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東北大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR) 2拠点構想(東北大学)

ホスト機関名 東北大学
ホスト機関長 井上明久(東北大学総長)
拠点構想の名称 国際高等原子分子材料研究拠点
拠点名称 東北大学原子分子材料科学高等研究機構
拠点構想の概要

拠点構想の概要

 世界一線級の国際的融合組織体制の下、次世代をにらみ従来の既成概念を払拭した斬新な原子分子制御法により新規材料開発を展開する。基礎研究に基づいて、1既存の材料を凌駕する優れた機能を発現する新物質・新材料の創製、2新たな原理に基づくプロセスの構築、および3社会還元を軸とする材料・システム構築を目指した応用研究をプロジェクト展開する。これにより、将来の安全で豊かな人類生活の基盤構築に絶大な影響を与える革新的基盤材料の創出を通して、多様な機能革新を実現する。

拠点の目標

 研究項目として、原子・分子レベルでの設計、合成、物性解明による革新的機能発現を目指し、金属、半導体、超伝導体、セラミックス、有機・生体化合物などの幅広い材料を研究対象として、構造材料、電子材料、ナノ分子材料、表面・界面系、蛋白・DNA、組織体・細胞系などの機能を有する材料の創製、開発および応用展開を行う。そのための研究領域として、既存の領域から新規材料、創製プロセスおよびシステム構築を選択し、これらの領域の融合、協力を通じて、基礎、応用および社会貢献に具する研究形式で研究を展開する。研究全体としては、いずれも、3つの項目の相乗的効果を意図した「原子分子制御による社会貢献」を拠点形成のための指針として位置づけ、同じく学術テーマ・キーワードとして掲げる、原子・分子、結晶成長制御、表面加工技術、分子組織化などの下、研究拠点の形成を実施する。

拠点の全体構造

 世界トップレベルの研究拠点構築のため、物理学、化学、材料科学、電子工学・情報工学、機械工学の各分野における優秀な研究者を国内の各大学・機関及び海外から採用するとともに、拠点長によるトップダウンの意思決定機関としてノーベル賞受賞者等を委員とする国際アドバイザリーボードを設置する。

拠点運営体制

 協力連携に関しては、優秀な研究者間の協力を通じ物理学、化学、材料科学、電子工学・情報工学、機械工学の各分野の融合を推進する。WPI研究拠点や多数の海外事務所(リエゾンオフィス、海外オフィス)での協力をもとに、独自の手法による国際研究拠点の形成を図る。

海外拠点ビジョン

外部評価および管理体制

 研究者の評価について、本学ではすでに各部局における全学的な評価方法を定めており、各学科の研究者の評価案を有している。このシステムによって拠点研究者の業績は厳しく評価され、研究者の給与査定(昇給制度や勤勉手当)および研究基金の優先割当てといった奨励金は本評価に基づいて決定される。拠点長によるトップダウンの意思決定機関としてノーベル賞受賞者等で構成される国際アドバイザリーボードを設置する。拠点長と国際アドバイザリーボードは有機的に協力、意見交換をし、積極的な世界的トップレベルの研究拠点構築に向けての改革を実行する。WPI研究拠点により与えられた環境では、研究者は米国におけるDistinguished Professor並みに自分の研究に専念することができる。上下関係をできるだけ無くしたフラットな研究組織の構造、若手研究者たちが自分の意見を発展させることができる環境を作り上げていく。研究機材の円滑な整備を行うための技術要員を配置し、優れた最先端の研究と独創的な研究をサポートする。

