平成27年度行政事業レビュー「公開プロセス」 1日目 議事録(6月15日(月曜日))

【伊藤政策評価審議官】
それでは、お時間となりましたので、ただいまより、文部科学省公開プロセスを開会させていただきます。
私、進行を務めさせていただきます、文部科学省政策評価審議官の伊藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
外部有識者の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。皆様方の御紹介につきましては、時間の都合上、省略させていただきますので、お手元の資料等で御確認いただければと思います。
今回の公開プロセスの取りまとめ役は、日本大学総合研究所教授の有川博委員に務めていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【有川委員】
よろしくお願いいたします。
【伊藤政策評価審議官】
それでは、具体の議事に入らせていただきたいと思います。
これからの時間帯は、まず1件目でございます学校施設の天井等非構造部材の耐震対策先導的開発事業について、御議論を賜ればと思います。
初めに、事業の概要につきまして、担当の方から5分以内で簡潔に説明をお願いしたいと思います。それでは、お願いいたします。
【説明者】
施設企画課長の山下でございます。よろしくお願いいたします。
最初に、資料の1ページを御覧いただけますでしょうか。政策・施策・事業整理票にありますように、この事業は、政策目標2の確かな学力の向上、豊かな心と健やかな体の育成と信頼される学校づくりを目指しまして、施策目標2-7、安全・安心で豊かな学校施設の整備推進を実現するために、達成目標2の公立学校施設の非構造部材の耐震対策を推進するものです。
事業内容等につきましては、補足説明資料にて御説明させていただきます。
9ページをおめくりいただけますでしょうか。まず被害の状況でございますが、学校施設は、児童・生徒の学習・生活の場でございまして、地域の避難所になってございます。東日本大震災では、「非構造部材」に甚大な被害が出ました。学校以外では、非構造部材による死者・重傷者も報告されています。
10ページでございますが、非構造部材の主な被害状況です。グラフの白い部分は、脱落等被害が大きいものを示しております。
11ページでございますが、体育館等の天井落下の事例です。栗原市の中学校では、卒業式の前日に天井が落下しております。
12ページでございますが、外壁や窓の脱落の事例を示してございます。本震時に児童・生徒の生命・身体の重大な危険が生じたということと、あと余震時にも、避難所になった町立の体育館でバスケットゴール板が落下するという事例も生じています。
13ページ、非構造部材を示しておりますが、写真にありますように、多種多様であります。
以上の被害の状況を踏まえまして、14ページでございますが、文科省の取組を示しております。大規模な地震の発生も懸念されておりまして、非構造部材の対策は早急に行う必要があります。そのため、文科省では、様々な手段により支援をしております。本件の先導的開発事業はその一つであり、この事業で非構造部材の耐震対策事例を収集し、関係自治体に周知することによって、その活用を通じて、非構造部材の耐震対策を推進することとしています。
15ページでございますが、事業の必要性でございます。天井につきましては、新たな技術基準が制定され、これを受け、点検・対策の基本的な考え方を示した「手引」を作成しております。また、天井以外についても、「ガイドブック」を作成するなど、部材ごとの基本的な考え方を示したところですが、対策に関する知見が少ないことや、設置者等からの要望、また、早急に対応することが必要なことから、手引等と併せ、個別具体的な事例を積極的に事例収集・周知をすることとしているものです。
16ページに、事業の全体計画を示しております。致命的な事故につながりやすい「天井」を第1期3年とし、「天井以外の非構造部材」を第2期3年、1年重複させて、全体を5年で終了させたいと考えております。
17ページでございますが、天井を対象とした事業の概要を示しております。絵にありますように、公募・選定により委託された事業者が、調査、対策手法の検討、設計を行うとともに、撤去手法の場合は、工事を実施後報告、補強・再設置の手法の場合は、基準の適合性への評定を受けた上で報告をしてもらうこととしています。文科省でこれを事例として収集し、全国に普及するものです。
18ページに、事業の実施状況を示しております。天井対策は、新基準に沿いつつ必要な機能の確保を、設置者自ら判断する必要があり、また、参考にするため、複数の工法を比較検討するなどして、そういったものを検討過程も含めて報告してもらうこととしております。これまでに34事例を多種多様な事例として収集しております。
19ページには、天井撤去による事例、20ページには、天井補強の事例、また、21ページには、天井再設置による事例を示してございます。
22ページでございます。事業成果の考え方を示しております。非構造部材の耐震対策を実施するため、様々な支援をしておりますが、先導的開発事業では、対策事例の収集・周知を行い、学校設置者がその活用をするということで、対策を実現することを目標としております。
そこで、23ページにございますように、天井についての成果目標、これはマル1でございますが、吊り天井のある屋内運動場を有する1,012の公立学校設置者が事例集を活用することを目指すこととし、活動指標は、50の事例を収集・周知することとしています。また、天井以外の成果目標、マル2でございますが、横連窓等、対応が困難な非構造部材を有する学校設置者506が事例集を活用することを目指し、活動指標は、15の事例を収集し、周知することとしました。これを確実に実現することで、非構造部材の耐震対策を着実に進めたいと考えております。
今後でございます。24ページにございますように、天井以外の非構造部材の事例につき、実態を把握しつつ、学校設置者に積極的な働きかけを行うことで、よりニーズの高い事例の収集・普及を図りたいと考えております。
以上、事業概要、成果目標、指標の考え方等について、私からの説明とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
【伊藤政策評価審議官】
ありがとうございました。
それでは、私の方から、本事業に係る論点について御説明させていただきたいと思います。資料の通しページの2ページ目で、論点等説明シートというのが、委員の皆様方にお配りしているかと思います。
まず1つ目といたしましては、事業の成果をどのように普及・活用していくのかという点。
2点目といたしましては、耐震対策の普及・定着を図るための今後のあり方。
3点目といたしましては、最終的な目標と終了年度。
以上の点につきまして、御議論を頂ければと思います。
それでは、外部有識者の皆様方から御質問をお願いしたいと思いますけれども、皆様方におかれましては、事業担当課への質問等を通じ、無駄の削減のみならず、より効果的な事業に見直すという観点からも御議論をお願いできればと存じます。
また、質疑等と並行いたしまして、お手元のコメントシートへの記入の方もお願いいたしたいと思います。
なお、説明者におかれましては、有識者からの御質問に対して、簡潔明瞭に回答するようお願いいたします。
発言を希望される方は、恐縮ですが、机上の名札を立てていただきまして、私から指名させていただきたいと思います。
それでは、よろしくお願いいたします。
それでは、田辺委員、よろしくお願いします。
【田辺委員】
資料の23ページの、まさに成果の普及に関するところについての、まず御質問なのですけれども。23ページに、成果目標1のところで、成果指標として、878の学校に、これは平成26年度に、この対策を活用した公立学校設置者数と書いてあるんですけれども、この878について、実際に対策を活用したということを調査されたのかどうか、その点です。それを、平成25年度の事例を多分使うしかないと思うのですけれども、この21の事例を基に、878のうち、どの程度参考にしたのかということをまずお聞きしたい。
【説明者】
今の御質問の趣旨は、これは、878は教育委員会設置者の数ですので、これを踏まえて、実際に対策を行った学校がどれぐらいあるかという趣旨でしょうか。
【田辺委員】
そうですね。
【説明者】
そのまま直接のお答えにはならないかもしれませんけれども、文科省では、実際に対策を行った数というのも当然調査しておりまして、26年度中に、およそ1,300棟の体育館等について対策がなされております。これは棟数ですね。
この878、これは学校設置者数、教育委員会の数ですので、中には、26年度中にやったものもあれば、27年度に計画を立てる際の参考にしたというものも当然含まれております。
そこで、26年度に実際に対策がなされたおよそ1,300棟の学校のうち、これとこの設置者数を突合しましたところ、1,300棟実施したという教育委員会の8割強が、この事例集を活用したというふうな回答でございました。
【田辺委員】
分かりました。ありがとうございます。
それで、平成27年度に、今度は1,012のうちの1,012となっていますけれども、これは今年度、対策を行う公立学校の見込みが1,012ということで、そのうち全てが使うという、そういうことを目標値に設定したということでしょうか。
【説明者】
1,012は、吊り天井を有する体育館等を持っている教育委員会の数ですので、その1,012の教育委員会が全て新しい事例集を活用して、是非対策の検討を進めていただきたいということで、1,012ということを挙げております。
【田辺委員】
平成27年度、これは対策をするということですか。実際は、平成28年度以降もやるということでいいのですか。そういう理解で。
【説明者】
そういう理解で結構だと思います。一応事業年度が27年度までということで、そこで一応区切りをつけておりますが、その後もフォローアップをさせていただきたいと思っています。
【田辺委員】
ただ、この目標値の達成というのは、いずれにしても、1,012の教育委員会、これが全てやるときに、全部参考にしてほしいという目標だということですね。だから、27年度中にこの目標値が達成できるというわけではないというふうに理解していいですね。
【説明者】
一応それを目指したいと考えておりますが、達成できないということもあると思います。
ただ、この活用事例集は、例えば、予算要求をする際にも活用ができますので、次の年の事業のために前年度に活用するということも含めて、活用というふうに考えてございます。
【田辺委員】
なるほど。
あと、下の成果目標2の方の、これは、目標値、事例が29年度に出てくるということですよね。それで、29年度に、506全てが本当に使えるのかというところがちょっと心配なのですけど、それについてはどうお考えですか。
【説明者】
これは、現在のところ、506の自治体が、対応が困難な非構造部材を有するということで、アンケートでお答えいただいた数なのですけれども。今後、どういった事例があるのかということは、これから調査をして、実態を把握しなければいけないと思っておりまして、その把握をした上で、そういったものに対応できる事例集を作成して、それは506自治体全部が見ていただけるようなものにしたいと考えております。
【田辺委員】
ただ、事例は、29年度に行うわけですよね。対策は。
【説明者】
まず29年度に目標を設定しておりますのは、やはりこの事業期間内である程度目標を設定して、それを目指して取り組むということで、29年度、最終年度のうちに506自治体に活用していただきたいと考えて、ある意味、早めるというか、前倒ししたような形で数値目標を掲げさせていただいております。
極力早い段階で対策が進んでいくように、そういったような目標設定をしておりますが、繰り返しになりますが、先ほど課長が申し上げたとおり、当然、30年度もフォローアップはして、実際の活用状況を把握していきたいと思っておりますので。
【田辺委員】
私が申し上げたのは、活動指標で、事例を29年度に集めると言っておきながら、何で29年度にそれが使えるのかというところがですね。
【説明者】
すみません、これは資料に不備がございまして、27年度から活用事例を集めますので、27、28も、そこには数字が入ってくるということです。
【田辺委員】
だから、27、28も、ちゃんと事例を公表していくわけですね。なるほど。
【説明者】
最終的に15ということで、ここには数字を入れるべきだったのですが、今、その事例の実態把握ができていないので、目標を入れていないということでございます。
【田辺委員】
分かりました。以上です。
【伊藤政策評価審議官】
松浦委員、お願いいたします。
【松浦委員】
関連してお聞きいたします。
まず、対応する施策の優先順位でございますけれども、最も被害が多かった人的被害等々が想定されるものが天井部材であるということで、これを第一に置かれたと。そのほかの非構造部材に関しては、それに比べればプライオリティーがやや低いということで、計画としては、重畳はしていますけれども、その後付けでやっていくという基本的なプランということでよろしいでしょうか。
【説明者】
おっしゃるとおりでございます。
【伊藤政策評価審議官】
有川委員、それから、石田晴美委員でお願いいたします。
【有川委員】
じゃ、私の方から先に。
18ページからのところで、まずお伺いしたいのですけれども。天井の方の、これまで25、26でやった事例は、撤去が28事例、補強・再設置が6事例で、19ページから、それらの結果について使っていただきたいということで、今日のためにプレゼンしてはいただいているのですが、ある程度事例が少ない補強とか再設置の方が、それぞれ一つ一つパターンが書いてあって、28事例あった撤去について1パターンしか書いていない。それは撤去ですので、そんなに複雑なもの、多様なものはないのだろうと思うのですが、撤去にこれだけの事例を、特に2か年度にわたって28事例やったというのは、どういう理由なのかを教えていただきたいのですが。
【説明者】
お答えいたします。
資料に付けておりますのは、その分類ごとに御紹介したいと思って、撤去ものを1事例、今あるものを補強したもので1事例、一旦取って新しいものを付けたというもので、再設置ということで1事例ということでお付けしているという趣旨でございます。
それで、御質問がありました撤去の事例の中身なのですけれども、ここが実はこの事業の特徴といいますか、事例集を作る際のポイントなのですが、実際にどういった対策をしたかのみではなくて、そこに至るまでの複数の候補の検討、あるいは、それのメリット・デメリットなんかも比較して、その結果を出していただいております。その結果、例えば撤去ということもございますけれども、例えば、その検討の過程で、ほかの候補を検討したのだけれども、やはりこういった点が難しかったので、それは選ばなかったといったようなものも出していただきまして、それをある意味その事例のエッセンスという形でまとめて事例集にしております。
そういったものがまず1点、そういった理由があるということと、あともう1点は、やはり撤去でも、従来、天井が持っていた機能、断熱性とか音響とかございますけれども、そういったものは当然地域によって異なるとか、そういったこともございますので、当然、それは幾つか複数事例を集めて、そういったような対策というものを是非集めたいということで実施していたということがございます。
大きくはこの2点でございます。
【有川委員】
じゃ、追加してお伺いしますと、今、理由を2つ言われて、後者の方の工事事例をなるべく集めたいというのは、恐らく補強・再設置が6事例であれば、撤去なんて大体それに相当するぐらいの数字でいいのだろうと思うのですが。問題は、審議の過程、検討過程で最終的に撤去に至ったけど、それに至るまでいろいろ議論したので、それをパターン化して示したいというのですが、それはきちんとこの28事例、非常に類型化して、つまり、最終的な結論に至る、その検討の過程が28パターンに近いぐらいいろいろあるのだという、そういうふうな理解でよろしいでしょうか。
【説明者】
先ほどいろいろ申し上げましたけれども、要は、外形上類似していても、検討過程とか、工法や設計上の留意事項等は異なりますので、そういった意味では、同じ事例というものはないように私どもでは集めているということでございます。
【有川委員】
ついでにもう1点。
既に先行したやつに、今度は天井以外のやつの対応困難な非構造部材について、これから収集して、その参考事例を出すということなのですけれども。先ほどアンケートで、506の教育委員会で該当するものがあるということに対して、今、15事例というものを収集して、開示しようとしているということなのですが、ただ、どういうパターンがあるのかは、これから調べていきたいというお話だとすると、やはりまだどうなるかは分からないというふうなイメージでよろしいのでしょうか。パターン化はまだしていないと。
【説明者】
これにつきましては、実は、有識者会議の方で、非常に危険な、天井に近いような危険な事例というのが3パターンあるという報告を受けておりまして、その3パターンごとに、大体5つぐらいの、いろんな工法とか、いろんな違うものが集められるだろうということで、15事例というふうに今想定してございますけれども、ここにつきましては、調査をすれば、いろいろ出てくれば、ここは目標が変わるということもあるかと思っております。
【有川委員】
分かりました。
【伊藤政策評価審議官】
石田委員、お願いいたします。
【石田(晴)委員】
この事業について、おさらいというか、確認させていただきたいのですが、こちらの事業は、きちんとした対策が確立されていない天井の耐震対策の事例を集めたいと。だから、事例を集めるのに協力してくださいと。だから、手を挙げてくれたところには、設計の費用その他を支援しますという理解でよろしいですか。
【説明者】
この事業に応募していただきますと、基本構想をやるお金とか、設計のお金、あと撤去の場合については、工事費が一応こちらの方で補助できるようにしております。
それ以外の場合につきましては、工事費については、補助金で要請をするということになっておりまして、3分の1補助なのですけれども、実際裏負担があるので、設置者の負担というのは、実質13.3%となるというふうになっております。
【伊藤政策評価審議官】
すみません、ちょっと事務局から。
本日の会議、Webで中継してございます。音声が少し拾えないというふうなことも今事務局の方からございましたので、発言者はできるだけマイクの近くで御発言していただくようお願いいたします。
【石田(晴)委員】
すみません、続けて。
そうすると、こちらに手を挙げると、設計費その他を支援してもらえるということで、先ほど有川先生のところで、なるべく同じような事例にならないように気をつけていらっしゃるというお話でしたけれども、今まで手を挙げてきた教育委員会、断ったということはあるのでしょうか。
【説明者】
18ページに、これまでの実績と書いてございますけれども、この2年間では17事業者から応募がありまして、結果といたしましては、それは全て採択したというような状況でございます。
【石田(晴)委員】
よろしいですか、続けて。
先ほど、審議の過程も見るのでというお話もあったので、審議の過程で、最後どういうチョイスをするか分からないわけですよね。結局、この18ページを見ても、先ほどの有川先生の話とちょっとかぶるのですが、撤去が28事例で、補強・再設置が6事例というと、かなり偏りがありますし、事例も重複しているようなものがあるのではないかという気がするのですね。
というのは、なぜかというと、最初に手を挙げたところに補助をしても、その後、どうなるか分からないので、最初の段階で同じ事例になるかならないかというのは判断ができないのではないのですかということと、それと、もう一つ、なぜ最初に50事例を集めようと。この段階で、もう十分いろんなタイプが集まったので、50じゃなくていいのではないか。あるいは、撤去についてはもう相当数が集まったから、これから支援するのだったら、撤去ではなくて、補強・再設置にするとか、そういうような、手を挙げてきた方の状況に応じて目標を変更するというようなことはお考えになっていらっしゃらないのでしょうか。
【説明者】
天井の対策につきましては、全体で6,000を超える対策をしなければいけない事業がございまして。それで、私ども、この天井対策につきましては、撤去が原則ということにしておりまして、もうそのほとんどが撤去の事例になると。そうすると、その1%に当たる大体50事例ぐらいを集めようというのが、最初の目標で設定をさせていただいたということでございます。
あと、この対策事例につきましては、私ども、応募だけに頼るのではなくて、公平になるように、いろんな自治体にも、こういう事例について是非応募してほしいというような働きかけもしながら集めておりますので、ある程度パターン的には別のものを集めるようには努力をこれまでしてきたということでございます。
先ほどおっしゃたられた、留意事項等、最初に想定できないということは、それは御指摘のとおりだと思います。
【説明者】
もう少し補足させていただきますと、実際にそのように集めた中から、事例集を作る前に、天井落下防止対策のための手引というものは作ったのですけれども、そこで基本的な考え方は示しているのですけれども、実際にこれで事例をたくさん集めることで、まだその時点では判明していなかったいろいろな課題、例えば、天井があるのを撤去してしまうと、今度は防火上の問題が出てくるなど、そういう新たな課題等も、その時点で想定しなかったものも出てきていますので、そういう意味で、たくさん事例を収集することで、より天井対策を有効・効率的にやっていく事例になってきておりますので、無駄にはなっていないと考えております。
【石田(晴)委員】
今、25年と26年度で合計34事例ですよね。これは、やはり先ほどの質問の繰り返しになるのですが、あくまでも50になるまでは集め続けるのですか。それとも、今段階で34を見たら、大体網羅されているのでいいのかと、その辺の御判断はいかがでしょうか。
【説明者】
あくまでも50事例は当初の目標でしたので、何がなんでも50事例というふうには我々も考えておりませんで、これはとりあえず、天井対策は3年間での事業計画と考えておりますので、それは今年度のもので終わりにしたいと思っております。
【石田(晴)委員】
吊り天井のある天井は、国が、27年度までには全ての小中学校できちんと対策をとりなさいというふうに言われていらっしゃるのですよね。
【説明者】
私どもから要請をしているということでございます。
【石田(晴)委員】
そうすると、27年度にもう対策が終わるのですよね。要請しているので、基本、もう皆さん動き始めていて、一応27年度で終わる。終わるのであれば、27年度中に、でも、まだ天井対策の事例を集めていらっしゃるのですか。
【説明者】
まず27年度ですけれども、中間報告を出したいと思っておりまして、それを今年の10月前後ぐらいを目途に、中間報告という形で出したいと思っております。
あと、もう一つは、27年度までに対策を要請しておりますけれども、概ねほとんどのところで対策も終わるということですけれども、やはり個別の事情があるところについては、まだ天井対策が残るというところも聞いておりますので、あくまでも27までというのは我々のお願いですので、そういったところにお願いしながら、こういったものを27までやっていくというような動きでございます。
【石田(晴)委員】
