによって困る。また、研究費を使う段階でも、こっちにはこの費用は持っていけるけれども、こちらには持っていけないと。これ、財布は当然、仕切りが多くなければなるほど、使いにくくなっていくわけで、資金の有効利用にならないわけですよね。
 すると、やはり、恐らく最低限、2種類の研究費が必要なんだろうと思います。一つは、科研費のようなボトムアップ、研究者の発案から出て、将来性があるかどうかは現場の人が一番よく分かっているので、研究者側から来る。
 あとは、国策で、例えば先ほどあったような地震の基本的な基礎研究が足りないから、ここはどうしても必要だと言ってトップダウンで来るというのは、大きく二つはあると思うんですけれども、そのトップダウン型のものは各省庁に大量にあって、これは別々に応募しないといけない。しかも、この科研費みたいなボトムアップ型のものも幾つも複数あって、まだあの後、出てくると思いますが、国際的な連携に限って使えるというようなものもあるわけですね。
 こういうものは何とかまとめていただいて、その中で十分に使えるようにある程度集約していただかないと、事務作業負担が全然減らないんじゃないかと。それぞれにお金の使い方、制約が違いますので、全部頭に入れておかないといけないんですよね。その事務コストも相当なんもんだろうと思います。
 感想ベースでした。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  中室委員、お願いします。
【中室委員】  ありがとうございます。ちょっと私もくどくて申し訳ないんですけど、さっき松浦先生がおっしゃったような方法だと駄目なんでしょうか。すなわち、共同研究拠点のインフラを整備するということにお金を出すんではなくて、自分が使いたいと思う拠点の何か設備なり、データなりに、研究者がお金を払うと。
 その費用を科研費で払えるようにするという方法であれば、この研究拠点の方はずっとお金が入ってくるわけなので、自己収入になって、それで人を雇おうが、新たな何かインフラを整備をしようが自由なわけですので、共同研究拠点にとっても研究者側にとっても、さっき松浦先生がおっしゃったような方法の方がはるかにいいのでないかと思いますし、さらには、田辺先生がおっしゃったように、特定の研究拠点、20大学22拠点ということに限らず、それであれば、全ての日本じゅうの拠点の中で自分がアクセスしたいところにお金を払って自分でアクセスできるというわけですし、さらには、太田先生がおっしゃったように、科研費に一括で集約できるので、研究者の書かなければいけない書類の量も減るんじゃないかと思うので、そのやり方がなぜ駄目なのかということをちょっと教えていただきたいんですけれども。
【説明者】  にわかにはお答えをする立場にもないですし、準備もしていませんけれども。一つの考え方としてはあろうかと思いますけれども、ただ、それぞれの学問コミュニティごとの状況とかもいろいろあると思いますし、また、提供体制をする側の方の発信側の大学の方とか研究拠点の方の必要最小限での制度整備というのがないと、今おっしゃったようなことはそもそもできないと思いますので、その兼ね合いとバランスだと思います。
 一つのいわば基幹的な組織整備と研究者に対する個人補助とのベストミックスが、太田先生がおっしゃったような基本的な大学の先生方の御負担というのを軽減するという形で、どういうのができるかという点が大事な点だというふうに今受け止めてございますので、十分問題意識は念頭に置きながら、関係各方とも連携して、引き続き、改良してまいりたいと思います。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  ほかに御議論、いかがでしょうか。
 太田委員、お願いします。
【太田委員】  これはインディレクトというか、間接経費も出ているんですか。
【説明者】  一般管理費として10%出ております。
【太田委員】  その一般管理費は、研究者でなくて大学側の管理費と。
【説明者】  はい、そうです。
【太田委員】  これは科研費と同様に、余った場合に返納してもペナルティーがないという仕組みにはなっているわけですね。
【説明者】  ないです。もちろん、費目間流用も認められておりますので、30%まで認められておりますので、当初の金額とまた変更があったところについては、それを充てて使うこともできます。
【太田委員】  それは返還した場合は、間接経費も戻すんでしょうか。
【説明者】  返還の場合は、間接経費は戻さないです。基本的に、間接経費は与えられたときに、そこの大学として使える機関経費ですので、特に戻すことにはなっていないです。
【太田委員】  そうですか。それはほかの研究費も、ここで言うべきかどうか分かりませんけれども。何か一部、使い切らなくて返納しても何の問題もなくなったということが言われる一方で、一部大学では使い切ってくださいと事務方から言われることがあって、それ、ひょっとしたら間接経費の制度の問題かなと思ったんですが、そういうわけではないですかね。この件に関しては。
【説明者】  ないです。
【太田委員】  間接経費は戻さなくていいと。
【説明者】  そうです。はい。
【太田委員】  分かりました。ありがとうございます。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、コメントシートの集計がまとまりましたので、取りまとめ役の有川委員より、評価結果、及び、取りまとめコメント案の提示をお願いいたします。
【有川委員】  私の方から、発表させていただきます。
 投票結果につきましては、6人の委員全員、事業内容の一部改善という結果になりました。
 主な委員のコメントを紹介させていただきます。
 事業の継続性の関係がかなりの委員から意見が出ております。事業の継続性という点では、もっと説得性が必要だという意見。事業の継続、持続可能性のためには、特に理系の機械交換などが念頭に示されていますけれども、当該期間において、財源確保計画などが立てられているかどうか、持続可能のための財源確保計画が立てられているかどうかをきちんとフォローしていただきたいという意見。
 それから、拠点として持続することが事業目的であるけれども、それを担保する取組がやはり不十分ではないか。また、事業終了後、拠点として機能しているか、評価する仕組みなどのフォローも施策として必要なのではないかという意見であります。
 それから、幾人かの委員からやっぱり積極的に議論が出ましたのは、科研費や他の競争資金と一緒になって使用されているかどうか、そういった実態を確認、検証していただき、それを踏まえて、競争資金等への収れんの可能性についても検討する必要があるんではないかという意見。
 それから、成果指標の関係では、共同研究のための資源の公開体制の整備や、公開状況についても把握、検証する必要があり、それを評価指標にすることも検討されたいという意見。それから、成果指標となる論文については、査読の有無だけではなくて、インパクトファクターなども考慮すべきであるという意見。
 そのほか、これも重要な意見でありますけれども、学術成果につながる資金は、国公私立に関わりなく、出すことが成果の最大化につながるのではないかという意見と、少し切り口の違う視点でありますけれども、同じように、効率的な資源配分、資金配分という観点から、もともと国立などとの格差を是正するというこの本事業の目的に即すると、それを踏まえると、この国公私立に対する金額水準はやはり目的に沿ったような規模にはなってないように見える。
 研究の生産性や成果を踏まえて、より公平、公正な資金の配分を目指すべきではないかという、このような意見が主な意見として出されております。
 最終的なこの会議での結論としては、評価結果としては、事業内容の一部改善として、それに対して、取りまとめコメントとしては、大きく三つの点で整理させていただきたいと思います。
 1点は、本事業の持続可能性、事業の継続性という観点から、いろんな工夫といいますか、それを担保する取組を適切に確保していただき、それに対するフォローアップもきちんと行っていただきたいということと、二つ目が、他の基礎的資金等との使用の実態について検証してもらい、必要があれば、競争的資金等への収れんの可能性についても検討することというのが2点目で、三つ目のポイントは、本事業の目的から考えて、やはり国公立、国立大学と公立、私立大学とのその公平、公正な資金配分というものについても更に検証、検討してほしいという、こういう意見としてまとめたいと思いますが。では、それで。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、以上をもちまして、特色ある共同研究拠点の整備の推進事業の公開プロセスについては終了させていただきます。
 次の教員資格認定試験の事業につきましては、14時35分開始といたしますので、よろしくお願いいたします。
( 休憩 )
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、5コマ目を始めさせていただきます。
 このコマにつきましては、樋口大臣政務官が参加されておりますので、御紹介いたします。
【樋口文部科学大臣政務官】  お世話になります。どうぞよろしくお願いいたします。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  では、これからの時間帯は、教員資格認定試験の事業につきまして御議論を賜りたいと存じます。
 初めに、事業概要の御説明をさせていただきます。事業担当課は、5分以内で簡潔に説明をお願いします。
【説明者】  失礼いたします。教職員課でございます。よろしくお願い申し上げます。お時間が限られておりますので、簡単に説明をさせていただきます。
 資料の方、11ページから御参照いただければと思いますけれども、教員資格認定試験の関係でございます。
 広く一般社会から、大学での教職課程で所要の単位を修得していない者が教育者としてふさわしい資質を身に付け、教育に熱意を持つ優れた人材を教育界に受け入れるという制度で、教員免許の例外といたしまして、昭和48年度に創設されたものでございます。
 きょう、御参考に免許制度がどうなっているかというのを入れさせていただきました。12ページでございます。次のページを御覧になっていただいて、免許状制度、現在、普通免許状、特別免許状、臨時免許状という制度になっております。普通免許状は、専修免許状と、さらに、一種免許状、二種免許状。これは修士課程程度、大学程度、大学卒程度、短大卒程度という形で分かれてございまして、普通免許状に関しては、全ての都道府県で共通で対応できると。それから、特別免許状、臨時免許状は、授与を受けた都道府県内のみということになってございます。
 それから、普通免許状でございますが、学士の学位、それから、教職課程等を経まして、教員免許状が授与されるということになってございますが、下の普通免許状のマル2のところを御覧いただきますと、今回の教員資格認定試験のことの言及ございます。大学における養成の例外として資格認定試験を実施しており、合格者には普通免許状のうち、幼稚園の二種免許状、小学校の二種免許状、特別支援の自立活動の一種免許状と、こういう形で交付されているというのが制度の立て付けでございます。
 お戻りいただきまして、11ページの方でございますが、簡単に、政策といたしましては、社会人の教員免許取得促進と、教員採用における社会人の積極的な活用、これを二本立てでやってございまして、社会人の教員免許取得促進の関係は先ほどの特別免許状の関係とこの教員資格認定試験によって、普通免許状を交付するというような取組でございます。
 それから、採用の方でございますが、一般選考として、社会人経験による試験科目の一部免除というものと、全く最初から社会人の特別選考という形で、別のトラックでやっているものもございます。こういったものが採用のしかけになってございます。
 事業の概要、13ページでございます。幼稚園、小学校、特別支援と、やってございますが、幼稚園に関して参考に申し上げますと、問題作成を3大学、試験実施を7大学、計10大学で対応しているという状況でございます。
 それから、14ページでございますけれども、平成28年度実施状況、過去3か年の応募者の推移などを入れてございます。ここの少し御参照いただきたいのは、下の幼稚園の部分でございますけれども、平成27年度に、こちらは認定こども園法が改正されまして、保育教諭の、この幼稚園教諭の免許状と、それから、保育士資格の併有が義務付けられてございますが、31年度末まで、これは猶予期間がございます。これによって、猶予期間中の軽減措置という点で一部、今ございまして、大学でも、例えば単位でも二種免の場合、通常31単位必要なところ、それが8単位ということで軽減措置が講じられてございますことから、現状27年度以降、資格認定試験の方にちょっと流れてきていただいている方が少なくなっているというのが実情でございます。
 それから、28年度の執行状況、15ページでございます。これはもう先ほどのお話と重なりますので、特に御説明申し上げませんが、現状、幼稚園の場合ですと、13大学等やっていただいております。
 それから、16ページ以降は、それぞれの試験、幼稚園、小学校、特別支援の関係の概要でございます。16ページでございますが、幼稚園と保育所の連携の促進、幼保連携型こども園の保育教諭の併有の義務付け、これに対応できるようにできるだけ対応していくということでございます。
 それから、17ページの方、小学校でございますが、特別免許状では、先ほどの小学校の全教科を担任ということができませんことから、社会人に小学校の教壇に立っていただく。全教科を例えば小学校で担当していただくとなると、この教員資格認定試験で普通免許状を取っていただくルートがございます。
 それから、次のページ、18ページでございますが、特別支援の関係でございます。これが少し特別支援の場合、制度が細かいところがございまして、特別支援学校の教員の特別免許状の取得率が実は7割程度しかいないという実態。そこにちょっと書かせていただいてございます。これは免許法の特例で、当分の間、幼小中高の教員の免許状があれば、特別支援の免許に相当する学部の教諭になれるということでございますので、小中高、幼小中高の免許を持って教えられることによって、実は、特別支援の免許状をストレートに持っていない方が教壇に立っていらっしゃると。この面を是非とも早急に解消していきたいということで、今、政府一丸となって取り組んでいるところでございます。
 実際にこの試験を受けていただくバックグラウンドでございますが、福祉施設の職員の方、作業療法士の方、それから、他校種の免許状しかない方、それから、他の障害種しか免許状がお持ちでない方。実は障害の種類が、これは領域別ですと、視覚障害、聴覚障害、知的障害、肢体不自由、病弱者ということで、5つの領域に分かれてございます。こういったものに対する対応というのが一つ必要になりますけれども、これも実際に自立活動教諭というのも今、一種免許状で、教員資格認定試験でやってございますけれども、この場合は、分類として、視覚、聴覚、肢体不自由、言語障害教育という形で分かれてございます。
 それから、特別支援の関係が現状少し特異な経過をたどっておりますので、資料として19ページの方に、少し参照していただきたく、参考資料として入れてございます。特別支援学校の在学者の推移ということが全体としても増えてございますし、特に知的障害のお子さまが増えていらっしゃると。これは特別支援学校でございます。それから、特別支援学級の在学者の推移というのも全体として増えてございますし、特に自閉症、情緒障害、知的障害、この辺の割合が大変お子さまの割合が増えている。それから、その下でございますが、小中学校の通常学級の発達障害のお子さまの割合というのも大変増えてございまして、現状、今、我々として数字を把握しているのは約6.5%、いらっしゃるだろうと。40人学級ですと、約3人程度はいらっしゃるというような現状でございます。
 こういったことを踏まえまして、特別支援学校対応としてのいろいろな支援というのも考えなければいけないと思ってございます。
 最後に、20ページの今回の事業の御指摘を頂いている中も含めての見直しの方向性なども書かせていただきました。20ページでございますが、まず事業実施の改善のところでございますけれども、希望者が広く受験機会を得られるように、今後、試験会場数の拡大という点も考えてまいりたい。それから、特別支援学校の教員の資格試験の場合でございますが、従来、全ての障害種の試験を一括で実施しておりましたから、委託先が1件に限られておりました。これは筑波大学だけでございました。これが今後、障害種ごとに委託先を公募することなどによって、複数の会場で試験実施が可能になるようなことも考えてまいりたい。
 それから、2つ目でございますが、具体的な事業の成果の検証としては、受験者数と合格者数を中心に成果指標を持ってまいりましたけれども、今後は実際に試験に合格した方が実際採用されて、どういう形で通常の4年の教職課程を経た人間と違いがあるのか、ないのか。配置の先でどういう活躍をされているのか、されていないのか。こういった点についての追跡調査というものが行えないだろうかということを考えてございます。
 実は、21ページを御覧になっていただいて、アウトカムのところでございますが、定量的な成果指標、2つ、マル4、マル5のところでございます。小学校と特別支援をここに言及させていただいてございますが、小学校の資格認定試験に合格して、教員に採用された者を一定以上を輩出すると書いてございますが、これに加えまして、小学校の場合ですと、追跡調査を行うことによって、例えば平成24年にこれはアンケートという形がやらせていただいたんですけれども、実際に採用試験を受験した方で採用になった方の割合が大体50.2%。そして、採用者のうち、社会人の割合というのが103人ということで、41%でございました。こういった数字もアンケートでのみ、これまで把握しておりましたので、これを是非追跡調査をすることによって、いろいろ効果検証というものをしっかりやってまいりたいと思ってございます。特別支援の方も同様でございます。
 お戻りいただきまして、20ページの2つ目、追跡調査で検証結果をやっていきたい。幼稚園の部分につきましては、保育士等の、これは現職の保育士が受けていただく場合が多くございますので、そことの間でまた具体的な効果検証を別途設定してまいりたいと思ってございます。
 最後に試験に関する幅広い周知・広報、ここも不十分なところが多々ございましたので、幼稚園に関しては、保育所や認定こども園等に対する周知、それから、特別支援に関しては、作業療法士や理学療法士などの団体とも協力しての周知、こういったものも従来以上、やってまいりたいと思ってございます。
 簡単でございますが、以上でございます。よろしくお願い申し上げます。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、私の方から論点について御説明させていただきます。お手元の論点等説明シート、1枚紙を御覧ください。
 論点の1点目、社会のニーズに合わせて試験の種類や内容の見直しを行っているか。
 2点目、契約の競争性・公平性・透明性が確保されているか。
 3点目、アウトカム・アウトプットは適切に設定されているか。
 以上の論点等について御議論願います。
 それでは、外部有識者の皆様からの御質問等をお願いします。説明者は、外部有識者からの質問に対し、簡潔明瞭に回答願います。
 では、亀井委員、お願いします。
【亀井委員】  まず大前提としてお伺いしたいんですが、19ページなんですけれども、具体的な資料を出していただいてありがとうございます。特別支援の学校も、特別支援学級についても、いろんな意味でニーズが広がっているというところは大変よく分かったんですが、一方で、これは供給、供給という言葉を使っていいのか分かりませんが、いわゆる教員の数、この話の前提として、きちんと教員がその専門性のある人がここに携わることができているかどうかというところについて、まずそこの問題意識というのはどんな形になっているのか、そこを教えていただけますか。
【説明者】  御指摘はごもっともだと思います。我々として、やはり特別支援の分野というのは大変専門性が高い分野であるし、あと、一人一人の子供の対応というのが、もちろん通常学級においても、子供の個性、特色に応じてというのはありますけれども、子供一人一人の特性というものは、大変これはいろんな形で対応が大変な部分も実際としてあるかと思います。
 おっしゃったように、そういう部分に十分、今の現状の体制で対応できているかということについては、やはり不十分なところがあるところはあるんだろうと思います。それは専門性の高さということのみならず、やはり教員の数の問題であるとか、あと、質の問題と、両方やっぱりそれはあるというふうに思っておりますので、そういった点については、例えば去年、法改正を一つさせていただいて、教員の質の問題ということで申し上げますれば、大学側の供給サイド、サプライサイドと、あと、デマンドサイドの教育委員会でございます。
 採用サイドが都道府県政令市でございますので、こういったものともっとつないでいく。教職大学院制度というものが10年前にできて、何とか実務家教員が現場に入っていって、教員の卵をしっかり指導するようなやり方というのは出てきたんですけれども、そこら辺がまだ十分連携できていない。デマンドサイドとサプライサイドが常に往還して、その中で対応できるようなやり方というのを、法改正によって、各都道府県協議会というのを必ずこれは設けていただいて、両方が一つの協議会で、共通の目標設定をすると。うちの地域の先生はこんな力を付けておいてもらいたいという目標設定を、それで、それをお互いに検証していく。そこに検証した結果、十分対応できていないところがあれば、それはその共通目標を設定した責任においてしっかり果たしていかなければいけない。
 こういった義務が課されるように、これは教特法という法律でございますけれども、去年の法改正でなったところがございまして、こういったもので幾らか担保していく必要はあるかなと思っていますが、まだ不十分なところがやっぱりあると思いますので、そういったものは特別支援に限らず、全ての教員の質という問題については、常に恒常的な問題だと思っていますし、常に成長していかなければいけないし、そのことが今、年齢構成上も大変難しくなっているという実情。大量退職、大量採用の時代になっていますから、その辺についても併せて考えていく必要があるかなというふうに思ってございます。
