予算財政制度の改善に関する提言(政務三役会議決定)

 文部科学省においては、限られた予算でいかにパフォーマンスを上げていくのか、予算を活かすためにはどのような使い方が望ましいのか、政府全体で大いに議論・検討するため、「予算財政制度の改善に関する提言」を政務三役会議において決定しました。今後、これをもとに関係府省と調整を図って参ります。

平成22年8月30日
文部科学省
政務三役会議決定

 平成23年度予算は我が国の方向性について民主党が国民に発信する強いメッセージであり、その編成プロセスは昨年以上に重要だと申せましょう。即ち、厳しい財政事情のもとメリハリのある予算編成を行い、将来の成長に必要不可欠な分野に投資することは何よりも重要ですが、それに加え、ただ単に予算を確保するだけではなく、知恵を結集して予算財政制度の改善を図り、予算の使い方をさらに工夫することにより、リソースの最大化を図ることが求められています。

 文部科学省においては、「予算編成等の在り方の改革について」(平成21年10月3日閣議決定)に基づき、鈴木副大臣をチームリーダーとして省内に設置した「予算監視・効率化チーム」を軸に、特に我が国の成長に不可欠なイノベーションを担う若手研究者とのフェイス・トゥ・フェイスの熟議、文部科学省ホームページ上の「熟議カケアイ」サイトにおける熟議及びこれまで文部科学省が実施してきたアンケート調査の結果などを踏まえ、上記の問題意識に基づき、予算財政制度の改善について議論を進めてまいりました。

 その結果、以下のような点について改善を図ることがリソースの最大化のために必要との結論を得ました。この結論を踏まえ、予算財政制度に関する関係機関の積極的な意思と知恵を結集し、工夫・改善をお図りいただきますことをここに提言するものであります。

 なお、詳細については、別添の「研究費・プロジェクト系教育経費の効果的予算措置に関する中間報告(PDF:432KB)」も併せて御高覧ください。

 記

1.研究費の複数年度にわたる予算執行

  通常の行政事務とは異なり、大学や研究機関における学術研究・研究開発は未知なる世界を切り拓くという事柄の性質上、研究の進展等に伴い当初予定した年度ごとの研究計画が変更になることはむしろ当然であり、それに伴い研究費の年度間の繰越しが必要となります。現行制度は、繰り越し手続きの簡素化が図られてきたとはいえ、(1)年度末の1月以上前には事前の申請が必要、(2)繰越しを行う研究費については、一旦国庫への返納が必要、(3)翌年度には、国庫に返納した研究費と同額の交付申請手続きが必要、(4)会計年度末の調達や会計年度をまたいだ在庫品となる調達が現在認められていない、といった課題があり、多くの研究者から年度にとらわれない予算執行の実現が切望されています。

 文部科学省としては、平成23年度予算概算要求において、科学研究費補助金の一部を基金化するなどの改革が必要であると考えており、これについて平成23年度より実施するとともに、政府全体の観点から研究費の複数年度にわたる予算執行を可能とする予算財政制度改革を提言いたします。

 2.国立研究開発機関(仮称)制度の創設

   研究開発を担う法人の機能を強化し、「世界トップレベルの国際的な競争力」と「世界で最も機動的で弾力的な運営」を実現することを目的に、新たな制度を創設することを提言いたします。これにより、法人による中期目標期間をまたいだ研究開発資金の投入など、柔軟な予算執行を可能とします。

 ※国立研究開発機関(仮称)制度については、「研究開発を担う法人の機能強化検討チーム」(主査:鈴木文部科学副大臣)において、詳細な検討を進める予定です。

 3.調達に関する課題への対応

   調達手続に費やす膨大な時間を最小化するとともに、教育、研究等に必要な資機材を必要な時期に迅速に調達するため、例えば、政府調達における入札公告期間や対象基準額の自主的措置(アクションプログラム)の見直しなどを提言いたします。

 また、より安価な調達を可能とするため、現行の1度限りの入札を改め、期間内であれば何度でも入札することを可能とする「競り下げ」方式を導入することを提言いたします。

 4.予算財政制度改革のための関係府省等の連携

  上記1.~3.の事項をはじめとした予算財政制度改革を具体化するため、必要に応じ内閣官房、内閣府、財務省、外務省などの関係府省や予算執行の監視を行う会計検査院が連携を図り、順次結論を出すことを提言いたします。

お問合せ先

大臣官房会計課

-- 登録:平成22年09月 --