27年度に、もうほとんどの教育委員会が工事を終わらせようとしているということは、今、走っている最中ですよね。なのに、27年でもまだ事例を集めるのは、しなくてもいいのではないかな、必要性はそれほど大きくなっていないのではないかなと思うのですけれども。
【説明者】
この事例集でございますけれども、工法の検討とか、発注時・施工時の留意事項等も入っておりまして、それで、これから冬休みの工事というのも当然予想されております。そのときに、そういう留意事項を先に業者等に指示ができれば、手戻りもなく、質の高い工事ができるということで、我々としては、この27年度中間報告をもって何とかこれに役立てたいと考えているところでございます。
【伊藤政策評価審議官】
豊田委員、御質問ですか。お願いいたします。
【豊田委員】
どうも、豊田です。
質問が2点ほどあるのですけれども、まず、資料中、公立学校設置者と表現されている部分と、単に学校設置者と表現されている部分があるのですけれども、これは区別されていますでしょうか。
【説明者】
公立学校設置者数と書いてあるのは、目標のところだと思うのですが、そこは明確に公立学校設置者数、目標値で、それで数をしっかりさせるという意味で、公立学校設置者数と書いてございます。
それ以外の学校設置者というのは、当然、国公私含めて、学校設置者がしっかり対応していかなければいけないものということで、そういった趣旨で書いていると思います。
【豊田委員】
政策目的としては、公立学校施設の耐震対策ということで。ただ、もちろん、耐震対策という意味では、私立・公立関係ないので、最終的には全国の公立学校のみならず、私立学校も含めて、学校施設に普及をさせるという、そういう趣旨という理解でよろしいですか。
【説明者】
おっしゃるとおりです。この成果を集めた事例集については、国公私立の担当者、あるいは学校設置者にお送りしておりますので、そういったところで活用していただきたいと考えております。
【豊田委員】
もう1点ですが、27年度は、天井等の対策と天井以外の対策と両方含まれていると思うのですけれども、これ、予算の割り振りとしてはどうお考えでしょうか。
【説明者】
事前には、そこの予算の割り振りは設定しておりませんで、そこは実際の応募の状況次第というような形で考えておりました。
【豊田委員】
恐らく天井の対策の方が、圧倒的に費用がかかるのではないかと思うのですね。天井以外について、設備機器ですとか内装については、比較すると、そんなに費用がかからないように思うのです。
もう既に天井については最終年度ということで、今後は天井以外に注力する必要があると思うのですけれども、天井以外は、今、15事例が3か年にわたる目標だとすると、そんなにかからないという印象もありまして、そういう意味では、こんなに予算が必要なのかなという印象はあるのですが、どういう算定になっているのかなというのは疑問なので、教えていただければ。
【説明者】
今年度につきましては、天井撤去の事例も当然集めているので、こういった額になっておりますが、次年度以降は、今おっしゃったような観点から、事業枠というのは見直しをしたいと考えております。
【豊田委員】
ありがとうございます。
【伊藤政策評価審議官】
じゃ、次は、石田委員、お願いいたします。
すみません、松浦委員は、今、札は立ててございます? いいですか。
それから、恐縮でございます。各位におかれましては、コメントシートの方の記入も同時並行でよろしくお願いしたいと思います。
【石田(惠)委員】
石田でございます。
今回の事業に関しましては、最終的な目標としては、耐震対策そのものというふうに理解させていただいたのですけれども。そうしますと、今、設置者数の方で分母分子を計算されていらっしゃるのですけれども、実際に対策が必要な施設数、学校数そのものが何棟で、それに関しては、既に何棟までが進んでいるのか。逆に言えば、あと何棟やってもらわなければならないのかということを教えてください。
【説明者】
天井については、体育館、講堂、屋内プール、武道場といったようなものについて、吊り天井の耐震対策がとられているかどうかといったところを調査しておりまして、27年4月1日、今年度の4月1日時点で、公立の小中学校で4,851棟が、今残っているというような状況でございます。
【石田(惠)委員】
分母も教えていただけますか。何棟中ということですか。
【説明者】
全部が3万3,315棟です。
【石田(惠)委員】
今の数字は吊り天井であって、対策が必要なのが3万棟ということでしょうか。
【説明者】
詳細に申し上げますと、全国の公立小中学校の体育館等、先ほど言った4種類ですけれども、そういった棟数が全部で3万3,315棟ありまして、当然、この中には、天井がないもの、あるいは、この対策で撤去したものも当然ございますが、この3万強のうち4,851棟が、今年の4月1日時点でまだ対策が未実施であるといったものでございます。
【石田(惠)委員】
私の御質問は、3万3,315棟全てについて対策が必要であったのかということでございます。
【説明者】
時系列で申し上げますと、調査を始めたのは25年4月1日なのですが、25年4月1日の段階では、そういった吊り天井があったものが6,554棟ありました。それが、26年4月1日では、その対策が進みまして、未実施のものが6,222棟ありまして、今年の4月1日のものでは、4,851棟が対策未実施で残っているという状況でございます。
【石田(惠)委員】
そうしますと、先ほどの6,654棟から6,222棟というところから、更に4,851棟ということであるとすれば、ここのところはかなり対策が進んだと評価すべきなのか、あるいは、4,851もまだ残っているのかということで評価すべきなのか、そちらの方はよく分からないのですけれども、これだけ進んできたとなると、なおも事例を集めなければならないということの必要性はどのように考えていらっしゃるでしょうか。
【説明者】
まずは、26年4月1日から27年4月1日で、約1,400棟近い対策が進んでおりますので、そこはかなり加速化したのかなというふうに我々は思っております。
その一方で、事例ですけれども、これは今年の4月の段階で取ったアンケートでは、これを活用したかどうかということも聞いておりますが、より充実してほしい点というところでも聞いておりまして、その中で、より多様な事例が欲しいといったところが、実際に吊り天井を持っている教育委員会の中で、65%ぐらいの教育委員会も、より多様な事例が欲しいというふうな回答でございました。そういったことからも、我々、必要性があるのかなと思っております。
【石田(惠)委員】
今おっしゃっていられた多様な事例ということなのですけれども、どういった点についての事例が欲しいというのは、具体的なものは来ているのでしょうか。
【説明者】
そこまでは詳細なものまでは取っておりません。
【石田(惠)委員】
そうしますと、今年の予定は、50事例中、あと残り16事例というような計算になっているのですけれども、そういった観点で数集めというよりも、既にこの1年間だけでも1,400棟も取り組まれているのであるならば、こういった過去の事例、1,400棟に限らず、過去に行われたものの中から、こういったものについて事例があったのかどうかということを調査して、それを発表していただく、それを事例として残りの方に公表するという方が、より効果的なのではないでしょうか。その点について御検討されたかどうか教えてください。
【説明者】
今の点、実際、自治体がやったものを集めて事例として紹介するということは、実は考えておりませんでした。というのは、この天井対策自身は、極めて急がなければいけないということがございまして、大地震のおそれもあるということが最近言われておりますけれども、自治体に任せていると、なかなかその事例が出てこないということと、あとは、そういう施工上の留意事項とか設計上の留意事項とかと比較検討とか、かなり詳しい資料を収集しないと、なかなか自治体の参考にはならないので、そういった意味で、いろいろ様式が整わないような事例を集めてもなかなか比較検討ができないということで、これは国が積極的に様式を合わせて事例を収集するということで、私ども対応しているところでございます。
ただ、いろんな事例が出てくれば、今言った、もうちょっと軽目の事例として紹介するということは、私どもとしても可能だと考えております。
【石田(惠)委員】
要するに、残りの4,851施設を、どうやってこの1年で、急ピッチで仕上げてもらうのか、これだけいろいろな震災等が予想される中でのことでございますので、急務だと思います。その中で、今おっしゃられたような、自治体の方で既にやっているものを発表してもらうこと自体の方が非常に大変だというのが、これから16事例集めて、これを公表する時間に比べると短いのではないかと思われましたけれども、その点については御検討いただけるのでしょうか。
【説明者】
検討させていただきたいと思っております。
【石田(惠)委員】
すみません、もう1点。
残りという言い方では失礼なのですけれども、天井以外の非構造部材の耐震対策事例を15集めるということなのですけれども、こちらにつきましても、設置者数ではなくて、施設数としては、どれほど対策が必要なのかと計算されておられるのか教えてください。
【説明者】
実は、これに関しまして、ガイドブックを今年の3月に出したばっかりで、そのガイドブックに基づいて、これから自治体にいろいろ点検なり、そういう対策手法等を検討していただかなければいけないのですけど、実際、今のところ、自治体数は把握しておりますが、棟数なり、そういった箇所数はまだ調べてございません。
ただ、今後、その点検等が進んだ段階で、実態を把握して、今後の事例をどうするかということも見直しをかけようと考えております。
【石田(惠)委員】
どちらかというと、非構造部材の方が、数は、パーツとしては多いと思うのですけれども、その中でも、窓ガラスとか、そういったものについては非常に必要性が高いのでしょうけれども、バスケットゴールとかピアノ等と書いておられますけれども、ピアノに耐震対策がどういうものがあるのか分からないのですが、いろんなものを考えてきたときに、どういったもので、どういうものを、どれだけ直さなければならないのかという議論なしに、15集めますというのは、ちょっと乱暴ではないでしょうか。
と申しますのは、建物の耐震対策する側からしてみると、養生したりとか、一定期間子供たちに使わせないで工事をしたりするということになるので、恐らくこれは天井をやりながら、ほかのところもやってしまうというように、両方ともやったような事例もあるのではないかと思うのですけれども。そういった工事の都合からいって、これから今度、天井ではなくて、こういったものについて、どれだけのニーズがあって、ゆえに、どれだけの事例を集めて公表することが促進に役立つのかという、どれだけの事例という、そもそも必要とされる事例の数が把握されていないまま、15というふうな数字を置くのはちょっと乱暴ではないかと思ったのですが、どのように分析されていらっしゃるのか教えてください。
【説明者】
今、15の試算ということですけれども、まずは、当然ながら、危険性が高いものというもので、事例の対象にしたいと思っております。その中でも、15といいますのは、これに先立つ有識者会議、被害の状況分析とかをしました有識者会議がございましたけれども、その中で、天井以外の非構造部材の中でも、特に危険性が高いものということで、例えば、体育館の横連窓――横に連なった窓ですとか、あるいは、大きなある特定の工法の外壁とか、あるいは、大開口部のはめ殺しの窓とか、そういったようなものが落下すると非常に危険性が高いということで指摘があったところでございます。
まず念頭に置いておりますのは、そういったようなものについて、当然、対策手法というのは1つではないだろうということで、幾つかそれぞれの事例ごとに、複数の工法による対策事例を集めたいというところで、1つにつき5事例程度で、3掛ける5で15事例程度というふうに想定しております。それは先ほど課長の方から申し上げたとおりですが。
ただ、当然、あとは実際の実態を調べていく中で、こういったものも危険性が高いのだけれども対策手法が難しいといったようなものがあれば、それをこの15事例の中で拾い上げるというようなこともやっていきたいと考えております。
【石田(惠)委員】
最後に1つ教えていただきたいのですけれども、15事例集めることによって、公表することによって促進されるというところについては、どういうようなつながりがあるのでしょうか。要するに、そういった事例を集めるに当たっても、事前にいろいろと計画を出していただいて、審査しなければならないので、それだけでも時間はかかると思うのですけれども、その数を集めて公表するというような活動を行うことによって、世の中のそういったことの対策が必要な学校の施設改善が進むと考えていらっしゃる因果関係のところについて、どういうふうに分析されていらっしゃるのか教えてください。
【説明者】
これは、各自治体にいろいろとお話を聞いた結果で出てきているものですけれども、まず対策手法の検討をやるに当たっては、複数の事例を我々が収集したものを参考にして、比較検討して工法を選定する、そういったことについても役に立つということと、あと予算計上ですね。予算要求というのは、大体自治体等は前年度にやります。そうすると、前年度にどのくらいのお金が必要で、どのくらいの工期が必要かということは、精密な調査をしないである程度設定なければいけないということもありますので、そういったものについて、事例を見ながら設定するということも可能でございます。
あとは、実施設計なり対策工事に当たって、実務上のポイントというのをまとめておりますが、要は、後戻りのない工事をやる、設計をやるということで、質の高い事業が実施されるということで、要は、できたものの完成度が高いものができるということで、そういった意味でも、事例集は非常に有効だと考えております。
【石田(惠)委員】
じゃ、最後に、すみません。
今のことに関することですけれども、そうだとするならば、既に行われている事例に関して、事例を集めて、それを国として適切な形で情報提供するという方に力なりお金なりをかけた方がよろしいのではないかと思われたのですけれども、その点について、もし何か補足して御説明いただけることがありましたら教えてください。
【説明者】
今言った非構造部材の事例については、まだ全然集まっていないという状況でございますので、ある程度我々がいろんなところにお願いしながら集めることも含めて、我々が先に集めなければいけないと考えております。
ただ、ある程度事業が進んだ段階で、そういった事例を集めるということは非常に有効だと思いますので、それは私ども考えていきたいと思っております。
【伊藤政策評価審議官】
それでは、松浦委員、お願いいたします。
なお、質疑の予定の時間が参ってございますので、委員の皆様方には、コメントシートを御記入の上、記入終わりましたら事務局までお知らせください。
【松浦委員】
時間も押しておりますので、端的に4点ほどお尋ねいたします。意見も1つ入っております。
先ほどから、これ以上集める理由があるかという委員の御質問がありました。私としては、類型化、つまり、建築年代によって、施工方法、消防法、建築基準法等がどんどん変わってきておりますということで、やはり施工年代に合わせてある程度の類型化を図られるということが、非常に効率的になるのではないかと。ですから、残りの15件ということであれば、少ない年代の部分に関して集中的に集約していただくということが、まず重要ではないかと思います。
2点目でございますけれども、天井撤去だけでは済まない事例があるというのは、容易に想像できます。例えば、滋賀県の某小学校、残ることになりましたけれども、ああいうものに関しては、天井撤去というわけにはいかんでしょうと。つまり、歴史的遺産という価値もあるわけですね。ここでちょっとお尋ねというか、お願いですけれども、文部科学省様は文化庁を外郭としてお持ちでございまして、そこでは歴史的建造物を管理されている。これは天井撤去という簡単な手法ではいかないわけでございまして、この辺との横の連携を是非共有できるような形で、このプロジェクトを展開していただければありがたいと思います。
第3点目でございますけれども、文科省さんは、自治体に対していろいろと直接命令ができないということを、私、理解しておりますので、やはりあくまでも協力の要請をせざるを得ないということでございますから、教育委員会に対して、自治体に対して、せっかくこれだけのお仕事をなさったのですから、教育委員会・自治体は、ほかに公共的な建物を持っていらっしゃる。例えば、公民館ですとか、体育館ですとか、そういうものをお持ちでございますから、こちらの方にも有効に活用できるような広報活動に関して御検討いただければ大変ありがたい。有効性を増すであろうと。
最後でございますけれども、これが紙ベースの報告になっているのかどうかというのがちょっと気になっていまして。もしそういうようなことであれば、これだけ苦労して集めて、対策を練ったものを、広く世の中で使ってもらう。つまり、省庁間の壁も取り払って、使えるところには参考にしていただくというスタンスも、私は、国全体としては非常に重要であると思いますので、もし予算があれば、紙ベースだけではなくて、例えばビデオ・オン・デマンドみたいなものを利用して、文部科学省ではこのような調査をして、こういう対応をしているというようなことを、他省庁管轄の建築担当にも参考にしていただけるような仕組みを最終的には作っていただければ、非常に実効性のあるものになるのではないかと思います。
以上でございます。
【説明者】
今頂いた意見、非常に貴重だと思っておりまして。ただ、4点目につきまして、我々は努力したいのですが、そこまでいけるかどうか、我々、頑張っていきたいと思いますので、応援していただければありがたいと思っております。
【伊藤政策評価審議官】
ほかにございますか。
委員の皆様方には、コメントシートの御記入をよろしくお願いいたします。
取りまとめに少し時間がかかりますので、もし何かほかに質問等ございましたら、引き続きよろしくお願いいたします。
石田委員。
【石田(晴)委員】
もう既に27年度が始まっているのですが、天井以外の非構造部材については、どの程度手が挙ってきているのでしょうか。
【説明者】
今年度は、その他非構造部材の応募は1件でございました。
【石田(晴)委員】
過去形ですけれども、それはもう1件で決まりということで、追加はなさそうですかね。一応、今年度は5件集めるということでしたね。
【説明者】
募集期間としてはもう締め切っておりますので、今回の応募は1件ということでございます。
【説明者】
当然、この事業をやると、最後にお金が一部残るようなこともございます。そういったことで、追加でやるということも、当然、我々、考えていこうと思っております。
【石田(晴)委員】
手が挙ってきていない理由というのは、どういうふうに分析されていらっしゃるでしょうか。
【説明者】
その他、天井以外の非構造部材については、資料中にもあったかと思いますけれども、点検・対策の考え方を示したガイドブックというのを、今年の3月にまとめてお示ししたところでございまして、実際には、これを活用しながら、実際点検、あるいは対策を検討していくという形になろうかと思いますので、実際に応募というのは年度当初で締め切りますので、そういったことからすると、少し時間が短かったのかなと考えております。
ただ、実際に応募は1件ということでございましたけれども、そこに至る前の問い合わせといいますか、実際にこういうところで困っているといった問い合わせというのは複数ありましたので、それは今後、またガイドブックも活用しながら検討を深めていって、またこの先にそういった検討というか、応募がなされるのかなというふうに考えております。
【石田(晴)委員】
先ほど来の質問の過程で、大体天井以外の非構造部材で耐震が必要なものがどれぐらいあるかという数は、まだはっきり分からないというようなお答えだったような気がするのですけど。そうすると、目標は15にしたけれども、ニーズがないということはないのですか。というか、もう震災から結構時間もかかっていますから、ガラスとか割れてしまったものは、きちんと対策は立てていると思いますし、その辺のところはいかがでしょうか。
【説明者】
そのニーズというところですけれども、目標を立てた506というのが、実際の対策が困難で、事例が欲しいと思っている非構造部材というものがあるかどうか、その設置者数というのを聞いておりまして、そういった意味からすると、ある程度のニーズがあると思っております。
あともう一つ、これはやはり工法によるところがございまして、一般的に外壁とか窓とかいいましても、かなり複数の工法がございますので、その中には、対策がなかなか難しいというものもあるということでございますので、そういったところは幾つかニーズがあるのかなと思っております。
【伊藤政策評価審議官】
すいません、お時間も迫ってございますので、コメントシートの記入だけ、よろしくお願いいたします。
【石田(晴)委員】
もう震災からかなり時間が経っていますし、それから、小中学校というと、自治体で、保護者、児童生徒さんたくさんいらっしゃるので、事例集が出てから直そうかという検討ではなくて、確かに、吊り天井の方はもう急がなくてはいけなくて、どうしたらいいか分からないという大きなものだってあったと思うのですけど、そうでない割と細かなものについては、もう事例集が出る前にどんどんやるという姿勢の方が。でないと、逆に、保護者さんから、何でいつまでもやらないのだというクレームが来ているような気がするのですけど。だから、ニーズがないのではないかとどうしても思ってしまうのですが、その辺は、しつこいですけど、いかがでしょうか。
【説明者】
天井以外のもの、細かいものではなくて、壁全体が壊れるようなものもあるのですけれども、そういうものについては、天井と違って、ある程度児童生徒の出入りを、例えば、柵をして、そこに入らないようにするとか、そういうふうにして、応急危険度的に、そこに近寄らないようにするというというような対策もできます。天井の場合は、そういうことはできずに、そこを使っているわけですから、もう早急に撤去しなければいけないと。そのような天井以外のものについては、先ほど効率性のお話ありましたけれども、実際に建物、公立学校施設、老朽化が問題になっておりまして、そういう古くなった建物を新しく改修するときと合わせて、そういう危険な箇所も直していこうと考えているところが多いと思っております。そういう場面に合わせて、きちっと非構造の対策がとれるように、今の段階で先導的な事例を集めておいて、使ってもらえるようにしていくことが重要だと考えております。
【説明者】
1つ補足をさせていただきますが、天井対策については、要は、27年度までというふうに、年を区切って要請をしておりますが、ほかの非構造部材についても、今言った応急対策なり実際の対策をやってもらうことについては、一般的なお願いということは、既にさせていただいておるというところです。
【伊藤政策評価審議官】
ただいま、事務局の方でコメントシートの取りまとめを行っておりますので、もうしばらくお待ちください。
【有川委員】
それでは、議論でも幅広い議論が行われまして、各委員からも幅広く意見を頂いているものですから、うまくまとまるかどうかはちょっと自信がないのですけれども、なるべく頂いた意見をうまくコンパクトにまとめていきたいと思います。
頂いた投票結果は、事業の抜本的改善が1、事業内容の一部改善が5ということであります。
