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平成16年度「拠点システム」運営委員会(第1回) 議事録

平成16年5月20日(木曜日)14時〜16時15分
三菱ビル地下1F M1会議室

1. 開会〔潮木委員(座長)〕

2. 文部科学省挨拶(村田国際課長)
 本日はお忙しいところお集まりいただき感謝する。昨年度、文部科学省は、途上国に対する初等中等教育分野等の協力強化を目的とした拠点システムを構築し、体系的な教育協力を実現するべく、関係機関グループによる活動を推進してきた。本日は平成16年度初回の運営委員会として、前回の運営委員会でご了承いただいた各課題に関する実施計画(案)を中心にご審議いただく。
 本年度は、第一に主力分野において、15年度に行ったこれまでの協力経験の整理をベースに、具体的な協力モデルの開発に主眼が移る。各担当におかれては、完成度の高い協力モデルとするためにも、途上国や、青年海外協力隊で活躍する現職教員等、利用者の視点に立った取りまとめを、一層お願いしたい。第二に、経験の浅い分野においては、15年度に整理した日本の教育経験をもとに、途上国調査等を通し、教育協力を観点とした日本の経験の抽出、協力モデルの提案に重点がおかれるが、各担当におかれては、途上国との対話によって途上国にとってより有益なものとなるようご配慮いただきたい。第三に、情報発信機能としての電子アーカイブは、15年度の基盤整備を終え、本年度の本格始動を目指している。ジャパン・エデュケーション・フォーラムとともに、拠点システム事業の成果を効果的に普及していきたいと考えている。
 拠点システムを推進する上で、JICA(ジャイカ)、JBIC(ジェイビック)等の援助機関、国内大学、NGO、民間企業など、幅広い立場の方々の知見を結集して進めていく必要がある。こうしたネットワークを拡大するとともに、より緊密なものとするためには、関係機関相互の協力は、必要不可欠と考える。運営委員の皆様におかれては、これまで同様、引き続き、ご指導を賜りたい。

3. 平成16年度拠点システム構築事業実施方針(行松国際協力政策室長)
 平成16年度拠点システム構築事業実施計画の説明に入る前に、文部科学省として考える重点事項等方針をご説明する。本年度は、事業開始2年目であり、各課題からの具体的な成果が期待される。そこで、一層、途上国協力に資するために、拠点システムで得られた成果の活用と改善という点が、重要な課題であると認識している。すなわち、得られた成果をどのようなに活用していくかということと、その活用を通じて、いかに、より完成度の高いものとするのか、という点を、重視して取り組んでいきたい。
 第一に、途上国との対話の促進が挙げられる。利用者の視点に立った、質の高いモデル開発という点では、途上国との対話を通じた情報提供・成果普及が重視される。既に本年度実施計画に組み入れている課題も多く見受けられるが、各課題の成果について、途上国で実地検証を行うことや、国際ワークショップで成果を報告することなどを、積極的に進めていきたい。
 第二に、JICA(ジャイカ)やJBIC(ジェイビック)との連携促進が挙げられる。協力経験の共有化という点では、JICA(ジャイカ)などの事業を通じて得られた経験が大半である。また、当事業の成果(協力モデル等)は、援助機関の事業を通じて具体的に還元されることが期待されており、そのためにも利用者の視点に立った、いかに役立てるかという観点からとりまとめることが必要となる。このような意味で、当事業開始時より、JICA(ジャイカ)、JBIC(ジェイビック)との緊密な連携をお願いしているところではあるが、当事業の成果の効果的・効率的な活用という点から、今年度は、協力経験の集約やモデル開発等、具体的な局面で、JICA(ジャイカ)、JBIC(ジェイビック)から、ご提言等をいただければと考える。まだ初期的なアイディアの段階ではあるが、例えば、課題のとりまとめ状況を見ながら、JICA(ジャイカ)、JBIC(ジェイビック)の参加を得て、各課題の成果を中心にレビューの機会を設けることも一案と考える。
 最後に、重要な点として、情報発信機能としての電子アーカイブとJEFの今後の運営を検討し、十分な活用を図るということである。電子アーカイブについては、現在、一般公開に向けて作業を進めているところであるが、2つの点、1著作権の管理と、2利用の在り方(どの範囲にどうやって知らしめるか、電子アーカイブ(含む掲載データ)に対する意見への対応、モニタリングによるデータの質の確保)等について、検討を進めたい。JEFについても、拠点システム成果の報告、普及を中心に考えつつも、日本の国際教育協力という観点から、国際フォーラムにふさわしいテーマの選定が必要と考えている。これらの論点を含め、今後の運営について、各々の課題担当と相談しながら方針をまとめ、改めて運営委員会に諮りたいと考えている。

