スーパーグローバルハイスクール(SGH)事業の検証に関する有識者会議(第7回)議事要旨

第7回

1  日時

平成30年7月11日(水曜日) 13時~16時

2  場所

経済産業省別館 4階 244号会議室

3  出席者

帯野久美子委員,萱島信子委員,河村小百合委員,田代桂子委員,永井裕久委員,二宮皓委員,松本茂委員
長尾篤志視学官,小幡泰弘国際教育課長,佐藤由郎室長補佐,矢田裕美係長

4  議題

(1)討議
・今後の事業の方向性について

5  議事録

○今後の事業の方向性について,事務局より説明が行われ,それをもとに意見交換が行われた。


【委員等からの主な意見】
○新しいSGHについて考えていく中で一番重要なのは,枠組みではないかと思う。これまでの成果を生かすということ,すなわち平成26~28年指定校が研究開発したことの成果をどういうふうに,第2次SGHに生かしていくのかということが含まれるべきだと思う。同時に,再度申請するところ,SGHの1次で不採択になったところもたくさんある。そういうところもこの5年間に独自のグローバル人材育成のプログラムを開発している可能性もあるので,採択されたところはどういうところが新しい知見として研究開発されたのか,それからそうでないところは何が特色のあるグローバル人材育成のプログラムの骨子なのか,そこが一番重要だと思う。これから地域ごとに初年度採択されたときに,何がその学校のコアコンピタンスなのかということをまずは明確にすることが重要だと思う。
 また,それだけの資源を持っているのであれば,その学校だけ,あるいはコンソーシアムだけに限定することなく,全国展開していく視点があった方がいいと思う。標準化できるプログラムを今後開発していくということが,恐らく2次,3次にも役に立つのではないかと思う。
 検証の結果,平成26,27,28年度を比べると,研究メソッドに関しては最後に採択された学校が一番導入頻度が高い。ということは,後発効果があるということである。各校のコアコンピタンスを核としてそれを水平展開していく視点から枠組みをつくっていくことが一つの方向ではないか。
 コンソーシアムを形成することは有効だが,一方でそれに参加するステークホルダーのアドバイザリーボードを設置することが必要ではないか。例えばそこに参加する学校だけではなくて,教育委員会や大学など,場合によっては中学も入ってもいいと思うが,小中高の連続性,小中高大の連続性ということ,それから国際機関やNPOや企業,それぞれのステークホルダーがアドバイザリーという形で主体的にそのコンソーシアムの運営に携わることが必要ではないか。
 海外からの高校生がルーティンの中に入ってくるというのは,イベント形式なのか,遠隔を使って授業の一部で交流するということなのか,その辺を今後詰めていく必要がある。今までアウトバウンド中心だったので,インバウンドという視点が含まれるのはすごくいいが,具体的に何をやるのかということが必要である。
  費用の面では,マッチングファンドという考え方を取り入れた方がいいと思う。全てをSGHの予算で賄うのではなく,自校でもある程度は責任を持って資金を出してもらう,ある意味自走となる。自走なのだけれども,SGHの予算も資源の一部として受けるというマッチングファンドの考え方を入れたらいいと思う。
  アドバンスとリージョナルの連携はどうなるのか。すみ分けをすることは非常にいいと思うが,アドバンスで開発されたことをリージョナルに普及していくような仕組みづくりも取り入れるといいのではないか。

○カリキュラム開発事業というのは,特定の学校のためではなく,全国どなたにでも全て公開しており,公開授業,公開研究会,生徒の発表会等もあるので,どなたでもいいと思うことは取り入れることができる。新しいカリキュラム開発ということで,研究指定校を作って県も市もできる。だから,本来普及はそういうところで独自に他のモデルを入れるという形で行われると思うのだが,後継事業でそれをさらに取り込むという視点を入れるとすれば,これまでのSGHの成果を検討して,グッドプラクティスを積極的に取り入れることが望ましいなどということが申請の要件になるか。

○アドバンス型のコンソーシアムのイメージは,一つのプログラムをコンソーシアムとしてつくって,コンソーシアム以外の高校生も含めて何らかの選抜を通して,オンライン・オフラインで受けることができるというのが一つの最終的な目指すところであろう。もちろん今すぐにこれをやるということではなく,それを目指した形のコンソーシアムをということだと思っている。

