施策目標 (3)新エネルギー、省エネルギーに関する研究開発の推進

主管局 研究開発局
関係局 科学技術・学術政策局、研究振興局
基本目標

新エネルギー・省エネルギーの経済的・技術的課題を解決し導入・普及の促進を図るため、以下のの研究開発を積極的に推進する。

1.CO2排出削減を目的とした機材の有用性の実証

達成目標

 CO2排出削減を目的として、発電ガスタービンやジェットエンジンの高効率化に必要な超耐熱材料(耐用温度1150℃のNi基単結晶超合金、耐用温度750℃のNi-Co基鍛造超合金、耐用温度1800℃の高融点超合金)を開発し、タービンシミュレーションや既存タービンによる実機試験を行い、有用性を実証する。

達成目標の達成度合い

 Ni基超合金については第4世代単結晶超合金(耐用温度1083℃)さらに第5世代合金(耐用温度1100℃)を開発し合金としての耐用温度目標を達成し、新たに耐用温度1150℃を目指した研究を開始した。高融点超合金については1750℃に到達し1800℃を目指して研究を続けている。 また、仮想タービンシミュレーションにより、開発材料を用いることで熱効率56%以上のコンバインドサイクル発電が可能になると推測されたことを受けて、1700℃高効率ガスタービン用部材開発等実用化のための要素研究を続けている。平成18年にはロールス・ロイス航空宇宙材料センターを設置し、ボーイング787用ジェットエンジンなどへの実用化に向けて計画以上の速度で研究が進捗している。

今後の課題

 開発したNi基超合金については、引き続き民間企業と協力して、1700℃高効率ガスタービン開発のための要素研究としてのタービン部材開発(三菱重工と連携)と、高効率コジェネレーション用小型ガスタービン部材開発・実用化(川崎重工と連携)のための研究を行う必要がある。また、ジェットエンジンに関しては、引き続き国内、海外のエンジン開発プロジェクトとも連携して開発材料の実用化を図り、CO2削減に寄与する必要がある。

2.CO2排出削減と電気エネルギーの安定供給への貢献

達成目標

 実験室規模サンプルでの耐候性鋼の結晶粒微細化による橋梁材料等の強度を2倍化することで、橋梁等の長寿命化を図り、CO2排出削減に資する。
 耐熱鋼のクリープ寿命の大幅拡大を図り、高効率火力発電プラントの設計・製作に提供可能な耐熱超鉄鋼技術を開発することにより、CO2排出削減と電気エネルギーの安定供給に資する。

達成目標の達成度合い

 高強度耐食鋼については、超微細粒(粒径1ミクロン以下)で高強度化し、リサイクル容易な化学成分(AlとSiをそれぞれ0.8%添加)で耐候性を確保した鋼を開発した。この開発鋼について、溶接部の強度と靭性を改善するとともに、その改善機構について金属組織学的検討を行い、橋梁の部材接合に使用される1800MPa級超高力ボルトを想定した超高強度鋼の特性を金属組織制御により衝撃破壊特性が画期的に向上することを見出した(SCIENCE誌に論文掲載)。
 耐熱鋼については、B添加の開発鋼の長時間クリープ強度が優れていること、溶接部におけるクリープ強度低下が従来鋼に比べて極めて小さいこと、さらにSi添加と予備酸化処理により高温水蒸気酸化を効果的に抑制できることを見出すなど、研究開発は順調に進捗している。このNIMSで開発した耐熱鋼は、次世代火力発電プラント(A-USC)の候補材に選ばれ、実用化に向けた共同研究プロジェクトを開始することとなった。

今後の課題

 軽量で耐震性に優れ、高い耐食性によりメンテナンスコストが低減できる橋梁構造体等の実現のため、超鉄鋼による部材等の将来の実用化を目標に、超鉄鋼の応用のための研究開発を今後強化しなくてはならない。具体的には、ユーザサイド(産学独)との連携において、実用化に有利・有用な点をより明確にすると共に、実用においてネックとなる技術課題を抽出する取り組みを強化する必要がある。
 耐熱鋼については、クリープ強度の更なる向上、成分の最適化を図るとともに、実用化に向けて大型部材化、クリープ強度、疲労強度等に関する信頼性確立のための研究を行う必要がある。

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大臣官房政策課

-- 登録:平成22年04月 --