APEC(アジア・太平洋地域協力)プロジェクトについて ―人材養成等に関連するプロジェクトについて―

1.APECプロジェクトの概要

 APECでは、APEC地域における持続可能な経済成長と繁栄を支援し、APEC首脳会議、閣僚会議、大臣級会合などで合意した政策を実際の活動に結びつけることを目的とし、各APECエコノミー(国・地域)からの申請に基づき、各作業部会、委員会、APEC事務局が評価し、採択したプロジェクトの支援を実施しています。
 各エコノミーは、プロジェクトの提案を行うことができ、提案に当たっては、下記の目的に合致すること、複数のエコノミーが賛同するテーマであることが要件とされています。

【目的】
プロジェクトは、APECの目的に関係するもので、APEC加盟エコノミーの知識・スキルの移転及びキャパシティビルディング(能力開発・人材養成)に寄与する取組が主体となっています
・APECエコノミー統合の推進・加速
・経済技術協力の促進
・人間の安全保障の向上
・有益で持続可能なビジネス環境
【プロジェクト形態】
APECの政策上の様々な課題に関するワークショップ/セミナー/シンポジウム、調査・分析及び研究、短期トレーニング、出版、ウェブサイト/データベースの構築等。
【プロジェクト実施主体等】
プロジェクトの提案主体は各エコノミーの政府機関、プロジェクトの実施主体としては、各エコノミーの政府機関のほか、コンサルタントや大学等の外部機関の参加が推奨されています。(プロジェクトの推進に責任を持つのは当該エコノミーの政府)
【プロジェクトの標準的期間】
標準的には、2会計年度以内が推奨されています。

 各エコノミーからの申請は、関連の作業部会を通して行われます。その際、他のエコノミーからの支持(co-sponsorship。人材養成作業部会の下部組織である教育ネットワークであれば6エコノミー以上)を得る必要があります。また、実施に当たっては、全てのエコノミーに対し参加が開かれる必要があります。

2.実施されているAPECプロジェクト例

 人材養成作業部会/教育ネットワーク(2020年2月開催)において報告されたプロジェクトは以下のとおりです。

プロジェクト名(仮訳) 提案エコノミー 予算
APEC未来教育コンソーシアム(AFEC) 韓国 自己資金
APEC学習コミュニティ(ALCom) 韓国 自己資金
APEC e-Learning Training Program (AeLT) 韓国 自己資金
APEC教育イノベーションのためのコミュニティ(CEDI) 韓国 自己資金
デジタルエコノミーにおける持続可能性に対する包摂的数学(InMside) 日本
タイ
チリ
APEC資金
オンライン教育ワークショップシリーズ 豪州 自己資金
統合型STEM学位の実現 マレーシア
シンガポール
APEC資金
言語教育を通じたAPECエコノミー間の協力拡大Ⅱ 中国 自己資金
能力開発および包摂的のための地域的な産学連携 台湾 APEC資金
デジタルイノベーションと起業家精神に関するAPECフォーラム 台湾 自己資金
未来市民のためのグローカル化された科学リテラシーに関する、国境を越えた人材養成 台湾 APEC資金
#マレーシア・デジタルメーカー APECテックチャレンジ マレーシア APEC資金
デジタル時代のwellbeing:
デジタル環境において学生のwellbeingの促進するにあたっての教員の役割に関する研究
および優良事例の共有を通じた包摂的労働市場キャパシティの確立
ニュージーランド APEC資金
APECスクールリーダーシップ 韓国 APEC資金
デジタルエコノミーにおけるスポーツ人材育成の強化 台湾 自己資金

