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文部科学省における環境問題への取り組み

平成18年9月

 文部科学省では、教育、科学技術・学術、文化及びスポーツの振興という「未来への先行投資」を行っているが、環境問題は人類の将来の生存と繁栄にとって緊急かつ重要な課題であると考えており、従来から積極的に取り組んできている。環境問題に関する主な取り組みは以下のとおり。

1. 環境教育・学習の推進等

 今日の環境問題を解決するためには、我々一人一人が環境と人間との関わりや自然など環境の価値についての認識を深めるとともに、環境問題を引き起こしている社会経済等の仕組みを理解し、環境に配慮した仕組みに社会を変革していく努力を行うことが必要である。
 このため、環境教育や環境学習の機会を充実し、環境に対する豊かな感受性と熱意、見識を持つ「人づくり」に取り組んでいる。

(1) 初等中等教育における環境教育

1 環境に関する教育内容の充実
   学校における環境教育については、従来から、社会科や理科を中心に、小・中・高等学校を通じ、児童生徒の発達段階に応じた指導が行われている。平成10年の小・中学校学習指導要領改訂及び平成11年の高等学校学習指導要領改訂においては、各教科等を通じて環境問題に関する内容を充実しており、体験的な学習を通じて環境についての理解を深められるような内容を重視している。
 また、教科教育のみならず「総合的な学習の時間」においても、平成16年度には小学校の75.3パーセント、中学校の52.8パーセントが環境を課題とした学習に取り組んでいる。

2 「環境教育推進グリーンプラン」の推進
   学校における環境教育の推進を図るため、環境教育モデル地域の指定、環境のための地球学習観測(GLOBE)プログラムへの参加、全国環境学習フェアの開催、NPO等の外部人材の活用推進、環境教育に関する総合的な情報提供体制の整備、環境教育・環境学習指導者養成基礎講座、環境教育推進のための教材開発等を実施している。また、現行学習指導要領の下での環境教育の内容、方法等についての調査研究を行い、環境教育推進のためのプログラム開発を行っている。

3 学校における自然体験活動の推進
   児童生徒の社会性や豊かな人間性を育むためには、成長段階に応じて、自然体験活動をはじめ様々な体験活動を行うことが極めて重要であり、文部科学省では、「豊かな体験活動推進事業」の実施などにより各学校における自然体験活動をはじめとする様々な体験活動を支援している。

4 「エコスクール」(環境を考慮した学校施設)の整備等
   環境への負荷の低減や環境教育・環境学習に役立てるため、公立学校を対象にパイロット・モデル事業(実験的な事業)を実施するなど、エコスクールの整備充実を推進している。
 また、校庭の芝生化など学校の屋外教育環境の整備充実及び学校施設における木材利用の促進も図っている。
 私立学校においても、私立学校が行う学校施設における環境へ配慮した施設づくりと環境教育のための施設整備(太陽光発電、校舎内外の緑化、雨水・排水の再利用などの校舎施設の改造工事)に対する補助を行っている。

(2) 高等教育における環境教育等

1 大学等における環境に関する人材の養成
   大学等における環境に関する教育研究は、様々な学部・学科において実施されており、環境に関する人材の養成が大学等の自主的・自律的な取組により推進されている。
 国立大学においては52大学に、公私立大学においては135大学に「環境」と名の付く学部・学科が設置されており、また、平成16年度現在、国公私立あわせて641大学において環境に関する授業科目が開設されている。

2 大学等における施設の環境対策
   大学等における環境への負荷の低減等を図った施設の整備及び循環型社会に対応した施設の整備を推進している。また、大学等施設における省エネルギー対策の手引きを作成し普及を図るとともに、研修会を実施することにより、大学等施設のエネルギー使用の合理化を推進している。

(3) 社会教育における環境教育・環境学習等

1 社会教育施設における環境教育・環境学習の推進
   公民館、図書館、博物館などの社会教育施設が中核となり、環境をはじめとする地域における課題を総合的に把握した上で、事業の企画、実施、評価を一体的に行うモデル事業を実施し、その成果の全国的な普及啓発を行うことを通じ、社会教育における環境教育を推進している。
 また、国立青少年教育振興機構において、自然体験活動等の機会や場の提供を行うとともに、青少年の自然体験活動を支援する指導者の育成を行っている。