○カリキュ+ラムを作って普及するということは確かに大事なところで,今回5年目が終わり,5年間の成果ということで,いいカリキュラム開発をしたような事例をまとめたものは用意していかなければいけないと思っている。最終的には学習指導要領でどのようにこれを標準化していくかというところも目指していくべきではないかと思う。次の指導要領ではグローバル探究を設ける等,といったところは目指していく。そのための実践例を幾つも取り組んでもらっているということだとは思っている。

○コンソーシアムで一つの共有化を図るが,それで閉じるものではなく,他の学校も当然それを参考にできるところは参加にするという形にしていかなければいけないと思っている。アドバンスとリージョナルの関係でも,例えばアドバンスで一つの学校が拠点となってコンソーシアムをつくるときに,コンソーシアムとして参加する学校の一つがリージョナルの学校であってもいいと思う。

○アドバイザリーボードがしっかり機能していないと,学校の先生だけではなかなか難しいところだ。アドバンスにしてもリージョナルにしても,学校外の人たちのサポートを組織的につくった上で,いろいろな支援,ネットワーク,情報を頂く。そういういろいろな形でのサポート体制は,次のSGHでも非常に大きな課題になると思う。

○マッチングファンドはまさに大事なところだと思う。学校だけでやるのではなくて,管理機関,教育委員会や学校法人などからも,それと同じぐらいの支援をしてもらいたいところであり,それに加えて例えば企業や財団などの支援もあるといいのではないかと思う。例えば一つのテーマに合ったコンソーシアムと財団とのマッチングによって,コンソーシアムに参加している学校の生徒が海外研修等に加わることができる。イオン財団,JICA,ユニセフ,UNHCRなど,それぞれが様々なプログラムを行っている。そこに高校生も交ぜてもらったり,お金以外の部分も含めたいろいろな形でのマッチングは次の非常に大きな課題と認識している。

○ぜひインバウンドを推進していただくといいと思う。そのための枠組みとして,申請のときにインバウンドをどういう形で導入するのかということを申請項目に入れるとか,やはりお金がかかってくると思うので,リージョナルなコンソーシアムが,そのエリアにあるコンソーシアムとして何か国際大会を開催するとか,何かコンソーシアム間の連携をしていくことが重要ではないか。

○英語によるコミュニケーションは,地域であろうが世界に出ようが,これからの時代は必要ではないか。今のSGHは英語をかなり,世界的課題と英語とのセットの中でお願いしている。アドバンス型の方は,専門的な事項や特定の事項について,中身のある英語をしっかり学んでもらわなくてはいけない。リージョナル型は,英語をツールとして,一般的に地域に来る外国の人と英語が自由に使えるとか,地域が海外に進出するときに一緒になって働けるというコミュニケーションツールで学ぶとか,英語については今後も強調すべきではないか。

○インバウンドを強調するのは,大学で学んで,将来また帰ってきて日本で働いてくれるというイメージが非常に分かりやすくて,それが新しい社会には必要だろうと思う。しかし,インバウンドをデザインして実現するまでに3年ぐらいかかる。大学でもすぐには留学生を受け入れられない。ましてや高等学校は学期の違いがあって,協定を結んで単位は交換するとか,協定を結んでいるところも結構あるがなかなか難しい。2年目に視察されて3年目に評価を受けて,4,5年はなしという中にあっては,インバウンドを強調していることの危険性も他方で考えておかないといけない。

○成果検証の途中段階だが,海外連携機関とのインタビューの分析をしてみたところ,平成28年度に提携しているところほど協力体制が確立されている。ということからすると,ある程度既に確立されているチャネル,ルートを使えば,インバウンドも比較的早く,一から開拓する必要はないので,効率的に開発できるという印象は受けた。

○それは,全部にかぶせる要件として強調するか,そういうことを主として挑戦するというモデル事業的なものにするのかは判断が分かれるかもしれない。それから,誰が申請するかということをよく考えていかないといけない。

○27,28年度に採択された残りの数校はまだあと1,2年残しているが,これらの学校は申請できないということでよいか。

○恐らく申請はないだろうが,別に閉じる必要はないのではないか。ただ,56校と11校はまだあと1,2年残っているという意識であろうから,それをやめてまで新しいところにチャレンジするのは考えづらいかもしれない。ただ,同じことをやってきてまた申請しても,それはやはり5年間で成果を出すというのが当たり前のことなので,ではその5年間やってきたことがどのようにさらに進化するのか,広がるのか,中身をもっと変えてくるのか,今ある学校がもう一回チャレンジするときには,そういった要求は出てくると思う。

