スーパーグローバルハイスクール(SGH)事業の検証に関する有識者会議(第6回)議事要旨

第6回

1  日時

平成30年6月27日(水曜日)14時~17時

2  場所

筑波大学東京キャンパス文京校舎 4階 432講義室

3  出席者

帯野久美子委員,萱島信子委員,河村小百合委員,田代桂子委員,永井裕久委員,二宮皓委員,松本茂委員
長尾篤志視学官,小幡泰弘国際教育課長,佐藤由郎室長補佐,矢田裕美係長

4  議題

(1)有識者よりの発表(事業検証速報)
(2)討議
・検証結果を踏まえ,成果や課題について意見交換
・今後の事業の方向性の確認

5  議事録

○SGH事業の検証結果の速報について検証機関より発表があり,その後検証結果を踏まえて,SGH事業の成果と課題について意見交換が行われた。
○今後の事業の方向性について,事務局より説明が行われ,それをもとに意見交換が行われた。


【検証結果について委員等からの主な意見】


○効果を見るときに大事だと思うのは,入学者が変化したから,要するにSGHがある意味看板になって入ってくる段階で優秀な生徒が増えたのか,それとも,やはり入ってから,高校は3年間でこのプログラムを使って何らかの教育が行われて上がったのかという点は見極めが必要ではないか。要するにこのそれぞれの地域にいる子どもの中でそういう潜在的な資質の高い子をピックアップするためのプログラムというだけで終わってしまってはいけないのではないかと思っている。

○コンピテンシーの重要性については,上がったところを重要だというふうに言っているとも考えられないか。なぜ重要度に差がつけられるのかなというのが正直な疑問だった。

○国立・公立・私立の比較については,それぞれの学校が目指す教育方針が素直に出ているのか,先生方の資質によるところなのか,それをどれぐらい受け止められるような生徒が入ってきているかということも影響するのかかもしれないと思う。

○考え方が根本的に間違っているのかもしれないのだが,SGHに採用された年次があって,一番最初に手を挙げた方がより一層熱心で,2年目と3年目の方が,それに比べると熱心さがちょっと低いということはないのか。

○熱心さの指標というのは特にないが,先発効果,後発効果というのがあって,最初からいきなり変えるというのはやはり難しいのだと思う。既存のものを変えるということはもうできているのだけど,比較的新しいところは,既存のものに手を付けるよりは,むしろ新しいものを作っているというところがこの結果からは言えるのではないかということである。

○CEFRの結果について,やはり学校教育だけでは語学というのは無理で,経験が必要であるので,予算が付いて海外に出て,特にアジアに行った子のインパクトが大きいように思う。英語に関して日本よりレベルが高いので,刺激をものすごく受けて帰ってきている。今までは海外研修なんか全くなかった学校が,SGHになったことによって始まったというところも増えているので,どこに行こうが,外に出ていって英語を使ってみる,自分の力を初めて知るというのはいいことだと思っている。学校の英語というよりも,英語で何かするという体験が今まで少なかったのでよかった。英語を学ぶというより英語でやるというのがアジアに行っても当たり前なので,シンガポール,ベトナム,どこへ行っても,圧倒されて帰ってくる。

○大学に対してSGHのプログラムを受講した学生が新入生でどこに誰が入ってきたかというデータを持ってもらうようには頼めないか。やはり大学でさらに伸ばしていただくということを考えたときに,あるいは誰がその学生だったかというのが分からないままに大学が受け入れてはいけないので,やはり特別にAO入試等で受け入れてくれたところはいいかもしれないが,担当の副学長に対してもう少し高い要求型のインタビューをしてみていただいて,自覚してもらうというのはいかがか。

○SGHの出口が,例えばスーパーグローバル大学へつながる出口もあるし,世界の大学に直接つながる出口もあろうが,そういう出口の多様性は一体どういう要因で分かれていくのか。こう考えるときに,カリキュラムがひょっとしたら分けるのか。あるいは海外研修というカリキュラムが分けるのか。SGHが育てるものは一体何なのかという辺において何かこのデータは使えないものなのか。