2 環境に関する子どもの体験活動の推進
   子どもたちの豊かな人間性を育むため、関係省庁と連携して、地域の身近な環境をテーマに、子どもたちが自ら企画し、継続的な体験学習を行う事業の実施を通して、体験型環境学習を推進している。また、文部科学省、国土交通省及び環境省が連携して「子どもの水辺」の選定・登録等を行う「「子どもの水辺」再発見プロジェクト」など、関係省庁と連携して子どもの体験活動の場の整備を行っている。
 さらに、国立青少年教育振興機構に設置されている「子どもゆめ基金」において、民間団体が実施する子どもの自然体験活動等についても支援を行っている。

3 環境教育・学習における国際協力
   アジア・太平洋地域諸国における環境教育の充実・普及を図るため、ユネスコ・アジア太平洋地域教育開発計画(APEID)への協力の一環として、専門家を我が国に招致してセミナーを開催するとともに、財団法人ユネスコ・アジア文化センターにおける環境等に関する教材の開発・普及を支援している。

4 文化財の保護を通じた環境の保全
   文化財保護法に基づき、史跡、名勝、天然記念物、文化的景観及び伝統的建造物群保存地区等の保存及び活用の推進を図るとともに、世界遺産条約に基づく世界文化遺産の保護等の取組を行っている。特に、天然記念物は、学術上貴重で我が国の自然を記念するものとして指定された動物、地質・鉱物、そしてそれらから構成される天然保護区域であり、環境省との連携のもと適切な保護を図っている。

2. 環境科学技術の推進

 地球温暖化など地球的規模の環境問題を解決していくためには、人類の英知を結集して取り組むことが必要である。特に、環境の保全と経済的発展を両立させていくためには、科学技術の力が不可欠である。
 このため、地球環境の観測・監視と地球規模の諸現象のメカニズム解明、環境負荷の少ない技術の開発など、環境に関する科学技術を推進している。

(1) 地球的規模の諸現象の解明に資する観測研究、地球変動予測研究の推進等

1 全地球的規模の観測研究の推進

 
1 データ統合・解析システム
   衛星観測、海洋観測、陸上観測などの様々な手段で得られた観測データを集中的に管理し高度な解析処理を行うことによって、多様な観測データを必要とする高精度な地球温暖化予測や洪水予測の入力情報を作成するなど、観測データを人類社会の利益に結びつけるため、データ統合・解析システム構築に向けた研究開発を進めている。

2 全球地球観測システム(GEOSS)構築に貢献する観測研究
   地球温暖化・炭素循環観測、アジアモンスーン地域水循環・気候変動観測、対流圏大気変化観測に関する革新的技術の創出や、国際的な地球観測システムの構築を目指し、能力の高い研究機関を結集し、効果的な研究開発等に取り組んでいる。

3 地球環境観測研究の推進
   海洋研究開発機構においては、地球温暖化の兆候が顕著な北極域での影響を早期に捉えることや全地球規模での熱・水・物質循環の過程とその変動を多項目・高精度に捉えることを目指し、海洋調査・研究船並びに氷海観測用小型漂流ブイ(J-CAD)、アルゴフロート及びトライトンブイ等の観測システムを利用した気候変動観測・水循環観測・地球温暖化観測・海洋大循環観測などの「地球環境観測研究」を推進している。

4 人工衛星による観測に関する技術
   宇宙航空研究開発機構においては、地球温暖化問題等に対応するため、人工衛星熱帯降雨観測衛星(TRMM)に搭載されている降雨レーダ(PR)や米国の地球観測衛星Aquaに搭載されている改良型高性能マイクロ波放射(AMSR-E)などから降水量や海面水温などのデータを取得することにより気象予報精度の向上やエルニーニョなどの異常気象現象の解明に貢献するとともに、災害状況把握や地図作製などに貢献する陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)の運用、温室効果ガスの濃度分布を観測することにより京都議定書に定める温室効果ガス排出量削減効果の評価などに貢献する温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)の開発、全球の降水を高精度で観測することにより水資源の管理や気象災害の軽減などに貢献する全球降水観測/二周波降水レーダ(GPM/DPR)の開発研究、全球規模で継続的に気候変動・水変動に関する観測をすることにより気候変動予測や気象災害の軽減などに貢献する地球環境変動観測ミッション(GCOM)の試作試験等を関係機関との協力の下に進めている。