○新しいところも手を挙げてくるであろうし,これだけアドバンスはハードルが高く,今までのようなことでは採択されないので,より気合を入れて手を挙げていただくことになる。地域型についても,特に教育委員会であれば,今回は自分たちの負担を求めるので,そんなに,取りあえずいっぱい手を挙げてみるといったことは簡単にはできないと思う。

○Society5.0に向けたと大臣懇談会の報告書で出されている提言の方向性とそれぞれ関連付けることができるというのは,すっきりしていいのではないかと思う。アドバンスの方もリージョナルの方も,懇談会の報告書で出されている,長い目で見たときの目指すべき姿に向かっていく上での,一つの原動力になる政策というイメージで,このSGHがあるというのはすごくいいと思う。

○テクニカルな話だが,コンソーシアムという言葉が数種類出てくるので,アドバンスの方は例えば革新SGHコンソーシアムとか,リージョナルの方は協働地域コンソーシアムというように,名前を工夫した方がよいのではないか。

○審査や中間評価のウエート付けについて,アウトプットのウエートがちょっと高過ぎるのではないか。成果,アウトカムについては,やっている最中の3年間で何が把握できるかというのはとても難しいところもあるが,もう少し成果の項目を挙げてもよくないか。やると計画したことをそのとおりにやっていただくのは,ある意味マストであり,できればもう少し成果の分析にもつなげてやっていただくことができたらいいのではないか。

○地域でどういう人材がグローバル人材として求められているのか。地域を支えられるトップリーダーというのは,結局地域再生,地域の持続ある発展のためには,結局は産業,経済だと思う。地域に仕事をつくれる人間。東京に行ってなかなか帰ってこないというのは現実なのだが,地域は雇用はなくても仕事はたくさんあるのだ。仕事を自分でつくることができる人間,日本はそこが手薄で,いまだに日本の起業率は確か最下位に近い。
 では,そのために何が必要かというと,起業といってもそれぞれだが,やはり少子化,高齢化,グローバル化の中で,地域で産業・仕事をつくれる人というのは常に世界に地域を開ける人,常に世界から人なり物なり呼び込める人だと思う。では,そのときにどういう教育が必要かということを考えたときに,グローバル人材に一番必要なのはアイデンティティではないか。日本とは何なのか,自分とは何なのか,地域は何なのかという。地域の現在の課題ではなくて,自分たちの資源に気が付くこと,小さな伝統であれ,文化であれ,自然であれ,そういう地域の資源を再認識するというか,再発見するというか,そしてそれを海外の視点で見たときにいかに貴重なものかということを発見できる人材がすごく大事だと思う。
 ではここにどう落とし込むかということで,社会課題研究の別立てで何か,地域の資源を探究できるとか再認識できるとか,そういうものを一つ工夫できるといいのではないか。とにかくその地域のアイデンティティというものをしっかり認識し,それを持って世界に行けばおのずからダイバーシティ力は身に付くもので,特に地域はそれが必要なのではないだろうか。

○コンソーシアムという言葉が二重の意味で使われているような気がする。海外も含めた高等学校のコンソーシアムがあって,さらに関連団体もそのコンソーシアムに入るのか,アドバイザリーになるのか,協力団体になるのかということが分かりにくい。リージョナルの方は,地域の高等学校はコンソーシアムのメンバーになるのか,ならないのか,海外の姉妹校が入ることは許されるのかどうか等,コンソーシアムが,同一高校がたくさん入るのではなくて,周りのさまざまなエージェンシーが入ってくれて学びを豊かにしましょうといった意味でも使われているので少し整理する必要がある。

○何となく同じようなこと,同じような活動が両方に並んでしまったように見え,両者の違いが分かりにくい。アウトプットの人材のイメージの違いは分かるが,それは何をやったらそういうふうに違ってくるのかというところがちょっと分かりにくい。具体的な活動に関する言葉について,似ている表現が多い。イメージしている活動や,アウトプットの人材がどうなるかは最終的に活動が行われないと分からないところがあり,それだけで規定するのは非常に難しいので,活動についてどういう違いをイメージしているのかということがもう少しクリアになってくると分かりやすいのではないか。

