第2回北極科学大臣会合共同声明 概要

本会合を通じて、以下の3テーマにおける国際的な共同研究等の強化と発展を図る。


1.北極における観測網の強化・統合・維持、北極に関するデータへのアクセス容易性の促進、研究インフラの共同利用

 北極は複雑であるとともに、広大で少ない人口密度であることなどから、北極研究は困難で予算がかかるため、研究インフラを持続的に有効なものとすることが課題であり、北極におけるあらゆる種類の観測に関し、互恵的な協働と協調を高め、空間的・時間的な観測範囲を増加させる必要がある。
 今後、機微情報の保護を確保しつつ、各国の法律、政策、倫理原則に従い、研究インフラと観測システムの共有化をさらに推進するとともに、科学的データや論文を、可能な限り適時かつ容易に発見・アクセス・再利用できるようにし、効率的・効果的に成果を創出する。
 世界の主要な観測ネットワークの連携を高めるとともに、研究インフラへの国際的なアクセスの促進、無人観測システムやリモート・センシングに必要な新技術の探求について協力していく。


2.北極の変化の地域的・全球的ダイナミクスの理解

 北極の変化は、局所的・地域的・全球的な環境、気候、社会及び経済的要因によって引き起こされ、また環境、人々、経済に世界的な影響を及ぼす。しかしながら、温暖化する北極圏及び陸上や海洋における生態系の変化に伴う地域的・全球的な影響は、まだ完全に評価・定量化されていない。
 したがって、北極圏の気象の変化や気候変動に関する予測能力を向上させるため、北極域研究のための学際的漂流観測プロジェクト(MOSAiC)などの取組を活用し、国際協力の強化等に取り組む。


3.北極の環境と社会の脆弱性評価と回復力の構築

 北極圏における生態系とコミュニティは、全球規模の変化の影響を受けている一方、新たな社会経済の発展のための機会を享受しつつある。
 したがって、気候変動や世界の変化が北極の環境や地域社会・先住民コミュニティ―に与えるリスクの特定及び影響の最小化等に向け、北極圏国、非北極圏国、先住民、地域社会等による科学協力の強化等に取り組む。



 本会合で合意された目標の達成に必要な研究の支援戦略を議論するため、関係各国の北極域に関する科学研究プロジェクトを企画立案する機関によるフォーラムの開催可能性を追求することを推奨する。

お問合せ先

研究開発局海洋地球課

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