5 南極地域観測事業
   地球温暖化、オゾンホール等の地球規模での環境変動の解明に資するため、南極地域観測統合推進本部(本部長:文部科学大臣)を中心として、総務省、防衛庁、情報システム研究機構国立極地研究所等の関係機関との連携・協力により、南極地域において研究・観測を推進している。
 なお、南極環境保護対策の推進のため、昭和基地から残置廃棄物の持ち帰りを実施している。

2 地球変動予測研究の推進

 
1 地球環境予測研究の推進
   海洋研究開発機構においては、気候と環境の相互作用を考慮した高精度地球環境システム統合モデルの開発を目指し、大気・海洋の組成や水循環、生態系などの観測データを基にした気候変動予測・水循環変動予測・地球温暖化予測・大気組成変動予測・分野横断型モデル開発などの「地球環境予測研究」を推進している。
 また、「地球シミュレータ」を活用し、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第4次評価報告書に寄与できる精度の高い温暖化予測及び将来の水資源・水災害の予測を目指した「人・自然・地球共生プロジェクト」を実施している。

2 地球シミュレータ計画の推進
   海洋研究開発機構においては、全球規模から地域スケールまでの海洋・大気現象の精緻なシミュレーションにより、環境変動を高精度に予測することを目指し、世界最高水準の演算性能を有するスーパーコンピュータ「地球シミュレータ」の安定的かつ効率的な運用を推進している。

(2) 環境対策技術に関する研究開発の推進

 
1 地球温暖化防止等の環境対策に関する研究開発

1 原子力の研究開発
   地球温暖化の原因となる二酸化炭素や酸性雨等の原因となる硫黄酸化物、窒素酸化物を発電過程において排出せず、化石燃料に代替可能なエネルギーとして最も実用的かつ有効な原子力について、国民の理解と安全確保を大前提として、高速増殖炉サイクル技術、核融合研究開発、革新的原子力技術の研究開発等を推進している。

2 新エネルギー等に関する研究開発
   自動車用、定置用(家庭・小規模事業用)、携帯情報機器用などの固体高分子型燃料電池の実用化・普及を促進すべく、次世代型燃料電池の本格的導入のキーとなる性能・経済性・耐久性向上のための革新的な材料の技術開発を行っている。また、火力発電のガスタービンの高効率化のための超耐熱材料等の研究開発を進めている。
 さらに、廃棄物やバイオマスの再資源化技術の普及・実用化に向けて、高効率ガス化等のプロセス技術、影響・安全性評価及び経済・社会システム設計に関する研究開発も進めている。

2 環境対策に関する基盤整備等

1 科学技術振興調整費を活用した環境に関する課題への対応
   科学技術振興調整費において、「重要課題解決型研究等の推進」の中で「環境保全・再生に関する研究開発・技術実証実験」、「持続可能な流域圏環境管理技術の開発」、「人工降雨を中心とした渇水対策に関する研究」を課題として設定し、関係府省との連携の下、これらに対応した研究の推進を図っている。

2 環境に関する基礎研究の推進
   人間文化研究機構総合地球環境学研究所が実施する研究プロジェクトの推進など、大学等における地球環境問題に関連する幅広い学術研究の推進や研究施設の整備、充実への支援を行うとともに、科学研究費補助金、戦略的創造研究推進事業、学術フロンティア推進事業等により、環境に関する基礎研究の推進を図っている。

3 技術士制度
   環境保全計画の策定や環境測定など地方公共団体や企業の環境保全活動に関して、有能な技術者を技術士(環境部門)として認定し、活用を推進している。(平成18年6月末現在の登録者数:812名)

(大臣官房政策課)

 

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