○このデータをむしろ見てもらいたいのは,大学の入試,アドミッションだと思う。そういったことが十分理解されていないというのが一番の課題ではないかと思う。次のステップというのは大学ではないか。そうしたときに,どういう能力が育成されていって,それを大学が育成する人材像とマッチするのかどうか。それによって次のステップにつながっていくということだと思う。大学は,自校の入ってきてもらいたい生徒像,それから新しくいろいろなところでグローバル人材育成のためのカリキュラム開発というのがなされているし,大学によっては将来フォーチュン500に何%輩出するのだというところのキャリア目標も持っている。ただ,入り口のところというのはうまく連動していないというのは印象だと思う。だから,そこは一緒にやらないと,高校だけで一生懸命やっても,結局は入試という壁があるのでそれに合わせるしかない。高大がうまく協働してやれれば,高校でやったことがそれにつながって,さらに伸ばすことができるのではないかと思う。今回,SGUの副学長と話をして,そういうのはもっと高校の方から言ってきてくれるといいのだけどなという意見もあった。これだけ少子化になってきているので,手厚く人材を育成していくためにはやはり高大がコミュニケーションを取って新しいプログラムを作っていくということが緊急の課題ではないかと思う。

○今のお話のさらに続きを言うと,入社する人材というのも,企業側が今まさしく新卒採用している最中なのだが,自分たちが欲しいグローバル像はあるのだが,どういう人材を採ればいいというのはまだ迷いがあると思うので,同じだと思う。

○継続に向けた必要性に関して,可能であるが支援があることが望ましいというのが,6割というのは随分余裕があるように思うのだが,これは私学と国立,公立で違ってくることはないのか。


【今後の事業の方向性について委員等からの主な意見】


○今123校がある意味一つの基準で評価やお金の出し方も含めて,同じようなやり方でやっているということで,やはり学校の種類,やっている目指すべき方向が違うという中で,やはり目的をしっかり明確にしていく方が,申請の際に求める要件としてもはっきりし,各学校で取り組むべき内容も明確になり,それに対する評価もはっきりしてくるのではないかということが大前提にあると思うが,その辺はどうか。

○基本的に,前回の会議で二つのタイプ,タイプA,タイプBがあっていいのではないかというところは,多くの委員の意見の一致を見たところかと思っている。問題は,ではタイプAはどういうもので,タイプBはどういうものかといったことについてしっかりと議論しておかないと次に進めないという段階で終わっている。

○大きく分けて二つの方向性に分けていくというものでいいのではないかと思う。中身を見るとアドバンス型はやはり相当レベルが高い。どこでもできるような話でもない。でも,やはりこれぐらいのことができるのであれば,国費投入の説明もつくであろうし,これに相応する内容で実績を上げて,事後にも報告して示していかないと,これは使うことができるようなプログラムではないですよということがはっきりすると思うので,これぐらいはっきり書いていただければいいのではないかと思う。リージョナル型の方も,やはり自分の学校だけではなくて,同じ近くにあるような同じ県にあるような地域の学校との連携とか,地元との連携,もう少し広げて地元の都道府県という書き方をしてもいいかなと思うが,そういうことをきちんとやるということで,アプライしてもらうということを打ち出すというのは非常にいいと思う。

○SSHのイメージというのは科学技術人材みたいな感じで,例えば東工大に行きますみたいなそういうイメージが分かりやすい。SGHは,まさかみんなが経済学に行くわけではないし,公共政策をやるとも限らないし,あるいはすぐに官僚になるわけではないし,いろいろな分野に行く可能性がある。それで,SGHは文系型なのかということを自問自答したときに,どんなイメージをお持ちか。

○文科系とは限らないと思う。結局全ては伝える力が大前提になっていると思う。その伝える力は,もちろん英語力もあると思うが,そもそも伝えたいというのがすごく大切で,あとは伝える中身が必要だと思う。結局は伝えようという力だと思うが,そこのノウハウは,プレゼンテーション等があると思うが,何かいろいろな項目があって,その項目を整理すると二つに分かれるのかなという気がする。そういった意味では,理系とか文系とか関係ないような気がする。