4. 議題
(1) 平成16年度拠点システム事業計画(案)について
1 実施計画(案)説明
各課題担当者から平成16年度実施計画(案)について資料1に基づき説明。
主力となる教育協力分野に関する課題
日本の教育経験に関する情報の整備―教育経営・教員研修分野を中心として―
(筑波大学佐藤助教授)
算数・数学における協力経験のモデル化と教材開発、協力推進事業(筑波大学礒田助教授)
理科における国際協力経験の共有化と理科教師実験技能育成のための映像教材作成
(筑波大学中田教授(代理))
教員研修制度プロジェクト等に関する協力経験の集約(広島大学石井教授)
発展途上国における教育セクター分析の手法開発研究(早稲田大学黒田助教授)
教育援助プロジェクトの評価手法の開発(広島大学石井教授)
住民参加型学校運営に関する教育協力についての調査研究事業(JNNE片山代表)
紛争解決後の国づくりに係る教育計画モデルの開発(大阪大学内海教授)

協力経験の浅い分野に関する課題
学校保健分野に関する教育協力についての調査研究事業(大妻女子大学大澤教授)
開発途上国における障害児教育分野の教育協力モデル開発に関する基礎的研究
(筑波大学中田教授)
環境教育の教員研修にかかわる途上国との国際協力プロジェクト開発研究
(東京学芸大学原子助教授)
発展途上国における環境教育支援のための実践事例データベースの作成(宮城教育大学村松教授)
幼児教育に関する途上国協力強化のための拠点システム構築(お茶の水女子大学酒井教授)
途上国における家庭科教育の推進(日本女子大学天野助教授)

情報発信等に関する課題
派遣現職教員支援と支援ネットワークの形成による支援方法の拡充事業(筑波大学礒田助教授)
情報発信のための電子アーカイブ(e-アーカイブス)開発・管理事業(筑波大学礒田助教授)
Japan Education Forumの開催(広島大学石井教授)

2 質疑応答
主力となる教育協力分野に関する課題
(伊藤委員)  紛争が終結した国への教育協力は国際社会で現に必要とされる課題である。緊急、復興、開発といった各段階において、各種援助スキームが一体となった協力が望まれており、そうした意味で、大阪大学による「紛争解決後の国づくりに係る教育計画モデルの開発」に期待したい。

(潮木座長)  成果のなかで、CD-ROMなどを是非みたいと思う。これらは外部に発信されることによって、よりよく改善されていくと思われる。

(牟田委員)  電子アーカイブによる情報発信は国内のみならず国外も対象としている。成果の英訳を予定しないものについては、せめて要約だけでも英語化する必要があろう。積極的に外国に対して日本の行っていることを紹介していくことが望まれる。

(潮木座長)  英語化は必要。ただし事業予算の関係もあるか。

(行松室長)  少なくとも現地で使用されるものについては全て英語化する予定である。

(片山委員)  拠点システム事業スパンはどのくらいと考えられるか。

(行松室長)  昨年、運営委員会に示した基本計画のとおり、主力となる教育協力分野に関する課題としては、個々の課題にもよるが、概ね平成15〜17年度にかけて、協力経験の共有化と協力モデルの開発、試行、改善を行い、平成18年度以降、実際に協力に活用されていくことを計画している。

(潮木座長)  明治以降130年にわたる日本の教育経験を世界に発信する絶好の機会である。継続的に事業が進められるべく予算の確保をお願いしたい。いずれにせよ、事業の成果が期待される。はじめから質の高い成果を上げることはなかなか難しい。各方面からの意見を踏まえながら徐々に質を高めていくといった姿勢が必要であろう。

(荒木委員)  大阪大学が進める課題は、かなり差し迫った課題といえる。他の援助国の協力事例等、ケーススタディが重要と考えられる。

(内海教授)  実施計画(案)の3カ国を対象とした海外調査で行う。

(荒木委員)  紛争が終結した国に対する教育支援は文部科学省が政策として進めており、大阪大学による成果がこれに反映されると考えてよいのか。

(内海教授)  文部科学省に設置されている関係支援チームやJICA(ジャイカ)とも連携しながら研究、開発を進めていきたい。是非、政策に組み込んでいただけるような課題成果を上げたいと考えている。