それから、意見としましては、大きく、ざっくりした整理ですけれども、4つぐらいの事項についていろいろ意見が出ているのかなと思いますが、1つは、やはりこの事業の実施方法そのものについての問題意識といいますか、指摘だろうと思いますが。必要とされる事例を集めるための仕組みができておらず、事例収集とこの対策促進の因果関係が不明瞭だという指摘があります。
また、公募で手が挙った工事全てを採用するようなやり方ではなくて、具体的に必要な事例を集めるようなやり方をやっていくべきだという言い方、つまり、事業の実施方法にこのような意見があります。
また、事例の収集、あるいは、収集のタイミングについても、何人かの方々から、やはり事業の目的と事例の収集の数やパターンやタイミングが十分整合していないという意見がたくさん出されているところであります。
それから、事業の実施の進め方のところで、文科省の他の施設、文化庁の歴史的な建造物も含めた文科省の他の施設との整合性のとれた対策を進めていく必要があるだろうという意見があります。
そのほか、集まった事例についての公表、情報提供の仕方にも、さらに、いろんなビジュアルな手法をとったり、あるいは、介在する自治体や教育委員会をたくさん活用したりして、より効果的な広報の仕方を工夫する必要があるのではないか、こういった諸々の意見がある。大きく分けると4つぐらいというところであります。
最終的に、取りまとめ結果といたしましては、5票入りました投票結果といたしましては、事業内容の一部改善という結論で、それに対するこの委員会のコメントとしましては、まずは事業の実施方法として、事例収集と対策促進の因果関係をより明瞭に構築する必要があるということと、それから、対策事例の収集の仕方としては、できるだけ、ある程度基準を設けて、手を挙げたところを全て採用するやり方ではなくて、必要なものをパターン化して、適切にそれを選別して、適切な事例を収集するようにするということ、それから、事例の収集、パターン、あるいは収集のタイミングというものを、事業の目的と整合性のとれるようなやり方を進めていくということ、それと、4つ目になりますが、集まった事例についての、より効果的な広報の仕方を工夫するという、こういった形で委員会としてのコメントにしたいと思いますが、いかがでしょうか。
じゃ、了解いただいたということで、今の結論のコメントでよろしくお願いしたいと思います。
【伊藤政策評価審議官】
ありがとうございました。
それでは、以上をもちまして、学校施設の天井等非構造部材の耐震対策先導的開発事業の公開プロセスについては、終了させていただきたいと思います。
次の、テニュアトラック普及・定着事業につきましては、5分間休憩の後、2時10分開始でさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

( 休憩 )

【伊藤政策評価審議官】
それでは、2コマ目を始めさせていただきたいと思います。これからの時間帯は、テニュアトラック普及・定着事業につきまして御議論を賜りたいと存じます。
初めに、事業の概要について、5分程度で事業担当課より簡潔に御説明をお願いいたします。
【説明者】
それでは、御説明いたします。資料1ページの政策・施策・事業整理票でございます。
政策目標は、科学技術・学術政策の総合的な推進、施策としては、科学技術関係人材の育成でございます。具体的には、自立的な研究環境の整備、若手研究者等が能力を発揮できる環境整備を支援するということでございます。
事業としては、テニュアトラック普及・定着事業でございます。事業目的は、若手研究者が自らの発想に基づき、自立して研究し、活躍できる環境を整備していく制度としてのテニュアトラック制の導入を促進することでございます。概要は、後ほど別の資料で御説明いたします。
アウトカムでございますが、定量的な成果目標としては、自然科学系の若手新規採用教員に占めるテニュアトラック教員の割合を3割にする。これは本件の事業実施機関を対象とした数字でございます。
それから、アウトプットとしましては、本事業におけるテニュアトラック制の実施支援機関数でございます。
事業の内容等につきまして御説明いたします。8ページをお開きいただきたいと思います。
テニュアトラック制ということですが、背景でございます。若手研究者が自立して研究に専念できる立場や環境にない場合が多いといったこと、あるいは、大学教員の採用が、必ずしも客観的で透明性の高い手続になっていないという背景を受け若手研究者が自立的に研究できる環境を整備し、客観的で透明性の高い採用のプロセスを確立するテニュアトラック制を導入することを目的としています。
9ページは、本件の事業概要でございます。「テニュアトラック普及・定着事業」について若手研究者の自立的な研究環境の整備に資するテニュアトラック制を大学等に普及・定着を図っていくというものでございまして、このために、文部科学省が、大学等における体制整備を5年間にわたり、また、体制整備及び研究員のスタートアップの研究費を2年間支援するということでございます。
なお、テニュアトラック教員本人の人件費は、各機関の自主的な経費で措置されるということでございます。また、このテニュアトラック教員を経て、後にテニュアの職に就くわけですが、大学側は、テニュアポストを初めから用意しておくということを要件にしております。
そして、10ページをお開きいただきたいと思います。これまでの本事業の成果でございますけれども、自然科学系のテニュアトラック教員の新規採用割合は年々増加してまいりました。このように、テニュアトラック制の普及・定着が一定程度見られるというように評価しております。
図3のグラフでございますけれども、本事業は平成23年度から開始しておりますが、年を追うごとに、現在54大学となっている支援機関における自然科学系の新規採用のテニュアトラック教員の割合が、事業発足当初では約17%であったものが、最近では約23%まで増えてきているということです。緑色と黄色で分かれておりますけれども、緑色は、本事業で直接支援を受けて採用されているテニュアトラック教員の数であり、黄色の部分は、その機関における自助努力でテニュアトラック教員を採用している数です。このように、自助努力による割合も含めて、全体的にテニュアトラック教員の採用割合が増えています。
右側の図4は、支援機関における取組の状況でございまして、下の青色の部分は、一部の部局、例えば、工学研究科など単一の部局のみで取り組んでいるところ、赤色の部分は、更に全学的にこの取組を広めている機関でございまして、今後の課題としては、全学的な普及・展開をより進めていくというところが、我々の問題意識でもございます。
それから、11ページですが、今後の方向性ということで、テニュアトラック制の普及・定着が見られているということですが、課題としましては、機関全体の取組になっていないという部分もございますので、今後ここを増やしていくということです。改善の方向性としましては、平成27年度の新規公募におきましては、大学改革等の一環として、テニュアトラック制を他部局にも展開する大学等を支援することとし、公募要領にも明記し、そのような事業推進を図っております。
それから、今後、これまでに採択した機関への残りの支援、全体で5年間支援してまいりますので、その支援を継続するとともに、これまでの支援の成果を取りまとめまして、機関内あるいは他機関への更なる普及・定着を促進していきたいと考えております。
併せて、国立大学法人運営費交付金の配分に係る評価でありますとか、競争的経費の審査・評価におきましても、テニュアトラック制の導入状況ということを積極的に評価していくことを併せまして、人事システムとして定着させていくことを目指しております。
このようなことで、一番下の赤い囲みの部分ですが、これまでに採択した機関への継続支援を行い、普及・定着を促しつつ、各機関の自主的な取組を更に大きく広げていくという方向に持っていくというように考えております。
以上でございます。
【伊藤政策評価審議官】
ありがとうございました。
私の方から、通しページ、2ページ目にございます論点等説明シートに掲げさせていただいております論点を少し確認させていただきたいと思います。
1点目は、これまでの事業の成果実績の検証が適切に行われているのか。
2点目といたしましては、第4期科学技術基本計画に掲げられました、テニュアトラック教員の割合に関する目標の達成状況。
3点目といたしまして、大学改革の一環として、テニュアトラック制の普及・定着を図るための見直し方策、これらにつきまして御議論いただければと思います。
それでは、御質問をお願いいたしたいと思います。説明者は、質問に対しまして、簡潔、明瞭にお答えいただきますよう、よろしくお願いいたします。
では、豊田委員、お願いいたします。続きまして、田辺委員。
【豊田委員】
どうも、豊田です。御説明ありがとうございます。
まず、このテニュアトラックの導入・普及のために、ここまで累計ですと200億円ぐらい使っているのかなと思うのですけれども、ここまでお金を投入しないと、この制度というのは普及しないものなのでしょうか。
お金を使えば普及するというのは、多少はそうなのだろうとは思うのですが、予算自体は年々減っていって、それにもかかわらず普及は減ってはいないということではあるようなのですけれども、今後更に予算が減っていったときに、先ほどの10ページの表で本当に上がっていくのかなというのは、かなりの疑問として生じるのですが、そのあたり、見込みはいかがでしょうか。
【説明者】
この事業の支援経費の内容といたしましては、テニュアトラック制を導入する大学に対する、体制整備に要する経費、それから、肝心なのは、テニュアトラック教員として選定された教員が、自立的な環境の中で十分な研究成果を上げていくということが大事になりますので、スタートアップの研究費をしっかりと出していくということでございます。
そういったことで、もちろん予算の限りはあるわけでございますけれども、しっかりとした環境を整備し、ちゃんとした研究が行い得るような財政的な支援をしていくということで、結果として、先ほど御指摘にあったような、数字の予算が投下されているということでございます。
今後の見通しですけれども、先ほど御説明しました10ページのグラフにございますように、全体としては、緑色の部分は、この事業で文部科学省が配分する予算、これは徐々に絞っていきながら、今までの文科省からの支援を基に培ったノウハウを、自分の大学の中で他の部局等にも展開する方向に持っていきたいと考えております。国からの支援を基に、いわゆるモデルのようなものを作ってきて、今度、そのモデルを基に他の部局に広げていくというような、そういうことがようやくできるようになったと考えております。あるいは、全く文科省の支援を受けていない大学も多数あるわけでございますけれども、様々な形でこの成果を、今までもシンポジウム等で広げておりますけれども、そういったことを通じてこのノウハウが普及していくということで、全体的には増えていくというように考えています。
具体的な方策としましては、国立大学における改革の一環の中でという話も先ほどいたしましたけれども、例えば、具体的には、国立大学経営力戦略というものを目下策定中でございますけれども、その中で、自己改革・新陳代謝の推進という項目を掲げ、若手が活躍する組織への転換方策として、テニュアトラック制の促進ということを明確に掲げております。そういったことで、大学改革の中における重要事項として、我々としては、大学に対してその取組を促し、そして、大学もしっかりとそれに応えて、取り組んでいくということです。
また、運営費交付金の算定における各大学の毎年度の事業評価がございますけれども、
その評価項目の中にも、テニュアトラック制について、大学としても、自己点検の項目の一つに掲げて、更なる努力を続けておりますので、そういった取組を今後とも進めていくことで、更に目標に向かって広げていけるのではないかと考えております。
【豊田委員】
あともう1点ですが、14ページ、15ページを見ますと、実際にテニュアトラック教員として活躍している方々の声というのが載っているのですが、これを見ますと、独立した研究室を持てるというのが非常に重要のように思えるのですが、これは独立した研究室を持てるというのは、テニュアトラック教員の要件といいますか、そういう形になっているのでしょうか。
【説明者】
おっしゃるとおりでございまして、テニュアトラック制では、一般的には助教の職位でテニュアトラック教員が採用されることになりますが、准教授や教授の指示の下で研究や作業をするということではなくて、完全に独立した形で、また、部屋も――これは少し機関によっても差があると思いますけれども、例えば、最初には60平米の部屋を与えて、年を経るごとにだんだん広くしていくとか、そういったまさに物理的な研究環境もきちんと整備して、自立的・独立的な環境を担保しております。
また、それがきちんと実行されているかどうかということも、本事業のプログラムオフィサーが定期的に現場を見て、計画どおり、この事業が進められているかということは点検しております。
【豊田委員】
ありがとうございます。
【伊藤政策評価審議官】
では、続きまして、田辺委員、有川委員。説明者は、できるだけ簡潔にお答えのほど、よろしくお願いいたします。
【田辺委員】
それでは、論点の最初の、事業の成果実績の検証が適切に行われているかということに関して、ちょっと質問があります。
アウトカムというところに、事業実施機関のテニュアトラック教員の割合というのがありますが、これは目標に近づいていると思うのですけどね。本来のこの事業の狙いは、若手研究者が自立して研究できて、活躍できる環境を作るということなのですね。ということは、実際、このテニュアトラックで採用された若手研究者と、テニュアトラックでなくて、従来の形で、期限付ではない形で採用されるというか、テニュアトラックでない期限付の採用もあるかもしれませんけど、それとの比較をして、テニュアトラックの採用された人が、質のいい研究を本当にできているのかどうかというところの評価を教えていただきたいのですが。
【説明者】
13ページの……。
【田辺委員】
個々の人じゃなくて、トータルの数で。つまり、1人、2人、3人、4人優秀な人がいるというだけでは、これは制度の評価にならないわけです。それはなぜかというと、従来の採用された中にも、何人か優秀な人はいるわけですよ。だから、このテニュアトラックの教員総体、平均値、あるいは、優秀な人たちの層と比べて、別の採用で採用された若手研究者、これとの比較をして、やっぱり明らかにこの制度が有効だという、そういう評価をされているのかどうかということをお聞きしたい。
【説明者】
全体的な評価を行いうる十分なデータはまだございません。ただ、このテニュアトラック普及・定着事業の目的は、公正で透明性ある人事プロセスを確立し、審査を経て、優秀な若手がきちんとテニュアに至る、そういった仕組みを作る、そういうシステムを作るということでございますが、今御質問あった内容は、研究者としての研究能力がどの程度違うのかというように受け止めたのですけれども。
【田辺委員】
確かに。だけど、今まで、この制度以外でも採用されているし、必ずしも私は不公正だと思わないのですけれどもね。教授の指導とかある中でやる研究をやっている人もいるし、あるいは、自分で独自にやっている人もいると思うのですね。だから、この制度でなければできないということではないと思うのですけれども、そこの違いがよく分からない。つまり、200億円とかかけて、大して差はないのではないかというのがありまして。
もう一つは、5年間とかの期限付だから、結果的に、落ち着いて腰を据えて研究できないというような面も、テニュアトラック制ってあるわけですね。つまり、それは何かというと、普通に、例えば准教授で採用されると、やっぱり腰を据えて研究できるという面もあるわけですよ。このテニュアトラックだと、5年経った後、採用されるかどうかも保証されていない。ということは、短期の成果を上げなきゃいけないというので、本当に長期的な観点からできているのかどうかとか、あるいは、短期的に、腰が据わらないために、十分な成果が上がらないということもあるのではないかと思うのですけど、そこの評価をどう分析されているかということをお聞かせください。
【説明者】
今御質問あったように、いきなりテニュア職に就ければ、それはそれで、多分、その研究者にとって一番最初からハッピーな状態になるわけですけれども、ただ、今起こっていることは、相当程度の人たちが、最初は5年程度の任期付採用ということです。
それで、まさに今御指摘あったように、その5年間が終わった後どうなるか分からないという不安な状態の人が大半いる中で、そうではなくて、ちゃんと機関側がテニュアポストを用意して、優れた成果を上げればテニュアに至れますよということを、テニュアトラック教員が先を見通せる、そういう仕組みを作るというのがこのテニュアトラック制でございます。
【田辺委員】
今、私がお聞きしているのは、その結果としての評価はどうなっているのですか、本当にいい成果は出ているのですかということなのです。
【説明者】
2点あります。
テニュアトラック教員自体の成果という意味では、9ページの若手研究者の自立的研究環境の整備促進ということで、モデル確立(平成18年度から平成22年度)をやっております。こちらの成果としまして、一般の教員とテニュアトラック教員の外部資金の採択率について評価しております。一般教員だと、若手の間、例えば、科研費の若手(A・B)に採択される率というのは31%、それに対して、テニュアトラック教員であれば41.4%と、科研費の採択率は向上しているというところは確認されております。
2点目としまして、12ページの筑波大学の例を御覧ください。研究の活性化ということで、筑波大学の例の下のところに書かせていただいておりますけれども、一般助教では、研究の成果として出てくる論文0.6編というところに対して、テニュアトラック教員については2.5編と、こちらもテニュアトラック教員の方が、研究に従事している関係で成果が出ているというような評価をしております。
以上です。
【田辺委員】
分かりました。ある程度質的ないいところがあったのですけど、当初考えておられるのは、ノーベル賞級とか、そういう成果が本当に出てくるような環境ができると非常にいいなと思っています。
以上です。
【伊藤政策評価審議官】
では、有川委員、石田委員の順でお願いいたします。
【有川委員】
11ページの自己点検結果に基づく改善の方向性のところで、2点ほどお伺いしたいのですが。
1点は、改善の方向性の2つ目の丸のところに書いてあります、28年度以降は、機関内あるいは他機関への普及・定着を促進することとしているのですけれども、その具体的な手法がここでは分かりにくいので、どういったことでこれを促進していくのかというのと、併せて、他機関あるいは機関内の水平展開・横展開と併せて、既に事業の対象になったところの成果の維持がちゃんとされているかどうかのフォローアップも非常に重要だと思うのですけれども、それはどのようにやっていくのかというのが1つお伺いしたいのと、もう一つは、3つ目の丸のところにあります、運営費交付金や競争的経費での誘導に切り替えていくということなのですけれども、8ページに書いてありますように、教員採用の透明性が高い手続となっていないということに大きな原因があるとすると、当初からこの手法の併用するべきであったような気がするのですが、なぜ併用しなかったのかというのと、場合によったら、先ほど他の委員から、経費をこんなにかける必要があるのかというような意見も踏まえると、そもそもこれを専ら主たる手法としてやるべきだったのではないかという気もするのですが、そのあたりどうでしょう。
【説明者】
最初の御質問に関し、これは機関内については、公募要領の中できちんと、単独の部局のみならず全学的な展開を進めることを要件化しておりますので、当初から機関として推進してもらう必要がありますし、また、この事業は中間評価、事後評価を行いますので、その評価のタイミングできちんと進捗状況を見ていくということです。
他機関への更なる普及・定着につきましては、文部科学省として、全実施機関の取組状況でありますとか成果を集めて、シンポジウムあるいは資料の形で公表・公開していくということ、あるいは、機関独自でも成果発表会のような取組もありますので、これらを今後とも続けていくことを考えております。
それから、最後の併せてというところですけれども、これにつきましては、テニュアトラックというものを日本の中に導入していくということですけれども、モデルを作っていくことが不可欠です。何もないところから、いきなり大学の自助努力でやるのは容易ではなく、やはり様々、実際に研究費――今はスタートアップ経費のようなものを文科省が支援しておりますけれども、なかなかいきなり自助努力では始めることができないというような問題もあって、これは第3期の科学技術基本計画で初めて導入されたわけですが、その閣議決定された政策文書の中で、国は、テニュアトラック制を導入し、そのための必要な支援を行うということが書かれております。それを受けて、この前身の事業であります若手研究者の自立的研究環境整備促進事業というのが始まって、今日に至っているということでございます。
【有川委員】
すいません、しつこく聞くようで恐縮なのですけど、このテニュアトラック制の事業自体を否定しているわけではなくて、併せてこれからやろうとするやつとの組み合わせと、組み合わせのタイミングの話をしているので、そもそも併用すべきだったのではないか、あるいは、これをある程度重点化すれば、このテニュアトラック制の事業費をもう少し効率的に節減できたのではないかという、そういう質問なのですが。
【説明者】
よろしいでしょうか。
今までも、現在も、国立大学法人の評価において同様の取組をやっておりますし、先ほど競争的経費の話がありましたけど、それにつきましては、例えば、昨年度であれば、スーパーグローバル大学創成支援等事業というもので、スーパーグローバル大学を目指すような大学取組として、既にこういった取組を評価しています。また、国立大学に関して申し上げると、来年度から第3期の中期目標期間を迎え、より一層機能強化という視点が出てきますので、そういうタイミングで、この事業を少し控えて、機関の自助努力の取組を促していこうというような形で、従来も併せてやっていたのですが、その重み付けを変えていくというようなことで考えております。
【説明者】
1点補足させていただきます。
9ページの単位当たりコストのところを御覧ください。平成22年度は2億3,400万円ということで、若手研究者の自立的研究環境整備促進事業の時代は人件費まで措置しておりましたので、大分コストが高くかかっておりました。この結果、平成24年度の本事業の予算額70億円弱となっておりますけれども、うち58億円が、この若手自立事業の継続分となっております。テニュアトラック事業につきましては、人件費の部分を措置しないという形でコストの削減を図っておりまして、現在、平成27年度の単位当たりコストとしては、3,700万円ということで、自主的な取組を促すような形で進めているところでございます。
【伊藤政策評価審議官】
では、石田委員、それから、松浦委員、お願いいたします。
【石田(晴)委員】
また有川先生とほとんど同じ意見なのですが、このテニュアトラックの普及・定着事業は、平成23年度からなので、27年度で5年間ですね。丸5年間が経つ。ですから、かなり蓄積をいろいろされていらっしゃると。でも、終了予定は31年度ということで、まだあと4年あるわけですよね。もうされなくても、先ほどの併せてというところの、しつこいですが、11ページにあるように、こちらのテニュアトラック制をしている大学、国立大学63大学に54大学ということですから、そこには、これをしてください、しないと運営費交付金の配分等で差をつけますよと言えば、あとはもう自分でおやりになるのではないですかね。もう既にいろいろな知見の蓄積で、テニュアトラックをされている方が、普通のテニュアの一般の先生方よりも論文数が多いということであれば、大学間も今競争をかなり熾烈にやっていますので、今までのように、変な話、ちょっと縁故みたいな形で採るというようなことでは、大学自体がもう生き残っていけないという認識はあるのではないですかね。もう更にやる必要はないのではないのかなと思うのですが。