○企業の採用のときになかなか大学で何を学んできたのかというのは見えないもので,どの高校出身ということもかなり評価されるのだが,そういう意味でSGHというのはまずご説明から始めないと企業には認識が低い。何を求めているかというよりは,まずはまだSGHが浸透していない。

○極端なことを言うと,SSH,科学の方の例えばロボットをやっていたという子がSGHでそれをグローバルに広げたいですとか,何かいろいろな組み合わせを考えることも含めると,理系・文系と分ける必要はないような気がする。だから,科学の方はロボットをやっている人で,世界の平和,世界のみんなのためにこの技術を使いたいという発想が起きる子はSGHなのかなと思う。

○SSHがあるから文理に分けるというのではなく,やはり一本化してやった方がいいし,SGHには理系に進むつもりで問題意識を持っている生徒も結構いる。そういう子どもたちを排除してこれだけやれと言われると,それもおかしな話だと思うのであまり限定しない方がよいのではないか。医療にしろ,農林水産業にしろ,突き詰めていけばどんどん理系の話がいっぱい入ってくるわけで,そこは本当であればできれば一緒にするような形でやっていく方がすっきりと思う。

○文系と限定するとどうしても英語力などがクローズアップされてしまう気がする。もちろんコミュニケーションのツールとしての英語はあると思うが,英語を別にあえて前面にあまり出さない方がよい。

○ただ,高等学校のカリキュラムが,やはり普通科でもみんなが同じことを学ぶのではなくて,2年生,3年生で分かれてしまう。どの生徒をターゲットにしてこういう力を特に付けてもらおうというときには,やはりSSHはSSHなりのターゲットでなくてはいけない。そうするとSGHは普通科全体ですよというわけにもいかない。では文科系なのかといったら,そうではない。将来医学をやる人たちも学んでほしいと思う。その辺の網のかぶせ方と特色というか,そのポイントのターゲットの絞り方を上手にやっていかないといけない。

○実際SSHとSGHが重複している学校を見てみると,今までSSHをやっていて理系の子が対象になっていて,文系の子もその学校にいて,その子にも対象にさせたいからSGHをしているといった雰囲気も感じる。学校からすると,両方の授業をやるのというのはすごく先生方の負担もあるのではないかと思う。そこは,どちらか特化してちゃんとやってもらいたいという気持ちもある。ただ,であればなおさら理系分野のSGHというのがあって,そこはSGHとしてそれを特化してしっかりやってもらうというようなこともあり得るのかなと思う。

○リージョナルなタイプについては,海外との連携といったときに,姉妹都市をベースとした連携がいいのではないか。関係がないのにみんなハーバード大学とかボストンに研修に行ってしまうというのではなくて,姉妹都市に勉強に行って地域で活躍するとか,グローバルな問題が姉妹都市との連携の中でどう解決するかとか,そういうのはイメージとしてはいかがか。

○海外研修の例を見てみると,国内の課題研究と海外の研修がしっかりリンクしていないところが多く見られる。国内の課題研究と,それを海外のフィールドワークでまさにそれを深めてくるというのがSGHとしてあるべき姿である。しかしそこがなかなか結び付いていないのは,非常に課題である。もちろん姉妹都市としてしっかりとした交流ができているようなところに,それなりの課題研究を受け入れる要素があるのであれば,それは当然それでいいと思うが,姉妹都市とSGHが必ずしもつながるわけではないと思う。姉妹都市の実態を見てみても,首長が代わるとあまりつながらなかったり,形ばかりの姉妹都市も多いと思う。だから,姉妹都市に限定する必要はないのではないかとは思う。

○姉妹都市等があればいいが,そうではないところもある。そういうところは,それこそJICAに相談したりして,きちんとテーマと合うようなところを探すこともできると思う。