(1)対象分野

【研究分野】

「原子・分子から材料まで」物理、化学、材料科学および工学の融合による機能的材料の創出

【関連分野】

化学、材料科学、電子工学・情報学、精密・機械工学、物理学の5つの領域を融合した分野に取り組む。

【重要性】

 材料科学は、日本国内外の科学技術の将来にとって最も重要な分野のひとつである。現代社会におけるあらゆる材料の最も重要な基礎となるものであり、我が国の中核たる技術として今後継続し、現在の高度技術の成果を持続するべきである。
 本学の材料科学分野における研究活動は世界レベルである。材料科学で欧米諸国を凌ぐ現在の研究活動と卓越さは維持されるべきものであり、今後10年で上記5分野の融合により革新的な機能を持った新材料や化合物の発見、また社会への応用が可能で便利な装置やシステムの開発に及ぶものと期待される。さらに、この融合アプローチを通して全く新しいパラダイムの創出も期待される。

WPIセンターの10年後の構想

 しかし、将来、真の意味での革新的な材料を創造し、材料関連の研究分野で世界をリードするためには、この新しいパラダイムに基づいたWPI研究拠点の早急な構築が必要である。この目的を達成する上での基本的な構想が、上述した研究分野融合の推進である。

研究戦略(1)(原子・分子制御材料創製から社会へ)

 革新的機能を持った全く新しい材料・システムの創出は、原子・分子レベルでの制御と確かな理解、そして5分野の融合を通し実現可能かつ有益なものとなり、社会福祉への貢献へと繋がらなくてはならない。ISIの引用分析で本学の材料科学は世界第3位、物理学が同9位、化学が同18位にランクされており、それぞれの分野において優れた研究を築き上げてきている。

(2)研究達成目標

拠点の目標

【期待される新領域】

 原子レベルの物理学と分子レベルの化学は個々の分野において成熟しつつあるものの、5分野(物理学、化学、材料科学、電子工学・情報工学、精密・機械工学)の融合による原子・分子レベルの新領域の開拓が期待される。したがって、材料科学の新領域は、原子・分子段階の深くかつ基本的な理解に基づくものである。例えば、以下のような科学的課題の解決が求められる。

  • 1物質構造の制御
  • 2表面・界面の制御
  • 3分子の組織化
研究戦略(2)(原子・分子レベルでの革新材料創成研究)

【今後の社会における科学技術の進歩のため期待される効果】

 例えば、今後10年間において、超伝導電線、エコモデル発光物質、情報用・通信用部品、工業用・家庭用ロボット、高強度部品(航空機用)、マイクロサージェリー用顕微鏡、スーパーマイクロギヤードモーター等の超微細機構部品、分子素子、高性能圧力センサー(自動車用)、高精度ディスプレイの製造に効果を上げるものと期待される。これらの普及は人類社会への貢献に大きな影響を及ぼすものである。

世界トップレベル研究拠点形成の波及効果

世界トップレベル研究拠点の形成の全体構想

 本WPI研究拠点では、原子・分子レベルからのボトムアップ型アプローチを基本指針とする。現在、東北大学では各専門領域の平面的構造内で活発な研究が行われているが、WPI研究拠点では発展的構造内で研究を実施し、社会福祉への貢献につなげることを目的としている。これまで、東北大学の研究者ならびに卒業生が成し遂げた顕著な業績は、光通信の発明(西澤潤一教授)、カーボンナノチューブの発見(飯島澄男教授)、質量分析計の開発(田中耕一氏)、バルク金属ガラスの開拓(井上明久教授)などが挙げられる。

(3)運営

1)拠点長

 山本嘉則(東北大学原子分子材料科学高等研究機構・教授)
 同氏は、有機化学、有機金属化学、触媒反応を専門分野とし、論文引用数世界第17位(ESI個人ランキングにおいて化学研究者6,539名中第17位:2007年3月1日現在)という顕著な研究実績を有するとともに、本学副学長(大学評価担当:2006年4月~2007年3月)及び21世紀COEプログラム「大分子複雑系未踏化学」(2002年~2006年)のプログラムリーダーとして管理運営の経験を十分に有している。
 本拠点では、これまでの研究実績を活かし、特に「有機合成領域」におけるシニアメンターとしての役割を果たしつつ、管理・運営に専念する。