○リージョナル型は,地域に残ってもらいたい。地域のグローバル人材として何とかつくってもらいたい。そうすると,地域の大学に進学して地域を学び,さらに地域課題の解決を研究して,大学に行っても研究して,地域で起業するなりというイメージであろうか。医学部において,地域にお医者さんに残ってもらいたいので,地域枠を設けるようなものか。

○しかし,やはりグローバル人材なので,地域の大学に限定する必要はないと思う。むしろ世界の大学でもよいと考える。医療というのは地域差やグローバルやリージョナルというのはあまり関係ない部分だと思う。一般的に地域の大学にというよりも,むしろ海外,首都圏でもよいし,やはりいったん外に出ないといけないと思う。

○とにかく地域で生まれて育って地域で学んで地域で働くというイメージで地域人材を考えると,全然広がりがないし,やはり新しい発想が必要だ。だから,その人たちが帰ってくるような社会の仕組みにしないといけない。そのキックオフがこれだと思う。

○本心から言うと,二つに分けなくてもよいのではないかと思っていた。3分の2というのが共通グローバルなのだけども,3分の1は地域なのだ。アドバンス型の生徒も地域のことは知っていないといけないと思うし,今想定しているリージョナルの人たちの中からもやはりグローバルな生徒たちは要ると思う。この二つを分けることがむしろ運営面でも煩雑になってしまう可能性もあるし,内容的にも一緒にやった方がより相乗効果はあるのではないか。
 ある特定の地域にアドバンス型とリージョナル型の二つのコンソーシアムが共存すると,そこでまず格差ができてしまう。また,経営資源の効率的な活用からすると,やはりコンソーシアムがたくさんできるよりは,ある程度限定してその中でいろいろな活動をした方がより有効活用できる。
現状,お金の使い方がどちらかというと海外に行くことが主になると思うが,これは元々研究開発であるので,今後につながるお金の使い方として各学校が独自の研究開発のテーマを出して,それを普及させていくというのが最初の発想だと思うのだが,見ているとほとんどは海外渡航費用に充てられている。次だけではなくて,3次,4次につながるようなグランドデザインを今考えるべきであり,投資先としては教材や授業法の開発であったり,教員の研修に充てるべきだ。そこはやはりコンソーシアムを大きくすることによって,そのコンソーシアムに入っている学校の教師たちの共通の研修をすることができる。それから,多くの学校において,教員がいろいろな事務的,追加的な業務に追われてしまって疲弊している,これではやはり持続性が取れないと思う。そのときに,ここにあるコーディネーターの立場,ポジションというのが非常に重要になってくる。そこにも投入することが必要だと思う。あまりたくさんコンソーシアムができるよりは,ある程度選択と集中をしてやった方が,より効果的なアウトプットが出てくるのではないか。

○目指すべき人材像というと,そこは確かにきれいな線引きはしにくいが,やはり一つの高校に対して支援するのか,それとも地域全体の底上げをするのかというところを今まで曖昧でやってきてしまったところがよくなかったという反省がある。リージョナル型が,あくまで支援した学校だけではなくて,教育委員会にも責任を持ってやっていただいて,県全体として上がるように,意識を持っていろいろな事業に取り組んでいただく。アドバンス型も自分の学校だけで完結していいとは言わないけれども,学校の中の一握りの,海外研修に行った生徒,留学した生徒だけではなく,少なくとも学校全体としてやっていただきたいというふうに,型は変えた方がよいのではないか。
 全然違うコンソーシアムが同じ地域にあっていいのではないか。しかしアドバンスの数をもっと絞った方がいい。どこの県にもアドバンスとリージョナルが両方あるよりも,東京などだったら両方あるのは十分あり得るし,コンソーシアムに入るステークホルダーも違ってくるし,重なる場合もあるかもしれないが,それでいいと思う。そんなにアドバンスが全国津々浦々どこの県にも1個ずつあるというレベルでできる話ではないのではないかという気がするので,数が限られていればあり得ると思う。

○前者の方の世界的なグローバル人材というか,世界の課題というのは割とイメージが出来上がってきて,実践も分かる。しかし,今にして難しいのは地域のグローバル人材をどう育てるかということだ。そこの方法論がない。