○この分け方をするとしても,アドバンストとリージョナルと分けると,地方はリージョナルで都心はアドバンストといった印象がある。

○アドバンストははっきり言って,とても難易度が高いので相当少数に限られるのではないか。

○今の時点でなかなかないにしても,そこまで伸ばすというのがまさに国としての仕事ではないか。またそれぐらいの明確な目標を位置付けて示せないと,どうしても中途半端な取り組みになる。ここまで全部できないにしても,このうち6割,7割ができますという約束を申請時にさせてもらいたい。

○恐らくこのアドバンスト・プレイスメントとか,国際会議とかということになると,非常に難しいと思うが,それ以外は今のSGHの中でもしっかりやっているところはやっているような事柄かなと思う。ただ,アドバンスト型というのはそういったところまで目指して,少なくとも何か高校生のフォーラムなり会議をするときに海外の高校生を混ぜてやるというような形でやってもらうぐらいはできるのではないかと思う。

○大学との接続がもっともっと進むべきだ。先ほど大学の意識も高校側が言ってほしいと思っているということも言われてたが,やはりアドバンスト型であれば本当にどこかの大学が非常に密接な今以上の結び付きを持ってやっていただく必要が出てくるのではないか。

○逆にアドバンス型はもっと要求水準を高くしてもいいということになるか。もっとユニークなというか,新しいことにも挑戦してもらえるような,そういう高等学校がここにチャレンジしてくるということになろうか。一部トップ型、つまり,いいところ,クリーミイな部分を抽出する感じになる。

○ここの表現でいうリージョナル型のタイプは,自分の学校だけではなくて,他の地域の同じ県の学校も巻き込んでというところが大事なのではないか。やはりそれはどこか一部の学校に行っている高校生だけが上がればいいという話ではなく,こういう時代なのだから,地域全体として周りにもつなげてほしいということを明確にすべきだ。

○高校に関しては,地域はすごく大事だと思う。トップとその他ということではなくて,高校は全国的に数も多いし,地域によって目的も違うので,きちんと考えていく必要があると思う。地域に将来国連の職員になどといっても全然イメージが湧かないし,何のためにグローバルをやるのかというのは不明確なままでやっていると思う。地域に必要な人材というのは,具体に言うと起業するとか,今までの既存の伝統の産業を新しくリニューアルするとか,そういう新しい発想を持つ人材だと思う。それは,地域で生まれて育っただけでなく,いったん世界に出て,世界を見て,どんな地方にいても,世界を意識しながら仕事のできる人が必要だ。アドバンスト型,トップ型というのが別に東京に限らないにしても,地域では目的が違うということは意識して,地域貢献型とか地域創生型とかそういうふうに分けた方がよいのではないかと思う。そうするとなぜ地域でSGHなのか,なぜ地域で世界を学ぶのかということが日本全体に明確になると思う。

○地域のリーダーを育成するという意見はその通りだ。しかし,実態を見ると,SGHで学んだ生徒たちは,関東などの大都市圏の大学へ行って地域に帰ってこない。しかも,大都市圏に行って関東に行った人たちは大企業に入りやすい。そしてますます地域が遠くなっていく。だから,地域のリーダーというのはどういうものか。世界にいながら地域のバーチャルなリーダーならいいが。

○そういう流れはいずれ変えないといけないし,今それがようやく時代に明かりが見えてきたところだ。だから,やはり地方から東京に流れたらもう帰ってこない,地方にはチャンスがない,仕事がないという考えは変えていかなければならないし,それを変えていく人材をここで育成していくということが大事だと思う。地方には雇用はなくとも仕事はある。そういうことのできるモデルも必要だと思う。それが地方におけるSGHの使命だと思う。