だから、ここで切り替えてもいいじゃないですか。最初は31年までやるつもりだったけれども、もう十分効果が得られたので、手法を変えるという。今既にあるものについては続けていかなければいけないかもしれないのですけど、でも、そうでないものについては、もう切り替えてもいいのではないですかね。いかがでしょうか。
【説明者】
この事業は、現在の第4期科学技術基本計画、平成23年度から27年度の5か年計画でございますけれども、それに沿って実施しています。そこで、この最終年度の27年度、テニュアトラック教員を採択するわけですけれども、その採択されたテニュアトラック教員と、その所属機関、それらに対する財政支援が、継続的な支援として31年度まで続くということでございまして、31年度まで新規採択をずっと続けるという考えではなくて、集中的な期間として、第4期科学技術基本計画に呼応する形で、テニュアトラック教員を採用し、そして、その継続支援はもちろん31年度までは残りますけれども、やがてだんだんフェードアウトしていって、他方で、先ほどのような大学改革でありますとか、競争的資金改革の中で、制度的なものとして取り組んでいくというように考えております。
【石田(晴)委員】
スタートアップは定額補助ということですけれども、1人当たり2年間なのですかね。1人上限はお幾らなのでしょうか。
【説明者】
2年間で1,200万円を上限としております。
【石田(晴)委員】
そうすると、1,200万円ってかなり多額なので、普通の競争的資金のように、終わったら、ただテニュアトラックなので、5年間終了時に何らかの成果を出してくださいというような縛りみたいなものはおありなのでしょうか。
【説明者】
当然、研究者が大学に申請、する時点で、研究課題、研究目標、計画、そういったものを提出してもらい、そして、その内容を厳正に審査して、テニュアトラック教員に採用されます。その後は、きちんと大学の中において、外部のレビュワーもいますけれども、研究の進捗状況についてもフォローアップしていく、見ていくという体制を取っておりますので、最初言っていたことが何もなされないままに終わってしまうということはないようにしております。
【石田(晴)委員】
あと、ポンチ絵の8ページなのですが、テニュアトラック制の定義のマル3のところで、任期終了前に公正で透明性の高いテニュア審査が設けられていることということなのですが、この「公正で透明性の高い」というのは、どうやって担保されていらっしゃるのでしょうか。
【説明者】
まず、これは公募事業でございますので、文科省からの公募要領というものがございます。そこで、公正で透明性の高い選抜方法が確保されることを支援の要件としております。大学から文科省に出していただく申請書の中に、どのような形でその公正性・透明性を担保するのかというものを記述してもらうことになっております。
さらに、具体的なこととしましては、例えば、大学がテニュア教員を採用する段階で、テニュア教員の採用審査委員会というものをそれぞれ個々に設けるわけですけれども、例えば、7~8名程度の審査委員会の中で、必ず外部の審査委員も入れて公正性を保つでありますとか、あるいは、申請しているテニュアトラック教員候補者それぞれに対して、2名程度のピアレビュワーを指定いたしまして、ピアレビューも行い、その結果を基に審査をするといった形で公正性を担保するということにしております。
【石田(晴)委員】
ありがとうございました。
【伊藤政策評価審議官】
それでは、松浦委員、石田委員でお願いいたします。
委員の方々には、コメントシートへの記入も併せてお願いいたします。
【松浦委員】
松浦でございます。1点目が感想、2点目と3点目が御質問でございます。
1点目、私の時代にこういうものがあったらよかったなと思います。大変うらやましく思います。多分、ターゲットにされているのは、私どもの所属している分野が徒弟制であるということだと思いますけれども、本当になければ幸せだったと思っています。
昔の学位というのは、仕事をなして初めて頂けたものでありますけれども、途中だんだんと変わっていきまして、研究者としてスタートする資格という位置付けがもうほとんど確定したということから考えますと、このテニュアトラックが5年というのは、十分若手が自立して研究できるようなところまで育った後の5年というふうに理解しますと、これはこれでよろしいのかなというのが、私の、まずこれは1つ感想でございます。
御質問ですけれども、これは論点の3番に関係いたします。
まず1つですけれども、テニュアトラックで採用した教員を、いわゆる昔の継承定員枠の中で初めから押し込んでしまうということになると、研究者というのは流動的で、もっと研究条件のいいところに移っていくという特性がありますので、これはルネサンスの頃から同じですので、むしろ私は、ここに年俸制との整合性をどう考えるのかという視点を入れていただいた方がよろしいのではないか。そうすると、機関としても後年度負担が減るということもございますので、ここもやっぱり併せて御検討いただくべきではないかというのが1つ目。
それから、2つ目でございますけれども、これは5年というのは、多分、労働契約法を意識して5年であったのであろうかと思われますが、今後、労働契約法の内容がまた改正される可能性がある。そのときに、文部科学省としては、このテニュアトラックは5年であるというふうに確信をされているのか、そうではなくて、ある程度労働契約法と現状の成果を見ながら、この年限を変更することも検討する余地があるのか、この2点についてお聞きしたいと思います。
【説明者】
まず年俸制の件につきましては、私どもの公募要領の中で、年俸制のテニュア職とすることが望ましいということを書いております。実際にほとんどが年俸制で雇用されているというように理解しております。それから、大学改革の中で、今後いろいろな取組を文科省として大学に促していくわけでございますけれども、先ほど、テニュアトラック制の促進ということを掲げるということも説明の中で申しましたが、年俸制も併せて促進を求めていくというようにしておりますので、更にこのテニュアトラック制については、年俸制とセットの形で取組は進められていくであろうと考えております。
それから、2点目は、5年間の期限を変えるかどうかという御質問でしょうか。少なくとも今私どもがやっておりますテニュアトラック事業につきましては、当初から5年ということでやってきておりますけれども、現状で不都合等生じておりませんし、一定程度の期間を若手研究者に与えるという意味でも、長過ぎず、短過ぎずという意味では、5年間ということが妥当であろうと考えております。
【松浦委員】
御趣旨は分かりました。基本的に、2番目の御質問というのは、労働契約法の期限というものがあって、終身雇用になってしまうという年限があるわけですので、やっぱりこれに影響を受けるというふうに私は理解したいと思うのですけれども、その中で、やはり効果のある年限というものを見直す可能性もあるという含みもあるという理解でいてよろしいですかね。でないと、初めからテニュアになっちゃいますということになりますので。よろしいですか。
【説明者】
労働契約法は、研究者については10年ということにはなっておりますけれども、その労働契約法との整合性も考えていきたいと考えております。
【松浦委員】
ポリシーの第3番目に、これからは政策誘導をやっていくというふうな形になっていますね。補助金はどんどん落としていって、政策誘導をやっていって、まさに他の委員がおっしゃられた、大学生き残りをかけたことであって、その大学のガバナンス、学長ないし総長の御決断によってということになるかと思いますけれども、私としては、政策誘導をかけるのであれば、テニュアトラックと年俸制というのは、やっぱり両輪として政策誘導をかけるべきであると考えますが、いかがでしょう。
【説明者】
おっしゃるとおりだと思いますし、文科省としても、そのような考えで、これからも、先ほどの国立大学経営力戦略の中にも書きながら、そのような取組を促していくということでございます。
【松浦委員】
ありがとうございます。
【伊藤政策評価審議官】
では、石田委員、田辺委員、お願いいたします。
【石田(惠)委員】
まず3ページのところで、アウトカムとアウトプットのところの関係についてお伺いしたいのですけれども。まずアウトプットとしては、55機関の援助を、27年度活動見込みでは56機関とする見込みであると。それから、テニュアトラック教員の割合については、30%の目標値に対して、22.6%であるものを30%なのでしょうか、上げていくということだと思うのですけれども、そもそも、まず機関に関しては、55機関というのは、25年度、26年度ともに25機関のままで、あと残り1機関というのが上がらなかったようなのですけれども、その理由は何であるのか。それについて分析されて、今年度についてはどう取り組まれていくということで御予定されているのか。
また、もう一つ、先ほどのテニュア教員が30%に上げたいということではありますけれども、これまでの経緯からいきますと、年間当たり2%弱程度しか上がっていないという実績の中で、30%に上がらない理由は何であるのか。また、これに関しては、どのように上げていくというふうに考えていらっしゃるのか、教えてください。
【説明者】
まず30%という数値についてでございますけれども、全国レベルでの自然科学系の若手新規採用教員30%というのが、第4期科学技術基本計画上の目標値ですが、この事業では、事業で支援している対象機関における新規採用人数のうち3割はテニュアトラックにしたい、そういう目標設定です。なかなか進んでおらないわけですけれども、ただ、我々としましては、この掲げた目標を最後のところで下げるという理由もございませんし、ここはまだ取り組み途上でありますので、このシートに掲げた当初の目標は掲げつつ、もちろん、この文科省のお金だけで3割を達成するというのは相当難しいような状況も、これまでのトレンドから見ても分かりますので、やはり一番大事なのは、大学の自助努力の部分で、横に広げてもらうというところです。そのためにこれから様々な形で、成果を横に広げていくというような取組、先ほどシンポジウムと申しましたけれども、そういったものをより積極的に行いながら、この目標については引き続き頑張っていきたいというように考えているところです。
【石田(惠)委員】
今のお答えの中で、大学の自助努力というお話が出たのですけれども、大学の自助努力を促すのに当たって、テニュアトラック制度というのは入れたのだと思うのですけれども、それについて30%に上がらないのは、もうテニュアトラック制度の問題ではなくて、他の問題であると。テニュアトラック制度を維持することによって、それを上げられるということではないのだという理解でよろしいでしょうか。
【説明者】
資料の16ページに、第4期の科学技術基本計画を抜粋で記載しております。その第4期の基本計画の推進方策というところの後段にありますように、各大学が、その目的や特性に応じてということで、恐らく機関も、分野とか特性に応じていろいろあるかと思いますので、今後、シンポジウム等を開くに当たっては、支援の実績だけではなくて、実施に当たって、どういったことが隘路になっているのか、課題になっているのか、それをどう解決したのかということを、きちんと事例として収集した上で、それを各機関に促していきたいと考えております。
【説明者】
若干補足させていただきます。10ページを御覧ください。
10ページのところ、先ほど御指摘いただいたパーセンテージをそのままグラフにしているものが、図3になります。緑色の部分が、本事業の支援を受けてきたところでございます。そこの部分の割合は減ってきて、その他の黄色い部分が増えてきているところです。この事業を通じて環境が整ったことによって、各機関の自主的な取組が進んできたというふうに承知しております。
2点目の55機関、56機関の機関の数についてですけれども、26年度については、支援を受けている機関の中からテニュアトラック教員を採用したところに支援をしたので、増えておりません。ただ、27年度は、機関をもう一度公募して、審査しておりますので、今、審査中なのですけれども、ここは新規参入が見込まれるところでございますので、ここは増えてくると考えております。
【石田(惠)委員】
それから、もう1点、8ページのところで、図2のところで、テニュアトラック制のイメージ図があるのですけれども、これに沿いまして教えてください。
この制度に関しては、国際公募から始まって、5年間テニュアトラック教員として採用された後に、テニュア審査というものを受けて、テニュア教員として採用とあるのですけれども、一時的なこの5年間の任期を終えた後に、テニュア審査を通って、更にテニュア教員として採用されていらっしゃる方の比率を教えてください。
【説明者】
このテニュアトラック普及・定着事業は、23年度から始まったものでございまして、まだ23年度に採用されたいわゆる1期生が、5年間のテニュアトラック期間を経てテニュアに至るという、そこまで来ていない方が大半であるということが前提です。その中で、5年間より早期にテニュア職を得た方が、24名おられます。
【石田(惠)委員】
24名というのは、何名中24名でしょうか。
【説明者】
この事業全体で約400名を支援中でございます。そのうちの24名の方が、既にテニュア職を得られたということです。
【石田(惠)委員】
ちなみに、分かれば、その24名の中で、女性ないし外国人など、多様なカテゴリーごとで何%なり何人というのが分かれば教えてください。
【説明者】
確認させていただけますか。
【石田(惠)委員】
それから、380名いらっしゃるということなんですけれども、テニュアを獲得された方が24名ということですが、逆に、もうリタイアされて、この事業自体がもう続けられないということで、おやめになられた方というのはいらっしゃるんでしょうか。いらっしゃるようでしたら、何人ぐらいいらっしゃるか教えてください。
【説明者】
そのような方はおられないようです。
【石田(惠)委員】
380名の中で、多様な人材をということですので、基本若手だと思いますけど、年齢層はどのぐらいで、女性、外国人といったカテゴリーごとにもし人数が、そもそも今これで採用されていらっしゃる方の中で分かるようでしたらば、教えてください。
【説明者】
年齢について申し上げますと、公募において年齢は40歳未満としておりますので、恐らく30代前半あたりが多いと思いますけど、今データが手元にないので、それは確認させてください。
あと、外国人や女性も一定の数がいると思うのですが、そこも今手元にデータがないので、確認させていただければと思います。
【石田(惠)委員】
そちらについては、基本的に若手というくくりとは言いながらも、多種多様な人材をということが目的でいらっしゃるようですので、今調べていらっしゃるということではありますけれども、分かり次第教えていただければと思います。
それから、あと、最終的には、こちらの方は、各大学が自主的に行われるべきであるというようなものの中で、先導されてきていらっしゃると思うのですけれども、8ページのところにございますとおり、導入当時の背景から、この制度を入れた定義ということがございますけれども、導入されてある程度年数が経っていらっしゃいますけれども、各大学が、結局、若手に対して自立的に研究できるような環境整備だとか、透明性のある採用だとか、そういった形に変化してきているかどうかということについては、モニタリングされていらっしゃるのでしょうか。
要するに、テニュアトラックを入れれば、そのカテゴリーでルールどおりにやらなければならないけれども、本来的には、大学自体が自主的にそのように全てにおいて採用すべきであるという理念の下で行われたことだと思いますので、そういった導入目的から、実際の大学はそのようにシフトしてきているのかどうかということに関する実情をモニタリングされていらっしゃれば教えてください。
【説明者】
大学全体のモニタリングというのは、できておりません。ただ、直接的な手法というわけではないですけれども、国立大学におきましては、毎年度、事業評価というものをそれぞれやっており文部科学省は、その事業評価書を受け取っております。その評価書の中で、テニュアトラック制を導入したでありますとか、若手研究者の自立的な環境の整備を努めているといったような項目が出始めてきておりますので、正確な状況把握というところまでは、現状まだ明確にはお答えはできませんけれども、各大学の各年度ごとの事業評価の中で、先ほどおっしゃっていただいたような改革に向けた取組をやっているという事例が出てきているということは言えると思います。
【伊藤政策評価審議官】
恐縮でございます。予定時間もございますので、手短に御質問のほう、よろしくお願いいたします。
【石田(惠)委員】
すみません。では、最後、1点だけ。
そういった意味では、テニュアトラックを導入された目的が、そのように大学自体の採用ですとか若手の教育なりに関しての改革を求めるところにあったのだとするならば、何機関、何%テニュアを入れたかということよりも、そのように改善されてきているかどうかということも、アウトプットなりアウトカムとして評価されてはいかがかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
【説明者】
この事業は、先ほども申しましたけれども、第3期・第4期の科学技術基本計画を受けて進めてきております。その基本計画中において書かれている事柄としては、テニュアトラックを導入する、そして、それを普及することを促進する、そして、目標としては、大学の特徴にもよるが、自然科学系全体の中で全体としては3割とするということがあります。現状は、その基本計画に対応する形で事業推進をしているということでございまして、やがて、今おっしゃっていただいたような、大学改革全体の中に広げていくということはあり得るとは思っております。
【伊藤政策評価審議官】
田辺委員、よろしゅうございますか。
それでは、コメントシートを今取りまとめておりますので、しばらくお待ちください。
石田委員。
【石田(晴)委員】
まだ時間があるようなので、テニュアトラックが進まないという……一足飛びではないですよね。どの辺に大きな要因があるとお考えですか。
【説明者】
今の我々のテニュアトラック事業、大学がテニュアポストを用意して、その前段階の5年間のテニュアトラック期間を設けましょう、そういう仕組みにしておりますので、大学がそのポストを用意しなければいけないというのが1つあります。そこが多分、大学にとってなかなか難しいところなのではないかというように思います。
あとは、テニュアトラック制の理解というものが、必ずしも津々浦々、隅々まで浸透しているかどうかというところも、あるのではないかと分析しております。
【石田(晴)委員】
まだお時間あるようなので。
12ページ以降、いろいろな実際の好事例がありますが、こういった好事例というのは、周知というのですか、ほかの展開していない大学にはちゃんと見せる形はされていらっしゃるのでしょうか。
【説明者】
しています。それは様々なホームページやシンポジウムでありますとか、様々な形でやっております。文科省も、パンフレットも作ったりもしています。
1点、伊藤審議官、よろしいでしょうか。
【伊藤政策評価審議官】
どうぞ。
【説明者】
先ほど質問いただいた件で、男女別の内訳とか、外国籍ということですが、今、手元に実はありません。少し調べるためのお時間を頂き、後ほど、事務局を経由して提出させていただきたいと思うのですけれども、よろしいでしょうか。
【伊藤政策評価審議官】
もし可能であれば、ホームページとかに載せられる資料であれば、掲載していただければ、これを見ていただいている人も御理解が進むのではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。
【説明者】
はい。
【有川委員】
それでは、私の方で全部頂きましたので。
投票の結果、評価につきましては、事業内容の一部改善という意見が4人、現状どおりというのがお二人というふうな形になりました。
各委員のコメントを幾つか紹介させていただきますと、テニュアトラック制度の普及は相当程度進んできており、効果は十分に上がっている。今後、国立大学法人運営費交付金等の配分でもって、人事システムとして定着させるということなので、適切だと評価したいという意見。
また、既に採択は終了しているので、今後、31年まで約束されたテニュアトラック教員の対応を維持するため、事業を、その分を継続することはやむを得ないが、ただし、目的達成の手段としては必ずしも合理的でない面があり、今後、同様な事業については、事前の十分な検証が必要と考えるという御意見。
それから、財政的な措置との連携がやはり十分検討が必要だろうという意見。
それは、同様な意見として、運営費交付金や競争的経費での誘導が、当初からこの手法を併用できなかったのかというのと、そこから来る話でありますけれども、本施策の誘導の仕方として、できるだけ多様で効率的な手法の工夫が必要だという意見。
それから、28年度以降、水平展開をしていく、その具体的な手法が必ずしも十分説明されていないという意見と関連しまして、この事業の今後の成果を更に展開していくやり方、あるいは、その成果の評価の仕方に幾つか意見を頂いておりまして、そのうち1つは、事業終了後にテニュアトラック制が普及・定着するためには、事業の成果、実績について、研究者の研究成果等、あるいは、テニュア教員の人事システム等の多様な観点について、政策効果について分析して公表すべきだという意見。
また、人数等の目標数値だけがひとり歩きしないという形で、この事業の最終目標を十分意識して事業を進めていく必要があるというのと、併せまして、若手の研究者が自立できる研究環境や採用における透明性の確保は図られているか否か、そういった評価をアウトプットにきちんと設定して、そういったものを継続できているかどうかをフォローアップする必要があるというような意見が出されました。
これらにつきまして、まとめさせていただきますと、まず評価でありますけれども、最終的な評価につきましては、4人の方が結論として出されました、事業内容の一部改善という形にさせていただきまして、委員会としての取りまとめコメントとしては、国立大学法人運営費交付金等の配分で、人事システムとして定着させているということなので、その辺のところをきちんと適切に遂行されていくか見ていきたいという意見。それから、この事業の成果につきまして、事業の成果実績の評価に、更にテニュアトラック教員の研究成果やテニュアトラック制が人事システムとして定着したかといったような点も付け加えて、きちんと評価をしていくということが必要だということ。若干重複するかもしれませんが、本施策の誘導の仕方として、更に効率的な手法というものを適切に工夫していく必要があるだろうと。こういった取りまとめコメントとしたいと思いますが、いかがでしょうか。
では、今の意見でよろしくお願いいたします。
【伊藤政策評価審議官】
ありがとうございました。
それでは、以上をもちまして、テニュアトラック普及・定着事業の公開プロセスについては終了させて頂きたいと思います。
