薬物乱用防止教育の充実について(通知)(平成25年9月27日)

25文科ス第379号
                                                           平成25年9月27日

 
各都道府県教育委員会教育長
各指定都市教育委員会教育長  
各都道府県知事            殿 
各国公私立大学長
各国公私立高等専門学校長


                文部科学省スポーツ・青少年局長
                        久保 公人


                                             


薬物乱用防止教育の充実について(通知)


  我が国の児童生徒等の薬物乱用防止対策は、「第三次薬物乱用防止五か年戦略(平成20年8月22日薬物乱用対策推進本部決定)」及び「薬物乱用防止戦略加速化プラン(平成22年7月23日薬物乱用対策推進会議決定)」を踏まえ、薬物乱用防止に資する教育・予防啓発の一層の充実・強化を図るようお願いしているところです。
  薬物乱用対策推進会議においては、「第三次薬物乱用防止五か年戦略」の諸対策により、薬物は絶対使うべきではないと考える児童生徒の割合が高くなるなど規範意識の向上、少年の覚醒剤や大麻事犯の検挙人員の断続的な減少及びそれらの事犯全体における少年の割合の低下など一定の成果を上げているものと認められるとしています。その一方で、大麻事犯については、平成24年中の大麻事犯全体の約45%を20歳代が占めており、依然として若者を中心に乱用されている状況がうかがえることが指摘されています。また、近年、合法ハーブと称して販売される薬物等、乱用される薬物が多様化しており、若者への広がりが懸念されています。
  このような状況を踏まえ、このたび、薬物乱用対策推進会議では、別添のとおり平成25年8月7日に「第四次薬物乱用防止五か年戦略」を決定しました。
  「第四次薬物乱用防止五か年戦略」においては、児童生徒等の薬物乱用の根絶に向けた規範意識の向上を図るため、引き続き小学校、中学校及び高等学校における薬物乱用防止に関する指導の徹底、教育内容の充実を図るとともに、大学等における学生に対する啓発を推進するなど、「青少年、家庭及び地域社会に対する啓発強化と規範意識向上による薬物乱用未然防止の推進」を目標の一つに掲げ、学校における薬物乱用防止教育を一層推進することを求めています。
 ついては、貴職におかれては、このたびの「第四次薬物乱用防止五か年戦略」を踏まえ、下記事項に留意するとともに、域内の市区町村教育委員会、管下の学校等の関係機関に対して本内容の周知を図り、青少年の薬物乱用防止に関するより一層の指導の徹底を図られますようお願いします。



  1. 学校における薬物乱用防止教育は、小学校「体育」、中学校及び高等学校「保健体育」の時間はもとより、「特別活動」、「総合的な学習の時間」、「道徳」等も活用しながら、学校教育全体を通じて指導を行うこと。その際、公益財団法人日本学校保健会が作成・配布している「喫煙、飲酒、薬物乱用防止に関する指導参考資料」が参考となること。
  2. 児童生徒が、薬物乱用の有害性・危険性のみならず、薬物乱用は、好奇心、投げやりな気持ち、過度のストレスなどの心理状態、周囲の人々の影響や人間関係の中で生じる断りにくい心理、宣伝・広告や入手しやすさなどの社会環境などによって助長されること、また、それらに適切に対処する必要があることを理解できるようにし、それらの知識を活用する学習活動を取り入れるなど指導方法の工夫を行うこと。その際、都道府県教育委員会等においては、教職員に対する研修機会の拡充を図ること。
  3. 薬物乱用防止教室は、学校保健計画において位置付け、全ての中学校及び高等学校において年1回は開催するとともに、地域の実情に応じて小学校においても開催に努めること。その際、都道府県教育委員会においては、私立学校主管部課等と十分な連携を取り、私立学校主管部課等においては所管する私立学校において薬物乱用防止教室の開催を促進すること。
  4. 薬物乱用防止教室の開催に際して薬物等に関する専門的な知識を有する警察職員、麻薬取締官OB、学校薬剤師等の協力を得るため、関係機関等との連携の充実を図ること。なお、薬物乱用防止教室は、外部専門家による指導が望ましいものの、国や都道府県教育委員会等が開催する研修会等において研修を受けた薬物乱用防止教育に造けいの深い指導的な教員の活用も考えられる。
  5. 都道府県等が開催する薬物乱用防止教室指導者研修会等は、教員以外の指導者による効果的な指導に必要な薬物乱用に関する最新の知見のみならず、児童生徒の発達段階、体育・保健体育における指導状況等への理解を深めるよう、内容を充実すること。その際、公益財団法人日本学校保健会が作成・配布している「薬物乱用防止教室マニュアル」を参考にしつつ、外部専門家の参加を得るため、関係機関等との連携の充実を図ること。
  6. 学校警察連絡協議会等において合法ハーブ等と称して販売される薬物等に関する情報の提供を受けたり、地域における青少年の薬物乱用について情報交換を行ったりするなど、警察と学校関係者等との連携を一層強化すること。
  7. 薬物乱用防止教育の充実強化に資するべく、関係機関・団体等による研修会の開催や参考資料等の作成が促進されるよう、一層の連携強化を図ること。
  8. 大学等の学生に対して、薬物乱用防止に関する啓発活動を推進するため、大学等においては、入学時のガイダンスなど様々な機会を通じ大学等の学生に対して薬物乱用防止に係る啓発及び指導の徹底に努めること。その際、文部科学省が作成・配布している「薬物のない学生生活のために」が活用できること。

お問合せ先

初等中等教育局健康教育・食育課

保健管理係
電話番号:(内2976)

(初等中等教育局健康教育・食育課)