○実はこれは選択と集中をするために分けている。教育研修などをもっと効率的にというときに,文部科学省が全部面倒を見切れない。今,筑波大附属に123校の幹事校をやっていただいているが,123校をまとめるなどとてもできない。であれば,コンソーシアムの拠点校には,一つのまとまりとして教員の研修も含めてやっていただくことも求め,一つの幹事校のようなイメージで取り組んでもらうことで,予算を効率的に,そして成果をしっかり出せる仕組みにするためにカテゴリーを分けるという方向性で提案したい。

○限られた資源を効率的に活用することが重要だと思う。そのときに,実態としては地域のニーズを共有する,あるいはそこで研修や研究開発を共有するようなブロックをつくり,ブロックの中でアドバンス型とリージョナル型が入っているのはいいと思うのだが,それがうまく有機的に連動している形がいいのではないかと思う。

○SGUのように,アドバンスト型は強いものを強くするという,まさに世界の国内外のトップレベルというイメージである。そうすると,日本でそれができるのは一握りだと思う。数が多すぎると中途半端になるのではないか。

○やはりどういう活動がそれぞれ想定されるのかというのは,何か粗いイメージの共有みたいなものがあった方がよい。例えば,アドバンストの方は高校生の,単に視察型ではない学生の海外での実体験を伴うような活動をすることを前提とするとか,それは例えば国際会議だったり,フィールドワーク型の活動をさせているとか,それらはどれも高校にとってすごく重い負担だと思うが,それを一生懸命やって成功しているところもある。そういう本当に大変だけれども深いものをやっているような学校と,もう少し今までの学校教育の延長でいろいろな国際的なことを学ぶとか,いろいろな講師が来て話をされたり,自分たちで探究学習したりというのでは,ちょっとレベルが違うような気がする。その違いがうまく伝わって,違う活動がされるようになっていて,金額も違うのであれば,両者の違いが分かる。
 逆に,今の高校生はみんな海外旅行も結構しているので,個人の海外旅行の延長であるだけだと確かにつまらないが,村落に入ってフィールド活動したとか,国際会議みたいなものを自分たちの手で計画して何度もテレビ会議で準備しながらやったというのは結構大変で,そういうことをするのであれば,半額か個人の負担分を支援しますというような何かが若干あってもいいのかなと思う。
 それと,そういうインテンシブな支援をするからこそ,そのコンソーシアムの中で他にも普及してください,もしくは周辺の賛同する学校の先生たちへの研修もしてくださいというようなことをセットにして,自分のところの学校だけで終わらないようなことをやってもらうことをうまく組み合わせることで,同じようなことをそれぞれしてしまうということがないようにした方がいいのではないか。

○ただ行ってお話を聞いて帰るのではなくて,フィールドスタディにつながるようなものでJICAに協力いただければと思う。そこに教員の青年海外協力隊の人がいらっしゃれば,先生だから,なおいっそう生徒にとっても都合がいい。ボランティアまではいかないけども,フィールドスタディ的なところで学校が相談すればそういった観点からぜひ交流していただければと思う。

○ぜひJICAもやらせていただけたらと思うし,既にそういう事例も若干ある。あとは,人的な負担とコストについて,やはりJICAの方も全て背負うのはなかなか難しいので,コーディネーターのような役割の方などにきちんと機能していただければ,JICAの方でつなぐべきところはきちんとつないでうまく連携できるといいと思う。

○そういう体験を何か国内でできればいいが,なかなか難しい。少なくともアドバンス型でそれを体験でやるといえども,学校は例えば300人,500人の生徒がいる中の10~20人連れていくのも大変だと思うのだが,でもそれだけで終わらないようにするためにも,やはり先生方にそういうバックグラウンドをぜひ得ていただくのはすごく大事なことだ。先生に支援すれば,その学校にいる子どもたち全部が恩恵を受けられるはずではないかと思うので,その点を要件に入れていただきたい。

○例えばSGHの高校の先生を青年海外協力隊の現職派遣制度で派遣するときに,行く国ややる中身など,そういう学校でやっている課題研究に即したような形での派遣ができると,より向こうに行ってすぐ,また戻ってからもいろいろつながっていくことができると思う。学校側も全て希望に沿うのはなかなか難しいだろうが,このSGH学校の特枠ではないが,そういう派遣ができるのであれば,非常に効果的かつ実践的かつ即戦力だと思う。

