ここからサイトの主なメニューです

宇宙開発利用

6) M-Ⅴ型ロケット

第三章 日本の輸送系技術の発展1.M系ロケットと観測ロケット > (7)ミューロケット

1.実施に至った経緯

 1990年代後半以降、宇宙科学への要求がより増大・高度化した結果、打上げ用ロケットに期待される性能もより高度化した。1989年(平成元年)に改訂された「宇宙開発政策大綱」ではMシリーズロケットの大型化を図るとされ、M-3SⅡロケットの後継として、これまでの技術を活かしたより大型のロケットの開発が進められた。

2.プロジェクトの目的と目標

 M-Ⅴロケットでは、求められるペイロード質量の増加に対応すると同時に、固体燃料ロケットの安価性という優位と、これまでMシリーズロケットの打上げで培ってきた打上げ技術とインフラを最大限活用することが求められた。

3.実施内容

 M-VロケットはMシリーズに使用された技術の集大成であり、モータ直径をほぼ倍にする大型化によってペイロードを増大させた。その他に、以下のような新技術が採用された。

  • 第1段と第2段のモータケースへの高張力鋼(HT-230M)の採用
  • ファイア・イン・ザ・ホール方式の分離システムに対応する1、2段継手
  • 第3段のCFRP製モータケースの軽量化 、キックステージに伸展ノズルを採用
  • ノーズ・フェアリング開頭に新方式を採用
  • ロケットの姿勢を検出するためのファイバー・オプティカル・ジャイロの採用
  • 可動ノズルによる推力偏向制御MNTVC(Movable Nozzle Trust Vector Control)の採用

その結果、以下のようなロケットとした。

  • 3段式固体燃料ロケット
  • 全長:30.8m
  • 外径:2.5m
  • 打上げ能力:約1,800kg(低軌道)、約500kg(地球重力脱出)

【打上げ実績】

1号機

 1997年(平成9年)2月12日 電波天文観測衛星「はるか」(MUSES-B)の打上げ成功。

2号機

 月探査衛星(LUNAR-A)の打上げ用に開発されていたが、2007年(平成19年)に衛星の計画が中止されたため、2008年(平成20年)より宇宙航空研究開発機構(JAXA)の相模原キャンパスで実機の展示が行われている。

3号機

 1998年(平成10年)7月4日 火星探査機「のぞみ」(PLANET-B)の打上げ成功。

4号機

 2000年(平成12年)2月10日 X線天文衛星(ASTRO-E)打上げに失敗。1段目の燃焼異常が原因。

 2000年(平成12年)2月10日に打ち上げられM-Ⅴロケット4号機は、第1段の燃焼末期に一時期姿勢が大きく乱れたため、第1段燃焼終了時の速度増分が計画値を下回り、姿勢制御による懸命の回復を試みたが、ついに軌道に投入できず、打上げに失敗した。打上げ後、射点の周辺に黒い破片が数多く散乱しているのが発見され、分析の結果第1段モータのノズル・スロートの一部であることが判明した。3,000℃を越える燃焼ガスによる熱応力によりノズル・スロートが打上げ直後から徐々に破損脱落し、ノズル側面に穴が空き、そこから燃焼ガスが漏れて周辺の姿勢制御機器を焼損したために姿勢が乱れたものと推定された。グラファイト製のノズル・スロートの素材内部に異物や亀裂などの欠陥が内在したか、表面に亀裂があったことが原因と推定された。これまでの地上燃焼試験や打上げで十分にその信頼性が証明されていた素材であり、実績への過信が結果的には設計や品質管理の死角となった一例であった。その後、宇宙科学研究所はメーカと一致協力して固体ロケットモータのスロート・インサートの素材をM-Ⅴロケットの第4段モータやH-ⅡAロケットのSRB-Aのものと同様なカーボン・カーボン材に変更し製造の品質管理を強化し、地上燃焼試験を行った後に、M-Ⅴロケット5号機に採用している。

5号機

 2003年(平成15年)5月9日 小惑星探査機「はやぶさ」(MUSES-C)の打上げに成功。4号機の打上げ失敗の原因となったノズル内部の材質を全段にわたって改修を行った。

6号機

 2005年(平成17年)7月10日 X線天文衛星「すざく」(ASTRO-EⅡ)の打上げに成功。サブペイロードとして超小型衛星用分離機構実証システム(TSD)及び残留加速度計測装置(RAMS)を搭載。

8号機

 2006年(平成18年)2月22日 赤外線天文衛星「あかり」(ASTRO-F)の打上げに成功。サブペイロードとして超小型人工衛星(Cute-1.7+APD)およびソーラーセイル(SSP)を搭載。

7号機

 2006年(平成18年)9月23日 太陽観測衛星「ひので」(SOLAR-B)の打上げに成功。サブペイロードとしてソーラ電力セイル実験小型衛星(SSSSAT)及び小型衛星バス部機能実証超小型衛星(HI-SAT)を搭載。これを以てM-V型ロケットは運用を終了した。

4.成果

 6回の打上げに成功し、小型衛星を含む10機の衛星を軌道に投入した。
 打上げ能力の増強により、メインペイロードである科学衛星のほかにサブペイロードの搭載が可能となった。

お問合せ先

研究開発局参事官(宇宙航空政策担当)付

(研究開発局参事官(宇宙航空政策担当)付)

-- 登録:平成23年02月 --