【亀井委員】  大変、今、大事な御指摘だったんだと思いますし、私も同じ問題意識なんですが、今まさにそれぞれ、もちろん障害を伴ってなかったとしても、それは丁寧にやらなきゃいけない。それはもちろん資質は求められるんですが、より求められる分野なんだと思うんですね。それに対して、きょうのこの取り上げる事業がどう貢献できているかというのが一番大事なポイントだと思うんですけれども、まさにそういう意味では、あれですよね。学校そのものを卒業しているというよりは、いろんな意味で、障害を伴ったお子さんとか、あるいは違う形で障害を伴った方々のサポートをされていた方がこういうことを行うことが、学校教育に関わっていただくことがより大事であると、この事業の趣旨でよろしいんですよね。
【説明者】  おっしゃるとおりでございます。実際、試験を受けていただくバックグラウンドに関しましては、やはり一番我々としては福祉施設の職員の方であるとか、あと、受けていただいてから実際にまだ免許が取れていない方で、二種免許状を持っているような方であると、寄宿舎指導員という方で、特別支援の学校ですとか、そういったお子様が宿舎で指導をしていかなければ、恒常的にしなければ、24時間体制でやらなきゃいけないという実情がございます。そういった面の指導経験がある程度おありの方であるとか、それを福祉施設で同じようなことをやってくださっている方、こういった方を幅広く社会に求めていって、そういった経験知を生かしていただける、そういったものを我々としてはできるだけ幅広く、こういう職に手を挙げていただければということで考えてございます。
【亀井委員】  そう考えると、今の、例えば4ページにある、アウトカムにある合格者数であるとか、あるいはこの前提にあるのは志願者数だと思うんですけれども、この桁はこれで合っているんですか。それとも、どのぐらいの水準の人数が合格していれば、今お話があったようなところについて、質はちょっと置いておいて、量として、質は多分議論はなかなか定性的なところにとどまってしまうと思いますので、量について是非御議論したいんですけれども、量については、このレベルの人数なのか、もう1桁上なのか、2桁上なのか、あるいはこの倍なのか、そこら辺はどう考えたらよろしいんでしょう。
【説明者】  御指摘よく分かります。やはり、正直言えば、人数は全く足りていないということがこのレベルの。それで、じゃ、レベルを下げていいかと、まさに今、質問でもおっしゃってくださいました。この試験問題、大体6割がラインで引かれておりまして、6割取れば合格するという試験問題になっているし、それは絶対的にそこのラインを超えてもらわないと、なかなか現場に行ってもなかなか対応できない。すぐお辞めになってしまうというようなこともまた一方でありますので、そこについては、一定、質の担保もしながら、やはり数としては、できる限り確保していきたいというのが正直なところでございます。
【亀井委員】  だとすると、これはまず、もしかしたらアウトカムは、まあ、合格者数であり、その後も実際に就職というか、仕事に就かれる方の数ということでよろしいかと思うんですが、当面のアウトプットというか、インプットの次に来るところとして、志願者数をある程度確保していくという施策が当然に求められてくると思うんですが、そこら辺、いかがでしょうか。
【説明者】  御指摘よく分かります。そういうことがまさに必要で、これまでそこは不十分だったのではないかと思います。それはある意味、この試験の存在自体、どこまで知られているかということもありますし、果たしてこの試験のルートで来られた方が実際どういうキャリアパスで、その後行っているのかという点が十分ではなかったと思うので、その辺の周知の方法であるとか、若しくは活用方法、この辺をもう少し我々も幅広く考えていく必要があるかなと思います。
【亀井委員】  これは大変大事な問題だと思いますよ。初等教育の根本の根本のような気がいたしますので、ここは是非、従来の枠組みにとらわれずやっていただきたいなと思いますし、ちょうど政務もおいでですので、まさに政治が頑張っていただかなきゃいけないところだと思うんですけれども、20ページに書いてあるような、この程度の見直し案でいいのかというのが率直なところでありまして、これは多分、担当課の範囲内では精いっぱいのものを出してこられたんだと思うんですが、ある意味、もう一段超えたものとして、現場のそれぞれ先生方も大変御苦労されていると思いますし、お父さん、お母さんも心配されるでしょうし、何より子供が一番困っているわけですから、そこのことを考えると、この20ページの対応というのが多分このレベルではなくて、もう一段踏み越えたところというのは何がありそうなのか。逆に、むしろ事業課として、課を超えてでも結構ですので、何かお考えあれば是非聞きたいんですけれども。
【説明者】  大変難しい御質問でございますので。我々として、きょう出させていただいたものが当面、優先順位として一番必要なものかなと思っていますが、おっしゃるとおり、これが全てではないですし、これが最終目標であってはいけないということはごもっともだと思いますので、もう少し我々としても、いろいろ全ての政策ツールを動員して何ができるかということは考えてみたいと思っておりますし、あと、やはり、実はこの追跡調査というのを今回書かせていただいたのは、これまではここさえできていなかったという我々の反省でございます。
 従来こういったもの、アンケート調査のものは一応やってはおりましたけれども、実際そのキャリアパスでどういう形で就職されて、どういう形で適材適所で配置されて、活躍されているかということについてもフォローが十分ではなかったし、それが多分この事業の生命線だとも思っていますので、そういった点をまずしっかり検証させていただいて、その上でどういう政策ツールが一番有効打になるかということをしっかり我々としても見極めてまいりたいというふうに考えてございます。
【亀井委員】  最後に、やっぱり県の教育委員会の理解も十分じゃないのかなという気は率直に思っていて、そこら辺も含めて、かなり意識を見直さないと、単に試験会場を拡大するだけでは思ったような桁数には行かないような気がいたしますので、そこは今の御担当の範囲を超えた論点として、皆さんで是非これは省を挙げて考えていただく必要があるんじゃないかなと、こう考えました。よろしくお願いします。
【説明者】  承知いたしました。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  田辺委員、お願いいたします。
【田辺委員】  重要な制度だと思うんですけれども、4ページに小学校の教員で合格した人のアンケートで、採用された人のうちの社会人が41.9%だということなんですけれども、ということは、社会人でない人がこの試験を受けているんじゃないかということで、本来は社会人でいろいろ経験積んだ人を入れるということなのに、これはあれですか。学生なんだけど、教職取っていないのが受けているということですか。
【説明者】  実はこれは現職の教員とかも受けています。要するに、免許の上申用にこれを使って……。
【田辺委員】  それは社会人じゃないですか。現職だったら。
【説明者】  ええ、教員ではありますが、社会人ですね。学生ではないという意味で。
【田辺委員】  社会人。そう。だから、ここで言う社会人が半分しかないということはおかしいんじゃないのと言っている。
【説明者】  教員は抜けて。
【田辺委員】  じゃ、正確にやってほしいなと思いましたけれども。
【説明者】  分かりました。申し訳ございません。
【田辺委員】  いずれにしても、社会に出た人をしないと、教職取っていない学生が受けているんじゃおかしいじゃないかと思って、それならそれで結構です。
 一方で、一つ疑問というか、この試験を受けただけですぐ免許をあげていいのかという問題で、教職課程で、大学できちんと教員のためのトレーニングといいますか、勉強した人が免許をもらうわけですけどね。この試験を受けただけで本当に教員にふさわしいのかどうか。つまり、試験の中で、ここにも書いていますけど、ふさわしい人をどうやって試験しているんですかというのが質問。
 もう一つ、学校側で問題起こしていませんかと。特に教職受けていないと、やっぱりこう、社会人同士の付き合いと全く違いますからね。子供というのはこういうものだとか、そういう教え方の基礎、こういったものを単に試験を合格しただけで免許を与えたのでは、これはやっぱり現場で混乱が起きているんじゃないかという気がして、そこについて現状をお聞かせください。
【説明者】  御指摘のような懸念というのは重々よく分かります。実はこの制度自体、そういう御批判とか御懸念とともに歩んできた制度であって、一方は、多くは4年の教職課程を経て、最終的に教育実習のものをやって免許を与えるというプロセスで、ある意味、プロセスを重視してやっていると。ここはどちらかというと、社会人としての経験とか実績というものも評価しながら、それでいて、もちろん試験もかなりこれは濃密にやってございます。小学校の試験ですと3次試験までやっておりますけれども、1次試験で択一式、2次試験で、あとは論述式であるとか口述式、あと、実技試験というのもやっておられますし、あとは指導案の作成ということで、それぞれこれは3次試験でやってございます。ですから、内容としては、担保されているというふうに我々も信じておりますけれども、今、先生がおっしゃったような、じゃ、実際に就職して、それぞれのルートで来た、バックグラウンドをそれぞれ背負った方がどういう方でそれぞれの特性を生かしていただいているのかどうかということの検証、これが一番必要なところだと思うし、今のお答えに一番、そこまでやっていればできると思いますので……。
【田辺委員】  いや、それで、検証よりも、基本的に教職課程というのは必要だからやっているわけですよ。私もよく大学だからね。私は教職課程を取っていないんですけど、できたと思うんですけど、やっぱり小学生に対して、普通の社会人がやるのと全く違うので、そもそも相当、まあ、全てやる必要はなくても、ある種の基礎的なトレーニングというか、修得をしないと、本当に私は心配だと思うんですよね。
 そこでよく、現場でトラブルが本当に起きていないのか。特に最近いろんなことが起きていますけどね。その中でどういう教員が、つまり、どういうバックグラウンドの教員のところで問題が起きているのかというのをきちんと調べた上で、ただ、問題が起きていないからといって、私は現場に負担が来ていると思うので、教職の本当にポイントになるところをしないと、現場の子供にとっても、あるいは学校のマネジメントにとっても、結局、全然職場とは違うわけですからね。というのを全く知らない人がすぐ合格イコール免許もらえる。それで、すぐ現場に行くというのに対して、もっと真剣に考えられたらどうかというのが私のコメントです。
【説明者】  承知いたしました。その辺をフォローアップ以前に、多分採用する、実は免許を出した上で、また採用試験というのが別途必ず、教員の場合ございます。都道府県政令市がしっかりとそこはチェックをし、これも1次試験、2次試験、それから、口頭試問があったりとかいろんなチェック体制で採用しておりますので、そこのフィルターには掛かっているとは思いますが、でも、実際現場に配置されてどうかということについては、やはり今、御指摘のような点あると思いますので、その辺をしっかりフォローしてまいりたいと思います。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  太田委員、お願いします。
【太田委員】  今の追跡調査を基本的にはされていないということですか。あるいは……。基本的にはされていない?
【説明者】  ええ、そうでございます。現状ではやってございません。
【太田委員】  それは早急に必要かと思うんですが、場合によっては、これは例えば、実務経験というのは具体的には何でもいいんですか。
【説明者】  実はそこもいろいろ幅がございます。教員として、当然教える指導科目、免許の種類と、あと親和性の高いものという点がやっぱり多くありますけれども、いろいろな形でのバックグラウンドの評価もされ得ますので、そこは都道府県政令市が採用権者としていろいろ判断基準を別途設けているというところでございます。
【太田委員】  それは採用の段階で評価されるので。
【説明者】  おっしゃるとおりです。
【太田委員】  免許を出す段階では考慮されないと。
【説明者】  ええ。そこは採用で、その方のどういうバックグラウンドに着目して採用するかと。
【太田委員】  なるほど。そうすると、免許を受ける段階では、極論すると、社会人、1か月ぐらいどこかで働いたということでも構わないわけですか。つまり、実務経験というのは何でも実務経験ですよね。
【説明者】  実務経験は必ず前提にはなってございません。受験資格としての。それはその方が最終的には免許を持っているだけでは結局生かせませんから、採用段階できちんとつながるようにという点で、そういう方が多くは来ていただいていますが、この試験を受けていただく前提条件としては、そこは特にフィルターに掛けてございません。
【太田委員】  とすると、学生がいきなり教職員試験を受けていいわけですか。
【説明者】  あります。おっしゃるとおりです。
【太田委員】  ただ、そういう場合には、採用されない可能性が高い?
【説明者】  ええ。そこはまた採用権者の個々の判断ではございますが、そういう場合もあるかと思います。
【太田委員】  これは実際に試験としては通常の教職を受けて通る試験よりもはるかに難しい。予備試験みたいなイメージなんですが、司法試験の予備試験のようなそういうルートなんですか。
【説明者】  はい。難易度がどの程度かというのは、正直ちょっと、我々も必ずしも比較分析していないんですけれども、ただ、やはり一般的に我々が聞いている話としては、通常の試験よりは上目に設定されていると。採用試験等と比べますとですね。そういう話は聞いたことはございますので、その辺も検証はしっかり。難易度をどこに設定するか。質の問題と量の問題と併せてトレードオフにならないように、そこの検証はしっかり併せてやっていきたいと思っています。
【太田委員】  ありがとうございました。ただ、これはこのルートで行った人とそうでない人の間はどちらがいいのか。逆にこちらのルートの方が非常に優秀な人が出るということであれば、大学の教職はむだであるということで、そちらを減らしていく方向にシフトするということも当然あり得るわけですよね。もちろんいい先生がどういう先生かというのは、いろんな多面的な量り方がありますので、一概には言えないと思うんですが、こちらの方がよければこちらのルートにウエートを上げていくということも当然考えられることだろうと思います。
 あとは、非常にオペレーション上の技術的な話なんですけれども、現在これはいろんな場所で、身体障害者の方向けの免状以外は、全国で何か所かでやってらっしゃるわけですよね。金額的にそれほど大きくはないかと思いますが、人生をかけた免許を取るということであれば、どこか日本じゅうの1か所でやっていても、皆さん旅行されて、受けにいかれるのではないかと思うんですけれども、やはり全国のあちこちで実施する必要があるんでしょうか。
【説明者】  そういう御意見も。多分そこは人生をかけて受けにいくという方もかなりの数いらっしゃると私も思います。ただ、受験生の利便性であるとか、やはりできるだけ機会を増やしてあげるということも、また一方で、我々の立場からしますと考えてあげる必要があるかな。ですから、どちらの方が、要するに、今のやり方が果たして一番ベストなのかという点も含めて、会場を増やすことありきでは必ずしもないと我々も思いますので、本当にそれがニーズに合っているかという、そこの検証がまずあって、それで実際セッティングとして一番ふさわしい形を考えてまいりたいと思います。
【太田委員】  ありがとうございました。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  引き続き御議論いただきますが、外部有識者の皆様におかれましては、コメントシートへの記入を並行してお願いします。記入がお済みの方は挙手いただければ、事務局の方でコメントシートを回収いたします。
 では、松浦委員、お願いいたします。
【松浦委員】  それでは、2点ほど質問させていただきます。3点になるかもしれませんけど。
 1点は、この教員の幼稚園の1、それから、小学校2、それから、障害支援を3というふうにとりあえず番号で振ります。1番、3番に関しては、これはもう社会的に、非常にもう急いでいるという事情があってのことで、私はそれはもうそのとおりだろうというふうに思っております。
 そういうことに比較して、じゃ、小学校の免許、もうここに押し込んであるのはどういう理由なんですか。いや、確かに受け持ちの子供が少ない方がいいということは理解しますが、そこを一緒に並んで押し込んであるのはどういうことなのかということと、じゃ、小学校は義務教育だからという議論であれば、じゃ、これは年次進行で、いずれ中学校もやらなくちゃいけなくなるんですねということをお聞きしたいのが1点。
 それから、2つ目ですけれども、これは先ほど田辺委員が御質問されたことと全く同じ趣旨でございました。ただ、試験を受かったからといって、本当にそのまま学校の教壇に出していいのかどうかということは、私も甚だ心配でありまして、例えばですけれども、プレテストでもいいんですけれども、例えば放送大学の単位履修、全部とは言いません。単位履修を使うとか、ETVを使うとかという幾つかの方策を政府はお持ちでありますので、そういうもので必要最低限の教育に関する単位を履修していただいた上で、それをガイダンスとして、あとはやる気がある方は自分でお勉強なさるでしょうと。それで試験を受けるというような形を作れないのかと。お急ぎになっているということは重々承知の上で申し上げますけれども、そういうこと。
 それから、3番に関して言うと、ターゲットが、いわゆる病院、医療機関等でいうOT、PT、STさんの類いに入るわけでありまして、これは障害をお持ちの方、全く違う対応をしなきゃいけないと。これは専門技術でありますけれども、ということは、やっぱりお子さんに対応するという意味では同じであるということですから、そこの部分は共通と。じゃ、先ほど1か月でもいいんですかという話がありますけど、我々例えばOT、PT、STさん、1か月病院で働いたからといって、とてもその人たちに仕事を任せられるとは思えないんですね。だから、ある程度期間を作らないと、抜け道としてスルッと入ってきちゃうというのは、私はよろしくないのではないかというふうに思いますが、いかがかと。
 以上でございます。
【説明者】  ありがとうございます。承知いたしました。3点ほど御質問いただきました。
 まず1点目、小学校の問題だと思います。先生がおっしゃっていただいたように、もともとこの制度がやはり小学校の子供たちの急増期に対応して、まず制度的に昭和48年にスタートしているという背景事情が一つはございます。でも、当然これは今日的には大分役割が変わってきているだろうという御指摘もごもっともでございまして、現状では、先ほど少し免許の制度のところで触れさせていただきました。特別免許状とこの普通免許状が、この教員資格認定試験で申し上げると、普通免許状を出せると。ですから、小学校の場合ですと、普通の免許状ですと1枚で全てを教えられる。すなわち、特別免許状ですと教科ごとにどうしても、小学校でも分かれてしまうと、こういう違いがあるものですから、できるだけ幅広く社会人の方に、小学校の教壇にも立っていただくということから、普通免許状を出して、全て対応できるような方をやっぱり一定どうしても確保したいという政策ニーズというのは一つございます。
 そういったものによって、少し免許状の種類によっても、これは中学、高校ですと、もともと教科別ですから、そうなると、普通免許状も特別免許状も差異がございませんけれども、小学校だけそういう特殊な事情があるということに基づくものが若干ございます。
 それと2点目の、実際に教壇にそういう短い期間だけで出してしまっていいのかという、これはごもっともで、まさに先ほどのこの制度の、いわゆる存立基盤として、そういった御批判というのは受けやすい部分があるかとは思うんですけれども、やはりそこはしっかりと、一定期間、短い間でもこれは免許状を出す上でしっかりチェックをする。そしてまた、試験を通るということを前提にしながら、実はやはりこれは採用試験との役割分担をどう考えるかということなんだと一つ思っています。
 各都道府県政令市が免許状を持っていても、この先生を教壇にうちの地域に立ってもらっていいかどうかという、この採用試験というのがまた別途フィルターとしてございますので、そこにおいてしっかりチェックをしていただく必要が当然あるとは思っております。それが一つ考え方の整理としてはあり得ると思うんですが、でも、だからといって、こちらの免許状のチェック体制が甘くていいとか、短くていいということの理屈にはならないというのは、先生おっしゃっていただいたとおりだと思いますので、そこについてはもう少し我々としても、例えばその免許を仮に与えたとしても、研修をその後ちょっと一定期間受けていただくとか、実績をちょっと積んでいただくとか、それはその人のバックグラウンドに応じてということでよろしいかもしれません。
 一律にやるということではなくて、そういう免許状に、親和性のある部分において必ずしも経験知が十分とは言えないようなケースにおいて、そういった部分を何か評価してあげる。それを採用試験の際に何かそういったものを評価してもらえるようなものとして持っていくような形に、そんなことも考えられないだろうかというのも、今の先生の御示唆の中で思いましたので、またそこも少し我々としては考えてまいりたいと思います。
