施策目標（4）生物多様性の保全及び持続可能な社会実現への取組の推進

国際統括官付

  生物多様性の保全及び持続可能な社会実現にむけた国際的取組を推進する。

　我が国がユネスコに拠出している「ユネスコ地球規模の課題の解決のための科学事業信託基金」により、ユネスコの科学事業（MAB：人間と生物圏計画、IHP：国際水文学計画等）に関する、研修、ワークショップ等を実施した。実施に当たっては、日本人研究者、機関も参加し主導的役割を果たすことにより研究の国際協力に貢献した。

　より効果的な事業が実施されるよう、今後も引き続き日本人研究者の参加及びユネスコとの間でレビュー協議等を継続していく必要がある。また現地研究者の参加の確保が必要である。

　持続可能な発展に関する研修実施による人材育成及び当該研修を通じての人的ネットワークの構築を図る。

　我が国がユネスコに拠出している「ユネスコ地球規模の課題の解決のための科学事業信託基金」により、ユネスコの科学事業（MAB：人間と生物圏計画、IHP：国際水文学計画等）に関する、研修、ワークショップ等を実施し、研究者、専門家等の能力開発、ネットワーク及び将来的研究パートナーシップの構築へ貢献した。　また、我が国がユネスコに拠出している「持続可能な開発のための教育交流・協力信託基金」により、ユネスコを通じて、持続可能な開発のための教育（ESD）に関するワークショップ等を実施し、政策立案者及び教員養成機関の能力開発、ネットワーク構築等への貢献を行った。　平成26年6月、パリのユネスコ本部において、日本から推薦していた「只見」（福島県）、「南アルプス」（山梨県、長野県、静岡県）がユネスコエコパークに登録され、我が国のユネスコエコパークは全7か所となった。MAB計画の一事業としてユネスコエコパークの活動を通じ、自然保護や持続可能な資源の利活用に関する普及啓発、さらには持続可能な地球社会の構築のための人材育成など、ESDの実践の場としての活用が期待されている。

　より効果的な事業が実施されるよう、今後も引き続きユネスコとの間でレビュー協議等を継続していく必要がある。また現地のニーズに沿った研修等の実施が必要である。

　持続可能な社会の担い手を育むため、持続可能な開発のための教育（ESD）を推進する。

　平成26年11月に愛知県名古屋市及び岡山市にて「ESDに関するユネスコ世界会議」を開催し、153か国・地域から76名の閣僚級を含む政府関係、国連機関、研究者、学校関係者等各種ステークホルダーのESD実践者等、およそ3,000名が参加し、「国連ESDの10年」（2005年～2014年）を振り返るとともに、今後のESDの推進方策が議論された。本会議では、「国連ESDの10年」の後継プログラムとして「ESDに関するグローバル・アクション・プログラム（GAP）」の開始が正式に発表された他、GAPの具体的な実施に向けて、各ステークホルダーがESDを更に強化し、そのための行動を起こすことを宣言する「あいち・なごや宣言」が採択された。　また、「日本／ユネスコパートナーシップ事業」において、国内研究機関等と連携して、セミナー、国際会議等の実施によりESDを推進した。さらに、教育委員会及び大学等が中心となり、企業等の協力を得つつ、ESDの推進拠点であるユネスコスクールと共に「コンソーシアム」（連合体）を形成し、ユネスコスクールの発展及びESDの推進に資する事業を行う団体に対して補助を行う「グローバル人材の育成に向けたESDの推進事業」を開始し、ESDの実践・普及等を促進した。

　より効果的な事業が実施されるよう、今後も引き続きユネスコとの間でレビュー協議等を継続していく必要がある。また、国内のESDの推進を更に進める必要がある。

研究振興局

遺伝子組換え生物等の使用等の規制により生物の多様性の確保を図るための取組を推進

「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」を適切に運用する。

 　平成26年度においては、・第一種使用等をする間の使用規程を7件承認した。・第二種使用等をする間の拡散防止措置を243件大臣確認した。・法令の周知徹底を図るため、研究機関等への説明等を行った。（計9回）

　遺伝子組換え生物等の適切な使用等がなされるよう、引き続き、研究機関等への法令の周知徹底を行う必要がある。

文化庁

生物多様性の保全に対する取組を総合的に行う地域・対象として自然的名勝・天然記念物の指定を進め、その保存・保護を推進する。

　自然的名勝・天然記念物を指定することにより良好な自然環境の保全のための地域を確保する。

　良好な自然と生物多様性の保全にも寄与するものとして平成26年度は、名勝として「ティンダバナ」等を指定、名勝「おくのほそ道の風景地」について追加指定しており、順調に進捗している。

　従来の諸施策の一層の充実を図るとともに、地方公共団体においても保護体制の強化を期すための支援施策の充実を図る必要がある。

　地方公共団体等の行う自然的名勝・天然記念物の保護に関わる諸事業を支援し、良好な自然環境の保全のための地域を確保する。

　名勝・天然記念物の保護と地域の文化財として活用を図るため、地方公共団体等が実施する事業について国庫補助金を交付しており、平成26年度についても、順調に進捗している。　　　　　　　      　　　     　　　　

　従来の諸施策の一層の充実を図るとともに、地方公共団体においても保護体制の強化を期すための支援施策の充実を図る必要がある。

　名勝・天然記念物の保護関係事務の効果的かつ円滑な遂行を確保する。

　自然環境を構成要素とする名勝と天然記念物の適切な保存と活用の推進を期すため、管理・整備に係る保存管理計画の策定を継続して取り組むとともに、都道府県や指定都市等の担当者を対象とする研修会を開催しており、順調に進捗している。

　従来の諸施策の一層の充実を図るとともに、地方公共団体においても保護体制の強化を期すための支援施策の充実を図る必要がある。

　天然記念物に指定されている動物の生息域への定着を図る。

　飼育施設での人工増殖を主とする従来の域外保全から、野外の生息環境における自然繁殖を目指す復元（再生）への移行を図ることとし、イタセンパラ、ネコギギ及びコウノトリなどについて引き続き事業を実施しており、順調に進捗している。

　従来の諸施策の一層の充実を図るとともに、地方公共団体においても保護体制の強化を期すための支援施策の充実を図る必要がある。

　天然記念物を活用して生物多様性の保全についての国民の理解を深める。

　天然記念物の活用により人と自然の関わり方についての理解・普及に資する学習施設等の充実を期すため、ネットワークの構築や情報提供による支援を実施しており、順調に進捗している。

　従来の諸施策の一層の充実を図るとともに、地方公共団体においても保護体制の強化を期すための支援施策の充実を図る必要がある。

文化庁

生物多様性の保全に対する取組を総合的に行う地域・対象として文化的景観の保存・保護を推進し、重要文化的景観の選定を進める。

　重要文化的景観を選定することにより、良好な自然環境の保全のための地域を確保する。

　平成27年3月末現在、全国で47箇所が重要文化的景観として選定されている。また、平成17年度から重要文化的景観の修理、修景、復旧、防災等の事業に国庫補助金を交付しており、順調に進捗している。

　文化的景観を保護する施策の一層の充実を図るとともに、重要文化的景観の選定を推進する必要がある。