○アドバンスは首都圏でリージョナルは地方というようにどうしても聞こえてしまうのだが,そういう分け方でいいのか。やはり日本全国にグローバルリーダーの資質を持った生徒が、地域拠点となるような学校があると思う。それともう一つは,情報交流とか人的交流の場をインフラとして与えてほしいという意見もあるので,地域にあるベストプラクティスをこの5年なり,4年なり,3年で作ってきた学校が,そこでコンソーシアムを立ち上げて,そこで共同で何かをやるという発想というのはないのかなと思う。もう一つの切り口として,教員の養成というのはすごく重要だと思う。今,こういうことをやりましょうとか海外に派遣しましょうという話はあるが,実際教える先生の教育というところは,ほとんど手つかずではないかと思う。もし地域ごとにそういったコンソーシアムができるのであれば,共同して何か教員研修みたいなこともできる。また,標準化というのが必要だと思う。これだけ5年間にやってきて,それぞれ玉石混交だと思う。そのときのベストプラクティスみたいなものを今集めるというのが,次の作業だと思う。研究開発で言ったら,今,基礎研究がちょうど終わった段階。次の研究というのはやはり開発研究で,そこで出てきた成果物,ベストプラクティスを持ち寄って,この地域だけではなくて,よそにも普遍化できるようなベストプラクティスというのをまずは集約する。それとともに各地域ごとに拠点を作ってコンソーシアムを立ち上げて,そこにいる先生たちも関わるというようなモデルづくりというのは大事ではないかと思う。その中で,やはり標準化の部分と,それから地域に必要なニーズみたいな部分というのはある。グローバルリーダーの資質の3分の2は,どこの国に行っても共通である。残りの3分の1というのはリージョナルで,同じことはやはり国内でも言えることであって,日本国内で日本型のグローバルリーダーというのは恐らく3分の2は一緒だと思う。だからその部分は一緒に開発する。だけれども,3分の1はそのコンソーシアムなんかで自分たちでディスカッションして作っていく。なおかつ,やはり教員を育てる。グローバル人材を育成できる教員を育てるというのは,やはり次のSGHの課題だと思う。


【評価や指定の在り方について委員等からの主な意見】


○仮の名称でリージョナルとなっているタイプについて,これを指定するときは,やはり学校単位なのか。地域への普及ということを考えると,教育委員会単位で指定ということはあり得ないことなか。

○複数校指定というものがある県の全ての高校ですとなると,それは数として多すぎるイメージもある。幾つかを指定する中でどこか拠点となる学校が必要ではないかというイメージである。

○例えばある県で実際の指定校はその中の3校とするイメージで県として責任を持ってその3校を中心にして県内に効果が及ぶようにやるということを約束に指定する。しかし予算を付けるのは,県単位の方がよくないか。特定の高校だけではなくて地域全体の底上げというか,その地域全体の高校生の底上げにつながるようにと考えたときに,たくさん指定校を挙げた県や府の方がいっぱい予算が来るとかというのもちょっと変な気もする。

○このプログラムが研究開発や教育課程の中でどういうカリキュラムを,海外フィールドワークを含めて作るかということなので,そこはやはり指定された学校がしっかりやっていただく必要がある。教育委員会はそれをサポートしていく関係にはなると思うが,このSGHの事業をこの学校で進めるに当たってその成果をどう広げていくかというところは都道府県教育委員会の事業にはなると思う。

○やはり国費の投入なので,たくさん指定校を挙げて申請した方がたくさん国費をもらえるというのはよくないと思う。その辺をやはり明確に示さないと不公平さがある。

○アドバンスとリージョナルの予算の配分はなかなかやはり難しいところがあると思う。リージョナルの方にもっと手厚くしてもいいのではないか。アドバンスは,その代わり,やるとしても学校の数をもっと絞るというのならともかく,結構な数がアドバンスで指定されて,地域への波及というのがあまりマストにもなっていないのに,アドバンスだからたくさんというのはちょっとどうか思う。いろいろな受け止め方が多分出てくると思うので,国としての限られた国費をどう投入していかに効果を上げるかということと,やはり国全体の税金でもあるので,やはりみんな政策目的に対して自分たちの税金がどう使われるのが効果的であり,かつある程度公平でなくてはいけないので,そこは何かうまく仕組みに配慮をお願いしたい。