 それとあと、最後の特別支援の関係での、これも多分、期間の問題として1か月程度では不十分ではないかということもまた一方で、これも御指摘が表れると思うので、我々としてもこの期間についてはもう少しいろいろと経験知というのを、評価の仕方を多元的に見なきゃいけないし、あと、質もきちんと着目しなければ、やはり実際教壇に立って、すぐ辞めてしまうとか、若しくは先ほど先生方もいみじくも御指摘ありましたが、何かトラブルが起こっていないのかというような御指摘、こういった点をやっぱりしっかりケアをしていかなきゃいけないと思います。
 だから、そのために今回、追跡調査もろくにできていなかったところをしっかりケアをして、そういった面で何か差異があるか、若しくは、そういうルートのキャリアパスですと、やっぱりこういうところが不足しているんじゃないか、そんなことをしっかりフォローして、政策としてそこも反映できるようなやり方というのも考えてまいりたいと思います。
【松浦委員】  じゃ、追加でございますけれども、今おまとめいただきましたけれども、やはり私はこれは国家試験、国家資格ということを授与するということであるので、あんまりライセンスをもらうまでのところをスキップしてしまうと、かなりの部分を採用試験に任せると。ところが、採用試験は、試験者は各自治体ですから、選考の考え方が違うでしょうと。受験する方も、そうすると、結局のところ、このライセンスを取るモチベーションが、本当にこれで合格して採用されるのかと思っちゃうんじゃないかと思うんですね。だから、もう少し踏み込んで、やはりここまでは保証レベルできるんですよというようなライセンス制度にされた方がよろしいように、効率がいいのではないかなというように思いました。ありがとうございます。
【説明者】  承知いたしました。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  では、有川委員、先にお願いいたします。
【有川委員】  私も20ページの今後の改善策のところでお伺いしたいんですけれども、これまで追跡調査が行われなかった。それで、これまで追跡調査が多くの委員の方のこれから求める改善に非常に必須のものになるんだろうと思いますけれども、昭和39年からやっている事業で、追跡調査がなぜ行われなかったかという、その原因をしっかり踏まえないと、改善策というのが本格的に実効性あるものにならないような気がするので、是非その追跡調査がなぜ行われなかったかというのを今分かる範囲で、まずどういうふうな分析をされているか。そして、素人考えとしては、こういう分析をしないで制度の改革、見直しということはできないはずなので、これまでこの事業については見直しがほとんど行われていなかったのかというのと、併せまして、今度、改善の方向性はよく分かるんですけれども、どのようなタイムスケジュールでやるのか、そのスピード感が見えてこないので、その辺のところを教えていただけますか。
【説明者】  承知いたしました。いろいろ大変厳しい御指摘で、当然だと思います。追跡調査を行ってこなかった理由というのは、すみません。ちょっとそこは明確に今、これというのが我々も準備ができないんですけれども、例えば先ほどのアンケート調査という形ではありますけれども、そういった問題意識も近年は持っていて、24年にそういったものを追跡し、実際に採用試験に通った方、そのうちバックグラウンドが社会人、学生、その辺のデマケというのもある程度整理をするようにはしてまいりました。でも、とても不十分だと思いますし、余りに遅きに失しているということもあろうと思いますので、そこは我々真摯に反省をしなければいけないと。それによって見直しのスタートラインというのが初めて決まってくるというのも先生の御指摘のとおりだと思います。
 そしてあと、見直しのスケジュールについては、まずやはり追跡調査を速やかに、これはやりまして、そのものによって、その判断をしていくということに尽きると思っておりますけれども、その追跡調査にどのくらいのお時間が必要かというのも、実は正直、これはやはり相手方との関係もちょっとありますので、そちらで実は制限を切りたいところなんですけれども、まず最速でやってみたいとは思っておりますけれども、どのくらい時間を掛けて、どのくらい回収できるかというか、リサーチできるかということを都道府県政令市などとも十分、これはまた向こうに負担を掛けることにもなりますものですから、その辺の比較衡量もしながら、ただ、我々の政策のベクトルとしてはしっかりそこの見直しをすべきだということはもう思っておりますので、御指摘のとおりだと思いますので、そういう線に沿って速やかに着手してまいりたいと思ってございます。
【有川委員】  ありがとうございます。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  では、中室委員、お願いいたします。
【中室委員】  ありがとうございます。ちょっと私、仕組みについてよく理解できてないかもしれませんので、誤りがありましたら御指摘頂きたいと思うんですけれども、一般的に社会人の方が教員免許状を取得する場合は、特別免許のケースと、そして、この教員資格認定試験による普通免許状の取得という2つのパターンがあるという理解でよろしいでしょうか。
【説明者】  結構でございます。
【中室委員】  特別免許を取得する場合には、この教員資格認定試験は受けなくてもよいというわけですね。
【説明者】  結構でございます。
【中室委員】  それはどのように分かれているんでしょうか。
【説明者】  制度として全く別の立て付けになってございますけれども、特別免許状というのは、どちらかというと、例えばですけれども、ALT、先生御承知だと思いますけど、外国人の指導教諭みたいな方が、ちょっと英語の語学の分野で非常に指導性があって、そういった方を是非雇いたいということが仮にどこかの学校の校長先生と、あと、私学でも当然できますから、そういったものを、免許を授与している都道府県の教育委員会の方に手を挙げて、そこで一つのルートが始まりまして、こういった人が採用できるかどうかというのを教育職員検定試験というのがございます。
 これは都道府県が別途実施している試験でございまして、それぞれの都道府県が自分たちでそれぞれの公立学校でやったり、私立学校でやったり、こういう方に是非、教壇に社会人のバックグラウンドを持った方に立ってもらいたいというような方については、そこに手を挙げて、ここも一定の口頭試問があったり、あといろいろ書面審査があったりと、そういうプロセスを経て、そこにクリアすれば合格して、その当該都道府県の中だけで対応できるというものが一つの制度でございます。
 教員資格試験というのは、また別途、それとは全く別の立て付けでございまして、社会人の方が、これはもう試験で、本当に手を挙げていただいて、受験資格というのは先ほど申したように、別に社会人としての経験何年ということは問うてませんから、手を挙げていただいて、その試験に合格をしていただければ、原則は、あとは採用試験にトライして、通れば採用されるというようなルートでなってございます。
【中室委員】  ということは、これは特別免許状に関しては、その特殊能力を持っている社会人で、この教員資格認定試験の方はそういう特段の特殊能力がない社会人が受けるという、そういう理解ですか。
【説明者】  少しそういうふうにきれいに分かれているかというと、特別な部分において特に、例えばやっぱり特別免許状で一番出している例として多いのは語学とITとか、あとはスポーツ関係、この辺が一番多くございます。そういったことについて、特定の分野にすばらしい能力をお持ちの方、若しくは経験、実績、オリンピック選手であるとか、出場した方が教壇に立っていただくとか、そういうときにこういう制度が使われやすいところでございまして、教員資格認定試験の方は、どちらかというといろんな幅広く経験、社会人としての経験、バックグラウンドを持った方が受けていらっしゃるケースが多いかなと。ただ、入り口のところで完全にデマケがされているかというと、それぞれがそれぞれ、別に手を挙げてもできないことはないので、それはいろいろ渾然一体となっている部分もあるかと思いますが、入り口としてはそういう制度になってございます。
【中室委員】  これは特別免許に一本化はできないものでしょうか。
【説明者】  そこは先ほどの免許状の種類なんですけれども、小学校のところで少し申し上げましたように、特別免許状というのはあくまでも各都道府県のみで有効で、その都道府県で活躍して、うちの学校の教壇に立ってもらいたいという都道府県教育委員会がそういったものをある意味採用したいということになると、そのルートのニーズが発生するわけですけれども、今回ベースの教員資格認定試験、普通免許状でございます。これはもう全国どこでも、その免許状1枚あれば、小学校でも全ての教科が教えられるということで、特別免許状とはそこに大きな差異があるかと思っておりますので、一つの制度の中に両方を例えば入れ込むみたいなことは、物理的にはあり得るかもしれませんけれども、やはりそれぞれ対象としているところは違うということは、そういう意味ではあるかと思っておりますので、そこは御理解いただければと思いますが。
【中室委員】  ということは、この教員資格認定試験によって、普通免許状を取得した人というのは、特定の都道府県だけで勤務しているわけじゃなくて、あちこちで勤務している可能性があるということですか。
【説明者】  可能性としてはございます。調査をしたことがないので、例えば御結婚なさって、別の地域に移動されたときに、やっぱり普通免許状ですと、どこでもまた採用できますから、それは非常に採用されやすくなりますし、特別免許状ですと、もう一遍そのルートに乗って御評価を頂かなきゃいけないというプロセスが必要になるということがあろうかと思います。
【中室委員】  その特別免許状の方の緩和をするということはできないんでしょうか。特段一つの都道府県だけじゃなくて、他の都道府県でもその特別免許を、例えば全国ということはなかったにしても、関東の中ではというような形にはできないんでしょうか。
【説明者】  ええ。今、できないかと言われると、制度はそうなっていないんですけれども、そういうことを検討できないかと言われると、いろいろまた、そこは政策の一つの選択肢として、いろんな形で特別免許状を有効活用してもらいたいという気持ちは持っていますので、いろいろそこは検討の可能性としてはあるかなと思いますが、ただ、正直やはり特別免許状制度と普通免許状の制度というのは、そこの立て付けはやっぱりそれぞれがそれぞれ生かされている部分は現状であるかと思いますので、そこが課題になっているというのは、余り我々の認識としては今ないものですから、そこに対するニーズをもう少し把握してみて、先生のような御意見が非常に現場でも高いということであれば、そういった政策ツールというのもあり得るかなとは思います。
【中室委員】  これ、実は私、以前ちょっと免許特区を、今話題の藤原審議官等々と御議論させていただいたことがあるんですけど、そのときにはやはりこの免許の制度が非常に複雑で、社会人の方が教員になりたいということで、例えば30代とか40代になってから、教員へのキャリアチェンジを考えられたときに、この免許の制度が非常に複雑で、かつヘビーだということが、教員になりたいと思っている人のキャリアチェンジを妨げているのではないかというような意見があって、ひょっとすると、さっきの松浦先生とか田辺先生の意見と逆なのかもしれないんですけれども、私はもう少し教員免許、社会人の方が教員になりたいと考えたときに、そのパスがライトな方がいいのではないかというふうに考えていて、そのときに特別免許状というのは確かに御指摘のように、非常に特定の技術を持った方が、例えば英語だったりとか家庭科、技術家庭だったりとかITだったりの方がその免許の取得をされて、教員になりやすいというところはあるんですけれども、現実に都道府県の方で、その特別免許の採用というのはほとんど起こってなくて、年間で少ないときだと、50件しか発行されてなくて、そのほとんどが東京都で外国人だということになっているので、現実問題として社会人の人が教員になるというのは物すごいハードルが高いのかなというふうに思えるんですね。
 さらに、じゃ、この一般選考において、すみません。教員資格認定試験によって、普通免許を取得している人がどれぐらいいるのかというと、これの合格率もやっぱり決して高くはなくて、ここで見ますと259人、平成28年度で259人ですよね。この方が全員教員になっているかと言われれば、そうではないので、その中の何%かは分かりませんけれども、なっておられるということだと、この社会人になってから教員になるということ自体は、この制度を概観すると極めて困難なことだというふうに言わざるを得ないのではないかと思うんですけれども、その点についてはいかがお考えでしょうか。
【説明者】  先生が今御指摘のところというのは根本的な、この事業の問題というよりも、社会人の方に教壇にどれだけ立っていただいて、学校現場の活性化とか、若しくは専門家とか、いろんな意味であり得るかな。これはまず政策の一番根本のところだと思っております。今まさに両先生からお話があったように、できるだけ教壇に立つべき人は質の担保から、一定ハードルを高くして、そういったものを、例えば先ほどの試験の合格率とか、あとは質の問題から問題の難易度とか、そういったものをどこに設定するかというと、かなりそれは両面から御意見が正直あるものでございます。
 ただ、我々として揺るがないのは、できるだけ社会人のようなバックグラウンドをお持ちの方にできるだけ幅広く教壇には立ってもらいたいということは、また経験を生かしてもらいたいという思いは、これは同じでございますし、そのために民間人の校長であるとか、教頭であるとか、コミュニティスクールであるとか、いろいろな形で地域や社会との接点というのは、幅広くこれまでも求めてまいりましたし、これからも政策のベクトルとして、そこは揺るがないものだと思っていますので、ただ、やはりこれは教壇に立つべき教員の質とか指導力という面をどういう形でどう評価していくかという根本的な問題に着目されるので、そこは一律にはなかなか論じられないということもまた一方でありますから、そこは幅広く考えていく必要があるかなと思います。
【中室委員】  おっしゃるとおりだと思います。そうなのであれば、この教員資格認定試験が教員の質を高く担保できているのかどうかということの妥当性がこの議論の全てなのだと思われます。それに関しては、今後追跡調査を行いますが、今現在は行われていませんということをおっしゃるのであれば、現状は、我々にとってみれば、判断の根拠となる材料がありませんで、この事業が妥当かどうかということが判断できないのではないかと思うんですけれども。
【説明者】  すみません。それは我々もなかなかお答えづらいんですけれども、追跡調査が絶対必要だというのは分かりつつも、今、データとしてお示しできるのはアンケートの、先ほど申し上げたような小学校と特別支援の関係のみでございますので、こういったものを中心に御判断いただくしかないかな。ただ、我々としてこれまで、これはネガティブチェックになるかと思いますけれども、この教員資格認定試験ルートで採用された教員が教壇に立って、若しくは配置されて、いろいろとこのバックグラウンドの形特有の何か課題があったかというと、我々が都道府県教育委員会から把握している限り、そういった問題は今のところは起きていない。ですから、質の担保という面では、何とか我々は確保されているだろうとは思っております。ただ、積極的に何かそこを確認しに行っているかというと、そういうデータが必ずしもないというのも事実でございますので、こういったものをやはり早急に取り上げてまいりたいと思っております。
【中室委員】  最後に一つだけ。質が高いということは問題を起こさないということと同義ではないと思うんですね。やはり、例えば社会人に学校に来てもらいたいということを考えられるからには、例えばですけれども、学力をより高くしてもらいたいとか、将来、職業に就いて、一定のビジョンを持ってもらいたいとかという希望があるんだと思うので、ネガティブチェックというのが質ということとやっぱり同義にならないということは、私は非常に重要かなというふうに思っています。
 もう一つ、建設的な提案として、教員に関する調査というのを3年に1回やっているんだと思うんですけど、学校教員統計調査というのがありますよね。それで3年に1回やっているものの中で、免許状については、細かいところまで多分聞いておられるんだと思うので、その教員調査と、例えばなんですけれども、全国学調とかを突合して分析をすれば、わざわざ今から追跡調査を掛けなくても、ある程度の分析というのは可能なんじゃないかと思うんですね。なので、今からやるということは非常に大事なんですけど、バックワードのデータを使って分析を掛けていくということも一つお考えいただければと思います。
【説明者】  それはできることをまず最大限持っているツールがあれば、それを活用するのが最優先でございますので、コストを掛けずに、それをまず考えてまいりたいと思いますが、ただ、できるかどうかは、すみません。ちょっとここではまだ御返事ができないところをお許しください。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、コメントシートの取りまとめをしている間、引き続き御議論をお願いいたします。
 亀井委員、お願いします。
【亀井委員】  私も実はどちらかといえば、中室先生と同じスタンスで、基本的に社会の変化が今、大変早い。特に子供周辺に大変早いことになっている。例えば今の、先ほどの、私、19ページをあくまでもこだわりますけれども、19ページの平成18年から28年のたった10年間の間で、特別支援学級に通う子供が倍になっているわけですよね。これは大変大きな変化でありまして、これに学校現場が対応できているのかどうかというところがまずすごく大事なところだと思います。これは質の問題ももちろんあります。ただ、質がある種の壁になってはいかんのだと私は思っていて、じゃ、どれほど今いる先生が立派なんだと。これは、すみません。あえて暴論を吐きますけれども、ということも含めて考えると、やはり今、量が対応できていないことが結果的に様々なお子さんや御家族にいろんな影響を与えているのではないかという仮説が、これはすみません。ここから推論するしかないんですけれども、という中で、今、正直、先ほど来お話があるとおり、フォローアップ調査がされていないというのは大変ショックなんですけれども、今あるものも含めて、現状を踏まえて、何が本当に現場に必要なのかというところから、ある意味、これは抜本的に考え直さないと、ちょっとまずい状況になっているんじゃないかなというのは、これは一つ意見として申し上げさせていただきたいと思います。
 もちろん質の担保は大変大切だと思いますし、それなりのプロセスはとらなきゃいけないんだとは思いますけれども、それよりも早く子供たちを取り巻く環境が変わってきているという現状を私は見逃してはいけない事実だと思います。
【説明者】  承知しました。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  太田委員、お願いします。
【太田委員】  もうコメントシートは出してしまっていますので、本当に感想ベースなんですけれども、学校、これは小学校ですから、直接関係ないんですが、幾らか報道を見ていますとショッキングな話がありまして、中学校の英語の先生が全然英語ができないというのが大分出ているわけですね。もうそれは普通の親からしたら、全員解雇だと言いたくなるような結果が、まあ、それは暴論ですけれども、出てきているわけですし、あと、また、各種いじめその他の対応の、教育界の対応というのは、一般社会の常識から見ると、異常な対応をされているように思います。これは基本的には外の意見が入りにくい、若しくは外の血が入りにくいということで、余りかき混ぜられていないということが大きくて、それは恐らく大学の試験での教職を取った人だけがそのギルドに入って、それ以外の人は入ってこないという、ある種、社会から隔絶された教職界という、教員界というのがあると思うんですね。そこに風穴を開ける上で、この制度が恐らく、今、唯一のルートで、これを拡充して、外から血を入れていかないと、教育界はよくならないのではないかと。
 まず学力ですね。これは教員の試験というのは10年有効なんですね。非常に長いということで、まずCPというか、継続的に教育能力を高めるための研修を受けるであるとか、あるいは能力が落ちてきたら試験を受けたり、補習を受けたりという仕組みを作るとかですね。その教師の能力そのものも継続的に量っていくというような仕組みが必要なんじゃないかというふうに思います。
 これは外から、どうなんでしょうね。10年だと、コンピューターの授業をするということになると、10年前の知識は今の子供には教えられないですよね。実際問題として、だから、相当に知識のアップデートも、能力の維持も、研修も大変だと思いますので、あと、外部の血を入れるという意味では、この制度の拡充が非常に重要なので、教職を経てきた人と、外から入ってきた人の能力の差とか、トラブルが起きる率とか、いろんな観点から比較していただくのがいいのではないかと思います。
【説明者】  承知いたしました。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  松浦委員、お願いします。
【松浦委員】  じゃ、手短に。最後の感想です。1、2、3と、先ほど私、類型分けして、3番が実は一番問題なんだと思います。私もそう認識しています。だから、例えばキャリアをサーティフィケーションしていただかないと、受験できないとか、逆に、仮合格を出すけれど、その後、現場でサーティフィケーションをもらわないと、免許状を発行しないとかという工夫が一つ成り立つのではないかと。
 それから、実はこの免許に合格すると、その都道府県だけで、枠で囲っちゃうというのは非常にもったいない話でありまして、そもそもこういう人材は全国、基本的に共通で運用できると思うので、そこは是非、可能性として御検討いただきたいと。
 それから、今この、いわゆる情緒障害等々が今、非常に目立っていますけれどもね。やっぱり身体障害の方は定常的にいらっしゃるわけでして、今の学校の先生は気の毒なんですけれど、階段を自分で背負って昇り降りされているのが現実なんですね。じゃ、例えばそういうところは5階なくてもエレベーターの設置を義務付けるとか、やはりそういうような、御課を超えた、ほかの部署との連携というのが、私は非常に必要だと思います。