3.APECプロジェクトとして申請する場合

 APECプロジェクトには、APECに採択され財政支援を受けるもの、及び、セルフ・ファンド(自主財源)によるものがあります。

○APECの財政支援を申請する場合
プロジェクトの内容に鑑み、以下のAPEC財源区分で申請が可能です。
(1)一般プロジェクト勘定(GPA):議長エコノミーが定めた優先課題に資するプロジェクトに幅広く利用可能です。
(参考:2021年の優先課題)
「貿易と投資の叙述性の改善」、「デジタル経済とテクノロジーによる包括的経済参加」、「革新的な持続可能性の推進」、「回復を強化する経済・貿易政策」、「回復に向けた包摂性・持続可能性の向上」、「イノベーションとデジタルに対応した回復の追求」
(2)TILF特別勘定(TILF):貿易投資の自由化・円滑化に資するプロジェクトに適用されます。
(3)APEC支援基金(ASF):途上エコノミーの能力構築に資するプロジェクトに適用されます。
※(1)(3)はセルフ・ファンドの充当は必須ではありません。
※(2)(3)は支援上限額が150,000米ドルです。

○セルフ・ファンドで申請する場合
(4)セルフ・ファンド:APECからの財政支援はありません。当該プロジェクトは、APECの関連する作業部会・委員会でAPECプロジェクトとして承認を得るものです。コンセプトノートの提出やAPEC予算管理委員会の承認は不要です。ただし、APECのガイドラインの条件を満たす必要があります。

※詳細は、APECのファンド概要を御覧ください
https://www.apec.org/Projects/Funding-Sources別ウィンドウで開きます

4.プロジェクトの提案について

 文部科学政策に関連する人材養成等のAPECプロジェクトの申請は文部科学省が行います。申請にふさわしいプロジェクトの提案がある場合は、文部科学省までご相談ください。
※プロジェクト提案にあたっては、人材養成作業部会が推進する「HRDWG戦略」、「APEC教育戦略2016-2030」、「行動計画」等を参照ください。(後述参照)

【申請の時期】
・ 財政支援を受けるプロジェクトについては、年に2回申請が可能です。
(2月・6月前後が想定されますが、申請時期は年により異なるため、文部科学省までお問い合わせください)。
・ セルフ・ファンドのプロジェクトについては、随時、申請が可能です。

【提案・申請の流れ】
(1)提案者は、コンセプトノート(所定の様式)を作成、メールにて文部科学省大臣官房国際課にご提出ください。文部科学省は提案内容を確認、申請の検討を行います。
※電子メールの件名には、「APECプロジェクト提案について」と明記ください。
(2)文部科学省からAPEC事務局及び人材養成作業部会メンバーエコノミーにコンセプトノートを送付し、6以上の支持(Co-sponsor)の確保に努めます。
(3)APEC(作業部会等、プロジェクト運営委員会、APEC予算管理委員会)にて、コンセプトノートの採点・審査が行われます。通過すれば、原則的に承認されたものとみなされます。
(4)提案者は、プロポーザル(所定の様式)を作成し、文部科学省にご提出ください。文部科学省は、プロポーザルをAPEC事務局及びCo-sponsorに送付し、確認を求めます。申請者は、Co-sponsorからの質問、指摘に対応し、申請書の修正を行います。
(5)APEC事務局にて、プロポーザルを審査します。質問、指摘に対応し、申請書の修正を行います。
(6)プロポーザルが最終的に承認された場合は、プロジェクトを実施します。提案者は、責任を持ってプロジェクトを進める必要があります。

※具体の申請に当たっては、APECホームページ(英文)をご確認下さい。
〇APECプロジェクト申請関連ページ
http://www.apec.org/Projects/Projects-Overview.aspx別ウィンドウで開きます
〇APEC人材養成作業部会関連ページ
https://www.apec.org/Groups/SOM-Steering-Committee-on-Economic-and-Technical-Cooperation/Working-Groups/Human-Resources-Development別ウィンドウで開きます
※「教育戦略に基づく行動計画2016-2030」(コンピテンシーの促進、イノベーションの加速、雇用適性の増進を目標に含む)や、各種戦略等については上記URLを参照ください)

5.本件に関する問い合わせ先

文部科学省大臣官房国際課国際機関係
TEL 03-6734-2601 E-mail kikan@mext.go.jp

お問合せ先

大臣官房国際課