2)事務部門長

 櫻井利夫(東北大学原子分子材料科学高等研究機構・教授)
 同氏は、本学金属材料研究所教授としてこれまで「表面物理学」の研究を推進し、本拠点プログラムの課題である「原子分子制御による新物質・材料の創出と機能革新」において、特に、「表面計測領域」に係る顕著な研究業績を多数有している。
 また、同氏は、金属材料研究所附属材料科学国際フロンティアセンター長として、ノーベル賞受賞者等が参画する主として材料系分野の国際会議等を多数コーディネートし、国際ネットワークシステムの構築にも十分な実績を有している。

3)事務部門の構成

 事務部門は、研究者が円滑に研究を遂行できるような下支えする業務を行うとともに、積極的な研究展開や研究成果の円滑な展開等を研究者と一体となって企画立案できるような専門知識を有する者を積極的に登用し、本拠点の研究達成目標に積極的に貢献できる構成とする。
 具体的には、会計業務・人事業務・研究支援等の日々の業務処理については、これらの業務を円滑かつ的確にできる、これらの業務の経験が深い事務スタッフを、主として学内から登用する。その際、本拠点の公用語が英語であることを念頭において、英語による業務遂行能力を有するスタッフを優先的に配置するとともに、英語が堪能な外部の者も登用する。
 また、これらの業務処理以外に、研究者評価、国際的な研究コーディネーション、研究成果の円滑な展開、研究成果の広報、研究集会等の企画・支援等の分野で優れた経験を有する者を、プログラムオフィサー、プロジェクトマネージャー等として配置する。これらのスタッフについては、これらの専門的能力を有する学内の経験者のみならず、民間企業経験者や外国人(国際的経験を有する者)や元研究者等の多様な人材を、年俸制も活用し積極的に雇用する。

4)拠点内の意思決定システム

 本拠点の運営は、臨機応変で迅速な意思決定が行い得るよう、拠点長によるトップダウン型のものとし、拠点内に合議による意思決定機関は設置しない。
 さらに、拠点長によるトップダウン的な意志決定を助言するため、拠点長に直属のノーベル賞受賞者等で構成される「国際アドバイザリーボード」を設置する。世界トップレベルの研究拠点を構築するためのシステム改革の導入等について、拠点長と国際アドバイザリーボードが有機的に連携して意見交換ができるよう、インターネット技術を活用した環境を整備する。
 なお、ホスト機関においても、拠点長から、機関内の制度の柔軟な運用、改正、整備等について要請があった場合には、その要請に対して早急に検討し対応できるよう、タスクチームを総長室を中心に本部に常時設置し、拠点長のトップマネジメントが円滑になされる環境作りを行う。

5)拠点長とホスト機関側の権限の分担

 拠点運営に独立性を確保するため、ホスト機関側は、拠点長の選・解任の決定等の極めて限定的な重要事項についてのみの権限を有することとし、それ以外の人事や予算執行等について、拠点長が実質的に判断できることとする。
 すなわち、人事に関しては、ホスト機関側は、拠点長の選・解任の決定の権限のみ有することとし、主任研究者の採用を含め、その他の拠点内の人事については、拠点長が決定することとする。
 また、拠点への配分予算(人件費・物件費)については渡し切りとし、拠点長の判断により自由に執行できることとし、さらに、年度内未執行の予算について翌年度への繰越が可能となるようにする。

(4)拠点を形成する研究者等

1)ホスト機関内に構築される「中核」

a)主任研究者(教授相当)

  事業開始時点 平成19年度末時点 最終目標
(平成20年10月頃)
ホスト機関内からの研究者数 15 15 15
海外から招聘する研究者数 11 11 11
国内他機関から招聘する研究者数 4 4 4
主任研究者数合計 30 30 30