 最後に一つですけれど、もしこれで教員になったとして、この人だけが学校の現場に放り込まれると、多分この方は潰れると思います。ですから、ソサエティの中で、やっぱり行政が一緒になって、このような障害児に対して、どのようなヘルプができるか、あるいは医療機関とどのような連携ができるかという、これもシステム構築ですね。やっぱりこういう視点も併せ持った上でライセンスを出さないと、せっかく取ったけど、その人が潰れちゃうということになってしまうだろうというふうに思います。
 感想でした。
【説明者】  ありがとうございます。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、コメントシートの集計がまとまりましたので、取りまとめ役の有川委員より、評価結果及び取りまとめ、コメント案の提示をお願いいたします。
【有川委員】  私の方から発表させていただきます。
 各委員の評価結果につきましては、事業全体の抜本的改革を求める委員が3人、事業内容の一部改善を求める委員が3人と、3対3に分かれました。主な委員のコメントを紹介したいと思います。
 本試験合格者に教職基礎を修得させるなど、教員としての質を保証する仕組みなどが不十分ではないかという意見。
 それから、試験を合格しただけでライセンスを与えていいんだろうか。社会経験等、一定の状況を確保するような仕組みも必要なのではないかという意見。
 恐らくそれに関わる話なんですけれども、その前提としての追跡調査がないという話と絡むんですが、教職課程を経由せずに、教員資格を得た教員の能力、パフォーマンスが、そうでない人に対してどうであったか、長期にわたる追跡調査がなければ、この制度の妥当性を評価することは難しい。早急な追跡調査の実施が望まれるという意見。
 同じく追跡調査に関しては、今後の追跡調査の結果を踏まえて、改善策の実効性の確保を図る必要があるわけですけれども、その実効性の確保のためには、昭和39年以来、ずっとこの事業について追跡調査が行われてこなかった原因もきちんと把握していく必要があるだろうという意見。
 それから、先ほどの一つ前の意見と重なるところがあるんですけれども、今後、効果検証を行っていくということではあるけれども、現状は材料がなく、現在の事業は効果的、効率的に行われているという根拠がないという意見。
 それから、拡大する特別支援学校・学級のニーズにしっかり対応できる志願者の確保ができる仕組みですね。そういった志願者をしっかり確保できる抜本的な見直しが求められている。まずは実情の把握として、量の問題としては、需要供給のギャップ、地域による偏在など、質の面では、現状の課題とか活用状況ということを把握する必要があるだろう。こういった問題意識と現状把握に基づいて、文科省は都道府県の教育委員会等と連携しながら、改善に向けて、ゼロベースで今後の対応をする必要があるという意見であります。
 まず3対3に分かれた評価結果なんですけれども、かなり今後の改善策は示していただいてはいるんですけれども、やはり全てはこれからゼロベースで直していくというところにありますので、多くの委員の方たちは、やはりこの追跡調査を待たないと、この事業についての評価もなかなかできにくいということもあるものですから、案としては、事業全体の抜本的改善という評価結果にしたい。
 そのための取りまとめコメントとしては、本事業における追跡調査をしっかり速やかに行って、そして、実効性のある改善策を立てていただきたいというのが、立てる必要があるというのが1点目。
 2つ目は、それを前提とすることになるわけですけれども、現状のままではその判断、この事業についての効果の判断ができないので、この事業について、効果的か、効率的かということの根拠が認めがたい。認めにくいですかね。認めにくいというコメント。
 そして、3番目が、拡大する特別支援学級が、学校のニーズにしっかり対応した抜本的な見直しを現状、実情を把握した上で早急に立てられたいと、このような3つの意見で行きたいと思いますが、よろしいでしょうか。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、以上をもちまして、教員資格認定試験の公開プロセスについては終了させていただきます。
 次の女性アスリートの育成・支援プロジェクトにつきましては、7分後、休憩の後、15時40分開始といたしますので、よろしくお願いいたします。
( 休憩 )
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、6コマ目を始めさせていただきます。これからの時間帯は、女性アスリートの育成・支援プロジェクトについて、御議論を賜りたいと存じます。
 初めに事業概要の御説明をさせていただきます。事業担当課は、5分以内で簡潔に説明をお願いいたします。
【説明者】  スポーツ庁競技スポーツ課でございます。よろしくお願いいたします。
 女性アスリートの育成・支援プロジェクトについてでございます。
 まず資料の3ページ、行政レビューシートの1枚目でございますけれども、こちらにこの事業の目的が書かれておりますが、こちらの事業は平成29年の3月に策定されましたスポーツ基本計画。スポーツ基本法に基づいて策定されたものでございますけれども、こちらに掲げる目標の一つである「我が国のトップアスリートが、オリンピック・パラリンピックにおいて過去最高の金メダル数を獲得する等優秀な成績を収める」ということを実現するために、女性アスリートの国際競技力向上に向けた支援ですとか、ジュニア層を含む女性アスリートが健康で競技スポーツを継続できる環境を整備するということを目的としております。したがいまして、本事業の直接のターゲットという意味では、約800人おりますオリンピックの強化指定選手、そして、そこを目指すジュニア層ということになっております。
 では、少し飛びますけれども、資料の14ページを御覧ください。こちらはスポーツ基本計画で記載されている施策と、それから、本プロジェクトの事業内容の構造を整理したものでございます。御覧いただきますと、左側に、今申し上げたような最終アウトカム、金メダル数というのを指標に掲げておりまして、その下に幾つか、3本ですね。大きな柱を立てて事業を実施しております。この14ページの資料の真ん中にございますけれども、直接目的のところに3つ柱を掲げさせていただいております。
 まず1つ目が女性特有の課題、これは女性アスリート、特に厳しいトレーニングを重ねますので、必要とするエネルギーが多くなります。そうすると、摂取エネルギーに対して出ていくエネルギーが多くなりまして、利用可能なエネルギーが不足すると。その結果、無月経を引き起こし、そしてさらに、骨粗鬆症といったようなことにつながっていくというサイクルがございまして、こうした女性特有の課題の解決に向けた知見が集積され、女性アスリートや指導者等に還元されることというのが1つ目の柱でございます。
 それから、2つ目が、個人のニーズに応じたトレーニング等の強化を行いつつ、女性特有の疾病・障害や妊娠・出産等のライフイベントによる離脱の防止、それから、競技復帰に向けた支援体制が充実すること。
 それから、3つ目が女性トップコーチの育成やハイレベルな競技大会の開催を通じて、女性競技種目における戦略的かつ実践的な強化が行われるということ。
 この3つを掲げておりまして、それぞれ記載のとおりの成果目標というのを掲げております。
 これまでいろいろ御指摘を頂いた中で、今回、特に真ん中の四角に書いてございますけれども、「女性アスリート層における月経周期異常の割合」というのを掲げさせて、追加で入れさせていただいておりまして、実はこれはちょっと、全体の構成上、今この真ん中に書いてありますけれども、このプロジェクト全体の成果として見ていけるんじゃないかというふうに考えております。
 それから、次のページに参りまして、本事業実施の背景でございますけれども、そもそもなぜ女性アスリートを支援する必要があるかということに関しましては、特に最近、2008年の北京大会以降、女子種目数というのがどんどん増えてきております。これは、要は、メダル数が増えているということですので、日本人女性アスリートのチャンスも増えているんですけれども、一方で、世界じゅうの女性アスリートの参加人数というのも増えてきております。例えば直近のリオ大会では、前のロンドン大会から約300人以上の女性選手が増えておりますし、また、その前のロンドン大会では、初めて全部の参加国地域から女性選手が出場しているということで、競争が激化しております。
 そういった中で、ジュニア層を含めた女性アスリートが、特に無月経、疲労骨折など、女性特有の課題ですとか、それから、妊娠・出産等のライフイベントによる競技スポーツからの離脱が多くて、大きな課題となっているという現状がございます。
 こうしたことを踏まえまして、16ページにございますように、この事業は、女性アスリートの戦略的強化に向けた調査研究、それから、女性アスリート戦略的強化支援のためのプログラムというものを、予算総額3.8億円ほどで実施しております。
 また、直接の支援対象は、先ほど申し上げたように、トップ層ではございますけれども、本事業を得られた知見というのは、それ以外の女性アスリートにも有用であるということで、セミナー等を通じて、知識の普及を図るとともに、本年度からは16ページの一番右下にございますけれども、ジュニア期の女性アスリートにより、広くこうした知見が行き渡るように、産婦人科医等に対して女性スポーツ医学の普及啓発を行うためのプログラムも開始しているところでございます。
 説明は以上となります。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、私の方から論点について御説明させていただきます。
 お手元の論点等説明シート、1枚紙を御覧ください。
 論点の1点目、現場のニーズを反映させた取組や事業内容となっているか。
 2点目、事業目的とアウトカムが整合していないのではないか。
 3点目、アウトカム・アウトプットは適切に設定されているか。
 4点目、JSCやスポーツ団体との委託(再委託)については妥当なものとなっているか。
 以上の論点等について御議論願います。
 それでは、外部有識者の皆様からの御質問等をお願いいたします。説明者は、外部有識者からの質問に対し、簡潔明瞭に回答をお願いします。
 では、亀井委員、お願いいたします。
【亀井委員】  御説明として、これは最終的には価値観になってしまうので、これはもう何度も、事前も含めてやり取りしてきましたから、スポーツでハイレベルなところを求めていくと、どうしても女性特有の障害が生まれてしまう。それをそうしないようにしていくための、ある種の知識普及も含めて、やっていくんだというところの趣旨はよく分かりました。
 ただ、一方で、是非お伺いしたいのは、今、16ページに、そういう中で新しい事業としてというようなお話があったんですが、スポーツ基本計画も拝見させていただくと、ある種、トップアスリートの方の話と、それから、世の中全体の話で、そういうある種の新しいスポーツ文化を作っていくみたいな話もあるんだと思うんですが、これはある種、ピラミッドでやるのは、僕はあんまり好きじゃないんですけれども、一番上の方と、トップ・オブ・トップと、そのボトムという。ただ、ボトムは全体として上がっていかないと、トップも上がらないというところでいくと、こういうようなある種の女性向けの啓発とか、あるいは指導者向けの啓発という意味でのほかのプログラムというのは、スポーツ庁の中に、女性向けで教育をしていくとかそういうプログラムというのはあるんですか。
【説明者】  今現在はないんですけれども、実はスポーツ基本計画の中の、この事業自体は国際競技力向上というところにぶら下がっているんですけれども。
【亀井委員】  そうですよね。はい。
【説明者】  実は女性活躍促進、ちょっと正確ではないかもしれないですけれども、そういった項目もございまして、その中で、この事業を通じて得られた知見というのは当然活用されていくということになると思っています。
 じゃ、そこで何をやっていくかということに関しましては、実は今、まだスポーツ庁内で議論、タスクフォースを立ち上げて議論をしておりまして、これからまた有識者の意見なども聞きながら議論していくことになっておりますので、そういったところにこの事業で得られた知見というのはインプットしていきたいということは考えております。
【亀井委員】  これはある種、これは行革的に言うと、事業のガバナンスとしては、対象者がある種、別に階層でもないんだけれども、セグメンテーションとして分かれるわけですよね。そこは事業として、ですから、例えば16ページのところで、新規でとあるんですけれども、これをこの対象に入れてしまっていいのかどうかというところは今後考えていかなきゃいけないし、でないと、どんどん膨らんでしまって、誰向けの話をやっているか分からなくなって。
 もっと言えば、いや、僕、実は今聞いててびっくりしたのは、そういう一般向けの女性問題というのはまだやってないんだという状況なんですね。逆に聞くと。その状況で、じゃ、やっていないんだとすると、これから作るときに、この事業はやみくもに大きくなっていくというよりは、トップアスリート向けの事業はこれ、それから、そうではなくて、普及啓発向けはこれというような形で分かれていくのがしかりだし、だとすると、ちょっとその部分が感じられるから、ちょっと先に何か打っておこうと思うんですが、16ページの新規のところは、もしかすると別立てで行った方がいいのかもしれないなというのは、これは意見として申し添えたいと思います。これはいかがでしょうかね。
【説明者】  ありがとうございます。御指摘のとおりだと思っておりまして、ただ、スポーツの世界に関していいますと、今までほぼそういった知見がないということもあって、まずはやっぱり一番極端にそういった症例が出やすいトップアスリートをということで、この事業が開始されております。
 その中でも少しずつ、やっぱりいきなりトップに上がったところから始めても遅いので、もう少しジュニア期からインプットしていくことがあるということで、この柱を立てたわけですけれども、先生おっしゃるとおり、将来的にもう少し、本当に広くやっていくことになれば、別立てということも考えられるとは思いますけれども、ちょっとまだその検証ができるところまで広がっていないということで、現時点ではまれるところということで、今ここに入っている状況でございます。
【亀井委員】  ありがとうございます。ただ、やっぱり女性でスポーツ経験した人と話していても、昔、こういうスポーツをやっていたと。これは別に男女の区別がない部分かもしれないし、ただ、やっぱり女性特有のこともあるのかもしれませんので、あんまり男の私がこういうことを言っちゃいけないのかもしれませんが、多分可及的速やかにそういったところの体制というのは整えられていくべきだと思いますし、トップだけではない、トップアスリートだけではない、かつ金メダルの話とは別の話としてこれをやっていかないと、どこかの中で何か話がちょっとねじれてしまうことになりかねないなという気がいたしますので、ここはあらかじめ申し上げておきたいと思います。
 とりあえず私からは以上です。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  中室委員、お願いします。
【中室委員】  ありがとうございます。私からは、JSC、9ページですかね。JSCのことについてちょっとお伺いしたいんですけれども、本事業は予算の大半がJSCに流れているのかなというふうに見えまして、契約の内容を見ますと、企画競争による随意契約ということで、一者応札のものも見受けられるわけですけれども、ほかにこういう事業を担える方がいらっしゃらなかったということなのか。JSCが運営費交付金で行っている通常の業務とのすみわけができているのかという点をお聞かせいただきたいというのが一つと、もう一つは、JSCからスポーツ団体等に再委託がなされているようなんですけれども、国が直接契約を行わない理由は何なのか、JSCを経由する理由があるのかどうかということをお聞かせいただきたいと思います。
【説明者】  ありがとうございます。まず一者応札についてでございますけれども、幾つかJSC、もともとJSCが確かに一番というか、かなり有力な候補ということは想定はされておりましたけれども、ほかにも例えばスポーツ団体全部統括しているような団体ですとか、あるいは競技団体とかなり近いような大学といったようなところも一応想定されるということで、これは企画競争という形をとらせていただいております。経費の区分に関しましては、この事業に関する収入というのは、この委託事業からの収入だけでございますので、明確に区分がされております。
 それから、再委託の部分に関しましては、幾つかございますけれども、基本的にやはり競技団体、例えば強化プログラムというのは、競技団体に委託して、その競技の女性に特化した競技大会を企画させるというようなものなんですけれども、非常に競技団体の強化戦略をよく知っているJSCが委託した方が、スポーツ庁が直接やると、その辺の細かいやり取りが日常的にないものですから、やはり再委託という形の方が適当だということで、かつ、JSC自身のこれまでのノウハウということもございますので、そういった意味で、スポーツ庁直接よりは再委託の方がより効果的な運営ができるというふうに考えております。
【説明者】  補足をさせていただきますと、今、課長の方から申し上げたように、JSCが関係団体とネットワークを持っておりますので、実際の強化プログラムの内容というのが国際競技大会を開催するといったような内容になってございますけれども、こういった国際競技大会をデザインする上でのネットワークというものをJSCが持っているということ。あとは実際、このプログラムの中で、単に大会を開催するだけではなくて、そこに集まった女性アスリートや、あと、コーチとか審判とかそういうものに対して、セミナーというのを同時に開催してございます。そのセミナーというものを行うに当たっては、支援プログラムという形でJSCが受託をしてございますけれども、こういったところを通じて培われたような医学セミナーやスキルクリニック、こういったものをJSCがやることによって相乗させることができると。
 やはり本省が直接やってまいりますと、このJSCの知見というものが活用できなくなってしまうということもありますので、事業効果が減ってしまうんじゃないかというのが課長の説明でございました。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  では、太田委員、お願いいたします。
【太田委員】  これは事前のときも大分議論になりまして、あるいは今も当然そうなんですけれども、やはりこの事業目的のところに金メダルが入ってきて、最後の測定指標ですか。政策評価の測定指標にもやはり金メダル数というのが入ってきていると。これは実施されているコンテンツがすばらしいと思うんですけれども、実施されているコンテンツと目標との間の不整合といいますか、そごがありまして、それによっていろいろ引っ張られるのが、全体の事業の遂行上、望ましくないのではないかというふうに考えられるわけですが、これ、もし本当に金メダルの数を増やすと。女性向けの競技が増えたから、これはそこに女性のアスリートを増やすというのは日本の金メダルの数を増やすんだと。それに適切なんだという政策目標のためにやることと、この女性の健康を維持するために、あるいはロールモデルを作って、女性のスポーツ文化を盛り上げていくためにやることというのはかなり違うと思うんですね。
 極端な話、金メダルをとるというのは限界ぎりぎりで勝負しますから、ある程度健康を損ねるという話にもなっていくでしょうし、それを少しでも抑制するためにここで支援をするという話なのか。そもそも女性アスリートの環境とか健康を増進するという、あるいは疾病を抑えるということ自体が目標だということなのかで、これは全然違ってくると。
 そうすると、この政策目標から金メダルを外した方がいいのではないかというのは非常に強く思うわけですけれども、金メダルの数が入ることによって、これは事業の趣旨が歪むのではないかと思うんですね。その点についていかがですか。
【説明者】  冒頭御説明しましたように、もともと女性の方が、メダルが獲得率が高いという背景がある中で、競争が厳しくなってきているということを背景に、スポーツ基本計画の中でもこの事業が立てられております。そういったことから申し上げますと、金メダルを外すということ自体はなかなか難しいとは思っておるんですけれども、ただ、じゃ、金メダル数だけで全てこの事業でやっていることの成果を量るのかということになりますと、やはり若干飛躍があるということで、先ほどお示しした14ページのところに、幾つか間のそれぞれプロジェクトごとの成果を測定できるようにということで指標を追加したものでございます。
 やはり競技力向上ということがまずは一義的にありまして、その結果、得られた知見というのが将来的にというか、今後より広く女性でスポーツをする方々にもフィードバックされていくということはあり得るし、有用な知見に関してはそうしていくべきだとは思いますけれども、現時点においてはやはり金メダルというところにぶら下がっているものというところは外せないということでございます。
【太田委員】  これは金メダルに限定された理由もあるんですか。2番じゃだめなんですかという話じゃないんですけれども、1番のトップの金メダルを目指すというのは当然アスリートの人であればすると思うんですが、結果として2番、3番であったって、銀、銅も立派な成果だとは思うんですけれども、これは金に限定した理由はあるんですか。
【説明者】  これはもちろんいろいろな考え方があると思います。ただ、実はいろいろ議論がある中で、金メダルというものを目指して頑張らないと、そこは金でしのぎで削って、本当にわずかコンマ差で破れた方が銀と銅に入っていく。こういう世界でございますので、あらかじめ、じゃ、3位までに入れればいいんだよということで目標を立てていくと、実際にはなかなか3位まで引っ掛かっていくということにならないというようなことも現場の実感としてありますので、そこは金メダルということを、金メダルを競技団体さん、統括団体さんの方も目標として設定しているということがかなり大部分でございます。