協力経験の浅い分野に関する課題
(伊藤委員)  学校保健の課題における分野別の具体的な取り組みに期待する。戦後、日本は学校教育の普及・整備を目指すなか、保健衛生に関する教育や指導を行ってきた。そうした日本の学校保健分野での取り組みや経験を、我々(日本人)の固定的な理念や知識に偏るのではなく、開発途上国の人々の視点に立って取りまとめていただきたい。図や絵を取り入れて分り易くご紹介願う。
 幼児教育分野では数多くの国際機関が同様の取り組みを行っている。お茶の水女子大学におかれては、他の国際機関の取組みも調査いただいた上で、日本ならではの知見を成果物に取り入れていただきたい。
家庭科教育分野でも他の先進国の途上国支援の事例を調査する計画だが、是非とも実践していただきたい。

(内海教授)  昨年、アフガニスタンに教育アドバイザーとして赴任していた際、中田委員がJICA(ジャイカ)短期専門家として同地に来られた。現地調査等に加え、教育省・高等教育省・殉教者障害者省などの関係省庁、国内外のNGO、国連機関等から関係者を招き、障害児教育に関する大々的なワークショップを実施した。同ワークショップでは、障害児への教育の必要性が強く訴えられ、関係者間で障害児教育の重要性が再確認された。この流れを受けて、新憲法には、「障害児への教育を保障する」旨の文言が条項に盛り込まれた。
 また、中田委員は同地滞在中にアフガニスタン教育大学に設置予定の障害児教育教員養成課程のカリキュラム策定を進められた。同学科の設置は、このたびUNESCOが発表したAction-Planにも盛り込まれている。これらは、偏に拠点システム事業の直接的な成果であり、この場をお借りして皆様にご紹介させていただく。

(牟田委員)  学校保健分野の課題で実施予定のデルファイ法を用いた調査は、国内に留まらず、是非、国外でも同調査を実施し、事業成果に反映していただくことを検討願いたい。

(佐々木氏)  教育協力以外の分野(テーマ)、例えば、農村開発や女性生活改善員などは、それぞれ、知見やノウハウを歴史的・社会的背景に焦点をあてながら紹介している。残念ながら、現存の教育協力関係の資料については、そうしたものが少ない。
 そこで、拠点システム事業における「協力モデル」「支援モデル」の作成において、日本の経験の背景的な部分を盛り込んでいただきたい。成果物の活用者は、途上国で教育協力に従事する人々、並びに、途上国の政策立案者たちや調査・研究のために日本の大学等高等教育機関に留学している人々であろう。この両者の視点に立ち、日本の教育経験の整理・分析を実施するにあたり、それらがどういう性質(歴史・文化・社会的な背景)のもとに成り立っているのかという観点に留意願いたい。

(潮木座長)  途上国からの我が大学への留学生達と接するなかで、日本の現行の教育制度や教育状況について、彼らにとっては理解が難しい部分やなぜ現状にいたっているのか疑問を持っている点があることに気づかされる。
 現在、当たり前だと思われる事柄も、どのような歴史的変遷を経て現在に至ったのかというプロセスを研究することが重要であろう。

(牟田委員)  途上国の教育協力では、信頼できるデータをどのように収集していくか、収集した情報を中央に集結する仕組みなど、教育統計手法の伝授も重要な課題である。拠点システム事業でも、課題として取り組んでいくことをご検討いただきたい。

(潮木座長)  われわれがEMISといっているものである。日本でも学校教育の整備・拡充段階に、小学校の先生方が各種情報を末端から収集した。途上国を含め、世界各国で最も教員数が多いのは小学校である。そうした意味でも小学校教員の貢献度は極めて高かった。日本の教育統計システムのノウハウを整理し、途上国への教育協力に活かしていくべき。IT技術の革新に伴い、本課題も取り組み易さが高まっている。JICA(ジャイカ)やJBIC(ジェイビック)は、この分野の支援を積極的に進めていただきたい。