○ある県の単独1校だけがこれをやるのではなくて,もう一つか二つの高等学校を,普及の観点だけではなくてカリキュラムを開発する観点からもその地域を挙げてサポートしてもらうというのがよい。税金を使うという観点から見ても地域の人は納得もできるし,1人,2人は他の高等学校からも参加していいといったような,もうちょっとオープンな感じであるべき。まさに大学はスタートのときにそうしないと税金を使うべきではないのではないか,特定の大学の利益だけになってしまうのはよくないのではないかということを議論させられた。

○今,アソシエートはどういう役割というか,どういう機能を目指しているのか。アソシエートとどういうふうな協力体制があるかというのは,評価の観点に入ることになるのか。

○学校として他のアソシエートと協力関係をということはもちろんやれたらやらなければいけないのだろうが,例えば都道府県でSGHの高校とそれ以外のアソシエート,またアソシエート以外も含めて,もっと連携について考えていただきたいところは今回5年間の検証をしていく中で大事なところなのではないかと思う。SGHという事業で完結してしまっている都道府県が多いので,それを域内に,例えば高校生フォーラムのような一つの効果を他の生徒に広げる,また,教員に対するセミナーだとか,そういったことを教育委員会としてしっかりやっていただくことがこのリージョナル型の要件の一つである。

○学校同士が協力してという考えと,コンソーシアムという考えはかなり似通った,近づいている考え方だと思う。両方できれば一番いいのだろうが,今回の案は今のものをどうやってモディファイするかという話で,かなりドラスチックに違うと思う。

○包括できると思う。一つの都道府県の中の複数の高校が一つのリージョナルコンソーシアムを作る。一つの拠点形成をして,その中に複数校が参加すれば,これまで5年間作ってきたベストプラクティスをまず共有することができる。それと,先生の研修というのはすごく重要だと思うので,そのコンソーシアムに一つでも二つでも連携大学が加われば,そこで縦の連携というのができるのかなと思う。やはり若い先生たちを育てるというのは1校ではできない。しかし,複数校が集まることによって,あるいは大学との高大連携を構築することによって,より効率的にできるのではないかと思う。

○その点で言うと,今回のSGHの予算というのは,教員そのものが学習するという研修費用にするというのは,非常に使いにくいということをよく言われる。教員が「セミナーに出ます」と言って,生徒を連れていかない限りにおいては非常に難しいと聞いている。いずれにしても,生徒の海外費用で使ってしまっているという面もあるかと思う。

○AにしろBにしろ,グローバルマインドの資質は全員必要だという意見には賛成で,基本的にどんな学校であろうとグローバルな資質というのは必要な時代になっていると思う。だから,グローバルリーダーを育てるのか,グローバルリーダーシップを育てるのかということによって,随分違うなと思っていた。ただ,県立の進学校のような学校から日本を引っ張っていく子が出てくることを考えると,リーダーの育成も重要なのかなと思う。だから,全員よりも学力の高い子に焦点を合わせて少ない予算を投下していくというのはありなのかなと思った。名前はどうであれ,そういう発想は悪くはないかと思うのだが,基本的に高校というのは受験の結果を出すことに今はもうきゅうきゅうとしているので,この予算を投下しても,本来はグローバルリーダーを育てるための研究開発,カリキュラム開発ということになっているのだが,やっていることというのは1科目を変えているぐらいで,何が変わるのかなという感じがする。だからゴールからカリキュラム研究開発をなくしてしまってもいいのではないかと思う。どういう体験を積ませるかだけというのもありなのかなという感じがする。もう少しこのSGHで何を達成するのか,ゴールを明確にしないと成果は上がらないと思う。

