文部科学省における国際戦略(提言) 概要
我が国が「品格ある国家」として発展するための国家ビジョンを確立するにあたり、ソフト・パワーの増強を検討することが肝要。そのような観点から、我が国のソフト・パワーの源泉ともいうべき、教育及び科学技術、学術、文化、スポーツを所管する文部科学省が国際戦略を明確にすることが重要。
この戦略は、文部科学省における統一的な国際戦略をまとめたものであり、今後、文部科学省の国際業務の指針として、幅広く活用されることを期待するもの。
1.世界大競争時代における我が国の国際競争力の強化
1.国家の根幹たる人材戦略
- 国際社会で活躍する人材を義務教育レベルから育成
- 世界トップレベルの外国人研究者の受け入れの促進
- 世界で活躍している日本人の受け入れの促進
- 女性研究者の活躍の機会の拡大
- 優秀な留学生の受け入れの促進
- 留学生交流を通じた人的・知的ネットワークの構築
2.「知」の拠点たる大学及び研究機関の国際競争力の強化
- 大学の国際展開
- 大学の国際化、国際的に活躍できる人材の養成、諸外国の人材養成に資する知的国際貢献、海外での学生確保や留学希望者の開拓等
- 学部・大学院教育の振興
- 学部段階の教育機能の強化、大学院教育の組織的展開、世界的な教育研究拠点の形成
2.我が国のソフト・パワーの増強
1.日本文化の海外発信国際貢献を通じたソフト・パワーの涵養
- 文化的存在感の向上と文化多様性の保護・促進
- 文化財保護に関して、国際的な枠組みにおける我が国のリーダーシップの発揮
- 日本文化の発信と文化財国際協力の推進
- 日本の伝統文化や映画など我が国の魅力ある文化を積極的に海外に発信
2.科学技術・学術交流を通じたソフト・パワーの涵養
- 研究者交流の推進や地域共通課題に関する国際共同研究の推進
- ビッグプロジェクトへの参画における我が国の果たすべき役割の明確化
- 情報発信の抜本的改善
- 海外に情報を発信する意識を向上し、我が国のプレゼンスを高める
- 海外メディア、国内メディアとの連携体制の確立
3.国際社会におけるプレゼンスの強化
- リーダーシップの発揮
- 国際規範の設定における我が国のリーダーシップの発揮
- 我が国の顔の見えるODA協力
- 留学生の受入等を通じた開発途上国の人材養成への支援など知的国際貢献へのODAの活用
- 我が国の教育関係者の途上国の教育開発への積極的参画
4.地域研究の促進
- アジア、アメリカ、イスラム圏などの地域をはじめとして現代的な課題に対応した地域研究を進める。
3.世界的課題の解決
1.科学的データをベースにした政策形成過程の強化
- 科学コミュニティーによる科学的データの妥当性の検証の制度的枠組み
- 予測可能な課題に対する科学的データに基づく我が国の貢献
2.持続可能な発展に向けての我が国の役割
- 地球環境問題や人類と共存し得るエネルギー源の確保、資源保全などの世界的課題に対して我が国の世界への貢献を積極的にアピール
4.アジア諸国とのパートナーシップの強化
1.アジアにおける交流の共通基盤(プラットフォーム)の構築
- 科学技術・学術に携わる各層を含めた多層的な交流の推進を通じた、持続的な国際交流関係の構築
2.近隣諸国との大規模な人的交流の促進
- 我が国と近隣諸国との大規模な青少年、教員、行政官、文化人の交流やスポーツの交流の促進