施策目標 (3)新エネルギー、省エネルギーに関する研究開発の推進

主管局 研究開発局
関係局 科学技術・学術政策局、研究振興局
基本目標 新エネルギー・省エネルギーの経済的・技術的課題を解決し導入・普及の促進を図るため、バイオマスエネルギー等の新エネルギーの研究開発を積極的に推進する。

1.「持続型経済社会」の実現に向けた研究開発の推進

達成目標  「持続型経済社会」の実現に向けて,都市・地域から排出される廃棄物・バイオマスを無害化処理と再資源化に関する技術開発を行うとともに,その実用化と普及を目指して、要素技術、影響・安全性評価及び経済・社会システム設計に関する研究開発を産学官の連携・協力により行う。
達成目標の達成度合い  経済活性化のための研究開発プロジェクト(リーディングプロジェクト)の一つ「一般・産業廃棄物・バイオマスの複合処理・再資源化プロジェクト」として、産学官の連携によりバイオマスの利活用に関する研究開発を進めてきた。
 プロセス技術開発としては、家庭から排出される一般廃棄物や廃材等の建設廃棄物等を低温でガス化し、組成が安定した有価ガス(メタン、水素等)を効率的に取り出しエネルギーに変換する技術開発を行った。この技術開発においては、ガスエンジン発電技術と結びつけることにより、従来のゴミ処理発電に比べ、2倍の発電効率を達成するなど、当初の目標以上の効率を達成した。
 また、その安全性の検証として、各種廃棄物のガス化炉で発生する副生成物(重金属等)に対し、プラントの運転条件による毒性の傾向の把握を行った。
 さらに、技術の普及に向けた社会システム設計において、バイオマスの発生源、輸送及び変換プロセスに関するデータを取りまとめた要素モデルの開発を進め、自治体等がバイオマス利活用の中長期計画を策定する際に利用が可能なプロセス技術、安全性評価、物流を含めた統合的なバイオマス集積・処理システムのモデル開発を行った。
今後の課題  研究成果普及のため、その成果をホームページで公開し、環境省、国交省、経産省などの関係省庁や研究機関、地方自治体からアクセスできるよう整備を行う方針である。

2.CO2排出削減を目的とした機材の有用性の実証

達成目標  CO2排出削減を目的として、発電ガスタービンやジェットエンジンの高効率化に必要な超耐熱材料(耐用温度1150℃のNi基単結晶超合金、耐用温度750℃のNi-Co基鍛造超合金、耐用温度1800℃の高融点超合金)を開発し、タービンシミュレーションや既存タービンによる実機試験を行い、有用性を実証する。
達成目標の達成度合い  Ni基超合金については第4世代単結晶超合金(耐用温度1083℃)さらに第5世代合金(耐用温度1100℃)を開発し合金としての耐用温度目標を達成し、新たに耐用温度1150℃を目指した研究を開始した。高融点超合金については1750℃に到達し1800℃を目指して研究を続けている。 また、仮想タービンシミュレーションにより、開発材料を用いることで熱効率56%以上のコンバインドサイクル発電が可能になると推測されたことを受けて、1700℃高効率ガスタービン用部材開発等実用化のための要素研究を続けている。平成18年にはロールス・ロイス航空宇宙材料センターを設置し、ボーイング787用ジェットエンジンなどへの実用化に向けて計画以上の速度で研究が進捗している。
今後の課題  開発したNi基超合金については、引き続き民間企業と協力して、1700℃高効率ガスタービン開発のための要素研究としてのタービン部材開発(三菱重工と連携)と、高効率コジェネレーション用小型ガスタービン部材開発・実用化(川崎重工と連携)のための研究を行う必要がある。また、ジェットエンジンに関しては、引き続き国内、海外のエンジン開発プロジェクトとも連携して開発材料の実用化を図り、CO2削減に寄与する必要がある。

3.CO2排出削減と電気エネルギーの安定供給への貢献

達成目標  実験室規模サンプルでの耐候性鋼の結晶粒微細化による橋梁材料等の強度を2倍化することで、橋梁等の長寿命化を図り、CO2排出削減に資する。
 耐熱鋼のクリープ寿命の大幅拡大を図り、高効率火力発電プラントの設計・製作に提供可能な耐熱超鉄鋼技術を開発することにより、CO2排出削減と電気エネルギーの安定供給に資する。
達成目標の達成度合い  高強度耐食鋼については、超微細粒(粒径1ミクロン以下)で高強度化し、リサイクル容易な化学成分(AlとSiをそれぞれ0.8%添加)で耐候性を確保した鋼を開発した。この開発鋼について、溶接部の強度と靭性を改善するとともに、その改善機構について金属組織学的検討を行い、橋梁の部材接合に使用される1800MPa級超高力ボルトを想定した超高強度鋼の特性を金属組織制御により衝撃破壊特性が画期的に向上することを見出した(SCIENCE誌に論文掲載)。
 耐熱鋼については、B添加の開発鋼の長時間クリープ強度が優れていること、溶接部におけるクリープ強度低下が従来鋼に比べて極めて小さいこと、さらにSi添加と予備酸化処理により高温水蒸気酸化を効果的に抑制できることを見出すなど、研究開発は順調に進捗している。このNIMSで開発した耐熱鋼は、次世代火力発電プラント(A-USC)の候補材に選ばれ、実用化に向けた共同研究プロジェクトを開始することとなった。
今後の課題  軽量で耐震性に優れ、高い耐食性によりメンテナンスコストが低減できる橋梁構造体等の実現のため、超鉄鋼による部材等の将来の実用化を目標に、超鉄鋼の応用のための研究開発を今後強化しなくてはならない。具体的には、ユーザサイド(産学独)との連携において、実用化に有利・有用な点をより明確にすると共に、実用においてネックとなる技術課題を抽出する取り組みを強化する必要がある。
耐熱鋼については、クリープ強度の更なる向上、成分の最適化を図るとともに、実用化に向けて大型部材化、クリープ強度、疲労強度等に関する信頼性確立のための研究を行う必要がある。

4.新素材等の開発の推進

達成目標 高効率でクリーンな次世代エネルギーシステムとして大きな役割を担うものと期待されている燃料電池の性能・経済性を向上し、実用化・普及を図るため、新素材等の開発を推進する。
達成目標の達成度合い 平成15年度から平成19年度まで経済活性化のための研究開発プロジェクト(リーディングプロジェクト)の一つとして「次世代型燃料電池プロジェクト」を推進。高性能、低コストの高温運転型次世代燃料電池を実現するために、高分子膜、電極触媒等の革新的な新材料について開発・実証・評価試験を実施・計画し、概ね計画どおり進捗した。
今後の課題 今後の実用化のためには、更なる高性能化・低コスト化のを追求及び実証・評価試験が必要。

お問合せ先

大臣官房政策課

-- 登録:平成21年以前 --