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宇宙研究開発

第四章 宇宙環境利用

 宇宙環境は、微小重力、高真空等の地上では容易に得ることのできない特徴を有している。微小重力下で物質科学やライフサイエンス等の実験を行う効果として、(1)沈降や対流がないため、高品質な物質生成が可能、(2)流体の容器をなくせるため、不純物が混ざらない、(3)生体に及ぼす重力の影響を確認できる、などが挙げられる。また、(4)宇宙の高真空場、(5)広大な視野などの曝露環境の特徴がある。このような宇宙環境を利用した研究開発等は、物質科学、生命科学等に関する新たな知見や知識をもたらし、人類の知的フロンティアの拡大を図る物として期待されるとともに、新材料や医薬品の創製等の新たな産業の鍵となる技術の創出などに大きく寄与するものと期待されている。
 宇宙環境利用は、宇宙開発の歴史とともに展開してきており、宇宙環境での研究や実験等は、米国ではアポロ計画やスカイラブ計画等により、また、旧ソ連ではサリュート宇宙船等により、1970年代に開始され、それぞれ、スペースシャトル及びミール宇宙ステーションに引き継がれて行われてきた。しかし、これらの取組では、米国は西側諸国と、旧ソ連は東側諸国とそれぞれ協力を進めるなど、東西冷戦構造の時代を反映した国家威信をかけた競争といった側面を色濃く持っていた。冷戦の終結に伴い、世界的に宇宙開発の位置づけと方向性が見直される中、国際協力や民生利用の重視といった方向性を象徴する動きとして日本、米国、欧州、カナダによる宇宙ステーション計画にロシアがパートナーとして参加し、国際宇宙ステーション(ISS)計画が誕生した。ISSは、また、我が国として、宇宙環境での研究や実験等を継続的に可能とするはじめての有人の宇宙活動であり、我が国の宇宙環境利用に新たな展開をもたらすことが期待されている。
 我が国では、1980年(昭和55年)9月のTT-500Aロケット等の小型ロケットによる宇宙実験に始まり、航空機、落下施設による地上実験など、短時間の微小重力実験手段により、宇宙実験の技術や経験の蓄積を図るとともに、国内研究者へ多くの予備的実験機会を提供してきた。また、1992年(平成4年)1月の第1次国際微小重力実験室(IML-1)計画に始まったスペースシャトル利用による宇宙環境利用実験等により、宇宙実験のための基礎的知見、基盤技術を習得してきた。

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研究開発局参事官(宇宙航空政策担当)付

 

(研究開発局参事官(宇宙航空政策担当)付)