 上記表の通り、30名の主任研究者(Principal Investigator)全員が、本プログラムの開始時より各自の研究室での研究活動を行い、その研究は、2008年3月末頃に新設されるWPI研究拠点にて引き続き行われる。最終目標数(2008年10月1日付け)は、設立が遅れる場合の予想外の状況に注意して設定されている。

b)全体構成

  事業開始時点 平成19年度末時点 最終目標
かっこ平成20年10月頃)
研究者 研究者合計
かっこうち、外国人研究者数及びパーセント)
60
かっこ19)
かっこ31パーセント)
90
かっこ28)
かっこ31パーセント)
120
かっこ38)
かっこ31パーセント)
主任研究者
かっこうち、外国人研究者数及びパーセント)
30
かっこ12)
かっこ40パーセント)
30
かっこ12)
かっこ40パーセント)
30
かっこ12)
かっこ40パーセント)
その他研究者
かっこうち、外国人研究者数及びパーセント)
30
かっこ7)
かっこ23パーセント)
60
かっこ16)
かっこ26パーセント)
90
かっこ26)
かっこ27パーセント)
研究支援員数 44 44 53
事務スタッフ 35 35 40
「中核」を構成する構成員の合計 139 169 213

 本プログラム開始時は、30名の主任研究者(Principal Investigator)とその他30名の研究員(内7名が外国人研究員)が共に研究プロジェクトに着手し、研究支援スタッフと事務部門スタッフも配置される。また、開始時より直ちにポスドクと若手研究員の公募を国内外で実施する。従って、公募採用に関わる資金が初期段階より必要となる。研究員とスタッフの数は次第に増やしていく予定で、2008年10月1日付けで、最終的に本拠点の職員数は計213名となる。

2)他機関との連携

 本プログラムでは、サテライト的組織は設置しないものの、東北大学が現状で所持する海外拠点(リエゾンオフィス及び海外代表事務所)が数多くあり、これらを機軸とする国際(グローバル)連携に立脚して海外及び国内の連携拠点を通して国内外の研究機関との連携を図る。国内外の主任研究者及びその共同研究者は東北大学の拠点で研究を行うことを原則とするが、主任研究者がやむを得ぬ理由で国外(あるいは国内の他機関)で研究を行う場合でも、そのグループの共同研究者は拠点に滞在しており、充分な連携を保ち、本プログラムが目指す国際研究拠点形成促進を遂行することができる。
 例えば金属材料研究所内に設置されているIFCAM(材料科学国際フロンティアセンター)では、国内外の協力機関との有益な連携が行われている。本WPI拠点では、中核である材料科学の他、物理、化学、工学分野においても、世界的に著名な機関や協力校との連携を展開する。
 本拠点では、研究テーマごとにいくつかのグループを形成し研究推進を図る(例えば、バルク金属ガラス研究グループ、表面界面研究グループなど)。国内外の主任研究者も、いずれかのグループに属し、共同連携研究を行う。国際的には、米国の4機関(ウイスコンシン大、MIT、ペンシルバニア州立大、IBM),英国2機関(ケンブリッジ大、ロンドン大)、独のケムニッツ工科大、仏のグルノーブル国立総合研究所、中国の2機関(清華大、中国科学院化学研究所)とは特に強い連携を図る。国内的には、東京大学(幾原教授)、東京工業大学(西教授)、早稲田大学(塚田教授)、日立製作所(橋詰博士)と特に強い連携を図るが、それ以外の材料科学に関する国内機関とも情報の共有化や共同研究を計画する。東北大学のWPIと言っても、これは日本の材料科学に関するWPI的存在であるとの認識をもっている。強い連携を図るため、各主任研究者は毎年一定期間仙台の拠点に滞在し、まずはグループ内の共同研究者(日本の主任研究者およびポストドクター等)と研究の進展を図り、さらに他のグループとの連携融合をすすめる。海外の主任研究者が本国に帰国している間でも、ポストドクター等の共同研究者はグループ内で研究討議等を進めるので、研究の進展は問題なく行える。

