第1回オープンイノベーション共創会議 議事要旨

1.日時

平成29年1月19日(木曜日)16時00分~18時00分

2.場所

文部科学省3F1特別会議室

3.議題

・オープンイノベーション共創会議の検討項目
・大学発ベンチャー創出支援のための機能強化

4.出席者

委員
伊佐山委員(代理:久保田氏)、出雲委員、上山委員、江戸川委員、岡島委員、木村委員、斉藤委員、鮫島委員(代理:栁下氏)、菅委員、髙田委員、谷口委員、西村委員、橋本委員、林委員、原委員、松本委員、武藤委員、村山委員(代理:田中氏)、山本委員、吉村委員、渡部委員
文部科学省
松野文部科学大臣、水落文部科学副大臣、田野瀬文部科学大臣政務官、戸谷文部科学審議官、佐野官房長、義本総括審議官、常盤高等教育局長、伊藤科学技術・学術政策局長、浅田大臣官房審議官(高等教育局担当)、真先大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)、板倉大臣官房審議官(研究振興局担当)、白間大臣官房審議官(研究開発局担当)、神代科学技術・学術総括官、氷見谷国立大学法人支援課長、坂本産業連携・地域支援課長、橋爪科学技術・学術戦略官(制度改革・調査担当)

5.議事概要

1.開会
冒頭、松野大臣から挨拶があった。発言の概要は以下のとおり。
○産学官連携の重要性については、政府内外における様々な取組によって、産業界、大学や研究開発法人においても十分に理解されてきていることと承知をしている。
○産学官連携によって産業界は新たな知見や優れた人材を獲得し、大学は間接経費なども含め経営陣に自由度の高い財源を生み出す、このようなウイン・ウインの関係を構築していくことが、我が国の競争力強化において急務であると認識している。
○しかしながら、長年にわたって産学官連携を議論し取組を行ってきたものの、いまだに成果が十分に上がっているとは言えない状況にある。本会議の目的は、その阻害要因を分析し、具体的な解決策を検討する、それを目的に設置をしたものである。
○今後の議論に当たっては、大学などにおける人事管理のインセンティブ付与のための方策や財務会計の透明性の確保のための方策、知財管理のための制度の構築、起業家精神を持つ人材の育成など、具体的な解決方策について、各部門の専門家の皆様から御意見を頂き、解決策を見出したいと考えている。

2.オープンイノベーション共創会議の検討項目について
資料に基づき、検討項目について事務局から説明があり、その後、意見交換等を行った。主な意見等は以下のとおり。

○大学に比べると研究開発法人は産学官連携の運営体制、ベンチャー支援活動等に関して出資ができない等様々な制約があり、抜本的な緩和が必要。政府からの支援をお願いしたい。

○研究開発ファンディング改革については、実用化志向の研究について方向性を産業的価値に向くようにするポリシーが重要。選択的にこの研究はやめる、この研究は入れ替えるなどの考えを入れていくと大きな成果が得られるのではないか。
○大学にイノベーションだけを求めると日本の科学研究のポテンシャルは大いに損なわれるだろう。産業界とともに良い技術を見つけ、それを育てていくということが重要である。

○組織マネジメント改革については技術移転人材が定着していないことが問題。こうした人材は有期雇用なので、技術移転のノウハウがわかってきたところで職を辞さなければならなくなる。一方、米国スタンフォード大学では、長期にわたり技術移転人材を雇用しており、マーケティング機能を維持している。研究開発ファンディング改革については、Proof of Concept(POC)を実施するようなギャップファンドが重要。技術移転やベンチャー創出は、一人のスーパーマンがいればうまくいくという議論になりがちだが、どういう仕組みや制度を作るべきかという観点で議論してほしい。

3.ベンチャー創出支援のための大学・研究開発法人の機能強化について
資料に基づいて出席委員からプレゼンが、事務局から改革方策の検討状況について説明があり、その後、意見交換等を行った。主な意見等は以下のとおり。

○起業家人材について、海外武者修行で派遣された人材が日本に帰ってきたあと、フェローシップのような形で、1年間資金を与え、大学内でPOCを行う/ベンチャーを興すような、フェローシップとギャップファンドを組み合わせたような制度をつくることを提案。

○新株予約権はすでにライセンス対価として認められているが、現場では、大学の事務局が対応できるかがボトルネックになっているという意見がある。先行事例を出している大学もあるが、新株予約権を取得してよいのかどうかという議論がゼロから始まってしまう大学もあるようで、大学同士でのサポートが必要。また、研究開発法人は新株予約権を取得できていないという問題がある。また、家賃などの対価として新株予約権を取得することは、民間ではよく実施されているので、大学等でも実施していくべき。

○ベンチャー市場を見ると、どちらかというと資金は足りているが、人が一番足りていない。ベンチャーを巡るエコシステムのどこにテコ入れすべきかというと、人材の数を増やす、ということ。シリコンバレーは米国内で完結しておらず、米国内外からの人材がいる。起業家人材を議論するにあたっては、日本に閉じる必要はない。

○研究をマネタイズする人材が重要。産業界において経験があり、技術を社会に説明できるようなマーケティングの能力がある人が研究者とマッチングできるようなコミュニティがあるとよい。

○大学の知的財産について、死蔵特許を防止することも重要だが、維持資金がないことが問題。資金は国費に頼るのは一つの手ではある一方で、財政状況に鑑みれば国ばかりを頼るわけにはいかない。他方、民間では、利益につながるか不明な知的財産に出資することについて株主に説明できないため、なかなか資金が出てこない。官民で知的財産を中長期的に出していけるような仕組みを考える必要がある。
○地方大学には落ち着いて研究に集中できる環境ではなくなっている。産学連携、研究、教育をすべて研究者に押し付けるのではなく、それぞれの業務を分けて管理すべき。

○共同研究から生まれた知財の取得に関する新たな契約モデルの構築については、ベンチャー、大企業両方使えるようなものにすることが必要。規制緩和については、通知によってある事項の規制緩和を実施すると、できるものに関して反対解釈がでてしまって、それ以外はできないとい思われてしまう。新株予約権の取得に関する平成17年の通知は、小手先を変えるだけでなく、産学連携が根本的に進むよう変えてほしい。

○大都市圏の大学と地方大学との格差が大きくなっていることが問題であるので、進んでいる大学の取組を地方大学にも横展開すべき。また、地方大学では、事務サイドにベンチャー創出などの取組が浸透していないことも問題であるので、大学の出来る事と出来ない事をまとめたホワイトリストを作成するなどして理解を醸成することが必要。

○知財の維持費やPOCのための資金は、例えばふるさと納税のスキームを参考にしつつ新しい枠組みを考えていくべき。委員から提案があったオープンイノベーション機構のモデルは利益相反がシンプルになるので非常に良い。このモデルのバリエーションを普及させていけば全世界のレファレンスモデルになるだろう。

○共同研究から生まれた知財の所有権の帰属に関しては、大学・企業のうち貢献のより高いほうに特許権を譲渡するといったルールが必要と考える。

以上

お問合せ先

科学技術・学術政策局産業連携・地域支援課

電話番号:03-6734-4023
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(科学技術・学術政策局産業連携・地域支援課)

-- 登録:平成29年03月 --