次の、情報技術人材育成のための実践教育ネットワーク形成事業につきましては、予定どおり3時半からの再開とさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

( 休憩 )

【伊藤政策評価審議官】
それでは、3コマ目を始めさせていただきたいと思います。これからの時間帯は、情報技術人材育成の実践教育ネットワーク形成事業について御議論を賜りたいと存じます。
初めに、事業の概要の御説明を5分程度で担当課よりお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【説明者】
それでは、よろしくお願いいたします。専門教育課でございます。
この情報技術人材育成のための実践教育ネットワーク形成事業でございますが、大学と産業界によるネットワークを形成して、実際の課題をベースとしたPBLといった実践的な教育を推進して、それによって実際に社会に役立つ人材の育成機能を強化するということを目的として実施しております。
この政策・施策・事業整理票の1ページを御覧いただけますでしょうか。
この事業、施策目標としては、4-1、大学などにおける教育研究の質の向上に位置付けられておりまして、達成目標は、達成目標1でございます。大学の学士課程を中心とした教育内容・方法等の改善・充実が図られる。各大学が、単独で又は連携して、個性・特色を踏まえた人材の育成機能を強化する、ということになっております。
この人材育成機能の強化という達成目標、事業目的を踏まえまして、その下の囲いのアウトカムのところでございますけれども、アウトカムについては、定量的な成果目標として、事業最終年度に全国の情報系の学科・専攻の全てでPBLが実施されるということを目標にするということが1つございます。
また、本事業への参加によって、PBLに対する理解、重要性の認識が増した教員の割合ということを、定量的な成果目標のマル2とさせていただいております。
また、その下にございますように、アウトプットについては、実践教育ネットワークを形成する企業の数、実践教育を受講し、修了した学生数、ネットワークに参加する大学の都道府県カバー率といったものを設定させていただいております。
これらに加えまして、参考目標のところにございますように、多面的に事業の成果等を分析する観点から、企業、学生の満足度というところを加えさせていただいております。参考目標1では、ベンダー・ユーザー企業における事業修了学生、この事業を受けた学生に対する満足度が100%になるということ、また、参考目標2としては、受講した学生自身にとっての満足度が100%になるということ、3番目、4番目として、それぞれPROGテストによって、この事業の修了前後で受講生の行動特性が向上したかどうか、あるいは、一般的な理系の大学院生と比較した場合、向上しているかどうかということを、参考目標として設定させていただいているところでございます。
引き続きましての御説明ですが、ポンチ絵、パワーポイントのハンドアウトの方を御覧いただけますでしょうか。
1ページおめくりいただきまして、3ページになりますが、こちらに事業の概要を整理させていただいております。
この事業の背景でございますけれども、IT社会のIT化の進展ということに伴いまして、情報技術を高度に活用して、社会の具体的な課題を解決することができる人材の育成が課題ということでございます。最近頻発しておりますサイバーセキュリティに対する脅威への対応というのは喫緊の課題でございますし、このほか、ビッグデータの解析やIoTなど、情報の分野では対応すべき課題が山積しております。それに対して、政策として対応する必要が生じていると考えております。
他方で、こういった分野における課題というのは、そのレベルが絶えず上がってきておりまして、また、最先端の事例というのも、すぐに陳腐化するということがございます。そういった中で、実際の事例に則したリアリティのある学習というのが不可欠だという特色がございまして、特にこの分野では、こういった特色が顕著であるということもあり、また、3ページの右下にございますような政府の各種提言というものもございますので、こういったものを踏まえて、事業の実施を行っているところでございます。
1枚おめくりいただけますでしょうか。4ページを御覧ください。この事業でございますが、平成24年度から開始されております。公募の結果、大阪大学を中心とした15大学で共同申請された取組を採択いたしまして、平成28年度、来年度までの5年間の補助事業として実施しているところでございます。この事業は、通称でenPiTと呼ばれております。事業の内容としては、産学の人材育成ネットワークを構築して、そこにありますように、クラウドコンピューティング分野とか、組込みシステム分野、ビジネスアプリケーション分野、セキュリティ分野といった4つの分野を設け、産学連携の実践教育による人材育成を行っているところでございます。
実際の事業、教育のフレームワークとしては、右下のところにございますように、4月から7月が基礎知識学習期間、8月から9月が短期集中合宿を行う期間、10月から12月は、また分散してPBLをそれぞれ行うということで、最後に発表会を行って修了という流れになっております。
また、分野ごとでネットワークを形成している大学名、企業の一覧というのは、5ページにあるとおりでございます。連携大学が15校、参加大学が81校、連携企業が107社というのが、平成26年度末時点における状況でございます。
1枚おめくりいただきまして、7ページからでございますが、こちら、アウトプット、アウトカムなどの状況をまとめさせていただいております。
7ページですが、さきに御説明申し上げましたとおり、アウトカムとしては、1つ目として、情報系の学科や専攻におけるPBLの実施率を設定しております。この事業の開始前には、全体として4割に満たなかった、38%となっておりました実施率ですが、現在、6割を超えているというところがございます。情報系学科・専攻全体の傾向として、PBLの課題解決型学習を重要視する傾向となっておりまして、私どもといたしましては、人材育成の機能の強化が進んできていると認識しております。これを事業最終年度となる平成28年度には100%にしたいと考えております。
次に、アウトカムの2つ目である、PBLに対する理解や重要性の認識が増した教員の割合についてです。これは、下のアウトカム・マル2というところの棒グラフにございますけれども、89%の教員に認識の変化、教授スキルの向上などが認められました、この事業に参加することで、教員のPBLに対する理解度が促進されているというふうに分析しております。
1枚おめくりください。8ページでございますが、こちらはアウトプットの状況でございます。連携企業の数、これは平成24年に52だったものが、平成26年度には107社に倍増しております。修了学生の数も、平成25年から26年で、352名から507名と大幅増になっておりますし、また、大学の都道府県カバー率は、平成24年から26年で51%から70%と、着実に増えてきております。それぞれ達成に向けて進捗している状況でございます。
また、9ページを御覧ください。多面的な評価を実施するために、企業における本事業修了学生に対する満足度や、受講学生における満足度についても調査しておりまして、ともに9割以上の高い満足度を得ていることを確認しております。
また、10ページを御覧ください。こちら、様々な大学で導入が進んでいるPROGテストという、社会で求められる汎用的な能力・態度・志向等を計るテストでございますが、これを活用して、受講学生の行動特性の変化を測定いたしました。その結果、この事業の受講の前後で行動特性が高まったことを確認するとともに、全国の理系大学院生よりも行動特性が高まったことも確認したところでございます。このグラフのブルーの棒と赤の棒がありますが、それぞれ、この事業実施前後での行動特性の高まりであるとか、あるいは、一般的な理系大学院生との比較ということになっており、ともに赤い棒の方が高いという結果になっております。
1枚おめくりいただけますでしょうか。12ページでございます。平成26年の下期に、平成24~26年上期まで2年半の活動状況について、産学の有識者6名による中間評価を実施したところでございます。その結果、評価区分としては、A評価と高い評価になっておりまして、その評価コメントのところにございますように、全体としては当初目標を上回る成果を上げていることが認められ、これまでの取組を継続することによって、事業目的を達成することが可能と判断されているところでございます。
他方で、赤字のところにございますように、今後でございますが、実践教育の質の向上、あるいは、支援終了後を見据えて、この取組の定着と普及を図ることが必要である。加えて、情報を利活用する企業の参加、第三者評価組織への産業界有識者の参画など、産業界との一層の連携強化も必要であるという御指摘を頂いているところでございます。
この結果を踏まえて、具体的な対応方策の実施を阪大にお願いしているところでございます。
最後に、中間評価でも課題とされました、補助事業期間終了後を見据えた取組でございます。13ページ以降でございます。この事業期間終了後も、課題解決型学習等の実践教育を推進していくためには、この取組の普及・定着を進めることが必要だと考えておりまして、赤字にありますように、広報活動を着実に実施し、また、青字にありますように、実践教育のノウハウの共有を進めていく予定でございます。
8ページにお戻りいただきますと、8ページの右下のところに日本地図を付けさせていただいておりますが、相対的に参加の少ないエリアというものがございまして、これを少なくして、都道府県のカバー率を上げることと、参加大学内でのノウハウの共有を進めていただくことを考えているところでございます。
また、14ページを御覧いただけますでしょうか。社会で活躍できる人材の育成には、産業界との一層の連携が重要と考えております。このため、実践教育の計画、実施、評価のサイクルの各段階での産業界の積極的な関与を推進していくということを考えております。
15ページ以降に、この事業の産業界の評価等々を挙げさせていただいておりますが、15ページのところには、KDDIの方に……。
【伊藤政策評価審議官】
すみません。予定時間を少し過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。
【説明者】
分かりました。
リアリティのある演習等々が行われているということであるとか、開発経験を持ったenPiT修了生を採用することができる等々のお声を頂いているところでございます。
大学の評価等については、そちらを御覧いただければと思います。
また、事前に頂いていた質問でございますが、情報技術系学部を有する大学の数及び、そのうち大学院を持たない大学数についてということでございます。こちらについては、情報系の学科は305学科、126大学ございまして、専攻は237専攻、122大学にあるというところでございます。情報系の専攻を持つ大学のほとんどが、情報系の学科を有していると認識しております。
以上でございます。
【伊藤政策評価審議官】
ありがとうございました。
私の方からは、論点について御紹介させていただきます。
資料の2ページでございますが、取組の普及と定着を図る方策、2点目は、産業界との一層の連携強化を図る方策、こういった点について御議論いただければと思ってございます。
それでは、外部有識者の方の御質問をお願いいたします。説明者は、御質問に対しては、簡潔にお答えをお願いいたします。
それでは、石田委員、松浦委員の順でお願いいたします。
【石田(晴)委員】
最後の説明の大学数、ちょっと早くて聞き取れなかったので、もう一度ゆっくりお願いします。
【説明者】
申し訳ございません。
情報系の学科は、305学科、126大学でございます。
【石田(晴)委員】
305学科、126大学。
【説明者】
はい。
専攻が237専攻、122大学でございます。
【石田(晴)委員】
ありがとうございます。
それで、今の数字を基に、ポンチ図の8のところに都道府県のカバー率が出ているんですが、これを実際の大学の数、あるいは専攻の数でのカバー率に直していただけないでしょうか。
【説明者】
今、この場ではデータを持っておりません。
【石田(晴)委員】
分かりました。
あと、同じように、8ページのところには、こちらのプログラムの修了者数が入っていますが、これは同じ情報系の大学院の年度の修了者数に対してのカバー率は、25年度352というのはどのぐらいなのか、26年度の507というのは全体にとってどのぐらいなのかというのを、分かったときで結構ですので、教えてください。
それと、もう1点だけ。きょうの政策・施策・事業整理票の1ページのところに、上から政策、施策、事業となっていて、こちらの事業は、施策は、達成目標1、大学の学士課程を中心とした教育内容・方法等の改善・充実が図られるということですが、学士というのは4年制のことなので。ただ、こちらの事業は、大学院修士課程ですよね。どうしてそこが大学生じゃなくて、大学院修士に絞られたのか、その辺の経緯をお願いします。
【説明者】
よろしゅうございますか。
【伊藤政策評価審議官】
どうぞ。
【説明者】
まず、この352であるとか507といった数字の全体に占める割合というところでございますが、修士課程の1学年というのが、これは今年採ったデータですけれども、2年間で情報系の学生数全体で9,519人ということになっております。なので、大体4,700人、5,000人弱といったところが、情報系の1学年の数ということになっておりまして、その中で、この507という数字になりますと、大体1割強というところになろうかと考えております。
あと、学士課程を中心としたということになっている点についてでございますけれども、この事業、確かに御指摘のとおり、直接学部生の育成を行っているわけではございませんが、学部・大学院を通じてPBLの上昇率が実施しているということに示されておりますように、学部への波及効果も十分にあると考えているところでございます。
以上でございます。
【説明者】
情報系は、修士で修了して、社会人に出るという数がかなり圧倒的です。そこで、修士の学生をまず鍛えるということは、産業界に直結する、産業界のニーズに非常に関連しているという意味で、まずそこを固めるというのが我々の思ったことでございます。
【伊藤政策評価審議官】
よろしいですか。
では、松浦委員、お願いいたします。
【松浦委員】
松浦でございます。つまらない質問を1つ、ちょっと本質的な質問を1つということで。
まず、このアライアンスに参加していない大学が、日本海側及び南九州に非常によく目立つんですけれども、この地域の遍在性に関して、何か御見解はおありでしょうか。
【説明者】
特には意図的なものはございません。これを計画した段階で、やはりフェイス・トゥ・フェイスというか、人のつながりというのは非常に大事と思っておりまして、教員間のつながりということで、我々のネットワークで設立したのが、結果的にこういうふうになってしまったということでございます。我々も、こういうふうなことで、日本海側とか、九州とか、この辺を強化していくということは、今考えております。
【松浦委員】
ありがとうございます。
それでは、2点目でございますけれども、中間評価のレビュワー、特に企業サイドのレビュワーを拝見しますと、ほとんどがテクノロジー関係の会社の方がレビュワーになられている。よく分かります。専門性のある教育、マスターの教育ですから、どうしてもレビュワー自体の視点が専門性に傾くということだと思いますが。
ただ、実際、プロジェクトの構築に関わってみると、我々はエンドユーザーの立場になるわけでございますけれども、SEさんとか、プロジェクトマネジャーとか、プロンプターさんはあんまり出てこないですけれども、そもそも言葉が通じないという非常に大きな問題がございまして、現場のニーズが全く理解していただけない。SEさんやプロジェクトマネジャーがおっしゃられる言葉が、我々、全く分からない。ということで、そのプロジェクトが進捗しない、あるいは、破綻するということが多々あるということで、どうもこのレビュワーにいわゆるテクノロジーの専門家だけというのは、いかがなものかと。いわゆるエンドユーザー側の企業というのもたくさんあるわけでございまして、そういう方々がどのように評価するかという観点を取り入れられてはいかがかと思うのですが、いかがでしょうか。
【説明者】
ありがとうございます。
この中間評価自体は、既に実施が行われたということになりますけれども、今後、企業からの声というのも様々な形で聞いておりますので、その段階で頂いた声は、適時、適切に事業に反映していきたいと考えております。
【松浦委員】
すみません、続けて、ついでですので、もう1点。
大変有意義な取組であろうと。御苦労されているだろうと私は思っておりますけれども。例えば、この学生さんたちに対する教育ですけれども、最初にまず、今は多分先生方が課題を与えられているのかなという気はしますけれども、エンドユーザーのニーズをどのように的確に把握するかというプロセスですね。医学の領域等もとっくに始まっていまして、オスキーというプログラムがございまして、患者さんが何を言いたいのかということを十分聞き取れなければ病院実習に出さないというようなシステムを、もう既に全国はとっています。
やはりITというのは、非常にスペシャリティが高いので、医学の世界と同じですので、やはりエンドユーザーの声を聞くというプログラムを一部御工夫いただくことが望ましいのではないかと思うのですけれども、その余裕とかというのは、そうですよね。
【説明者】
このenPiTの代表をしております大阪大学の井上でございます。
エンドユーザーの声というか、それに関しては、各いろんな教育が施されておる中で、例えば、ビジネスアプリなんかだったら、ユーザーのところに行って話を聞きながら、新たなビジネスモデルを考えて製品を作る、そういうこともやっておりますし、クラウドコンピューティングの中でも、やはりクラウドソーシングを使った新たなビジネスモデルを考える。全体として統一的にやっているわけではございませんけれども、いろんなところで、やはりビジネスモデルを考えてアプリケーションを作る、開発するという訓練はやっております。
【松浦委員】
ありがとうございます。
【説明者】
すみません、補足です。5ページを見ていただきたいのですけれども。
ポンチ絵の5ページですけれども、今、参加している企業、107社あるのですけれども、ユーザー企業とベンダー企業に分けると、大体3対7、ユーザー側が3、ベンダー側が7という割合になっております。
中間評価の方でも、ユーザー企業を増やすべきという御意見はございました。それで、今、大阪大学の方と話しているのは、ユーザー企業の方を20社ぐらい増やして、この割合を4対6に近づけていくということで、今後やっていただけるという形で話をしているところでございます。
【松浦委員】
分かりました。ありがとうございます。
【伊藤政策評価審議官】
それでは、有川委員、田辺委員の順でお願いします。
【有川委員】
私は、7ページの成果実績の状況のところで3点ほどお伺いしたいのですが。
1点は、アウトカムの1つ目の方で、確かにPBLの実施率がどれだけいくかということが、このアウトカムの指標にはなっているのですけれども、100%目標値に向けてPBLの実施率を高めていくというのも大事だと思うのですが、PBLを実施することによって、具体的な課題を解決できる人材が育成できたのかどうかというのを、やっぱり途中途中できちっとその辺を評価する体制がないといけないのだろうと思うのですが、その辺の評価体制をどのように考えておられるのか。
2つ目は、このアウトカムの2番目の方の話で、ここにある棒グラフは、もともとそういうスキルや認識を持っていない方がどう変化したかという図ですけれど、教員全体として、もともとスキルや理解を持っていた方と持っていなかった割合がどのぐらいで、そのうちの持っていなかった方がこう変わったというのを示していただけると、全体的にどれだけ向上したのかというのが分かるのですけれども、その辺を教えていただきたいのと、併せて、自ら実施できるというグリーンの部分は分かるのですが、赤の部分の理解が高まったとか認識が高まったというのは、どうやって客観的に判定するのか、その判定基準といいますか、評価基準がちょっと分かりにくいので、そこのところを教えていただきたいなと思います。
それから、3つ目は、このアウトカムに出ていないのですけれども、この事業のやはり大きな目的の一つの柱となっています、産業界を含む全国的なネットワークの形成ですが、アウトプットに参加してきている企業数は書いてあるのですが、余りにも目的に対して、産学界との連携のネットワークの成果指標というのがちょっと弱いような気がするのですが、その辺についてどう考えているか、教えていただきたいのですが。
【説明者】
1番目の、ちゃんと評価できているかということですけれども、これ、最終的には、育っていって、企業の中で活躍するかというのが究極の評価だろうと思うのですけれども、まだ今年初めて修了したところで、まだ企業の中でどういうふうになっているかというのが、これから評価しようとしている段階でございます。
それに代わるものとして、企業の中で活躍できるだろうという能力を、受講前と受講後で測定した、それがPROGテストということで、それでは全て有意差があって、向上しているということで、現在はそういうふうな確認の仕方をしております。
【説明者】
2番目のPBLについてですが、このグラフの外にある人、つまり、もう既にPBLのスキルを持っていた人がどれぐらいいて、その中でどういう割合で、どういうことが生じているのかという点については、既に持っている人の数というのを把握しておりませんで、そこについては、申し訳ございませんが、今データがございません。
【有川委員】
話の腰を折って悪いのですが、スキルを持っていたか持っていないかって、割と客観的な評価ができるけれども、認識があったか、理解が十分でなかったかという人たちのもともとの母集団が、どのぐらい認識があったという先生がいて、片方では、ここの、つまり、変化したという人たちの集団の方に寄せたのか、そのもともとあったかなかったかの判定と、今回、それが持つようになったという判定の基準がよく分からない。
【説明者】
増したかどうかという、それは主観的な評価で、自分で丸を付けるしかないので、先生方に自分で判断していただいたということですね。
最初持っていなかった人がどう変わったかということに関しては、今データがないので、データをもう一遍精査させてください。
【説明者】
3つ目の、産業界、指標について、企業の数という点が、ちょっとカバーが少ないのではないかという御指摘だったかと思いますが。実際に5ページのところを御覧いただきますと、企業も、それぞれの分野で割と中心的な役割を果たしておられる企業も多数入っているところですし、また、1つの企業が複数の分野に協力されているという事例もあるところでございます。
これにつきましては、今後、私どもの方で今行っている理工系人材育成戦略というものを策定したところですけれども、そこで産学官の円卓会議を設けているところでございまして、そういったところでも、改めて産業界に周知を行い、働きかけを進めていきたいと考えているところでございます。
【伊藤政策評価審議官】
田辺委員、お願いいたします。
【田辺委員】
社会的課題を解決できる情報技術人材って、非常に重要だと思うのですね。それに関連して、今回、ネットワーク化とか、全国的なネットワーク、産業界とのネットワークでやられているのですけどね。