海外拠点ビジョン

国際的共同研究のネットワーク

(5)環境整備

1)研究者から研究以外の職務の減免、種々の手続き等管理事務をサポートするためのスタッフ機能の充実等による研究者が研究に専念できるような環境を提供

 本拠点に参加する研究者が最大限に研究に専念できるような環境整備を行い、主任研究者(Pl)は、米国におけるDistinguished Professor同様の環境が提供される。
 研究者本人については、ホスト機関の管理事務には携わらせないこととするとともに、本人の時間管理(エフォート管理)を徹底し、できる限り本拠点における研究の従事時間が十分確保されるようにする。
 さらに、研究者が研究に専念できるよう、会計業務・人事業務・研究支援業務・渉外及び広報業務を強力にバックアップできるスタッフ機能を整備する。これらスタッフ機能は、種々の手続き等管理事務を研究者に代わって実施し、恒常的な会計等の事務処理を行う者に加え、研究者評価、国際的な研究コーディネーション、研究成果の円滑な展開、研究成果の広報、研究集会等の企画・支援等の分野で優れた経験を有する者を、プログラムオフィサー等として配置する。このため、スタッフについては、学内の人員の登用のみならず、民間企業経験者や外国人(国際的経験を有する者)や元研究者等の多様な人材を、年俸制も活用し積極的に雇用する。
 また、研究を円滑に進めるために、必要なテクニカルスタッフを配置する。
 研究に関わる事柄に加えて、PIが、研究施設に十分な設備とスペースが確保されるだけでなく、楽しい住居環境が提供されることも、特に海外からの赴任者にとって、必要なことである。よって、快適な環境を手助けできるよう最善を尽くす。

2)招聘した優秀な研究者が、移籍当初競争的資金の獲得に腐心することなく自らの研究を精力的に継続することができるよう、必要に応じスタートアップのための研究資金を提供

 招聘した研究者が、移籍当初に自らの研究を精力的に継続するため資金が必要な場合には、拠点長の判断により、必要なスタートアップ資金を提供する。
 また、招聘した研究者に対し、学内の研究者との研究交流・情報交換・ブレインストーミングの場を提供し、学内共同研究の可能性検討の場を速やかに提供するとともに、学内の共通試験設備等へのアクセスを支援し、研究の垂直立ち上げを支援する。

3)ポスドクは原則として国際公募により採用

(公募方法)

 ポスドクの公募については、東北大学のホームページ(英文・和文)や国際学術誌や東北大学の海外拠点を活用し、世界的に優秀な人材を国際公募により確保する。具体的には

  • 1)東北大学ホームページ(英文・和文)に掲載し、国際公募する。
  • 2)“Nature”誌及び“Science”誌等の国際学会誌や主任研究者が所属する学会誌に募集広告を出し、国際公募する。
  • 3)科学技術振興機構が運営する人材データベース(JREC-IN(Japan Research Career Information Network))の日本語・英語のホームページに掲載し、国際公募する。
  • 4)東北大学の米国代表事務所、中国代表事務所等の海外事務所・拠点の活用、世界の大学間学術交流協定締結機関(119機関)や大学コンソーシアム(東アジア研究型大学協会等)等を通じ、世界の著名大学の求人Webに掲載を依頼し、国際公募する。
  • 5)その他主任研究者が各学問分野において展開している国際ネットワークを活用し、国際公募する。

(採用審査方法)

 主任研究者を委員長とする数名で構成されるポスドク採用審査委員会をそれぞれの主任研究者毎に結成し、第1次選考として書面審査を行う。第2次選考として面接審査を行い、ポスドク候補者を決定し、最終的に拠点長が決定し採用する。
 上記採用審査においては、個々の研究分野において優れた研究成果を上げているポスドクを採用すると同時に、分野横断的な融合領域分野の研究の促進を図るため「融合領域分野」におけるポスドクの採用も積極的に行い、拠点構想に則り有為なポスドクを拠点長が直接採用決定する。

