ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム(HFSP)

概要

 1987年のヴェネチア・サミットにおいて、中曽根康弘首相(当時)の提唱により創設された国際的な研究助成プログラムです。
 生体の複雑な機能の解明を目的とする最先端の研究を推進し、その成果を広く人類全体の利益に供することを目的としています。
 フランス・ストラスブールに設置された国際ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム機構(HFSPO)が主体となり、世界の科学者の国境を越えた革新的な共同研究への支援(Research Grants)や、若手研究者に対する国際的研究機会の提供(Postdoctoral Fellowships)、さらに年一度関係者が一堂に会する会合等を実施しています。

プログラムの基本方針

 HFSPは生体の精妙かつ複雑なメカニズムに焦点を当てた革新的、学際的、かつ新規性を備えた基礎研究を支援します。
 研究対象としては、細胞構造における詳細な分子状態から、神経システム科学における複雑な相互作用にまで及びます。
 特に、ライフサイエンス以外の分野(物理学、数学、化学、情報科学、工学等)の科学者達の専門知識を活用した、独創的な最先端の共同研究に大きな重点を置いています。

実施内容

実施体制

 本プログラムの実施主体であるHFSPO(非営利機関)は、フランス・ストラスブールに 1989年に設立されました。
 現在、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、インド、イタリア、 日本、韓国、ノルウェー、 ニュージーランド、シンガポール、スイス、英国、米国、EC、イスラエル、南アフリカの17国・極により運営しています。
 1989年の創設当初は、我が国が1,578万ドル、HFSPO全体予算の97.1%を拠出して開始されましたが、他国の新規参入および拠出金額の増加により、2021年度の我が国の拠出金は2,050万米ドル、HFSPO全体予算の37.0%となっています。
 日本からは、文部科学省及び経済産業省が予算を計上し、日本医療研究開発機構(AMED)がプログラムの推進に寄与しています。

事業内容(詳細は<関連リンク>日本語でのHFSP紹介ウェブサイト(AMED)を参照)

研究グラント(Research Grants)

 国際共同研究チームへの研究費の助成(最大139万5,000米ドル(3年間))

  • プログラムグラント(Program Grants)
  • 若手研究者グラント(Young Investigator Grants)

フェローシップ(Postdoctoral Fellowships)

 若手研究者が、国外の優れた研究室での国際研究の機会を得て一流の研究者になることを支援(例:米国のホスト機関に受け入れられた場合①生活費:合計18万1,356米ドル、②研究費・旅費:年間7,200米ドル相当 等(3年間))

  • 長期フェローシップ(Long-Term Fellowships(LTF))
  • 学際的フェローシップ(Cross-Disciplinary Fellowships(CDF))

受賞者会合(Awardees Meeting)

 HFSP受賞者年次会合

成果

 1990年以降、HFSPはこれまでに約1,200件の研究課題、約4,300名の研究者に対する研究グラント、約3,400名の若手研究者に対するフェローシップの支援をしてきました。
 過去にHFSP研究グラントに採択された受賞者の中から、28名ものノーベル賞受賞者を輩出しています。

中曽根賞(Nakasone Award)

 生物学にとってブレイクスルーとなる顕著な研究成果を上げた研究者を称えるHFSP中曽根賞が、HFSP創設20周年を記念して2009年に創設されました。
 この賞は、HFSP受賞者だけではなく、あらゆる研究者を受賞候補としており、毎年のHFSP中曽根賞の受賞者には、その年の受賞者会合の場において、賞の授与(賞状及び記念メダル)を行い、受賞した研究内容について記念講演を行っていただいています。

関連リンク

お問合せ先

研究振興局研究振興戦略官付

応募に関するお問い合わせについては<関連リンク>の「日本語でのHFSP紹介ウェブサイト」をご確認ください。

(研究振興局研究振興戦略官付)