【太田委員】  個々のアスリートの目標としてはそれでいいとは思うんですが、政策目標として、それよりはもう少し広く見た方がいいような気もいたしますが、まあ、あんまり本質的ではないでしょうか。ありがとうございました。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  では、有川委員、お願いいたします。
【有川委員】  今までの意見と非常に似ているんですけれども、私も最初この事業名にだまされたんですけれども、トップという言葉が抜けているので、女性全体のアスリートの底上げの支援をしていく事業なのかなと思って、最初書いてあった政策評価指標の金メダルとかメダル数というところはおかしいんじゃないかというので直してもらったんですけれども、結局は何か、お尻を直してもらったんですけど、ヘッドが直ってないので、結局、究極の目的は金メダルの獲得数ということになるんでしょうけれども、私はやっぱり国民の税金を使って、この女性アスリートをどういうふうにして育てていくかと考えたとき、もちろんこの今やられている事業も必要なんだろうと思いますけれども、全体の裾野、女性アスリート全体を支えていくんだ。こっちの事業をやった、何か滴が流れていくんじゃ、やっぱりだめなので、国民の税金を両方、底上げの全体の女性アスリートを支える事業と、それから、こういう一部のトップアスリートを支える事業、同時並行に進めていくか。あるいは先ほど亀井委員が言われたように、まずは国民全体に税金を還元する事業を展開すべきなのに、なぜトップアスリートだけのための事業を先行させてやって、そこで得た知見が若干そこにも影響があるという論法になるかがよく分からないんですけれども、少なくともこの事業はやっぱりトップアスリート800人をターゲットにしているんだということを明確にしてもらいたいし、女性アスリートを支える事業を、これとは別立てで、別の施策目的の、施策と手段の体系で作っていただかないと、やっぱり女性アスリートの支援事業として片手落ちなような気がするんですが。
【説明者】  御指摘のとおり、すみません。私の説明が曖昧になってしまったかもしれないんですけれども、この事業はあくまでも国際競技力の向上という観点でやっておりますので、オリンピックの強化指定選手800人プラス、そこを目指すジュニア層というのが対象になります。一方で、じゃ、ここで得られた知見というのが絶対にトップアスリートにしか関係がないものなのかというと、そうではないので、そこは、今、スポーツ庁全体で議論している女性アスリート全体に還元できるものは還元していくし、それはその還元して終わりということではなくて、全体像はもちろんスポーツ庁全体として議論していく予定でございます。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  引き続き御議論いただきますが、外部有識者の皆様におかれましては、コメントシートへの記入を併せてお願いいたします。記入がお済みの方は挙手いただければ、事務局の方でコメントシートを回収いたします。
 では、田辺委員、お願いします。
【田辺委員】  論点シートの1番に、現場のニーズを反映させた取組や事業内容となっているかということなんですけれども、この現場のニーズをどういう形で把握しているのか。まさに今回のこの事業内容の設定ですよね。選定。これはどういうプロセスでされたのかというのを御質問したいと思います。
【説明者】  まず1点目、現場の声をどのように把握しているのかということでございます。私どもスポーツ庁という立場でございますけれども、各団体に強化費などを配分する中、また、いろいろ強化戦略を作る中で、各競技団体さんと意見交換というのを日常的にさせていただいております。
 そういった中で、こういう女性アスリートに対するニーズということをお伺いすることもございますし、また、実際JSCの方でも、この事業というのを進めていくに当たって、有識者を交えた選定委員会というような、正式な名称はちょっとあれですけれども、設けておりまして、その中には競技団体の方、また、スポーツの統括団体の方々、こういった方々をやって、年度初めにしっかりこういうことをやると。こういうことをやる上で、これは競技団体の現場としていかがですかと。いや、もっとこうした方がいいよと、そういったようなニーズというのを頂いて、事業を進めているところでございます。
【田辺委員】  今のお話だと、有識者とか団体のことなんですが、その団体が本当にアスリート、女性アスリートの人の声をどこまで把握しているのかとか、そういうところが何か今のお話では、ちょっとフワッとしているなということだったんですよね。今回の項目も多分いろいろ絞られる中で、こういうことをやられていると思うんですけれども、本当に現場は何に困っているのかという、その問題点とかその辺の調査というのをされたのかどうか。
【説明者】  参考資料の中にお付けしておりますけれども、39ページに幾つか御紹介をしております。一つは順天堂大学でしております。されました調査ですけれども、女性アスリートが抱える課題として、こういった、この資料にあるようなことが列挙されておりまして、こうした内容も踏まえた設計になっております。
 また、月経に関しましても、その後ろに、例えば40ページ、41ページ、42ページあたりにもやはり月経周期との関連で、体調が変化するというようなことを感じている女性アスリートの割合というのも高くなっておりますし、また、疲労骨折といったような問題も起きているという、こういったデータに基づいて、現在の事業は設計をされております。
【田辺委員】  この39ページの調査だと、これはトップアスリートの調査ですか。
【説明者】  そうです。
【田辺委員】  はい。端的に答えて、そういう調査だということでいいんですか。
【説明者】  はい。
【田辺委員】  はい。分かりました。それで、実はもう一つ、この調査の中の話、この事業の中に、これは事前のときにも申し上げたんですけど、調査研究というのがあって、この研究のテーマ自体は、これはどういう形で選定されたのかお聞きしたいんですけど。
【説明者】  これはスポーツ庁が公募を掛けまして、女性の国際競技力向上に資する調査研究というのを公募を掛けて募った中から、外部の有識者の御意見を聞きながらというか、外部の有識者の審査を経て選定をしたものでございます。
【田辺委員】  今回ちょっと思ったのは、こういう調査というのは特に健康に関するものとかというのは、これは1年、2年の話じゃなくて、相当経年的な変化というのをフォローしなきゃいけないと思うんですけどね。この2年で成果が出るというものだけになっているような気がするんですね。成果は出ないのかもしれませんけど。ということはもう少し真剣に女性アスリートといいますか、この調査研究。特に日本国内でこういう分野の研究者とか、研究体制をもっときちんと作っていくという形で、たまたまこういう募集があったから、じゃ、やってみようかというだけじゃなくて、そういう裾野を広げ、この研究体制と言うんですかね。調査研究の日本における研究体制の確立という視点からももう少しきちんと、もう少しというのは、これは本当に非常に短期のやつですから、本当に長期的な取組、あるいはもうちょっと金額的にもこういう金額でいいのかと、いろいろあると思うんですよね。何かえらく限定して、できるものしかやっていない。だから、本来、女性アスリートの研究であるべき姿というのをきちんと考えて、その中でリソースの配分といいますかね。今は何か2年ぐらいでできそうなやつを公募してやっていますと。やっていますというだけになっているんじゃないかという気もするんですけど、いかがですか。
【説明者】  この事業はもともと2年ぐらいのスパンで現場に還元できるという視点から選んでいるものでございますので、先生御指摘のように、長期的に、基礎的なところから研究していただくというものを、金額的にも対象にはしておりません。そういった意味で、意図的に短期である程度の成果が出せるものということを選定しております。したがいまして、先生がおっしゃったような長期的な研究体制というのは、この事業では必ずしもカバーし切れない部分だとは思うんですけれども、今後の課題としては重要なことと認識しておりますので、またスポーツ庁全体としても考えていきたいと思います。
【説明者】  すみません。今、先生のおっしゃったような問題意識、非常に我々も感じているところでございます。つまりは、女性スポーツ全体に対する研究というものが非常に包括的な形で役割分担が進んでいくということをしっかり考えていかなければいけないという中で、こういうワンショットのものを組み合わせているだけではなかなかよろしくないのではないかという議論が私どもの中でもありまして、昨年からJSCの方でこの事業の中で、女性アスリート支援カンファレンスというものを開催して、要は、この女性アスリートの分野について研究をして、これまで委託事業に応募してきていただいた方、そういう関係の研究者、また、そういうものを受け止めていただく、アクセプトしていただける現場の方というのを集めて、研究者間のネットワーク作りというところも今、力を入れ始めているところでございます。問題意識は全く共通しているというふうに考えてございます。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  では、松浦委員、お願いします。
【松浦委員】  事前の勉強会でもお聞きしました。僕も、亀井委員でしたっけ、そもそも政策から金メダルと書いてあるのが事業を大変苦しくしていると思って聞いていました。要するに、金メダルをとるだけ、数を増やすのであれば、選手の数が少ない種目に集中的に投資するとか、生涯困らないだけの年金を出すとかという選択もあるわけですよね。だけど、日本はそういう政策は基本的にはとりませんよと。もともとのオリンピック精神に反することではあるし、本人のためでもないでしょうという理解の下に今お聞きしていましたけれども、そうすると、やっぱり女性特有の問題というのは、よくまとめていただけたと思いますけれども、例えば24ページとか25ページ、それから、27ページあたりを拝見しますと、24ページに端的に女性のアスリートの抱える問題というのが、ライフサイクルまで、挙児の問題まで含めてですけれどもね。入っているということと、それから、25ページでは、やはりアウト系の方はかなりエネルギーロスが大きくて骨折しやすいんだろうということがこれでよく分かるということ。
 それから、27ページでアンケートをとっているけど、ここで見ると、実は婦人科医というふうに御説明になっていらっしゃったんですけれども、確かにそうなんでしょうけれども、小児科、つまり、ジュニア層に的を当てると、小児科とか、それから、心理ですね。ここの部分に関してもかなり大きなウエートが実はあって、ここはもう婦人科医というよりは、女性アスリートのためのスポーツドクターを育成し、コーチとノウハウを共有するというような、ちょっと大きめな目で見るべきではないかなというふうに思うんですけれども、今そういうドクターというのはどのくらいいらっしゃるか、データをお持ちでしょうか。
【説明者】  すみません。スポーツドクターは、日本体育協会の方で育成しているということで認識しているんですが、当課の担当、直接でないものですから、持ち合わせてございません。ただ、先生が今おっしゃったような問題意識というのは、実は今、スポーツ庁の中で先ほど来お話ししている中で、基本計画ができて、私ども競技スポーツ課だけではなくて、一般の裾野を育成する健康スポーツ課、また、指導者を育成する参事官、そういったところ、実は女性スポーツの課題はかなり縦がばらばらになっている。このままではいかんということで、しっかり体制を作ろうということで、課横断的な体制を作って議論を始めてございます。
 そういった中では、もちろんおっしゃったようなスポーツドクター。特にスポーツドクターとか部活動指導者というものがしっかり女性アスリート特有の課題のものを持つということを課題にして、検討を進めるということを具体的に始めてございます。
 そういったところは、実は今、トップアスリートの方が先行して動いている、もちろん予算の限られている中で、まずセグメンテーションして始めてきたというところはありますけれども、そういったところもしっかりこれからスポーツ庁挙げて取り組んでいかなければならないということは、長官以下、強く認識してございます。
【松浦委員】  じゃ、関連で、追加ですけれども、そうすると、やっぱり女性特有の問題ということになりますから、連動して、やはり女性コーチ、優秀なアスリートが現役をリタイアしても、優秀なコーチとして女性のコーチとして残ってもらえるような施策とかですね。あと、医師にしても、できれば女医さん、そういう方々になるべく関心を持っていただくとか、そういう切り口というものがやっぱり必要だと思います。コーチまでは書いてあったけど、ドクターの方は出てなかったので、一言付け加えたところでございます。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  では、有川委員、お願いいたします。
【有川委員】  先ほどとはちょっと違うんですけど、若干関連するのかもしれません。9ページのこの中室委員から意見が出ました、JSCに対する一括請負のような形の契約関係なんですが、恐らくこれはトップアスリートに対しての事業展開するから、本省はノウハウがない、設備がないということで、丸投げしているんだろうと思いますけれども、もし私が言ったような形で、トップアスリートだけではなくて、ターゲットはもっと一般女性アスリート全体も考えるんだったら、これはもう間違いなく、本省が司令塔になって、こうやって特定の団体に丸投げするのではなくて、必要なものだけを切り出して、重要な、全女性アスリートを対象にした事業は本省みずから必要なところに委託していくというのが本来の筋じゃないでしょうか。
【説明者】  そこは現時点ではトップアスリートに限定しておりますので、こういう形になっておりますが、先ほど、今もスポーツ庁全体で何ができるかということを考えていく中で、具体の施策が出てきた場面では是非留意しながら検討させていただきたいと思います。
【説明者】  すみません。この事業からちょっと離れた話ではございますけれども、先生おっしゃるように、いろいろ裾野が広がってまいりますと、更にプレーヤーが増えてまいりますので、そういったところは我々JSCとだけ向き合うわけじゃなくて、かなり広くネットワークを作っていかなければいけないというところは庁内でもよく共有したいと思います。
【有川委員】  スピード感持って対応していただきたいと思います。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  亀井委員、お願いします。
【亀井委員】  別な角度になるんですが、やっぱりこの事業、分かりにくいなと思うのは、まず教えていただきたいんですけれども、9ページを御覧いただきたいんですけれども、あるいは9ページ、10ページを見ながらお話をしたいんですけれども、9ページを見ると、Aという、スポーツ庁から3億8,000万出ていますと。これが女性特有のという形で書いてある。課題に着目したというふうに書いてあるんですが、ある意味これはリスクをどうやって制御するかという形の事業だというふうに私はそう理解しているんですけれども、Aのところまでおりたところまでもそういう事業の趣旨なんですが、CとDにおりたところで、ここで趣旨が変わるんですね。つまり、Dについては、女性のコーチの中でも、特にそういったある種のリスクを想定しながらきちんと育てることができるコーチを育てましょうと。これも分かりますと。
 ただ、分からないのがCなんです。これが具体的に今、特有のリスクとおっしゃっている、これを回避するためのプログラムになっているかどうかなんですけれども、ここはいかがでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。こちらは先ほどの14ページの資料に戻っていただければと思うんですけれども、実は柱が3本ございまして、女性アスリートの国際競技力向上というのもこの柱立てとして入っております。女性アスリートの国際競技力向上、その離脱防止とかではなくて、実際の高いレベルに高めていくという部分での課題といたしましては、女性競技の国際レベルの競技大会が少ないということがございます。そこを解消するために女性向けの競技大会をこの委託事業を通じてやっているというのがこの先ほどの9ページのCの部分でございます。
【亀井委員】  だから、やっぱりこれは話が混在しているような気がしていて、競技を続けることによってリスクが高い種目が幾つかあります。これは参考資料等にお示しがあったとおりですね。そういうことはやっぱりあってはならないわけですね。結果的に金メダルとりなさいと。私はそもそもこういうものは国家が進めるべきじゃないと思いますけれども、そういう中で、それのある種犠牲になって、みずからの体を壊してしまって、将来、そのリスクを背負ってしまう。新聞記事も以前拝見しましたけれども、そういうようなことがありましたと。それがあってはならないから、こういうことをしましょうという事業と、一方で、国際的な大会が少ないから、その大会の数を増やしましょうという事業を同時にやっているから、こういうちょっと分かりにくいことが起きるわけで、何か丸めて女性アスリートの戦略的強化支援プログラムというふうに言っている曖昧さがここに表れているし、ある種、金メダルを狙う者は金メダルを狙う者でいいですよ、それは。
 それは僕は価値観は違うけれども。それはそれで置いておけばいいんだけれども、一方で、ちゃんと女性を守るんだと。スポーツという過酷な状況の中で守るんだということをきちんと分けて議論して、お金を使い方を分けないと、今の説明が私もやっぱり分からないんだけれども、確かにこれ、14ページ、大変御苦労されたのはよく分かるんですけれども、このつながり方がやっぱり見えてこないというところがあって、そこも含めて大きく見直しをした方がきちんと、これから、もっと言えば、スポーツ庁はできたばかりの役所ですから、これから事業はそれぞれ分けて考えていかなきゃいけない中で、そこは是非考えていただきたいと思います。ここはいかがでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。御指摘の点も理解しつつではあるんですけれども、我々といたしましては、強化とその離脱防止というのは両輪だと考えておりまして、指標の立て方とかは工夫の余地があるとは思うんですけれども、きちんと強化をやっていく必要がある。だけれども、その強化の結果、やはり健康を損ねることがあってはいけないし、健康を損ねて、せっかくトップに近いレベルまで来た人が離脱するということは防がなければいけないということで、強化をやりつつ、やはり高いレベルのトレーニングにも耐えられるようなサポート、あるいはアドバイスというのをきちんとしていくべきということで、ここは一体的にやっていく必要があると考えておりまして、そういった観点から、この事業では両方一緒に取り扱っているということでございます。
【亀井委員】  やっぱり政策を評価する立場からすると、どんどんこれで見えなくなるんですね。皆さんが別に不真面目にやっているとか、いいかげんにやっているということを申し上げるつもりはないんです。ある種これは受益者に対してのアカウンタビリティーももちろんありますが、主に行政事業レビューをやっている意味というのは、納税者に対するある種のアカウンタビリティーだと思うんですね。えっ、3億8,000万も掛かっているんだ。それも800人プラスアルファに対してとなると、1人当たりで見ると、結構大きな金額になるわけですね。それに何を使っているんだろうというふうに見ていくと、ああ、なるほど。体を守るんだなという話を、ずっと伺っていると、きょうの議論もそうなんですが、それなら、でも、そんなに掛かるのかなと思いながらずっと聞いているわけですね。
 と思ったら、何か聞いてみたら、ああ、そうか、女性のラグビー大会やったんだとか、あるいはハンドボールもやったんだと。その大会をやった話は、でも、あれっ、女性の体を守る話と何の関係があるのかなと。これは当然、納税者としては疑問に思うわけですね。まさにこういったような議論の混在を避けるためにも、これは追々、これはまさにスポーツ庁は立ち上がったばかりですから、あえて申し上げているんですけれども、そういったアクセルとブレーキの部分については、もちろんそれは、上位概念としては一体的に見ていかなきゃいけないんですよ。
 上位概念としては一体的に見ていかなきゃいけないし、まさに課長は両方見なきゃいけないのかもしれない。だけども、事業としては個別に、アクセルはアクセル、ブレーキはブレーキという形で分けられることが今後望まれると思うんですけれども、その点は改めていかがでしょう。
【説明者】  事業としてやはり一体的にやっていかなければならないし、その女性という切り口でまとめていくということには意義があると思っております。ただ、先生が御指摘のように、やはりそこが全部引っくるめて金メダルという指標になっているところが、分かりにくさの根源だと思いますので、そこはもう一度、まあ、恐らくそれぞれ細かく見ていくと、きちんと説明はできるとは思うんですけれども、そこの構成ですね。指標と、すみません。スポーツ基本計画の金メダルというのは、これは5年間変えられないんですけれども、そこは残しつつ、この事業の中での指標と目的の部分というのはもう少し対応がきちんと見えるように整理をしていければと思います。
【亀井委員】  もう一点あるとすると、委託の関係だと思います。結局その部分をある種、執行者であるスポーツ振興センターに丸投げしている形になっているからなんです。つまり、政策目的が大きく分けて2つ対立しかねないものを、ある種委託者に対して、もちろん一体的に見る必要はありますけれども、これはむしろ、文科省なり、スポーツ庁がきちんと見ればいい。そこがまさに政策企画者である皆さんのお仕事であり、そのアクセルとブレーキのバランスをどうとるかという中で、それぞれ適切な委託者を、受託者を探していくというのが皆さんのお仕事だと思うんですが、今の状態だと、アクセルもブレーキも一体として、それはそうかもしれない。総論で言ったらそうかもしれないけども、それも含めて、受託者に渡してしまっている状態にあるのが、これは政策のガバナンスとしてどうなのかなということを申し上げているわけです。