1つは、目的に対して成果目標、アウトカムが、プログラムベーストラーニングといいますか、PBLをやるということ。確かに、先ほどから、PBLをやると効果があったと。私も効果はあると思うのですね。ただ、本当に社会の課題を解決できる人材になるために、PBLというのを1つやることで、1つの科目2単位とかやることで本当にそういう人材になれるのかと。本当は、PBLも含めてといいますか、PBLも複数とか、あるいは、個人単位でやるのかとか、少人数でやるのか。今回、遠隔PBLということでやって、なかなかそれが大変なことを学んだということですけどね。まず1つは、だから、本当にPBLというのを1つやればいいのかという目標設定、アウトカムの設定が、どういう考えの下にこういう設定をされたのかというのが1つ目ですね。
2つ目が、広く全国に展開するというのは重要ですけれども、そのやり方として、大阪大学が代表されている、1つに「ぼーん」とお任せしてしまうというので本当にいいのでしょうかというか、全国に展開するのであれば、もっと全国的に幾つか、例えば、地域ごとに分けるなりやった方が、はるかにPBLの効果としては高まったのではないかという気はするのですけどね。1つのプロジェクトでやったという、それも多くの人を巻き込んで、逆に、参加大学数、参加企業数が多ければ多いほど、プロジェクトとしてはなかなか苦労されたのではないかと思うのですね。そういう中で、なぜ1つ、大阪大学代表のプロジェクトでやるというふうに決められたのかということ、まずこの2点を。
【説明者】
最初のアウトカム、PBLの割合とかいうことですけれども、まず、結局、社会で活躍できるということで、我々、企業の方々にいろんなアンケートを採って聞いたところ、情報系の卒業者というのは、スキルはあるのだと、だけども、コミュニケーション能力とかグループで活躍できる、そういう能力は非常に劣っている、ほかの文系なんかに比べて非常に劣っている、その辺を特に頑張って何とかしてくれということだったのですね。PBLというのは、そういうのに非常に効果があると。技術的なことに加えて、そういうふうな協調性、社会性ということを育てるのに非常に役に立つということで、PBLをもって有用な人材を育成できるというふうに考えております。そこが我々の発想でございます。
2つ目の阪大に任せていいかという、それは僕じゃないかな。
【説明者】
先ほど井上先生からも御紹介いただきましたけれども、情報系の先生方のネットワークのつながりというものがある中で、この事業を公募させていただいたときに、大阪大学の方が中心になって、まとめて、こういった事業を組んでいくということが、一番うまくこの事業を回すことができるのではないかという判断を行って、これをここで取りまとめていただくことにしたという経緯がございます。
【説明者】
あと補足で申し上げさせていただきますと、こちらの補助金、小さな投資で大きな効果というものを狙っておりまして、過去にも、事業仕分けで、ばらまきではないかというような御指摘を受けた事業もほかにございました。今回は、ネットワークを組むという形で、効率的な執行というものを心がけておりますので、今後は、小さな投資で波及効果を大きく狙っていきたいと思っております。
【田辺委員】
その関連ですが、もう一つ、一つにまとめてやったために、参加大学が多かったとか、全国的なネットワークというので、逆に大変苦労されたのではないかと思うのですけど、そこはいかがですか。本当に効果的にできたのかどうか。
【説明者】
最初は、私ども、かなり不安でございました。以前は、小さな拠点、独立してやっていたというところですけれども、今回、4つの分野にまず分けて、さらに、その各分野が各参加校を統制しているという3層構造になっているということで、これは非常にうまくいっているのではないかと自負しております。
【田辺委員】
なるほど。だから、実質的に4つに分けたみたいな感じですね。
【説明者】
けど、それだけども、全体のネットワークとしての機能も、非常に充実しております。
【田辺委員】
分かりました。
それで、もう一つ。今度は政策的に、さっきのPBLは重要なのですけど、PBLが全国的に全ての学科に実施されれば、それで本当に人材が育成できるのかという点は、どういうふうにお考えですか。政策的な話です。
【説明者】
このPBLを選んだ事情でございますけれども、この事業を始める前年、2011年でございますが、経団連から、「今後の日本を支える高度ICT人材の育成に向けて」という提言が行われておりまして、その中で、高度なICT人材の育成にはPBLが重要であるということが書かれていたということがございまして、そのようなこともあり、このPBLによる学習効果を経済界から指摘されているということがあって、この取組を進めさせていただいているところでございます。
【田辺委員】
だから、PBLを本当に1つやればいいのかというところは、きちんと検証されたのですか。
【説明者】
実際やっているのは1つではなくて、夏の間に1クール、1つ回して、また分散でも1つとか2つとか回して、幾つも回しております。
【田辺委員】
それは、これまでのプロジェクトで政策目標として、全国の情報系の学科・専攻の全てでPBLが実施されることを目標とするというところのPBLというのは、何を考えているかということですけど。
じゃ、私は・・・どうぞ、ほかの方で結構でございます。
【伊藤政策評価審議官】
じゃ、豊田委員、石田委員の順番でお願いいたします。
【豊田委員】
どうも、豊田です。
まず1つは、この事業そのものについてですけれども、既に採択された大阪大学さんを中心とするネットワークを前提として、27年度、28年度と、基本的には予定された補助金を出すという、そういう内容になるかと思うのですが、それでよろしいでしょうか。
【説明者】
はい、そのように進めさせていただければと思っております。
【豊田委員】
それで、実際の資金の使途としては、人件費、外注費、印刷製本費ですとか、会議費ですとかのようですけれども、年々金額が減っていっているのは、どのような理由によりますでしょうか。
【説明者】
御指摘のように、当初、24年度6億だったものが、27年度は大体4億弱ぐらいになってきておりますけれども、これは、その事業が終わった後にも、きちっと継続して事業が各大学において展開されていくようにということで、その費用を低減させていっているというところがございます。
【豊田委員】
もともと減らす設計だったということですか。
【説明者】
当初はずっとこれで維持したかったのですけれども、財政当局との関係で、こう減っていく中、そこを各大学の中に自然に着地させていただけるようにお願いをしているというところでございます。
【豊田委員】
分かりました。
あと1点ですけれども、PBLは非常に好ましいとは思うのですが、その目的とする課題発見、課題解決の能力を学生がどんどん身に付けていくと、最終的には、既存の企業の枠内に収まらず、起業、自分で事業を起こすという方向に向かうのではないかと思うのですけれども、まだ修了者はそんなに多くはないというか、修了した人が修了してからそんなに年次が経っていないのですけれども、起業に至った人の数ですとかは把握しておられますか。
【説明者】
それは把握しておりませんが、たしか、東大とか東工大の卒業生では、そういうふうな人材がいたというふうには聞いております。起業しているという卒業生ですね。九大もいた・・・。具体的に何名とかいう数字は確認しておりませんけれども。
【豊田委員】
その点も含めて、修了者がその後どう動いて、どう活躍していったかというのは、何か把握する仕組みのようなものがありますでしょうか。
【説明者】
それは、修了者のフォローするネットワークというか、我々の教員側で、修了者がどういうふうに活躍していくかというのを今後もフォローしていく必要がございますので、それはひもを付けるようにしております。卒業後、トレースできるようにしております。
【豊田委員】
是非お願いします。特に、起業した人の数は、是非捕捉していただければと思います。
【説明者】
はい。
【伊藤政策評価審議官】
では、石田委員、お願いいたします。
ほかの委員の方、コメントシートの方の記入をお願いいたします。
【石田(惠)委員】
資料の10ページ、パワーポイントの10ページの右下のところに、PROGテストの結果があるのですけれども、前提についてちょっと確認させてください。
こちら、理系大学院生と本事業の修了学生と比較しているのですけれども、この理系大学院生というのは、全部情報系の理系の方というふうな理解でよろしいのでしょうか。
【説明者】
一般的です。情報系ではございません。ただし、PROGテストというのは、情報系に特化したテストではございません。コンピテンシーというのは、協調して作業ができるかとか、そういうことを調べているので、情報向けというふうに限っておりません。
【石田(惠)委員】
そうすると、今回、本事業の修了学生って、本事業は基本的には情報系の学生が主だという理解でよろしいでしょうか。
【説明者】
そうです。
【石田(惠)委員】
そうすると、そのあたりで母集団を取ってくるというのは可能ですか。と申しますのは、理系も幅広なので、PBLは、最終的には全部に行ってもらわなきゃいけないし、理系だけでいいのかという問題意識を私は持っているのですけれども、今回の少なくともenPiTの成果ということで見ていくとするならば、母集団は少なくとも同じレベルの入れていないところと比較した方が、より伸びが分かるのではないかと思うのですけれども。
【説明者】
そういうふうな議論もございましたけど、予算的な制約もあって、我々、計っておりませんでした。今後、計りたいと思います。
【石田(惠)委員】
それから、あと、同じく資料の4ページで見ていきますと、4ページで見なくてもそうなのでしょうけど、この実践教育のフレームワークが、1年間という限りの中でやっているようですけれども、かなり濃い内容だと思いますけれども、1年間ということで、成果というのは出るのでしょうか。もちろん、1年間で出るのかというよりも、むしろ、これ、単年度のプログラムとして入れるのではなくて、例えば、2年とか、もう少し継続的な、更なるPBLを実践的なものに生かせるようなプログラムとして組むというような可能性はないのかという観点から、1年で足りるのかというふうに御質問させていただきます。
【説明者】
御指摘のとおりでございまして、この事業、この事業が修了した後もきちっと続けていかなければいけないというところがございますし、また、学部段階から導入することで、より効果が上げられるのではないかといった御指摘を頂いているところでもございます。そういったところも含めて、今後の在り方については、検討させていただければと思っております。
【石田(惠)委員】
その関係で、レビューシートの3ページの方を見ますと、アウトカムのところで、成果実績と目標値を比較しますと、平成26年度で目標70%に対して、成果実績がまだ61%であると。目標最終年度が28年度ということではありますけれども、あと2年間で40%近く上げていかなければならないという中で、PBLがかなり急速に普及していくためには、どのような課題をクリアしなければならないというふうに分析されていらっしゃるでしょうか。
【説明者】
それは、やっぱり教員の理解というのが第一ではないかと思っております。大学院というのは比較的身軽で、新たな科目とか設定とかは非常に楽だと思うので、教員の理解が進行すれば、比較的数が増えやすいと思っております。
【石田(惠)委員】
そうすると、教員の理解を深めるためには、どういうような施策が必要で、そのためには、予算をどういうふうにそれに活用されているのかということで、そのつながりも教えてください。
【説明者】
最後の方に述べましたように、ネットワークの強化という部分で、今までもやっておりますけれども、いろんなチャネルで発信していく。全国の理工系の情報協議会等で更に宣伝に努めていく。そして、個人的なネットワークで更に、手薄な地域ございますので、そういうところを増やしていくということを考えております。
【石田(惠)委員】
これは非常に文系の私から言うのは変なのですけれども、基本的に、理解を深める、実績を感じていただくというためには、世の中の方で評価されているという実感が伴わないとなかなか難しいのではないかと感じるのですけれども、現在、連携企業さん、多数お集まりいただいているようではありますけれども、基本的に、集まっていただくときには、こう言っては何ですけど、産学連携という名の下に、リクルーティングみたいな形であったり、自社企業にとっての開発に何か役立つものが欲しかったりする、という目的でいらっしゃっているのか、それとも、もうオールジャパンでIoTとかAIとか、そちらに進んでいる中で、これは我が国全員で取り組まなければならないというところでの志を持って集まっていただいているのか、どういう形で企業さんに参加していただいているのかというのを教えていただけますでしょうか。
【説明者】
強いて分けるとすれば、やはり志を持った方々が現在集まっているというふうに私は感じております。その一部は、やっぱりリクルーティングに関連したいなというふうな気もあるとは思うのですけれども、多くは、やっぱり日本の現在の状況をもっと良くしなくてはならないと思って、手弁当で来ていただいている方々、これがほとんどだと思っております。
【石田(惠)委員】
これは文科省さん側にお聞きしたいのですけれども、そういった意味で、現場の方からしてみると、今おっしゃられたように、手弁当という発言もございますけれども、かなり、これ、広域でやらなければならないし、目先の利益のためにやる話ではないとするならば、予算の振り分けにおいて、そういったものに十分に活用していただけているのか、それとも、それ以前の問題で止まってしまっているのかというモニタリングは非常に重要だと思うのですけれども、そのあたりのお金の配賦、実際の使用状況、足りているのか不足しているのかということの分析については、どのように進めていらっしゃるのか教えてください。
【説明者】
失礼いたします。
全体で足りているのか、足りていないのかというお話になりますと、足りていないのだと思います。我々、予算として配賦いただいた金額の中で、この補助事業の目標を達成していただくために、有効に使われたかという観点で、決算ベースで事業報告書を頂きまして、そこでチェックをさせていただくという形を取ってございます。ですので、繰り返しになりますけれども、全体足りているか、足りていないかという話であれば、補助金以外に、恐らく大学様側の御負担もかなりしていただいていると認識しております。
【石田(惠)委員】
最後の御質問になるのですけれども、そういった手弁当だとか、思いがあってという方の中で、そこの方々の思いの中でこの事業は進んでいっているようなイメージもなくはないのですが。他方において、この事業そのものについて、予算を縮小化して自立性を促すという建前で減ってきてはいるのですけれども、実際に予算を減らしていきながら自主的に行われることを定着させるというのは、どのような施策でそれが可能だというふうに検討されていらっしゃるでしょうか。教えてください。
【説明者】
先ほどのお話の中にもございましたけれども、予算額全体を低減させていきながら、事業規模は、しっかりと事業を行っていただくと。ソフトランディングという形で、補助金が補助事業終了期間後も継続的にやっていただきたいと。実際にやっていただくためには、この事業で行う実践的な教育においての良さ、効果というものを、大学学内で理解をしていただいて、その理解を経た後に、学内の財政の構造の改革にもつながりますし、あと人事配置の改革にもつながると我々は認識しております。
【石田(惠)委員】
そうすると、そういったものも同時に促していきながらの、この計画であるというふうな理解でよろしいわけですね。
【説明者】
はい。大きな政策の目標がありつつ、さらには、大学の、繰り返しになりますけれども、財務の構造の改革、人事配置の改革も促していけるものだということを認識しております。
【伊藤政策評価審議官】
予定の時間も参ってございますが、コメントシートの方の記入、引き続きお願いいたします。
なお、まだ少し時間もございますので、ほかに、よろしければ、御質問等ありましたら。
【石田(晴)委員】
時間があるということなので。
こちら、きょう、膨大なアンケートの調査結果の資料を見させていただきましたが、これ、こちらの協定校、あるいは参加校なのですかね、学生が個人でも、どうしてもやっぱり参加したいと言って、飛び入りで参加ということは可能でしょうか。
【説明者】
まず、自分の大学の先生を経由して、先生間で話をしていただくということがベースになっていると思います。出身元の大学の授業がやっぱりあるということで、時間割上の問題というのが出てくると思うのですね。その辺がうまく調整できるかどうか。それから、遠隔地に行く必要がございます。その辺の安全性の問題とか、いろんな学務上の問題、運用上の問題をクリアできるのだったら、行けるというふうになっております。
【石田(晴)委員】
たしか、アンケートの中で、こちらのプログラムは開かれているので、参加したい方は是非どうぞというように、できたら興味があるみたいな回答欄があったと思うのですが。ということは、やっぱり全ての情報系の大学に広く門戸を開くということは、何かしら周知をして、受入体制があると表明をされていらっしゃってということでしょうか。
【説明者】
はい、そうです。
【石田(晴)委員】
そうすると、学生が先生に相談して、行きたいということになると、各大学院から来ると。
【説明者】
はい。
【石田(晴)委員】
その各大学院から来たというのは、この参加校の数の中に入るということですか。
【説明者】
そうです。入ります。
【石田(晴)委員】
分かりました。ありがとうございました。
すみません。
【伊藤政策評価審議官】
どうぞ。
【石田(晴)委員】
そういうふうにしているけれども、先ほどのカバー率、まだ全体のカバー率の数字は頂いていないのですが、地域性に偏りがあるのは、それはどういった理由だとお考えですか。広く門戸を開いていらっしゃるわけですよね。
【説明者】
興味を持っていただけなかったか、それから、やはり遠隔地であると。合宿なんかで東京とか大阪とかに行く必要があるとか、そういうふうな地理的な条件、それから、先ほど言いましたように、先生方の、向こうの先生方との連携がうまくいかなかったと、そういうふうな事情、いろんな事情があるかと思っております。
【説明者】
補足でございますけれども、資料のポンチ絵の13ページにも書かせていただいておりますけれども、やはり先生おっしゃっていただいたとおり、広がり、全国展開、カバー率を高めていかなくてはいけないので、今まで一律に行っていた広報の活動を、今後は地域バランスにも考慮した形で実施していきたいと考えております。
【説明者】
さらに。空白県のところとも協議を始めて、学生を送ってもらうようにとかいうことをやり始めております。
【伊藤政策評価審議官】
どうぞ。
【田辺委員】
分散PBLを実施されたというのですが、これはなかなか大変だったと思うのですけれども。分散PBLが良かったとかいうこと、あるいは、将来的には、各大学は個々にPBLをやるべきだということなのでしょうか、それとも、分散PBLをもっと活用すべきだというふうにお考えでしょうか。
【説明者】
分散PBLというのは、例えば、社会人になったとき、ソフト開発を日本と中国で分担してやるとか、そういうふうなことにもつながるというので、必須な技術ではないかと思っております。
それをいきなり学生の中でさせるというのは難しくて、やっぱり夏合宿等で顔合わせをして、一度別のプロジェクトをやった経験があるというのを通じて、分散PBLができるようになるんじゃないかと思っております。
【伊藤政策評価審議官】
松浦委員。
【松浦委員】
お時間があるようでしたので、1つ。
アライアンスを見るに、私学が幾つも入っていますね。私学というのは、学生数に対して教員数がすごく少なくて大変だというのはよく分かっています。今回、アジアントップ100というのが出ましたけど、そのパラメータとして、学生1人当たりの教員数というのも重要なパラメータに入っていると。私学さんが、そういう意味では、このアライアンスに入ることで、かなり自分たちの負担を軽減できるだろうというメリットが重々あるだろうとは思います。今後、どれだけ教育に担当者の数を充填していくかという意味では、こうやって協調してやっていくということは非常に重要な観点なのかなと思います。
将来的には補助金が切れるということになると、各大学で、これに対する機構改革をするか、あるいは、資金を積むかという話になるわけですね。そうすると、私学さんの場合は、もともと高いところに、これ、特に実験系ですので、いろんな材料とかというのがかかるということもあって、私学さんのハードルがどんどん高くなるような気もしないでもないのですけど、その辺はどうでしょう。
【説明者】
実験系、本事業、多くの場合、人件費の負担が平成25年度以降かかっているところですけれども、平成24年度の段階で、かなり機器の部分については手当てをしていることになっておりますので、その資源を生かした継続した取組を行っていただくように、その人件費部分をどういうふうに考えていくのかということが、今後の課題になってくるのかなと思っております。
【松浦委員】
分かりました。ありがとうございます。
【説明者】
ちょっと補足。
私学でも、先ほど言いましたように、基本的に、この重要性というのは、先生方は分かっていただいているのではないかと思っております。それから、そういうふうな教育を受けた学生が非常に社会で評価されるということが分かれば、積極的にそういうところには投資してくれるのではないかと。逆に、国公立なんかよりもフレキシブルに対応できるのではないかと思っております。
【松浦委員】
はい。
【伊藤政策評価審議官】
コメントシートの方も大体取りまとまったようでございます。
【有川委員】
それでは、頂きました、6人の意見につきまして、投票の分布ですが、事業内容の抜本的改善が1、事業内容の一部改善が3、現状どおりが2ということで、少し分かれましたが、こういった形で結果が出ました。
それぞれの意見、投票結果、評価に基づくコメントですが、現状どおりという意見でありますが、紹介させていただきますと、アウトカム目標のほかにも、多様なアウトプット目標、参考目標を掲げて分析を行っており、今後の普及・定着についての課題も適切に把握している。今後は、修士学生への更なる水平展開と、併せて、大学生への垂直展開も着実に遂行してほしいという要望付きであります。
現状どおりのもう一つの意見としましては、本事業そのものの必要性と相当性は認められる。ただし、今後は国費の投入がなくても同様のネットワークが自主的に形成される必要がある。そのためには、本事業の実績についての多面的な検証と国民への十分な周知が必要だろう。本事業の成果は、情報技術分野にとどまるものではないので、広く普及する工夫もしてほしいという要望であります。
それから、一部見直しという意見のところのコメントを幾つか紹介させていただきますと、事業そのものについては重要であり、更なる深化が必要だ。ただ、PBLを普及するための具体的な施策がまだ抽象的に思われる。より具体的な普及活動や予算配分、人員の確保、産業界の理解や参加を促すための施策も併せて行っていくべきだろうという御意見であります。
また、産業界とのネットワークの強化のためには、エンドユーザーとのコミュニケーショントレーニングが最も重要で、それが不足しているので、その辺のところのユーザーの直接ヒアリングをして、その辺のところをしっかり構築していく必要があるという意見であります。
