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宇宙開発利用

1.ポスト・アポロ計画

第五章 日本の有人宇宙技術の発展

 ポスト・アポロ計画は、アポロ計画に続く宇宙開発計画として、米国が科学研究、実利用、月・惑星探査等の広範な分野にわたって提案したもので、当初はスペース・ステーション、スペース・シャトル及びスペース・タグが開発の中心となっていた。本計画は、米副大統領を議長とする宇宙問題検討グループが、米国航空宇宙局(NASA)により作成されたアポロ計画以後の宇宙開発計画案をもとにして検討し、1969年(昭和44年)9月、ニクソン大統領に報告されている。
 本計画は、提案当初から国際協力を前提としており、1969年(昭和44年)10月以降、米国航空宇宙局(NASA)のペイン長官が欧州やカナダ等へ訪問し、計画の説明と参加の呼びかけを実施している。同様に我が国においても、1970年(昭和45年)3月3日、ペイン長官が宇宙開発委員会等政府の宇宙開発関係者と懇談し、ポスト・アポロ計画のうち主としてスペース・ステーションとスペース・シャトルについて説明するとともに、計画への参加を呼びかけた。主な内容は以下である。

(1)目標

 ポスト・アポロ計画は、米国のアポロ計画以後の宇宙開発計画として、以下を目標として策定された。

  1. 人類の生活の質を向上させるため、宇宙技術を人類に直接利益をもたらす分野に応用すること
  2. 人類の宇宙に関する知識を増大させるため、太陽系及びそれ以遠の探査を行うこと
  3. 宇宙活動を経済的かつ安全に行うため、新しいシステムを開発すること
  4. 科学技術および経済面での国際的な参加を促進させ、宇宙研究および探査の利益と経費を分担するため、宇宙活動への国際的参加と協力を図ること

(2)計画の中核的開発内容

 ポスト・アポロ計画は地球資源探査、気象観測、通信等の実利用の分野、火星、金星等の惑星探査、天文学、物理学等の科学研究を含む広範な分野にわたる。そして、将来これらの分野の宇宙活動を経済的かつ安全に行うための新しい宇宙輸送システム及びその利用システムを開発することが本計画の中核となっている。ポスト・アポロ計画策定時におけるこれらのシステムは、

  1. 地球と低高度地球軌道の間を往復するスペース・シャトル
  2. 宇宙活動の基地となる恒久的又は半恒久的スペース・ステーション
  3. 異なった地球軌道間若しくは月、惑星等深宇宙に物資を運搬するスペース・タグ

であった。

1.スペース・シャトル

 スペース・シャトルは、従来のロケットに代わる新しい宇宙輸送システムの主要部分として経済性が重視(従来の1/10のコスト)され、計画当初は完全再利用のブースタとオービタによる構成で、それぞれ地球帰還時には飛行場に着陸する飛行機型であった。その後、全体計画の予算規模を圧縮すべきこと及び米国の宇宙輸送系は将来的にスペース・シャトルに一本化するため軍事衛星も含めて輸送できるよう貨物室を設計すべきこと等を加味して更に検討した結果、1974年(昭和49年)の段階では、固体燃料ロケットブースタ(パラシュートにより海上着水後回収、10~20回再利用)、オービタ(約100回の再使用)及び外部燃料タンクよる構成へと変更になった。
 オービタは貨物室を有しており、この中にペイロードが収納され、最大約30トンのペイロードを高度180kmの軌道に打ち上げることを可能とし、1978年(昭和53年)~1979年(昭和54年)に初の有人軌道飛行を行い、1979年(昭和54年)末の実用化が予定されていた。
 なお、スペース・シャトルの開発は米国独自に進められ、他国が開発に参加する可能性はないことが表明されていた。

2.スペース・ステーション

 スペース・ステーションは、計画当初は科学と実用両面の研究、実験、観測或いは調査などの宇宙活動を長期にわたって行うために地球を回る軌道上に設ける半恒久的な宇宙基地であった。そこでは、宇宙空間という特殊な環境を利用した天体観測、物理学、医学、生物学等実験研究をはじめ、地球資源の探査や先端技術の開発研究などの面で、地上では不可能な試験研究を行うことが可能となり、将来利用方法の研究の進展に伴い、活用分野の拡大が期待されていた。
 その後、米国内で宇宙政策を見直した結果、当面はスペース・シャトルの開発に集中して宇宙ステーションの開発を中止し、欧州開発の有人実験室「ソルティ・ラボラトリー」(欧州名スペース・ラボラトリー)をスペース・シャトルに搭載することにより各種の観測・実験を行うことへと変更になった。
 ソルティ・ラボラトリーは、有人宇宙実験室としてスペース・シャトルのカーゴ・ベイに搭載され、低高度地球軌道に打ち上げられ、軌道上においては、スペース・シャトルから分離されることなく1~4週間にわたって各種の観測、実験棟を行い、終了後再びスペース・シャトルに収納されて、地上へと運搬される計画であった。

3.スペース・タグ

 スペース・タグは、スペース・シャトルとともに新しい宇宙輸送システムを構成し、軌道上における活動範囲を拡大する軌道上の運搬ロケットである。
 基本的な役割は、スペース・シャトルで低高度地球軌道に打ち上げられたペイロードを静止軌道等のさらに高い軌道や月、惑星等の深宇宙へ運搬することや、ペイロードの回収であり、スペース・タグそのものの低高度地球軌道への運搬や地上への回収は、スペース・シャトルによって行われる。
 なお、当初は米国及び欧州宇宙ロケット開発機構(ELDO)で研究が行われてきたが、米国が技術的及び管理上の理由によりスペース・タグを独自で開発することとしたため、1974年(昭和49年)年段階の検討では、現在のロケットの改造や暫定的なスペース・タグの使用を想定し、高性能な本格的スペース・タグの実用化は1985年以降と想定されていた。

 ポスト・アポロ計画についての米国からの呼びかけを受けて、宇宙開発委員会では1970年(昭和45年)7月1日に、ポスト・アポロ計画に関する国際協力問題の基本方針の審議を行うため、ポスト・アポロ計画懇談会の設置を決定した。同懇談会は1971年(昭和46年)7月1日の中間報告を経て、1971年(昭和46年)9月29日に審議報告が実施された結果、作業部会を設置して、さらに引き続き審議が進められることになった。
 そして、1974年(昭和49年)6月5日、再度、同懇談会より報告がなされ、既存国内プロジェクトとの調整を図りつつ、宇宙輸送システム及びスペース・ラボラトリーを利用して行う各種観測、実験等に関連する搭載機器やデータ取得装置を含むサブシステムの開発を行い、積極的に参加することなどが提言された。また、観測・実験への参加を念頭に置いた各種利用テーマの発掘などもあわせて報告されている。

お問合せ先

研究開発局参事官(宇宙航空政策担当)付

(研究開発局参事官(宇宙航空政策担当)付)

-- 登録:平成23年02月 --