文部科学省では、平成22年度「気候変動適応戦略イニシアチブ」気候変動適応研究推進プログラムの公募を開始しますので、お知らせいたします。
平成22年3月8日
地球温暖化対策は、大別すると人間活動から排出される温室効果ガスを削減することによって大気中の温室効果ガス濃度の上昇を抑えて温暖化の進行を食い止めるための「緩和策」と、温暖化を所与のものとして我々の生活・行動様式の変更や社会システムの調節を通じて温暖化の影響を軽減するための「適応策」に分けられます。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第4次評価報告書においては、「気候変動の多くの影響は、緩和によって、回避、減少又は遅延され得る。」とともに、「最も厳しい緩和努力をもってしても、今後数十年間の気候変動の更なる影響を回避することはできないため、適応は、特に至近の影響への対処において不可欠となる。」と指摘されています。
我が国では、「低炭素社会づくり行動計画」(平成20年7月、閣議決定)などにおいて緩和策が先行的に取り扱われてきましたが、新たに「気候変動に適応した新たな社会の創出に向けた技術開発の方向性」(平成22年1月、総合科学技術会議)では、「気候変動への対応という機会を科学技術の飛躍により新たな社会と価値を作り出す絶好の機会と捉え、国を挙げてチャレンジしていく」ことを提言し、緩和策と適応策の両方を推進することが最も効果的な気候変動対策であるとして、適応策については、「グリーン社会インフラの強化」と「世界をリードする環境先進都市創り」といった目標を掲げ、そのために必要な技術開発の方向性を指摘しています。
このような中、文部科学省では、「低炭素社会づくり研究開発戦略」を平成21年8月に策定し、従来から取り組んできた地球観測や気候変動予測、環境に係る基礎研究に加え、先端的な低炭素化のための技術の開発や今後避けることのできない地球温暖化の影響に適応するための研究開発、低炭素社会実現に向けた研究開発の方向性を示す社会シナリオ研究、気候変動の緩和及び適応技術を社会実装に適用するフィールド実証など低炭素社会づくりに向けた研究開発を総合的に推進することといたしました。
この戦略の一躍を担う適応策研究の新規施策としては、「気候変動適応戦略イニシアチブ」を立ち上げ、当該事業の中に気候変動適応に関する研究水準の大幅な底上げ、適応策検討への科学的知見の提供、気候変動による影響に強い社会の実現に貢献することを目的とした「気候変動適応研究推進プログラム」(以下、「本プログラム」という。)を設定いたしました。
気候変動の影響は、都市部や山間部など地域毎に固有な形で現れることが予想されます。また、我が国では少子高齢化や地域人口の過密化/過疎化、都市や農山村の生活様式の変化、高度経済成長時に整備された社会インフラの老朽化などは、地域社会の脆弱化の原因となりつつあります。様々な脆弱化の要因を抱える地域においては、将来の気候変動が、水循環や森林の管理、都市環境、食料の生産、感染症等に対して深刻な影響を与えるものと懸念されることから、中長期的な観点からの影響評価を適切に実施し、その影響を極小化する効果的な適応策の立案が必要となります。
将来の影響を考慮した適応策の立案には、その科学的根拠となる予測情報が不可欠となります。しかしながら、現在の気候変動予測の空間解像度は地域規模の検討に使用するには粗いなどの課題も指摘されており、気候変動予測の時間的、空間的な分解能を向上させることや、予測に含まれる不確実性の低減を図ることが求められています。また、全球規模の気候変動予測モデルの成果を利用する気候変動適応シミュレーションは、対象地域の社会的な実情を十分に考慮することによって、効果的な適応策立案に必要な科学的知見を政策決定者や利害関係者に提供できるものと期待されます。
本プログラムにおいては、気候変動予測の成果を都道府県あるいは市区町村などの地域規模で行われる気候変動適応策立案に科学的知見として提供するために必要となる研究開発を推進することから、本公募では以下に記す3つの研究テーマを対象とする研究課題を募集いたします。
全球規模の気候変動予測モデルの成果を地域規模の気候変動予測や影響評価の検討などに活用することを目指して、力学的ダウンスケーリングと統計的ダウンスケーリングによる複合的なダウンスケーリング手法や新規で先進的なダウンスケーリング手法の研究開発を行います。国内の地域規模における適応研究に資するため、ダウンスケーリング後の水平解像度として対象となる地域の適応策検討に必要となる精度を目標として設定し、都市部での建物の情報や山間部での森林の情報等、土地利用情報も組み込んだ手法の開発を行います。
地域規模における気候変動影響評価及び適応策の検討に科学的知見を提供するシミュレーションモデルに対し、その不確実性の低減を目指して、観測データを同化する技術の研究開発を行います。
全球規模の気候変動予測モデルの成果をダウンスケーリングして得られた地域規模の予測データを活用することによって地域の適応策立案を可能とする気候変動適応シミュレーション技術の研究開発を行います。既存のシミュレーションモデルの高度化・統合化にかかわる研究開発も含みます。
研究課題の提案にあたっては、公募要領を熟読いただいたうえ、府省共通研究開発管理システム(e-Rad)を通じて所定様式による提案書類を提出してください。
公募要領等の関係資料は、以下をダウンロードしてご覧ください。
担当:小島、菱木
電話番号:03-6734-4181(直通)
ファクシミリ番号:03-6734-4162
メールアドレス:kankyou@mext.go.jp
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