国立研究開発法人防災科学技術研究所見直し内容

平成27年10月2日
文部科学省


 国立研究開発法人防災科学技術研究所(以下「本法人」という。)は災害対策基本法に基づく指定公共機関として、災害の発生時等に必要な措置を講じるなど重要な役割を果たしている。また、現在検討中の第5期科学技術基本計画では、重要課題として大規模地震や火山噴火など自然災害への対応が示されている。さらに、国連防災世界会議仙台防災枠組では、「新たな災害リスクの予防、既存の災害リスクの減少させる」を追求することが目標となっている。以上を背景として、本法人は、次期中長期目標期間において、防災科学技術研究の中核研究機関として、これらの対応を求められている。
 本法人の業務及び組織については、中長期目標期間終了時に見込まれる中長期目標期間の業績についての評価結果、「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」(平成25年12月24日閣議決定)、「日本再興戦略」改訂2015(平成27年6月30日閣議決定)及び科学技術イノベーション総合戦略2015(平成27年6月19日閣議決定)をはじめとする既往の閣議決定等に示された政府方針、さらに、上記の本法人を取り巻く環境を踏まえ、「適正、効果的かつ効率的な業務運営」という独立行政法人の業務運営の理念の下、「研究開発成果の最大化」という国立研究開発法人の第一目的が達成できるよう、以下のとおり見直し、次期中長期目標・中長期計画の策定等を行うこととする。

第1 中長期目標期間

 本法人の事業は、自然災害を対象とする事業であり、様々な時空間スケールの現象を扱うがゆえに成果創出に要する時間も様々であることから、中長期目標期間を7年とする。

第2 事務及び事業の見直し

1 研究開発事業について

 本法人が、防災科学技術に関する総合的な研究機関となり、大学や他の独立行政法人、民間研究機関の研究開発成果も含めた我が国全体としての研究開発成果を最大化する観点から、次期中長期目標においては、国の防災政策における本法人の果たすべき役割を、具体的かつ明確に記載することとする。
 その上で、災害対策基本法、現在検討中の第5期科学技術基本計画、「日本再興戦略」改訂2015(平成27年6月30日閣議決定)及び国連防災世界会議仙台防災枠組へ積極的に貢献するものとし、科学技術イノベーション総合戦略2015 等、国の防災関連の重要施策を踏まえ、以下の研究開発に重点化することとする。
 1 地震、火山、極端気象等世界に類を見ない観測網を活用した観測研究(火山については体制を強化)
 2 E-ディフェンス、大型降雨実験施設、雪氷防災実験施設等の世界最大規模の実験施設を用いた実験研究
 3 災害の全体像を明らかにするシミュレーション研究
 4 効果的な災害対応や復旧・復興に向けたハザード・リスク研究
 5 上記研究を統合するための情報利活用研究(プラットフォーム構築)
 その際、目標の達成度に係る客観的かつ的確な評価を行う観点から、研究開発の現場への影響等を十分考慮しつつ、達成すべき内容や水準等を具体的に明記する。その上で、可能な限り質的な担保が図られる定量的な指標を設定することとする。
 また、本法人の役割や活動、成果について平時から災害時にわたって国民の理解が深まるよう、情報発信・広報の充実に努めることとする。

2 産学官の連携・協働の強化

 産学官の人材・技術の流動性を高め、本法人の直接的な成果のみならず、他機関の成果を含めた実用化に向けた橋渡し、行政への技術支援及び国際展開等を通じた「研究開発成果の最大化」を推進する観点から、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「レジリエンスな防災・減災機能の強化」及びイノベーションハブ構築支援事業「気象災害軽減イノベーションハブ(FS)」等を活用して、関係府省、共同研究開発機関、協力機関との連携・協働を強化することとする。特に、各法人と大学等との間でのクロスアポイントメント制度(各法人と大学等のそれぞれと雇用契約関係を結ぶ等により、各機関の責任の下で業務を行うことができる制度)を活用することとする。また、災害時の被災地支援の実効性を高めるため、自治体との連携・協働を強化することとする。

3 地震・津波観測監視システム(DONET)の移管

 平成25年閣議決定に基づき、平成27年度中に整備が終了し、平成28年度に国立研究開発法人海洋研究開発機構から本法人に移管される予定となっている地震・津波観測監視システム(DONET)について、日本海溝海底地震津波観測網(S-net)とともに、海底地震・津波観測網の一元的な管理運営を行うこととする。

第3 組織の見直し

1 自然災害に関する総合的な取組への対応

 レジリエント防災・減災研究推進センターの設置を踏まえて、様々な自然災害に関して基礎研究から社会実装まで総合的な取組に対応した組織編成とすることとする。

2 防災科学技術研究の中核研究機関に向けた組織編成

 クロスアポイントメント制度等の活用により、他の研究機関と連携しながら、多様な人材の育成と確保を図るとともに、防災科学技術研究の中核研究機関としての位置付けを念頭においた組織編成とすることとする。

3 DONETの移管

 DONETの移管に当たっては、国立研究開発法人海洋研究開発機構との連携を含めた管理運営体制を整備することとする。

4 研究開発成果の最大化に向けた機能強化

 研究推進(支援)部門及び事務部門については、研究開発成果の最大化に向けて多様化・複雑化する業務に対応するために機能強化を図ることとする。

第4 運営の効率化

1 研究開発成果の最大化を実現するためのマネジメントシステム、事務・支援部門体制の構築

 理事長のリーダシップの下、研究開発成果の最大化を図るため、組織運営(研究開発マネジメントを含む)体制を見直すとともに、事務・支援部門体制を適切に構築することにより、迅速かつ効果的、効率的な組織運営を行う体制を構築することとする。

2 共同調達の推進

 共同調達について、平成25年度より参画している「茨城県内7機関共同調達連絡協議会」を通じた共同調達の拡充について、参画機関間で検討を行うこととする。

第5 財務内容の改善

 競争的研究資金等の外部資金や施設利用等による自己収入などにより、健全な財務内容になるように努めることとする。特に、本法人が保有する大規模実験施設については、研究利用の観点から適当な稼働率目標及び利用料を設定し、安定した自己収入の確保を図ることとする。

お問合せ先

国立研究開発法人防災科学技術研究所の見直し内容について

研究開発局地震・防災研究課防災科学技術推進室
電話番号:03-5253-4111(内線4134)

(大臣官房総務課行政改革推進室)

-- 登録:平成27年10月 --