また、PBLの普及を成果指標としているが、事業終了後の人材育成の目的に合った成果指標と評価が必要と思われる。また、社会での具体的な課題を解決できる人材の育成のためには、PBLの普及・充実も含めて、それ以外の多様な手法を長期的に取り組んでいく必要があるという意見であります。
また、全体の抜本的な改善という意見につきましても、事業の評価手法とか、あるいは評価基準が十分でないので、その辺のところを明確に確立する必要があるというのと、具体的な課題を解決できる人材の育成について、どのようにこの事業の実施がつながっていくのかの検証体制を確保すべきだという意見でありますので、結論は割れたのですが、結果的に中身を読ませていただきますと、どの委員の意見も、一定のこの事業の方向性について評価しながら、一部の改善を求めるという方向でありますので、この委員会の評価結果としては、数も3と多いのでありますけれども、中身的にも、事業内容の一部改善という結論にしたいと思います。
取りまとめコメントとしましては、今紹介させていただいたうちの幾つかをその中からピックアップさせていただきまして、今後の事業展開としては、本事業の実績の多面的な検証と十分な周知活動をし、かつ、情報技術分野以外にも広くそういった成果が波及するように工夫してもらいたいということ。それから、実施の手法としましては、やはり産業界とのネットワークを更に強化するための、エンドユーザーとのコミュニケーションや、あるいは需要聴取といいますか、いろいろな要望の聴取を更に深めてもらいたいということと、それから、もう一つの柱としては、事業の成果指標、あるいは評価指標でありまして、人材育成の目的に合った成果指標、評価指標を更に工夫してもらいたいと、そういう形になるかと思いますが、よろしいでしょうか。
では、今の取りまとめコメントと結果で、よろしくお願いいたします。
【伊藤政策評価審議官】
どうもありがとうございました。
それでは、以上をもちまして、情報技術人材育成のための実践教育ネットワーク形成事業の公開プロセスについては終了させていただきます。
次の大学発グリーンイノベーション創出事業につきましては、5分後の16時35分からの開始とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

( 休憩 )

【伊藤政策評価審議官】
それでは、本日4コマ目を始めさせていただきます。大学発グリーンイノベーション創出事業につきまして御議論を賜りたいと存じます。
初めに、事業概要につきまして、担当課より5分以内で御説明をお願いいたします。
【説明者】
それでは、環境エネルギー課長の原でございます。大学発グリーンイノベーション創出事業について御説明させていただきます。
資料、1ページ目を御覧いただければと思います。政策・施策・事業整理票に基づいて、本事業の位置付け、目的等について説明させていただきます。
まず、本事業につきましては、文部科学省の政策目標の9番、科学技術の戦略的重点化という中の、施策目標の9-3、環境分野の研究開発の重点的推進というところの中の、更に達成目標で言うと、5番になりますけれども、アンダーラインを引いてございますが、低炭素社会の実現に貢献する環境エネルギー分野の研究開発体制を整備するとともに、同分野の研究成果を創出するということで実施しているところでございます。
事業の目的といたしましては、その下の事業のところの事業の目的に書いてある部分でございますけれども、この環境エネルギー分野の研究体制として、大学等の研究機関における分野・組織の縦割りが課題であるということから、この事業では、異分野・組織が一体となった環境エネルギー分野の共同研究体制を整備するということ、それから、この分野の研究成果を創出するということを目的に実施しているところでございます。
事業の概要等については、後で説明させていただきますけれども、アウトカムとして、定量的な成果目標といたしましては、3点設定させていただいております。マルの1番でございますけれども、異分野・組織での共同研究体制を整備し、27年度までに事業参加機関における共同研究が年間40件以上になるということ、それから、マルの2番として、共同研究による研究成果として、27年度までに共著論文、査読付きのものが年間40本以上発表されるということ、それから、3番でございますけれども、多分野・組織の知見を習得した人材を育成する体制を整備し、27年度までに年間延べ2,400人以上の人材の輩出といったようなことを、アウトカムの成果目標として掲げているところでございます。
それで、幾つかページをおめくりいただきまして、事業の概要と具体的な成果について御説明させていただきます。
資料の9ページ目を御覧いただきたいと思います。左側の背景、目的等については、今、簡単に御説明したとおりでございますので、左下のところでございますけれども、事業の概要から説明をさせていただきます。
今申し上げましたように、異分野あるいは組織が連携した体制が構築されていないことが大きな課題であると考えられております、マルの1番として、植物科学、2番目として、環境材料、それから、3番目として、環境情報、この3つの領域において、国内の大学等の研究機関における異分野・組織が一体となって、共通の研究課題の設定ですとか、あるいは、共同での研究リソースの利用、それから、人材育成プログラムの開発・実施等を行う体制を整備するということでございます。
この3分野のそれぞれの課題は、同じページの右下のところに掲げているところでございますけれども、具体的な各領域の仕組みとしては、右上の方に体制例として書いてございますが、これは一例として、マルの1番の植物科学の例でございますけれども、このように、国内の大学、研究機関との間でネットワークを組んでいただいて、先ほど申し上げましたように、共同での研究ですとか、人材育成プログラムの開発・実施等を行う体制を整備するということで、平成23年度に開始して、5年間の事業として実施しているというものでございます。
1枚おめくりいただきまして、10ページ目でございますけれども、このプログラムの、先ほど申し上げましたアウトカムの状況について御説明させていただきます。
最初に、成果のマル1と書いてあるところでございますけれども、アウトカムとして設定した異分野・組織の共同研究体制の構築ということで、植物については、バイオマスの育種・利活用、それから、環境の材料につきましては、左上のところに太字で書いてございますけれども、新素材・材料の創製等、3分野についてネットワークを構築するというもの、それから、環境の情報につきましては、水循環等、6分野についてネットワークを構築するといったような形で実施してございます。
右側の方にございますグラフのところでございますけれども、アウトカム指標として、参加機関間での共同研究数というものを、目標としては年間40件設定したところでございます。実績としては、年間55件というところで、グラフでいうところの赤の濃い棒になっているところでございますけれども、目標は達成しているということ。
それから、アウトカムの指標として、その下の成果のマル2と書いてあるところでございますけれども、異分野・組織共同での研究成果の創出ということで、一番左側のグラフでございますけれども、アウトカム指標として、参加機関の査読付きの共著論文数ということを、目標としては年間40本というところを設定したところでございますけれども、年間40本の実績が上げられているということ。
それから、右側の2つのグラフは、それぞれ参考指標でございますけれども、共著ではない査読付きの論文発表数について、実績として年間220本、それから、産学の連携の研究数として、実績として年間43件というのが上がってきているところでございます。
これら、いずれも定量的な指標でございますけれども、定量的に表せない具体的な研究成果として、資料の11ページ目に、それぞれ3領域ごとを掲げているところでございます。例えばですけれども、植物では、新しいイネ科穀物の品種、例えば、背丈が高いとか、病気に強いとか、有用物質を多く含むというようなものを作りまして、プラスチックの原料の合成に成功したということで、商業化に向けた検討に着手している等々の成果が、それぞれの領域ごとに上がっているというようなことになってございます。
1枚めくっていただきまして、ちょっとページは飛びますけれども、13ページ目の左上でございますけれども、アウトカム指標として掲げた3番目の人材輩出の状況でございます。目標としては、右側のグラフにあるように、年間延べ2,400人以上の人材を輩出するということで掲げたところでございますけれども、実績としては、それを超える2,426人というようなことを既に達成しているということでございます。
人材育成に関して、具体的に取り組んできたことといたしましては、戻ってしまいますけれども、12ページを見ていただくと、それぞれの領域ごとに、例えば、一番左側の植物科学の領域ですと、博士課程の学生に向けた独自のプログラムを実施しまして、修了者には認定証を授与するとか、材料については、社会人向けのコースを作りまして、1,000人以上が聴講しているといったような成果が上がってきているところでございます。
13ページ目の一番下でございますけれども、今後の展開でございます。事業については、平成27年度に終了するということでございますけれども、このように、せっかく作った異分野、あるいは、異なる組織からなる研究の体制と人材育成の体制といったようなものが引き続き続くように、それぞれの機関が自主的に取り組んでいただいているところでございまして、研究のネットワークについては、既に参加した機関を超えて、新たな機関に拡大するとか、人材育成のプログラムについては、引き続き実施していただくといったようなことで、検討に取り組んでいただいているというような状況になってございます。
それから、最後でございますけれども、14ページ目でございます。前回、事前勉強会で石田晴美先生から御質問いただきました、人材育成プログラムについて、全体の数ではなくて、中身としてどのようなものがあるのかといったようなことについても、資料として付けさせていただいているということでございます。
以上でございます。
【伊藤政策評価審議官】
ありがとうございました。
それでは、議論に入る前に、私の方から少し論点を紹介させていただきます。資料の2ページでございますが、1点目は、これまでの事業の成果実績の検証が適切に行われているのか。2点目といたしましては、今後のネットワークの在り方など、これまでの事業の成果をどのように活用していくのか、という点でございます。御議論のほど、よろしくお願い申し上げます。
では、石田委員、松浦委員の順でお願いいたします。
【石田(晴)委員】
ポンチ図の14ページ、資料を新たに作成していただきまして、どうもありがとうございました。
これをもうちょっと説明をお願いしたいのですが、延べ2,400人を超えるという、こちらの右側のグラフも延べ数になっていますけど、延べではなくて、実数というのは分かりますでしょうか。
といいますのは、一回授業に出たら、もうカウントになるのか。あるいは、研究会も、一回出たら、もうそれでカウントになるのかという。
【説明者】
そうですね。同じ人が、例えば複数の研究会に出たとすれば、延べですので、それについては2回というカウントをさせていただいております。
【石田(晴)委員】
これは、授業も、いろんな形態の授業があると思うのですけど、1セメスター、半期で15回の授業を履修したらカウントになるのか、単位を修得したらカウントになるのか、その辺はどうなのでしょうか。
【説明者】
これにつきましては、基本的に単位となっているのは、例えば、対象とならない研究会等ですと、例えば、1回限りの研究会もございますし、授業につきましては、例えば、1セメスター分の授業というようなこともありまして、登録をした人数でカウントをしている関係上、1人1回出たら全て1回ずつ全部カウントしていくというわけではなくて、コースとか研究会の1つのプログラム単位で御登録を頂いた方の数を積み上げているという計算の仕方でございます。
【石田(晴)委員】
すみません、しつこいのですが、知見を身に付けた人を2,400人以上輩出するといっても、実際は延べになっていたり、授業もかなり濃淡があったりするので、きっちりこれが2,400人をクリアしたとはちょっと分からないという理解でよろしいでしょうか。
【説明者】
実人数として、2,400人よりは少なくなるということではございます。
【伊藤政策評価審議官】
よろしゅうございますか。
【石田(晴)委員】
ありがとうございました。
【伊藤政策評価審議官】
では、松浦委員、お願いいたします。
【松浦委員】
松浦でございます。
1ページ目の成果指標のところに書かれてはいないのですけれども、一応これが実学の分野における教育研究ということですので、それに関連して御質問させていただきます。
今のところ、このコースを履修した、輩出した人間の数ということがアウトカム評価になっていますけれども、先ほど申しましたように、実学でのアウトカムというのは、結局のところ、知財の獲得件数ということにかなり結び付くという話でございます。それにニアリーなのは、査読付きの論文数ということになっていますけれども、昔は、公開してしまえば特許が成立しないというルールがありましたけど、今は、公開する前に特許を取得するという手法もあって、結局のところ、特許が成立しないと、我が国の資産としては蓄積できないということになるので、人材の育成はアウトプットであって、実際には、そういう特許の成立件数等々がアウトカムになるのではないか。それがどのくらいの利益を産業界に与えるかというあたりだと思うのです。このプログラム、始めたばかりで、設定は難しかったと思うのですけれども、もし知財関係での成果がございましたら、一、二でも結構ですので、お教えいただければと。
【説明者】
特許の取得件数というのもアウトカムの指標として使えないかということも、我々、当初検討していたところではございますけれども、件数を指標としてしまうと、あんまり特許として強くないものが取られることもあり、一番イノベーションに貢献するという意味では、実用化されて特許料収入が入ってきたものがいいというふうに、事業設計段階では考えていたわけでございますけれども、先生先ほどおっしゃっていただいたように、なかなか5年間のプログラムで実施料収入が多いとか少ないとかというのは難しかろうということで、次善の策として、論文であれば5年間でもある程度の本数を出していただく必要があるだろうということで、論文の数という、多少次善の策になりますけれども、そのようなことで整理をしたということで。
【松浦委員】
特許の考え方、知財の考え方、戦略、2つあると思いまして、こうやって先発でもって査読付きの論文にして、既知の事実にしてしまえば特許が成立しなくなるというやり方と、もう一つは、防衛特許を取るということの考え方であります。当初、10年前は、多分、我が国も防衛特許を取ろうということで傾いたと思いますが、これを取っても維持するのに非常にコストがかかるということがございまして、それであれば、レフリー付きの英文のペーパーをばんばん出してしまって、これを防衛特許の代わりに使おうと。これだったらコストがかからないということですので。じゃ、後者を選択なさったという理解でよろしいですね。
【説明者】
そうですね。特許を取れるものについては、当然、特許を取っていただくんですけれども、特許の数を稼ぐということが、必ずしもこの事業の目的ではないので、特許の数ということをなかなかアウトカムの指標にはできないじゃないかと。
【松浦委員】
新しい技術のイノベーションですから、開発ですよね。実学ですから、開発したものは役に立たなくてはいけない。そういう観点からすると、おっしゃられるとおり、どれだけ役に立ったかという指標が本来必要である。だから、ペーパーがこれだけ増えましたとか、防衛特許をこれだけ出しましたというのは、実は、本来の意味でアウトカムではないと思うので、その辺を、あんまり深追いはしませんけれども、もう少し具体的な形で評価できるような体制が望ましいかなという気はします。
【説明者】
ありがとうございます。
【説明者】
今の点、ちょっとよろしいですか。
特許については、確かにちょっと難しいだろうということで、指標として設定してございませんけれども、先ほど課長から説明させていただいたとおり、参考指標として、産学連携研究数というものを一応カウントしておりまして、こういうまだでき上がったばかりの技術であっても、産業界から一緒に研究しようという話が出てくるようであれば、それはかなり実用化に近づくのではないかということで、こういうものを私どもとしては、件数、中身について見ることで、できるだけ実学としての実用性というものを見られないかということで、工夫をさせていただいたというふうに考えております。
この中身については、資料の10ページにも書かせていただいているとおり、年々増加をいたしておりますし、また、中身につきましても、実際、商社とか、あるいは、実際のメーカーなんかと共同研究が進んでいる事例等、資料中にも記載させておりますけれども、そういう形で、実用化については工夫をさせていただいたということで、また、御指摘の点については、重要な点とは思います。
【松浦委員】
ありがとうございます。
ほかのプロジェクトで、実は、マスタークラスの学生が特許を成立させたというお話も聞いていたものですから、それもあって、知財をどうしていくかという戦略、そこら辺がちょっと見えていなかったので、御質問させていただいたという次第でございます。ありがとうございました。
【伊藤政策評価審議官】
それでは、石田委員、豊田委員の順でよろしいですか。
【石田(惠)委員】
先ほどから延べ人数の件で御質問が出ていたので、関連なのですけれども、例えば、資料の13ページのところで、人材育成数が年間延べ2,426人で、目標達成ということになっているのですけれども、もともとの目標段階でも、こういった重なりが出るということを前提とした、2,400人の目標というような理解でよろしいのでしょうか。
【説明者】
カウントの考え方については、当初から同じでございますので、それを前提に、当初、約800人という目標を掲げて、それを5年間で3倍にするという考え方で、その目標の伸び率を設定したところでございますけれども、カウントの考え方は最初から同じということでございます。
【石田(惠)委員】
そうしますと、実数は把握されていないのだと思いますけれども、実人数に直した場合にどのぐらいになるのかというのは、大体のところでも分かるようでしたら教えてください。
【説明者】
この人材育成の方の実人数というのは、ちょっと推計が難しくて、例えば、12ページに、環境材料の方で、社会人の受講者等も記載しておりますけれども、こういう多様な方がいろいろ受講されていることもありまして、1人、例えば、何回分ダブルカウントされているのかみたいなことは、ちょっと分からないというのが現状でございます。
一方、こちらの、例えば、修了者とか就職の状況などについては、これは指標として掲げてはおりませんけれども、実際、今回の研究活動に携わった方々が、その研究活動に携わった結果として、やはり必要な能力を身に付けるというのも重要なことだと考えておりまして、これも授業やイベントに参加された方というわけでは必ずしもないですけれども、共同研究等に携わられた方々が、どういう形でその後、卒業あるいは就職等をされているかということについては、こちらからいろいろとお伺いはしておりまして、その人数ですと、大体平成26年までに卒業された方というのが363名いらっしゃいまして、この中で、例えば、関連の企業等に就職された方というのが大体200名ぐらいいらっしゃるということで、大体関連のメーカー等に5割ぐらい就職されているというようなことも出ておりまして、これと、こちらの講義等の出席者がどういう位置関係かというところまでは、残念ながら追えていないのですけれども、こういう幾つかの、できる限りカウントをしようというふうな工夫はいたしております。
【石田(惠)委員】
そもそもカウントができないということは、要するに、このプロジェクトにおいて、誰が受講しているのかということ自体も、例えば、だから、受講証じゃないですけれども、ナンバリングをして、それで一貫管理をして、誰が、何回、何を受けて、どういうスキルを身に付けたのかということの実績評価――実績と言っていいか分かりませんけれども、少なくともプログラムを受講しました、どういうスキルを身に付けましたというようなモニタリングというのはされていないということでよろしいのでしょうか。
【説明者】
その点につきましては、残念ながら、全体で統一して、どういうふうなモニタリングをしているかというところまではできておりません。
植物科学の領域につきましては、12ページに記載させていただいているとおり、実際、どういう講義で、どういうふうに受講して、その後、受講ができた者は修了証で認定するという、かなり確立したスキームができておりますけれども、ほかの領域では、必ずしもそうではなくて、研究会等に出席をされたら人数としてカウントするというような形で、社会人等、間口を広く捉えているものもありまして、御指摘の点については、すべからくできているというわけではないというのが現状でございます。
【石田(惠)委員】
今お話のあった12ページを見ますと、認定証の授与とはあるのですけれども、その上にあるのを見ますと、2つ目の丸だと、修了した4名中3名が就職しましたということで、非常に少ないように思われるのですけれども、認定証の授与をどのぐらいなされて、実績として3名なのかということについては分かるでしょうか。
私が今かなり飛んだ話をしていて、認定書の授与の話と3名の話はリンクしないのかもしれないのですけれども、例えばということで、実績を今おっしゃられたので、12ページの植物科学領域の実績がもう少し具体的に分かるようでしたらば、教えてください。
【説明者】
植物科学のこの修了証を認定するコースは、ドクターコースということで、大変人数が少なくなっておりまして、そういう意味で、平成26年度までに修了された方というのは7名でございます。
【石田(惠)委員】
あと、15ページのところで、産学連携のところなどの説明の図があるのですけれども、こちらの方で産学連携のところで、社会人ドクター・高度化人材の派遣とか、共同研究・産業への展開等々記載がございますが、具体的な内容というのは、どのようなものがあるのか。実は資料の読み方が分かっていないだけかもしれないのですけれども、実績としてどのようなものがあったのか教えてください。
【説明者】
これは時間の関係であんまり細かく説明できませんでしたけれども、15ページの左下で言いますと、植物科学の場合には、産学連携のための組織として、そこに書いてありますが、産学連携コンソーシアムというものを作ってございます。これは、ここに書いてある大学等の研究機関と、あと、この領域に関心を持つ、そこに書いております約50社の企業とが、コンソーシアムという形で、実際の研究成果をそのコンソーシアムの会合で紹介して、こういう研究に関心がある企業については、個別にお問い合わせを頂いた上で、共同研究をするとか、あるいは、この分野の研究の進捗とか海外の動き等について、ニュースレターの形で、産業界あるいはコンソーシアムの大学の各参加メンバーに広くお知らせをするというようなことをやっていただいているということでございます。
そのような、いろいろ情報交換とか協力の枠組みの中で、この研究に関心を持つような企業の方がいれば、社会人のドクターコースの学生として、このネットワークに参加している大学等の研究室にドクターコースの学生として来ていただくとかいったようなことを個別に実施しているという状況でございます。
【石田(惠)委員】