【説明者】  若干繰り返しにはなるんですが、調査研究のところはスポーツ庁が直接公募を掛けて、委託をして、Bの部分ですね。Bの部分はやっておりますけれども、御指摘のようにAの部分はJSCに今、一括して委託をするという形になっております。
 これは繰り返しになってしまうんですけれども、やはり一体的にやった方が効果的なんじゃないかということで、こういう形にしておりまして、実際上も、実はこの大会をやるときに、医科学的な知見を現場に還元するという観点からいろんなカンファレンス、セミナーなども、このDの方の……。ああ、Dじゃないですね。すみません。支援プログラムの方で得られた知見を中心に還元をしておりますので、今も一体的な運用にはなっておりますが、それが適切かどうかというのは……。
【亀井委員】  いや、つまり、何かというと、納税者の目が入りにくいんですよ。JSCまでは、要は、納税者の目、入りにくいです。そこは一体的にやっているんでしょう。真面目にやってらっしゃるんだと思います。実際に見させていただいて、それぞれの方が女性のそれぞれアスリートの体を守るために一生懸命やってらっしゃるのは拝見しました。ただ、やはり納税者の目から見れば、じゃ、AとCとDというのはどう一体的にされているのか。少なくともこれまでの御説明だとやっぱり分かりにくいのかなと思いますし、ここはきちんと分けるべきだと思いますし、そのJSCの委託についてもプロセスとしてはきちんと分けて考えるべきだと思います。
【説明者】  すみません。1点だけ御理解いただきたいのは、先生、現場を御覧いただいて、御理解いただいているものだと思いますけれども、トレーニングにしても、栄養サポートにしても、いろいろなものがございますけれども、いわゆる健康でない状態を健康な状態に戻すということと、それを更に競技力を上げていくという意味では、トレーニングにしても、いろんなサポートにしても、両面に働き掛けるものということがありますので、いわゆる原子力の規制と推進みたいに、なかなか判然と分からないというところはございます。
【亀井委員】  いや、ごめんなさい。それは分かっています。それは分かっていますが、事業として見ていただきたいんです。もちろんそれが一体だというのは分かるし、アスリートの立場から見たら、それは当然です。ただ、今こうやって見たときに、9ページを見たときに、じゃ、Cの女子のラグビーフットボール大会を北海道で開催します。それはなぜやるかといえば、女性の機会がなかなかないからであると、こういう御説明だったわけですね。その話と、この女性の体を守っていく話というのは本当につながるんですかということを申し上げているんです。
 それは普通に考えれば、直接はつながりそうもないな、ただ一体的に行った方がいい場合はあるよなと、それは分かります。普通に考えれば分かります。ただ、その後者の部分だけ強調されても、それは皆さんのある種ガバナンスが、ちょっと申し訳ないけど、いいかげんなところを抗弁する理由にはならないと思います。
【説明者】  一体的な運用というのは、やはり連携は必要だとは思うんですけれども、契約の仕方が適切かどうかというのは改めて検討させていただきます。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  御議論は継続いただきたいんですが、コメントシートへの記入をなされていない外部有識者におかれましては、コメントシートへの記入をお願いいたします。
 事務局の方はコメントシートの回収をお願いいたします。
 コメントシートの取りまとめにまだ若干のお時間を頂きますので、引き続き御議論いただければと思います。
 太田委員、お願いいたします。
【太田委員】  事業目的とコンテンツとの不整合の話ばかりで恐縮なんですけれども、これは、変な話ですけど、金メダルの数が増えればいいんですかという、多少女性の健康が損なわれてでも金メダルの数が増えればいいんですか。
【説明者】  金メダルの数は増やしたいんだけれども、その過程で女性のアスリートの健康が損なわれてはならないという前提ですので、先ほど月経異常の比率の指標を追加したということを申し上げましたけれども、そことパラレルで見ていく必要はあると思っております。
【太田委員】  とすると、やはり健康の保全という方が政策目的としては上位なんじゃないですか。どちらか一方を取るとすると、金メダルの数が減ったとしてもやはりアスリートの健康を確保できた方が望ましい状態だという御判断なんじゃないですか。
 政策目標としては健康の方であって、メダルは二の次だということになりませんか。
【説明者】  今までどうしても光が当てられなかった部分に光を当てているということで、若干こう……。すごく難しい質問だと思っております。女性の健康が損なわれてでも金メダルをとるべきかというと、そこはそうではないんだと思うんですけれども、一方で、実態としてそういう形になってしまっている部分もあって、実際、疲労骨折をしていたりというような事例があるので、そこは少しでも解消しながら、競技力向上という目的も達成していきたいという思いなので、できれば両方達成したいというところなので、非常に難しい議論だとは思っております。
【太田委員】  いえ、政策目標の上位という話は、トレードオフになったときの問題でしょう。両方伸ばせるときは両方伸ばせばいいんです。ただ、どこかで限界があって、これ以上、メダルの数を増やすとしたら、もう少し女性の健康が損なわれると。そうすると、メダルの数を最大化するための最適な健康の損なわれ率みたいなのがあるはずなんですよね。分かります? メダルの数を最適にするには、これぐらいの率で体を壊す人が出てくるのがベストだという割合が出てくるんですよ。そのときに健康を損なってでもメダルの数を増やすというふうに、これは読めるんです。それは許されないのではないのかというのが私のポイントで、両方増やせるときは両方増やした方がいいです。問題はトレードオフになったときにどっちを優先するのかということです。
【説明者】  これまではやはり金メダルを目指す余りに無月経になっても放置していたりという状況がありましたと。ここを改善していこうということですので、基本的にはやはり女性の健康を守るということが優先ではあると思うんです。ただ、この事業がやはりスポーツ基本計画の国際競技力向上のカテゴリーにある以上は、金メダルという目標は掲げ続ける必要があるということかと思います。
【太田委員】  御説明とこのシートが合っていないということで、その場合にやはり健康を守るためならメダルの数は減ってもいいという話ですよね。そうすると、金メダルの数よりもアスリートの健康の方が優先だという御説明だというふうに伺ったんですけれども、私はそうあるべきだと思うんですけれども、そうなったときに金メダルの数が政策目標として一番上に来るのは、やはりこれは不整合ではないかと思います。
【説明者】  先生のおっしゃった究極的に、健康を害せば金メダルは増えるという状況というのが、今は非常に行き渡っていない知識の中で、そういう方法で競技力を伸ばすということにとどまってございますけれども、例えば、昔、ウサギ飛びをやった、水を飲ませない、そういう中で強くなるんだ。これは明らかな間違いなわけであって、休養日を設けて、科学的にトレーニングすればするほど、実は記録は伸びるといったような因果関係もございます。だから、本当にしっかりサポートした中で競技力を伸ばしていくというモデルを、このプログラムを通じて追求していったときに、突端まで行ったときに、本当にそこで競技力、体を無理すれば競技力は伸びるかというところについては、若干、本当にそうなるのかなというところはよく考えていかなきゃいけないかなと思っています。
【太田委員】  いやいや、私はこの分野は全く素人ですので、実際正しいかどうか分からないんですが、私が見た感じの印象で言うと、競技レベルの本当の世界のトップのレベルのスポーツというのは健康に悪いと思うんですよね。そこで更に勝っていくというのは、多分、健康をある種犠牲にしつつ、メダルの数を増やしていくと。それをぎりぎり頑張ってらっしゃるということはそうだと思うんですけれども、両方促進できればそれは理想的なんですが、政策として、その害を少しでも減らしていこうということなんだろうとは思うんです。ただ、そこで、そのシートの目標が金メダルの数でいいのかということはやはり一度立ち止まって深く考えるべきじゃないかと思いますが。
【説明者】  そのトップレベルというカテゴリーの中でも、本当に物すごく上位の、それこそメダルに届くような人と、そこにもうちょっとで手が届きそうなレベルとで違うんだと思うんですけれども、やはり本当の意味で健康を害してしまうと、メダルはとれない。むしろとれなくなってしまうことがあると。例えば疲労骨折して、故障期間が長ければ、その分トレーニングもできないわけですので。そのメダリストのもうちょっと手前の頑張っている人たちが、健康を害して、無理をして、トレーニングをして、例えば疲労骨折を繰り返して、結局、選手生命を絶たれるというようなことが多いので、そこをなくしていきましょうということだとすると、ということだと思うんですけれども、そうすると、金メダルということとも必ずしも矛盾しないと……。
【太田委員】  いや、必ずしも矛盾しないことは、私はもう重々承知しておりまして、両方伸ばしたらいいというときは両方伸ばしたらいいんです。問題はトレードオフになったときにどっちをとるかということなんです。トレードオフに決してならないとは言えないはずで、どこかでメダルを増やすとしたら、これは健康を害さないといけないというようなときになったときに、これは抽象論ですよ。抽象論ですけれども、シートの目標がメダルの数で、健康な話を議論していいのかというのが、やっぱりここの一番大きな問題なんだろうと思うんですよね。これはメダルとは切り離した上で、是非ともやらないといけない事業なのではないのかというふうに思うんですが。
【亀井委員】  私もそう思います。
【説明者】  行政事業レビューということで、これは事業レベルの評価を頂く場面だとは認識しているんですけれども、基本計画、我々、今作ってしまったばかりということもあって、今後、スポーツ庁で女性アスリート関係、これは一般の裾野を含めてですね。いろいろ施策の関係性というのは、もう一回見直すタイミングというのが必ずやってくると思います。そのときにはこの中でトップの部分と、また、裾の部分というのと、組み換えとかそういうことがあると思いますので、そういった中でちょっと、今いただいたような御意見、かなりいろんな先生から頂きましたので、よく生かして検討していきたいと思います。
【亀井委員】  ごめん。今の話、全然違うんですけど、何か話がずっとかみ合っていないんですが、もちろんスポーツ基本計画は基本計画であるんですよ。ただ、事業の切り方をきちんと切らないと、かつ、契約のやり方をきちんと切らないと、何を事業として設計しているのかが全く見えなくなっちゃいますよという話なんですよ。これから多分、この分野は大きくなるんですよ。そこにお金を付けようという話になると、そうすると、私、ほかの役所でも幾つか見てきたんですけど、野放図に大きくなっていくんですよ。そこを避けたいから、ここで、言葉は悪いですけれども、釘を刺している状態で、その中できちんと体を守るべきものは守る。もちろん金メダルを狙う者は金メダルを狙えばいいですよ。そういう目的の事業があったっていいですよ。それをきちんと分けて考えて、かつ、ただ、課長なり、その管理職としては、それを統合して、マネージするのは当然のことなんだけれども、事業は事業としてそこを別々にちゃんとマネージしていくということが基本だと思いますということを申し上げているだけです。
【説明者】  すみません。ちょっと勘違いしておりました。そういう意味では、女性の健康も守らないといけないし、金メダルもとらないといけないし、なので、そういうトレードオフに生じないような成果指標の立て方が、及び契約の仕方が必要だという御指摘ということで理解させていただいてよろしいでしょうか。
【亀井委員】  基本的にはまずそこは最終的には政治も含めて、ある種、執行としてどうしていくかというところは、それぞれ運用もあるんだと思いますので、それはもちろんあるんだと思います。それは最終的には究極の価値判断だから、そこはまさに人なり、最終的には国民主権の下での議院内閣制の下でという話なんだけれども、ただ、事業として、それをいきなり立て付けちゃって、かつ、数字として、そこだけ、片方が落ちて、片方だけ事業目標として残っていると、そういう問題が起きて、かつ、それが独り歩きしますよということをずっと申し上げているだけです。だから、そういう意味では今の御理解でいいと思います。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、コメントシートの集計がまとまりましたので、取りまとめ役の有川委員より、評価結果及び取りまとめコメント案の提示をお願いいたします。
【有川委員】  では、評価結果から報告したいと思います。事業全体の抜本的改善を求める委員が3名、事業内容の一部改善を求める委員が3名となりました。
 各委員のコメント、主なものを読ませていただきたいと思います。
 事業による取組が課題の解決に向けてどの程度の効果を上げているのか分かりにくい。また、事業の対象と目的が混在している。JSCへの契約も分かりにくいという意見であります。
 スポーツ基本計画の下でのトップアスリートに対する事業だが、トップアスリート以外の事業は区分して、事業が行われるべきだ。現時点でトップアスリート以外の同様の趣旨のプログラムが行われていないのは問題だと。
 それから、健康問題と競技レベルのアップをきちんと峻別すべきだと。契約についても同様である。そもそも金メダル至上主義が問題なのではないかと。個々の取組はよいかもしれないけれども、事業のガバナンスの確保、契約の在り方、アウトカムの在り方について含めて、抜本的に見直しが必要だという意見。
 事業内容自体はすばらしいが、金メダルの数を増やすという政策目標の設定に問題がある。本当に金メダルの数を成果指標とするのであれば、本事業が手段として有効かどうか疑わしい。本事業は金メダル数と切り離して、強力に推進すべき事業であるという意見。
 事業名を事業目的のトップアスリートの支援に沿うように改めないと、国民に誤解を与える。トップアスリートだけではなくて、女性アスリート全体における女性特有の課題を踏まえた支援事業を構築する必要がある。例えば女性の活躍支援といった別の施策にも、この事業をぶら下げて、事業の内容を再編することも考えられないか。JSCに対する一括請負の内容については、現在行われている事業の見直しに即して、速やかに改善が必要だ。女性アスリート特有の問題に対応するには、女性コーチを増員する必要がある。アウトカムの設定においてはまだまだ改善の余地がある。それから、契約の関係で、調査研究にも意見があります。調査研究が短期、小規模なものに限定されていること。テーマが公募によって求められていることからすると、政策として本当に必要な調査研究が行われているのか不明だ。現状の課題、問題に基づいて、必要な調査研究を設定して、実行していく取組が必要だという意見であります。
 これらをまとめまして、読み忘れたのはないですね。全部ありました。先ほどと同じように、3対3に分かれましたけれども、多くの委員の方の意見がやはり抜本的な見直しを求めているということで、評価結果については、事業全体の抜本的改善という評価にしたいと思います。
 こちらからの提案ですので、お諮りしたいと思います。
 それに対する取りまとめコメントですけれども、1点目は、本事業と並行して、女性アスリート全体における女性特有の課題を踏まえた支援事業も実施する必要があるというのが1点目のポイント。
 それから、2点目のポイントとしては、本事業の内容はすばらしいけれども、本事業の目的に対する手段としては大変この目的手段関係が不整合だという意見ですね。
 それから、3点目が、この事業の内容において、健康問題と競技レベルのアップが混在しておるので、事業内容について、契約面も含めて整理をする必要があるという3点目。
 4点目がJSCに対する一括請負の内容についても外にきちんと分かるような形で検証と見直しの必要があるというのと、5点目が、調査研究についてでありますけれども、政策として必要な政策研究にきちんと限定した形で実施する取組が必要だと、この5つの取りまとめポイントで、先ほどの抜本的改善というふうにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
【田辺委員】  ちょっといいですか。評価はいいんですけれども、一番目はちょっと、一番最後、まあ、もう取った方がいいと思うんですよね。この事業じゃなくて、ほかの事業のことを言っているので、書くとすれば最後に持っていくとかですね。一番上に来る話なんじゃないかと。
【有川委員】  1番目を5番目にするということでよろしいでしょうか。
【田辺委員】  それを表明したら。
【有川委員】  よろしいでしょうか。私も言っている方の意見の一人なので、それで。じゃ、1番目の方を5番に回させていただいて、ほかの事業の話ということでそうさせていただきます。よろしいでしょうか。
 はい。では、事務局。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  ちょっと何か。よろしいですか。
【説明者】  これは質問なんですけれども、この本事業以外のコメント、今、5番目に持っていかれたコメントについて評価を頂いた場合は、事業担当者としての話というのは、このプロセスにおいてどのようになるのかというのをお伺いできればと思います。
【有川委員】  私のコメントとは言わなかったんですけれども、ほかの省庁でもあるんですけれども、この事業自体は必ずしもトップアスリートだけではなくて、女性アスリート全体にも影響している事業なので、2つの施策の下につながる事業として実施されれば、何も新たな事業を展開する必要はないと思います。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  はい。今おっしゃられたとおりで、きょう、この事業に限らずに、ここで御議論いただいたのは、文部科学省の事業として、国民の皆様に分かりやすく御議論いただくとともに、その事業を取っ掛かりにして、文部科学省あるいはオールジャパン、ほかの省庁との連携とかに至るものもございます。今のに限らずに、担当課長さんだけで、この事業だけで解決すべき以外の問題もありますので、例えば先ほど来、スポーツ庁内で、今御議論を進めていること、あるいは各省連携その他のものも含めて、文部科学省として、しっかりこれに応えていくという御理解を頂ければよろしいかと思います。
【説明者】  はい。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、ありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして、女性アスリートの事業の公開プロセスについては終了いたします。
 この後につきましては、45分からということで、よろしくお願いいたします。
( 休憩 )
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、最後の7コマ目を始めさせていただきます。これからの時間帯は、頭脳循環を加速する戦略的国際研究ネットワーク推進事業について、御議論を賜りたいと存じます。
 初めに事業概要の御説明をさせていただきます。事業担当課は、5分以内で簡潔に説明をお願いいたします。
【説明者】  どうぞよろしくお願いいたします。頭脳循環につきまして、補足資料で11ページから御説明させていただきたいと思います。
 まず資料の上半分に現状ということで、世界の研究ネットワークに日本が乗り遅れつつあり、研究力についても相対的に低下しているというような背景について書かせていただいております。
 左側につきましては、トップ10%論文の各国との比較でございまして、日本が特に近年、英国、ドイツ、フランスと比べても遅れておりますし、中国は特別な伸びを示しておりますけれども、相対的な低下が見られるところです。
 それから、右側は、丸の大きさが論文の数、それから、線の太さが共著関係の強さでございまして、これにつきましても、ネットワークから乗り遅れというような状況が見て取れるところでございます。
 これは背景でございますけれども、そのような中で、事業としましては、事業概要のところです。我が国の高いポテンシャルを有するグループが、研究力の強化に向けて強固な国際研究ネットワークを形成できるよう、海外のトップクラスの研究機関との間における研究者の派遣・受け入れを支援するということでございます。
 研究力の強化に向けて、国際ネットワークということは若干分かりにくいかもしれませんので補足しますと、研究力の強化は、具体的には国際共同研究をしていただいて、すぐれた成果を創出していただく。それとともに、波及効果としまして、事業によって構築された協力関係に基づいて、新たな共同研究をして成果を引き続き、事業終了後も出していただくというのも波及効果で期待しているというところでございます。
 補足させていただきますと、上の現状・課題のところは、いろんな方の御意見も踏まえて検討し、背景と捉えるというふうな認識だと考えておりまして、この事業をもって、日本の全体のトップ10%論文、この傾向を単独で変えるというようなものでもないと思いますし、方向性としては合っているとしても、また、この10%論文増のために共著論文、その原因が共著論文の伸び悩みであって、それを解決するのがこの事業だというふうな取り扱いも位置付けとしては違うんじゃないかというふうに認識をしているところでございます。
 方向性としては合っているとしても、この事業としましては、まさに研究者の派遣・受け入れを支援すると。そうすると、海外のトップ研究機関と組んで、成果が出るというようなところ。それを支援していくというふうな考えでございます。
