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科学技術基本計画 第2章 重要政策 2.優れた成果の創出・活用のための科学技術システム改革 6.科学技術に関する倫理と社会的責任

 科学技術の進歩が、人間や社会に大きな影響を及ぼす場合が多くなっている。このため、生命倫理に代表されるように、科学技術の発展がもたらす倫理的問題が重要となっている。また、研究者や技術者など科学技術に関わる人々や組織の倫理や社会的責任が問われるに至っている。こうした視点から、21世紀には、以下のように、科学技術と社会との新しい関係の構築が不可欠である。

(1)生命倫理等

 最近の生命科学の発展は、病気の診断、予防、治療を著しく向上させ、人々及び社会に大きく貢献している。他方、体外受精、脳死による臓器移植、遺伝子診断及び治療、さらには、最近のヒトに関するクローン技術、ヒト胚性幹細胞等、人間の尊厳に深く関わる科学技術が登場し、生命倫理上の大きな問題となっている。このうち、ヒトに関するクローン技術による個体産生については、国際的にも容認できないとする意見が多く、我が国では、昨年11月に「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律」が成立し、罰則を伴う禁止措置がなされた。
 現代医療を例にとれば、医師、研究者に人間の尊厳を守るための強い倫理観が求められることは当然であるが、医療の受益者である患者の人権が尊重されねばならず自己決定のためインフォームド・コンセントの重要性が認められている。また、個人のプライバシーの保護も大きな課題である。さらに、臨床試験や臓器移植・再生医療のように一般の人々にとっても重大な関心をもつものが拡大しており、生命倫理は国民全体の問題として議論されなければならない。
 今後、生命科学、情報技術など科学技術が一層発展し、社会と個人に大きな影響を及ぼすことが予想されるので、社会的コンセンサスの形成に努めることや倫理面でのルール作りを行うことが不可欠である。加えて、社会がグローバル化していることを踏まえ、国際的な協調も重要である。こうした科学技術の取組みに当たっては、情報公開の推進により透明性を確保しつつ、倫理等に関し有識者が検討する場や国民の意見を聴取する場を設けることにより、慎重にその方向付けを行う。

(2)研究者・技術者の倫理

 科学技術は、その使い道を誤ると人間や社会に重大な影響を及ぼす可能性を秘めている。
 最近、研究開発の現場やものづくりの現場等で事故・トラブルの発生が見られるが、研究者・技術者においては自らの携わる科学技術活動の社会全体での位置付けと自らの社会や公益に対する責任を強く認識し、科学技術の利用、研究開発活動の管理を適切に行う意識の醸成が重要である。
 研究活動については、従来主として研究コミュニティの内部で一定のルールが求められてきた。しかし、研究活動の範囲が拡がり多様化するとともに、社会との関連が様々な形で問題となってきているので、研究者は、利益相反の問題、研究結果の取扱い、研究費の取扱いなどの研究に当たっての倫理観の高揚に努めることが重要である。また、研究に関する情報を積極的に社会に発信し、研究成果等の効果の社会への影響についても発言していく必要がある。
 これらを踏まえ、研究者・技術者自身が高い職業倫理を持てるよう、学協会等に研究者・技術者が守るべき倫理に関するガイドラインの策定を求めるとともに、技術者の資格認定に当たり倫理の視点を盛り込むことを求める。また、高等教育における教育内容の充実とともに、学協会等の関係団体、関係機関が主催する研修等の活動を充実する。

(3)説明責任とリスク管理

 研究機関・研究者は研究内容や成果を社会に対して説明することを基本的責務と位置付け、研究機関の一般公開、公開講座、インターネットや学協会等を通じての情報の受発信等の機会を増やし、国民と研究者等との双方向のコミュニケーションの充実を図る。このため、研究者等に対し、研修の機会を設け、一般の人々への説明能力を向上するようにする。これにより、国民と研究者等の相互理解を促進し、国民は科学技術に関する理解を深めるとともに、研究機関・研究者が国民の声を反映しながら自らの研究開発活動の方向性を検討するようにする。
 また、科学技術に関わる組織は、事故やトラブルなど科学技術活動に伴うリスクについて、その影響を評価し、リスクを最小化するよう適切な管理を行うとともに、組織における研究者・技術者の倫理の涵養に努める。

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科学技術学術政策局計画官付

(科学技術学術政策局計画官付)

-- 登録:平成21年以前 --