そういった利活用の状況について――利活用とまとめていいか分かりませんが、そういうものについての実数での把握もされているということでよろしいんでしょうか。
【説明者】
実数で申し上げますと、実数で把握しているという意味では、先ほどの産学の共同研究の数ということで、資料で言いますと、10ページ目の右下にございますけれども、これは、数値としては、この3領域を合算した数になってございますけれども、実際の共同研究という形で、きちんと取組が開始されたという例については、実数としては把握しているということでございます。
【石田(惠)委員】
すみません、最後に、そういった意味で、当初目標とされていた実数だとか、研究数とか、本数といった意味では、もう既にクリアされておられるようで、一定のネットワークというのは構築されたのだという評価もあり得ると思うんですけれども、なお本年度においてこの予算を取って、まだ継続しなければならないというところについて、何か御説明の補足がありましたらば、教えてください。
【説明者】
当然、事業としては進んできたところでございますけれども、まだ研究の中身について、研究として実施すべきところがあるということ。民間企業への橋渡しというのも進みつつありますけれども、まだまだ研究として進めるべき点というものはございます。
それから、人材育成についても、まだ人材育成の途上、例えば、ドクターコースの学生がまだ在籍しているといったようなこともございますので、引き続き、最後の1年になりますけれども、事業としては続けていく必要があるというふうに考えてございます。
【伊藤政策評価審議官】
よろしいですか。
じゃ、豊田委員、田辺委員の順でお願いいたします。その後、石田委員、お願いいたします。
【豊田委員】
どうも、豊田です。
まず、本事業の内容といいますか、資金の流れのところにちょっと着目していたんですけれども、資料の5ページを見ますと、公募・交付ということで、各大学に、これは補助金を支出するという形でよろしいですかね。
【説明者】
おっしゃるとおりでございます。
【豊田委員】
その下、公募・委託とされているのですが、これは補助金を受けた大学が、公募して委託するということでしょうか。
【説明者】
補助金を受けた大学の方から、さらに、共同で実施をしている大学等に対して、必要な資金を渡して、必要な研究等をしていただくということでございます。
【豊田委員】
研究内容については、7ページ、8ページあたりを見ますと、かなり個別の研究内容が記載されているわけですけれども、こういったレベルで当初も提案してもらった上で、採択してやってもらっているということになりますでしょうか。
【説明者】
もともと採択の段階で、各機関がどういう研究をするかといったようなことは、全部セットで出していただいていますので、これらを含めて応募していただいて、採択しているということでございます。
【豊田委員】
その公募・採択の手順は、これは初年度のみ行って、その後は継続という理解でよろしいでしょうか。
【説明者】
はい、そのとおりです。
【豊田委員】
そうすると、この7ページ、8ページにあるような研究をやってもらいますと。
5か年の事業で、累計だと50億円ほどになるかと思うのですけれども、もうそういう想定でやってもらっているということになりますかね。
【説明者】
そうですね。単年度予算、単年度主義ですので、約束はしておりませんけれども、目途としては、そのようなことでやっていただいております。
【豊田委員】
言い方は悪いのですが、50億円出すので200本論文出してよとやれば、これはそういう成果は上がるのだろうというふうには思うのですけれども、研究成果の質のところですね。これは、こういった指標ですと、まだ分かりにくいようには感じまして、他国との比較の視点、世界の中でどのような研究成果が、どのような位置付けになっているのかですとか、そういった指標は何かございますか。
【説明者】
なかなかこの分野で、他国の類似の分野と比較して、このパフォーマンスが上がっているかどうかというのは、分析しづらいところがございまして。ただ、例えば、我が国のこういうネットワークを組んでいる外側との論文の増加率といったようなことについては、10ページ目に書かせていただいておりますけれども、10ページの成果のマル2と書いたところの下に文字で書いてございますが、例えば、我が国の査読付きの共著論文の増加率というのは、足元では年平均約1%というふうになってございますけれども、この事業では、査読付きの共著論文の増加率が年平均で71%ということで、査読付きという一定の質の担保をした共著論文の増加率というのは、このネットワークを組むことによって、増加が非常に早くなっているといったようなことについてのデータは採っております。
【豊田委員】
いや、数の増加は非常に顕著に表われているというふうには思うのですけれども。例えば、国際的な学術誌への掲載数が増えたとか、あとは、もう事業に応用されて多大な成果を上げているとか、そういった、まさに質が分かるような成果指標があれば教えてほしいのですが。
【説明者】
例えば、Nature等の雑誌に掲載されたといったようなものについては、個別に報告を頂いていますので、それについての数は、すみません、今、手元にすぐには出てきませんけれども、そういうものについてはカウントはしてございます。
ただ、Natureに載ることだけをなかなか成果指標とはしづらかったので、今、我々として考えているのは、全体で査読付きという一定の質的な担保をした共著論文の数がどうかということで掲げさせていただいていると。
【豊田委員】
数も重要だとは思うのですけれども、例えば、どこと比較すればいいのですかね。例えば、アメリカと比較したときに、同じく査読付きの論文発表数で比較して、どの程度になりますかね。
【説明者】
例えば、論文の数とかいうのは、分野ごとに結構違ったりしますので、例えば、アメリカのどの分野の論文と比較すればいいのかというのは、技術的に悩ましいところはあります。そういう分野をある一定の考え方に従って限って、特定の分野の論文の伸び率と比較するということは、場合によっては可能かもしれませんけれども。
【豊田委員】
そうですね。最終的には、グリーンイノベーションということで、省エネ分野の研究成果をということだと思いますので、単に数がたくさんありますよということだけだと、よく分からないと言わざるを得ないところがあります。ですので、そこがよく分からないと、結局、お金を出して論文の本数だけ上げたんじゃないかという、どうしても疑念が生じてしまうものですから、そこら辺ができれば、何らか説明方法を工夫していただきたいなと思います。
すみません、以上です。
【説明者】
多少なりとも質の面という意味で、査読付きというところで一定の線は引いておるところでございます。査読付きで、共著ではなくて、ネットワークに参加している研究者の論文数ですと、先ほどの10ページ目の右側にございますけれども、年間200本とかいうような単位で出ておりますので。
あとは、産業界との産学連携の数というようなものも、参考指標ではございますけれども、我々としては、そのようなことも併せて、できるだけ質、特にイノベーションということでやっていますので、産業界にどうつながっていくかといったようなことを捉えたいとは思っておりますが、御指摘のように、指標の取り方というのは、いろんな考え方があるかと思います。
【伊藤政策評価審議官】
じゃ、田辺委員。
委員の方、コメントシートの記入も併せてお願いいたします。
【田辺委員】
質問が2点と、コメントが1点です。
まず、今回の分野融合の研究を推進するということで、成果が上がっているというのは、非常に有意義だと思っています。
1つ、目標の数値の設定なのですけれども、最初の3ページ目、アウトカムの成果で、例えば、査読付き共著論文を10本とか20本、40本とかありますけど、この設定をどうされたのかという、これが、どういう比較といいますか、何を根拠にこういう目標を設定されたのかということをまずお聞きしたいです。
【説明者】
例えば、共著論文につきましては、植物科学と材料と情報という3領域、このネットワークでは3つの領域を作っているわけでございますけれども、細かく言うと、植物のネットワークの中には、分野として捉えられるものが7分野ございます。同じように、材料の領域では6分野、それから、情報の領域では7分野といったようなものがございまして、これが分野単位で全部足すと、3領域20分野といったようなものが、事業のより細かいレベルでの内訳になっているということでございます。
【田辺委員】
分野から1つずつと。
【説明者】
分野から2つですね。40というのは、分野から2つ。
【田辺委員】
ただ、それも、だから、余り根拠がないですよね。もう少し、例えば、従来のグリーンイノベーション分野とか、従来の分野では、例えば、研究資金に対してとか、研究者の人数に対してこうだとかというので、分野でとなると、人数が何人参加しているかとかいう観点から、ちょっともったいないなというか、設定をもう少し・・・。そこがまさにほかと比べて、この共同研究をやることによって推進されたというのが、ほかと比較しないと明確に分からないかなというのが1点目の話です。
2番目が、共同研究を本当に推進されるという基盤を作られたということは、非常にいいと思うのですけれども、これが今後とも続くようにということで、資料の13ページ目に、今後の展開というところで、事業終了後の自律的に維持されるよう取組を推進ということなのですけれども、これは非常に結構だと思うのですけどね。具体的に、どのように取組を推進されようとしているのかというか、政策的に。そこをちょっとお聞かせください。
【説明者】
例えば、研究の面で言いますと、このようなネットワークを通じて、いろんな組織からなる共同研究の体制ができたということで、研究費については、例えば、ほかの文科省の事業の中にも、JSPSの事業とかJSTの事業がございます。そういったものついて、積極的に獲得に向けて検討を進めていただいているというようなことでございます。
【田辺委員】
ここの書かれている文章は、余りそういう政策的なことは書かれていないので、要するに、勝手にやっているといった感じで。それはいいことなのですけどね。
でも、私のコメントにもつながるのですけれども、今回の事業を見ますと、異分野といいますか、分野融合のアプローチがやっぱりいろんな成果を上げるということは、これからも分かったのではないかと思うのですけどね。先ほど言われましたように、ほかの事業においても、積極的に分野融合的なアプローチを推奨する。例えば、分野ごとに、例えば科研費などがそうでしょうけど、この技術分野、科学分野というか、分野を指定すると、今回のような融合はなかなかできないので、できるだけ分野を融合するような政策、そういう推進が本当はもっと求められていると思いますから、今回のこの事業の取組あるいは成果を、横に是非展開していただきたいなと思います。
以上です。
【伊藤政策評価審議官】
石田委員、お願いいたします。
【石田(晴)委員】
もう田辺先生と豊田先生のおっしゃられたこととほとんど一緒なのですが、こちらのアウトカムの目標値である査読付き論文がアウトカムになると、査読も、言葉は悪いですけど、ピンからキリなので、目標40といったら、やっぱりそれは目標を超えるようなことをするだろうと思うのですね。もともと、これかなりな金額の研究費を交付しているわけですから、この競争的資金って、この金額の規模感としては、どうなのですか。普通、これぐらいあげたら、このぐらいの数なのですかね。ほかの目標値としても。
というのが1点と、それから、競争的資金なので、例えば、中間報告会みたいなものがおありになったかと思うのですけど、そちらの評価みたいなものはどのような評価だったのか教えてください。
【説明者】
規模感からいって40本という目標が適当かどうかについては、すみません、今、手元に資料がないので、それこそ定量的にお答えするのは難しい状況でございます。
それから、中間評価につきましては、文部科学省の科学技術・学術審議会の下の評価のスキームで実施しているところでございます。例えば、植物科学ですと、研究成果の実用化や二酸化炭素削減の観点から、社会ニーズをより一層考慮して研究を進めるべしといったようなことがありましたので、先ほどちょっと申し上げましたけれども、産学連携のコンソーシアムと、民間企業とコンソーシアムを組むような形で、民間企業のニーズをもうちょっとちゃんと把握するといったようなことを取り組んでいただいているということでございます。
中間評価だけではなくて、領域ごとに、名前はちょっと違いますけれども、事業運営委員会といったようなものを実施していただいて、その事業運営委員会の中には、外部の有識者の方もメンバーとして入っていただいて、それぞれ事業の進め方とか、事業の進捗の管理といったようなことをしていただいているというようなことが、事業全体のスキームにはなってございます。
【石田(晴)委員】
アウトカムについて、こちらは事業名がもう、研究をしようということももちろんあるんでしょうけど、大学発グリーンイノベーションの創出事業ですから、やはり具体的な民間の事業に結び付いた本数とか、そういったものも追っていっていただければいいかなと。コメントです。
【伊藤政策評価審議官】
有川委員、お願いします。
【有川委員】
これまでの意見と競合するのですけれども、先ほど指摘のありました、今後の話としての、事業が終了後、13ページの今後の展開のところに関連して。私も、この事業の目的が、共同研究体制を整備して、異分野での研究成果を創出していくということなのですけれども、この事業が終わった後、やはりなかなか事業費がないと研究というものが進まないのだろうけれども、しかし、一回でき上がった研究体制というのは、そう簡単にはなかなか壊れないのだろうなと。ある程度固い研究体制をイメージしたのですけれども、先ほどのお話ですと、そうではなくて、やはりほかの事業費とか研究費が来て、また新たに研究体制というか、研究チームが作られるとなると、やはり今回の事業が終わると、これまでの研究体制が維持されるというのはなかなか難しいかなという感じを受けたんですが、その辺の見解をお伺いしたい。
それから、もう一つのアウトカムとしての人材の育成の成果は、恐らく、こういった研究成果が出た後、じわじわ出てくるのだろうと思いますので、この事業が終わった後、この事業の人材育成にどれだけ成果があったかを評価する仕組みを、是非検討していただきたいなと。
もう一つなのですけれども、今の話と関連するのですが、やはりグリーンイノベーションにおける共同研究や人材育成の、この後、事業が終わった後も、これまでの流れが途絶えることのないように、多様な手法を検討――それは、お金を出せば続くのかもしれませんが、いろんな手法を検討して、その成果を検証する体制というものをきちんと確立しないと、金の切れ目は事業の切れ目とか縁の切れ目になりそうなので、その辺のところを是非注意していただきたいなと思うのですが。
【説明者】
最初の、終了後の研究がどうなるのかといった御質問でございますけれども、終了後、これまでなかなか接点がなかった研究者あるいは研究機関同士が、この事業のおかげで共同研究につながることができたといったようなことは、実際携わっている先生方からは多く聞いてございます。こういったネットワークが引き続き維持されるということも重要ですし、せっかくできたネットワークを、これをコアにして、もうちょっとほかの分野の人も加えたような形で、異分野融合研究のようなことが進んでいただくといったようなことも重要だと考えてございます。
そのような手段として、この事業を直接延長するとか、この事業の直接の後継事業というものは、今のところは予定していないところではございますけれども、せっかくできたこういうネットワークを核にして、新しい研究費の獲得といったようなものについては、既存の研究、いろんな研究を支援するプログラムがありますので、そのような中で取り組んでいただきたいということで、我々としては、参加機関にお願いをしているといったようなことでございます。
それから、人材の育成について、あるいは、研究が途絶えることがないようにしっかりフォローといったようなことでございますけれども、そのようなことについては、我々として取り組んでいきたいと。せっかく始めた事業でございますので、この成果が、例えば、先ほど幾つか研究成果の例として挙げておりますけれども、実用化に向けて順調に進んでいるような研究のテーマもありますので、それがきちんと実用化につながっていくようにということで、文科省の中には、いろいろな研究成果の実用化みたいなプログラムがありますので、そういったところに、場合によって、国の資金が必要であればつなげていくといったようなことについても、研究者と先生と相談しながらではありますけれども、そういうことについて促していくとか、何らかの方策を考えていきたいとは考えてございます。
【伊藤政策評価審議官】
ただいま、コメントシートの集計、確認を行ってございます。
【豊田委員】
時間があれば、よろしいですか。
【伊藤政策評価審議官】
どうぞ、豊田委員。
【豊田委員】
すみません、追加になってしまうのですが。
環境エネルギー分野の研究開発にお金を出すということで捉えると、ほかの省庁の施策とかぶってくる部分が結構あるのではないかなという印象を受けるのですが、そのあたりはチェックされていますでしょうか。
【説明者】
そうですね。ほかの省庁、特に環境エネルギーというと、環境省とか経済産業省などがございますけれども、そこでやっている事業の情報というのは、適宜情報交換しておりますので、そのようなほかの府省との重複というものは、基本的にはないと考えてございます。
文科省のやっている事業は、どちらかというと息が長い基礎研究の分野、しかも、この事業については、大学発ということを主にやっておりますので、研究成果を出すということと、あるいは、大学でやっていただくので、人材育成の面も含めてやっていこうということで進めているものでございますので、その他の事業との切り分けというのはできていると思っております。
【豊田委員】
あと、基礎的な研究開発ということですが、ものによっては、この環境エネルギー分野って、すばらしい研究成果があると、割とすぐお金になってしまうということもあると思うのですけれども。補助金渡し切りではなくて、収益納付のような仕組みというのは、導入はできないのでしょうか。
【説明者】
基本的には、今の事業の枠組みで言うと、参加機関の方に特許権は行くというふうになっていると思いますので、もしそういう収益があれば、例えば、大学の方の収入に反映するということはあるかとは思いますけれども、直接国庫というような枠組みには、たしか今はなっていないと思います。
【豊田委員】
いや、なっていないだろうという想定で聞いたのですけれども。仕組み上、導入できるのかなとは思ったのですが。
【説明者】
大学での研究成果の取り扱いについては、環境エネルギー分野だけそういう特別な取り扱いが可能かというのは、ちょっと……。普通に考えますと、ほかの分野も同様に、特許については一律の取り扱いというのが適切かと思いますので。ただ、要は、収益が上がったのであれば、その分、何かしら国に対してもあってもいいのではないかという御指摘かと思いますので、その点については、ほかの分野との関係も見ながら、検討する必要があるかと思います。
【豊田委員】
ありがとうございます。
【伊藤政策評価審議官】
よろしいですか。
【有川委員】
頂きました意見につきまして、まず、投票結果ですけれども、事業内容の抜本的改善が1、事業内容の一部改善が4、現状どおりが1という票数になりました。
現状どおりの方から主な意見を紹介させていただきたいと思います。現状どおりにつきましては、異分野融合のアプローチを推進して、異分野の共同研究について一定の成果が上がっているので、他の分野でも同様な研究を推進するための取組を展開する必要もあるだろうというような御意見であります。
それから、一部改善すべきだという意見。意見としては、そのうちのかなりの意見が、事業の目的と事業の成果指標とが整合していないという指摘が多いのでありますが、幾つか紹介させていただきますと、設定したアウトカム指標が本事業のアウトカムとして適切なのかどうか、効率的・効果的なものになっているかどうか理解できない、理解しにくいという言い方でありまして、大学発イノベーションが実際に社会に役立っているのかを計る指標、あるいは、道筋というものを明らかにしていくべきではないかという意見が、一部改善の中にあります。
また、同じように、評価指標について、アウトカム指標がやや観念的ではないかという言い方。世の中のために役に立つような成果指標の工夫が必要ではないかという意見であります。
それから、若干それに関連するのですけれども、27年度で終わる事業、せっかく行われた事業で、かなりの国費を投入して行われた事業であるから、共同研究体制の維持のために、更に工夫をすべきではないかというのと、人材育成の成果についてのフォローアップは、まさにこれから工夫する必要があるのではないかという、今後の展開についての意見。
それから、この施策の手法について意見がまた別に出されておりまして、この事業は、特定の大学や機関に利益が帰属する内容であるので、補助金のような支出については抑制的であるべきであり、特に必要性の高い分野の研究については、国の委託費のような形での手法も考えるべきではないかという意見であります。
それから、抜本的な改善を求めるという意見も、先ほどの一部改善の意見と似たところがありまして、やはりこの事業の目的と成果指標の整合が取れていないというところに強く意見が述べられております。紹介しますと、研究成果や人材育成のアウトカムの計り方が、事業目的の達成度合いを示すものになっていない。論文数や研究数のみで計るのは、真に利活用可能な研究成果のカウントとしては不十分。知的財産獲得や利活用実績などのアウトカムも必要ではないか。また、人材育成についても、受講者ごとの受講状況が把握できない仕組みになっている。実数が不明ということは、正しい成果が計れていないことと同義であり、やはりその点も改善が必要であろうという意見であります。
票数は1対4対1と分かれましたけれども、今見ていただきましたとおり、やはり事業の目的と整合性のある成果をしっかり……。すみません、先に取りまとめコメントの方を言わせていただきたいと思いますが、事業の目的と成果指標との整合性が取れていないので、十分取れる成果指標を設定する必要があるだろうという取りまとめコメントの1つ目であります。
それから、2つ目としては、やはりせっかく国費を投入して行った事業でありますので、この後、この流れをちゃんと維持できるような形での展開手法を工夫してもらいたいというものと、それから、こういった事業の推進、バックアップのためには、補助事業の手法だけではなくて、それ以外の委託費等の手法も工夫すべきではないかという意見。
こういった取りまとめコメントで、票数的にも一番多いんですが、大体中身を見せていただきますと、ほぼ共通して、事業内容の一部改善を求めるということになっておりますので、結論、評価結果としても、事業内容の一部改善という形にしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
では、今の点でよろしく。
【伊藤政策評価審議官】
どうもありがとうございました。
本日の議論は以上でございます。明日も、13時から、インクルーシブ教育システム構築事業ほか2事業について公開プロセスを実施いたしますので、よろしくお願いいたします。
本日は御苦労様でございました。

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大臣官房会計課財務企画班

-- 登録:平成27年07月 --