第2章 科学技術の戦略的重点化 2.政策課題対応型研究開発における重点化

(1)「重点推進4分野」及び「推進4分野」

 第2期基本計画において、国家的・社会的課題に対応した研究開発の中で特に重点を置き、優先的に資源を配分することとされたライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料の4分野については、次のような観点から、引き続き基本計画においても、特に重点的に研究開発を推進すべき分野(「重点推進4分野」という。)とし、次項以下の分野内の重点化の考え方に基づきつつ優先的に資源配分を行う。

  1. 3つの基本理念への寄与度(科学技術面、経済面、社会面)が総合的に見て大きい分野であること。
  2. 国民の意識調査から見て期待や関心の高い分野であること。
  3. 各国の科学技術戦略の趨勢を踏まえたものであること。
  4. 戦略の継続性、研究現場への定着等実際的な観点からも適切であること。

 また、上記の重点推進4分野以外のエネルギー、ものづくり技術、社会基盤、フロンティアの4つの分野について、引き続き、国の存立にとって基盤的であり国として取り組むことが不可欠な研究開発課題を重視して研究開発を推進する分野(「推進4分野」という。)と位置付け、次項以下の分野内の重点化の考え方に基づきつつ適切な資源配分を行う。

(2)分野別推進戦略の策定

 重点推進4分野に該当する研究開発であっても十分な精査なくして資源の重点配分を行うべきではなく、また、推進4分野での研究開発であっても精査がないままに資源の戦略的配分の対象から除外することは適切ではない。そこで重点推進4分野及び推進4分野について、総合科学技術会議は、政策目標の実現に向けて、8分野それぞれの分野別推進戦略を、以下のような分野内の重点化の考え方に基づいて策定し、各分野において重要な研究開発課題を選定する。その際、網羅的・包括的な研究開発課題の設定とならないよう十分に配慮する。

  1. デルファイ調査などにより科学的インパクト、経済的インパクト、社会的インパクトを軸とした将来的な波及効果を客観的に評価すること。
  2. 我が国の国際的な科学技術の位置・水準を明確に認識(ベンチマーク)した上で投資の必要性を明確化すること。(強みを活かし競争優位を確実にする研究開発課題なのか、強い社会ニーズがあり課題解決すべき研究開発課題なのか、パラダイムシフトを先導する研究開発課題なのか等)
  3. 知の創造から社会・国民への成果還元に至る研究開発の各段階に応じて、基本計画で設定された政策目標達成への貢献度、達成までの道筋等の観点から、投資の必要性を明確化すること。
  4. 官民の役割を踏まえ、研究開発リスク、官民の補完性、公共性等の観点から、投資の必要性を明確化すること。

(3)「戦略重点科学技術」の選定

 重要な研究開発課題には、過去の蓄積を活用することが主眼となり予算が増加しないもの、一定の予算内で息長く研究開発を持続させるべきもの等様々な投資のパターンが存在する。したがって、分野別推進戦略の策定に当たっては、基本計画期間中に予算を重点配分する研究開発課題を更に一定の考え方に基づいて絞り込む必要がある。そこで総合科学技術会議は、以下のような視点から、各分野内において基本計画期間中に重点投資する対象を「戦略重点科学技術」として選定し、最終的に分野別推進戦略に位置付ける。

  1. 近年急速に強まっている社会・国民のニーズ(安全・安心面への不安等)に対し、基本計画期間中において集中投資することにより、科学技術からの解決策を明確に示していく必要があるもの。
  2. 国際的な競争状態及びイノベーションの発展段階を踏まえると、基本計画期間中の集中投資・成果達成が国際競争に勝ち抜く上で不可欠であり、不作為の場合の5年間のギャップを取り戻すことが極めて困難なもの。
  3. 国が主導する一貫した推進体制の下で実施され世界をリードする人材育成にも資する長期的かつ大規模なプロジェクトにおいて、国家の総合的な安全保障の観点も含め経済社会上の効果を最大化するために基本計画期間中に集中的な投資が必要なもの。

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