(女性研究者の採用)

 ポストドクも含めて、研究者全体の最低でも10パーセント程度(希望的には10~20パーセント程度)は女性研究者の参加があるように、採用に際して考慮する。

4)職務上使用する言語は英語を基本とし、英語による職務遂行が可能な事務スタッフ機能を整備英語による職務遂行が可能となるような環境整備

 事務スタッフについては、各セクションに英語による職務遂行が可能な者を複数人配置し、研究者と事務スタッフとのやりとりが常時すべて英語でできるような環境を整える。
 このため、拠点の事務スタッフのうち、学内から登用する者については、会計・人事・研究支援等の各業務における専門性に加え、英語が得意な職員を優先的に配置する。さらに、これらの者の英語力を補完するため、英語が堪能な者を、年俸制等による外部の者の雇用や派遣職員の活用等により、英語による業務遂行が可能な事務スタッフを拠点に配置する。
 さらに、拠点の事務スタッフの英語能力(専門英語を含む)の向上のため語学研修の機会を体系的に設け、同スタッフの英語能力の向上を継続的に行う。
 拠点内の書類については、まず研究者個人が記入する必要のある拠点内の各種申請書類については、すべて英語で作成し、外国人の研究者が関係書類を英語により申請できるようにする。
 また、拠点内における英語による職務遂行能力を高め、「拠点内での会議での公用語は英語とすること」「拠点内で作成する文書については英文によること」が実施できる体制へ順次移行する。
 なお、拠点の研究者の研究論文は、英語によることを原則とする。

5)研究成果に関する厳格な評価システムと能力に応じた給与システム(例えば年俸制等)を導入

 研究者の評価については、既に大学全体としての教員個人評価のあり方が示され、各部局において研究者評価を行うスキームができている。本拠点においても、この評価スキームにしたがって、研究者の研究成果等についての厳格な評価を行い、その結果に基づき、研究者に対する給与査定(昇給制度、勤勉手当)や研究費の傾斜配分等のインセンティブの付与を行う。特に、給与については、年俸制の積極的な活用に加え、特に顕著な貢献のある研究者に対しては、特別手当の支給も行う。
 ノーベル賞受賞者も委員会メンバーとする国際アドバイザリーボード並びに、外部評価委員会を設置し、各PIの研究評価だけでなく、本拠点のシステムと組織についても評価を行う。
 さらに、ホスト機関外から著名な研究者を招聘する場合、その研究業績や直前に受けていた給与額に応じて「招聘手当」(最長5年間)の支給を行う。
 また、研究において先導的な役割を担う教授を「フェロー教授(仮称)」とし、東京地区の大学の給与と均衡が図られる新たな仕組みや、ノーベル賞級の研究者を招聘する場合など招聘困難な場合に支度金又は契約締結金を支給する制度など新たな制度も導入する。
 なお、著名な研究者の招聘に当たっては、東北大学が有する「ユニバーシティ・プロフェッサー制度」を積極的に活用する

6)「世界トップレベル拠点」としてふさわしい研究室、居室等の施設、設備環境を整備

 世界トップレベルの拠点にふさわしい施設環境を整えるため、拠点の活動の中核となる施設を、平成20年4月頃から使用できることを目標に、ホスト機関が新営する。当該施設には、フレキシブルな給排水設備、空調設備、電源設備を配備し、研究者がそれぞれの使用に合わせた間仕切りや機器設備へ対応できるようにした研究スペースを整備する。居室については、各研究者間の情報交換・ブレインストーミングが非常に重要であることを考慮し、中央部分に図書コーナー、打ち合わせスペース等、皆が集える場を配置するとともに、その奥の部分にプライベート的な個室を確保する。セキュリテイーについては、各研究室、あるいは、各部門そして建物全体と、ゾーンに分けて安全の確保を図る。また、研究費の圧迫を避けるため、省エネ設備についても考慮する。
 上記の新営の建物のほか、既存の建物の研究スペースも活用して研究を行うが、その場合も、間仕切りの制約等はあるものの、建物の耐震補強はもとより、上記の考えに基づいた改修を可能な限り行い、「世界トップレベル拠点」としてふさわしい研究室、居室等の施設整備を行う。
 さらに、研究の進展に応じて、柔軟かつ十分な研究スペースを確保するため、民間の施設の利用も積極的に行う。
 また、研究設備については、研究教育基盤技術センター等の東北大学関連部局と密接な連携を図り、高性能電子顕微鏡等の最先端の設備を優先的に使用できるようにする。