 時間があんまりなくなりましたので、次のページは件数と予算ですが、見ていただきつつ、13ページ、14ページは、前回のプロセスのコメントへの対応状況を書いておりますけれども、じゃ、1分ぐらいで。相手の機関を一流の機関に絞るべきということにつきましては、公募要領で、海外のトップクラスと組むというふうな旨を記載しつつ、実際の審査におきましては、海外の大学ランキングでトップ100以内の大学と組むというようなことを念頭に置きつつ、審査をいただいているというようなところでございます。
 それから、支援人数を引き上げるべきということにつきましては、これは3,000万から4,000万に引き上げまして、1名以上の派遣だったところを、26年度以降は、2名以上の派遣と。それから、双方向のネットワークというところにつきましては、これは双方向にして、派遣のみではなく、受け入れも行うようにしましたと。それから、国内のネットワークの形成及び流動性。これについても、公募要領に入れるとともに、国内ネットワークを含めたシンポジウムの費用を使える。シンポジウムのために費用を使えることを明確化したというようなところでございます。
 それから、採択された研究成果。これは先ほど申し上げましたように、研究成果を出すということが一番重要なところだということでありますので、幾つか具体例を出させていただいております。
 次のページ、16ページにつきましては、共著論文につきまして、その支援の始まる前と後で伸びている例ということを、定量的な指標を従来より出す、それも用意すべきというふうな議論になっておりましたので、このような定量的なものも書いてあるというところでございます。
 その他、アウトプットの状態で、派遣者数、招聘者数でありますとか、それから、その後、19ページには新たな共同研究の拡大が何件あったとかですね。事業終了後も引き続き研究機関への派遣・受け入れが行われていると、そのような状況について記載しております。
 すみません。若干5分を超過して恐縮でございました。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、私の方から、論点について御説明させていただきます。お手元の論点等説明シート、1枚紙を御覧ください。
 論点の1点目、見直しの趣旨を踏まえた事業の改善がなされているか。
 2点目、国費の投入の有無による成果を比較し、事業効果の分析・評価を行っているか。
 3点目、事業の終期が設定されていないが、事業を進めるべきか止めるべきか常に検証できるような仕掛けを入れるべきではないか。
 4点目、アウトカム・アウトプットは適切に設定されているか。
 以上の論点等について御議論をお願いします。
 それでは、外部有識者の皆様からの御質問等をお願いいたします。説明者は、外部有識者からの質問に対し、簡潔明瞭に回答をお願いします。
 太田委員、お願いします。
【太田委員】  事前の勉強会のときのお話では、世界の、引用でトップ10というんですか。重要な研究をしている論文数と、その国際交流の間に相関があると。それは因果であると。いろいろな偉い先生もおっしゃっているし、アンケートでもそうなっていると。よって、この交流を含めれば、論文がどんどん出るんだというお話だったんですけれども、その件については、今回は主張されないということですか。関係は特にない?
【説明者】  そこにつきましては、まず関係につきましては、事前の勉強会についても相関のところについては共有いただけたんじゃないかと思っていまして、相関はあるのではないかということですけれども、一方で、御指摘のあったように、確かにトップ10%論文の因果関係でいきますと、そこはこれが因果関係かというと、トップ10%論文には非常にいろんな要素が関係していると思います。まさに科研費等々の競争的資金などで、どのような研究力が上がっているか。そういうところを踏まえますと、そこの因果関係というところは取り下げるというか、委員の先生の御意見を踏まえて、そうだなと思うようになったということでございます。
【太田委員】  了解しました。とすると、次に問題が出てくるんですが、これは効果があるかどうか分からないけれども、とりあえず、ひょっとしたら役に立つかもしれないからやってみる事業ということになってしまいますが、それでよろしいんですかね。
【説明者】  そこにつきましては、先ほどの15ページのところでございますけれども、まず採択された課題の研究成果についてということで、これはこの事業について、研究費については既存の、既にもらっているもの。科研費でありますとか、トップダウンの競争的資金、あるいは民間資金など、それに確保いただいているお金を使っていただきますけれども、研究者の派遣・受け入れのお金を支援すれば成果が出るというものについて、その支援をすると。つまり、具体的な共同研究で、成果が出ることを期待して、その創出されたものが成果であるし、もう一つ、先ほども申し上げましたけれども、波及効果としまして、事業実施後も、事業で構築された協力関係、これに基づきまして、共同研究をしていただいて、実際、新規の共同研究のデータも付けさせていただいておりますけれども、そのような共同研究が発展するということも波及効果で併せて期待しているところでございます。
【太田委員】  資金を投入して、プラスの効果は出るんだろうと思うんですが、現地視察に行ったときに、その一線級の研究者の方が4,000万円、この事業から頂いているということで、しかし、4,000万円、フリーに使えるお金として4,000万円もらえば、こういう国際交流には使わないというふうにおっしゃったのが印象的でですね。そうすると、もっとほかに有効な使い道があるのに、使途限定を付けることによって、非効率な使い方を強制しているのではないかという懸念があるんですけれども、その点についていかがでしょう。
【説明者】  なかなかフリーなお金が何にでも使えるといったときに、確かに必ずしも絶対この新たな海外のトップ研究機関の協力相手を見つけて、新たな研究テーマを作ってというふうに使うとは限らないというようなお話はあったかと思います。それにつきましてはなかなか、確かにそのいろんな使い方がある中で、ただ、日本として、新たに、新たな分野を開拓して、新たな研究分野を世界のトップ機関と協力して成果を出していくということによって、今までにない成果が得られるというものについて支援するということなので、こういうふうな支援をすることによって、実際に15ページにも成果を幾つか示させていただきましたけれども、そのような大きな成果が期待できるものだと考えております。
【太田委員】  いや、成果は出ると思うんですが、より研究の実態に詳しい人がそういう用途で使わないというふうにおっしゃっているということは、もっとほかの使い方をした方が、より大きな成果につながる可能性はあるんじゃないですか。
【説明者】  そこにつきましては、実際、確かに白地のお金が来たときに何に使うのかというのは、使い方がいっぱいあるというふうなお話も現地においてあったかと思います。一方で、このような成果、このような海外のトップ研究機関と新たな分野を開拓するような研究をすると。そういうことによって、こういう資金があったからこそ、今までになかった分野が開拓されて、非常に今まではもう得られないような大きな成果を得られたというふうな説明があったと思います。そのような効果を期待させていただいているところでございます。
【太田委員】  繰り返しになりますので、このぐらいで。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  中室委員、お願いします。
【中室委員】  ありがとうございます。私の質問は簡潔でして、どうして科研費の中でこれをやれないのかということなんですけれども。というのは、私も結構大型の科研費を持っている方だと思うんですけれども、海外の研究者に対してアクセスをして、共同論文を書いて、彼らを、例えば科研費で日本へ呼んで、国際カンファレンスをやるとかというのは別に普通にやっていることで、多分ここにおられる先生もみんなそれはやっておられるのではないかなと思うんですけれども、あえて、これを別の事業にする理由は何なんでしょうか。
【説明者】  貴重な御指摘頂いてありがとうございます。科研費の担当は別部局でありますので、御指摘のようなことについても、担当部局とも意見交換をしてみたいというふうには思います。
 一応補足いたしますと、頭脳循環は、今申し上げたように、研究費については既に各大学の各研究チームに付いているものを使っていただくということで、それは科研費もあるかもしれませんし、トップダウンの競争的資金、あるいは民間から得られたような資金、その種々の場合があると考えております。そのような経費を使いまして、新たに世界のトップの研究チームと組んで、新たな研究を始めようというための、研究者の派遣・受け入れというのは、要は、滞在費とか渡航費なんですけれども、そこだけのみを支援して、成果が出るというものについて支援するというところはあると思います。
 あともう一つなんですけれども、この頭脳循環は研究チームを支援するものでございまして、共同研究で成果を期待するとともに、終わった後、事業で構築した関係に基づいて、新たな研究もどんどんやっていただくと、そのようなところの趣旨で、個人支援の観点のところとも、科研費とも、求める成果でも、ちょっとそういうところはあると思います。他方、事業が個別に分かれると、その既存の科研費の方にまとめるというふうなことについては、例えばそれで事務手続がより楽になるとか、そういう可能性があるのかもしれませんから、そういう事業効果の最大化とか、大学の意見も聞きながら、関係部局とも意見交換してみたいなと思います。
【中室委員】  ありがとうございます。それは是非やっていただきたいなと思うんですけれども、きょうも実はこの行政事業レビューに出てきた4つ目の事業が、特色ある共同研究拠点の整備の推進事業というもので、これが頭脳循環ということで、戦略的国際研究ネットワーク推進事業ということで、その4番目の事業のときに、実は太田先生からお話があったんですけれども、こういうふうに、よく似た内容なんだけれども、違う事業が立つと、当然なんですけれども、研究者はこのお金が欲しいので、書類を書いて、報告書を書いて、経理の仕事をしてというふうにして、1年じゅう書類を書いているというような状態になっていると思うんですね。
 そういう不効率が極めて研究者の研究に使える時間を奪い取っているという現状を鑑みれば、なるべく科研費のような仕組みに収れんさせていく方が効率的なのではないか。あえて、そうではなくて、この事業はこの事業で単独で立てるんですということであれば、太田先生が先ほどおっしゃったように、国際的なネットワークを築くことが研究生産性の向上につながるという因果関係がまず示されなければ、もしこれが、例えばですよ。競争力のある研究者ほどネットワークを持っているという逆因果にすぎないのであれば、この事業によって成果が上がるということはあり得ないわけですので、もしもこれを科研費と違うところでこの事業を別途立てるということなのであれば、そのネットワークを作ることが研究生産性の向上につながるというところはお示しいただく必要があるのではないかと私も思いました。
【説明者】  おっしゃるとおりでして、ネットワーク、先ほど波及効果として申し上げましたけれども、先生のおっしゃるとおりだと思います。我々もなかなかネットワークの成果というところが示すのが難しいなと思っている中で、16ページにおいては、これは国際共著論文が支援の前と後で増えたというデータになっていますけれども、波及効果としましては、19ページで、新たな国際共同研究の開始拡大ということで、これが62%の課題において、177件、本事業で支援したものとは別に、新たに拡大したものでございます。
 大学間、学部間の交流協定の締結につきましても348件。ただ、こちらの大学間の方は、これはこの事業でも影響はしたとは思いますけれども、この事業以外の影響もなかったとは言い切れないので、これはそのようなデータとして捉える必要があると思いますけれども、このような拡大する中で、このページの真ん中を見ていただきますと、国際共同研究は、支援した1機関当たりにしますと、支援した研究以外に新たに2件以上の共同研究が開始をしているというところでございまして、このようなところ、なかなかおっしゃるようなところで、なかなか難しい、ネットワークが拡大したというのを示すのは難しいんですけれども、できる範囲でこのようなことをやってみたということでございます。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  田辺委員、お願いします。
【田辺委員】  今、成果で説明あった16ページですけれども、アウトカムになっていますけれども、例えば27年度、28年度、採択前が10.3編だったのが、採択後は25.5とか、2.5倍になったとかですね。これは27年に採択されても、その年、その年度にこういう結果が出ているということですか。
【説明者】  これは御説明させていただいていいでしょうか。
【田辺委員】  はい。
【説明者】  これは27年度、これは採択されて、研究して、成果が出るのに時間が掛かりますので、27年の調査ということでございまして、それまでに事業期間3年でございます。3年の事業期間が経過しまして、最後の年には、研究が終わって、論文も書くことを考えますと、終わってから1年間、4年間をとりまして、それが終わった課題について、その支援前と比べたというデータでございました。
【田辺委員】  なるほど。確かにそうしないと、このきちんとした形は出ないですよね。いや、1年でも短い可能性あるんですよね。特に国際的な論文誌などですと、1年で掲載される、アクセプトされるというのも、まあ、中にはあるかもしれませんけど、私の知っているところでは1年半とか2年掛かるというのがあるわけですからね。いずれにしても、これ自体もそういうのを考えると、一つは、単なる論文ができたというだけじゃなくて、クオリティというか、しかるべきところに出そうとすると、必ずしもそんなに簡単に増えないという意味では、アウトカム自体も単に数字が何倍もなりました。だから、効果があるかというのもちょっとね。要検討かなということです。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  亀井委員、お願いします。
【亀井委員】  基本的にはもうこれまでの先生おっしゃったとおりだと思うんですけれども、それに加えて言うと、実際にどこに行ったかというのは、東京大学に行かせていただいて、いろいろとお話を。まあ、どこの研究所と言うと、またいろいろと語弊があると思うので、申し上げませんけれども、伺っていて思ったのは、これはもしかすると研究に使っているお金ではなくて、人材育成に使っているお金なんじゃないかなと思いました。率直に申し上げると。つまり、若手の研究者がなかなか今キャリアを考えると、海外に行く機会が少ないですと。だから、海外に行って、かつ、それも第一級のところとやりましょうと。そこに行って勉強しましょうと。もっと言えば、学務に忙殺されたり、あるいはいろんな事務に忙殺されてしまう。それを、いや、この人は海外に行くんだから、このお金を取れたからと。だから、正々堂々と行かせやすいんですと、こういうことを先生はおっしゃっていました。
 だとすると、実際に論文で見ると、成果が正直、因果関係はやっぱり見えません。共同論文についても見えませんと。時間も早過ぎるんじゃないかと、こういう御指摘、全くごもっともな話でありまして、そう考えると、人材育成にお金を出すと考えたときに、何かしらその成果というものが見えるのか、そもそも人材育成だから成果は見出しにくいのか、ここはどういうお考えですかね。それは私の仮説としてあるんですけれども。
【説明者】  1点申し上げられるのは、御指摘のとおりの面がかなりあると思っていまして、研究成果についても出ている中でもありますけれども、実際のところで、人材、そういう国際共同研究を発展させられる人材が育成できているというのは、研究所、東大を含めて、採択された研究所が行っているところだというふうに考えています。そこのデータとして、なかなか難しいところがありまして、先ほどの177件とは、1件当たり2件以上の共同研究が開始されたというところは、その後もそういう人材、しっかり人材が育って、共同研究が進んでいるという一つの調査だというふうに考える面がありますけれども、そういうのが一つと、あとはいろんな例、幾つかの例としましては、例えばこれで国際的にすぐれた研究をしまして、例えば支援された山形大学の准教授が大阪大学工学部教授に移って、更にいいポストで活躍しているとか、東京大学の研究員が名古屋大学の特任助教をとったとか、そういうような例はあります。ただ、なかなか定量的なものというと、先ほどのものしかなくてすみません。
【亀井委員】  いや、多分そういうことなんじゃないかなというのは、何かお話を伺っている手触り感としてはそっちにあるような気も。とすると、政策の設計としてはそもそも違うし、御担当のところでやられるべきことなのかどうかもすら、僕は分からないんですけれども、基本はやっぱり研究に資する話であれば科研費に統合するべきであって、これは何らかのインセンティブ設計が終わった段階で、戦略的撤退をしないといけない。研究について言えばですね。一方で、人材育成について何かあるのであれば、それはそれとして、別にロジックを考え、ロジックを作り、そこにお金を立てなきゃいけない。となると、例えばやれることも、例えば今受け入れはあるけれども、受け入れよりも、むしろ出す方にお金をより重点的に付けるべきなのかもしれないし、そうなると、そもそもこの事業の形というよりは、違う形になって、今見えてきていることから、多分違う政策設計になっていくんじゃないかなという気がするんですが、そこら辺いかがでしょう。
【説明者】  御指摘頂いてありがとうございます。まさにおっしゃるとおりのところは、データからも、先ほど申し上げたデータからも具体的に人材育成ができ、研究が広がっている。あるいはほかの大学で更にプロモートされて活躍しているという面もありますので、そういうところを研究成果のみならず、そういう人材が育成して、更に研究が広がるようなところも配慮して、留意してですね。更に改善できるところがあれば、検討することも必要かなというふうに思いました。御指摘ありがとうございます。
【亀井委員】  最後にコメントだけしておきますけれども、やっぱりここら辺で難しいなと思うのは、これまでの大学行政、まあ、これは国立大学もそうですし、私学もそうだと思う。特に国立大学だと思うんですが、やっぱりそのゆがみがこういうところに表れていて、結果的に若い人が外に行くチャンスがない。更に言えば、学内の運用もゆがみが出ているという中で、それを何か違う目的を付けて是正しようとすると、多分こういう政策としての目的とやっていることと、でも、何かやっててむだじゃないような気がするんだけどみたいな。じゃ、これは当事者たちは満足すると。これは文科省と大学の間では満足なんだと思うんですが、納税者から見ると、結局それで何に使っているのという形になってしまう。だから、この場、こういう形になってしまうんだと思うんですが、そこはちょっともう一度、そもそも自分たちが作ってきたある種の自由市場がどういうゆがみが生まれていて、そのゆがみをどう是正しようと思っているのか。それとも、そのゆがみは放っておいて、何か金を付けて、何か違う形にしようと思っているのか。そこの整理は根本からしていただいた方が。まあ、なかなかこれまでのゆがみですから、別に御自身に、課長さんに何か責任があるわけではないわけですけれども、そこは考えていかなきゃいけないんじゃないかなというのは、この事業を拝見していて感じたところであります。
【説明者】  ありがとうございます。検討させていただきます。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  有川委員、お願いします。
【有川委員】  1点だけ確認したいんですけれども、事業効果の持続性から考えると、現地でお話を伺ったときは、研究者の方もお話ししていたんですけれども、3年間の支給期間が終わると、やっぱり自前の予算でいくと、ガクンと落ちてしまう。それであれば、例えばこの総額が、支給額が変わらなくても、5年ぐらいに伸ばして、支給期間を延長した形で支給してもらった方が事業は持続性があるんだなという意見を言っていたんですが、それについてはどういうふうにお考えでしょうか。
【説明者】  現地調査で行っていたような新たな分野を開拓する基礎研究、このようなものは、もう今までにないところの取組でございますので、確かに先生方のおっしゃるように、3年間の支援で、なかなか十分ではないんじゃないか。もっと長い支援が必要なのではないかということについては、そのとおりだというふうに視察においても思いました。それを踏まえまして、事業においてもそれに対応できるようなことを検討できればと思っています。
 具体的には、今、3年間の事業でございますけれども、これを例えば5年間に延ばしますでありますとか、又は3年間の後、本当に更なる飛躍的な成果が期待できる場合には、もう一度連続して、6年間になるとかですね。そのような方策を是非考えたいと思います。
【有川委員】  決して予算額を増やさなくても、総額は変わらなくても、5年に分割して支給するという手法も考えられるかなと思ったんですけれども。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  引き続き御議論いただきますが、外部有識者の皆様におかれましては、コメントシートへの記入を並行してお願いいたします。記入がお済みの方は挙手いただければ、事務局の方でコメントシートを回収いたします。
 では、引き続き、田辺委員お願いします。
【田辺委員】  資料の17ページに、海外からの招聘者数が見込みと相当違う結果になったんですけど、これはどういう事情があったんでしょうか。
【説明者】  これは当初予算ベースで想定していたわけですけれども、それについて、それより多く招聘あるいは派遣を行ったところについては、多分いろんな工夫があったのではないかということです。例えば大学で、自助努力をした面も含まれるでしょうし、それから、これは実は2人以上派遣を、3年間のうち2人以上を派遣して、それぞれが合計で1年以上行かないといけないということでございますけれども。
【田辺委員】  呼ぶ方ですか。招聘?