(中田委員)  途上国の現地調査を通して、統計調査の手法と共に、なぜ統計調査が必要であるか概念を伝える必要性を痛感した。重要な点である。

(韮澤委員)  先程のアフガニスタン障害児教育の話は非常に興味深い。多岐に渡る障害児教育において、途上国協力で優先されるべき分野は何か。

(中田委員)  特に限定された分野を優先すべきではない。世界的な潮流は「インクルーシブ教育(Inclusive Education)」である。EFAのダカール行動枠組みや、遡って、サマランカ・ステートメントで、障害をもつ全ての児童が教育を受けられるようにすべきだと謳われている。途上国ではいきなり障害児のための特殊学校を設立するのは難しい。そうした点からも、比較的障害の程度の軽い児童を普通学校の教室で勉強させていく、いわゆるインクルーシブ教育が進められるべきだろう。
 インターネットなどのIT技術の革新によって、政府高官レベルはすでに障害児教育に関する質の高い情報や国際的なトレンドに関する情報を有している。それらをどう活用していくかが課題であろう。

情報発信等に関する課題
(伊藤委員)  電子アーカイブの公開の目処は?

(礒田助教授)  公開については、情報の登録数1,000件を目安と考えている。但し、1,000件に満たなくても公開は可能である。

(行松室長)  現時点の登録数は500件ということだが、先ほど述べた諸課題をクリアした上で、できる限り早期に一般公開したい。一般公開に先立ち、運営委員の皆様にご覧いただき、電子アーカイブのよりよい整備・運営に向けてご意見等を伺いたい。

(荒木委員)  派遣現職教員支援事業で遠隔教育をご計画だが、具体的にどのように進めていくのか。

(礒田助教授)  まずは、電子掲示板形式で開始し、帰国隊員と現地に派遣されている隊員を結んでいくことを考えている。

(荒木委員)  遠隔教育・支援については、既に他機関でも取り組んでいる。JICA(ジャイカ)-NetやWB-Netなどがあり、これらを探っていく必要があろう。

 以上、今年度事業については、実施計画(案)に沿って進めていくことで運営委員から了承された。

(2) 平成16年度新規課題候補について
1 事務局報告
 以下の通り事務局から報告。
(報告内容)
 平成16年度において、拠点システム事業として新たに1件の事業計画(案)を提案したい。案件は、国立教育政策研究所による「途上国における成人識字教育協力の実践事例の分析と日本の教育経験を踏まえた成人教育モデルの適用可能性についての研究」である。
 「ダカール行動枠組み」の目標に「2015年までに成人(特に女性)識字率の50パーセント改善と全ての成人の基礎教育及び継続教育に対する公正なアクセス」が掲げられているが、この目標を達成するために、国際教育協力懇談会の最終報告では、わが国の女性教育にかかる教育経験の活用の可能性、及び、女性教育を、拠点システムにおける協力経験の浅い分野として取り組むべきことが述べられている。
 途上国に対する、成人識字教育を含むノンフォーマル教育支援の必要性が高まる中、わが国の女性教育を含めた成人教育に関する国内経験の蓄積が、この分野での教育協力に活用される可能性の調査研究を進める必要があると考えられる。他方、わが国は、NGO等を中心に、途上国における成人識字教育に関する協力経験を有しており、これら両者の経験を整理、分析し、結びつけることによって、途上国に対する成人識字教育協力に関するわが国の成人教育経験の適用について研究を進めてまいりたい。
 ついては、女性教育を含む成人教育に関する日本の教育経験を整理するという位置づけのもと、拠点システムの経験の浅い分野の取り組みとして、本課題を本年度より実施したいと考えている。

2 実施計画(案)説明
 課題担当者から平成16年度新規課題候補にかかる実施計画(案)について資料2に基づき説明。
開発途上国における成人識字教育協力の実践事例の収集・分析と日本の教育経験を踏まえた成人教育モデルの提要可能性についての研究(国立教育政策研究所笹井総括研究官)

3 質疑応答
(荒木委員)  ノンフォーマル教育のなかで「成人識字教育」に焦点を絞るのか。

(笹井総括研究官)  一言にノンフォーマル教育、成人教育と言っても、非常に多岐に渡る。他方、我が国にはNGOなどによる識字教育や女性教育における途上国での協力経験が少なからずあり、日本の社会教育分野の経験と有機的に結びつけることで、協力モデルを開発・提案していくことができると考える。そうした意図のもと、「成人識字教育」、「女性教育」を中心にまとめていきたいと考える。

 以上、本課題については、平成16年度の新規課題として、実施計画(案)に沿って進めていくことで運営委員から了承された。

5. 配付資料
資料1   平成16年度拠点システム事業計画(案)について
資料2   平成16年度新規課題候補にかかる実施計画書(案)



平成16年度「拠点システム」運営委員会(第1回)出席者名簿

(大臣官房国際課国際協力政策室)

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