7)世界トップレベルの研究者を集めた国際的な研究集会を定期的(少なくとも年1回以上)に開催

 米国代表事務所、中国代表事務所及びリエゾンオフィス(11カ所)等の東北大学が有する海外事務所・拠点を積極的に活用するとともに、世界の大学間学術交流協定締結機関(119機関)及び国際コンソーシアム(東アジア研究型大学協会(AEARU)、Top Industrial Managers for Europe(T.I.M.E.))加盟校等との連携を通して、研究者等の交流、国際共同研究の組織的連携等により国際展開の推進を図る。
 具体的には、まず、世界の主要大学との間で、「原子・分子制御による新物質・材料と機能革新」の研究推進に係る国際コンソーシアムの構築を進め、国際的な組織的連携の下での研究展開を推進できる体制を構築する。
 そして、この国際コンソーシアム及び東北大学が既に有する上述のグローバルネットワークを活用して、研究者の短期間の海外派遣・世界的研究者の招聘など相互交流の機会を定期的に設けるとともに、世界のトップレベルの研究者が集まり時代を先導する最先端の国際研究集会を定期的(年2回程度)に開催するなど、拠点の研究者が世界の最先端の研究者と国際的な研究交流・情報交換・ブレインストーミングできる環境を整備する。

8)世界から集まるトップレベルの研究者が、国際的かつ競争的な環境の下で快適に研究に専念できるようにするための取組み

 世界最先端の情報集積と研究推進が行われ、学術の飛躍的発展を先導する頭脳が集積する拠点を構築するため、以下の取り組みを行う。

  • 1)拠点長によるトップダウン的な意志決定を助言するため、拠点長に直属のノーベル賞受賞者等で構成される「国際アドバイザリーボード」を設置する。国際アドバイザリーボードのメンバーは、ハンスローラー博士(スイス、1986年ノーベル物理学賞受賞)、ハーバートグライター教授(ドイツ、カールスルーエ ナノテク研究所所長)、ロバートシルビー教授(MIT、科学カレッジ学長)、ロバートビルゲニュー教授(カリフォルニア大、バークレー校、学長)、ビンリン グ教授(清華大、総長)、オスターワルダー教授(スイスETH,総長、国連大学総長)、小野寺正氏(KDDI 社長)であり、拠点長と国際アドバイザリーボードが有機的に連携して意見交換し、世界トップレベルの研究拠点を構築しグローバル化を推進するためのシステム改革を積極的に行う。さらに、各年度の研究者の達成度評価や、ポストドクター等の採用に関しては、国内外の専門家からなるピアレビューによる評価に基づいて行う。
  • 2)研究組織については、できる限り上下関係のないフラットな組織の構築を行い、若手研究者であっても、個の発想・展開ができる環境を整備する。
  • 3)若手研究者に対してはシニアメンテによる研究支援を行い、研究の有機的発展を促す。
  • 4)卓越した最先端研究や独創的研究を支える研究設備の開発等を円滑に行うため、必要なテクニカルスタッフを配置する。
  • 5)本拠点に集積する外国人研究者の日本での生活や外国人子弟向けの教育を支援するため、生活や教育に関するきめ細かいアドバイスを行える体制を整える。例えば、子弟の教育に関しては、東北インターナショナルスクールが幼稚園から高等学校まで外国人を受け入れており、研究者は安心して研究に専念できる環境にあり、更には経費的な費用負担について今後検討していくこととする。勿論、通常の学校(小学から高校まで)でも、外国人児童・生徒の受け入れが行われているのが現状であるが、設置者である地方公共団体と連携を図り、研究者の子息の受け入れについて協力を要請することも検討する。