○日本の学校のために,日本だけのためにというのが前面に出過ぎると,JICAはやりにくいと思う。ただ,やはり還元とか,教育委員会がしっかり現職の先生を支援してくださるというのが前提になっているので,教育委員会からもその方がよりやりやすいとか,魅力を感じられるという意見があれば,JICAの青年海外協力隊事務局ももう少しきちんと体制的にどういうふうに変えていくかということも議論できると思う。

○アドバンス型のコンソーシアムは,ワールドワイドのコンソーシアムになっていない。むしろここでのコンソーシアムというのは,国際機関や海外の大学や高校とのコンソーシアムではないか。国際機関といっても,別にニューヨークやロンドンにあるわけではなく,JICAや,ジャパンファウンデーションもそうである。だから,そういう機関とのコンソーシアムであるべきだ。コーディネーターについても,例えばJICAで研修された先生でもいいと思う。最初は大変だろうが経験をして実績を積んで,その人が育っていけば,日本全体でまだそういう人がすごく少ないから,そういう人がコーディネーターに適していると思う。

○リージョナル型の中にも英語を使うという要件を入れるべきだ。これまでSGHは英語をいろいろ工夫してくれているのに,リージョナル型になった途端に英語は要りませんという話になるのはおかしい。どちらのタイプであっても,英語を活用しないと世界とはコミュニケーションできないのではないか。英語の要件は入れておかないと,グローカルというのは社会科の単元になってしまう。

○地域性や国公私のバランスは考えた方がいいとも思うが,アドバンスはどちらかというと実力主義というか,これだけ高いハードルを掲げてやれる,きちんとやっていただける計画を出していらっしゃるところを通すような感じにした方がいいのではないかという感じはする。
 リージョナルは本当にできるだけ全国津々浦々でやっていただければと思うが,それがあまり先行してしまって,どこでもという感じになってしまうのもよくない。どちらのパターンも地域性は考えなければいけない面はあれど,あまりそればかりとらわれてしまって,結局レベルを下げてしまうことになってしまわないようにした方がよくないか。

○アドバンスの方で,もし国内の学校での波及効果を考えて,例えば教員の研修や経験の共有といったものをしてもらうことを想定したとすると,それは私立でもできることなのか。教育委員会などが教員の配置なども考えて行わないと難しいのではないか。私立はそういういわゆるコンソーシアムみたいなものが,系列の学校を持っているような場合でなければ難しいのではないかか。

○確かに,私立は公立よりも難しいかもしれないが,今回のこのアドバンスというのは,それを超えてやってもらえるところを求めている。現状でもいくつか他の私立も含めてやっている事例はある。

○審査に関して,元々一生懸命やっていたので,この事業でこの資金が来て何かすごく変わったかというと,元々やっていたことだ,という学校も多かったような印象を持った。やはり学校にとっては,スーパーグローバルハイスクール認定というのは,学校にとっては生徒を集める上でも学校のカラーを出す上でもとても強力なので,アプライもニーズは大きいと思うのだが,そういう点をどう見ていくべきなのだろうか。事業を一生懸命行ってもそれによって本当に変化が生じていないのだったら意味があるだろうか。元々ある程度やっているようなところをどう見ていくべきなのかというのは,ちょっと気になっているところである。

○スタートラインが平等でなくてはいけないということでもないので,学校の教育の特色づくりとして,前からそういうものに投資したのが例えば保護者負担であっても同窓会が出していても,それはそれでグローバルなハイスクールとして評価すべきではないか。スタートラインまでをヘッドスタートみたいにすることは必ずしもないかと思うが,その辺は意見が分かれるかもしれない。

○しかし,そういう例がたくさんあるのであれば,さらにその上にこのSGHの資金と位置付けでどういうことができるのかというところをしっかり書いてもらって,審査する側も今後は採点をもう少し厳しくすればいいと思う。結果が出ているけれども元々やっていて,それに対して上澄みの部分がどれぐらい達成されてきたか,というところを評価すべきだ。

○スーパーサイエンスハイスクールとの間での事業が二つあるということについて,その在り方をきちんと整理すべきではないか。こちらは文系だけで,理系の子が受ける支援はスーパーサイエンスでというふうに切るのもちょっとおかしいという気もするし,やはり本当はそこを整理して事業を組んだ方が,本当はいいのではないかと思う。

○最後に、事務局より今後の開催スケジュールについて説明があり、閉会した。

以上

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