落雷事故の防止について(依頼)

30初健食第15号
平成30年7月20日



各都道府県・指定都市教育委員会学校安全主管課長
各都道府県私立学校主管課長
各国公私立大学担当課長
各公私立短期大学担当課長
各国公私立高等専門学校事務局長
構造改革特別区域法第12条第1項の認定を
受けた地方公共団体の学校設置会社担当課長          殿
大学を設置する各学校設置会社担当課長
各都道府県専修学校各種学校主管課長
各都道府県教育委員会専修学校各種学校主管課長
附属学校及び専修学校を置く各国公立大学法人担当課長
厚生労働省医政局医療経営支援課長
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課長
各都道府県・指定都市・中核市認定こども園主管課長


文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課長
三谷卓也

(印影印刷)


落雷事故の防止について(依頼)

 落雷事故の防止については,これまでも各学校において適切に御対応いただいているところです。落雷事故は年間を通じて発生する可能性があり,これまでも校舎外での学校行事実施中等の学校の管理下において落雷事故が発生している状況(別添参照)にあることから,「学校の危機管理マニュアル作成の手引」(文部科学省 平成30年2月初版)及び学校防災のための参考資料「『生きる力』を育む防災教育の展開」(文部科学省 平成25年3月改訂)等の資料を参照いただくほか,下記の点に留意し,落雷事故防止のための適切な措置を講ずるようお願いします。



1 屋外での体育活動をはじめとする教育活動においては,指導者は,落雷の危険性を認識し,事前に天気予報を確認するとともに,天候の急変などの場合にはためらうことなく計画の変更・中止等の適切な措置を講ずること。

2 落雷に対する安全対策に関する科学的知見(日本大気電気学会編「雷から身を守るには-安全対策Q&A-改訂版」(平成13年5月1日発行))によれば,厚い黒雲が頭上に広がった際には,雷雲の接近を意識する必要があること。雷鳴はかすかでも危険信号であり,雷鳴が聞こえるときは,落雷を受ける危険性があるため,すぐに安全な場所(鉄筋コンクリートの建物,自動車,バス,列車等の内部)に避難する必要があること。また,人体は同じ高さの金属像と同様に落雷を誘因するものであり,たとえ身体に付けた金属を外したり,ゴム長靴やレインコート等の絶縁物を身に着けていても,落雷を阻止する効果はないこと。
   また,気象庁ホームページにおいて,「雷注意報」の発表状況や,実際にどこで雷発生の可能性が高まる予測となっているのかを地図上で確認できる「雷ナウキャスト」(レーダー・ナウキャスト(降水・雷・竜巻):全国 雷ナウキャストとは)などの情報が掲載されていますので,これらの情報も御活用ください。
   なお,各都道府県教育委員会学校安全主管課にあっては,域内の市区町村教育委員会及び所管の学校に対して,各都道府県私立学校主管課にあっては,所轄の私立学校に対して,都道府県専修学校各種学校主管課及び都道府県教育委員会専修学校各種主管課にあっては,所管又は所轄の専修学校及び各種学校に対して,附属学校及び専修学校を置く各国公立大学法人担当課にあっては,管下の附属学校及び専修学校に対して,厚生労働省の専修学校主管課にあっては,所管の専修学校に対して,都道府県認定こども園主管課においては,域内の市区町村認定こども園主管課及び所轄のこども園に対しても周知いただくようお願いします。

【参考資料】
○学校の危機管理マニュアル作成の手引(平成30年2月初版 文部科学省)
○「生きる力」を育む防災教育の展開(平成25年3月改訂 文部科学省)
○小学校教職員用研修資料(DVD)「子どもを事件・事故災害から守るためにできることは」
                                                    (平成21年3月 文部科学省)
○中学校・高等学校教職員用研修資料(DVD)「生徒を事件・事故災害から守るためにできることは」
                                                    (平成22年3月 文部科学省)
○小学生用(低学年・高学年)防災教育教材(CD)「災害から命を守るために」
                                                    (平成20年3月 文部科学省)
○中学生用防災教育教材(DVD)「災害から命を守るために ~防災教育教材(中学生用)~」
                                                    (平成21年3月 文部科学省)
○高校生用防災教育教材(DVD)「災害から命を守るために ~防災教育教材(高校生用)~」
                                                    (平成22年3月 文部科学省)
○「雷から身を守るには-安全対策Q&A-改訂版」(平成13年5月 日本大気電気学会)
○防災啓発ビデオ「急な大雨・雷・竜巻から身を守ろう!」(平成25年4月 気象庁)

【別添】
小・中・高等学校の学校管理下で近年発生した落雷による死亡・障害事故

[26年度給付]
○被災生徒:高等学校2年生男子
 死亡障害種:電撃死
〈体育的部活動:野球〉
  練習試合を実施していた。午後の開始早々に雨が降り,約20分後,雨も上がり雲も切れてきて青空も見えてきたので,公式審判員と両校の監督とで,試合を続投することになった。マウンドに本生徒が立ち,ボールを投げ,キャッチャーから返球されたその時,突然雷が本生徒の頭に落ち倒れた。救急車の手配,心臓マッサージ,AED等の救急処置を続け,その後ドクターヘリで病院に搬送され,措置を受けたが同日死亡した。 
※「学校事故事例検索データベース」(独立行政法人日本スポーツ振興センター)より

[18年度給付]
○被災生徒:高等学校2年生男子
死亡障害種:下肢切断・機能障害
〈学校行事:運動会・体育祭〉
  体育祭の午後からの応援合戦中,本生徒がスタンドで応援していた際,近くで落雷があった瞬間,足から下半身にしびれが走った。
※「学校事故事例検索データベース」(独立行政法人日本スポーツ振興センター)より

[15年度給付]
○被災児童:小学校4年生男子
死亡障害種:電撃死
〈登下校中:下校中(徒歩)〉
  雨が降り,遠雷の音が聞こえていたが,本児童が下校を始めた午後2時頃は雨も降っておらず雷の音も聞こえていなかった。その後,また雷の音が聞こえ始めた。本児童は1人で下校中,雷が鳴り出したので,とっさに雷を避けようと農道に入り,持っていた金属製の水筒に落雷し,倒れたものと思われる。後ろから下校していた他の児童が助けを求め,救急車で病院へ搬送されたが死亡した。
※「学校の管理下の死亡・障害事例と事故防止の留意点〈平成16年版〉」に掲載



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