○大体何校ぐらい目途ということは考えなければいけなくなると思うのだが,それは学校の数を先に議論するよりも,やはり限られた予算があるときをどれぐらいのレートで二つのタイプに使うかということは,少し議論しておいてもいいのではないかと思う。やはりどちらかというとリージョナルの方がこういうSociety5.0の時代なので,多分国全体の理解は得やすいと思う。そのときにそれぞれに何対何だったらよいのか,そうすると1校当たり,申請の中身によって実際に交付される金額が違ってくるとは思うが,標準的に考えて大体幾らぐらいとか,一つの県当たり幾らぐらいということを考えていったときに,ではそこから逆算していってRの方が大体何十校ぐらいとなってきて,Aの方は何十校かと考えた方がよいのではないか。

○やはり生徒に体験させるとか感動させるとか実感させるというのはすごく大事だなと思うのと,海外に出ていくとかいろいろな国際会議みたいなのを自分たちで開催していくとかというのは大事だと思うのだが,高校でやっていらっしゃる先生方が非常に大変だなという感じがする。でも,どうしても経費の問題もあるので,実際に連れていくのは5人とか10人とか結構少ない数である。 そうすると,例えば学校間で協力してそういうプログラムを作ったりとかすれば,既にやっていた学校がその中で核になって入れば,コンタクトも既にあるし,そういうことを各学校がゼロから努力してやるよりも,共同のプログラムで組んでやることで,もっと楽にできるし,経験も学べるし,そこの経験がまた横に広がる可能性もある。人が異動しても,残る人たちがいる可能性も多くなってくる。やはり体験させるようなことをカリキュラム開発となるとしても,それも学校ごとでも独自にやるのではなくて,経験の共有だとか共通のプログラムを一緒にやるということはもしかして現実的でかつ効果的,効率的なのかなという気がしている。


【関係機関との連携,ネットワーク,情報発信,共有について委員等からの主な意見】


○やはり一つは高大連携をもう少しSGHの意義や,次のステップとしてのグローバル人材育成という観点から,大学が入ってくるような仕組みづくりをした方がいいと思う。もし先ほどのコンソーシアムであれば,そこが提携しているような大学は登録してもらうとか,そこと一緒に共同研究をやるとなれば,恐らくチャネルができるので,高校教諭向けのワークショップみたいなものも開催しやすくなるのではないかと思う。

○コーディネーターというのがすごく大事なことだと思う。大学も本当にコーディネーターで回っているようなものである。高校は全く置いていないところもあって,先生方は忙しくてしょうがないという。ノウハウもそれほどあるわけではないのに,海外も国内も全部情報をとか。それはコーディネーターが要ると思う。教育研究コーディネーターというようなポジションを,アジアの高校なら大体置いている。それとは別に,進学の相談をするコーディネーターも置いているケースも,アジアの高校である。日本は今,先生が全部やっている。そういう中でSGHではなくてコンソーシアム,冗談ではないというふうになってしまうのではないか。

○SGHの場合手を挙げているのは誰かという話は,例えば県から「お宅が出しなさい」というケース,「お宅は出さないでください」というケースと,それから校長が「うちはやりたい」と言っても先生は誰も付いていかないというケース,先生の中からやりたいと言っているケースとかいろいろあるので,その辺も考慮しないといけない。何か申請を勝ち取ったらどこかへ行ってしまうというケースがある。県に対して与えるのだったら,やはりそういう人事計画もある程度のものがないと話にならない。

○コーディネーターのこと,それから教員の研修。ただ,こういう時代なので,次のカリキュラムというのを,新しいかどうかは知りませんが,そういう時代にふさわしい高等学校のカリキュラムをどう準備したらいいかということにつながれば一番いいという思いがある。

○やはり国の税金でやっているので,ただ単にそこに今いる子どもたちが海外を経験できるというだけでお金を出すというのはなかなか説明がつかない。この事業をどう広げるのかという面が必要である。やはりカリキュラム開発なのか,モデル事業的なものなのか,その辺はある程度考える必要があると思う。