(6)世界的レベルを評価する際の指標等

1)対象分野における世界的なレベルを評価するのに適当な評価指標・手法

 個々のPI及び研究者の評価は、国際的認知度の高いトップクラスの刊行物の出版またはそれらの引用回数、国際的認知度の高い国際会議での招待講演および基調講演、国際的な賞の受賞、研究基金獲得等、できるだけ数字に基づいた客観的な要素を採用する。拠点の世界的なレベルに関しては、主にISIの引用分析に基づいた各分野の機関ランキングによって評価がなされる。

2)上記評価指標・手法に基づいた現状評価

 本学の材料科学の機関ランキングは世界536機関の中で第3位である。引用分析によれば、材料科学ではMax-Planckが第1位、中国科学院が第2位だが、いずれも各々の国内にある複数の独立機関を含む組織である。本学の物理における順位は592機関のうち第9位、化学では774機関のうち第18位となっている。

3)本事業により達成すべき目標(中間評価時、事後評価時)

 成果のひとつとして、基礎研究の分野において(願わくは多数の)研究者に対し科学における世界的な賞、少なくとも世界トップクラスの国際的な賞が与えられることを強く期待している。また、ISI引用ランキングでの本学の順位が劇的に向上することも見込まれる。応用研究の分野では、新開発の材料を基に数多くの新たなシステムが開発され、それらの革新的な機能が市場で実現可能となり、社会の繁栄に多大な貢献をする。二つ目の課題である社会貢献は、本WPI拠点の達成評価にとって第一の課題よりも重要な課題である。中間評価では、上述と同様の指標を採用する。

(7)研究資金等の確保

1)過去の実績(単位:ドル)

平成14年度 10,554,000
平成15年度 8,460,000
平成16年度 14,689,000
平成17年度 12,439,000
平成18年度 10,528,000
56,670,000

2)拠点設立後の見通し

 ホスト機関は、平成20年4月までに新しくWPI研究拠点の建物を建設する。本学の機関・学部に従来から勤めていたPIの給与は、WPI拠点に参加した後も原則として大学が支払う。さらに、研究資金、拠点での研究に必要な機器・設備の導入、研究スペースや研究室の改築、および拠点の運営を円滑に行うための支援に関しては本学が行う。このための資金として本学では年間約1,700,000USドルを準備する。
 上述の本学からの支援の他にも、当該拠点に参加するPIが平成18年度に外部から研究資金を約11,000,000USドル獲得している。よって今後も同額(またはそれ以上)の研究資金が見込まれる。

その他

 本プログラム実施期間終了後においても、本拠点における研究ポテンシャルを更に高めるべく、本拠点の活動を継続する。
 また、本プログラム実施期間中より、本拠点で培ったシステム改革の手法等を、本学内の既存の研究科・研究所等にも積極的に導入する。
 特に、本学では、21世紀COEプログラムの成果を踏まえ、融合領域を志す大学院学生を支援する「国際高等研究教育院」(平成18年4月設置)、若手研究者を主体に融合領域研究を推進する「国際高等融合領域研究所」(平成19年4月設置)からなる「国際高等研究教育機構」(平成19年4月完成)を設置している。この国際高等研究教育機構の活動により創出された様々な融合領域を、本拠点のような世界トップレベルのものに高めるべく、本拠点で培ったシステム改革の手法や人材を積極的に導入し展開していくこととする。その際、本学内の研究機関の密接な連携や新興・融合領域の研究能力を一層高めるという観点から、既存の研究科・研究所等の再編・統合を含めた見直しも積極的に検討する。