【説明者】  それは行く方です。
【田辺委員】  いやいや、今、質問は招聘。
【説明者】  招聘の方ですね。招聘の方は、これはそういう意味では、短期の招聘も含めて、数を増やして招聘。例えばシンポジウムで国内と海外の研究者との交流をして、新たにアイデアを練るようなそういうものも、海外から短い期間呼んだ者もいるということで、このような人数になっていると。
【田辺委員】  だから、ちょっと分からないのは、長期に呼ぼうと思ったら来てくれなかったので、短期に変えたので、数だけ増えたのかなとかというのを思ったりしたのと、そもそも交流ですからね。呼ばなくていいんじゃないのと。行くだけだということで、何か日本が質的に劣っているから、行くのも呼ぶのも日本側でという気がするんですよね。
【亀井委員】  確かに。
【田辺委員】  そうじゃなくて、ネットワーク作りだったら、お互いに行き合うというのが本来の話で、何かイコールじゃないわけですよね。だから、是非日本に教えに来てくれとか、何かそんな感じで、そもそもやっている内容が何か非常に国際交流というよりは、指導を受けているとかそんな感じじゃないかという気がするんですけど。
【説明者】  実は、これは行く方は、先ほど申し上げたように、2名以上は3年間のうちに派遣をして、1名は1年以上行くということで、もともとこちらの方に重点があるような状況になっております。
 一方で、呼ぶ方は、これは確かにおっしゃるとおりで、細かくして、ちょっと何人か呼んでいるというふうな場合もあると思います。それによって人数が増えている面はあると思います。そういう意味ではですね……。
【田辺委員】  そもそも何で呼ぼうとしたんですか。
【説明者】  一つは、これは前回のこの前身の事業のときに、派遣するのみの事業だったわけでございますけれども、研究成果を出し、ネットワークを作るということであると、それは呼ぶ方も措置すべきだというふうな御指摘も受けて、一応その資料もちなみに……。
【田辺委員】  それは現場から、現場のニーズが。
【説明者】  14ページに書かせていただいていますけど、指摘をレビューで受けて、そのような変更をしたところでございます。
【田辺委員】  14ページですか。
【説明者】  14ページ、双方向のネットワークを形成すべきと。
【田辺委員】  いや、当然なんですけど、だけど、こちらからお金出す必要ないんじゃないかというか。
【説明者】  なるほど。そこはそういうふうな指摘だったところでございますけれども、確かにこちらからお金を出さないでも来てもらえるような促進策、そういうのも考えることもあるかと思います。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  中室委員、お願いいたします。
【中室委員】  ありがとうございます。もうコメントシートを出してしまいましたので、本事業から離れてしまうことを承知の上で、ちょっと申し上げたいなと思うんですけれども、この研究資金の問題と、あと、研究生産性の、ここ10年ぐらいの間に起きた我が国の大学の研究生産性の低下というのは非常に大きな問題で、今、研究者のほとんど全ての人がこの状況を、非常に危機的な状況だと思っていると思います。
 そのことについては、御省の方もよく御理解を頂いていて、その結果として、このように、いわゆる研究資金系、大学の戦略的な研究資金に関する事業がたくさん立ち上がっているというふうに認識しているんですけれども、私から見ますと、きょうトピックとして上がってきた4つ目の事業もそうですし、本件もそうなんですけれども、やっぱり抜本的な改革が必要とされている中で、非常に部分修正というか、そういうことにとどまっているように、私から見ると見えまして、3階から落ちて、骨がばらばらになったのに、手首の疲労骨折について治しているみたいな、そういうところがあるんじゃないかなというふうに思いますので、この研究資金の問題と、研究生産性の回復という点に関しては、一つの部署とか、一つの局とかいうことにかかわらず、全省を挙げて横断的に議論をしていただけますように、強くお願いをしたいと思います。
 それに当たっては、やはり研究資金の配分ということについての議論は絶対に必要ですけれども、大学そのもののマネジメントであるとか、ガバナンスの問題、それから、会計の問題、それに更には大学のテニュアの問題だったり、インセンティブの問題なども含めて、やはりもともとのところから、ゼロから考え直して、それの延長線上として資金の配分の話があるということが必要なのではないかなというふうに考えます。
【説明者】  おっしゃるとおりだと思う中で、なかなか全体の話なので、言いにくいところはありますけど、御指摘を踏まえて、自分の担当の課でもなるべく広く意見交換しながら考えていきたいと思います。まさに重要な御指摘だと思います。
【中室委員】  お願いいたします。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  太田委員、お願いします。
【太田委員】  人材育成に使われているというお話があって、それは非常に有意義かなというふうにも思いますので、もしそちらの方に本当に意義が見出せるのであれば、一旦スクラップ・アンド・ビルドですけれども、事業目的を差し替えて、別の事業としてそういう趣旨のものを立ち上げるというのは一案ではないかと思います。
 行きにくいのはそうなんです。理科系と、我々社会科学系、一緒にしていいのかという問題はあるんですけれども、最近、初めからパーマネントの職がなくて、若手の場合、大体有期なんですよね。あるいは博士課程の学生であっても、短期的に業績を求められる。こうすると、トップレベルのジャーナルというのは採択率がほんの数%で、かつ、査読に2年、3年掛かるとなると、これは若手としては、職を得るために挑戦するのはハイリスクなんですよね。とすると、手近に早く結果が出て、なおかつ、採択率の高いところに二、三本書いて、職を確保して、それから、留学なり、国際交流なり考えるという順番ですが、今度、職を得ると、雑用が降ってきて、5年ぐらい我慢してからという話になるので、何となく35歳を過ぎて、留学適齢期を逃してしまうというようなことがあるんだろうと思うんですね。
【説明者】  そうですね。
【太田委員】  だから、例えば、具体的に我々社会科学系で、特にビジネスの分野でいうと、外国PhDは激減していますね。30代。ほぼゼロに近いような状況ですね。40代以上はかなりいる割合ですね。それが結局、就職におけるリスクと評価される仕組みに非常に強く依存していて、危なくて海外に行けないわけですね。行っていると職がなくなって、戻ってこれなくなってしまうという状況なので、それを直すための制度と、あるいは資金として使えるのであれば非常に効果の大きなものではないかと思います。ただ、これは完全に私の印象論ですので、事業として起こすときにはエビデンスとロジックをしっかり立てていただきたいとは思いますが、印象としてはそういう感じです。
【説明者】  承知しました。そういうような、まさに人材育成をして、そのような国際経験を積ませる意義もかなり大きいので、そういうところを重視したところも盛り込みつつ、考えていきたいと思います。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  田辺委員、お願いします。
【田辺委員】  いいです。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  有川委員、コメントはよろしいですか。
【有川委員】  いいです。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  はい。今、コメントシート、取りまとめをいただいておりますので。
 亀井委員、お願いします。
【亀井委員】  じゃ、やっぱり行ったときの印象で言うと、だから、決してこの事業が全部だめだったとか、むだだったということはないんだと思います。ただ、やはり先ほど中室先生からお話があったし、この行政事業レビューは最終的に各省で今、きょうも幹部の皆さん、お見えですけれども、そういう中で、全省に向かって展開をしていくということが一つあります。だから、この事業がいいとか悪いとかではないと思います。
 そういう中で、前提条件でやはりそれは、さっき初等教育でも全然違う話になったんですけれども、やっぱり社会の変化、あるいは今回ここでいえば、大学が大きく状況が変わってきているという中で、大学の世界的な競争力もそうだし、一方で、人材育成力も落ちてきている。それはいろんな要因によって起きている中で、ここに根本にやっぱりメスを入れないと、政策としてもいろいろと打っても、ざるに水を流し込むような形になってしまうんだろうなということだと思います。
 今回の事業について見ると、拝見させていただいている中で、私も先ほど、もう繰り返しになりますけれども、太田先生と同じ感想で、ああ、これは人材育成なんだなと率直に思いました。だから、お金を出すのは私は大事だと思います。そうしないと、もともと自分で科研費取れる先生は取っちゃうんですよ。だけれども、そうじゃなくて、取れないんだけれども、もう少ししたら私は取れるようになると。真ん中に立って、取れるようになるという人が、やっぱり取れないという中で、でも、それは海外に行く経験もない、ネットワークも、上の先生は持っているけれども、自分のところには来ない。それを自分のものにするためにもある種のこういうげたを履かせるような取組は、私は極めて重要だと思うし、ただ、それが政策の事業、この行政事業レビュー的な事業としていうと、目的と方法論との間にやっぱり乖離があって、そこはある種、先ほどお話があったとおり、ロジックとエビデンスも含めて、しっかりそこは政策設計をしていただいて、かつ課題をしっかり受け止めていただいて、何が今、特に若い研究者が苦しんでいるのかと、これは私、大変な問題だと思いますので、そこも是非踏まえていただいて、新たな政策として立ち上げていただくことがすごく大事なんじゃないかなと感じました。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  松浦委員、お願いします。
【松浦委員】  はい。手短に。感想です。もう出しちゃいました。30年くらい前から相手国のグラントで、こちらの若手をインビテーションしてくれるという時代がもう大体終わっちゃって、来るなら、お金持ってきなさいという時代に変わっているんですね。だから、そういう意味で、これを執行するということであれば、皆さんのおっしゃるとおり、大変意味があることだと思います。
 ただ、その互恵関係で、向こうから来てくれるのに、やっぱり1年来てくださいと言うと、しかも、そこそこの方にサバティカル取ってきてくださいという話になってしまうので、それはちょっと難しいだろうと思うんですね。だから、対等なレベルの関係でうまくやれるペアだったら、うまくいくかもしれません。若者同士交換してということはできるかもしれないけど、なかなかその条件を作るのは難しいだろうというのが私の感想でした。
 あともう一つ、社会科学系と理系で同じでいいのかなという意見がありましたが、違うと思います。やっぱり理系というのが本当に大事なものは共同研究しちゃいけない。国益のためには。
【亀井委員】  それはそうだ。
【松浦委員】  ええ。だから、僕は、いわゆる社会科学系、文系のプロジェクトと理系のプロジェクトというのは、一緒くたにしてやっちゃいけないものだろうというふうに認識しています。これは感想です。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、コメントシートの集計がまとまりましたので、取りまとめ役の有川委員より評価結果及び取りまとめコメントの提示をお願いいたします。
【有川委員】  評価結果ですけれども、投票結果ですけれども、また3対3に割れました。廃止が3名、事業全体の抜本的改善が3名になりました。
 主なコメントを紹介させていただきます。
 事業とイノベーション創出可能性の因果関係の評価が難しい。ほかの用途がフレキシブルな財源と併合できないか検討を要するという意見。
 研究の生産性につながるような資金の配分や効率化について、部分的な改善ではなく、抜本的に全省で議論を進めてほしい。よく似た事業の乱立で、書類を書く負担ばかりが増える。かえって、研究生産性が下がる。科研費に集約することも考えてほしいという、こういう意見であります。
 事業の目的からすると、目的と成果の因果関係が見えない。一方、人材育成の面では、本来の目的とは異なるかもしれないが、一定の成果を得ているようには見える。納税者から見て、納得できる事業の形に根本的から見直すべきであろう。科研費との統合という視点も必要だというような意見。
 国際的な頭脳循環を促進することと、研究成果が上がるという因果関係が事実と論理を持って示されない限り、事業の正当化は不可能である。科研費に一本化すべきだ。また、人材育成といった別の効果を狙った事業として再編する余地はあるかもしれないけれども、この場合は、事前の事実調査が重要となる。日本の研究の国際競争力を高める政策としての位置付けが不明確だ。事業の性格も不明確だという意見。
 抜本的な日本の研究の国際競争力の強化策を考え、本事業を位置付けていく必要があるという意見であります。
 このような意見でありまして、3人が明確に科研費に集約する、あるいは一本化することを求められて、そこまで言及してなくても、抜本的な見直しが必要だという、つまり、事業自体を今の効果測定も、効果があるかどうかも分からないし、抜本的に見直した方がいいという意見が残りのほとんどの方でありますので、したがって、評価結果としましては、廃止ということで、その取りまとめコメントとしては、まず事業の目的と成果の因果関係が判然としないというのと、2つ目としては、科研費に集約することを至急検討する必要があるという、2つのポイントでまとめたいと思いますが、よろしいでしょうか。何か補足するものがありましたら。
【太田委員】  人材育成の効果という議論も一部あったように思いますので、それも付言していただければと思います。
【有川委員】  分かりました。じゃ、3点目といたしまして、事実調査を踏まえた上で、人材育成の効果について、別の事業の再編する余地もあるというような、その言い方でよろしいでしょうか。
 じゃ、繰り返しになりますけれども、事前の事実調査を踏まえて、人材育成といった効果もあるので、その事業として再編する余地はあるというのを3点目に加えさせていただきたいと思います。
 以上でよろしいでしょうか。
【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、以上をもちまして、頭脳循環を加速する戦略的国際研究ネットワーク推進事業の公開プロセスについては終了させていただきます。
 これで文部科学省公開プロセスの全日程を終了いたしました。外部有識者の皆様におかれましては、長時間の検証作業の中、貴重な御意見を賜り、心より御礼申し上げます。どうもありがとうございました。
 また、インターネットで視聴された国民の皆様にも、検証作業に御参加いただきましたことを厚く御礼申し上げます。引き続き、文部科学行政への御理解と御支援をよろしくお願いいたします。
 以上で終了いたします。ありがとうございました。


―― 了 ――

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