○例えばこの管理機関と海外機関との連携のレベルとか高度化を要件にするということは,やはりすごく大事なことでいいことだと思う。だから,連携する相手は海外機関だけではなくて,やはりうまくいっているところが企業等と連携して,いい経験を生徒にさせているところがあるという例も実際に見させていただいたので,そういうところも含めてしっかりと連携してもらうということも,覚書を締結できれば一番いい。海外については難しい場合もあるので,JICAにご相談したりということもあると思うのだが,そういう余地はもちろんそれはそれでいいけれども,こういうことはきっちり要件化する。すると,やはりリージョナル型も多分今より相当ハードルが上がる。それでいいと思う。それぐらいにして,やれているところがあるのも実際に幾つも見せていただいたし,効果が上がっているのは分かったので,逆に言えばそれをやってやれないことはないわけだから,できていないところもやってくださいというふうにお願いするのでいいのではないかと思う。多分これぐらい厳しい要件を出すと,次の年度は新しく公募したときにそんなに基準に合うところがないかもしれないのだが,それでいいのではないか。最初の年からそこで大盤振る舞いしてしまうと,基準が一気にぐっと下がってしまうので,やはりきっちり約束できるところに入っていただく。それが多分レベルを保つ一つの工夫だと思うのでぜひこういう要件は入れていただけたらいいかと思う。

○グローバルな社会に開かれた教育課程をどう編み出していただくかといった社会に開かれた教育課程という言葉を入れておけば,何のために海外に行くのだというのも,カリキュラムとして行くのだということが分かっていくと思う。それから,JICAにお願いしたいのだが,前回全員は無理だが,幾つかについてはJICAがスーパーグローバルハイスクールの生徒のために提案できる,あるいは協力できるプログラムがあることを話していただいた。それをぜひ活用したい。自分で作るのではなくて,JICAが持っている例えば地球ひろばのでも,ボランティアでも,あるいは青年海外協力隊員でもいいのだが,そのリソースを活用してこういう機会をオフィシャルに提供するので,それを活用したいところが活用できるようにしたらどうか。高等学校から相談に行っても,今までの経験から無理だと思う。やはり専門的にJICAにとっては意味のあるものを提案していただいて,それを高校生が活用させてもらう。それを作っていただいたら,より高度なものが用意できると思う。それから,世界につながりやすい事例,世界のエージェンシーともつないでいただくことが魅力だと思う。

○これまでユニセフがどうしてももっと小さい子どもを対象にしていた面があるけど,これからジュニア層も広げていきたいという考え方があるということで,何かいろいろできるのではないかという可能性も期待されるし,イオン財団も海外へ高校生を連れていったりしている。そういったところで,イオン財団が目指すべきところとテーマに合うようなコンソーシアムを作っていただけば,何かうちのお金だけではない支援も含めたコンソーシアムというのができるのではないか。

○JICAとしても,平たくいろいろなところと裾野を広くやるというのはなかなか限界がある。何か少しより高度なものを開発していくというようなことにつながればいいとは思っている。既存のプログラムもいろいろあるので,それを少し固定するような形で専用のプログラムのような形にやっていくこともできると思う。

○コーディネーターという話が出たが,日本全体でそういうことをコーディネートする人材が非常に少ないし,そういうものを養成するということもまだまだこれからの部分なので,民間のコーディネーターなんかもあればいいと思う。それが社会に開かれたということにもなると思うので非常に重要なことだと思う。

○コンソーシアムをどういう形でネットワークを組むのかというのが,恐らく申請の基準だと思う。それがどれだけ実現可能性が高いのか,どのくらい広がりがあるのか,それから先ほどのセルフサポートというか自走の部分がどのくらいあるのか。そういうことをやはり精緻に申請書に書かせるということだと思う。その中に,コーディネーターというのも入ってきてどういう人材をどの程度の規模でどういうことをさせるのかということも,やはり計画案の中に書かせて,それのフィージビリティを審査の対象にするということではないかと思う。当然企業の連携というのも入ってくるのではないかと思う。

○企業との連携というときに,そのときの企業も,決して地元でなくてもよいと思う。当然どこかの半島のどこであっても,別に東京の企業でもいいと思う。今はそんな時代だと思う。

○最後に、事務局より今後の開催スケジュールについて説明があり、閉会した。

以上

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